JP3376101B2 - 転写用ハードコートフィルム及び耐摩耗樹脂製品の製造方法 - Google Patents
転写用ハードコートフィルム及び耐摩耗樹脂製品の製造方法Info
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Description
ィルムと、この転写用ハードコートフィルムを用いた耐
摩耗樹脂製品の製造方法とに関する。
5−179030号公報及び特開平5−179031号
公報に従来の転写用ハードコートフィルムが開示されて
いる。この転写用ハードコートフィルムを製造するため
には、図2(A)に示すように、まず可撓性を有する例
えばPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる樹
脂フィルム90を用意する。そして、図2(B)に示す
ように、この樹脂フィルム90上にメタクリル系又はア
クリル系紫外線硬化型塗料からなる未硬化転写層91を
形成する。この後、図2(C)に示すように、紫外線
(UV)の照射により未硬化転写層91をある程度硬化
させて転写層91とする。
ルムにより、耐摩耗樹脂製品を製造する場合、図2
(D)に示すように、まず金型92のキャビティ93に
転写層91が内部になるように転写用ハードコートフィ
ルムを載置する。そして、キャビティ93に溶融樹脂9
4を充填し、図2(E)に示すように、樹脂成形体を得
る。この後、図2(F)に示すように、樹脂成形体から
樹脂フィルム90を剥取する。こうして、樹脂が固化し
た固化樹脂94と、この固化樹脂94の表面に転写され
た転写層91とからなる耐摩耗樹脂製品が得られる。
製品や無機ガラス製品と比較し、軽量でかつ加工性に優
れているという効果を発揮することができる。
写用ハードコートフィルムでは、耐摩耗樹脂製品の表面
に転写される転写層91がメタクリル系又はアクリル系
紫外線硬化塗料からなり、耐摩耗樹脂製品の表面に十分
な耐摩耗性を付与することができない。また、メタクリ
ル系又はアクリル系紫外線硬化塗料により得られる転写
層91よりも十分な硬度を期待できる転写層としては、
シリコン系耐摩耗熱重合硬化塗料により得られるものが
考えられるが、固化樹脂94上に直接このシリコン系耐
摩耗熱重合硬化塗料からなる転写層を転写した場合、固
化樹脂と転写層との熱膨脹係数の差異等により、転写層
にクラックが発生しやすく、やはり耐摩耗樹脂製品の表
面に十分な耐摩耗性を付与することができない。
耐摩耗性を確実に付与することのできる転写用ハードコ
ートフィルムを提供することを解決すべき第1の課題と
する。そして、本発明は、表面において十分な耐摩耗性
を確実に発揮できる耐摩耗樹脂製品の製造方法を提供す
ることを解決すべき第2の課題とする。
ートフィルムは、上記第1の課題を解決するため、可撓
性を有する樹脂フィルムと、該樹脂フィルム上に形成さ
れシリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物およびポリエーテ
ル又はポリエステル変性したシラン系レベリング剤を含
有する含有物を硬化した第1転写層と、該第1転写層上
に形成され有機系耐摩耗ラジカル重合硬化組成物および
メタクリル基、アクリル基、エポキシ基、アミノ基、ビ
ニル基のうち少なくとも一つの有機系官能基を有するシ
ランカップリング剤および/またはシラノール基を有す
るポリシロキサン組成物を含有する含有物を硬化した第
2転写層とからなり、前記第1転写層と前記第2転写層
との界面にはシロキサン結合が存在することを特徴とす
る。また、前記シラノール基を有するポリシロキサン組
成物は、メタクリル基、アクリル基、エポキシ基、アミ
ノ基及びビニル基の少なくとも一つの有機系官能基を有
するシランカップリング剤であるのが望ましい。
記第2の課題を解決するため、可撓性を有する樹脂フィ
ルム上にシリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物およびポリ
エーテル又はポリエステル変性したシラン系レベリング
剤を含有する未硬化第1転写層を形成する未硬化第1転
写層形成工程と、該未硬化第1転写層上に有機系耐摩耗
ラジカル重合硬化組成物およびメタクリル基、アクリル
基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基のうち少なくとも
一つの有機系官能基を有するシランカップリング剤およ
び/またはシラノール基を有するポリシロキサン組成物
を含有する未硬化第2転写層を形成する未硬化第2転写
層形成工程と、加熱処理により該未硬化第1転写層を重
合させることにより第1転写層を形成するとともに、光
若しくは電子線の照射又は加熱処理により該未硬化第2
転写層を重合させることにより第2転写層を形成し、転
写用ハードコートフィルムを得る重合硬化工程と、金型
のキャビティに該第2転写層が内部になるように該転写
用ハードコートフィルムを載置し、該キャビティに溶融
樹脂を充填することにより、樹脂成形体を得る成形工程
と、該樹脂成形体から該樹脂フィルムを剥取する剥取工
程と、を有することを特徴とする。
記剥取工程後、加熱処理により前記第1転写層をさらに
重合させる第1転写層追加重合硬化工程を有することが
好ましい。本発明の耐摩耗樹脂製品の製造方法におい
て、剥取工程後、光若しくは電子線の照射又は加熱処理
により第2転写層をさらに重合させる第2転写層追加重
合硬化工程を行うこともできる。
有するポリシロキサン組成物は、メタクリル基、アクリ
ル基、エポキシ基、アミノ基及びビニル基の少なくとも
一つの有機系官能基を有するシランカップリング剤であ
るのが好ましい。未硬化第2転写層のシラノール基を有
するポリシロキサン組成物は、シリコン系耐摩耗熱重合
硬化組成物であることもできる。
て、重合硬化工程は、加熱処理により未硬化第1転写層
を重合させる第1重合硬化工程と、光若しくは電子線の
照射又は加熱処理により未硬化第2転写層を重合させる
第2重合硬化工程とからなり、未硬化第1転写層形成工
程、該第1重合硬化工程、未硬化第2転写層形成工程及
び該第2重合硬化工程を順次行うのが好ましい。
て、該1重合硬化硬化工程と該第2重合硬化工程とを同
時期に行うこともできる。樹脂フィルムとしては、自動
車等の窓に使用するのであれば透明樹脂フィルムを採用
することができ、歯車等に使用するのであれば不透明な
樹脂フィルムを採用することもできる。例えば、PET
フィルム、アクリル系樹脂フィルム、PMMA(メタク
リル系樹脂)フィルム、PC(ポリカーボネート)フィ
ルム等を採用することができる。
ては、光重合型、電子線重合型又は熱重合型のものを採
用することができる。有機系耐摩耗光重合硬化組成物と
しては、アクリル系紫外線重合硬化塗料(例えば、大日
精化:DP−10)、ホスファゼン系紫外線重合硬化塗
料(例えば、出光:PPZ)等を採用することができ
る。
は、アクリル系電子線重合硬化組成物等を採用すること
ができる。有機系耐摩耗熱重合硬化組成物としては、ア
クリル系熱重合硬化塗料、メラミン系熱重合硬化塗料等
を採用することができる。これら有機系耐摩耗光重合硬
化組成物、有機系耐摩耗電子線重合硬化組成物又は有機
系耐摩耗熱重合硬化組成物を含有する未硬化第2転写層
の厚みは、0.1×105 Å以上であることが好まし
い。0.1×105 Å未満の厚みでは、第2転写層の密
着性向上の効果が少ない。
は、シリコン系熱重合硬化塗料(例えば、日本ダクロシ
ャムロック:NP−730、東芝シリコーン:トスガー
ド510)等を採用することができる。シリコン系耐摩
耗熱重合硬化組成物を含有する未硬化第1転写層の厚み
は、0.5×104 〜5×104 (Å)であることが好
ましい。未硬化第2転写層の厚みが5×105 (Å)以
上では硬化時の収縮によるクラック発生しやすく、耐摩
耗性が低下する。また、未硬化第1転写層の厚みが0.
5×104 (Å)以下では均一な塗膜が得られにくく、
耐摩耗性が低下する。
物としては、後述するシランカップリング剤の他、シリ
コーンハードコート剤(例えば、信越化学工業:KP−
64)等を採用することができる。メタクリル基、アク
リル基、エポキシ基、アミノ基及びビニル基の少なくと
も一つの有機系官能基を有するシランカップリング剤と
しては、マクロモレキュラーカップリング剤(例えば、
日本ユニカ−:MMCA)、ポリエステル又はポリエー
テル変性したシラン系レベリング剤(日本ユニカー:L
7602、FZ2110、F−201−01)、エポキ
シ官能性シラン(例えば、信越化学工業:KBM−40
3、KBZ−402、KBE−403)、アクリル官能
性シラン(例えば、信越化学工業:KBM−5102、
KBM−5103)、紫外線硬化型シリコーンハードコ
ート剤(例えば、信越化学工業:X−12−2400)
等を採用することができる。メタクリル基又はアクリル
基を有するシランカップリング剤として例えば、信越化
学工業:KBM−503、KBM−502、KBE−5
02等、ビニル基を有するシランカップリング剤として
例えば信越化学工業:KBE−1003、KBM−10
03、KA−1003等を採用することができる。
製品の用途に応じ、EP(エポキシ)、PC、PMMA
等を採用することができる。
摩耗樹脂製品の表面に転写される第1転写層がシリコン
系耐摩耗熱重合硬化組成物を含有しているため、従来の
転写層のメタクリル系又はアクリル系紫外線硬化塗料と
比較し、耐摩耗樹脂製品の表面に十分な耐摩耗性を付与
することができる。
有機系耐摩耗ラジカル重合硬化組成物を含有する第2転
写層を介し、シリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物を含有
する第1転写層が転写されるため、固化樹脂と第1転写
層との熱膨脹係数の差異等が第2転写層によって緩和さ
れ、第1転写層にクラックが発生しにくい。このため、
耐摩耗樹脂製品に表面に確実に十分な耐摩耗性を付与す
ることができる。
はシロキサン結合が存在するため、第1転写層と第2転
写層とが強固に結合されている。このため、耐摩耗樹脂
製品は、表面の第1転写層が第2転写層と十分に密着
し、シリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物による本来の優
れた耐摩耗性を発揮する。
の第1転写層又は第2転写層を分析することにより確認
できる。本発明の耐摩耗樹脂製品の製造方法では、可撓
性を有する樹脂フィルム上にシリコン系耐摩耗熱重合硬
化組成物およびポリエーテル又はポリエステル変性した
シラン系レベリング剤を含有する未硬化第1転写層を形
成した後、未硬化第1転写層上に有機系耐摩耗ラジカル
重合硬化組成物およびメタクリル基、アクリル基、エポ
キシ基、アミノ基、ビニル基のうち少なくとも一つの有
機系官能基を有するシランカップリング剤および/また
はシラノール基を有するポリシロキサン組成物を含有す
る未硬化第2転写層を形成する。そして、加熱処理によ
り未硬化第1転写層を重合させるとともに、光若しくは
電子線の照射又は加熱処理により未硬化第2転写層を重
合させ、転写用ハードコートフィルムを得る。次いで、
金型のキャビティに第2転写層が内部になるように転写
用ハードコートフィルムを載置した後、キャビティに樹
脂を充填し、樹脂成形体を得る。この樹脂成形体から樹
脂フィルムを剥取することにより、耐摩耗樹脂製品が得
られる。
系耐摩耗熱重合硬化組成物を含有する第1転写層である
ことから、従来の表面がメタクリル系又はアクリル系紫
外線硬化塗料からなる転写層のものと比較し、表面に十
分な耐摩耗性が付与されている。また、耐摩耗樹脂製品
の固化樹脂上には、有機系耐摩耗ラジカル重合硬化組成
物を含有する第2転写層を介し、シリコン系耐摩耗熱重
合硬化組成物を含有する第1転写層が転写されているた
め、固化樹脂と第1転写層との熱膨脹係数の差異等が第
2転写層によって緩和され、第1転写層にクラックが発
生しにくい。このため、耐摩耗樹脂製品は、表面に確実
に十分な耐摩耗性が付与される。
層をさらに重合させると、シリコン系耐摩耗熱重合硬化
組成物がさらに硬化される。また、第1転写層のさらな
る重合により第1転写層と第2転写層とがより強固に結
合される。このため、こうして得られる耐摩耗樹脂製品
では、表面により十分な耐摩耗性が付与される。
り第2転写層をさらに重合させ、有機系耐摩耗ラジカル
重合硬化組成物をさらに硬化させた場合にも、第1転写
層と第2転写層とがより強固に結合される。このため、
こうして得られる耐摩耗樹脂製品においても、表面によ
り十分な耐摩耗性が付与される。未硬化第2転写層にメ
タクリル基、アクリル基、エポキシ基、アミノ基及びビ
ニル基の少なくとも一つの有機系官能基を有するシラン
カップリング剤が含有されるので、未硬化第1転写層上
に有機系耐摩耗熱ラジカル重合硬化組成物を含有する未
硬化第2転写層を形成すれば、未硬化第1転写層にはシ
ランカップリング剤の無機系官能基を介して有機系耐摩
耗熱ラジカル重合硬化組成物を含有する未硬化第2転写
層が被覆される。このとき、有機系官能基は、未硬化第
2転写層又は第2転写層と好適な相溶性を確保する。
を重合させれば、シランカップリング剤のシラノール基
と未硬化第1転写層のシラノール基とが脱水反応により
シロキサン結合され、第1転写層と第2転写層とが強固
に結合する。ここで、メタクリル基又はアクリル基及び
ビニル基の少なくとも一つの有機系官能基を有するシラ
ンカップリング剤を採用した場合には、メタクリル基等
が未硬化第2転写層の内部でラジカル反応により結合
し、第1転写層と第2転写層とがより強固に結合され
る。このため、こうして得られる耐摩耗樹脂製品では、
表面により十分な耐摩耗性が付与される。
有するポリシロキサン組成物が含有されるので、樹脂フ
ィルム上にシリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物を含有す
る未硬化第1転写層を形成し、未硬化第1転写層上に有
機系耐摩耗ラジカル重合硬化組成物を含有する未硬化第
2転写層を形成すれば、耐摩耗ラジカル重合硬化組成物
が有機系のものであるため、ポリシロキサン組成物のシ
ラノール基は未硬化第1転写層側に位置する。
を重合させるとともに、光若しくは電子線の照射又は加
熱処理により未硬化第2転写層を重合させれば、第1転
写層のシラノール基と第2転写層のシラノール基とが脱
水結合反応によりシロキサン結合され、第1転写層と第
2転写層とが強固に結合する。このため、こうして得ら
れる耐摩耗樹脂製品では、表面により十分な耐摩耗性が
付与される。
るポリシロキサン組成物がメタクリル基、アクリル基、
エポキシ基、アミノ基及びビニル基の少なくとも一つの
有機系官能基を有するシランカップリング剤である場合
には、未硬化第2転写層を構成する耐摩耗ラジカル重合
硬化組成物が有機系のものであるため、有機系官能基が
未硬化第2転写層と好適な相溶性を確保する。ここで、
メタクリル基又はアクリル基及びビニル基の少なくとも
一つの有機系官能基を有するシランカップリング剤を採
用した場合には、有機系官能基が二重結合を有するた
め、重合硬化工程時にメタクリル基等が第2転写層の内
部でラジカル反応により結合し、第1転写層と第2転写
層とがより強固に結合される。このため、こうして得ら
れる耐摩耗樹脂製品では、表面により十分な耐摩耗性が
付与される。
ポリシロキサン組成物がシリコン系耐摩耗熱重合硬化組
成物である場合には、未硬化第1転写層を形成するため
のシリコン系耐摩耗熱重合硬化組成物をポリシロキサン
組成物として採用することができるため、特別なポリシ
ロキサン組成物を用意する必要がなく、便利である。ま
た、未硬化第1転写層がポリエーテル又はポリエステル
変性したシラン系レベリング剤を含有するため、未硬化
第2転写層との濡れ性が良くなる。
て、第1重合硬化工程で加熱処理をある程度行うことに
より未硬化第1転写層を予めある程度硬化させた後、未
硬化第2転写層形成工程で未硬化第2転写層を形成する
場合、未硬化第2転写層を形成しやすく、平滑な耐摩耗
樹脂製品が形成される。但し、未硬化第1転写層を予め
ある程度硬化させる場合には、未硬化第1転写層を過剰
に硬化させないようにしなければ、第2転写層との間で
十分な密着が得られなくなるため、留意を要する。
重合硬化工程前、第2重合硬化工程と同時又は第2重合
硬化工程後に、再度第1重合硬化工程を行う場合には、
第1転写層と第2転写層との界面でのシロキサン結合が
促進され、強固に結合される。また、未硬化第1転写層
を重合させるための加熱処理と、未硬化第2転写層を重
合させるための光若しくは電子線の照射又は加熱処理と
を同時期に行なう場合には、形成時間の短縮化を図るこ
とができる。
を具体化したものである。まず、図1(A)に示すよう
に、樹脂フィルム1としてPETフィルム(東レ製:ル
ミナーT60)からなるもの(厚さ38(nm))を用
意する。この樹脂フィルム1を洗浄し、乾燥する。 「未硬化第1転写層形成工程」シリコン系耐摩耗熱重合
硬化組成物として、オルガノシラン系熱硬化型塗料(日
本ダクロシャムロック:NP−730)を用意する。そ
して、図1(B)に示すように、15℃に保持したオル
ガノシラン系熱硬化型塗料をバーコータ(6番)により
樹脂フィルム1上に約3〜4g/m2 塗布し、未硬化第
1転写層2を形成する。 「第1重合硬化工程」これを60〜120℃の乾燥機中
に1〜3分保持することにより、溶剤を乾燥させるとと
もに、未硬化第1転写層2を熱重合で硬化させ、第1転
写層2を形成する。 「未硬化第2転写層形成工程」次いで、有機系耐摩耗ラ
ジカル重合硬化組成物として、メタクリル系又はアクリ
ル系紫外線硬化型塗料(大日精化:DP−10)を用意
する。このメタクリル系又はアクリル系紫外線硬化型塗
料に、高分子タイプのシランカップリング剤(三菱化成
製:MSEP2)を固形分換算で10重量%添加し、混
合液を調製する。そして、図1(C)に示すように、2
0℃に保持した混合液3をバーコータ(6番)により第
1転写層2上に約4g/m2 塗布し、未硬化第2転写層
3を形成する。これを80℃の乾燥機中に1〜5分保持
して溶剤を乾燥させる。 「第2重合硬化工程」次いで、図1(D)に示すよう
に、80w/cm(×2灯)の紫外線照射装置にセット
し、0.5〜3.0m/分の速度で2回、紫外線ランプ
間を通過させる。かかるUVの照射により、未硬化第2
転写層3をラジカル重合で硬化させ、第2転写層3を形
成し、転写用ハードコートフィルムを得る。 「成形工程」図1(E)に示すように、金型4のキャビ
ティ5に第2転写層3が内部になるように転写用ハード
コートフィルムを載置する。
アラルダイトAY103)からなる溶融樹脂6を充填
し、常温で樹脂6を硬化させる。こうして、図1(F)
に示すように、樹脂成形体を得る。 「剥取工程」樹脂成形体の冷却後、図1(G)に示すよ
うに、樹脂成形体から樹脂フィルム1を剥取する。 「第1転写層追加重合硬化工程」100〜120℃の乾
燥機中に60〜90分保持し、第1転写層2をさらに重
合させる。こうして、図1(H)に示す耐摩耗樹脂製品
を得る。 (実施例2)実施例2は請求項1〜9の発明を具体化し
たものである。
ラン系レベリング剤(日本ユニカー:L7602)を用
意する。このシラン系レベリング剤を体積当たり0.5
〜5%で実施例1のオルガノシラン系熱硬化型塗料に添
加する。これにより未硬化第1転写層2を形成する。他
の構成は実施例1と同一である。 (比較例)この比較例では、図2(A)に示すように、
まず実施例1と同種の樹脂フィルム90を用意する。そ
して、図2(B)に示すように、この樹脂フィルム90
上に実施例1と同種のメタクリル系又はアクリル系紫外
線硬化型塗料をバーコータ(6番)を用いて約3〜5g
/m2 塗布し、未硬化転写層91を形成する。この後、
図2(C)に示すように、UVの照射により未硬化転写
層91をある程度硬化させて転写層91とし、転写用ハ
ードコートフィルムを得る。
2のキャビティ93に転写層91が内部になるように転
写用ハードコートフィルムを載置する。そして、キャビ
ティ93に実施例1と同種の樹脂94を充填し、図2
(E)に示すように、樹脂成形体を得る。この後、図2
(F)に示すように、樹脂成形体から樹脂フィルム90
を剥取する。次いで、100〜120℃の乾燥機中に6
0〜90分保持し、転写層91をさらに重合させる。こ
うして、耐摩耗樹脂製品を得る。 (試験1)実施例1、2及び比較例と同様に製造したサ
ンプルの耐摩耗性を評価するため、テーバ摩耗試験を行
った。なお、実施例2のサンプルはポリエーテル変性の
シラン系レベリング剤を1%添加したものであり、実施
例1、2及び比較例の各サンプルは「第1転写層追加重
合硬化工程」の加熱温度が120℃、加熱処理時間が9
0分である。
験試料を載せ、この上に荷重をかけた砥粒入りゴム製の
摩耗輪を2個接触させて転動させるものである。条件
は、以下の通りである。 摩耗輪:CS−10F 荷重:500g 回転数:500回転及び1000回転 ここでは、摩耗試験後において耐摩耗樹脂製品の表面に
形成された摩耗痕による曇り値(ヘイズ値(H))の増
加量を求め、評価した。つまり、所定の荷重で所定の回
数だけ転動させたあと、耐摩耗樹脂製品のヘイズ値を測
定する。なお、ヘイズ値とは、白色光を用いて耐摩耗樹
脂製品の表面の傷による光散乱の率を次式で算出したも
のである。
摩耗樹脂製品の透過光線量、T3 は測定器における拡散
光量、T4 は耐摩耗樹脂製品の拡散透過光量である。こ
の試験では、摩耗輪によりできた摩耗傷が少ないほどヘ
イズ値は低くなる。すなわち、試験前の耐摩耗樹脂製品
のヘイズ値に比較し、試験後の耐摩耗樹脂製品のヘイズ
値の増加量(%)が低いほど耐摩耗性が良好ということ
ができる。結果を表1に示す。
ンプルと比較して、十分な耐摩耗性を確実に発揮できる
ことがわかる。
回転後に第1転写層と第2転写層との間の剥離が観察さ
れ、第1転写層と第2転写層との密着性が十分でなかっ
た。一方、実施例2のサンプルでは、1000回転後に
も第1転写層と第2転写層との間の剥離は観察されず、
第1転写層と第2転写層との密着性が十分であった。こ
れにより、未硬化第1転写層2にシラン系レベリング剤
を添加することにより、第1転写層と第2転写層との密
着性を向上できることがわかる。 (試験2)実施例1における「第1重合硬化工程」の加
熱温度及び加熱処理時間を種々変え、転写用ハードコー
トフィルムの状態を確認した。結果を表2に示す。ここ
で、□は未硬化第1転写層にはじきを生じたことを示
し、△は紫外線照射後に未硬化第1転写層に白濁を生じ
た場合を示し、×は未硬化第1転写層にシワを生じたこ
とを示す。○はこれらが生じなかったことを示し、◎は
特に優れていたことを示す。
製品を製造するためには、「第1重合硬化工程」におい
て、60℃の加熱温度で3分間未満の加熱処理が好まし
いことがわかる。 (試験3)実施例2におけるシラン系レベリング剤を種
々変えるとともに、「第1重合硬化工程」の加熱処理時
間を種々変え、転写用ハードコートフィルムの状態を確
認した。加熱温度は120℃、添加量は0.5%であ
る。結果を表3に示す。ここで、No.1は日本ユニカ
ー:L7602、No.2は日本ユニカー:FZ211
0を示す。また、□は未硬化第1転写層にはじきを生じ
たことを示し、○ははじきが生じなかったことを示す。
件では、シラン系レベリング剤として日本ユニカー:L
7602の採用が好ましいことがわかる。 (試験4)実施例2におけるシラン系レベリング剤を種
々変えるとともに、「第1重合硬化工程」の加熱処理時
間を種々変え、転写用ハードコートフィルムの状態を確
認した。加熱温度は120℃、添加量は1.0%であ
る。結果を表4に示す。ここで、No.1は日本ユニカ
ー:L7602、No.2は日本ユニカー:FZ211
0を示す。また、□は未硬化第1転写層にはじきを生じ
たことを示し、○ははじきが生じなかったことを示す。
件でも、シラン系レベリング剤として日本ユニカー:L
7602の採用が好ましいことがわかる。
ードコートフィルムでは、第1転写層と第2転写層との
界面にシロキサン結合が存在するため、耐摩耗樹脂製品
の表面に十分な耐摩耗性を確実に付与することができ
る。
では、表面において十分な耐摩耗性を確実に発揮できる
耐摩耗樹脂製品を製造することができる。
エステル変性したシラン系レベリング剤を含有するた
め、未硬化第2転写層のハジキやシワを防止でき、平滑
な耐摩耗性樹脂製品が容易に形成でき、相互の転写層と
の密着性も改善できる。また、未硬化第1転写層形成工
程、第1重合硬化工程、未硬化第2転写層形成工程、第
2重合硬化工程を順次行うことで、未硬化第2転写層を
形成しやすく、平滑な耐摩耗樹脂製品を製造することが
できる。
品を形成すれば、優れた耐摩耗性等の効果から、軽量
性、優れた加工性及び優れた成形性の目的で自動車等の
窓に透明樹脂ガラスを使用したり、歯車等の機械要素に
樹脂製品を使用すること等も容易に行ない得る。
工程図である。
程図である。
層(第1転写層) 3…未硬化第2転写層(第2転写層)
Claims (6)
- 【請求項1】可撓性を有する樹脂フィルムと、 該樹脂フィルム上に形成され、シリコン系耐摩耗熱重合
硬化組成物およびポリエーテル又はポリエステル変性し
たシラン系レベリング剤を含有する含有物を硬化した第
1転写層と、 該第1転写層上に形成され、有機系耐摩耗ラジカル重合
硬化組成物およびメタクリル基、アクリル基、エポキシ
基、アミノ基、ビニル基のうち少なくとも一つの有機系
官能基を有するシランカップリング剤および/またはシ
ラノール基を有するポリシロキサン組成物を含有する含
有物を硬化した第2転写層と、 からなり、前記第1転写層と前記第2転写層との界面に
はシロキサン結合が存在することを特徴とする転写用ハ
ードコートフィルム。 - 【請求項2】前記シラノール基を有するポリシロキサン
組成物は、メタクリル基、アクリル基、エポキシ基、ア
ミノ基及びビニル基の少なくとも一つの有機系官能基を
有するシランカップリング剤であることを特徴とする請
求項1記載の転写用ハードコートフィルム。 - 【請求項3】可撓性を有する樹脂フィルム上にシリコン
系耐摩耗熱重合硬化組成物およびポリエーテル又はポリ
エステル変性したシラン系レベリング剤を含有する未硬
化第1転写層を形成する未硬化第1転写層形成工程と、 該未硬化第1転写層上に有機系耐摩耗ラジカル重合硬化
組成物およびメタクリル基、アクリル基、エポキシ基、
アミノ基、ビニル基のうち少なくとも一つの有機系官能
基を有するシランカップリング剤および/またはシラノ
ール基を有するポリシロキサン組成物を含有する未硬化
第2転写層を形成する未硬化第2転写層形成工程と、 加熱処理により該未硬化第1転写層を重合させることに
より第1転写層を形成するとともに、光若しくは電子線
の照射又は加熱処理により該未硬化第2転写層を重合さ
せることにより第2転写層を形成し、転写用ハードコー
トフィルムを得る重合硬化工程と、 金型のキャビティに該第2転写層が内部になるように該
転写用ハードコートフィルムを載置し、該キャビティに
溶融樹脂を充填することにより、樹脂成形体を得る成形
工程と、 該樹脂成形体から該樹脂フィルムを剥取する剥取工程
と、を有することを特徴とする耐摩耗樹脂製品の製造方
法。 - 【請求項4】前記剥取工程後、加熱処理により前記第1
転写層をさらに重合させる第1転写層追加重合硬化工程
を有することを特徴とする請求項3記載の耐摩耗樹脂製
品の製造方法。 - 【請求項5】前記シラノール基を有するポリシロキサン
組成物は、メタクリル基、アクリル基、エポキシ基、ア
ミノ基及びビニル基の少なくとも一つの有機系官能基を
有するシランカップリング剤であることを特徴とする請
求項3記載の耐摩耗樹脂製品の製造方法。 - 【請求項6】前記重合硬化工程は、加熱処理により未硬
化第1転写層を重合させる第1重合硬化工程と、光若し
くは電子線の照射又は加熱処理により未硬化第2転写層
を重合させる第2重合硬化工程とからなり、前記未硬化
第1転写層形成工程、該第1重合硬化工程、前記未硬化
第2転写層形成工程及び該第2重合硬化工程を順次行う
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の耐摩
耗樹脂製品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13576194A JP3376101B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | 転写用ハードコートフィルム及び耐摩耗樹脂製品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13576194A JP3376101B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | 転写用ハードコートフィルム及び耐摩耗樹脂製品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH081720A JPH081720A (ja) | 1996-01-09 |
JP3376101B2 true JP3376101B2 (ja) | 2003-02-10 |
Family
ID=15159254
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13576194A Expired - Lifetime JP3376101B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | 転写用ハードコートフィルム及び耐摩耗樹脂製品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3376101B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5827475B2 (ja) * | 2011-02-15 | 2015-12-02 | グンゼ株式会社 | 光学フィルム用基材及び光学フィルムの製造方法 |
JP6904247B2 (ja) * | 2017-12-28 | 2021-07-14 | 三菱ケミカル株式会社 | 多孔質酸化ケイ素薄膜転写材の製造方法および多孔質酸化ケイ素薄膜付き成形品の製造方法 |
US20220009134A1 (en) * | 2018-12-04 | 2022-01-13 | Harima Chemicals, Incorporated | Hard coating layer-laminated mold resin and method of producing the same |
-
1994
- 1994-06-17 JP JP13576194A patent/JP3376101B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH081720A (ja) | 1996-01-09 |
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