JP3013669B2 - 耐摩耗薄膜形成方法 - Google Patents

耐摩耗薄膜形成方法

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JP3013669B2 JP5266589A JP26658993A JP3013669B2 JP 3013669 B2 JP3013669 B2 JP 3013669B2 JP 5266589 A JP5266589 A JP 5266589A JP 26658993 A JP26658993 A JP 26658993A JP 3013669 B2 JP3013669 B2 JP 3013669B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂製品の表面に耐摩
耗性を有する薄膜を形成する耐摩耗薄膜形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の窓には一般に無機ガラス製品
を多く使用しているが、最近、無機ガラス製品に代え、
軽量でかつ加工性に優れた透明樹脂製品を使うことが提
案されている。また、歯車等の機械要素にも、金属製品
に代え、成形性に優れる樹脂製品を使うことが提案され
ている。しかし、樹脂製品は耐摩耗性において無機ガラ
ス製品や金属製品に劣るという欠点を有しており、その
使用には限界がある。そこで、樹脂製品の表面に耐摩耗
性を有する薄膜を形成する耐摩耗薄膜形成方法が種々検
討されている。
【0003】例えば、図8に示す一般的な薄膜形成方法
では、まず、図8(A)に示すように、樹脂製品として
の樹脂基板91を用意し、図8(B)に示すように、接
着性を良くするため樹脂基板91上にプライマー層92
を形成する。このプライマー層92は、ディップ法、ス
プレー法、フローコート法等により形成される。かかる
プライマー層92を硬化させた後、図8(C)に示すよ
うに、プライマー層92上に耐摩耗ラジカル重合硬化組
成物からなる未硬化層93を形成する。図8(B)に示
すプライマー層92の形成・硬化を行わず、樹脂基板9
1上に直接未硬化層93を形成することも行われる。未
硬化層93の耐摩耗ラジカル重合硬化組成物としては、
光を受けて重合すれば硬化する光重合硬化性のもの(例
えば、アクリル系紫外線重合硬化塗料)、電子線を受け
て重合すれば硬化する電子線重合硬化性のもの(例えば
アクリル系電子線重合硬化塗料)、熱を受けて重合すれ
ば硬化する熱重合硬化性のもの(例えば、シリコン系熱
重合硬化塗料)が採用されうる。そして、図8(D)に
示すように、耐摩耗ラジカル重合硬化組成物が光重合硬
化性のものであれば光(例えば、紫外線(UV))を照
射し、耐摩耗ラジカル重合硬化組成物が電子線重合硬化
性のものであれば電子線(EB)を照射し、耐摩耗ラジ
カル重合硬化組成物が熱重合硬化性のものであれば加熱
処理を行なう。こうして、樹脂基板91上には未硬化層
93の耐摩耗ラジカル重合硬化組成物が重合することに
より硬化した耐摩耗薄膜が形成される。
【0004】また、特開昭62−240762号公報に
は、図9に示す薄膜形成方法が開示されている。この薄
膜形成方法では、まず、図9(A)に示すように、樹脂
製品としての樹脂基板81を用意する。また、樹脂基板
81の代わりに、図9(B)に示すように、上記耐摩耗
光重合硬化組成物からなり、光を照射することにより重
合された下地層82を樹脂基板81上にもつものを採用
することもできる。これらを図9(C)に示すようにス
パッタ装置83の基板ホルダ84に取付ける。そして、
Arガス雰囲気下において、高周波電源85による高周
波を基板ホルダ84に印加した後、シャッタ86を閉じ
た状態で高周波電源85による高周波をSiO2 ターゲ
ット87に切替え、樹脂基板81又は下地層82をもつ
樹脂基板81にプレスパッタを行なう。次いで、シャッ
タ86を開き、図9(D)に示すように、樹脂基板81
又は下地層82をもつ樹脂基板81上にSiO2 からな
る耐摩耗薄膜88を形成する。この薄膜形成方法では、
プレスパッタ時に生じた樹脂基板81又は下地層82の
ラジカルとこれらの表面に到達したSiO2 とが共有結
合等の強固な化学結合を形成し、強固な密着力をもつ耐
摩耗薄膜88が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図8に示す一
般的な薄膜形成方法により、耐摩耗ラジカル重合硬化組
成物として光重合硬化性のもの又は電子線重合硬化性の
ものを採用して得られる耐摩耗薄膜では、未だ十分な硬
度の耐摩耗薄膜を形成しうる組成物が市販されていない
ことから、十分な耐摩耗性を発揮できない。また、一般
的な薄膜形成方法により、シリコーン系耐摩耗熱重合硬
化組成物を採用して得られた耐摩耗薄膜では、例えプラ
イマー層を介在させたとしても、樹脂基板と耐摩耗薄膜
との硬度差が大きいため、耐摩耗薄膜の厚みが2μm以
下ではザクリしやすく、また耐摩耗薄膜の内部応力が大
であるため、耐摩耗薄膜の厚みが5μm以上になればク
ラックが発生しやすく、耐摩耗熱重合硬化組成物による
本来の優れた耐摩耗性を発揮しにくい。
【0006】もっとも、樹脂基板上に耐摩耗光重合硬化
組成物又は耐摩耗電子線重合硬化組成物からなる硬化し
た下地層を一旦形成し、この下地層上に耐摩耗熱重合硬
化組成物からなる硬化した上層を形成すれば、表面が耐
摩耗熱重合硬化組成物からなる上層であり、かつ下地層
により樹脂基板から上層まで段階的に硬度が高くなるた
め、耐摩耗熱重合硬化組成物による本来の優れた耐摩耗
性を発揮しやすい。しかし、この場合でも、下地層と上
層とは強固な化学結合で結合されにくく、上層に十分な
密着力が得られない。
【0007】一方、上記公報記載の薄膜形成方法により
得られる耐摩耗薄膜では、SiO2により耐摩耗性を発
揮し、かつラジカルを介した結合により強固な密着力を
有するものの、スパッタ装置が高価であることにより製
造に際してコストの高騰を生じ、かつバッチ式の生産に
限られるため量産性に劣るという欠点を有している。本
発明の解決すべき課題は、製造コストが安価であるとと
もに量産性に優れ、かつ強固な密着力を有して優れた耐
摩耗性を確実に発揮する耐摩耗薄膜を樹脂基板上に形成
せんとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)請求項1記載の耐
摩耗薄膜形成方法は、上記課題を解決するため、樹脂基
板上に有機系耐摩耗ラジカル重合硬化組成物からなる未
硬化下地層を形成する未硬化下地層形成工程と、該未硬
化下地層上にシリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物からな
る未硬化上層を形成する未硬化上層形成工程と、光若し
くは電子線の照射又は加熱処理により該未硬化下地層を
重合させる下地層重合硬化工程と、加熱処理により該未
硬化上層を重合させる上層重合硬化工程と、を有する耐
摩耗薄膜形成方法であって、前記未硬化下地層は、さら
メタクリル基、アクリル基、エポキシ基、アミノ基及
びビニル基の少なくとも一つの有機系官能基を有するシ
ランカップリング剤4〜12wt%で含有するという
新規な手段を採用している。
【0009】
【0010】(2)請求項記載の耐摩耗薄膜形成方法
は、上記課題を解決するため、樹脂基板上に有機系耐摩
耗ラジカル重合硬化組成物からなる未硬化下地層を形成
する未硬化下地層形成工程と、該未硬化下地層上にシリ
コン系耐摩耗熱重合硬化組成物からなる未硬化上層を形
成する未硬化上層形成工程と、光若しくは電子線の照射
又は加熱処理により該未硬化下地層を重合させる下地層
重合硬化工程と、加熱処理により該未硬化上層を重合さ
せる上層重合硬化工程と、を有する耐摩耗薄膜形成方法
であって、前記未硬化上層は、さらにメタクリル基、ア
クリル基、エポキシ基、アミノ基及びビニル基の少なく
とも一つの有機系官能基を有するシランカップリング剤
4〜12wt%で含有するという新規な手段を採用し
ている。
【0011】
【0012】なお、未硬化上層形成工程後で上層重合硬
化工程前、上層重合硬化工程と同時又は上層重合硬化工
程後に、再度、光若しくは電子線の照射又は加熱処理を
行うこともできる
【0013】上記請求項1、2の耐摩耗薄膜形成方法に
おいて、樹脂基板としては、自動車等の窓に使用するの
であれば透明樹脂基板を採用することができ、歯車等に
使用するのであれば不透明な樹脂基板を採用することも
できる。例えば、アクリル系樹脂基板、メタクリル系樹
脂基板、ポリカーボネート基板等を採用することができ
る。
【0014】有機系耐摩耗ラジカル重合硬化組成物のう
ち、有機系耐摩耗光重合硬化組成物としては、アクリル
系紫外線重合硬化塗料(例えば、三菱レーヨン:アクリ
キングT301、大日精化:DPー10)、ホスファゼ
ン系紫外線重合硬化塗料(例えば、出光:PPZ)等を
採用することができる。有機系耐摩耗ラジカル重合硬化
組成物のうち、有機系耐摩耗電子線重合硬化組成物とし
ては、アクリル系電子線重合硬化組成物等を採用するこ
とができる。
【0015】有機系耐摩耗ラジカル重合硬化組成物のう
ち、有機系耐摩耗熱重合硬化組成物としては、アクリル
系熱重合硬化塗料、メラミン系熱重合硬化塗料等を採用
することができる。これら有機系耐摩耗光重合硬化組成
物、有機系耐摩耗電子線重合硬化組成物又は有機系耐摩
耗熱重合硬化組成物を含有する未硬化下地層の厚みは、
0.1×105 Å以上であることが好ましい。0.1×
105 Å未満の厚みでは、上層の密着性向上の効果が少
ない。
【0016】シリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物として
は、上記シリコン系熱重合硬化塗料(例えば、東芝シリ
コーン:トスガード510、サークシステム:ルガー
ドNPー730)等を採用することができる。シリコン
系耐摩耗熱重合硬化組成物を含有する未硬化上層の厚み
は、0.5×10 4 〜5×10 4 (Å)であることが好
ましい。未硬化上層の厚みが5×105 (Å)以上では
硬化時の収縮によるクラック発生しやすく、耐摩耗性が
低下する。また、未硬化上層の厚みが0.5×10
4 (Å)以下では均一な塗膜が得られにくく、耐摩耗性
が低下する。
【0017】タクリル基、アクリル基、エポキシ基、
アミノ基及びビニル基の少なくとも一つの有機系官能基
を有するシランカップリング剤としては、マクロモレキ
ュラーカップリング剤(例えば、日本ユニカ−:MMC
A)、エポキシ官能性シラン(例えば、信越化学工業:
KBM−403、KBZー402、KBEー403)、
アクリル官能性シラン(例えば、信越化学工業:KBM
−5102、KBM−5103)、紫外線硬化型シリコ
ーンハードコート剤(例えば、信越化学工業:X−12
−2400)等を採用することができる。メタクリル基
又はアクリル基を有するシランカップリング剤として例
えば、信越化学工業:KBM−503、KBM−50
2、KBEー502等、ビニル基を有するシランカップ
リング剤として例えば信越化学工業:KBEー100
3、KBMー1003、KAー1003等を採用するこ
とが好ましい。
【0018】
【作用】(1)請求項1記載の耐摩耗薄膜形成方法で
は、未硬化下地層にメタクリル基、アクリル基、エポキ
シ基、アミノ基及びビニル基の少なくとも一つの有機系
官能基を有するシランカップリング剤4〜12wt%
含有されている。このため、樹脂基板上に有機系耐摩
耗ラジカル重合硬化組成物を含有する未硬化下地層を形
成すれば、耐摩耗ラジカル重合硬化組成物が有機系のも
のであるため、シランカップリング剤のシラノール基は
表面側に位置する。また、有機系官能基が未硬化下地層
又は下地層と好適な相溶性を確保する。ここで、メタク
リル基又はアクリル基及びビニル基の少なくとも一つの
有機系官能基を有するシランカップリング剤を採用した
場合には、有機系官能基が二重結合を有するため、下地
層重合硬化工程時にメタクリル基等が未硬化下地層又は
下地層の内部でラジカル反応により結合し、下地層と上
層とがより強固に結合される。
【0019】次いで、未硬化下地層又は下地層上にシリ
コン系耐摩耗熱重合硬化組成物を含有する未硬化上層を
形成すれば、未硬化下地層又は下地層にはシランカップ
リング剤のシラノール基を介してシリコン系耐摩耗熱重
合硬化組成物からなる未硬化上層が被覆される。そし
て、加熱処理により未硬化上層を重合させれば、未硬化
下地層又は下地層のシラノール基と未硬化上層のシラノ
ール基とが脱水結合反応によりシロキサン結合され、下
地層と上層とが強固に結合する。
【0020】こうして得られる耐摩耗薄膜は、表面が有
機系耐摩耗ラジカル重合硬化組成物が硬化した下地層で
なく、この下地層上に形成されたシリコン系耐摩耗熱重
合硬化組成物が硬化した上層である。ここで、この耐摩
耗薄膜では、下地層により樹脂基板から上層まで段階的
に硬度が高くなっている。したがって、この方法により
得られる耐摩耗膜は、下地層と上層とが十分に密着し、
シリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物による本来の優れた
耐摩耗性を発揮する。
【0021】また、この方法では、耐摩耗膜の形成に際
してスパッタ装置を使用する必要がなく、かつ連続的に
形成が可能である
【0022】
【0023】()請求項記載の耐摩耗薄膜形成方法
では、未硬化上層にメタクリル基、、アクリル基、エポ
キシ基、アミノ基及びビニル基の少なくとも一つの有機
系官能基を有するシランカップリング剤が含有されてい
る。このため、未硬化下地層又は下地層上にシリコン系
耐摩耗熱重合硬化組成物を含有する未硬化上層を形成す
れば、未硬化下地層又は下地層にはシランカップリング
剤の有機系官能基を介してシリコン系耐摩耗熱重合硬化
組成物を含有する未硬化上層が被覆される。このとき、
有機系官能基は、未硬化下地層又は下地層と好適な相溶
性を確保する。
【0024】そして、加熱処理により未硬化上層を重合
させれば、シランカップリング剤のシラノール基と未硬
化上層のシラノール基とが脱水結合反応によりシロキサ
ン結合され、下地層と上層とが強固に結合する。ここ
で、メタクリル基又はアクリル基及びビニル基の少なく
とも一つの有機系官能基を有するシランカップリング剤
を採用した場合には、メタクリル基等が未硬化下地層又
は下地層の内部でラジカル反応により結合し、下地層と
上層とがより強固に結合される。
【0025】かかる方法によっても請求項1記載の方法
と同様に、同様の耐摩耗薄膜を形成できる
【0026】
【0027】なお、未硬化上層形成工程後で上層重合硬
化工程前、上層重合硬化工程と同時又は上層重合硬化工
程後に、再度下地層重合硬化工程を行う場合には、下地
層にラジカルを生じ、このラジカルで下地層と上層とが
強固に結合される。請求項1、2により得られる耐摩耗
薄膜では、下地層と上層との界面にシロキサン結合が存
在しているため、下地層と上層とが強固に結合されてい
る。このシロキサン結合は、耐摩耗薄膜の下地層又は上
層を分析することにより確認できる。
【0028】
【実施例】(実施例1) ず、図1(A)に示すように、樹脂基板1としてポリ
メタクリル酸メチル系樹脂(ローム・アンドハース(P
MMA):商品名KAMAXT−240)からなるもの
(100×100×4(mm))を用意する。この樹脂
基板1を110℃×3時間アニール処理した後、デシケ
ータ中に保管する。この樹脂基板1をデシケータから取
り出し、レンズ用の脱脂剤(ヘンケル白水:商品名ミリ
オンHS)水溶液中に3分間浸漬後、水洗を2回、純水
洗を1回行なうことにより、洗浄する。そして、洗浄後
の樹脂基板1をイソプロパノール(IPC)に1分間浸
漬後、ドライヤーで乾燥する。 「未硬化下地層形成工程」 次に、ディップ槽内において予め用意したアクリル系紫
外線重合硬化塗料(大日精化:セイカビームDP−1
0)中に、シラノール基を有するポリシロキサン組成物
としてシリコン系熱重合硬化塗料(サークシステムズ:
ソルガードNP−730)を3〜20重量(wt)%添
加し、混合する。このディップ槽(浴温:18℃)中に
乾燥後の樹脂基板1を浸漬し、引き上げる。こうして、
図1(B)に示すように、樹脂基板1上にアクリル系紫
外線重合硬化塗料とシリコン系熱重合硬化塗料とからな
る未硬化下地層2を形成する。このとき、アクリル系紫
外線重合硬化塗料が有機系のものであるため、シリコン
系熱重合硬化塗料のシラノール基は表面側に位置する。
未硬化下地層2の厚さは、浸漬後の引き上げ速度により
10000〜100000Åにコントロ−ルする。未硬
化下地層2を形成した樹脂基板1を3分間IR(赤外
線)乾燥し、不要な溶剤を除去する。 「下地層重合硬化工程」 この後、図1(C)に示すように、溶剤を除去した未硬
化下地層2をもつ樹脂基板1を80W/cmの高圧水銀
灯中に入れ、0〜5000mJ(好ましくは2000〜
4000mJ)のエネルギーで紫外線(UV)を照射す
る。これにより、未硬化下地層2のアクリル系紫外線重
合硬化成分はラジカル重合し、未硬化下地層2はある程
度硬化する。 「未硬化上層形成工程」 次に、予め用意したシリコン系熱重合硬化塗料(サーク
システムズ:ソルガードNP−730)を入れたディッ
プ槽(浴温:18℃)中に、未硬化下地層2がある程度
硬化した樹脂基板1を浸漬し、引き上げる。こうして、
図1(D)に示すように、ある程度硬化した未硬化下地
層2上にシラノール基を介して未硬化上層3を形成す
る。このとき、未硬化下地層2を予めある程度硬化させ
た後、未硬化上層3を形成しているため、未硬化上層3
が形成しやすくされている。また、ポリシロキサン組成
物として、未硬化上層3を構成するシリコン系熱重合硬
化塗料を採用しているため、特別なポリシロキサン組成
物を用意する必要がなく、便利である。未硬化上層3の
厚さは、浸漬後の引き上げ速度により1000〜500
00Åにコントロ−ルする。但し、未硬化上層3の厚さ
が10000Å以下の場合はイソプロパノールを主成分
とする希釈溶媒にてシリコン系熱重合硬化塗料を希釈す
る。この後、未硬化下地層2上に未硬化上層3が形成さ
れた樹脂基板1を50℃×10分間乾燥させ、不要な溶
媒を除去する。 「下地層重合硬化工程」 図1(E)に示すように、溶剤を除去した未硬化下地層
2及び未硬化上層3をもつ樹脂基板1を再度80W/c
mの高圧水銀灯中に入れ、1000〜3000mJのエ
ネルギーでUVを照射する。
【0029】このとき、次に示す一般式によりアクリル
系紫外線重合硬化塗料にラジカルを生じる。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】
【0032】これにより、アクリル系紫外線重合硬化塗
料からなる未硬化下地層2はUVを受けてほとんど重合
し、ほぼ完全に硬化して下地層2となる。以上の下地層
重合硬化工程は、未硬化下地層2の「下地層重合硬化工
程」における紫外線照射の程度により省略することがで
きる。「上層重合硬化工程」そして、図1(F)に示す
ように、下地層2及び未硬化上層3をもつ樹脂基板1に
110℃×2時間の加熱処理を行う。これにより、シリ
コン系熱重合硬化塗料からなる未硬化上層1はほとんど
重合し、ほぼ完全に硬化して上層3となる。このとき、
図2に示すように、下地層2中におけるシリコン系熱重
合硬化塗料のシラノール基と未硬化上層3のシラノール
基とが脱水結合反応によりシロキサン結合され、下地層
2と上層3とが強固に結合する。
【0033】こうして、図3に示すように、ポリメタク
リル酸メチル系樹脂からなる樹脂基板1上に、アクリル
系紫外線重合硬化塗料及びシリコン系熱重合硬化塗料か
らなる下地層2と、シリコン系熱重合硬化塗料からなる
上層3との耐摩耗薄膜を形成する。ここで、上層3は、
機械的な結合の他に、シリコン系熱重合硬化塗料同士の
シラノール基のシロキサン結合からなる化学結合Cによ
って下地層2と強固に結合している。 (実施例2
【0034】この実施例2では、未硬化下地層2中に含
有させるシラノール基を有するポリシロキサン組成物と
して、0.3〜20wt%のシランカップリング剤(日
本ユニカー:MMCA(マクロモレキュラーカップリン
グ剤)を採用する。但し、このシランカップリング剤
は、含有されるアルコキシ基をPH4.2のH2 Oによ
り脱メタノール処理したものである。他の構成は実施例
1と同一である。
【0035】この実施例2では、未硬化下地層2中にエ
ポキシ基、メタクリル基、アクリル基及びビニル基の少
なくとも一つの有機系官能基を有するシランカップリン
グ剤が含有されているため、未硬化下地層形成工程にお
いて、有機官能基はアクリル系紫外線硬化塗料と好適な
相溶性を確保する。そして、上層重合硬化工程では、図
4に示すように、下地層2中におけるシランカップリン
グ剤のシラノール基と未硬化上層3のシラノール基とが
脱水結合反応によりシロキサン結合され、下地層2と上
層3とが強固に結合する。
【0036】こうして、ポリメタクリル酸メチル系樹脂
からなる樹脂基板1上に、アクリル系紫外線重合硬化塗
料及びシランカップリング剤からなる下地層2と、シリ
コン系熱重合硬化塗料からなる上層3との耐摩耗薄膜を
形成する。ここで、上層3は、機械的な結合の他に、シ
ランカップリング剤のシラノール基とシリコン系熱重合
硬化塗料のシラノール基とのシロキサン結合と、シラン
カップリング剤の有機系官能基がメタクリル基、アクリ
ル基及びビニル基の少なくとも一つを含む場合は、アク
リル系紫外線重合硬化塗料とシランカップリング剤の有
機系官能基とのラジカル反応と、からなる化学結合Cに
よって下地層2と強固に結合している。 (実施例3
【0037】この実施例3では、未硬化下地層2中に含
有させるシラノール基を有するポリシロキサン組成物と
して、2〜20wt%のシリコン系熱重合硬化塗料(サ
ークシステム:ソルガード730)及び0.3〜20w
t%のシランカップリング剤(信越化学工業:KBM−
403又はKBM−503)を採用する。但し、シラン
カップリング剤は、含有されるアルコキシ基を脱メタノ
ール処理したものである。他の構成は実施例1と同一で
ある。
【0038】この実施例3では、上層重合硬化工程によ
り、図2及び図4に示す反応を生じ、下地層2と上層3
とが強固に結合する。こうして、ポリメタクリル酸メチ
ル系樹脂からなる樹脂基板1上に、アクリル系紫外線重
合硬化塗料、シリコン系熱重合硬化塗料及びシランカッ
プリング剤からなる下地層2と、シリコン系熱重合硬化
塗料からなる上層3との耐摩耗薄膜を形成する。
【0039】ここで、上層3は、機械的な結合の他に、
シリコン系熱重合硬化塗料及びシランカップリング剤の
シラノール基とシリコン系熱重合硬化塗料のシラノール
基とのシロキサン結合と、シランカップリング剤として
KBM−503を用いた場合はアクリル系紫外線重合硬
化塗料とシランカップリング剤の有機系官能基とのラジ
カル反応と、からなる化学結合Cによって下地層2と強
固に結合している。 (比較例1) この比較例1は、未硬化下地層2中にシラノール基を有
するポリシロキサン組成物を含有させない点を除き、他
の構成が実施例1と同一である。 (試験1) 実施例1において、図1(C)のUVの照射エネルギー
を0〜5000mJで変化させ、図1(D)の未硬化上
層3の厚みを20000Åとし、図1(E)のUVの照
射エネルギーを2000mJとし、シラノール基を有す
るポリシロキサン組成物の添加量を10wt%とし、他
は実施例1と同一の条件の下、各耐摩耗薄膜を得る。
【0040】各耐摩耗薄膜について、耐摩耗性を調べる
ため、テーバー摩耗試験を行った。テーバー摩耗試験と
は、回転テーブルに試験試料を載せ、この上に荷重をか
けた砥粒入りゴム製の摩耗輪を2個接触させて転動させ
るものである。ここでは、摩耗試験後において耐摩耗薄
膜の表面に形成された摩耗痕による曇り値(ヘイズ値
(H))の増加量を求め、評価した。つまり、所定の荷
重で所定の回数だけ転動させたあと、耐摩耗薄膜のヘイ
ズ値を測定する。なお、ヘイズ値とは、白色光を用いて
耐摩耗薄膜の表面の傷による光散乱の率を次式で算出し
たものである。
【0041】 H(%)=(T4 /T2 −T3 /T1 )×100 但し、T1 は耐摩耗薄膜への入射光線量、T2 は耐摩耗
薄膜の透過光線量、T 3 は測定器における拡散光量、T
4 は耐摩耗薄膜の拡散透過光量である。この試験では、
摩耗輪によりできた摩耗傷が少ないほどヘイズ値は低く
なる。すなわち、試験前の耐摩耗薄膜のヘイズ値に比較
し、試験後の耐摩耗薄膜のヘイズ値の増加量(%)が低
いほど耐摩耗性が良好ということができる。結果を図5
に示す。
【0042】図5より、1000mJ以下では未硬化下
地層2が充分に硬化せず、またΔHが増加することがわ
かる。 (試験2) 実施例1において、シラノール基を有するポリシロキサ
ン組成物の添加量を10wt%とし、試験片No.1の
耐摩耗薄膜を得る。実施例2において、シランカップリ
ング剤の添加量を11wt%とし、試験片No.2の耐
摩耗薄膜を得る。実施例3において、シリコン系熱重合
硬化塗料の添加量を10wt%とし、かつシランカップ
リング剤の添加量を11wt%とし、試験片No.3の
耐摩耗薄膜を得る。また、比較例1により試験片No.
4の耐摩耗薄膜を得る。各試験片No.1〜4の耐摩耗
薄膜は、下地層2の厚みが3×104 (Å)、上層3の
厚みが2×104 (Å)、図1(C)のUVの照射エネ
ルギーが3000mJ、図1(E)のUVの照射エネル
ギーが2000mJ、他の条件は実施例1等と同一であ
る。
【0043】各試験片No.1〜4の耐摩耗薄膜につい
て、耐摩耗性を調べるため、試験1と同様にテーバー摩
耗試験を行った。未硬化下地層2にシラノール基を有さ
ない試験片No.4の耐摩耗薄膜では、100回転後に
上層3に剥離が生じたのに対し、未硬化下地層2にシラ
ノール基を有する試験片No.1〜3の耐摩耗薄膜で
は、500回転後でも上層3に剥離が生じることはな
く、かつΔHが1.5〜3%であった。特に、未硬化下
地層2に上層3と同一のシリコン系熱重合塗料とシラン
カップリング剤とを含有する試験片No.3の耐摩耗薄
膜では、500回転後のΔHが最も低い1.5%であっ
た。
【0044】したがって、実施例1〜3の耐摩耗薄膜で
は、下地層2と上層3とが強固に結合し、優れた耐摩耗
性を発揮できることがわかる。 (試験3)実施例1において、図1(C)のUVの照射
エネルギーを3000mJとし、図1(D)の未硬化上
層3の厚みを0.1×104 〜7×104 (Å)で変化
させ、図1(E)のUVの照射エネルギーを2000m
Jとし、シラノール基を有するポリシロキサン組成物の
添加量を10wt%とし、他は実施例1と同一の条件の
下、各耐摩耗薄膜を得る。
【0045】各耐摩耗薄膜について、耐摩耗性を調べる
ため、試験1と同様にテーバー磨耗試験を行った。結果
を図6に示す。図6より、未硬化上層3の厚みが5×1
4 (Å)以上では硬化時の収縮によるクラックが発生
しやすく、耐摩耗性が低下することがわかる。また、未
硬化上層3の厚みが0.5×104 (Å)以下では均一
な塗膜が得られないため、耐摩耗性が低下している。 (試験4)実施例2において、図1(C)のUVの照射
エネルギーを3000mJとし、図1(D)の未硬化上
層3の厚みを2×104 (Å)とし、図1(E)のUV
の照射エネルギーを2000mJとし、シランカップリ
ング剤の添加量を0〜20wt%で変化させ、他は実施
例2と同一の条件の下、各耐摩耗薄膜を得る。
【0046】各耐摩耗薄膜について、耐摩耗性を調べる
ため、試験1と同様にテーバー磨耗試験を行った。結果
を図7に示す。図7より、シランカップリング剤の添加
量が4wt%以上で耐摩耗性が大幅に向上していること
がわかる。また、シランカップリング剤が12wt%以
上では緩やかに耐摩耗性が悪化しており、上層3と下層
2との結合力が低下することがわかる。 (実施例4
【0047】まず、実施例1と同一の条件で、図1
(A)に示すように、樹脂基板1を用意する。 「未硬化下地層形成工程」次に、予め用意したアクリル
系紫外線重合硬化塗料(大日精化:セイカビームDP−
10)を入れたディップ槽(浴温:18℃)中に、乾燥
後の樹脂基板1を浸漬し、引き上げる。こうして、図1
(B)に示すように、樹脂基板1上にアクリル系紫外線
重合硬化塗料からなる未硬化下地層2を形成する。未硬
化下地層2の厚さは、浸漬後の引き上げ速度により10
000〜100000Åにコントロ−ルする。未硬化下
地層2を形成した樹脂基板1を3分間IR(赤外線)乾
燥し、不要な溶剤を除去する。 「下地層重合硬化工程」この後、図1(C)に示すよう
に、溶剤を除去した未硬化下地層2をもつ樹脂基板1を
80W/cmの高圧水銀灯中に入れ、0〜5000mJ
(好ましくは2000〜4000mJ)のエネルギーで
UVを照射する。これにより、未硬化下地層2のアクリ
ル系紫外線重合硬化成分はラジカル重合し、未硬化下地
層2はある程度硬化する。 「未硬化上層形成工程」次に、ディップ槽内において予
め用意したシリコン系熱重合硬化塗料(サークシステム
ズ:ソルガードNP−730)中に、シランカップリン
グ剤(日本ユニカー:MMCA(マクロモレキュラーカ
ップリング剤))を0.3〜20wt%添加し、混合す
る。このディップ槽(浴温:18℃)中に、未硬化下地
層2がある程度硬化した樹脂基板1を浸漬し、引き上げ
る。こうして、図1(D)に示すように、ある程度硬化
した未硬化下地層2上に、シランカップリング剤のエポ
キシ基を介してシリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物を含
有する未硬化上層3が被覆される。このとき、エポキシ
基は、未硬化下地層2と好適な相溶性を確保する。未硬
化上層3の厚さは、浸漬後の引き上げ速度により100
0〜50000Åにコントロ−ルする。この後、未硬化
下地層2上に未硬化上層3が形成された樹脂基板1を5
0℃×10分間乾燥させ、不要な溶媒を除去する。 「下地層重合硬化工程」図1(E)に示すように、溶剤
を除去した未硬化下地層2及び未硬化上層3をもつ樹脂
基板1を再度80W/cmの高圧水銀灯中に入れ、10
00〜3000mJのエネルギーでUVを照射する。
【0048】このとき、実施例1と同様、アクリル系紫
外線重合硬化塗料にラジカルを生じる。これにより、
アクリル系紫外線重合硬化塗料からなる未硬化下地層2
はUVを受けてシランカップリング剤のエポキシ基を相
溶したままほとんど重合し、ほぼ完全に硬化して下地層
2となる。「上層重合硬化工程」そして、図1(F)に
示すように、下地層2及び未硬化上層3をもつ樹脂基板
1に110℃×2時間の加熱処理を行う。これにより、
シリコン系熱重合硬化塗料からなる未硬化上層1はほと
んど重合し、ほぼ完全に硬化して上層3となる。このと
き、シランカップリング剤のシラノール基とシリコン系
熱重合硬化塗料のシラノール基とが脱水結合反応により
シロキサン結合され、下地層2と上層3とが強固に結合
する。
【0049】こうして、ポリメタクリル酸メチル系樹脂
からなる樹脂基板1上に、アクリル系紫外線重合硬化塗
料からなる下地層2と、シランカップリング剤及びシリ
コン系熱重合硬化塗料からなる上層3との耐摩耗薄膜を
形成する。ここで、上層3は、機械的な結合の他に、シ
リコン系熱重合硬化塗料とシランカップリング剤とのシ
ラノール基のシロキサン結合とからなる化学結合Cによ
って下地層2と強固に結合している。 (実施例5
【0050】実施例5では、メタクリル基又はアクリル
基を有するシランカップリング剤(信越化学工業:KB
M503)を採用している。他の構成は実施例2と同一
である。この耐摩耗薄膜では、メタクリル基又はアクリ
ル基が二重結合を有するため、下地層重合硬化工程時に
メタクリル基又はアクリル基が未硬化下地層2の内部で
ラジカル反応により結合するため、下地層2と上層3と
がより強固に結合する。 (実施例6
【0051】実施例6では、実施例1と同一の条件で
「下地層重合硬化工程」の図1(E)までを実行し、あ
る程度硬化した未硬化下地層2及び未硬化上層3が形成
された樹脂基板1を得る。これを50℃×10分間乾燥
させ、不要な溶媒を除去する。この後、「上層重合硬化
工程」として、図1(G)に示すように、80W/cm
の高圧水銀灯を配置した自然対流式乾燥機内に、溶剤を
除去した未硬化下地層2及び未硬化上層3をもつ樹脂基
板1を入れ、1000〜3000mJのエネルギーでU
Vを照射するとともに110℃×90分間の加熱処理を
行なう。
【0052】このときにおいても、化1、2に示す一般
式により未硬化下地層2のアクリル系紫外線重合硬化塗
料は未硬化上層3との間にラジカルを生じる。未硬化上
層3のシリコン系熱重合硬化塗料は、加熱処理によっ
合し、硬化する。これにより、アクリル系紫外線重合
硬化塗料からなる未硬化下地層2はUVを受けてほとん
ど重合し、ほぼ完全に硬化して下地層2となるととも
に、シリコン系熱重合硬化塗料からなる未硬化上層1も
ほとんど重合し、ラジカル結合、脱水結合等で下地層2
と強固に結合しつつ完全に硬化して上層3となる。
【0053】こうして、ポリメタクリル酸メチル系樹脂
からなる樹脂基板1上に、アクリル系紫外線重合硬化塗
料及びシリコン系熱重合硬化塗料からなる下地層2と、
シリコン系熱重合硬化塗料からなる上層3との耐摩耗薄
膜を形成する。この場合には、未硬化下地層2を重合さ
せるUVの照射中に未硬化上層3を重合させることがで
きるため、耐摩耗薄膜の形成時間を短縮することができ
る。
【0054】なお、上記実施例等は未硬化下地層として
耐摩耗光重合硬化組成物を採用したが、耐摩耗電子線重
合硬化組成物を採用することもできる。例えば、未硬化
下地層にアクリル系電子線重合硬化塗料を採用した場
合、電子線の照射によって次に示す一般式により未硬化
上層3との間にラジカルを生じる。
【0055】
【化3】
【0056】
【化4】
【0057】したがって、未硬化下地層として耐摩耗電
子線重合硬化組成物を採用した場合にも、本発明の効果
を奏することができる。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の耐摩耗薄
膜形成方法では、特許請求の範囲記載の構成を採用して
いるため、次のような優れた効果を奏することができ
る。すなわち、この方法では、安価な製造コストで樹脂
基板上に耐摩耗薄膜を形成することができる。
【0059】また、この方法では、優れた量産性の下で
樹脂基板上に耐摩耗薄膜を形成することができる。さら
に、こうして得られる耐摩耗薄膜は、強固な密着力を有
して優れた耐摩耗性を確実に発揮することができる。し
たがって、この方法により樹脂基板に耐摩耗薄膜を形成
すれば、優れた耐摩耗性等の効果から、軽量性、優れた
加工性及び優れた成形性の目的で自動車等の窓に透明樹
脂ガラスを使用したり、歯車等の機械要素に樹脂製品を
使用すること等も容易に行ない得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の方法を示す模式工程図である。
【図2】実施例1の上層重合硬化工程の反応式である。
【図3】実施例1により得られた樹脂基板及び耐摩耗薄
膜の模式断面図である。
【図4】実施例2の上層重合硬化工程の反応式である。
【図5】試験1におけるUV照射エネルギーとテーバ摩
耗試験における△Hとの関係を示すグラフである。
【図6】試験3における未硬化上層の厚みとテーバー摩
耗試験における△Hとの関係を示すグラフである。
【図7】試験4におけるシランカップリング剤の添加量
とテーバー摩耗試験における△Hとの関係を示すグラフ
である。
【図8】一般的な薄膜形成方法を示す模式工程図であ
る。
【図9】従来の薄膜形成方法を示す模式工程図である。
【符号の説明】
1…樹脂基板 2…未硬化下地層
(下地層) 3…未硬化上層(上層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08J 7/00 301 C08J 7/00 301 302 302 (56)参考文献 特開 平5−117429(JP,A) 特開 平5−51471(JP,A) 特開 平4−175385(JP,A) 特開 平5−255526(JP,A) 特表 昭62−502623(JP,A) 特表 昭59−500707(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18 B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂基板上に有機系耐摩耗ラジカル重合硬
    化組成物からなる未硬化下地層を形成する未硬化下地層
    形成工程と、 該未硬化下地層上にシリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物
    からなる未硬化上層を形成する未硬化上層形成工程と、 光若しくは電子線の照射又は加熱処理により該未硬化下
    地層を重合させる下地層重合硬化工程と、 加熱処理により該未硬化上層を重合させる上層重合硬化
    工程と、を有する耐摩耗薄膜形成方法であって、 前記未硬化下地層は、さらにメタクリル基、アクリル
    基、エポキシ基、アミノ基及びビニル基の少なくとも一
    つの有機系官能基を有するシランカップリング剤4〜
    12wt%で含有することを特徴とする耐摩耗薄膜形成
    方法。
  2. 【請求項2】樹脂基板上に有機系耐摩耗ラジカル重合硬
    化組成物からなる未硬化下地層を形成する未硬化下地層
    形成工程と、 該未硬化下地層上にシリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物
    からなる未硬化上層を形成する未硬化上層形成工程と、 光若しくは電子線の照射又は加熱処理により該未硬化下
    地層を重合させる下地層重合硬化工程と、 加熱処理により該未硬化上層を重合させる上層重合硬化
    工程と、を有する耐摩耗薄膜形成方法であって、 前記未硬化上層は、さらにメタクリル基、アクリル基、
    エポキシ基、アミノ基及びビニル基の少なくとも一つの
    有機系官能基を有するシランカップリング剤を4〜12
    wt%で含有することを特徴とする耐摩耗薄膜形成方
    法。
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