JP2011069019A - 銀付調皮革様シートの製造方法 - Google Patents
銀付調皮革様シートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011069019A JP2011069019A JP2009221260A JP2009221260A JP2011069019A JP 2011069019 A JP2011069019 A JP 2011069019A JP 2009221260 A JP2009221260 A JP 2009221260A JP 2009221260 A JP2009221260 A JP 2009221260A JP 2011069019 A JP2011069019 A JP 2011069019A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyurethane
- nonwoven fabric
- fiber
- layer
- leather
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
- Nonwoven Fabrics (AREA)
Abstract
【解決手段】任意にポリウレタンが含浸された繊維絡合不織布からなる基体層の少なくとも一面に、ポリウレタン水分散液を1.5〜4倍に発泡させた液を塗布・乾燥して、発泡コート層を形成した後、該発泡コート層にポリウレタン不織布を積層一体化することを特徴とする銀付調皮革様シートの製造方法である。
【選択図】なし
Description
また、特許文献5には、樹脂を含有する多孔質発泡体を基布に包含させ、基布の表面に皮革様フィルム層を形成するに際し、皮革様フィルム層を形成する側の基布の片面に、多孔質発泡体を高密度に包含させたシート構造体が提案されている。
更に、特許文献6には、基材層の上にホットメルト不織布層を積層し、この上に着色層を設けることでボリューム感および通気性に優れた皮革様シートが提案されている。
さらに、皮革様フィルム層は溶剤を含んでおり、必ずしも人体への毒性を否定できない。
また、この方法では、凸部と凹部の樹脂層数、構成樹脂が異なるため、凸部のコート層が使用時の摩擦等により剥離しやすい構造となる。
その上、使用する発泡樹脂は、起泡性およびその泡の安定性を確保した上で、凹部に配され、表面にフィルム材料が転写されない凹部においても、十分な耐久性(耐光性、耐候性、耐摩耗性等)を有する素材とすることが必要となるため、使用可能な樹脂、薬剤が限定される、などの問題を有している。
更に、ホットメルト不織布は、通常繊維径が太く地合が不均一であるため、この層を厚くしないと十分な銀面の平滑感・高級感が得られず、一方、十分な平滑感を得るためにこの層の目付を上げ、厚くした場合には、得られた銀付調皮革様シートは、風合いの硬いものとなってしまう。
すなわち、本発明は、
(1)任意にポリウレタンが含浸された繊維絡合不織布からなる基体層の少なくとも一面に、ポリウレタン水分散液を1.5〜6倍に発泡させた液を塗布・乾燥して、発泡コート層を形成した後、該発泡コート層にポリウレタン不織布を積層一体化することを特徴とする銀付調皮革様シートの製造方法、
(2)ポリウレタン不織布が、15〜125g/m2の目付からなる前記(1)に記載の銀付調皮革様シートの製造方法、
(3)前記ポリウレタン水分散液中のポリウレタンと、前記繊維絡合不織布に含浸したポリウレタンが同じである前記(1)又は(2)に記載の銀付調皮革様シートの製造方法、
(4)発泡コート層が、目付3〜40g/m2である前記(1)〜(3)のいずれか1に記載の銀付調皮革様シートの製造方法、
(5)前記発泡コート層の表面に、前記ポリウレタン不織布を構成するポリウレタンの軟化温度よりも20℃以上低い温度を有する熱接着性樹脂の溶液を点状に塗布し、直ちに該ポリウレタン不織布を重ね合わせ、該熱接着性樹脂の軟化温度近傍の表面温度を有するエンボスロールで仮接着し、しかる後、該ポリウレタン不織布の軟化温度以上の表面温度を有するエンボスロールで本接着して、前記基体層及び該発泡コート層と該ポリウレタン不織布を積層一体化する、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の銀付調皮革様シートの製造方法、及び
(6)基体層の繊維絡合不織布が、極細長繊維不織布とその内部にポリウレタンが0〜20質量%含有されてなる前記(1)〜(5)のいずれか1に記載の銀付調皮革様シートの製造方法、
を提供する。
本発明を構成する基体層の繊維絡合不織布(以下、「ウェブ絡合シート」ということがある。)を構成する繊維としては、例えば、得られる銀付調皮革様シートの柔軟性の観点から、少なくとも2種類のポリマーからなる極細繊維発生型繊維等が挙げられる。極細繊維発生型繊維とは、海成分が、水、溶剤又は水酸化ナトリウム等の分解剤により溶解又は分解することで島成分にフィブリル化する、断面が海島構造を有する抽出型繊維、或いは機械的に又は処理剤によって各ポリマーからなる極細繊維にフィブリル化する分割型繊維等を総称したものである。特に柔軟性を要求されない場合は、もちろん通常の太さの繊維からなるものであってもよいし、更に上記極細繊維発生型繊維と通常繊維とを混合使用したものでもよい。
極細繊維発生型繊維は、20〜75mm長の短繊維として採取した後にカード法により短繊維ウェッブとした後、あるいはスパンボンド法のような直接法により紡糸と同時に長繊維ウェッブとした後、ニードルパンチや高速流体により絡合処理して繊維絡合不織布とする。次にこの繊維絡合不織布において、その柔軟性を可能な限り保った状態で必要な強度および安定性を確保することが必要であるが、その方法としては、柔軟性を保ったまま繊維を固定するようにポリウレタン等の高分子弾性体溶液が含浸されてもよいし、後に述べるように不織布の収縮による繊維交絡を十分に促進することで必要な強度および安定性を確保できるのであれば、必ずしも高分子弾性体溶液を含浸する必要は無い。つまり、繊維絡合不織布へのポリウレタンの含浸は任意である。
なお、この熱収縮工程において、長繊維を含有する繊維絡合不織布を熱収縮させ場合には、短繊維を含有する繊維絡合不織布を熱収縮させる場合に比べて、繊維絡合不織布を大きく収縮させることができ、そのために、極細単繊維の繊維密度が特に高くなる。熱収縮処理条件は、十分な収縮が得られる温度であれば特に限定されず、採用する収縮処理方法や処理対象物の処理量などに応じて適宜設定すればよい。例えば温水中へ導入して収縮処理する場合には、70〜150℃の温度範囲における何れかの温度で収縮処理するのが好ましい。
また、乾熱収縮も好ましく採用されるが、湿熱収縮処理がより好ましく、湿熱収縮処理方法としては、スチーム加熱により行うことが好ましい。スチーム加熱条件としては、雰囲気温度が60〜100℃の範囲で、相対湿度40〜100%RH、より好ましくは70〜100%RHの条件で、60〜600秒間加熱処理することが好ましい。このような加熱条件の場合には、繊維絡合不織布を高収縮率で収縮させることができるので好ましい。なお、海島型複合繊維の構成成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いた場合、相対湿度が低すぎる場合には、繊維に接触した水分が速やかに乾燥することにより、収縮が不充分になる傾向がある。
このように湿熱収縮処理された繊維絡合不織布は、極細繊維発生型繊維の熱変形温度以上の温度で加熱ロールや加熱プレスすることにより、さらに、繊維密度を高めてもよい。
十分な繊維交絡を確保し、高い繊維密度を確保することで十分な形態安定性を発現させることで、後に高分子弾性体を付与することなく本発明の銀付調皮革様シートの基体層として使用可能になり、その結果、銀付調皮革様シートに仕上げたときに充実感を発現し、より天然皮革に近いものに出来る。
そして、高い繊維密度を確保することで、高分子弾性体の付与が低下することに伴い、ポリウレタン不織布と基体層を構成する繊維絡合不織布との接着性が低下する。しかしながら、本発明では、高い繊維密度を確保可能な長繊維絡合不織布からなる基体層であっても、ポリウレタン水分散液からなる発泡コート層を介するによって、少量の塗布量で均一に長繊維絡合不織布の表面内部に浸透し、表面近傍にとどまることで、ポリウレタン不織布と長繊維絡合不織布の接着性を安定的に高めるとともに一体感のある風合いを兼ね備えることが可能である。
湿熱収縮処理工程における繊維絡合不織布の目付量の変化としては、収縮処理前の目付量に比べて、1.1倍(質量比)以上、さらには、1.3倍以上で、2.0倍以下、さらには1.6倍以下であることが好ましい。
また、繊維絡合不織布の形態安定性を高める目的で、繊維絡合不織布の極細繊維化処理を行う前及び/又は後に、必要に応じて、ポリウレタン液を含浸し、ポリウレタンの非溶剤を含む液に浸漬して湿式凝固することで緻密な発泡スポンジを形成させてもよい。あるいは、ポリウレタンの水性液を繊維絡合不織布に含浸させた後に感熱ゲル化させて乾式凝固させることによって、形態安定性を向上させてもよい。
ここで含浸するポリウレタンとしては、例えば、平均分子量500〜3000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールあるいはポリエステルポリエーテルジオール等から選ばれた少なくとも1種類のポリマージオールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの芳香族系、脂環族系或いは脂肪族系のジイソシアネートなどから選ばれた少なくとも1種類のジイソシアネート化合物と、2個以上の活性水素原子を有する少なくとも1種類の低分子化合物で分子量300以下の化合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール−1,5、1,4−シクロヘキサンジオール、キシレングリコール等のジオール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン等のジアミン化合物、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のヒドラジン或いはヒドラジド類等から選ばれた少なくとも1種類とを反応させて得たポリウレタンである。
なおポリウレタン溶液中のポリウレタン濃度は10〜50質量%の範囲が好ましい。また上記ポリウレタンとしてポリマージオールと上記低分子化合物のモル比が1:1〜1:7の範囲が好ましい。
そして、このようにポリウレタンを含有させる場合において、極細繊維絡合不織布に対するその含有割合は本発明の銀付調皮革様シートとしての目的を達するものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、最も好ましくは天然皮革並の充実感ある風合いと剥離強力を兼ね備える点で15質量%以下である。ポリウレタン樹脂の含有割合が30質量%を超えると得られる銀付調皮革様シートが硬くなりやすいため好ましくない。
本発明においては、任意にポリウレタンが含浸された繊維絡合不織布からなる基体層の少なくとも一面に、ポリウレタン水分散液を1.5〜6倍に発泡させた液を塗布・乾燥して、発泡コート層が形成される。発泡倍率が1.5未満の場合、発泡コート層を構成する樹脂が基体層の表面近傍にとどまらず、基体層内部に浸透する傾向があり、十分な発泡コート層が得られない。逆に発泡倍率が6を超えた場合、発泡コート層を構成する樹脂が基体層の内部に浸透しにくい傾向があり剥離強力が低下する。
発泡コート層を形成するポリウレタンは、繊維絡合不織布に含有させたポリウレタンと同一であってもよく、また異なっていてもよいが、ポリウレタン不織布と同系統のポリウレタンを用いることで、銀付調皮革様シートの一体感が向上することから好ましい。発泡は、乾式発泡法、機械発泡法のいずれかの方法により形成されることが好ましい。しかしながら、それぞれの手法においては、特にDMF等の人体に毒性のある有機溶剤を用いないことが大前提である。このため、ポリウレタン水分散液をベースに、例えば造粘剤、整泡剤、発泡剤或いは起泡剤等をブレンドして、機械発泡、すなわち樹脂を機械的に攪拌して空気を噛み込ませて発泡させる方法が最も好ましい。
ここでいう発泡倍率は、発泡剤を含有する樹脂溶液をそのまま熱風乾燥した時に、得られる発泡体のみかけ体積が、発泡剤を含有しない同質量の樹脂体積の何倍であるかを意味する。
ここでいう発泡倍率は、樹脂溶液を機械発泡後に乾燥させた体積と機械発泡させていない同質量の樹脂体積の何倍であるかを意味する。
さらに、発泡コート層の目付は、3〜40g/m2であることが、銀付調皮革様シートにおける層間のバランスの点から好ましい。
本発明において、基体層の少なくとも一面に形成された発泡コート層に積層されるポリウレタン不織布は、表面層(銀面層)を構成するもので、ポリウレタンからなり、その目付は、15〜125g/m2で、当該ポリウレタン不織布は、加熱加圧されてフィルム化され、銀面層を形成するものである。
このフィルム化された層、すなわち銀面層は、微細な孔を保っていることが好ましい。このような微細な孔を保つためには、ポリウレタン不織布を極細ポリウレタン繊維からなる不織布で構成することが好ましい。このような極細ポリウレタン繊維からなる不織布で構成することによって、前記した本発明の優れた性能の基本的部分が得られる。
なお、本発明において「極細ポリウレタン不織布とは」、不織布を構成する繊維の平均繊維径が10μm以下のものをいう。ここで、繊維の平均繊維径とは、電子顕微鏡写真により極細ポリウレタン繊維不織布の表面を観察し、任意10箇所の繊維径を測定した平均値とする。
発泡コート層を介して、ポリウレタン不織布からなる層と基体層を接着し、積層一体化する、本発明の銀付調皮革様シートの製造方法は、接着して得られる銀付調皮革様シートに十分な柔軟性を確保し、より天然皮革に近い感性を発現させることが可能である。特に、天然皮革並みの充実感、柔軟性そして通気透湿性を確保した上で天然皮革並の感性を付与するためには、基体層である繊維層の密度を高く保つとともに、含有される高分子弾性体を少なくすることが重要である。
しかしながら、一方で、基体層に含有される高分子弾性体の含有率が低いことにより、銀面層との接着強度を確保することが困難になるという問題がある。
そこで、基体層に含有された高分子弾性体の比率を出来るだけ低く保ち、十分な柔軟性を確保した状態で、必要十分な接着強度を実現するためには基体層の極表面付近に、より軽量でより厚みのある状態でポリウレタン層を形成することがこの層を接着層として銀面層を形成するのに特に有効である。
本発明においては、基体層上に発泡ポリウレタン樹脂液をコートすることによりこの目的を達成した。すなわち、ポリウレタン樹脂を発泡させた状態で基体層上にコートし、直ぐに乾燥することにより、発泡による見掛け粘度の向上と低密度であることに起因して、コート液が基体層の表面付近に集中した状態でポリウレタン層を形成する。
また、基体層上に極細ポリウレタン不織布層を積層して銀面層を形成する場合に、これらが全面に渡り均一に積層できるように、十分な厚さの樹脂層を基体層の上に確保することが必要なのであるが、この点においても、コートするポリウレタン樹脂層を発泡状態にすることにより、コートにより増える重量を極力低く抑えた状態で十分な厚さの発泡ポリウレタン樹脂コート層を確保可能となり、これにより、均一に極細ポリウレタン不織布からなる銀面層を安定に均一に形成可能になるのである。
具体的には、熱エンボスによる加熱プレスが好ましく用いられる。この場合、プレス温度、圧力に関しては特に限定されるものではないが、中央の熱接着性樹脂の連続線状体からなる不織布が均一に十分融けて3層の接着に効率よく寄与することが必要であるので、フラットあるいは細かく浅いシボ(梨地等)のロールを用いることが好ましい。
この時、少なくとも表面層となるポリウレタン不織布の側が熱エンボスロール側に来るように配することが必要である。そして仮接着用に塗布した熱接着性樹脂の軟化点から0〜50℃高い温度で、圧力0.1〜1MPaで加熱加圧することで仮接着することが好ましい。
更に、この本接着による積層一体化処理は、熱接着性樹脂を、基体層およびポリウレタン不織布に浸透させるとともに十分な接着力を発現させるのにも有効である。
このときのプレス温度、圧力は特に限定されるものではないが、通常、該ポリウレタン不織布を構成する樹脂の軟化点より0〜80℃高い温度で、かつ/又は圧力1〜10MPaで積層一体化することが好ましい。軟化点に対して低い温度で接着すると銀面層が形成されないか、あるいは銀面の外観不良が起こり、接着性不良も起こる場合がある。一方、軟化点から80℃を超える高い温度では、発泡コート層の微細孔がつぶれすぎて、通気性不良になる場合がある。あるいは、ポリウレタン不織布を構成する樹脂の流動性が上がりすぎて、熱エンボスロールに付着したり、基体層に流れ込むことで表面平滑性を確保できなくなる。
また、積層(貼り合せ)の圧力としては、1MPaより低い圧力で積層すると接着性不良となる場合があり、10MPaより高い圧力では風合が硬くなる傾向がある。なお、本発明において、軟化点は、融点測定装置(YANACO MP−500V)を用いて、目視にて溶融し始めたと判断した温度をその樹脂の軟化点とした。
なお、本発明において、少量ならば直径300μmを超える気孔が存在しても良い。微細孔直径とは、孔の表面積と同一の面積を有する円の直径と定義する。
その際、接着力の発現は、通気性の低下を抑えるために、表面のポリウレタン不織布の熱融着は、高級感のある銀面層が得られるのに必要な程度に抑えており、主として接着に用いる熱接着性樹脂に基づいている。したがって、軟化点の差が20℃未満或いは接着用樹脂の軟化点の方が高い場合、接着強度が低下し、場合によっては積層物の一体感が損なわれ、あるいはポリウレタン不織布の微細孔が塞がり、通気性が低下する。
剥離強度が30N/2.5cmであれば、銀付調皮革様シートとしての実用に際して、表面のポリウレタン不織布層、すなわち銀面層が基体層から剥離する不具合を殆んど回避できる。
次いで必要に応じて公知の方法によってエンボス型押し、染色、柔軟処理、モミ処理等の仕上処理を行って、銀付調皮革様シートに仕上げることができる。
また、ポリウレタン不織布からなる層(銀面側)と基体層との剥離強度、及び皮革様シートの通気度はそれぞれ以下の方法で測定した。
海成分ポリマーとしてエチレン変性ポリビニルアルコール(エチレン単位の含有量8.5モル%、重合度380、ケン化度98.7モル%)、島成分ポリマーとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)を、それぞれ個別に溶融させた。海成分ポリマー中に均一な断面積の島成分ポリマーが25個分布した断面を形成できる、多数のノズル孔が並列状に配置された複数紡糸用口金に、該溶融ポリマーを断面における海成分ポリマーと島成分ポリマーの平均面積比が海成分/島成分=25/75となるよう圧力バランスで供給し、口金温度250℃でノズル孔より吐出させた。平均紡糸速度が3600m/分となるように気流の圧力を調節したエアジェット・ノズル型の吸引装置で牽引細化させ、平均断面積が177μm2(約2.4dtex)の海島型繊維を紡糸し、これを裏面側から吸引しつつネット上に連続的に捕集した。ネットの移動速度を調節して堆積量を調節し、さらに80℃に保温したエンボスロールにより線圧686N(70kg)/cmで押さえ、目付30g/m2の長繊維ウェブを得た。
平均分子量1150のポリ−3メチル−1,5ペンチルアジペートグリコールと4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび1,4−ブタンジオールを1:4:3のモル比(イソシアネートに基づく理論窒素量4.63%)で仕込み、スクリュー式混練型重合機を用い溶融重合法でポリウレタンを重合した。このポリウレタンの軟化点は172℃であった。得られたポリウレタンを溶融状態のままメルトブロー法で温度260℃に加熱したダイオリフィスから押し出すと共に、その両側にあるスロットから0.4MPaの圧力で噴出す260℃に加熱された高速空気により、25m/分の速度で走行するコンベアネット上に吹き付け、オリフィスから押し出された樹脂を極細繊維化しながら平均目付25g/m2の不織布Aを得た。この時、コンベアネットのオリフィスと反対側には、スロットから噴出した熱風の3倍以上の流量の空気を吸引するサクションにより、繊維流の乱れを防ぐと共に、形成されるウェブの所望の均一性を確保した。また、このコンベアとノズルの間隔は25cmとした。得られた不織布は微細繊維のランダムウェブとなっていた。
製造例1で得られた基体層の上に塗布するコート液として、ポリカーボネート/エーテル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン組成物の水分散液(固形分濃度40%)100部に対し、増粘剤(ACSUL810A)1.0部を加え発泡しない程度に軽く混合した後、整泡剤(ノプコDC100A)3.0部を加え、これも発泡しない程度に軽く混合したものを準備した。この時の混合液の粘度は2240poiseであった。この液を機械発泡により2倍に発泡させた発泡液とし、コンマコーターにて前記基体層上に50μmの厚さでコートした後、熱風乾燥機内を6m/分の速度で通過させることで乾燥した。熱風乾燥機内の温度は、70〜120℃まで徐々に上昇するような温度勾配で設定し、発泡液をコートした基体層をこの熱風乾燥機内を約2分かけて通過させることで発泡コート層を形成した。
次いで、発泡コート層と製造例2で得た極細ポリウレタン不織布を重ね合わせて、極細ポリウレタン不織布がエンボスロールに接するようにして、表面温度が160℃のエンボスロールにより、プレス圧0.49MPa(5kg/cm2)の圧力にて、発泡コート層に極細ポリウレタン不織布を溶融接着して銀付調皮革様シートを得た。
この銀付調皮革様シートは、光沢むらのない高級な皮革様外観を有すると共に通気性1.9cm3/cm2/秒であった。そして表面には平均直径10μmの微細孔が約800個/cm2存在しており、電子顕微鏡写真から、約3割の微細孔に橋架けが見られた。また銀面層(被覆層)の厚みは47μmであった。
また、このものの剥離強度は87N/2.5cmであった。
実施例1において、発泡コート層を形成するためのポリウレタン水分散液として、水系ポリウレタン(日華化学製、エバファノールHA10C)100部に増粘剤(ACSUL810A)1部を加え均一に攪拌後、整泡剤(ノプコDC100A)3部を追加し、泡立たない程度に攪拌し液を混合した。混合後の液の粘度は2300cpsであった液を機械発泡により発泡させ、体積が2倍になるようにし、この発泡液からなるコート液を調製した。このコート液を、コンマコーターを用いて製造例1で得られた基体層(繊維シート)上に50μの厚さでコートし、120℃に設定されたテンター乾燥機中を約1分で走行させて乾燥し、発泡コート層を有する基体層を得た。
得られた発泡コート層を有する基体層に150メッシュのグラビアロールを用いて接着用樹脂としてポリウレタン(SSTC−44:大日精化製、軟化点110℃)の10%ジメチルホルムアミド(以下DMF)溶液を点状に塗布した直後、製造例2で得たポリウレタン不織布を重ね合わせ、110℃の表面梨地様の熱エンボスロールにて、プレス圧0.196MPa(2kg/cm2)にて仮接着して、ポリウレタン不織布が積層された皮革様シートを得た。
この後、エンボスロールの表面温度を160℃に上げ、プレス圧0.49MPa(5kg/cm2)の圧力にて極細ポリウレタン不織布を溶融接着して銀付調皮革様シートを得た。この銀付調皮革様シートは、光沢むらのない高級な皮革様外観を有すると共に通気性0.7cm3/cm2/秒であった。そして表面には平均直径10μmの微細孔が約800個/cm2存在しており、電子顕微鏡写真から、約3割の微細孔に橋架けが見られた。また被覆層の厚みは36μmであった。このものの剥離強度は118N/2.5cmであった。
製造例1で得られた繊維シート上に150メッシュのグラビアロールを用いて接着用樹脂としてポリウレタン(SSTC−44:大日精化製、軟化点110℃)の10%ジメチルホルムアミド(以下DMF)溶液を点状に塗布した直後、製造例2で得たポリウレタン不織布を重ね合わせ、プレスロールで接着、乾燥して仮固定し、ポリウレタン不織布が積層された皮革様シートを得た。その後表面温度160℃のエンボスロールでプレス圧0.49MPa(5kg/cm2)の圧力にて極細ポリウレタン不織布を溶融接着して銀付調皮革様シートを得た。この銀付調皮革様シートは、光沢むらのない高級な皮革様外観を有すると共に通気性4.3cm3/cm2/秒であった。そして表面には平均直径12μmの微細孔が約750個/cm2存在しており、電子顕微鏡写真から、約3割の微細孔に橋架けが見られた。また被覆層の厚みは22μmであった。このものの剥離強度は26N/2.5cmであった。
Claims (6)
- 任意にポリウレタンが含浸された繊維絡合不織布からなる基体層の少なくとも一面に、ポリウレタン水分散液を1.5〜6倍に発泡させた液を塗布・乾燥して、発泡コート層を形成した後、該発泡コート層にポリウレタン不織布を積層一体化することを特徴とする銀付調皮革様シートの製造方法。
- ポリウレタン不織布が、15〜125g/m2の目付からなる請求項1に記載の銀付調皮革様シートの製造方法。
- 前記ポリウレタン水分散液中のポリウレタンと、前記繊維絡合不織布に含浸したポリウレタンが同じである請求項1又は2に記載の銀付調皮革様シートの製造方法。
- 発泡コート層が、目付3〜40g/m2である請求項1〜3のいずれか1項に記載の銀付調皮革様シートの製造方法。
- 前記発泡コート層の表面に、前記ポリウレタン不織布を構成するポリウレタンの軟化温度よりも20℃以上低い温度を有する熱接着性樹脂の溶液を点状に塗布し、直ちに該ポリウレタン不織布を重ね合わせ、該熱接着性樹脂の軟化温度近傍の表面温度を有するエンボスロールで仮接着し、しかる後、該ポリウレタン不織布の軟化温度以上の表面温度を有するエンボスロールで本接着して、前記基体層及び該発泡コート層と該ポリウレタン不織布を積層一体化する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の銀付調皮革様シートの製造方法。
- 基体層の繊維絡合不織布が、極細長繊維不織布とその内部にポリウレタンが0〜20質量%含有されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の銀付調皮革様シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009221260A JP5374299B2 (ja) | 2009-09-25 | 2009-09-25 | 銀付調皮革様シートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009221260A JP5374299B2 (ja) | 2009-09-25 | 2009-09-25 | 銀付調皮革様シートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011069019A true JP2011069019A (ja) | 2011-04-07 |
JP5374299B2 JP5374299B2 (ja) | 2013-12-25 |
Family
ID=44014540
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009221260A Expired - Fee Related JP5374299B2 (ja) | 2009-09-25 | 2009-09-25 | 銀付調皮革様シートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5374299B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013011040A (ja) * | 2011-06-30 | 2013-01-17 | Kuraray Co Ltd | 銀付調皮革様シート |
WO2013065608A1 (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-10 | 東レ株式会社 | シート状物およびその製造方法 |
JP2013518190A (ja) * | 2010-01-25 | 2013-05-20 | ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド | 高強度弾性不織布 |
JP2017002419A (ja) * | 2015-06-08 | 2017-01-05 | 株式会社クラレ | 人工皮革 |
CN117144561A (zh) * | 2023-09-20 | 2023-12-01 | 武汉中科先进材料科技有限公司 | 载有不同发泡倍率微胶囊的纤维膜及其制备方法、轻质保暖面料 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01104634A (ja) * | 1987-10-16 | 1989-04-21 | Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd | ポリウレタン発泡体の製造方法 |
JPH07268781A (ja) * | 1994-03-28 | 1995-10-17 | Kuraray Co Ltd | 半銀付調の外観を有するシート状物およびその製造方法 |
JP2000265378A (ja) * | 1999-03-19 | 2000-09-26 | Kuraray Co Ltd | 通気性の良好な皮革様シート及びその製造方法 |
JP2002115184A (ja) * | 2000-10-13 | 2002-04-19 | Achilles Corp | 合成皮革 |
JP2002363868A (ja) * | 2001-06-01 | 2002-12-18 | Kuraray Co Ltd | 皮革様シートおよびその製造方法 |
JP2003171884A (ja) * | 2001-12-07 | 2003-06-20 | Kuraray Co Ltd | 皮革様シート |
JP2004339614A (ja) * | 2003-05-13 | 2004-12-02 | Teijin Techno Products Ltd | 銀付調人工皮革の製造方法 |
JP2006511727A (ja) * | 2002-12-20 | 2006-04-06 | ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド | 合成皮革を製造するための方法及びそれから製造した合成皮革 |
-
2009
- 2009-09-25 JP JP2009221260A patent/JP5374299B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01104634A (ja) * | 1987-10-16 | 1989-04-21 | Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd | ポリウレタン発泡体の製造方法 |
JPH07268781A (ja) * | 1994-03-28 | 1995-10-17 | Kuraray Co Ltd | 半銀付調の外観を有するシート状物およびその製造方法 |
JP2000265378A (ja) * | 1999-03-19 | 2000-09-26 | Kuraray Co Ltd | 通気性の良好な皮革様シート及びその製造方法 |
JP2002115184A (ja) * | 2000-10-13 | 2002-04-19 | Achilles Corp | 合成皮革 |
JP2002363868A (ja) * | 2001-06-01 | 2002-12-18 | Kuraray Co Ltd | 皮革様シートおよびその製造方法 |
JP2003171884A (ja) * | 2001-12-07 | 2003-06-20 | Kuraray Co Ltd | 皮革様シート |
JP2006511727A (ja) * | 2002-12-20 | 2006-04-06 | ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド | 合成皮革を製造するための方法及びそれから製造した合成皮革 |
JP2004339614A (ja) * | 2003-05-13 | 2004-12-02 | Teijin Techno Products Ltd | 銀付調人工皮革の製造方法 |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013518190A (ja) * | 2010-01-25 | 2013-05-20 | ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド | 高強度弾性不織布 |
JP2013011040A (ja) * | 2011-06-30 | 2013-01-17 | Kuraray Co Ltd | 銀付調皮革様シート |
WO2013065608A1 (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-10 | 東レ株式会社 | シート状物およびその製造方法 |
JPWO2013065608A1 (ja) * | 2011-10-31 | 2015-04-02 | 東レ株式会社 | シート状物およびその製造方法 |
JP2017002419A (ja) * | 2015-06-08 | 2017-01-05 | 株式会社クラレ | 人工皮革 |
CN117144561A (zh) * | 2023-09-20 | 2023-12-01 | 武汉中科先进材料科技有限公司 | 载有不同发泡倍率微胶囊的纤维膜及其制备方法、轻质保暖面料 |
CN117144561B (zh) * | 2023-09-20 | 2024-03-26 | 武汉中科先进材料科技有限公司 | 载有不同发泡倍率微胶囊的纤维膜及其制备方法、轻质保暖面料 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5374299B2 (ja) | 2013-12-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100465381B1 (ko) | 피혁형 시트 | |
JP4503096B1 (ja) | 透湿防水性布帛およびその製造方法 | |
US20070231547A1 (en) | Grain-Finished Artificial Leathers | |
KR20100130221A (ko) | 스플릿 레더 제품 및 그 제조 방법 | |
JP4464119B2 (ja) | 人工皮革用基材、これをベースとする各種人工皮革、および人工皮革用基材の製造方法 | |
US20100159772A1 (en) | Grain leather-like sheet having excellent scratch resistance and abrasion resistance | |
JP5374299B2 (ja) | 銀付調皮革様シートの製造方法 | |
JP4560511B2 (ja) | 銀付き調人工皮革 | |
TW201105509A (en) | Method for preparing polyurethane laminate and polyurethane laminate obtained from the said method | |
JP2004211258A (ja) | 意匠形成用皮革様シート | |
JP2011069018A (ja) | 皮革様シート及びその製造方法 | |
JP2004211262A (ja) | 耐摩耗性の良好な皮革様シート | |
JP3967486B2 (ja) | ランドセル用に適した人工皮革 | |
JP4025425B2 (ja) | 皮革様シート状物の製造方法 | |
JP4021095B2 (ja) | 通気性の良好な皮革様シート及びその製造方法 | |
JP2012017541A (ja) | 銀付調人工皮革 | |
JP3946494B2 (ja) | 銀付人工皮革およびその製造方法 | |
JP4132369B2 (ja) | 通気性の良好な皮革様シートの製造方法 | |
JP2013194336A (ja) | 銀付調人工皮革およびその製造方法 | |
JP3391982B2 (ja) | 透気性の良好な皮革様シート及びその製造方法 | |
JP3961327B2 (ja) | 皮革様シート | |
JP2002317387A (ja) | 銀付人工皮革及びその製造方法 | |
JP2003171884A (ja) | 皮革様シート | |
JP2002339261A (ja) | 皮革様シートおよびその製造方法 | |
JP4024691B2 (ja) | 皮革様シート |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120214 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20121030 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121113 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130108 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130827 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130920 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |