JPH07271078A - 下引き層を有する電子写真感光体 - Google Patents

下引き層を有する電子写真感光体

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JPH07271078A
JPH07271078A JP7777994A JP7777994A JPH07271078A JP H07271078 A JPH07271078 A JP H07271078A JP 7777994 A JP7777994 A JP 7777994A JP 7777994 A JP7777994 A JP 7777994A JP H07271078 A JPH07271078 A JP H07271078A
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layer
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zirconium
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JP7777994A
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Yuichi Yashiki
雄一 矢敷
Masahiko Hozumi
正彦 穂積
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基体の保護、基体の腐食防止、基体上の欠陥
の被覆、感光層の電気的破壊の防止等のために、有機金
属化合物を用いて形成された、膜厚0.5μm以上の下
引き層を有する電子写真感光体を提供する。 【構成】 基体と感光層の間に下引き層を有する電子写
真感光体において、下引き層が有機金属化合物と無機顔
料を含有する。下引き層には、さらにシランカップリン
グ剤が含有されていてもよい。有機金属化合物の代表例
として、ジルコニウムアルコキシドが挙げられる。ま
た、無機顔料は、粒径0.1μm以下の超微粒子である
ことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散された無機顔料を
含有する下引き層を有する電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、基体の導電性表面に
感光層を形成してなるが、直ちに感光層を塗布形成する
よりも、感光性を有しない樹脂層を介在させる方が好ま
しい。この樹脂層は、一般に下引き層または中間層と呼
ばれ、感光層と基体との接着性の改良、感光層の塗工性
の向上、基体の保護、基体上の欠陥の被覆、感光層の電
気的破壊の保護、感光層のキャリア注入性の改良等のた
めに設けられるものである。この材料としては、ポリウ
レタン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エポキシ
樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、カゼイン、メチルセルロース、ニトロ
セルロース、フェノール樹脂等の有機系の樹脂を用いる
ことが知られている。しかしながら、これら有機系の樹
脂を用いて形成された下引き層については、環境条件、
特に低湿環境下において感度の低下を生じるという欠点
があった。この点を解消するものとして、特開昭58−
93062号公報には有機金属化合物を用いることが、
特開昭61−94057号公報には有機ジルコニウム化
合物を用いることが、また特開平2−189559号公
報にはジルコニウムとシラン化合物の硬化膜が好ましい
ことが、更に、特開平3−73962号公報には、その
好ましい硬化度等が開示されている。これらの公報に開
示されているように、下引き層は、有機系の樹脂より
は、無機系の硬化膜により形成されている方が好まし
い。
【0003】しかしながら、上記公報に開示された下引
き層については、次のような問題があった。すなわち、
これら公報に記載の化合物を用いて得られる下引き層形
成用塗布液は、その粘度が極めて低いため、浸漬塗布方
法を用いた場合、0.5μm程度の膜厚のものしか得ら
れない。また、他の方法によって、より厚い膜厚のもの
を形成しても、1μm程度の膜厚になると硬化膜がもろ
いために、ひび割れを生じて成膜できないという問題が
あった。膜厚を厚くするための技術として、特開平4−
124673号公報には、有機金属化合物とシランカッ
プリング剤に、それらと相溶する有機系の樹脂を加える
ことが記載されている。この公報に記載されている方法
によれば、塗布液の粘度を上げて厚く塗布できるように
なるが、有機系の樹脂を加えるために、有機系の樹脂を
用いた場合の問題点であった低湿環境下での感度低下が
再発するという問題が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来か
ら、0.5μm以上の膜厚でもひび割れを生じることが
なく、かつ低湿環境下での感度低下を生じることのない
下引き層を形成することが求められている。 本発明
は、従来の技術における上記のような問題点を解決する
ことを目的としてなされたものである。すなわち、本発
明は、有機金属化合物を硬化させて形成された無機系の
下引き層の膜厚が0.5μm以上であり、そして下引き
層の本来の機能を果たすような下引き層を形成すること
を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、基体と感光層
の間に下引き層を有する電子写真感光体に関するもので
あって、下引き層が有機金属化合物と無機顔料を含有す
ることを特徴とする。本発明において、下引き層には、
更にシランカップリング剤が含有されていてもよい。ま
た、無機顔料は、粒径0.1μm以下の超微粒子である
ことが好ましい。
【0006】本発明の電子写真感光体について、図1に
より説明すると、図1は電子写真感光体の模式的断面図
であり、基体1の上に下引き層2が形成される。下引き
層の中には無機顔料3が分散して含有されている。下引
き層の上には、電荷発生層4および電荷輸送層5が形成
されている。本発明において、基体としては、電子写真
感光体において使用されるものであれば、如何なるもの
でも使用できる。基体の表面は粗面加工が施されていて
もよい。
【0007】基体の上には、下引き層が形成されるが、
下引き層に含有させる無機顔料としては、ZnO、Ti
2 、BaSO4 、Al2 3 、SiO2 、CaCO3
およびMgO等が好ましく用いられる。TiO2 として
は、アモルファスなものよりはルチル型またはアナター
ゼ型結晶形のものが好ましい。これら無機顔料として
は、粒径1μm以下のものが広く市販されており、それ
らが使用できるが、特に粒径0.1μm以下の超微粒子
であることが好ましい。粒径0.1μm以下の超微粒子
を用いる場合には、下引き層形成用の塗布液中での無機
顔料の沈降を防止することができるのみならず、形成さ
れる下引き層の表面の凹凸を小さくすることができ、そ
の結果、その上に形成される電荷発生層の膜厚が0.1
μm前後の薄膜の場合でも、電荷発生層に塗布欠陥が生
じることがなくなるという効果も生じる。また、これら
無機顔料は、塗布液中での分散性を向上させる目的で、
顔料粒子表面を、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニ
ア等で被覆処理されているのが好ましい。上記無機顔料
は、下引き層中に10〜80重量%の範囲で含有させる
のが好ましい。
【0008】本発明において、有機金属化合物として
は、例えば、Zn(CH3 2 、Zn(C6 5 2
Al(C2 5 3 、B(C2 5 3 、Ni(C5
5 2等の金属アルキル化合物、Al[OCH(C
3 2 3 、Ti(OC3 7 4 等の金属アルコキ
シド等、および金属キレート化合物、例えば、クロム、
バナジウム、コバルト、鉄等のアセト酢酸エステルキレ
ート化合物、エチレンジアミンキレート化合物、カルボ
ニルキレート化合物があげられる。
【0009】また、有機ジルコニウム化合物としては次
のものが例示される。 1)ジルコニウム錯体 a.ジルコニウムキレート化合物 ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコ
ニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニ
ウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウム
テトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムブト
キシトリスエチルアセトアセテート、ジルコニウムジブ
トキシビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリ
ブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムテ
トラキスエチルラクテート、ジルコニウムジブトキシビ
スエチルラクテート、ビスアセチルアセトネートビスエ
チルアセトアセテートジルコニウム、モノアセチルアセ
トネートトリスエチルアセトアセテートジルコニウム、
ビスアセチルアセトネートビスエチルラクテートジルコ
ニウム。 b.その他の錯体 ジルコニウムトリフロロアセチルアセトン。
【0010】2)ジルコニウムエステル ジルコニウムn−ブチレート、ジルコニウムn−プロピ
レート。有機チタン化合物としては、チタンオルソエス
テルの如きオルソチタン酸の有機誘導体、ポリオルソチ
タン酸エステルおよびチタンキレート等があげられる。
チタンオルソエステルは、次の一般式(I)
【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は互いに独立した
ものであって、それぞれメチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、クレジル基、ステアリル基、ヘキシル基、ノニル基
またはセチル基を示す。)で示される化合物であり、ポ
リオルソチタン酸エステルは、次の一般式(II)
【化2】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ前記
の式(I)の場合と同じ意味を表し、mは1〜10の範
囲の整数を表す。)で示される化合物であり、またチタ
ンキレートは、次の一般式(III) Ti(L)1-n (III) (式中、Lはキレート基、Xはエステル基、nは1〜4
を示す。)で示されるO(酸素)配位の化合物であり、
配位子種としては、オクチレングリコール、ヘキサンジ
オール等のグリコール;アセチルアセトン等のβ−ジケ
トン;乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸等のヒドロ
キシカルボン酸;アセト酢酸エステル等のケトエステ
ル;およびジアセトンアルコール等のケトアルコールが
挙げられる。
【0011】上記以外の有機金属化合物としては、アル
ミニウルムトリス(アセチルアセトネート)、鉄トリス
(アセチルアセトネート)、コバルトビス(アセチルア
セトネート)、銅ビス(アセチルアセトネート)、マグ
ネシウムビス(アセチルアセトネート)、マンガン(II)
ビス(アセチルアセトネート)、ニッケル(II)ビス(ア
セチルアセトネート)、バナジウムトリス(アセチルア
セトネート)、亜鉛ビス(アセチルアセトネート)、錫
ビス(アセチルアセトネート)等の金属アセチルアセト
ネート化合物;アルミニウムイソプロピレート、モノ−
sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、ア
ルミニウム−sec−ブチレート、バナジウムエチレー
ト、バナジウム−n−プロピレート、バナジウムイソブ
チレート等の金属アルコラート化合物;およびアルミニ
ウムジ−n−ブトキサイド−モノエチルアセトアセテー
ト、アルコニウムオキサイドオクテート、アルミニウム
オキサイドステアレート、アルミニウムオキサイドアク
リレート等の化合物をあげることができる。
【0012】本発明においては、さらにシランカップリ
ング剤を含有させることができる。シランカップリング
剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス
−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエト
キシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルエチ
ルトリメトキシシラン等を挙げることができる。下引き
層における上記シランカップリング剤の配合量は、有機
金属化合物に対してモル比で3:1〜1:3の範囲が好
ましい。
【0013】下引き層は、上記の有機金属化合物または
有機金属化合物とシランカップリング剤の有機溶剤溶液
に、上記無機顔料を分散させて得られた塗布液を塗布す
ることによって形成される。下引き層の膜厚は、0.5
〜5μmの範囲が好ましい。本発明において、無機顔料
を分散させた塗布液を用いると厚く塗布できるようにな
るのは、無機顔料の分散によって、塗布液の粘度が上昇
するためである。
【0014】本発明における下引き層中では、有機金属
化合物は、無機顔料の隙間を埋める程度に存在し、見か
け上は無機顔料で形成された膜となる。無機顔料は、誘
電率が有機系の樹脂よりも大きく、したがって無機顔料
を用いた場合には、下引き層の誘電率が大きくなるの
で、下引き層は帯電されにくくなり、残留電荷の蓄積が
起こりにくい。また、有機金属化合物を硬化して形成さ
れた無機系の硬化膜は、電気抵抗率が1010〜1013Ω
cm程度であり、残留電荷は自然放電するので、同様に
残留電荷の蓄積は起こらない。したがって、上記両者か
らなる下引き層は、膜厚が0.5〜5μmまで厚くして
も何等電気的な問題は生じない。また、下引き層中で無
機系硬化物は、無機顔料の隙間に存在するのであり、そ
れ自身で膜を形成するわけではない。したがって、無機
系硬化物自体はもろいものであっても構わない。本発明
によれば、上記の理由により、基体上の欠陥の被覆、基
体の保護、基体の腐食防止、感光層の電気的破壊の防止
という所期の目的が効果的に達成できるのである。更
に、無機顔料による光散乱効果により、感光層にレーザ
ー光を照射する際に生じる干渉縞の発生も防止すること
ができる。
【0015】下引層の上には感光層が設けられるが、感
光層は単層構造でもよい。単層構造の場合としては、色
素増感されたZnO感光層、CdS感光層や、電荷発生
物質等を電荷輸送物質に分散させた感光層等をあげるこ
とができる。また、積層構造の場合には、電荷発生層と
電荷輸送層とに機能分離されたものがあげられる。導電
性支持体上における電荷発生層との積層順序は、いずれ
が先であってもよい。
【0016】電荷発生層は、電荷発生材料を必要に応じ
て結着樹脂に分散させて形成させる。電荷発生材料とし
ては、例えばセレン及びセレン合金;CdS、CdS
e、CdSSe、ZnO及びZnS等の無機光導電体;
金属または無金属フタロシアニン顔;ビスアゾ顔料、ト
リスアゾ顔料等のアゾ顔料;スクエアリウム化合物;ア
ズレニウム化合物;ペリレン系顔料;インジゴ顔料;キ
ナクリドン顔料;多環キノン顔料;シアニン色素;キサ
ンテン染料;ポリ−N−ビニルカルバゾールとトリニト
ロフルオレノン等からなる電荷移動錯体;ピリリウム塩
染料とポリカーボネート樹脂からなる共晶錯体等があげ
られる。結着樹脂としては、周知のもの、例えば、ポリ
カーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニ
ルブチラール、メタクリル酸エステル重合体または共重
合体、酢酸ビニル重合体または共重合体、セルロースエ
ステルまたはエーテル、ポリブタジエン、ポリウレタ
ン、エポキシ樹脂等が用いられる。
【0017】電荷輸送層は、電荷輸送材料を主成分とし
て構成される。電荷輸送材料としては、可視光に対して
透明であり、かつ、電荷輸送能力を有するものであれば
特に制限されるものではなく、具体的には、イミダゾー
ル、ピラゾリン、チアゾール、オキサジアゾール、オキ
サゾール、ヒドラゾン、ケタジン、アジン、カルバゾー
ル、ポリビニルカルバゾール等及びそれらの誘導体、ト
リフェニルアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジ
ン誘導体等があげられる。必要に応じて結着樹脂が併用
されるが、結着樹脂としては、例えばポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスチレン、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体、ポリスルホン、ポ
リメタクリル酸エステル、スチレン−メタクリル酸エス
テル共重合体等があげられる。
【0018】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。なお「部」は全て「重量部」を意味する。 実施例1 トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート(ZC
540、松本交商社製)の50%トルエン溶液100
部、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(A111
0、日本ユニカー社製)11部およびn−ブタノール1
30部を混合した溶液に、アルミナ被覆した平均粒径
0.5μmのルチル型酸化チタン(SR−1T、堺化学
工業社製)50部を加え、サンドミルにて分散した。一
方、基体として、Rmax =1.0μmの0.8mmt×
30mmφ×253mmのアルミニウム管を用意し、そ
の表面に上記分散液を100mm/分の速度でリング塗
布機で塗布した。140℃で10分間の加熱により、厚
さ2.0μmの硬化した黄白色の下引き層を得た。続い
て、ポリビニルブチラール樹脂(BM−1、積水化学社
製)1部をシクロヘキサノン19部に溶解し、これにX
型無金属フタロシアニン3部を加えてサンドミルで分散
した。分散液に更に2−ブタノン20部を加え、下引き
層上にリング塗布機により塗布し、120℃で2分間乾
燥して、膜厚0.25μm電荷発生層を形成した。次
に、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(m−トリ
ル)ベンジジン4部を電荷輸送材料とし、ポリカーボネ
ートZ樹脂6部と共にモノクロロベンゼン40部に溶解
させ、得られた溶液を上記電荷発生層上に浸漬塗布装置
により塗布し、110℃で60分間加熱乾燥して18μ
m厚の電荷輸送層を形成した。以上のようにして、電子
写真感光体を作製した。この電子写真感光体を用い−3
60Vに帯電させ、半導体レーザー光を12mJ/m2
の光量で照射して、−80Vに減衰させ、次いで反転現
像を行うLBP(レーザービームプリンター)により複
写画像を得た。得られた画像には、干渉縞模様は発生し
ていなかった。また、基体欠陥に基づく画像欠陥も認め
られなかった。これは、下引き層の厚膜化により、基体
欠陥が隠蔽されたことによるものと思われる。
【0019】比較例1 酸化チタンを分散させないで、ジルコニウム化合物とシ
ラン化合物の混合液を塗布し、膜厚0.1μmの透明な
下引き層を形成した。他は実施例1と同様にして電荷発
生層と電荷輸送層を形成し、感光体を得た。この感光体
を用いて、LBPにより画像を形成したところ、(1)
干渉縞模様が発生し、(2)基体の1μm凸部に相当す
る部分に黒点が発生するという問題が生じた。 比較例2 ポリアミド樹脂(CM8000、東レ社製)のメタノー
ル・ブタノール混合液を用意し、リング塗布機により膜
厚2μmの透明な下引き層を形成した。他は実施例1と
同様にして感光体を作製した。この感光体を用いて、L
BPにより特性を見たところ、12mJ/m2 の露光量
でVL =−120Vまでしか減衰しなかった。これは下
引き層による電荷蓄積に起因するものである。一方、複
写画像には、干渉縞発生のほか、濃度低下も発生した。
【0020】実施例2 ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート(ZC1
50、松本交商社製)の50%トルエン溶液100部
に、更にトルエン50部を加え、これに粒径0.3μm
の硫酸バリウム(B30、堺化学工業社製)40部をサ
ンドミルで分散した。その後、実施例1と同じシラン化
合物11部を加えた。一方、実施例1のアルミニウム管
に対して、液体ホーニング装置を用いて、研磨材(グリ
ーンデシックGC#400、昭和電工社製)10kgを
水40リットルに懸濁させ、懸濁液をポンプで6リット
ル/分の流量でガンに送液し、吹きつけ速度60mm/
分、空気圧0.85kgf/cm2 で、アルミニウム管
を100rpmで回転させながら軸方向に移動させて、
湿式ホーニング処理を行なった。湿式ホーニング処理さ
れたアルミニウム管の中心線平均粗さRaは0.15μ
mであった。この表面に、前記分散液を100mm/分
の速度でリング塗布機により塗布し、140℃で10分
間の加熱硬化により、膜厚2.0μmの透明な下引き層
を得た。次いで、ポリビニルブチラール樹脂(BM−
S,積水化学工業社製)の2%シクロヘキサノン溶液
に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(特開平5
−263007号公報参照)をPB比2:1となるよう
混合し、サンドミルにて3時間の分散を行った。分散液
を酢酸n−ブチルで更に希釈して下引き層上に塗布し、
100℃で10分間乾燥して、膜厚0.03μmの電荷
発生層を形成した。この電荷発生層は、顔料自体が高感
度であるため、非常に薄膜に形成することができた。電
荷発生層の上には実施例1と同じ電荷輸送層を塗布形成
した。こうして得られた感光体を用いて、LBPにより
複写を行ったところ、正常な複写画像が得られた。
【0021】比較例3 実施例2において、硫酸バリウムを分散せないで下引き
層を形成した場合、膜厚は0.1μmであった。他は同
様にして感光体を作製し、LBPにて複写を行ったとこ
ろ、全面に微小な黒点が目立った複写画像が得られた。
これは干渉防止のために粗面化した基体の凹凸の影響に
よるものであると思われ、膜厚が薄い場合に、基体の凹
凸に起因する障害を受けやすいことを意味している。
【0022】実施例3 実施例2における硫酸バリウムに代え、粒径0.03μ
mの超微粒子硫酸バリウム(BF20F、堺化学工業社
製)を用いたところ、実施例2と同様の結果が得られ
た。ただし、実施例2の分散液は、沈降を防止するため
に常に攪拌しておく必要があったが、この実施例の場合
には、分散液を24時間放置しても沈降は起こらなかっ
た。 実施例4 上記硫酸バリウムに代え、粒径0.09μmの超微粒子
アナターゼ型酸化チタン(STT30D、チタン工業社
製)を用いたところ、実施例3と同様の結果が得られ
た。
【0023】
【発明の効果】本発明による電子写真感光体の下引き層
は、そのままでは厚く塗布形成することができない有機
金属化合物に、無機顔料を分散含有させて硬化させたも
のであるから、比較的厚く形成できるようになり、しか
も無機物よりなる硬化膜であるため、各種有機溶剤に対
して耐久性があり、感光層塗布時に侵されることがな
い。また、基体の保護、基体の腐食防止、基体上の欠陥
の被覆、感光層の電気的破壊の防止等に寄与するという
優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体の模式断面図であ
る。 1…基体、2…下引き層、3…無機顔料、4…電荷発生
層、5…電荷輸送層。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体と感光層の間に下引き層を有する電
    子写真感光体において、下引き層が有機金属化合物と無
    機顔料を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 下引き層が有機金属化合物、シランカッ
    プリング剤および無機顔料よりなることを特徴とする請
    求項1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 無機顔料が、粒径0.1μm以下の超微
    粒子である請求項1記載の電子写真感光体。
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