JPH07268781A - 半銀付調の外観を有するシート状物およびその製造方法 - Google Patents

半銀付調の外観を有するシート状物およびその製造方法

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JPH07268781A
JPH07268781A JP5753494A JP5753494A JPH07268781A JP H07268781 A JPH07268781 A JP H07268781A JP 5753494 A JP5753494 A JP 5753494A JP 5753494 A JP5753494 A JP 5753494A JP H07268781 A JPH07268781 A JP H07268781A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、柔軟性、透気透湿性に優れた、半
銀付調の外観を有する皮革様シート状物およびその製造
方法を提供することにある。 【構成】 単糸繊度0.001デニール以下の極細繊維
および/または極細繊維束からなる三次元絡合不織布と
その絡合空間に存在する弾性重合体の緻密な発泡体とか
らなる表面平滑な繊維質基体層の表面に、該基体層の極
細繊維と連続した非絡合繊維と最大孔径の平均値が0.
5〜5μmの範囲にある連続孔を有する弾性重合体を主
体とした樹脂からなる厚さ5〜40μmの表面層を有す
る半銀付調シート状物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟性、透気透湿性に
優れた半銀付調の外観を有する皮革様シート状物および
その製造方法に関する物である。
【0002】
【従来の技術】従来、柔軟性、透気透湿性に優れた銀付
調シート状物としては、多孔質弾性重合体を含む繊維質
基体層表面に弾性重合体を主体とした重合体の多孔質被
覆層や無孔質被覆層を積層した物、あるいは多孔質被覆
層表面にさらに無孔質被覆層を積層した物が知られてい
る。多孔質被覆層を得る方法としては、弾性重合体の溶
液を該弾性重合体の非溶剤で処理して多孔質に凝固させ
る湿式凝固法、弾性重合体溶液に塩類やでんぷん、ゼラ
チンなどの易抽出性の微粒子を混合した組成液を塗布乾
燥した後、あるいは弾性重合体に上記易抽出性の微粒子
を混練しシート状とした後、該微粒子を抽出除去して多
孔質とする方法、乾式発泡による方法、などが知られて
いる。
【0003】さらに、透気透湿性に優れた銀付調シート
状物の製造方法として、特公平3−45143号公報で
は、繊度0.3〜0.001デニールの極細繊維からな
る絡合層と連続した立毛面に弾性重合体を積層する際の
毛羽の突き上げにより連続した気孔を有する皮革様シー
ト状物を製造する方法が提案されている。特公平3−4
3389号公報においては、柔軟性に富んだ、折れ皺の
緻密なシート状物の製造方法として、繊度0.3から
0.0001デニール以下の極細繊維からなる三次元絡
合不織布とその絡合空間に存在する弾性重合体とからな
る繊維質基体層の表面の、該基体層の極細繊維と連続し
た非絡合繊維と連続する弾性重合体を主体とする表面層
を有するシート状物を用いることが、提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、靴用等に従来の
銀付調の外観を有する皮革様シート状物とは外観を異に
する、天然皮革の薄仕上げ調の透明感のある外観で、し
かも柔軟性のある物が求められている。しかし、特公平
3−45143号公報のように、極細繊維の立毛面に、
弾性重合体を主体とする被覆層を設けて、毛羽の突き抜
けによる連続孔を生成した場合は、弾性重合体からなる
被覆層中に均一な連続孔が生成されにくく、表面にピン
ホールが多数生成して、高級感のある外観は得られず、
しかも、柔軟性に欠ける物しか得られなかった。さら
に、特公平3−43389号公報のごとく、極細繊維か
らなる三次元絡合不織布とその絡合空間に存在する弾性
重合体とからなる繊維質基体層の表面の、該基体層の極
細繊維と連続した非絡合繊維上に、弾性重合体を主体と
する表面層を付与して、柔軟性に富むシート状物を得よ
うとした場合には、樹脂層の厚さを薄くするか、モジュ
ラスの低い弾性重合体を用いることが必須であり、いづ
れの方法を用いても、表面強度が不足し、また、ピンホ
ール等の欠点を生じ、実用に耐え得る物は得られなかっ
た。
【0005】他方、多孔質弾性重合体を含む繊維質基体
層表面に、起毛処理を行わずに、弾性重合体を主体とし
た重合体の多孔質被覆層や無孔質被覆層を積層する方
法、あるいは多孔質被覆層表面にさらに無孔質被覆層を
積層する方法においても、半銀付調の、透明感のある外
観を得ようとした場合は、積層する被覆層の厚さを、薄
くする必要が生じ、三次元交絡繊維の繊維筋が銀面に生
じて、品位のある外観は得られない。本発明は、柔軟
性、透気透湿性に優れた、半銀付調の外観を有する皮革
様シート状物およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、単
糸繊度0.001デニール以下の極細繊維および/また
は極細繊維束からなる三次元絡合不織布とその絡合空間
に存在する弾性重合体の緻密な発泡体とからなる表面平
滑な繊維質基体層の表面に、該基体層の極細繊維と連続
した非絡合繊維と最大孔径の平均値が0.5〜5μmの
範囲にある連続孔を有する弾性重合体を主体とした樹脂
からなる厚さ5〜40μmの表面層を有していることを
特徴とする半銀付調シート状物であり、また、本発明は
単糸繊度0.001デニール以下の極細繊維および/ま
たは極細繊維束からなる三次元絡合不織布とその絡合空
間に存在する弾性重合体の緻密な発泡体とからなる表面
平滑な繊維質基体層の表面に該基体層と連続した極細繊
維立毛を形成した後、該立毛面に熱水抽出可能な微粒子
を含有する弾性重合体を主体とした樹脂を塗布し該立毛
と混在一体化した樹脂層を形成し、さらに、該熱水抽出
性微粒子を抽出除去して最大孔径の平均値が0.5〜5
μmの範囲にある連続孔を形成することを特徴とする半
銀付調シート状物の製造方法である。
【0007】本発明の半銀付調人工皮革に用いる基体層
は、単糸繊度0.001デニール以下、好ましくは単糸
繊度0.0007デニール以下の極細繊維および/また
は極細繊維束からなる三次元絡合不織布とその絡合空間
に存在する弾性重合体の緻密な発泡体とからなる表面平
滑な繊維質基体層である。単糸繊度0.001デニール
以下の極細繊維および/または極細繊維束は、従来公知
の方法で作られる少なくとも2種類のポリマーからなる
極細繊維発生型繊維から少なくとも1成分を溶解又は分
解除去することにより、又は、機械的又は化学的な処理
により2成分の界面で剥離することにより得ることがで
きる。得られる極細繊維および/または極細繊維束の単
糸繊度を0.001デニール以下とするためには、貼合
わせ型の極細繊維発生型繊維を用いるよりは海島構造の
極細繊維発生型繊維を用いることが工程上有利である。
【0008】極細繊維発生型繊維中で極細繊維を構成す
るポリマーは、6−ナイロン、66−ナイロンをはじめ
とする溶融紡糸可能なポリアミド類、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、カチオン可
染型型変性ポリエチレンテレフタレートをはじめとする
溶融紡糸可能なポリエステル類などから選ばれた少なく
とも1種類のポリマーである。また、溶解または分解除
去される成分は、極細繊維成分と溶剤または分解剤に対
する溶解性または分解性を異にし、極細繊維成分との相
溶性の低いポリマーであり、かつ紡糸条件下で極細繊維
成分より溶融粘度が小さいかあるいは表面張力が小さい
ポリマーであり、例えば、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリエチレンプロピレン共重合体、変性ポリエステ
ルなどのポリマーから選ばれた少なくとも1種類のポリ
マーである。
【0009】極細繊維発生型繊維は、カードで解繊し、
ウェッバーを通してウェッブを形成し、得られた繊維ウ
ェッブは、所望の重さ、厚さに積層し、次いで、ニード
ルパンチ、高速水流などの公知の方法で絡合処理を行っ
て三次元絡合不織布とする。ウエッブには必要に応じて
織編物等を積層することもできる。三次元絡合不織布
は、少なくとも立毛を形成する表面が極細繊維又は極細
繊維発生型繊維でなっていればよいが、得られるシート
状物の風合いの点から繊維シート全体が極細繊維発生型
繊維又は極細繊維からなっていることが好ましい。三次
元絡合不織布は、表面平滑な基体層とするため、弾性重
合体の含浸前にプレス処理などにより表面平滑化するこ
とが好ましい。
【0010】該三次元絡合不織布には、弾性重合体の溶
液又は分散液を含浸し、緻密な発泡体に凝固させる。弾
性重合体の凝固方法としては、弾性重合体の非溶剤を含
む液に浸漬して湿式凝固するか、ゲル化させた後加熱乾
燥する方法などが挙げられる。ここで含浸する弾性重合
体は、従来から皮革様シートの製造に用いられているポ
リウレタン、合成ゴム、アクリル酸エステル系重合体ま
たは共重合体、可塑剤の使用によって弾性化した樹脂、
例えばポリ塩化ビニル、ポリアミド等これら弾性重合体
から選ばれた少なくとも1種類の弾性重合体を主体とし
た重合体を用いることが出来る。しかし、柔軟性、弾性
回復性、スポンジ形成性等よりポリウレタンが好ましく
用いられる。ポリウレタンとしては、例えば、平均分子
量500〜3000のポリエステルジオール、ポリエー
テルジオール、ポリカーボネートジオールあるいはポリ
エステルポリエーテルジオール等の複合ジオール等から
選ばれた少なくとも1種類のポリマージオールと4、
4’ージフェニルメタンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートな
どの芳香族系、脂環族系、脂肪族系のジイソシアネート
などから選ばれた少なくとも1種類のジイソシアネート
と2個以上の活性水素原子を有する少なくとも1種類の
低分子化合物とを所定のモル比で反応させて得たポリウ
レタンおよびその変性物が挙げられる。
【0011】弾性重合体液には必要に応じて着色剤、凝
固調節剤、酸化防止剤、分散剤等の添加剤を配合する。
繊維質基体に占める弾性重合体の比率は、基体に柔軟な
風合いと弾性回復性を持たせ、何より重要なことには立
毛面に樹脂を塗布する前に平滑性の高い基体表面を形成
するために固形分として重量比で10%以上、好ましく
は30〜50%の範囲で含有させるのがよい。弾性体比
率が10%未満では緻密な弾性体スポンジが形成され
ず、基体表面を起毛する際に十分に極細繊維を固定でき
ず、また、弾性体スポンジ自身が緻密で平滑でないため
に樹脂を塗布する前の立毛面が十分な平滑面とならな
い。従って、抽出性微粒子を含有する樹脂を塗布し、抽
出処理を行った製品の表面も高級な半銀付調と称するに
足る十分に緻密な平滑面は得られない。
【0012】極細繊維発生型繊維は、少なくとも1成分
の溶解剤又は分解剤で処理して、又は機械的又は化学的
処理により2成分の界面で剥離して極細繊維および/ま
たは極細繊維束に変性する。極細繊維発生型繊維の変性
処理は弾性重合体の付与前であってもよいが、極細繊維
および/または極細繊維束に変性後に弾性重合体を含
浸、凝固すると、弾性重合体が極細繊維に接着し風合い
が硬くなりやすいため、弾性重合体付与後に変性するこ
とが好ましい。弾性重合体付与前に変性処理を行った場
合は、極細繊維と弾性重合体が接着しないようにポリビ
ニルアルコールなどの溶解除去可能な仮充填剤を付与し
た後に弾性重合を付与することが好ましい。
【0013】上記で得られた三次元絡合不織布と弾性重
合体からなる繊維質基体層は、表面を起毛処理し、単糸
繊度0.001デニール以下の極細繊維からなる立毛を
有する平滑な立毛面を形成する。起毛方法は、針布起毛
機による起毛なども用いられるが 、 サンドペーパーな
どによるバフィングが繊細かつ均一な起毛が可能なこと
より好ましく実施される。極細繊維立毛の単糸繊度は
0.001デニール以下、好ましくは0.0007デニ
ール以下であることが好ましい。0.001デニールよ
り太いと、後工程での弾性重合体を塗布する工程での毛
羽の突き上げによるピンホールが発生し、品位のある外
観は得られない。また、立毛の長さは1mm以下好ましく
は0.5mm以下のものがよい。1mm以上の立毛では弾性
体樹脂層で十分な固定が出来ず均一な半銀面が得られな
いし、平滑面も得られない。
【0014】表面に極細繊維立毛を形成した基体層は、
次いで表面に最大孔径の平均値が0.5〜5μmの範囲
にある連続孔を有する弾性重合体の表面層を付与する。
該表面層は、柔軟性、透気透湿性、半銀付調の外観を得
るために最も重要な部分となる。表面層を構成する弾性
重合体としては、前記した基体層の含浸に用いられる弾
性重合体の1種または2種以上の混合物を使用すること
ができる。多孔質被覆層を得る方法としては、発泡剤を
使用する方法、反応により発泡させる方法、機械発泡し
た塗布液を利用する方法および水抽出性微粒子を利用す
る方法があるが、前3者は乾式膜の中で独立した気泡と
なりやすく孔が連続していないため透湿性を上げる効果
がない。本発明では、抽出性微粒子を含有する弾性重合
体を主体とした樹脂液を塗布し、極細繊維立毛と弾性重
合体を主体とした樹脂が混在する表面層を形成する。
【0015】使用する抽出性微粒子としては、水や温水
に容易に溶解することが必要で、その種類としては塩化
ナトリウム、硫酸ナトリウム、等の無機化合物、ゼラチ
ン、砂糖等の天然有機物、ポリビニルアルコール、アン
モニア変性した無水マレイン酸とイソブチレンの共重合
体(例えば、(株)クラレ社製イソバン:商品名)等の
有機化合物が挙げられる。これらの内、塩化ナトリウ
ム、硫酸ナトリウム、等の無機化合物または砂糖等の有
機物、ポリビニルアルコール等の有機化合物は微粒子化
出来にくくまた溶解性も不十分であり、ゼラチンは溶解
性良好だが吸湿性大で取り扱い性が悪い。また、これら
は一般に十分に微粒子化することが難しく、また、十分
に微粒子化した場合、弾性重合体溶液中で凝集して塊状
となりやすく、最大孔径の平均値が0.5〜5μmの範
囲にある連続孔を形成することは困難である。
【0016】なお、本発明における表面層の最大孔径と
は、該表面層の縦断面を走査型電子顕微鏡等で少なくと
も3000倍に拡大して観察したとき断面に観察される
気孔の最大径をいう。具体的には、3000倍に拡大撮
影した電子顕微鏡写真上で、気孔であるとして確認され
得る直径0.6mm(直径0.2μmに相当)以上の気
孔について、その断面でのそれぞれの最大径を測定した
ものである。本発明の表面層の縦断面に観察される気孔
の多くは、連続するトンネル状の気孔の横断面又は斜め
断面であり、その長径と短径の比が2以下の円形や楕円
形が変形した形状であるが、断面で観察される気孔の形
状として、連続するトンネルの縦断面に近い状態で長径
と短径の比が2以上と長細い気孔形状が観察される場合
があるが、このような場合にはその最大径は短径方向の
最大幅を最大径とする。
【0017】本発明では、粒子の溶解性、微粒子化性、
取扱い性等からみてアンモニア変性した無水マレイン酸
とイソブチレンの共重合体、その中でも特に一部が弾性
重合体の溶液に溶解するものが好ましい。アンモニア変
性した無水マレイン酸とイソブチレンの共重合体は、ア
ンモニア変性の変性度を変更することにより水に対する
溶解性と弾性重合体などの溶剤に対する溶解性を調節す
ることができる。アンモニア変性した無水マレイン酸と
イソブチレンの共重合体の微粒子は、弾性重合体溶液中
に分散した場合、その一部が弾性重合体の溶液に溶解
し、微粒子径が小さくなると共に溶解部分は弾性重合体
とは相分離した状態で存在し、微細な連続孔の形成に寄
与する。
【0018】抽出性微粒子の適切な平均粒度としては、
抽出後の多孔質層の気孔の大きさに関連して2〜20μ
m、好ましくは5〜10μmである。2μm以下では粒
子が凝集しやすくまた抽出性が悪くなり、20μm以上
では気孔が大きくなり過ぎ膜強度が低下しまた表面平滑
性が悪くなる。粒度分布としては1〜50μm程度で、
この中で2〜20μm部分が80%以上であることが好
ましい。弾性重合体の溶剤に部分溶解しない抽出性微粒
子を併用することが出来るが、この場合には、弾性重合
体溶液に混合後に微粒子が細分化しないため、より粒度
の小さい微粒子を用いることが必要であり、また、微粉
砕したときのとがった角ができるだけ少ない微粒子を用
いることが好ましい。抽出性微粒子に鋭利な角が多い
と、抽出後の多孔層がもろく機械的強度に劣った物とな
りやすい。
【0019】表面被覆用樹脂の溶液には抽出性微粒子の
他に必要に応じて着色剤等を混入して基体層の表面に1
層または多層に分けて付与するが、好ましい表面感、タ
ッチ、基体層との接着性を得るには多層に分けそれぞれ
異なる組成で付与するのが望ましい。すなわち、最表面
に塗布する樹脂は、好ましいタッチ、表面強度を得るた
めモジュラスの高いポリウレタンまたは接着性に問題の
ない範囲でニトロセルローズ樹脂を混合したりアミノ酸
重合体を用いることができる。また、最表層の下層に塗
布する樹脂には、良好な風合い、透湿性を得るべくモジ
ュラスの低いポリウレタンを選定し、抽出性粒子は膜強
度に問題のない範囲で多量に混入する。各層の塗布量
は、下層を多めにし、最表層はやや少な目とする。着色
剤は、発色性を考慮にいれ、各層に同種または異種の顔
料または染料を混入する。
【0020】抽出性微粒子の各被覆樹脂層への混入量と
しては、最表層は樹脂100部に対して0〜50部、好
ましくは0〜20部、下層は、樹脂100部に対して5
0〜200部、好ましくは、100〜150部である。
最表層において、抽出性微粒子の混入量が50部以上に
なると耐摩耗性等の表面強度が低下すると共に、鮮明な
発色が得られない。下層において、抽出性微粒子の添加
量が50部以下では十分な多孔質構造が出来ず、また、
200部以上では気孔が合体し巨大空隙が出来膜強度が
低下する。抽出性微粒子の樹脂への混入は分散不良とな
らないように十分な攪拌と凝集した微粒子のろ過が必要
である。
【0021】前記した表面被覆層樹脂の塗布方法として
は、ダイレクトコート、リバースロールコート、離型紙
による転写法等があるが、本発明のように少量を均一に
塗布し、しかも基体に適度に浸透させる塗布方法として
は、グラビア塗布方法が好ましく用いられる。表面被覆
樹脂の塗布量は、固形分で5〜40g/m2、好ましく
は、10〜30g/m2である。5g/m2未満では立毛面
を十分にカバー出来ず、結果として平滑な表面は得られ
ず、ヌバック調の外観となってしまう。また、40g/
m2以上の弾性体樹脂を塗布すると樹脂層が厚くなりすぎ
完全な銀付きとなってしまい、柔軟性、折れ皺の一体感
の不足した物となる。
【0022】抽出性微粒子を含有する樹脂組成液を表面
に付与したシート状物は、微粒子の抽出処理を行うが、
微粒子の抽出方法としては通常の染色機で処理可能であ
る。即ち、Dip−Nip法、ジッガー法、ウインス
法、サーキュラー法等いずれでも可能だが、基体層のリ
ラックス効果も合わせて得られるウインス法、サーキュ
ラー法がより適している。処理条件としては、水温60
℃〜100℃、処理時間40〜100分程度でほとんど
の粒子が抽出され且つ基体層も十分にリラックスされ
る。また、微粒子の抽出と同時に、含金錯塩染料、酸性
染料、硫化染料等で目的とする色に染色する事もでき
る。この微粒子の抽出、リラックス処理により表面被覆
層は最大孔径が実質的に20μm以下でその平均が0.
5〜5μmの連続した気孔を有する多孔質表面被覆層に
変成される。抽出性微粒子として弾性重合体の溶液に部
分溶解せず粒子径の大きいゼラチン微粒子を用いた場合
には、該ゼラチン微粒子を溶解除去しても表面被覆層に
は本発明のように極めて微細な気孔は得られず、最大径
は使用したゼラチン粒子の平均径より大きくなることが
多い。
【0023】抽出、染色処理後のシート状物は、必要に
応じて、表面に高級感を付与するため、半銀付調の外観
を損なわない範囲で追加の着色処理、カレンダー処理等
を組み合わせて実施する。最後に、優れた柔軟性を付与
するため柔軟処理を行うことが好ましい。即ち、微粒子
を抽出して得られた連続多孔質表面被覆層により従来に
ない柔軟な皮革用シート状物が得られるが、さらに柔軟
処理を追加することにより繊維相互および繊維と含浸樹
脂との滑りを良くし、且つ多孔質のセルの中に柔軟剤を
存在させることでしっとりとした独特の風合いを合わせ
持つ柔軟性に優れた皮革様シート状物が得られる。柔軟
剤の付与方法はDip−Nip法で十分である。柔軟剤
としては、例えば、アミノシリコン系、エチレングリコ
ール系、各種油剤等適用可能であるがその柔軟効果はも
ちろん浸透性、樹脂や繊維に対する劣化性、各種堅牢度
等を考慮にいれ選択する。柔軟剤処理後は、柔軟剤の付
与効果を高めるため機械揉み処理を併用するのが好まし
い。
【0024】以上、本発明の骨格を記載したが、各種条
件を組み合わせることにより、各種用途に適した高級な
半銀付調の皮革様シート状物を得ることができる。本発
明で得た皮革様シート状物は、優れた柔軟性、高い透気
透湿性、高級な半銀付調の表面感を持つ皮革様シート状
物であり、衣料、手袋、袋物、鞄、紳士婦人靴用途に適
している。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施を具体的に実施例で説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り
重量に関するものである。
【0026】実施例1 6−ナイロン60部(島成分)と高流動性低密度ポリエ
チレン40部(海成分)からなる海島型の極細繊維発生
型繊維を溶融紡糸により得、これを70度の温水中で
2.5倍に延伸し、繊維油剤を付与し、機械捲縮をかけ
て乾燥後、51mmにカットしてステープルとした。この
繊維の6−ナイロンの海成分の平均繊度は0.0005
デニールであった。この繊維をカードに掛け、クロスラ
ップ法で目付500g/m2のウェッブを形成し、ついで
両面から交互に合計約500パンチ/cm2ニードルパン
チングを施し、さらに加熱し、カレンダーロールでプレ
スすることにより表面の平滑な絡合不織布をつくった。
この絡合不織布の目付は540g/m2、見かけ密度
は、0.3g/cm3であった。この絡合不織布にポリテ
トラメチレンエーテル系ポリウレタンを主体とするポリ
ウレタンのDMF溶液を含浸し、DMF/水混合液の中
に浸して湿式凝固した後、熱トルエン中で複合繊維中の
海成分を溶出除去して極細繊維束とポリウレタンからな
る繊維質シートを得た。得られた繊維質シートを厚さ方
向にスライスし二分割後、分割面をバフィングして厚さ
0.5mmとし、反対面を#400及び#600のサン
ドペーパーで起毛し、立毛シートとした。この立毛面
に、下記配合のアンモニア変性した無水マレイン酸とイ
ソブチレンの共重合体の平均粒径8μmの微粒子(以下
イソバン微粒子という)を含むポリウレタン溶液をグラ
ビア塗布法により下層15g/m2、上層5g/m2
布、乾燥した後、70℃の熱水中で30分間処理するこ
とで水溶性微粒子を溶出除去、乾燥し、極細繊維立毛と
微多孔を有する樹脂が混在した層を形成した。
【0027】 ポリウレタン溶液組成(下層用) エーテル系ポリウレタン(固形分 30%) 100部 イソバン微粒子 30部 MEK 50部 トルエン 50部 ポリウレタン溶液組成(上層用) エーテル系ポリウレタン(固形分 30%) 100部 イソバン微粒子 15部 MEK 50部 トルエン 50部
【0028】表面層を付与したシートを下記の条件で茶
色に染色した。 染色条件 ラニールブラウンGR(住友化学製) 4%owf レベラン NK−D 1g/l 染色温度 90℃ 乾燥後、加熱鏡面ロールを用いて表面を平滑化した後、
柔軟処理としてシリコン系柔軟剤(日華株式会社製、ニ
ッカシリコン/ラステックスの混合物)25%溶液を2
Dip−2Nip処理し、乾燥した後さらに揉み処理を
行って皮革様シート状物に仕上げた。このシート状物の
多孔質被覆層の縦断面を走査型電子顕微鏡により300
0倍に拡大撮影し、断面に現れた気孔の大きさを測定し
たところ、最大孔径20μm以上の気孔は観察されず、
断面7000μm2あたりの最大孔径0.2μm以上の
気孔の総数は398個、その内10μm以下の気孔は3
79個(95%)、2μm以下の気孔は327個(75
%)であり、その平均は1.5μmであった。得られた
シート状物は、風合いが特に良好で、高級感のある半銀
付調の外観を有し、高い透湿性を備えておりカジュアル
シューズ用原反として非常に好ましい物であった。
【0029】実施例2 実施例1の極細繊維発生型複合繊維ステープルをポリエ
チレンテレフタレート繊維からなる編布に水流絡合によ
り絡合させた後、実施例1と同一のポリウレタン溶液を
含浸、湿式凝固し、熱トルエン中で処理して複合繊維の
海成分を溶出除去し、極細繊維を発現させ、繊維質基体
を得た。この後、実施例1と同様の処理を行って皮革様
シート状物に仕上げた。得られたシート状物は、風合い
が特に良好で、高級感のある半銀付調の外観を有し、高
い透湿性を備えておりカジュアルシューズ用原反として
非常に好ましい物であった。
【0030】比較例1 実施例1の平均繊度0.0005drの極細繊維を発生
可能な複合繊維の替わりに平均繊度0.1drの極細繊
維が発生可能なポリエステルテレフタレートと6−ナイ
ロンからなる潜在剥離型複合繊維を用いて、実施例1と
同様に絡合不織布をつくり、実施例1と同一のポリウレ
タン溶液を含浸、湿式凝固した後、ベンジルアルコール
を含む液で処理し、複合繊維の各成分を剥離し、極細繊
維を発現させた。この後、実施例1と同様の処理を行っ
て皮革様シート状物に仕上げた。得られたシート状物
は、風合いが特に良好で、高い透湿性を備えているが、
毛羽の突き上げによるピンホールが表面に多数発生し、
高級感のある外観は得られなかった。
【0031】比較例2 実施例1と同一の表面が起毛された6ーナイロンの極細
繊維とポリウレタンからなる繊維質基体の表面に実施例
1と同様のポリウレタン溶液を固形分で上層として20
g/m2、下層として80g/m2塗布し、この後、実施例
1と同様の処理を行って皮革様シート状物に仕上げた。
得られたシート状物は、高い透湿性を備えているが、堅
めの風合いとなると共に銀付調の外観となり、半銀付調
の特異な外観は得られなかった。
【0032】比較例3 実施例1と同一の表面が起毛された6ーナイロンの極細
繊維とポリウレタンからなる繊維質基体の表面に下記配
合の水溶性微粒子を含まないポリウレタン溶液をグラビ
アで20g/m2塗布、乾燥し、極細繊維立毛と樹脂が混
在した層を形成した。この後、実施例1と同様の処理を
行って皮革様シート状物に仕上げた。得られたシート状
物は、銀付調の外観を有し、風合いが堅くなると共に、
折れ皺の大きなバランスの悪い物となった。
【0033】比較例4 実施例1において、繊維質基体を厚さ方向に二分割後、
分割面をバフィングして得られた厚さ0.5mmのシート
状物の、反対面の起毛処理を行わない以外は、実施例1
と同様の処理を行って皮革様シート状物に仕上げた。得
られたシート状物は、繊維質基体を構成する三次元絡合
不織布の繊維筋が表面に露出した銀付調の外観を有し高
級感に乏しく、また、堅めの風合いとなり、折れ皺の大
きなバランスの悪い物となった。
【0034】
【発明の効果】本発明の半銀付調シート状物は、柔軟
性、透気透湿性に優れ、従来の銀付調シート状物とは異
なった半銀付調の外観を有しており、天然皮革の薄仕上
げ調の外観に極めて類似した外観を有する。従って、本
発明のシート状物を使用して衣料、靴、バッグ類に加工
すれば、高級感のある製品とする事ができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単糸繊度0.001デニール以下の極細
    繊維および/または極細繊維束からなる三次元絡合不織
    布とその絡合空間に存在する弾性重合体の緻密な発泡体
    とからなる表面平滑な繊維質基体層の表面に、該基体層
    の極細繊維と連続した非絡合繊維と最大孔径の平均値が
    0.5〜5μmの範囲にある連続孔を有する弾性重合体
    を主体とした樹脂からなる厚さ5〜40μmの表面層を
    有していることを特徴とする半銀付調シート状物。
  2. 【請求項2】 単糸繊度0.001デニール以下の極細
    繊維および/または極細繊維束からなる三次元絡合不織
    布とその絡合空間に存在する弾性重合体の緻密な発泡体
    とからなる表面平滑な繊維質基体層の表面に該基体層と
    連続した極細繊維立毛を形成した後、該立毛面に熱水抽
    出可能な微粒子を含有する弾性重合体を主体とした樹脂
    を塗布し該立毛と混在一体化した樹脂層を形成し、さら
    に、該熱水抽出性微粒子を抽出除去して最大孔径の平均
    値が0.5〜5μmの範囲にある連続孔を形成すること
    を特徴とする半銀付調シート状物の製造方法。
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