JPH0727795Y2 - 満孔管路押込み用パイプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は既に電力ケーブルが布設されている所謂満孔管
路内に、新たに押込むパイプに関するものである。

（従来の技術及び解決しようとする課題） 電力会社では、通信用伝送路、配電自動化伝送路にペア
ケーブル、同軸ケーブル、光ケーブル等の通信、制御用
ケーブルを張る必要があるが、新たにそれ用の布設管路
を設けることは多大の費用と日時を必要とする。そのた
め、第４図に示すように、既に電力ケーブル（Ｂ）が布
設されている所謂満孔管路（Ａ）の隙間（Ｇ）に、それ
ら通信、制御用ケーブルを挿入することが考えられてい
る。その場合の方法として２つの方法があり、その１つ
は直接上記隙間（Ｇ）内に通信、制御用ケーブルを挿入
する方法であり、他の１つはあらかじめパイプ（Ｃ）を
挿入しておき、後から通信、制御用ケーブルを上記パイ
プ（Ｃ）内に挿入する方法である。本考案は後者に関す
るものである。

このような満孔管路（Ａ）内に挿入するパイプの一例と
して、特願昭63−222751号特開平２−70212号公報が提
案されている。このパイプは第５図に示すように、ステ
ンレス等の金属パイプ（１′）の外周上に、ポリエチレ
ン等のプラスチック被覆（２）を具えており、上記プラ
スチック被覆（２）の外周表面に長さ方向に複数の凸条
（21）が直線状又はらせん状に形成されていて、その横
断面形状は凹凸をなしている。

このパイプは、後から光ファイバケーブルを圧搾空気等
の流体で圧送するため、金属パイプ（１′）は平滑パイ
プで、外径は約6mmφ程度、せいぜい8mm以下である。こ
のようなパイプは、中心のステンレス等の金属パイプ
（１′）の剛性によりパイプ全体の剛性が大きくなり、
又ポリエチレンという硬い材質と歯車形状の横断面を有
する被覆（２）のため摩擦抵抗を低減しており、この２
つの理由で満孔管路内への押込みを可能にしている。さ
らに、直線管路のみでなく、曲がり管路でも適度な曲が
り易さをもっており、それに追随して押込むことが可能
である。

しかし、このようなパイプは、後で中心に挿入する通
信、制御用ケーブルの外径が大きくなると、必然的に中
心の平滑金属パイプ（１′）の径も大きくせざるを得な
くなる。ところが、平滑金属パイプ（１′）径を大きく
すると剛性が大きくなりすぎて曲がらなくなるという問
題点がある。

（課題を解決するための手段） 本考案は上述の問題点を解消した満孔管路押込用パイプ
を提供するもので、その特徴は、長さ方向に波付き加工
を施した金属パイプ上に高密度ポリエチレン被覆を具え
ており、パイプの外径が満孔管路の隙間径の40％以上、
90％以下としたことにある。

（作用） 前述した剛性について種々検討の結果、金属パイプに波
付き加工を施すことによって、適度な剛性が得られるこ
とがわかった。

さらに、種々検討の段階で重要な事実を実験によって見
出した。従来、満孔管路の隙間径が大きい程、又押込み
用パイプ径が小さい程、パイプの押込みが容易と考えら
れていた。又常識的にもその通りと考えられていた。と
ころが、満孔管路の隙間径一杯一杯のパイプの方が押込
み易いということがわかった。それをさらに追求してみ
たところ、パイプの径を満孔管路の隙間径の40％以上で
あるとよいことがわかった。又90％を超えると隙間が小
さ過ぎてよくないこともわかった。

さらに、波付き金属パイプの上に被覆材料としてのポリ
エチレンの材質と形状について実験した結果、高密度ポ
リエチレンがよく、形状は平滑よりも凹凸のある方がよ
いこともわかった。

（実施例） 第１図〜第３図はいずれも本考案の満孔管路押込み用パ
イプの具体例の説明図である。

第１図は、長さ方向に波付（11）加工を施した金属パイ
プ（１）上に、高密度ポリエチレン被覆（２）を具えて
おり、上記高密度ポリエチレン被覆（２）の外周表面に
長さ方向に複数の凸状（21）を直線状又はらせん状に形
成して、表面凹凸となしたものである。

第２図は第１図と同様の金属パイプ（１）の上に、長さ
方向に波付き形状（22）の高密度ポリエチレン被覆
（２）を施してあり、第３図は表面平滑な高密度ポリエ
チレン被覆（２）を施したものである。

（実施例１） 第１表に示す10種類の満孔管押込み用パイプを製作し
た。

これを第６図に示す満孔管路で２人の作業者で、最大10
0kgの力で押し込める最大押込み距離を求めた。満孔管
路は内径125mmの管路（Ａ）に、両端曲がり部を設け、
中にあらかじめ600V CVT3×400mm²（外径約75mm）の電
力ケーブル（Ｂ）を挿入しておき、前記押込み用パイプ
（Ｃ）を押込んだ。この時の満孔管路（Ａ）の間隙径は
約50mmである。結果は第１表の通りである。

上記第１表から、第１図のパイプについてはパイプ外径
／隙間径が40％以上、90％以下の範囲のものは最大押込
み距離が30mを超えており、現場での使用に適している
のに対し、上記の範囲から外れるものは最大押込み距離
が20m以下であり、使用に適さない。一方、本考案によ
らない第５図のものは、外径／隙間径が30％のものは最
大押込み距離が30mに達しているが、パイプ内径が6mmの
ものであり、これに挿通可能な通信、制御ケーブルの種
類は極めて限定される。このように、内径10mmを超える
大口径パイプを、金属パイプとプラスチック被覆との組
合せで構成し、かつ現場での使用に適するものとするに
は、長さ方向に波付加工を施した金属パイプ上に高密度
ポリエチレン被覆を具え、かつパイプ外径が満孔管路の
40％以上、90％以下とする必要があることが分る。

（実施例２） 第２表に示す６種類の本考案の押込み用パイプについ
て、実施例１と同様の方法により最大押込み距離を求め
た。結果は第２表の通りである。

第２表の結果から明らかな通り、最大押込み距離は本考
案実施例の第１図＞第２図＞第３図の順であり、最大押
込み距離は高密度ポリエチレン被覆の形状にも依存する
ことが分る。しかし、第２表の中で最大押込み距離が最
も短かい第３図のパイプでも十分使用に適するレベルに
ある。従って、長さ方向に波付加工を施した金属パイプ
上に高密度ポリエチレンを具え、かつパイプの外径が満
孔管路の隙間径の40％以上、90％以下という条件を満た
しておれば、使用適否に関しては高密度ポリエチレン被
覆の形状に依存しないことが分る。

なお、第２表において、最大押込み距離が高密度ポリエ
チレン被覆の形状に依存するのは、管路及び既設ケーブ
ルと高密度ポリエチレン被覆の表面との摩擦力が高密度
ポリエチレン被覆の形状によって変化するためであり、
この摩擦力が小さい程最大押込み距離は大きくなる。従
って、最大押込み距離を大きくするには、表面の凸割合
が小さければ小さい程よく、それで摩擦力を低減できる
ので、その効果さえあれば、第１図のように断面方向で
あれ、第２図のように長さ方向であってもよい。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の満孔管路押込み用パイプ
によれば、たとえ金属パイプ径が大きくなっても、長さ
方向に波付加工を施した金属パイプ上に高密度ポリエチ
レン被覆を具え、かつパイプ外径が満孔管路の隙間径の
40％以上、90％以下という条件を満たすことによって、
満孔管路への押込みが可能となる。従って、満孔管路内
への通信用ケーブル、制御用ケーブルを新たに施設する
とき利用すると効果的である。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図はいずれも本考案の満孔管路押込み用パ
イプの具体例の説明図である。 第４図は満孔管路への押込みの説明図である。 第５図は既に提案されている満孔管路押込みパイプの説
明図である。 第６図（イ）は本考案の満孔管路押込みパイプの実験例
の説明図、同図（ロ）は満孔管路の断面状態図である。 １…波付き金属管、11…波付き状態、２…プラスチック
被覆層、21…表面凸状、22…長さ方向波付き形状。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 田中 孝 大阪府大阪市此花区島屋１丁目１番３号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 (72)考案者 長谷川 隆章 大阪府大阪市此花区島屋１丁目１番３号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 (72)考案者 不動 弘幸 大阪府大阪市北区中之島３丁目３番22号 関西電力株式会社内 (72)考案者 西村 庄一郎 大阪府大阪市北区中之島３丁目３番22号 関西電力株式会社内 (72)考案者 神津 康之 大阪府大阪市北区中之島３丁目３番22号 関西電力株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】既に電力ケーブルが布設されている満孔管
   路内に押込むパイプにして、長さ方向に波付き加工を施
   した金属パイプ上に高密度ポリエチレン被覆を具えてお
   り、パイプの外径が満孔管路の隙間径の40％以上、90％
   以下としたことを特徴とする満孔管路押込み用パイプ。