JPH0959878A - 柔軟なヌバック調人工皮革及びその製造方法 - Google Patents

柔軟なヌバック調人工皮革及びその製造方法

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JPH0959878A
JPH0959878A JP21464495A JP21464495A JPH0959878A JP H0959878 A JPH0959878 A JP H0959878A JP 21464495 A JP21464495 A JP 21464495A JP 21464495 A JP21464495 A JP 21464495A JP H0959878 A JPH0959878 A JP H0959878A
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久夫 米田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】柔軟で極めて短い立毛を有し、繊細な外観とぬ
めり感を有するヌバック調の皮革様シート状物を提供す
る。 【構成】弾性ポリマーからなる極細繊維束と非弾性ポリ
マーからなる極細繊維束(非弾性繊維束)の絡合不織布
で、少なくとも一面に不織布と連続した極細繊維束繊維
からなる立毛を有し、該立毛の根元付近では、弾性重合
体が多孔質状態で存在しておりかつ該弾性重合体が極細
繊維束内部にも存在しており、一方不織布内部では、極
細繊維束内部に弾性重合体が実質的に存在していないこ
とを特徴とする柔軟なヌバック調人工皮革である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,柔軟で極めて短い
立毛を有し、繊細な外観とぬめり感を有するヌバック調
の皮革様シート状物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ヌバック調の外観を有するシ
ート状物について種々提案されている。例えば編織布ま
たはポリウレタンを含有した不織布シート状物の表面に
ポリウレタンからなる湿式多孔層を形成し、その表面を
研削して湿式多孔層を毛羽立たせることによりヌバック
調を有するシート状物が得られることが知られている。
その代表例として、特開平4ー308279号公報に
は、ポリウレタンの種類及び凝固調節剤を選択して、湿
式凝固させることにより、湿式多孔層を、表面平滑性が
良好で均一で微細な縦長のスポンジ構造を有するものと
し、この表面を研削することによりスエード調よりはる
かに繊細なヌバック調の外観を有する皮革様シート状物
が得られることが提案されている。しかしながら、実際
に得られる皮革様シート状物は、表面タッチに関しては
緻密で天然皮革様ではあるが、表面が極細繊維により形
成されていないために、表面を触った折りに毛羽の傾き
による模様が書ける、いわゆるライティング効果のない
ものであり、また表面には厚いスポンジ構造層があるた
めに基体層との一体感に欠け、風合いが硬いという欠点
を有する。
【0003】表面に極細立毛繊維を有するヌバック調シ
ート状物の製造方法としては、特公昭62−42076
号公報に記載された技術が挙げられる。それによると、
極細繊維からなる立毛を有するシートに樹脂を含浸しま
たは塗布して立毛を固定し、ついで立毛面をカレンダー
ロールによりプレス処理した後に、バフイングにて表面
を起毛する方法が記載されている。さらに表面が立毛繊
維で覆われているスエード調人工皮革の製造方法とし
て、特公平6−37752号公報には、極細繊維の絡合
不織布にポリウレタンの発泡スポンジを含有したシート
の表面を起毛し、シートを構成する材料を溶解しない有
機溶剤中にて柔軟処理する方法が提案されている。しか
しながらこれらの方法で得られる立毛シートは、表面が
極細立毛繊維にて覆われているためにライティング効果
はあるものの、表面のタッチがドライで、また風合いも
柔軟なものではない。
【0004】一方、特開平5ー339863号公報に
は、極細繊維発生型繊維が弾性ポリマーからなる島成分
群と非弾性ポリマーからなる島成分群からなる海島繊維
であって、この極細繊維発生型繊維から絡合不織布を作
製した後、極細繊維発生型繊維から海成分を除去して、
弾性ポリマーからなる極細繊維と非弾性ポリマーからな
る極細繊維の絡合シートを作製し、表面を起毛処理する
とスエード調人工皮革が得られることが記載されてい
る。この人工皮革には、ポリウレタンのスポンジが含有
されていないために、伸縮性があり、極めて柔軟性にと
んだ風合いを有するものではあるが、表面の毛羽感が粗
く、ヌバック調にはなりにくく、また表面のタッチもヌ
バック特有の緻密さがないという欠点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、柔軟で
極めて短い立毛を有し、繊細な外観とぬめり感を有する
ヌバック調の皮革様シート状物は未だ発明されていな
い。本発明は、弾性ポリマーからなる極細繊維束と非弾
性ポリマーからなる極細繊維束が存在している絡合不織
布からなるシート状物であって、伸縮性と柔軟性と充実
感のある風合いを有し、表面には極めて短い立毛を有
し、さらに繊細な外観とぬめり感、および良好なライテ
ィング効果を有するヌバック調の皮革様シート状物を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、弾性ポリマー
からなる極細繊維束と非弾性ポリマーからなる極細繊維
束から構成された絡合不織布の少なくとも一面には該不
織布に連続した極細繊維束からなる立毛が存在している
人工皮革において、該立毛の根元付近では、弾性重合体
が多孔質状態で存在しておりかつ該弾性重合体が極細繊
維束内部にも存在しており、一方不織布内部では、極細
繊維束内部に弾性重合体が実質的に存在していないこと
を特徴とするヌバック調人工皮革である。
【0007】このような本発明のヌバック調人工皮革の
代表的な製造方法としては、以下の2通りが挙げられ
る。すなわちひとつの方法は、以下の工程〜 弾性ポリマーからなる島成分群(A)と非弾性ポリマ
ーからなる島成分群(B)を有する極細繊維束発生型繊
維を用いて絡合不織布を作製する工程、 該絡合不織布を収縮させる工程、 該極細繊維束発生型繊維を極細繊維束に変成する工
程、 少なくとも一面に立毛を形成する工程、 該立毛面に弾性重合体を主体とした樹脂液を塗布し多
孔質状態に凝固させる工程、 さらに起毛処理する工程、 得られた立毛シートを染色する工程、 を順次行うことにより本発明のヌバック調人工皮革を製
造する方法であり、そしてもうひとつの方法は、上記
の工程に置き換えて下記の工程’を行い、続いて上記
〜の工程を順次行う方法である。 ’弾性ポリマーが島成分として存在している極細繊維
束発生型繊維(a)と、非弾性ポリマーが島成分として
存在している極細繊維束発生型繊維(b)から絡合不織
布を作製する工程、
【0008】本発明のスエード調人工皮革の基体層を構
成する繊維は、絡合不織布にした場合に弾性極細繊維束
と非弾性極細繊維束が混在された状態になるものであれ
ばよく、たとえば弾性極細繊維束発生型繊維(a)と非
弾性極細繊維束発生型繊維(b)を混綿したものにより
目的は達成され、また弾性ポリマーからなる島成分群
(A)と非弾性ポリマー群からなる島成分群(B)を有
する2つの海島構造が同一繊維内に存在している極細繊
維束発生型繊維を用いることによっても目的は達せられ
る。
【0009】この様な繊維を製造する方法として、弾性
ポリマーを繊維軸方向に長く伸びる島成分とし、この弾
性ポリマーとは相溶性を有さず、かつ弾性ポリマーとは
溶剤に対する溶解性を異にするポリマーを海成分とし
て、混合紡糸方法あるいは複合紡糸方法により海島構造
繊維を製造し、また非弾性ポリマーを繊維軸方向に長く
伸びる島成分とし、この非弾性ポリマーとは相溶性を有
さず、かつ非弾性ポリマーとは溶剤に対する溶解性を異
にするポリマーを海成分として、混合紡糸方法あるいは
複合紡糸方法により海島構造繊維を別々に製造する方法
が挙げられる。また弾性ポリマーを繊維軸方向に長く伸
びる島成分とし、この弾性ポリマーとは相溶性を有さ
ず、かつこの弾性ポリマーとは溶剤に対する溶解性を異
にするポリマーを海成分とするポリマー混合流と、非弾
性ポリマーを繊維軸方向に長く伸びる島成分とし、この
非弾性ポリマーおよび非弾性ポリマーとは相溶性を有さ
ず、かつこの非弾性ポリマーとは溶剤に対する溶解性を
異にするポリマーを海成分とするポリマー混合流を別々
に準備し、紡糸口金にてこれらポリマー流を合流してノ
ズルより吐出し、紡糸する方法もある。この方法の場合
には、得られる一本の極細繊維束発生型繊維中には、弾
性ポリマーからなる極細繊維成分(A)と非弾性ポリマ
ーからなる極細繊維成分(B)が共存することとなる。
なおこれらの方法において、海成分ポリマーとしては、
共通の溶媒により溶解するものが好ましく、したがって
同一のポリマーを用いるのが好ましい。
【0010】該非弾性ポリマーからなる極細繊維成分
(B)と弾性ポリマーからなる極細繊維成分(A)との
重量比率は95/5〜5/95、望ましくは85/15
〜30/70である。非弾性極細繊維成分(B)が95
%以上になると得られるシートは柔軟性に欠け、弾性ポ
リマーからなる極細繊維の膠着が少なく繊維の素抜けが
発生、一方5%以下になると風合いは柔軟であっても、
ヌバック調の外観にした場合に、ライティング効果のな
いものとなる。また極細繊維束の単繊維繊度は、0.5
デニール以下、好ましくは0.1〜0.0001デニー
ルである。単繊維繊度が0.5デニールを越えると発色
性は向上するが、ヌバック感に劣り、0.0001デニ
ール未満になると、細すぎて発色性の劣るものとなる。
なおここで言うデニールとは平均の値であり、極細繊維
束一本のトータルデニールを平均極細繊維本数(平均島
数)で割った値である。
【0011】本発明に用いる島成分の弾性ポリマーとし
ては、該ポリマーを繊維に形成し、この繊維を室温にて
50%伸張した場合の1分後の伸張弾性回復率が50%
以上であるポリマーを意味し、また非弾性ポリマーとは
同様にして測定した伸張弾性回復率が50%未満または
室温において限界伸張率が50%に達し得ないポリマー
を意味している。
【0012】島成分に用いられる非弾性ポリマーとして
は、たとえばポリエチレンテレフタレートまたはそれを
主体とする共重合体、ポリブチレンテレフタレートまた
はそれを主体とする共重合体、脂肪族ポリエステルまた
はその共重合体等の可紡性ポリエステル類、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、そ
の他の可紡性ポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブチレン等のポリオレフィン類、アクリル系
共重合体、ポリビニルアルコール類等が挙げられる。一
方島成分に用いられる弾性ポリマーとしては、たとえば
ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエ
ステルポリエーテルジオール、ポリラクトンジオール、
ポリカーボネートジオールなどの平均分子量500〜3
500のポリマージオールから選ばれた少なくとも一種
とジフェニルメタンジイソシアネートで代表される有機
ジイソシアネート化合物とエチレングリコール、エチレ
ンジアミン、ブタンジオール等の活性水素原子を2個有
する鎖伸張剤とを反応させて得られるポリウレタン類、
ポリイソプレン、ポリブタジエンなどの共役ジエン重合
体ブロックを分子中に有するポリマー類、その他紡糸可
能な上記したゴム弾性挙動を示すポリマー類が挙げられ
る。なかでも、上記ポリウレタン類が弾性回復性および
強度等の点で好ましい。これら島成分中には、必要によ
り着色剤や各種安定剤が添加されていてもよい。
【0013】また海成分を構成するポリマーとしては、
島成分の非弾性ポリマー及び弾性ポリマーとは特定の溶
剤や分解剤に対する溶解性あるいは分解性を異にするポ
リマーであり、かつ熱成型温度が重なっているもので、
溶融状態において紡糸に要する時間内では、これらのポ
リマー間で紡糸に支障を生じる反応や相互作用を及ぼさ
ないもの等が用いられる。たとえば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン
酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレンアクリル
共重合体、スチレンエチレン共重合体、などのポリマー
から選ばれた少なくとも一種類のポリマーである。
【0014】得られた極細発生型繊維を従来公知の方法
にて、延伸、熱固定、捲縮、カット、解繊などの工程を
行って原綿を作製する。この原綿で、混綿方法にて作製
する場合は混綿重量比率は海成分除去後で95/5〜5
/95、望ましくは85/15〜30/70であり、そ
の理由は前記した理由と同一である。かかる原綿はカー
ドで解繊し、ウエーバーでウェブを形成し、ウェブは必
要に応じて積層し、所望の重さにする。必要により、他
の繊維を本発明の目的を大きく損なわない範囲内で混綿
してもよい。次いで公知の手段にて絡合処理を施して繊
維絡合不織布を形成する。好ましい絡合処理は、ニード
ルパンチ法及び/または高速水流噴射法である。好適な
ニードルパンチ数は一般的に200〜2500パンチ/
cm2 の範囲内で設定される。
【0015】このようにして得た不織布シートに収縮処
理を行い、風合いの調節等で必要があれば樹脂を含有し
ても差し支えない。本発明で得られたヌバック調人工皮
革に十分な伸縮挙動を付与し、柔軟性を得るには、繊維
絡合不織布を収縮させるのが好ましい。収縮の程度は収
縮前の不織布の面積に対して、10%〜80%の面積収
縮を生じる程度である。
【0016】また繊維絡合不織布にバインダー樹脂を含
有することにより人工皮革の性質を変えることができ
る。従って付与されるバインダー樹脂は公知の弾性ポリ
マーでも非弾性ポリマーでも、さらにその中間領域をし
めるポリマーであってもよい。しかし柔軟性と伸縮性の
基材を得るには、弾性ポリマーを用いることが望まし
い。不織布にバインダー樹脂を含浸する方法として、不
織布構成繊維を溶解または著しく膨潤させない溶剤にバ
インダー樹脂を溶解または分散させて、この溶液を不織
布に含浸させる方法が用いられる。またバインダー樹脂
を不織布に含浸させる際には、不織布を構成する繊維は
海成分が除去されていない状態であらねばならない。海
成分が除去された後にバインダー樹脂が含浸された場合
には、バインダー樹脂が極細繊維束の内部まで侵入して
極細繊維の柔軟性を大きく損なうこととなり、さらに極
細繊維の立毛性が損なわれ、本発明のヌバック調の人工
皮革が得られないこととなる。
【0017】繊維絡合不織布に含浸したバインダー樹脂
溶液または分散液からバインダー樹脂を凝固させる方法
に関しては、熱処理で凝固させる方法、非溶剤または溶
剤−非溶剤混合液中に浸漬して凝固させる方法等の公知
の方法が挙げられる。
【0018】次に、該不織布シートを構成する極細繊維
束発生型繊維の海成分を溶解する溶剤あるいは分解する
分解剤で不織布シートを処理することにより繊維中の海
成分を除去し、極細繊維束に変成する。海成分除去を行
うと多くの場合、非弾性ポリマーからなる極細繊維と弾
性ポリマーからなる極細繊維の間で、交絡部で部分的に
膠着が生じ、表面を起毛した時の毛羽脱落防止、シート
の形態安定性の向上になる。
【0019】続いてこの基体の表面を起毛し、極細繊維
を主体とした立毛を有する平滑な立毛面を形成する。立
毛繊維は、当然のことながら、不織布を構成する極細繊
維束と連なり、不織布シートを構成する極細繊維束の
内、表面に露出又はそれに近い状態の部分が起毛される
ことにより生じることとなる。起毛方法としては公知の
起毛方法を用いればよく、例えば針布起毛またはサンド
ペーパーによるバフィング等で行う。立毛繊維は、繊度
が0.5デニール以下、好ましくは0.1 〜0.00
1デニールの極細繊維であり、この細さがヌバック調の
繊細な立毛となり得るものである。
【0020】かくして得られたシートの構造は、非弾性
極細繊維と弾性極細繊維の絡合シートを起毛しただけの
ものであり、表面の平滑性の点で緻密なヌバック調の外
観とはならない。ヌバック調の外観とするために、本発
明では、さらに、この立毛面に弾性体樹脂液を塗布し、
極細繊維立毛と弾性体樹脂が混在する層を形成する。具
体的には、たとえば100%モジュラスが80kg/c
2 以下の柔軟なポリウレタンの溶液または水系エマル
ジョンをグラビヤで固形分で0.1〜10g/m2 、好
ましくは0.2〜5g/m2 塗布する。0.1g/m2
満では十分にカバーできず、結果として平滑な表面は得
られない。また、10g/m2 を越える量の弾性体を塗
布すると表面の樹脂量が多すぎて、バフィングしても立
毛面にはならない。
【0021】ここで塗布に使用する樹脂は、塗布面の平
滑性、ヌバック感、表面タッチから、塗布後において乾
式フイルム状の無孔質膜となるものではなく、多孔構造
を有する弾性体樹脂層を形成することが好ましい。この
様な多孔構造は、たとえば加熱することによりゲル化
し、多孔構造を形成する水系ポリウレタンを塗布し加熱
ゲル化させることにより、またはゼラチンや塩類などの
水溶性微粒子を分散させたポリウレタン溶液を塗布し固
化した後に該水溶性微粒子を溶出除去することにより形
成される。一方、湿式凝固方法で多孔構造とする方法も
あるが、目標とする少量の塗布量では十分な多孔層が形
成することが難しく、コスト的にも非合理的である。し
かし実施できない技術ではない。このようにすることに
より、立毛繊維の根元付近では、弾性重合体が多孔質状
態で存在しており、かつ根元付近の極細繊維束の内部に
も弾性重合体が存在していることとなる。このように存
在する弾性重合体が、表面のヌバック感および繊細な外
観とぬめり感をもたらすこととなる。
【0022】ここで塗布する弾性体としては、公知のい
ずれのポリウレタンでもよく、その種類はポリエステル
系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等があるが、
耐久性の点より、ポリエーテル系およびポリカーボネー
ト系が好ましい。また塗布方法は、ダイレクトコート、
リバースコート、グラビヤ、離型紙転写、スプレー等あ
るが、本発明の様に少量を均一に塗布する方法として、
グラビヤ塗布が好ましい。
【0023】次いで、この層の表面を再度サンドペーパ
ー等でバフィングして、最表面の樹脂層を研削、起毛
し、樹脂層に内在する極細繊維を掘り起こし、ポリウレ
タンの多孔質樹脂と非弾性極細繊維と弾性極細繊維が一
体となったヌバック調の表面を有した立毛シートを得
る。
【0024】この立毛シートを酸性染料や分散染料等に
て染色し、必要により、揉み加工、整毛、処理を行い、
表面が繊細で均一な立毛を有し、伸縮性がありソフト性
に優れた柔軟なヌバック調人工皮革が得られる。本発明
で得られた柔軟なヌバック調人工皮革は、衣料用、靴
用、鞄用、インテリヤ用、車両シート用、手袋用等に好
適である。
【0025】
【実施例】次に本発明を具体的に実施例で説明するが,
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の部、%および比率は断わりのない限り重
量に関するものである。
【0026】実施例1 サイドバイサイド紡糸機を用いて、押出機(I)側に6
ナイロン(島成分)のチップとポリエチレン(海成分)
のチップを重量比で1:1で混合したものを、また押出
機(II)にポリエステル系ポリウレタン(島成分)のチ
ップとポリエチレン(海成分)のチップを重量比で1:
1で混合したものを、吐出量比率を押出機(I):押出
機(II)=60:40で溶融紡糸を行い、10デニール
の複合繊維の原糸を得た。次にこの複合繊維を2.5倍
に延伸し、捲縮を行い繊維長を51mmに切断して、繊
度4デニールのステープルを得た。ついでクロスラッパ
ーウェーバーを用いてウェブを作製し、該ウェブの両面
から交互に合計600パンチ/cm2 のニードルパンチ
を行い、目付約780g/cm2 の繊維絡合不織布を作
製した。この繊維絡合不織布を95℃の熱水中にて面積
で25%収縮させた。収縮処理した繊維絡合不織布を乾
燥し、熱パークロルエチレンにて繊維絡合不織布の海成
分のポリエチレンを除去し繊維をポリウレタンの極細繊
維束とナイロンの極細繊維束からなる繊維束に変成し
た。
【0027】この海成分除去処理により、ポリウレタン
の極細繊維間の膠着とナイロンの極細繊維とポリウレタ
ン極細繊維の接点による膠着が形成され、厚さ1.4m
m、重さ525g/m2 の繊維基体を得た。この繊維基
体を厚さ方向に二分割にスライスし、スライス面をサン
ドペーパーにてバフィングし、厚さ0.55mmに厚み
合わせを行った後、他の面を粒度#400のサンドペー
パーで起毛処理を施し、繊維立毛シートとした。この繊
維立毛シートの立毛面に下記配合組成の水系ポリウレタ
ンエマルジョンをグラビヤ塗布法にて20g/m2 (樹
脂分4.7g/m2)塗布し、100℃で2分間、さら
に130℃で4分間加熱乾燥し、極細繊維立毛と微多孔
を有する樹脂の混在した層を形成した。その後グラビヤ
塗布面をサンドペーパーにてバフィングし、立毛シート
を得た。 組成 水系ポリウレタンエマルジョン(固形分40%) 100部 凝固促進剤 20部 水 50部
【0028】この立毛シートを下記の条件にて黄茶に染
色した。 染色条件 ラニール ブラウンGR(住友化学製) 2% owf イルガラン イエロー 2RL 1% owf レベラン NK−D 1% g/l
【0029】染色したシートを乾燥後、揉み処理及び整
毛処理を行うと、表1に記するような、立毛表面は均一
で、緻密な立毛を有し、ぬめり感のあるタッチを有し、
さらに緻密なライティング効果を有するヌバック調人工
皮革が得られた。なおこの人工皮革を構成する極細繊維
の平均デニールは0.01デニールであった。またこの
人工皮革の表面および内部を顕微鏡で観察したところ、
立毛繊維の根元付近は弾性重合体の多孔質体で覆われて
おり、かつ根元付近の繊維束内部まで弾性重合体が侵入
していること、および人工皮革の内部においては繊維束
内部には実質的に弾性重合体が存在していないことが観
測された。
【0030】実施例2 平均分子量1000のポリブチレンアジペートグリコー
ル、ジフェニルメタンジイソシアネート及び1.4−ブ
タンジオールを反応させて得たポリエステル系ポリウレ
タンエラストマー50部と低密度ポリエチレン50部か
らなり繊維横断面構造がポリウレタンが繊維軸方向に長
く伸びる島成分になった海島構造の2成分繊維を溶融紡
糸し、温水中にて2.0倍に延伸し、油剤を付与して捲
縮した後、51mmに切断し、繊度4デニール、70℃
の熱水収縮率25%のステーブル(繊維a)を得た。一
方 6−ナイロン50部、ポリエチレン50部を同一溶
融系で溶解し、混合紡糸を行い、繊維横断面構造がナイ
ロンが島成分、ポリエチレンが海成分となっている繊度
10デニールの海島繊維を得た。この繊維を温水中にて
2.5倍に延伸し、機械捲縮して、繊維長51mmに切
断してステープル(繊維b)を得た。
【0031】繊維a及び繊維bを混綿率を繊維a/繊維
b=40/60にて混綿し、カードにかけて解繊し、ラ
ンダムウェッバーでウェブを作製し、このウェブ3枚を
積層し、ウェブの両面よりニードル針にて交互に、合計
480パンチ/cm2 のニードルパンチを行い、重さ3
00g/m2の絡合不織布を得た。この不織布を70℃
の温水中に3分間浸漬して収縮処理を行い、脱水後に熱
トルエン中で、繊維a及び繊維bのポリエチレンを溶解
除去し、繊維bをナイロンの極細繊維束及び繊維aをポ
リウレタンの極細繊維束にそれぞれ変成させた繊維基体
を作製した。この繊維基体の厚み方向に二分割にスライ
スし、スライス面をサンドペーパーにてバフィングし、
厚さ0.55mmに厚みあわせを行った後、他の面を粒
度#400のサンドペーパーで起毛処理を施し、繊維立
毛シートとした。この繊維立毛シートの立毛面に実施例
1と同一の水系ポリウレタンエマルジョンをグラビヤ塗
布法にて20g/m2 (樹脂分4.7g/m2)塗布
し、100℃で2分間、さらに130℃で4分間加熱乾
燥し極細繊維立毛と微多孔を有する樹脂の混在した層を
形成した。その後グラビヤ塗布面をサンドペーパーにて
バフィングし、立毛シートを得た。
【0032】その後、実施例1と同様に茶色に染色、乾
燥後、揉み処理及び整毛処理を行うと立毛表面は均一
で、緻密な立毛を有し、ぬめり感のあるタッチを有し、
さらに緻密なライティング効果を有するヌバック調人工
皮革が得られた。この人工皮革を構成する極細繊維の平
均デニールは0.008デニールであった。またこの人
工皮革の表面および内部を顕微鏡で観察したところ、立
毛繊維の根元付近は弾性重合体の多孔質体で覆われてお
り、かつ根元付近の繊維束内部まで弾性重合体が侵入し
ていること、および人工皮革の内部においては繊維束内
部には実質的に弾性重合体が存在していないことが観測
された。
【0033】比較例1 上記実施例1において、表面のバフィングまでは同じ方
法を行い、そして立毛面に水系のポリウレタンエマルジ
ョンを塗布せずに実施例1と同じ条件にて染色仕上げを
行った。その結果、得られたシートは、風合いがソフト
ではあるが、外観については毛羽長が長くヌバック感に
乏しく、表面タッチはドライタッチでぬめり感のないス
エード調のものであった。
【0034】比較例2 実施例2において、表面のバフィングまでは同じ方法を
行い、そして立毛面に水系のポリウレタンエマルジョン
を塗布せずに実施例1と同じ条件にて染色仕上げを行っ
た。その結果、得られたシートは、風合いはソフトであ
はあるが、外観については毛羽長が長くヌバック感に乏
しく、表面タッチはドライタッチでぬめり感のないスエ
ード調のものであった。以上の実施例及び比較例で得ら
れた人工皮革の物性及び性能について表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明により、弾性ポリマーからなる極
細繊維束と非弾性ポリマーからなる極細繊維束が存在し
ている絡合不織布からなるシート状物であって、伸縮性
と柔軟性と充実感のある風合いを有し、表面には極めて
短い立毛を有し、さらに繊細な外観とぬめり感、および
ライティング効果を有するヌバック調の皮革様シート状
物が得られる。そして本発明で得られたヌバック調人工
皮革は、衣料用、鞄用、靴用、インテリヤ用、自動車シ
ート用、手袋用等に好適に使用される。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弾性ポリマーからなる極細繊維束と非弾性
    ポリマーからなる極細繊維束から構成された絡合不織布
    の少なくとも一面には該不織布から連なる極細繊維束か
    らなる立毛が存在している人工皮革において、該立毛の
    根元付近では、弾性重合体が多孔質状態で存在しており
    かつ該弾性重合体が極細繊維束内部にも存在しており、
    一方不織布内部では、極細繊維束内部に弾性重合体が実
    質的に存在していないことを特徴とするヌバック調人工
    皮革。
  2. 【請求項2】以下の工程〜 弾性ポリマーからなる島成分群(A)と非弾性ポリマ
    ーからなる島成分群(B)を有する極細繊維束発生型繊
    維を用いて絡合不織布を作製する工程、 該絡合不織布を収縮させる工程、 該極細繊維束発生型繊維を極細繊維束に変成する工
    程、 少なくとも一面に立毛を形成する工程、 該立毛面に弾性重合体を主体とした樹脂液を塗布し多
    孔質状態に凝固させる工程、 さらに起毛処理する工程、 得られた立毛シートを染色する工程、 を順次行うことを特徴とするヌバック調人工皮革の製造
    方法。
  3. 【請求項3】以下の工程〜 弾性ポリマーが島成分として存在している極細繊維束
    発生型繊維(a)と、非弾性ポリマーが島成分として存
    在している極細繊維束発生型繊維(b)から絡合不織布
    を作製する工程、 該絡合不織布を収縮させる工程、 該極細繊維束発生型繊維を極細繊維束に変成する工
    程、 少なくとも一面に立毛を形成する工程、 該立毛面に弾性重合体を主体とした樹脂を塗布し多孔
    質状態に凝固させる工程、 さらに起毛処理する工程、 得られた立毛シートを染色する工程、 を順次行うことを特徴とするヌバック調人工皮革の製造
    方法。
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