JPH07272756A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JPH07272756A
JPH07272756A JP6245987A JP24598794A JPH07272756A JP H07272756 A JPH07272756 A JP H07272756A JP 6245987 A JP6245987 A JP 6245987A JP 24598794 A JP24598794 A JP 24598794A JP H07272756 A JPH07272756 A JP H07272756A
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carbonate
solvent
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secondary battery
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直之 菅野
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 正極材料としてリチウム遷移金属複合酸化物
を用い、負極材料としてリチウムのドープ・脱ドープ可
能な炭素材料を用い、電解液として非水溶媒に電解質を
溶解してなる非水電解液を用いる非水電解液二次電池に
おいて、非水溶媒として環状カーボネートとジアルキル
エステル化合物及び、鎖状カーボネート,アルキル置換
環状エステル化合物又はアルキルエステル化合物より選
ばれる少なくとも一種を混合してなる混合溶媒を用い
る。 【効果】 高温条件下での保存特性,容量保持率に優
れ、使用温度,保存温度を問わず、高エネルギー密度,
長サイクル寿命を発揮する非水電解液二次電池が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非水電解液二次電池に関
し、特に非水溶媒の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラや小型オーディオ機
器、セルラーフォン、マイクロコンピュータ等のポータ
ブル電子機器が次々に出現し、その小型・軽量化が図ら
れる中、それらの電源となる二次電池に対しても容量を
大きく維持したまま小型・軽量化が図れるように高エネ
ルギー密度であることが強く要望されている。
【0003】現在使用されている二次電池のほとんど
は、アルカリ電解液を用いたNi−Cd電池である。し
かし、この電池は、電圧が低く、エネルギー密度を向上
させるのが困難であり、しかも環境保全の観点からも問
題がある。
【0004】そこで、このNi−Cd電池に代わるクリ
ーンでエネルギー密度の高い二次電池の開発が進めら
れ、そのような二次電池として負極活物質としてリチウ
ムを用い、電解液として有機溶媒に電解質を溶解してな
る非水電解液を用いた非水電解液電池が注目されてい
る。この非水電解液電池は、自己放電が少なく、作動電
圧が高く、保存性能が優れる等の特長を有しており、一
次電池仕様では時計,カメラや種々のメモリーバックア
ップ用の電源として広く利用されている。
【0005】このような非水電解液電池を、二次電池仕
様とする場合、正極材料にはMnO2 ,TiS2 ,Mo
3 ,MoS2 ,V2 5 ,WO3 ,Li0.5 Mn
2 ,LiCoO2 ,LiNiO2 ,LiFeO2 等を
用いるが、負極を一次電池仕様と同様に金属リチウムそ
のもので構成すると、充放電サイクルを繰り返したとき
に負極から金属リチウムがデンドライト状に結晶成長し
て正極に接触し、この結果、内部短絡が生じる可能性が
ある。したがって、リチウム金属そのもので負極を構成
するのは無理があり、二次電池仕様化の成否はいかに良
好なサイクル性能を示すリチウム負極を獲得するかにか
かっていると言える。
【0006】そこで、金属リチウムを合金化したリチウ
ム合金やリチウム吸蔵物質で負極を構成する等の各種試
みがなされ、現在のところではLi−CIC(Li-Carbo
n Intercalation Compound) が負極材料として最も有望
視されている。
【0007】Li−CICとは、ある種の炭素材料にリ
チウムをインターカーションした,いわゆるカーボン―
リチウム層間化合物であり、これによって構成された負
極はリチウム塩を含む有機電解液中で電気化学的にリチ
ウムイオンが脱ドープ・ドープされ、それに伴って可逆
的な酸化還元反応を引き起こす。この酸化還元電位は、
約0.02〜1.0V(vsLi/Li+ )の範囲であ
り、適当な正極と組み合わせることでエネルギー密度の
高い非水電解液二次電池を実現する。
【0008】正極材料としては、Lix MO2 (但し、
MはCo,Ni,Mn,Feより選ばれる少なくとも一
種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物の一
種単独あるいは複数種を混合した混合物が適当である。
このリチウム遷移金属複合酸化物と炭素材料よりなる負
極を組み合わせた非水電解液二次電池は、作動電圧が高
く、高いエネルギー密度が得られ、なおかつ1000サ
イクル以上の長サイクル寿命を有し、金属リチウムやリ
チウム合金を用いる非水電解液二次電池に比べて格段に
優れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、負極材料と
して炭素材料を、正極材料としてリチウム遷移金属複合
酸化物を用いる場合、非水溶媒としては高誘電率溶媒で
ある炭酸プロピレン(PC)と低粘度溶媒である1,2
−ジメトキシエタン(DME)の混合溶媒が用いられ、
この混合溶媒に電解質としてLiPF6 を溶解すること
で非水電解液を調製する。この非水電解液を用いると、
3.6Vと非常に高い平均放電電圧が得られ、しかも単
3乾電池サイズで180〜200Wh/l以上の高いエ
ネルギー密度を示す。また、100%の放電深度でも、
常温下であれば1000サイクル以上のサイクル寿命が
得られる。
【0010】ところが、この炭酸プロピレン(PC)と
1,2−ジメトキシエタン(DME)の混合溶媒を用い
る電池では、上述の如く常温下であれば長いサイクル寿
命が得られるものの、45℃以上の高温条件下では充放
電サイクルの進行に伴って急速な容量低下を来たす。例
えば45℃条件下では常温条件下の1/10程度のサイ
クル寿命しか得られない。
【0011】そこで、高温条件下でのサイクル寿命を向
上させるために、DMEの代わりに鎖状カーボネート化
合物を低粘度溶媒に用いることが提案されている。この
PCと鎖状カーボネート化合物の混合溶媒を非水溶媒に
用いる電池では、45℃条件下においても比較的良好な
充放電サイクル寿命が得られる。
【0012】しかし、この電池はさらに60℃以上の高
温条件下、とりわけ80℃以上の高温条件下で充放電を
行ったり保存したりすると容量が大きく低下してしま
う。この容量低下は、電解質として特にLiPF6 を用
いる場合に著しく、LiPF6が高温条件下で不安定化
することが原因しているものと考えられる。
【0013】このため、電解質を安定化するために種々
の添加剤を加える等の工夫も行われているが、添加剤を
添加すると、これによって電池性能が大きく影響を受け
妥当な手法であるとは言えない。
【0014】また、電解質側を安定なものに変えること
も考えられている。電解質としては、LiPF6 の他に
LiAsF6 ,LiClO4 ,LiBF4 ,LiCF3
CO 2 ,LiCF3 SO3 が挙げられるが、このうちL
iAsF6 は安全性の点から、LiClO4 は安定性の
点から問題があり、実用的な使用が可能な電解質として
は、LiBF4 ,LiCF3 CO2 ,LiCF3 SO3
に自ずと選択枝が限られる。
【0015】しかし、このLiBF4 ,LiCF3 CO
2 ,LiCF3 SO3 を電解質に用いると、LiPF6
を用いる場合に比べて、高温条件下使用あるいは保存に
よる容量低下は抑えられるものの、電解液の電導度の方
は低くなる傾向がある。
【0016】例えば、炭酸プロピレンとジアルキルカー
ボネートの混合溶媒にLiBF4 を溶解させた電解液
は、電導度が低く、これを用いた電池に重負荷条件ある
いは低温条件で放電を行うと電池性能の低下が確認され
る。
【0017】また、炭酸プロピレンとγ−ブチロラクト
ンの混合溶媒にLiBF4 を溶解させた電解液において
も、前述の炭酸プロピレンとジアルキルカーボネートの
混合溶媒にLiBF4 を溶解させた電解液に比べれば、
幾分高い電導度が得られるものの不十分であり、やはり
重負荷条件あるいは低温条件下での電池性能の低下は免
れない。
【0018】このように電池の高温条件下での保存特
性、容量維持率を向上させるには高温側で安定性の高い
LiBF4 ,LiCF3 CO2 ,LiCF3 SO3 を電
解質に用いることが望ましいが、それには電導度を高め
るための非水溶媒系の検討が必要である。
【0019】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、高温条件下での保存特
性,容量保持率に優れるとともに、重負荷条件あるいは
低温条件においても良好な電池性能を発揮する非水電解
液二次電池を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の非水電解液二次電池は、正極材料として
リチウム遷移金属複合酸化物を用い、負極材料としてリ
チウムのドープ・脱ドープ可能な炭素材料を用い、電解
液として非水溶媒に電解質を溶解してなる非水電解液を
用いる非水電解液二次電池において、非水溶媒が、環状
カーボネートとジアルキルエステル化合物及び、鎖状カ
ーボネート,アルキル置換環状エステル化合物又はアル
キルエステル化合物から選ばれる少なくとも一種を混合
してなる混合溶媒であることを特徴とするものである。
【0021】また、ジアルキルエステル化合物は、ジ酢
酸エステル化合物であることを特徴とするものである。
【0022】さらに、非水溶媒は、環状カーボネートと
ジアルキルエステル化合物及びアルキル置換環状エステ
ル化合物を混合してなる混合溶媒であり、環状カーボネ
ートが30〜60容量%、ジアルキルエステル化合物が
10〜30容量%、アルキル置換環状エステル化合物が
20〜40容量%なる混合率であることを特徴とするも
のである。
【0023】さらに、非水溶媒は、環状カーボネートと
ジアルキルエステル化合物及び鎖状カーボネートを混合
してなる混合溶媒であり、環状カーボネートが30〜6
0容量%、アルキルエステル化合物が10〜30容量
%、鎖状カーボネートが20〜40容量%なる混合率で
あることを特徴とするものである。
【0024】さらに、ジアルキルエステル化合物がジ酢
酸エチレングリコールであり、鎖状カーボネートがジメ
チルカーボネートであることを特徴とするものである。
【0025】さらに、電解液の電解質がLiBF4 ,L
iCF3 SO3 またはLiCF3 CO2 のいずれかであ
ることを特徴とするものである。
【0026】さらに、非水溶媒は、環状カーボネートと
ジアルキルエステル化合物及びアルキルエステル化合物
を混合してなる混合溶媒であり、環状カーボネートが3
0〜60容量%、ジアルキルエステル化合物が10〜3
0容量%、アルキルエステル化合物が20〜40容量%
なる混合率であることを特徴とするものである。
【0027】本発明は、リチウムと遷移金属との複合酸
化物よりなる正極と、リチウムをドープ・脱ドープ可能
な炭素材料よりなる負極と、非水溶媒に電解質を溶解し
てなる非水電解液を有してなる,非水電解液二次電池に
適用される。
【0028】本発明では、このような非水電解液二次電
池の、高温条件下での保存特性,容量保持率の向上を図
るとともに重負荷条件あるいは低温条件での電池性能の
改善を目的として、非水溶媒として環状カーボネートと
ジアルキルエステル化合物及び、鎖状カーボネート,ア
ルキル置換環状エステル化合物又はアルキルエステル化
合物から選ばれる少なくとも一種を混合してなる混合溶
媒を用いることとする。この混合溶媒を用いる電解液で
は、高温条件下で充放電あるいは保存したときに電解質
の不安定化が抑えられ、これが起因する容量低下が抑え
られる。したがって、例えばLiPF6 のように比較的
安定性が低い電解質を用いた場合でも、高温条件下で充
放電あるいは保存した後に高容量が維持できる。
【0029】また、この混合溶媒中では、電解質が高い
電導度を発揮でき、例えばLiBF4 のように安定性は
高いが比較的電導度の低い電解質を用いた場合でも十分
な電池性能が得られる。したがって、電池性能と高温条
件下での保存特性,容量保持率の両立が可能となる。
【0030】ここで、非水溶媒に混合される環状カーボ
ネートは、化1の一般式で示されるものであり、例えば
RにH,CH3 ,C2 5 が導入されたエチレンカーボ
ネート,プロピレンカーボネート,ブチレンカーボネー
ト等が挙げられる。これら環状カーボネートは、いずれ
も高い誘電率を有している。
【0031】
【化1】
【0032】この高誘電率溶媒である環状カーボネート
とともに非水溶媒を構成するジアルキルエステル化合物
及び鎖状カーボネート,アルキル置換環状エステル化合
物,アルキルエステル化合物は、非水電解液の電導度を
高めるとともに、高温条件下での保存特性,容量保持率
等を改善するために添加されるものであり、以下に示す
ものが挙げられる。
【0033】まず、ジアルキルエステル化合物として
は、シュウ酸ジメチル,シュウ酸ジエチル,シュウ酸ジ
プロピル,マロン酸ジメチル,マロン酸ジエチル,マロ
ン酸ジプロピル,メチルエチルマロネート,メチルプロ
ピルマロネート,コハク酸ジメチル,コハク酸ジエチ
ル,コハク酸ジプロピル,コハク酸メチルエチル,グル
タル酸ジメチル,グルタル酸ジエチル,アジピン酸ジメ
チル,アジピン酸ジエチル,アジピン酸−2−エチルヘ
キシル,ピメル酸ジメチル,ピメル酸ジエチル,セバシ
ン酸ジメチル,セバシン酸ジエチル等が挙げられる。こ
のうちマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸
ジメチル、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グ
ルタル酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジ
エチル、ピメル酸ジメチル、ピメル酸ジエチル、セバシ
ン酸ジメチル、セバシン酸ジエチルは、溶液粘度が低
く、低温における溶液性能に優れている。
【0034】この他、ジアルキルエステル化合物として
は、ジ酢酸メチレングリコール,ジ酢酸エチレングリコ
ール,ジ酢酸プロピレングリコール,ジ酢酸ブチレング
リコール等や、ジ酢酸ジエチレングリコール、ジ酢酸ト
リエチレングリコール、ジ酢酸ジプロピレングリコー
ル、ジ酢酸トリプロピレングリコール等のジ酢酸エステ
ル化合物のようなグリコールエステル化合物も使用でき
る。この中ではジ酢酸メチレングリコール、ジ酢酸エチ
レングリコールが好ましい。
【0035】これらジ酢酸エステル化合物は、エチレン
グリコールもしくはプロピレングリコールと酢酸という
極めて一般的な原料で合成できる。このため、他のジア
ルキルエステル化合物、例えばシュウ酸ジメチルやシュ
ウ酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、
マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等に比べて安価に
入手できる。また、ジ酢酸エステル化合物は、他のジア
ルキルエステル化合物と比べて、粘度が低く、高い沸点
を有し、凝固点も比較的低い。このような特性からも非
水電解液二次電池用の非水溶媒として適していると言え
る。なお、現在の工業的な製造においてはエチレングリ
コールのタイプのジ酢酸エステル化合物が主となってい
るが、今後、ジ酢酸プロピレングリコール、ジ酢酸ブチ
レングリコールのようなプロピレングリコールやブタン
ジオールを原料とするジ酢酸エステル化合物の使用も期
待できると考えられる。
【0036】なお、アルキルエステル化合物であって
も、トリ酢酸グリセリンやトリプロピオン酸グリセリン
等のトリアリキルエステル化合物は、粘度が高く、電解
液の非水溶媒として不適当である。
【0037】また、アルキルエステル化合物は、化2の
一般式で表されるものであり、例えば、R1 ,R2 にC
3 ,C2 5 ,C3 7 ,C4 9 が導入された酢酸
ブチル,酢酸ペンチル,酢酸−2−エチルヘキシル,プ
ロピオン酸エチル,プロピオン酸プロピル,プロピオン
酸ブチル,プロピオン酸−2−エチルヘキシル,酪酸エ
チル,酪酸プロピル,酪酸ブチル,酪酸−2−エチルヘ
キシル等が挙げられる。
【0038】
【化2】
【0039】鎖状カーボネートとしては、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボ
ネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカー
ボネート、エチルプロピルカーボネート等のジアルキル
カーボネート等が挙げられ、特にジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネー
ト、とりわけジメチルカーボネートが好ましい。
【0040】アルキル置換環状エステル化合物は、化3
の一般式で示されるものであり、例えばRにCH3 ,C
2 5 ,C3 7 が導入されたγ−バレロラクトン、γ
−カプロラクトン、δ−ヘキサノラクトン、δ−オクタ
ノラクトン等が使用できる。溶液粘度や低温における溶
液性能を考慮すると、γ−バレロラクトン、γ−カプロ
ラクトンが好ましい。
【0041】
【化3】
【0042】これら溶媒は、環状カーボネートとジアル
キルエステル化合物及び鎖状カーボネートの組み合わ
せ、又は環状カーボネートとジアルキルエステル化合物
及びアルキル置換環状エステル化合物の組み合わせ、あ
るいは環状カーボネートとジアルキルエステル化合物及
びアルキルエステル化合物の組み合わせで電池の非水溶
媒として用いられる。
【0043】ここで、いずれの組み合わせの場合にも、
環状カーボネートは30〜60容量%,ジアルキルエス
テル化合物は10〜30容量%の混合率で混合すること
が好ましい。
【0044】環状カーボネートの上記混合率は、環状カ
ーボネートによる誘電率の確保と他の溶媒による特性改
善効果の兼ね合いから設定されたものである。すなわ
ち、環状カーボネートの混合率が30容量%未満である
場合には、非水電解液の誘電率を十分に高めることがで
きない。60容量%を超えると、電導度,高温環境下で
の特性を改善するために添加する他の溶媒の割合が小さ
くなることから、これら溶媒の効果を十分に得ることが
できない。
【0045】ジアルキルエステル化合物は、主に電解液
の電導度の向上のために混合されるものである。このジ
アルキルエステル化合物の混合率が10容量%未満の場
合には、この効果を十分に得ることができず、充放電特
性が不十分であったり、重負荷放電や高温保存に際して
放電容量の低下を来す。
【0046】環状カーボネートとアルキルエステル化合
物は、上述の如く鎖状カーボネート,アルキル置換環状
エステル化合物又はアルキルエステル化合物から選ばれ
る少なくとも一種と組み合わせて用いられる。これら化
合物もまた電導度を向上させ、さらには高温条件下での
保存特性,容量保持率の改善を目的として添加されるも
のであり、いずれも20〜40容量%なる割合で混合す
ることが好ましい。
【0047】鎖状カーボネート,アルキル置換環状エス
テル化合物又はアルキルエステル化合物の混合率が上記
範囲を下回る場合には、電導度、高温条件下での保存特
性,容量保持率を十分に改善することができない。アル
キル置換環状エステルの混合率が上記範囲を上回る場合
には、電解液の粘度が高くなり、重負荷放電条件で電池
容量が不足する。アルキルエステル化合物の混合率が上
記範囲を上回ると、電池を高い電圧状態で高温条件下に
曝した場合に電池性能,特に電池容量が低下する。
【0048】以上のように環状カーボネートとジアルキ
ルエステル及び、鎖状カーボネート,アルキル置換環状
エステル化合物又はアルキルエステル化合物より選ばれ
る少なくとも一種を適正量で混合した混合溶媒を用いる
と、高温条件下において電解質が安定に存在でき、しか
も電導度の高い電解液が得られる。なお、非水溶媒とし
ては、環状カーボネート、ジ酢酸エステル化合物、ジメ
チルカーボネートの組み合わせの混合溶媒が好適であ
る。
【0049】これら非水溶媒に溶解する電解質として
は、高温で比較的安定に存在できることからLiAsF
6 ,LiBF4 ,LiCF3 CO2 ,LiCF3 SO3
が適当であり、特にLiBF4 ,LiCF3 CO2 ,L
iCF3 SO3 が安全性,安定性に優れ実用電池を設計
する上で有用である。電解質にはLiPF6 も使用可能
であるが、安定性が低いことから温度が60℃を超える
ような機器に組み込む電池には使用を避ける方が望まし
い。なお、電解質の電解液中の濃度は0.5〜1.5m
ol/dm3 、好ましくは0.7〜1.2mol/dm
3 が良い。
【0050】以上のような非水溶媒を用いる非水電解液
二次電池において、負極を構成する炭素材料としては、
通常、この種の電池に用いられるものがいずれも使用で
きる。例えば、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電
性ポリマー、あるいはコークス、ポリマー炭、カーボン
・ファイバー等の他、単位体積当りのエネルギー密度が
大きい点から、熱分解炭素類、コークス類(石油コーク
ス、ピッチコークス、石炭コークス等)、カーボンブラ
ック(アセチレンブラック等)、ガラス状炭素、有機高
分子材料焼成体(有機高分子材料を500℃以上の適当
な温度で不活性ガス気流中、あるいは真空中で焼成した
もの)、炭素繊維等が好ましい。
【0051】一方、正極を構成する材料としては、Li
x MO2 (但し、MはCo,Ni,Mnの少なくとも一
種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物,す
なわちLiCoO2 ,LiNiO2 ,LiNiy Co
1-y 2 ,Li0.5 MnO2 ,LiMnO2 等が一種単
独あるいは複数種を混合して用いられる。
【0052】
【作用】正極材料としてリチウムと遷移金属との複合酸
化物を用い、負極材料としてリチウムをドープ・脱ドー
プ可能な炭素材料を用い、電解液として非水溶媒に電解
質を溶解してなる非水電解液を用いる非水電解液二次電
池において、非水溶媒として、環状カーボネートとジア
ルキルエステル化合物及び、アルキル置換環状エステル
化合物,鎖状カーボネート又はアルキルエステル化合物
から選ばれる少なくとも一種の混合溶媒を用いると、電
解液の電導度が高まって重負荷放電条件下あるいは低温
放電条件下における充放電サイクル性能が向上する。ま
た、高温条件下において電解質の安定性が改善され、6
0℃以上の高温条件下で充放電あるいは保存したときに
生じる容量低下が抑えられる。
【0053】まず、電解液の電導度が高まるのは、環状
カーボネートのアルキル鎖が、アルキル置換環状エステ
ルやアルキルエステルと混合されることにより動き易い
状態になり、これにより電解質の解離や電解質イオンの
移動がスムーズになるからと考えられる。また、ジアル
キルエステルのエステル結合に、電解質イオンが近接し
てイオン会合体が形成され、このことが電導度の向上に
有利に作用するからと推測される。
【0054】特に、ジアルキルカーボネートのなかで最
も分子形状の小さいジメチルカーボネートを用いると、
例えば電解質がLiBF4 である場合にも、高い電導度
が得られ、重負荷放電条件や低温放電条件で生じる容量
低下が抑えられるようになる。これは、分子形状の小さ
いジメチルカーボネートは、環状カーボネートと、2つ
のエステル結合によって比較的自由度のあるジアルキル
エステル(例えば、ジ酢酸エステル)とともに、4面体
の分子構造をとっているものと推測されるBF4 + イオ
ンに対して溶媒和するのに、適した大きさであるからと
考えられる。
【0055】また、高温条件下での保存特性,容量保持
率が改善されるのは以下の理由によるものと考えられ
る。
【0056】すなわち、従来の非水電解液二次電池にお
いて、高温条件下での電解質の不安定化は、電池電圧が
4V以上の高い電圧状態で保持されることと、ジメトキ
シエタン等の溶媒が沸騰したときの蒸気圧によって電池
内部圧力が上昇することで促進されるものと考えられ
る。
【0057】一方、環状カーボネートとジアルキルエス
テル化合物及び、鎖状カーボネート,アルキル置換環状
エステル化合物又はアルキルエステル化合物よりなる混
合溶媒は、沸点が高いことから、60℃程度の温度では
沸騰せず蒸気圧を生じない。特に、アルキルエステル化
合物としてジ酢酸エチレングリコールを用いると、この
ジ酢酸エチレングリコールは、高い沸点を有することか
ら蒸気圧の上昇を効果的に抑える。
【0058】また、環状カーボネート,アルキル置換環
状エステル化合物はいずれも環状化合物であることから
4V以上の高い電圧状態でも比較的安定である。
【0059】したがって、このような混合溶媒を非水溶
媒に使用する電池では、高温条件下においても電解質が
不安定化せず、優れた保存特性,容量保持率を発揮す
る。
【0060】さらに、この混合溶媒は、引火温度が高
く、安全性確保の点でも有利である。とりわけ、ジ酢酸
エチレングリコールのようなジ酢酸エステルは引火温度
を高め、電池に大きな安全性を付与できる。
【0061】
【実施例】本発明の好適な実施例について実験結果に基
づいて説明する。
【0062】実施例1 本実施例では、図1に示す構成の非水電解液二次電池を
以下のようにして作成した。
【0063】まず、負極1を次のようにして作製した。
【0064】出発原料として石油ピッチを用い、これを
酸素を含む官能基を10〜20%導入(いわゆる酸素架
橋)した後、不活性ガス気流中、温度1000℃で熱処
理してガラス状炭素に近い性質を持った炭素材料を得
た。この材料についてX線解析測定を行った結果、(0
02)面の面間隔は3.76オングストロームであっ
た。この材料を粉砕し、平均粒子径20μmの炭素材料
粉末とした。
【0065】このようにして得た炭素材料粉末を負極活
物質とし、これの90重量部と結着剤としてポリフッ化
ビニリデン(PVDF)10重量部を混合し、負極合剤
を調製した。そして、この負極合剤を分散溶剤としてN
−メチル−2−ピロリドンに分散させ、負極合剤スラリ
ーとした。
【0066】負極集電体9となる厚さ10μmの帯状の
銅箔の両面に、この負極合剤スラリーを均一に塗布し、
乾燥させた後、ロールプレス機で圧縮成形することで帯
状負極1を作製した。
【0067】次に正極2を以下のようにして作製した。
【0068】炭素リチウム0.5モルと炭酸コバルト1
モルを混合し、空気中、温度900℃で5時間焼成して
LiCoO2 を得た。
【0069】このLiCoO2 91重量部を、導電剤と
してグラファイト6重量部,結着剤としてポリフッ化ビ
ニリデン3重量部と混合し、正極合剤を調製した。そし
て、この正極合剤を分散溶剤としてN−メチル−2−ピ
ロリドンに分散させ、正極合剤スラリーとした。正極集
電体10となる厚さ20μmの帯状アルミニウム箔の両
面に、この正極合剤スラリーを均一に塗布し、乾燥させ
た後、ロールプレス機で圧縮成形することで帯状正極2
を作成した。
【0070】以上のようにして作製された帯状負極1と
帯状正極2を、厚さ25μmの微孔性ポリプロピレンフ
ィルムより成るセパレータ3を介して、負極1、セパレ
ータ3、正極2、セパレータ3の順序に積層してから、
この積層体を渦巻き状に多数回巻回することによって、
図1に示すような渦巻式電極素子を作製した。
【0071】この渦巻式電極素子を、ニッケルメッキを
施した鉄製容器5に収容し、該渦巻式電極素子上下両面
に絶縁板4を配置した。そして、アルミニウム製正極リ
ード12を正極集電体10から導出して電池蓋7に、ニ
ッケル製負極リード11を負極集電体9から導出して電
池缶5に溶接した。
【0072】次に、この電池缶5の中に炭酸プロピレン
(PC)50容量%と炭酸ジエチル(DEC)30容量
%及びジ酢酸エチレングリコール(DAcE)20容量
%を混合した溶媒中にLiBF4 を1モル/lなる割合
で溶解させた電解液を注入した。
【0073】そして、アスファルトを塗布した絶縁封口
ガスケット6を介して電池缶5をかしめることで電池蓋
7を固定し、直径18mm,高さ65mmの円筒型非水
電解液二次電池を作製した。
【0074】実施例2〜実施例19 電解液として、表1および表2に示す組成の非水溶媒に
LiBF4 が1mol/lなる濃度で溶解されたものを
用いること以外は実施例1と同様にして非水電解液二次
電池を作製した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】但し、PC:炭酸プロピレン DEC:ジエチルカーボネート DMC:ジメチルカーボネート DAcE:ジ酢酸エチレングリコール γ−VL:γ−バレロラクトン γ−CapL:γ−カプロラクトン γ−BL:γ−ブチロラクトン比較例1〜比較例6 電解液として、表3に示すように所定の組成と異なる非
水溶媒にLiBF4 が1mol/lなる濃度で溶解され
たものを用いること以外は実施例1と同様にして非水電
解液二次電池を作製した。
【0078】
【表3】
【0079】但し、PC:炭酸プロピレン DEC:ジエチルカーボネート DMC:ジメチルカーボネート DAcE:ジ酢酸エチレングリコール γ−VL:γ−バレロラクトン EB:酢酸エチル TAcG:トリアセチルグリセリン実施例20,実施例21 電解液として、表4に示す組成の非水溶媒にLiPF6
が1mol/lなる濃度で溶解されたものを用いること
以外は実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製
した。
【0080】比較例7 電解液として、表4に示すように所定の組成と異なる非
水溶媒にLiPF6 が1mol/lなる濃度で溶解され
たものを用いること以外は実施例1と同様にして非水電
解液二次電池を作製した。
【0081】
【表4】
【0082】但し、PC:炭酸プロピレン DEC:ジエチルカーボネート DAcE:ジ酢酸エチレングリコール γ−CapL:γ−カプロラクトン <高温条件下での保存特性,容量維持率の検討>以上の
ようにして作製された非水電解液二次電池について、室
温下、充電電流1A,上限電圧4.2Vなる条件で充電
を2.5時間行い、次に抵抗6Ω,終止電圧2.5Vな
る条件で放電を行うといった充放電サイクルを10回繰
り返した後、さらに充電を1回行い、この11回目の充
電状態の電池を、温度85℃下に4週間放置した。そし
て、放置後、再び上述の充放電サイクルを行い、放電容
量を測定した。放置前の放電容量(11サイクル目の放
電容量)及び放置後の残存容量(12サイクル目の放電
容量),回復容量(13サイクル目の放電容量)を表5
〜表9に示す。また、保存日数と容量保持率の関係を図
2〜図5に示す。
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】表5〜表8及び図2〜図4は電解質として
LiBF4 を用いた電池の測定結果を示すものである。
【0089】この測定結果を見てわかるように、非水溶
媒として環状カーボネートとジアルキルエステル化合物
及び鎖状カーボネートの混合溶媒を用いた実施例1〜実
施例11の電池,環状カーボネートとジアルキルエステ
ル化合物及びアルキル置換環状エステル化合物の混合溶
媒を用いた実施例12〜実施例18の電池,非水溶媒と
して環状カーボネートとジアルキルエステル化合物及び
アルキルエステル化合物の混合溶媒を用いた実施例19
の電池は、環状カーボネートと鎖状カーボネートのみよ
りなる混合溶媒を用いた比較例1,比較例2の電池,環
状カーボネートとジアルキルエステル化合物のみよりな
る混合溶媒を用いた比較例3の電池,ジアルキルエステ
ル化合物とアルキル置換環状エステル化合物のみよりな
る混合溶媒を用いた比較例4の電池に比べて放置後の残
存容量、容量保持率が大きな値になっている。
【0090】このことから、環状カーボネートとジアル
キルエステル化合物及び、鎖状カーボネート,アルキル
置換環状エステル化合物又はアルキルエステル化合物か
ら選ばれる少なくとも一種の3種類の化合物を混合した
混合溶媒を非水溶媒に用いることは、電池の高温条件下
における保存特性,容量保持率を改善する上で有効であ
ることがわかる。
【0091】また、実施例1〜実施例19の測定結果と
比較例5,比較例6の測定結果を比較すると、比較例5
の電池では環状カーボネートとアルキルエステル化合物
及びアルキル置換環状エステル化合物の3種類の化合物
で非水溶媒を構成し、比較例6の電池では環状カーボネ
ートとトリアルキルエステル化合物及びアルキル置換環
状エステル化合物の3種類の化合物で非水溶媒を構成し
ているが、いずれの電池も保存後の残存容量、容量保持
率が小さい。
【0092】このことから、環状カーボネート及び、鎖
状カーボネート,アルキル置換環状エステル化合物又は
アルキルエステル化合物から選ばれる少なくとも一種と
組み合わせるエステル化合物としては、2つのアルキル
基を有するジアルキルエステルが適当であることがわか
る。
【0093】一方、電解質としてLiPF6 を用いた電
池の測定結果である表9及び図5を見ると、この場合も
同様に、非水溶媒として環状カーボネートとジアルキル
エステル化合物及び鎖状カーボネートの混合溶媒を用い
た実施例20の電池、環状カーボネートとアルキル置換
環状エステル及びジアルキルエステル化合物を用いた実
施例21の電池は、環状カーボネートと鎖状カーボネー
トのみよりなる混合溶媒を用いた比較例7に比べて放置
後の残存容量,容量保持率が大きな値になっている。こ
の差は、電解質としてLiBF4 を用いた場合よりも顕
著である。
【0094】このことから、電解質としてLiBF4
用いる場合に限らずLiPF6 を用いる場合にも同様
に、環状カーボネートとジアルキルエステル化合物及
び、鎖状カーボネート,アルキル置換環状エステル化合
物又はアルキルエステル化合物から選ばれる少なくとも
一種の3種類の化合物を混合した混合溶媒を非水溶媒に
用いることは、電池の高温条件下における保存特性,容
量保持率を改善する上で極めて有効であることがわか
る。
【0095】<重負荷放電性能の検討>上述の検討に用
いたのとは別の電池について、上述と同様の条件で充放
電サイクルを10回と、さらに充電を1回行った。その
後、各種放電電流で下限電圧2.5Vまで放電させ、放
電容量を測定した。放電電流は0.1A,0.5A,
1.0A,2.0Aである。放電電流と放電容量の関係
を図6,図7に示す。
【0096】図6,図7からわかるように、非水溶媒と
して所定の3種類の化合物よりなる混合溶媒を用いた実
施例の電池は、比較例に比べて放電電流に依存した放電
容量の低下が小さい。特に、PCとDMC及びDAcE
の混合溶媒を用いた実施例5〜実施例11の電池は、放
電電流を2.0Aまで上昇させても800mAh以上の
大きな放電容量が得られる。
【0097】このことから、環状カーボネートとジアル
キルエステル化合物及び、鎖状カーボネート,アルキル
置換環状エステル化合物又はアルキルエステル化合物か
ら選ばれる少なくとも一種の3種類の化合物を混合した
混合溶媒を非水溶媒に用いると、高温条件下における保
存特性,容量保持率が向上するとともに重負荷放電性能
も改善されることがわかった。さらに、重負荷放電性能
の改善には、PCとDMC及びDAcEの混合溶媒が最
適であることがわかった。
【0098】<サイクル特性の検討>上述の検討に用い
たのとは別の電池について、室温下、充電電流1A,上
限電圧4.2Vなる条件で充電を2.5時間行い、次に
抵抗6Ω,終止電圧2.5Vなる条件で放電を行うとい
った充放電サイクルを繰り返し行い、サイクル数と放電
容量の関係を調べた。サイクル数と放電容量の関係を図
8〜図12に示す。
【0099】図8〜図12からわかるように、所定の3
種類の化合物よりなる非水溶媒を用いた実施例1〜実施
例21の電池は、いずれもサイクル数の進行に伴った容
量低下が小さく、十分実用的なサイクル特性が得られ
る。
【0100】このことから、環状カーボネートとジアル
キルエステル及び、鎖状カーボネート,アルキル置換環
状エステル又はアルキルエステル化合物から選ばれる少
なくとも一種の混合溶媒を電池の非水溶媒を用いること
は、サイクル特性を劣化させることなく、高温条件下で
の保存特性,容量保持率および重負荷放電性能を改善す
ることができ、電池の性能をトータルに改善する上で極
めて優れた手法であると言える。
【0101】<非水溶媒の混合比の検討>非水溶媒のう
ちPCとDMC及びDAcEの混合溶媒(PC−DMC
−DAcE系溶媒)と、PCとDEC及びDAcEの混
合溶媒(PC−DMC−DAcE系溶媒)の混合比を表
10に示すように各種変化させ、これら混合溶媒を用い
て非水電解液二次電池を作製した。
【0102】
【表10】
【0103】そして、作製された非水電解液二次電池に
ついて、同様にして高温条件下での保存特性,容量保持
率、重負荷放電性能及びサイクル特性を調べた。高温条
件下放置前の放電容量及び放置後の残留容量,回復容量
を表11に、保存日数と放電容量の関係を図13,図1
4に示す。また、放電電流と放電容量の関係を図15
に、サイクル数と放電容量の関係を図16,図17に示
す。
【0104】
【表11】
【0105】図13〜図17と上述の実施例系のデータ
を比較すると、高温条件下での保存特性,容量維持率及
び重負荷放電性能、サイクル特性は、非水溶媒の混合比
によって異なることがわかる。
【0106】そして、PC−DEC−DAcE系溶媒、
PC−DMC−DAcE系溶媒のいずれの場合にも、環
状カーボネート(PC)が30〜60容量%,ジアルキ
ルエステル(DAcE)が10〜30容量%,その他の
溶媒(DEC又はDMC)が20〜40容量%の範囲を
外れると、良好な特性が得難くなることがわかった。
【0107】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の非水電解液二次電池では、非水溶媒として環状カー
ボネートとジアルキルエステル化合物及び、鎖状カーボ
ネート,アルキル置換環状エステル化合物又はアルキル
エステル化合物より選ばれる少なくとも一種を混合して
なる混合溶媒を用いるので、高温条件下での保存特性,
容量保持率及び重負荷放電性能に優れ、使用温度,保存
温度を問わず、高エネルギー密度,長サイクル寿命を維
持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した非水電解液二次電池の構成を
示す縦断面図である。
【図2】電解質としてLiBF4 を用いた電池の温度8
5℃下での保存日数と容量保持率の関係を示す特性図で
ある。
【図3】電解質としてLiBF4 を用いた電池の温度8
5℃下での保存日数と容量保持率の関係を示す特性図で
ある。
【図4】電解質としてLiBF4 を用いた電池の温度8
5℃下での保存日数と容量保持率の関係を示す特性図で
ある。
【図5】電解質としてLiPF6 を用いた電池の温度8
5℃下での保存日数と容量保持率の関係を示す特性図で
ある。
【図6】電解質としてLiBF4 を用いた電池の放電電
流と放電容量の関係を示す特性図である。
【図7】電解質としてLiBF4 を用いた電池の放電電
流と放電容量の関係を示す特性図である。
【図8】電解質としてLiBF4 を用いた電池のサイク
ル数と放電容量の関係を示す特性図である。
【図9】電解質としてLiBF4 を用いた電池のサイク
ル数と放電容量の関係を示す特性図である。
【図10】電解質としてLiBF4 を用いた電池のサイ
クル数と放電容量の関係を示す特性図である。
【図11】電解質としてLiBF4 を用いた電池のサイ
クル数と放電容量の関係を示す特性図である。
【図12】電解質としてLiPF6 を用いた電池のサイ
クル数と放電容量の関係を示す特性図である。
【図13】PC+DAcE+DMC系溶媒を用いた電池
において、溶媒の混合比を適正範囲から外した場合の保
存日数と放電容量の関係を示す特性図である。
【図14】PC+DAcE+DMC系溶媒を用いた電池
において、溶媒の混合比を適正範囲から外した場合の保
存日数と放電容量の関係を示す特性図である。
【図15】PC+DAcE+DMC系溶媒を用いた電池
において、溶媒の混合比を適正範囲から外した場合の放
電電流と放電容量の関係を示す特性図である。
【図16】PC+DAcE+DMC系溶媒を用いた電池
において、溶媒の混合比を適正範囲から外した場合のサ
イクル数と放電容量の関係を示す特性図である。
【図17】PC+DAcE+DMC系溶媒を用いた電池
において、溶媒の混合比を適正範囲から外した場合のサ
イクル数と放電容量の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 負極 2 正極 3 セパレータ 4 絶縁板 5 電池缶 6 封口ガスケット 7 電池蓋 8 安全弁装置 9 負極集電体 10 正極集電体 11 負極リード 12 正極リード

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極材料としてリチウム遷移金属複合酸
    化物を用い、負極材料としてリチウムのドープ・脱ドー
    プ可能な炭素材料を用い、電解液として非水溶媒に電解
    質を溶解してなる非水電解液を用いる非水電解液二次電
    池において、 非水溶媒が、環状カーボネートとジアルキルエステル化
    合物及び、鎖状カーボネート,アルキル置換環状エステ
    ル化合物又はアルキルエステル化合物より選ばれる少な
    くとも一種を混合してなる混合溶媒であることを特徴と
    する非水電解液二次電池。
  2. 【請求項2】 ジアルキルエステル化合物は、ジ酢酸エ
    ステル化合物であることを特徴とする請求項1記載の非
    水電解液二次電池。
  3. 【請求項3】 非水溶媒は、環状カーボネートとジアル
    キルエステル化合物及びアルキル置換環状エステル化合
    物を混合してなる混合溶媒であり、環状カーボネートが
    30〜60容量%、ジアルキルエステル化合物が10〜
    30容量%、アルキル置換環状エステル化合物が20〜
    40容量%なる混合率であることを特徴とする請求項1
    記載の非水電解液二次電池。
  4. 【請求項4】 非水溶媒は、環状カーボネートとジアル
    キルエステル化合物及び鎖状カーボネートを混合してな
    る混合溶媒であり、環状カーボネートが30〜60容量
    %、アルキルエステル化合物が10〜30容量%、鎖状
    カーボネートが20〜40容量%なる混合率であること
    を特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
  5. 【請求項5】 ジアルキルエステル化合物がジ酢酸エチ
    レングリコールであり、鎖状カーボネートがジメチルカ
    ーボネートであることを特徴とする請求項4記載の非水
    電解液二次電池。
  6. 【請求項6】 電解液の電解質がLiBF4 ,LiCF
    3 SO3 またはLiCF3 CO2 のいずれかであること
    を特徴とする請求項5記載の非水電解液二次電池。
  7. 【請求項7】 非水溶媒は、環状カーボネートとジアル
    キルエステル化合物及びアルキルエステル化合物を混合
    してなる混合溶媒であり、環状カーボネートが30〜6
    0容量%、ジアルキルエステル化合物が10〜30容量
    %、アルキルエステル化合物が20〜40容量%なる混
    合率であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液
    二次電池。
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