JPH07269001A - 構造シリコーン構法用パネル材支持構造体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】各々個別に製造された弾性部材２とパネル材１
とエッジ材３とから組み立てられていて係止部１２が形
成されている断面略Ｊ字形３７の弾性部材２がパネル材
の端縁を把持しながらエッジ材に内接しており、該係止
部がエッジ材に形成された凹状継合部１１に拘止されて
いる構造シリコーン構法用パネル材支持構造体。 【効果】作業性がよく、生産性も高く、コストの安い構
造シリコーン構法が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、構造シリコーン構法用
パネル材支持構造体に関する。

【０００２】

【従来の技術】カーテンウォール構造の建築物の外壁面
には、熱線反射ガラス、熱線吸収ガラス、複層ガラス、
合せガラス、着色ガラス、結晶化ガラスなどの各種板ガ
ラスや強化樹脂、セラミックスなどからなるパネル材が
装着される。このようなパネル材の支持構造の一例とし
て構造シリコーン構法（Ｓｔｒｕｃｔｕｒａｌ Ｓｉｌ
ｉｃｏｎｅ Ｓｅａｌａｎｔ Ｇｌａｚｉｎｇ）が知ら
れている。この構造シリコーン構法は、パネル材を実質
上支持するアルミニウムなどからなる金属製のエッジ材
とこのエッジ材とパネル材とを接合するシリコーンゴム
などからなる構造シール材とにより構成される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】構造シリコーン構法に
は、大別してこのエッジ材がすべてパネル材の室内側に
あり、構造シール材の接着力のみでパネル材を支持する
方法と、エッジ材の１部がパネル材の室外側に突出する
ようにし、この突出部でパネル材を機械的に引っかけて
支持する方法の２種類の方法がある。

【０００４】本発明が解決しようとする課題は後者の場
合であり、図６に製造工程を説明してあるように、後者
はエッジ材２４のパネル係合溝内に構造シール２５を充
填し、このパネル係合溝内にパネル材としての板ガラス
１を挿入し、溢れたシール材２６を除去する方法で製造
されている。

【０００５】構造シール材は硬化の早い材料を使用して
いるが、他の構造シリコーン構法で使用している仮固定
材はスペース上使えず、図６（ｃ）に示すように、固定
金具２７内にライナ３３、３４を介して、パネル材支持
構造体を置き、各々ゴム板２９、金具３２を介して、固
定金具２７に螺嵌された締付ボルト２８、３１を締める
ことにより、シールが硬化するまでの間、保持された状
態を保つ必要があった。シールが硬化後に固定金具や締
付ボルトなどを取り外す必要もあった。

【０００６】このため、パネル材支持構造体をシールが
硬化するまでの間、移動せずに養生しなければならない
という問題もあり、また挿入時の作業性が悪く、シール
の歩留りも悪く、生産性上問題があった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決しようとするもので、各々個別に製造された弾性
部材とパネル材とエッジ材とから組み立てられていて、
エッジ材は支持すべきパネル材の端縁内側に沿って配設
される金属基材部と前記パネル材の外側に突出する断面
Ｌ字形のパネル材保持片部と、該金属基材部を建物躯体
側の支持部材に取付けるための連結部と、金属基材部と
パネル材保持片部の両者のなすコーナー近傍に形成され
た凹状継合部とを有し、かつ弾性部材は前記パネル保持
片部の内側に対応するような略Ｊ字状部と前記凹状継合
部に対応する部位に形成された係止部とを有し、前記弾
性部材の略Ｊ字状部の内側はパネル材の端縁を把持する
一方、その外側はエッジ材のパネル材保持片部に内接す
るように配されており、さらに該係止部は前記凹状継合
部に拘止されていることを特徴とする構造シリコーン構
法用パネル材支持構造体を提供する。

【０００８】なお、略Ｊ字状部とは、図１および図２の
符号２で示した形状のように、断面が略長方形状のもの
を組み合わせて、略Ｊ字状としたものも含むものであ
る。

【０００９】相隣り合うエッジ材とエッジ材との間にウ
ェザーシールを施工しないドライ工法の場合において
は、さらに弾性部材はエッジ材のパネル挿入側の金属基
材部の端部から、該金属基材部の長さの１／１０〜１／
２の範囲の部分に内接する部分が切り欠いた形状となっ
ており、当該切り欠き部分に弾性部材とパネル材とエッ
ジ材を組み立てた後に、構造シール材を充填してあるこ
とを特徴とする前記構造シリコーン構法用パネル材支持
構造体を提供する。

【００１０】そしてこの場合においても、従来方法にお
ける、パネル材支持構造体をシールが硬化するまでの
間、移動せずに養生しなければならないという問題や、
挿入時の作業性およびシールの歩留りも悪いという生産
性上の問題の解決に大きく寄与している。

【００１１】好ましくは弾性部材の端縁にキー溝が形成
されており、該キー溝に対応したエッジ材の部位にキー
が形成されているか、弾性部材の端縁にキーが形成され
ており、該キーに対応したエッジ材の部位にキー溝が形
成されている。

【００１２】好ましいエッジ材の凹状継合部の形状の一
例としては、凹状継合部の入口部にネック状孔を有して
おり、好ましい弾性部材の係止部の形状の一例として
は、ネック部と略半円状部とからなる形状をしている。

【００１３】弾性部材はパネル材の端縁を把持する部分
に複数個のの窪みを有する形状となっていることによ
り、弾性部材にパネル材を挿入することが容易になるな
どの効果がある。

【００１４】かかる構造シリコーン構法用パネル材支持
構造体を用い、隣り合うエッジ材とエッジ材との間にウ
ェザーシールを施工することにより、風圧だけではな
く、地震の横揺れなどにより生じる面内変形をも防止し
パネル材をしっかりと保持できる。

【００１５】パネル材としては、熱線反射板ガラス、熱
線吸収板ガラス、複層板ガラス、合せ板ガラス、着色板
ガラス、結晶化ガラスなどの各種板ガラスや強化樹脂、
セラミックスなどを適宜使用できるが、一般には板ガラ
スが用いられる。

【００１６】

【作用】エッジ材のパネル係合溝内にパネル材の板厚と
ほぼ同じ隙間を持つように形成された断面略Ｊ字形のゴ
ム製の弾性部材を装着し、この溝内にパネル材の端縁を
保持し、弾性部材による摩擦力でエッジ材にパネル材を
固定する。この状態でビルの壁面に取り付けると、風圧
ではパネル材に抜ける力は作用しないが、地震時の横揺
れなどによる面内変形ではパネル材に抜ける力が作用す
る。

【００１７】そこでこの場合は、隣り合うエッジ材とエ
ッジ材との間にウェザーシールを施工することにより、
面内変形による抜けの力を防止でき、ウェザーシールが
切れてもシールはなくなるわけではないので、パネル材
の支持上問題ない。これは、ウェザーシールは、その硬
化後においては弾性体のように力が加わった時に大きく
変形することがないからである。

【００１８】一方、隣り合うエッジ材とエッジ材との間
にウェザーシールを施工しないで、ゴムを挟むドライ工
法の場合は、弾性部材はエッジ材のパネル挿入側の金属
基材部の端部から、該金属基材部の長さの１／１０〜１
／２の範囲の部分に内接する部分が切り欠いた形状とな
っており、当該切り欠き部分に弾性部材とパネル材とエ
ッジ材を組み立てた後に、構造シール材を充填してある
ことを特徴とする請求項１の構造シリコーン構法用パネ
ル材支持構造体を用いることにより、面内変形による抜
けを防止でき、パネル材の支持上の問題はない。

【００１９】

【実施例】図１は本発明の１実施例に係る構造シリコー
ン構法用パネル材支持構造体の主要部を示す。各々個別
に製造された弾性部材２とパネル材としての板ガラス１
とエッジ材３とから組み立てられていて、エッジ材３は
支持すべきパネル材１の端縁内側に沿って配設される金
属基材部４と前記パネル材の外側に突出する断面Ｌ字形
のパネル材保持片部５と、該金属基材部を建物躯体側の
支持部材に取付けるための連結部１３と、金属基材部と
パネル材保持片部の両者のなすコーナー近傍に形成され
た凹状継合部１１とを有し、かつ弾性部材２は前記パネ
ル保持片部の内側に対応するような略Ｊ字状部３７と前
記凹状継合部１１に対応する部位に形成された係止部１
２とを有し、前記弾性部材の略Ｊ字状部３７の内側はパ
ネル材１の端縁を把持する一方、その外側はエッジ材３
のパネル材保持片部５に内接するように配されており、
さらに該係止部１２は前記凹状継合部１１に拘止されて
いる。

【００２０】図１に示した構造のパネル材支持構造体の
エッジ材が隣り合うようにした複数枚のパネル支持構造
体においては、隣り合うエッジ材とエッジ材との間にウ
ェザーシールを充填すれば、地震の横揺れ時において
も、ウェザーシールは弾性変形をしないので、板ガラス
はエッジ材に接着状態で保持されていなくても板ガラス
の支持上の問題はない。

【００２１】そして、弾性部材２の端縁にキー溝７が形
成されており、該キー溝に対応したエッジ材の部位にキ
ー６が形成されていて、エッジ材３の凹状継合部１１が
ネック状孔９と略長方形状部とからなる形状をしてい
て、弾性材の係止部１２がネック部８と略半円状部とか
らなる形状をしていて、弾性部材２がパネル材１の端縁
を把持する部分に複数個の窪み１０が形成されている。
また、作業工程としては、エッジ材に弾性部材を嵌合
し、弾性部材に板ガラスを挿入して完成である。なお、
弾性部材としてゴムを用いている。

【００２２】図２は本発明の他の１実施例に係る構造シ
リコーン構法用パネル支持構造体の主要部を示し、隣り
合うエッジ材間にウェザーシールを施さないドライ工法
において適したものである。そして、概略は図１にて説
明したとおりであるが、異なる点は、弾性部材２がエッ
ジ材３のパネル挿入側の金属基材部４の端部から、金属
基材部の長さの約１／４の範囲の部分に内接する部分を
切り欠いた形状となっており、当該切り欠き部分に、弾
性部材２とパネル材としての板ガラス１とエッジ材３を
組み立てた後に、構造シール材１４を充填してある。

【００２３】ウェザーシールを施さないドライ工法にお
いては、図２に示した構造のパネル材支持構造体の隣り
合うエッジ材とエッジ材との間に弾性変形をするゴム製
目地材を挟むので、より板ガラスとエッジ材とを強固な
状態に保持する必要があるため、構造シール材（具体的
にはシリコンゴム）１４で板ガラス１とエッジ材３を接
着している。

【００２４】そしてこの場合においても、パネル材支持
構造体を移動しづらいという問題や、挿入時の作業性お
よびシールの歩留りも悪いという生産性上の問題の解決
に大きく寄与している。それは、構造シール材１４を充
填する際に、すでに挿入してある弾性部材２が仮固定の
役割も果たすからである。

【００２５】図３は建物外壁を構成する各パネル材
（例：熱線反射板ガラスなど）１５の縦辺である方立１
６方向に対し、本発明に係る構造シリコーン構法用パネ
ル支持構造体を適用した場合の外観図である。各パネル
材１５の横辺である無目１７方向に対しては本発明に係
る構造シリコーン構法用パネル支持構造体は適用してい
ない。

【００２６】図４は図３のＡ−Ａ断面図であり、各々個
別に製造された弾性部材２とパネル材１とエッジ材３と
から組み立てられた構造シリコーン構法用パネル支持構
造体がバックアップ材３５を挟むように設置された後、
ウェザーシール３６が施工されている。そして方立２０
に対してセッティングブロック１９を介して置かれた
後、バックアップ材１９の周縁を構造シール材１８によ
りシールしている。地震の横揺れ時においても、ウェザ
ーシール３６は弾性変形をしないので、板ガラス１はエ
ッジ材３に接着状態で保持されていなくても板ガラスの
支持上の問題はない。

【００２７】図５は図３のＢ−Ｂ断面図であり、支持構
造２３に上方より板ガラス１がセッティンフブロック１
９を介して置かれており、端縁はセラミックスファイバ
２１で挟まれて、その上から構造シール材２２が施工さ
れている。また、支持構造２３の下方にも板ガラス１が
挿入されて、その端縁はセラミックスファイバ２１で挟
まれて、その下部にシール材２２が施工されている。そ
して、支持構造２３は図示されていない無目に取り付け
られている。

【００２８】

【発明の効果】従来のようにパネル支持構造体を製造す
るにおいて、固定金具内にライナを介して、パネル材支
持構造体を置き、ゴム板や金具を介して固定金具に螺嵌
された締付ボルトを締めることにより、シールが硬化す
るまでの間、保持された状態を保ち、そして、シールが
硬化後に固定金具や締付ボルトなどを取り外す必要があ
った。

【００２９】しかし本発明によれば、個別に製造された
弾性部材を使用しているので、このような不都合がなく
なった。このため、パネル材支持構造体をシールが硬化
するまでの間、移動せずに養生しなければならないとい
う問題や挿入時の作業性が悪いとか、シールの歩留りが
悪いなどといった生産性上の問題が解決された。このよ
うにして、作業性がよく、生産性も高く、コストの安い
構造シリコーン構法が可能となった。

【００３０】しかも、本発明においては、弾性部材がエ
ッジ材のパネル挿入側の金属基材部の端部から、該金属
基材部の長さの１／１０〜１／２の範囲の部分に内接す
る部分が切り欠いた形状となっており、当該切り欠き部
分に弾性部材とパネル材とエッジ材を組み立てた後に、
構造シール材を充填してあることを特徴とする構造シリ
コーン構法用パネル材支持構造体、あるいは隣り合うエ
ッジ材とエッジ材との間にウェザーシールを施工するこ
とを特徴とする構造シリコーン構法用パネル材支持構造
体をも提供するものであって、かかる構造シリコーン構
法用パネル材支持構造体の提供により、地震の横揺れ時
においても、板ガラスの支持上の問題がなくなるという
効果をも有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例に係る構造シリコーン構法用
パネル材支持構造体の主要部の断面図

【図２】本発明の他の１実施例に係る構造シリコーン構
法用パネル材支持構造体の主要部の断面図

【図３】本発明を実施した建物外壁面の外観図

【図４】図３のＡ−Ａ断面図

【図５】図３のＢ−Ｂ断面図

【図６】従来技術における構造シリコーン構法用パネル
材支持構造体の製造工程を示す説明図

【符号の説明】

１：板ガラス（パネル材） ２：弾性部材 ３：エッジ材 ４：金属基材部 ５：パネル材保持片部 ６：キー ７：キー溝 ８：ネック部 ９：ネック状孔 １０：窪み １１：凹状継合部 １２：半円状係止部 １３：連結部 １４、１８、２５：構造シール材 １５：板ガラス １６：方立 １７：無目 １９：セッティングブロック ２０：方立 ２１：セラミックスファイバ ２３：支持構造 ２４：エッジ材 ２２：構造シール材 ２６：はみ出し部 ２７：固定金具 ２８：締付ボルト ２９：ゴム板 ３１：締付ボルト ３２：金具 ３３、３４：ライナ ３５：バックアップ材 ３６：ウエザーシール ３７、３８：略Ｊ字状部

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】各々個別に製造された弾性部材とパネル材
   とエッジ材とから組み立てられていて、エッジ材は支持
   すべきパネル材の端縁内側に沿って配設される金属基材
   部と前記パネル材の外側に突出する断面Ｌ字形のパネル
   材保持片部と、該金属基材部を建物躯体側の支持部材に
   取付けるための連結部と、金属基材部とパネル材保持片
   部の両者のなすコーナー近傍に形成された凹状継合部と
   を有し、かつ弾性部材は前記パネル保持片部の内側に対
   応するような略Ｊ字状部と前記凹状継合部に対応する部
   位に形成された係止部とを有し、前記弾性部材の略Ｊ字
   状部の内側はパネル材の端縁を把持する一方、その外側
   はエッジ材のパネル材保持片部に内接するように配され
   ており、さらに該係止部は前記凹状継合部に拘止されて
   いることを特徴とする構造シリコーン構法用パネル材支
   持構造体。
2. 【請求項２】弾性部材はエッジ材のパネル挿入側の金属
   基材部の端部から、該金属基材部の長さの１／１０〜１
   ／２の範囲の部分に内接する部分が切り欠いた形状とな
   っており、当該切り欠き部分に弾性部材とパネル材とエ
   ッジ材を組み立てた後に、構造シール材を充填してある
   ことを特徴とする請求項１の構造シリコーン構法用パネ
   ル材支持構造体。
3. 【請求項３】弾性部材の端縁にキー溝が形成されてお
   り、該キー溝に対応したエッジ材の部位にキーが形成さ
   れていることを特徴とする請求項１または２の構造シリ
   コーン構法用パネル材支持構造体。
4. 【請求項４】弾性部材の端縁にキーが形成されており、
   該キーに対応したエッジ材の部位にキー溝が形成されて
   いることを特徴とする請求項１または２の構造シリコー
   ン構法用パネル材支持構造体。
5. 【請求項５】凹状継合部はその入口側にネック状孔を有
   していることを特徴とする請求項１〜４のいずれかの構
   造シリコーン構法用パネル材支持構造体。
6. 【請求項６】凹状継合部はその入口側にネック状孔を有
   していて、係止部がネック部と略半円状部とからなる形
   状をしていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか
   の構造シリコーン構法用パネル材支持構造体。
7. 【請求項７】弾性部材がパネル材の端縁を把持する部分
   に複数個の窪みを有することを特徴とする請求項１〜６
   のいずれかの構造シリコーン構法用パネル材支持構造
   体。
8. 【請求項８】請求項１〜７のいずれかの構造シリコーン
   構法用パネル材支持構造体を用い、隣り合うエッジ材と
   エッジ材との間にウェザーシールが施工されてなること
   を特徴とする構造シリコーン構法用パネル材支持構造
   体。