JP2009287142A - 皮革様シートおよび皮革様シートの製造方法 - Google Patents

皮革様シートおよび皮革様シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凹凸模様を有し、高分子弾性体層と基材層が一体感をもち、かつ、柔軟性や耐摩耗性に優れる皮革様シートとその製造方法を提供すること。
【解決手段】単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維を含む布帛からなる層と、厚さ60〜400μmの高分子弾性体と極細繊維が混在した層とからなり、シート表面には凹凸模様を有し、かつ、シート表面に高分子弾性体により形成された膜状物質から前記極細繊維が露出している皮革様シートであり、以下の工程を行うことにより製造する皮革様シートの製造方法。
A.単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維からなる布帛を製造する。
B.前記Aの工程で得られた布帛を起毛する。
C.前記Bの工程で得られた起毛布帛を撥水加工する。
D.高分子弾性体の溶液を離型紙上に塗布する。
E.前記D工程で塗布された離型紙上の高分子弾性体の溶液と、前記起毛布帛の起毛面を重ねる。
F.前記E工程で起毛布帛の起毛面と重ねられた高分子弾性体を湿式凝固する。
G.前記離型紙を剥がす。
H.前記湿式凝固された高分子弾性体がある起毛布帛面をバフィングする。
【選択図】なし

Description

本発明は、銀摺り調、ヌバック調の皮革様シートおよびその製造方法に関するものである。
表面に極めて短い立毛を有する銀摺り調またはヌバック調と呼ばれる皮革様シートは、立毛長の長いスエード調の皮革様シートと比較してさらに高級感を有し、衣料や家具、自動車シート等に多く使用されている。
これら銀摺り調またはヌバック調の皮革様シートの製造方法としては、例えば、起毛布帛に樹脂を含浸あるいは塗布して立毛を固定し、次いで立毛面をプレス処理することで立毛を毛羽伏せして密着させた後、バフィングする方法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、特許文献1に提案されている方法で樹脂を含浸した場合は風合いが硬くなり、またコーティング等で塗布した場合は樹脂層と基材の一体感が不足し、耐摩耗性が低下する等の問題があった。また、染色した場合は堅牢度が大幅に低下する問題もあった。
また、不織布と高分子弾性体とからなる基材に立毛を形成させた後、高分子弾性体を塗布して立毛と樹脂の混在一体化した多孔質樹脂層を形成させ、ついで起毛する方法も提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、この方法であっても、立毛を形成させるために樹脂層を薄くせざるを得ず、耐摩耗性や基材との一体感が損なわれる問題があった。また、基材には樹脂層形成前に高分子弾性体が含浸されており、風合いも硬い傾向がある。
一方、表面に凹凸のシボ模様が施され、より天然皮革に近い外観を有した商品も多く生み出されている。例えば、極細繊維不織布に高分子弾性体を含浸させ、ついで表面に高分子弾性体を塗布した後、エンボッシングしてバフィングし、さらに収縮させる方法が提案されており(例えば、特許文献3)、これにより、凹凸シボ模様を有し、かつ立毛と高分子弾性体膜が混在した表面を得ることができる。しかし、この方法も、上記同様に、立毛を形成させるためには樹脂層を薄くせざるを得ず、耐摩耗性や一体感が損なわれる問題がある。また、凹凸模様をエンボッシングすることにより、風合いが硬くなる傾向があった。
特開昭62−42075号公報 特開平7−133592号公報 特開昭63−50580号公報
本発明の目的は、凹凸模様を有し、高分子弾性体層と基材層が一体感をもち、かつ、柔軟性や耐摩耗性に優れる皮革様シートとその製造方法を提供することにある。
本発明の皮革様シートは上記課題を解決するために以下の構成を有する。
すなわち、本発明の皮革様シートは、0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維を含む布帛からなる層と、厚さ60〜400μmの高分子弾性体と極細繊維との混在層とからなり、混在層の存在する面をシート表面としたとき、前記シート表面に凹凸模様を有し、かつ、シート表面において高分子弾性体により形成された膜状物質から前記極細繊維が露出していることを特徴とするものである。
また、本発明の皮革様シートの製造方法は、以下の工程により製造することを特徴とするものである。
A.単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維からなる布帛を製造する工程。
B.前記Aの工程で得られた布帛を起毛する工程。
C.前記Bの工程で得られた起毛布帛を撥水加工する工程。
D.高分子弾性体の溶液を離型紙状に塗布する工程。
E.前記D工程で塗布された離型紙上の高分子弾性体の溶液と、前記起毛布帛の起毛面を重ねる工程。
F.前記E工程で起毛布帛の起毛面と重ねられた高分子弾性体を湿式凝固する工程。
G.前記離型紙を剥がす工程。
H.前記湿式凝固された高分子弾性体がある起毛布帛面をバフィングする工程。
本発明の皮革様シートは、柔軟性や耐摩耗性に優れ、高品位な外観を有しているため、衣料や家具、カーシート、雑貨等に好適に使用することができる。
本発明の皮革様シートを構成する布帛は、単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維を含むものである。該極細繊維の単繊維繊度は、好ましくは0.001〜0.3デシテックス、より好ましくは0.005〜0.15デシテックスである。単繊維繊度が0.0001デシテックス未満であると、皮革様シートの強度が低下するため好ましくない。また単繊維繊度が0.5デシテックスを越えると、風合いが硬くなり、また、繊維の絡合が不十分になって表面品位が低下したり、耐摩耗性が低下したりする等の問題も発生するため好ましくない。
当該範囲の単繊維繊度を有する極細繊維は、主として布帛表面に存在する繊維や、極細繊維と高分子弾性体の混在する層(以下、混在層という)において、数にして50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、100%であることがもっとも好ましい。
なお、本発明でいう単繊維繊度は、主として布帛表面に存在する繊維や、極細繊維と高分子弾性体の混在する層(以下、混在層という)において、繊維断面を100個無作為に選んで断面積を測定した後、100個の繊維断面積の数平均を求め、繊維の比重から繊度を計算により求めた値を用いる。なお、繊維の比重はJIS L 1015 8.14.2(1999)に従って求めた値を用いる。
布帛としては、織物、編物、不織布等のいずれでもよく、特に限定されるものではなく、用途毎に要求される特性に応じて適宜使い分けることが好ましい。コストの点で織物、編物が好ましく、充実感のある風合いや微細な立毛による品位の点では不織布が好ましい。
織物としては、平織、綾織、朱子織等特に組織を限定するものではないが、立毛の均一性や平滑性の観点から、緯糸に0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維を用いた3〜8枚朱子織が好ましい。また、編物としては、丸編、トリコット、ラッセル等特に限定されるものではないが、立毛の均一性の点で丸編が好ましく、コストの点ではトリコットが好ましい。不織布についても特に限定されず、短繊維不織布や長繊維不織布、ニードルパンチ不織布や抄造不織布、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、エレクトロスピニング不織布等、種々のカテゴリーで表現される全ての不織布が適用できる。ここで、短繊維不織布は高品位な表面となる点で好ましいが、長繊維不織布は製造工程を単純化できる点で好ましい。
短繊維不織布の場合、その製造方法から乾式不織布と湿式不織布に類別することができるが、乾式不織布が高品位な表面を形成できるため好ましい。
また、長繊維不織布の場合、スパンボンド法によって得られる不織布を用いることができ、連続フィラメントの状態で捕集されるものであれば、皮革様シートとする過程において繊維の一部が切断されていてもよい。
さらに、布帛が不織布の場合、構成する極細繊維同士が相互に絡合していることが好ましい。これにより、高分子弾性体等により形態を固定せずとも、優れた形態安定性を得ることができる。特に繊維長が1cm以上の場合、形態安定性向上効果が顕著である。従来の極細繊維からなる皮革様シートにおいて、繊維長が1cm以上の場合、極細繊維が集束した繊維束の状態で絡合した構造を有しているのが通常であるが、本発明においては繊維束がほとんど確認できない程度にまで極細繊維同士が相互に絡合した構造を有しているものが好ましい。なお、本発明の効果が損なわれない範囲で繊維束の状態で絡合した繊維が含まれていてもよい。
布帛が不織布の場合、織編物を積層等によって含むことが、形態安定性向上のため好ましい。ここで、織編物とは織物と編物を指すが、編物は織物と比較して形態安定性に劣る傾向があるため、織物であることがより好ましい。
また、布帛が実質的に繊維素材からなることが、染色堅牢度の点で好ましい。本発明でいう「実質的に繊維素材からなる」とは、「実質的に高分子弾性体を含むことなく、繊維素材から形成されていること」をいう。また、「実質的に高分子弾性体を含むことなく」とは、皮革様シートに高分子弾性体が全く含まれていないものの他、本発明の効果が損なわれない範囲で少量の高分子弾性体が含まれていることを許容するものである。具体的には、皮革様シートに含まれる高分子弾性体が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましく、全く高分子弾性体を含まないことが最も好ましい。高分子弾性体が5重量%以下であれば、風合いの硬化や堅牢度の低下が抑制できる。
布帛を構成する繊維は、非弾性繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる繊維が好ましく用いられる。ポリエーテルエステル系繊維やいわゆるスパンデックス等のポリウレタン系繊維などの弾性繊維は好ましくない。
ポリエステルとしては、繊維化が可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。中でも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、たとえばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、等のアミド結合を有するポリマーを挙げることができる。
これらのポリマーには、隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子等の無機粒子を添加してもよいし、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱材、抗菌剤等、種々目的に応じて添加することもできる。
また、本発明の皮革様シートは、高分子弾性体と極細繊維が混在した層(混在層)を有することを特徴とする。混在層において極細繊維は、織編物の組織や不織布の絡合により拘束された拘束繊維であっても、非拘束繊維でもよいが、表面に緻密な立毛を形成でき、かつ、柔軟な風合いを得ることができる点で、非拘束繊維であることが好ましい。非拘束繊維とは、繊維が手などでこする程度で容易に方向が変わる程度の自由度を有する繊維をいい、例えば、織編物やニードルパンチや高速流体処理等によって絡合した不織布を、針布やサンドペーパーにより起毛処理して起毛された部分等が挙げられる。また、実質的に絡合していない単に交差している極細繊維も含むものである。非拘束繊維として起毛処理により形成される立毛を用いる場合、その長さは、0.1mm〜5mm程度が好ましい。より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上である。また、より好ましくは4mm以下であり、さらに好ましくは3mm以下である。0.1mm以上であれば、高分子弾性体層を形成することが容易となる。一方、5mm以下であれば、高分子弾性体層を厚くする必要がなく、柔軟な風合いの皮革様シートとすることができる。この非拘束繊維は、布帛を構成する繊維と連続していることが、剥離強力や一体感のある風合いを得る点で好ましく、例えば上述のように、布帛を起毛して得られる繊維であることが好ましい。
混在層の厚みは60μm〜400μmとすることが肝要である。この範囲内でも、80μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、120μm以上であることがさらに好ましい。また350μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。60μm未満であると、耐摩耗性が不足して、磨耗によって外観変化が起こる問題がある。また、混在層と布帛層の一体感が出ず、高級感のある風合いとならない。一方、400μmよりも大きいものであると、風合いが硬く、立毛もほとんど出ずに銀面調の皮革様シートとなって、本発明の効果が得られない。
また、混在層の厚みは上記範囲内である場合であっても、風合いを柔軟化することができる点で、高分子弾性体はシート裏面を除く部分に偏在していることが好ましく、シート表層のみに偏在していることがより好ましい。例えば、高分子弾性体がシート厚み方向に均一に含浸された状態より、シート裏面を除く部分に偏在している状態、好ましくは表層のみに偏在している状態の方が、混在層として同じ厚みであっても風合いは柔軟であり好ましい。
なお、本発明でいう混在層の厚みとは、皮革様シートを10個サンプリングしてそれぞれの断面を電子顕微鏡を用い1000倍で観察し、高分子弾性体が極細繊維間を拘束する状態で明確に観察される箇所と表面の距離をそれぞれのサンプル毎に測定し、その平均値を用いる。また、高分子弾性体がシート裏面を除く部分に偏在しているとは、皮革様シートを10個サンプリングして、シート裏面を電子顕微鏡を用いて500倍で観察し、高分子弾性体が100μm四方に2箇所以上確認できない場合をいう。
高分子弾性体は、より柔軟な風合いが得られる点で多孔質であることが好ましい。無孔質である場合、膜強度に優れるが、風合いの点で好ましくない。高分子弾性体については、特に限定されるものではないが、ポリウレタンが柔軟性や物性を両立させることができる点で好ましい。ポリウレタンの種類としては特に制限はなく、例えばポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系ポリウレタンを用いることができる。必要に応じて架橋剤、コラーゲンやフィブロインなどの蛋白質、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの耐候剤、顔料、染料、難燃剤、撥水剤等を含むこともできる。
本発明では、混在層によって、高分子弾性体のみからなる層で形成された皮革様シートと比較し、優れた耐摩耗性と柔軟性を得ることが可能となる。
また、本発明の皮革様シートにおいては、表面に凹凸模様を有していることを特徴とする。凹凸模様として、例えば天然皮革のようなシボ模様とすることで、立体感のある高級な外観を得ることができる。
なお、上述のように、高分子弾性体全体が多孔質であることが好ましいため、凹凸形状を有する場合であっても、凹部、凸部いずれも多孔質形状であることが好ましい。例えば、熱プレス処理等によって凹部に相当する部分が圧縮されて無孔質となっている状態は好ましくない。
さらに、シート表面には高分子弾性体により形成された膜状物質から極細繊維が露出していることを特徴とする。凹凸模様により、立体感のある高級外観が付与されるが、極細繊維が高分子弾性体の膜状物質から露出することで、さらに視覚的に立体感が増すとともに、陰影が生じると共にライティング効果によって高級感のある外観となる。極細繊維は立毛であっても、非立毛であっても特に限定されるものではないが、立毛である方がより陰影が生じてより高級感のある外観となる点で好ましい。また、高分子弾性体の膜状物質とは、いわゆる銀付人工皮革のように高分子弾性体が一面に連続的に存在している構造とは異なり、膜が部分的に分裂、亀裂が生じている構造をいう。分裂、亀裂の間隔は特に限定されないが、表面を電子顕微鏡で観察した場合、1〜1000μmの間隔で生じている状態が確認できる程度が好ましい。
本発明の皮革様シートは、JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、その表面を1万回摩耗した後、表面に膜状物質が残在することを特徴とする。これにより、使用時に外観が変化して品位低下を招くことを防止することができる。
皮革様シートは染色されてなることが、特に衣料や家具、カーシート等の場合好ましい。本発明においては、布帛層が実質的に繊維素材からなる場合、染色されていても高分子弾性体に汚染した染料はほとんど存在しないため、高分子弾性体を塗布する際に生じる染料のブリードを抑制することができる。よって、ドライクリーニング堅牢度等を格段に向上させることができる。
本発明の皮革様シートは、本発明の効果を逸脱しない範囲において、上述した以外に、他の染料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤、耐侯剤等の機能性薬剤が含まれていてもよい。
次に、本発明の皮革様シートを得る製造方法の一例を述べる。
本発明の皮革様シートにおいて、布帛を構成するいわゆる極細繊維の製造方法は特に限定されず、通常のフィラメント紡糸法の他、布帛が不織布の場合、スパンボンド法、メルトブロー法、エレクトロスピニング法、フラッシュ紡糸法等であってもよい。また、極細繊維を得る手段として、直接極細繊維を紡糸する方法、通常繊度の繊維であって極細繊維を発生する事ができる繊維(以下、極細繊維発生型繊維という)を紡糸し、次いで、極細繊維を発生させる方法でもよい。
ここで、極細繊維発生型繊維を用いて極細繊維を得る方法としては、具体的には、海島型繊維を紡糸してから海成分を除去する方法、あるいは、分割型繊維を紡糸してから分割して極細化する方法等の手段を採用することができる。
これらの手段の中でも、本発明においては、極細繊維を容易に安定して得ることができる点で、極細繊維発生型繊維によって製造することが好ましく、さらには皮革様シート状物とした場合、同種の染料で染色できる同種ポリマーからなる極細繊維を容易に得ることができる点で、海島型繊維によって製造することがより好ましい。
次いで、得られた極細繊維や極細繊維発生型繊維を布帛化する。その方法としては、織物の場合、ウォータージェット織機やエアジェット織機のようなシャトルレス織機やフライシャトル織機、タペット織機やドビー織機、ジャカード織機等で製造することができる。また、編物の場合、よこ編、たて編のいずれでもよく、よこ編としては、例えばよこ編機、丸編機等、たて編としてはトリコット機、ミラニーズ機、ラッセル機等により製造することができる。
布帛が不織布の場合、短繊維不織布においては、カード、クロスラッパー、ランダムウエバー等を用いる乾式法や、抄紙法等の湿式法を採用することができる。また、長繊維不織布においては、スパンボンド法を採用することができる。本発明では、形態安定性に優れ、実質的に繊維素材からなる皮革様シートを容易に製造できる点でニードルパンチ法と高速流体処理の2種の絡合方法を組み合わせた乾式法が好ましく、コストの点ではスパンボンド法や抄造法による湿式法が好ましい。
乾式法の場合、極細繊維発生型繊維から、カード、クロスラッパー等を用いてウェブを得る。得られたウェブを、ニードルパンチ処理によって、繊維見掛け密度が好ましくは0.12g/cm以上、より好ましくは0.15g/cm以上となるようにする。また、好ましくは0.30g/cm以下、より好ましくは0.25g/cm以下となるようにする。繊維見掛け密度が0.12g/cm未満であると、繊維の絡合が不十分であり、引張強力、引裂強力、耐摩耗性等の物性について良好な値が得られにくくなる。また繊維見掛け密度の上限は特に限定されないが、0.30g/cmを越えると、ニードル針の折れや、針穴が残留するなどの問題が生じるため、好ましくない。
また、ニードルパンチを行う際には、極細繊維発生型繊維の単繊維繊度が1デシテックス以上であることが好ましく、2デシテックス以上がより好ましい。また、10デシテックス以下であることが好ましく、8デシテックス以下がより好ましく、6デシテックス以下がさらに好ましい。単繊維繊度が1デシテックス未満である場合や10デシテックスを越える場合は、ニードルパンチによる絡合が不十分となり、良好な物性を得ることが困難になる。
本発明においてニードルパンチは、単なる工程通過性を得るための仮止めとしての役割ではなく、繊維を十分に絡合させることが好ましい。従って好ましくは、100本/cm以上の打ち込み密度がよく、より好ましくは500本/cm以上、さらに好ましくは1000本/cm以上がよい。また、ニードルは表面品位が優れる点で、1バーブ型を用いることが好ましい。
また、スパンボンド法の場合、ポリマーを口金から溶融吐出して極細繊維または極細繊維発生型繊維の連続フィラメントを形成させ、これをエジェクター等の牽引作用により2000〜8000m/分の速度で紡糸し、移動する捕集装置上に捕集して長繊維ウェブを得る。
得られた長繊維ウェブは、コストの観点からは巻き取ることなく絡合することが好ましいが、搬送性や取扱い性、製造スピードの調整等の観点から一旦巻き取ることも可能である。この場合、巻き取るために一定の形態安定性を付与する観点から80〜240℃の加熱下でプレス処理をすることもできるが、風合いや品位に優れる点では、上述の方法でニードルパンチを行うことが好ましい。
一方、抄造法による湿式法の場合、例えば、極細繊維または極細繊維発生型繊維を分散した後、抄造してウェブを得る。
このようにして得られた短繊維、又は、長繊維の不織布やウェブは、乾熱処理または湿熱処理、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
次いで、極細繊維発生型繊維を用いた場合は、極細化処理により極細繊維とする。その後、高速流体処理により、極細繊維同士の絡合を行って不織布を得ることが好ましい。ここで、極細発生型繊維を用いた場合は、極細化処理をした後に高速流体処理を行ってもよいし、極細化処理と同時に高速流体処理を行ってもよい。また極細化処理と同時に高速流体処理を行い、その後に、さらに高速流体処理を行ってもよい。高速流体処理を極細化処理と同時に行う場合、少なくとも極細化処理が大部分終了した後にも高速流体処理を行うことが、極細繊維同士の絡合をより進める上で好ましい。極細化処理を行った後に、高速流体処理を行うことがより好ましい。
流体の圧力は、処理する極細繊維ウェブの目付によって適宜選択し、高目付のもの程高圧力とすることが好ましい。さらに、極細繊維同士を高度に絡合させ、目的の引張強力、引裂強力、耐摩耗性等の物性を得るため、少なくとも1回は10MPa以上の圧力で処理することが好ましい。圧力は、15MPa以上であることがより好ましく、20MPa以上であることがさらに好ましい。また圧力の上限は特に限定されないが、圧力が上昇する程コストが高くなり、また、不織布が不均一になりやすく、繊維の切断により毛羽が発生する場合もあるため、好ましくは40MPa以下であり、より好ましくは35MPa以下である。
なお、少なくとも1回の処理とは、複数のノズル孔を有するノズルプレートを含む1ノズルヘッド(1インジェクター)で処理することを意味する。連続的に複数ノズルヘッドで処理した場合はその複数ノズルヘッド数の回数を処理したとし、1回とはカウントしない。
極細繊維発生型繊維から得た極細繊維の場合、極細繊維が集束した繊維束の状態で絡合しているものが一般的であるが、前記のような条件で高速流体処理を行うことによって、繊維束の状態のままでの絡合がほとんど観察されない程度にまで極細繊維同士が相互に絡合した極細不織布を得ることができる。これにより、形態安定性に優れる実質的に繊維素材からなる不織布層を得ることができる。なお、高速流体処理を行う前に、水浸漬処理を行ってもよい。さらに不織布表面の品位を向上させるために、ノズルヘッドと不織布を相対的に移動させる方法や、不織布とノズルの間に金網等を挿入して散水処理する等の方法を行うこともできる。
不織布が織編物を含む場合、その積層方法は特に限定されず、接着や絡合等により行うことができるが、風合いが柔軟な点で絡合によることが好ましい。この場合、不織布の製造方法に合わせ、ニードルパンチや高速流体処理等で行うことができるが、特に高速流体処理で積層することが、織物の損傷を防ぐことができる点で好ましい。
このようにして得られた布帛は、ついで起毛する。起毛方法は、針布起毛機やサンドペーパーによるバフィング機等、適宜布帛構造に応じた方法を用いることができる。一般に織編物は針布起毛機が、不織布はバフィング機がより微細な立毛が形成し、均一な表面が得られるため好ましい。
布帛は染色することが好ましい。染色方法は特に限定されるものではなく、用いる染色機としても、液流染色機、サーモゾル染色機、高圧ジッガー染色機等のいずれでもよいが、得られる皮革様シートの風合いが優れる点で液流染色機を用いて染色することが好ましい。
ついで、起毛した布帛を撥水加工する。撥水加工することにより、高分子弾性体の浸透を調整することができる。用いる撥水剤は、立毛の長さや密度によって適宜調整することが好ましく、例えば立毛長が長い場合は強い撥水加工を、短い場合は弱い撥水加工を行うことが好ましい。
ここで撥水加工とは、フッ素系やシリコーン系等の撥水性を有する薬剤を布帛に付与し、乾燥する加工をいう。薬剤の種類や濃度は、布帛の構造や高分子弾性体の浸透度合いに影響するため適宜調整し、好ましくは「JIS L 1092(1998)はっ水度試験(スプレー試験)」で得られる撥水度を2〜5とする。
なお、撥水加工した後、プレス処理して起毛繊維からなる緻密な表面を形成させることは、続いて行う高分子弾性体の塗布によって均一な混在層を形成させることができるとともに、過度に高分子弾性体が布帛内部へ浸透することを防止し、風合いの柔軟化に寄与できる点で好ましい。また、布帛として不織布を用いた場合、目付けや厚みムラによって、立毛ムラが生じる場合があるが、プレス処理することによって平滑化して高級感のある外観を得ることができる。
プレス処理としては、例えばカレンダーを用い、120〜180℃の温度で、厚みを0.2〜0.8倍に圧縮することにより行う方法が挙げられる。
次に高分子弾性体を布帛の起毛面に塗布して、起毛された極細繊維と高分子弾性体の混在した層を形成させる。塗布方法としては、リバースロールコーティング、ナイフコーティング、グラビアコーティング、スリットコーティング、スプレー、離型紙による転写法等があるが、本発明においては、特に離型紙を用いた転写法が好ましく採用される。通常、高分子弾性体表面から極細繊維が露出した表面を得るには、均一で薄い表面を形成させるためにグラビアコーティングが用いられる。しかし、高分子弾性体の塗布量は約15g/m以下と少ないため、浸透性が不十分で耐摩耗性に劣り、また混在層と布帛の一体感が得られにくい問題がある。そこで、本発明においては、十分な高分子弾性体を塗布するため、離型紙を用いた転写法が好ましく採用できる。
離型紙を用いた転写法の場合、通常、まず離型紙上に高分子弾性体の溶液を塗布し、水系溶媒で凝固した後、接着剤等で布帛へ転写することが一般的に行われる。しかし、そうすると浸透性が悪く、本発明の混在層を形成させることが困難である。そこで、本発明においては、離型紙上に高分子弾性体の溶液を塗布した後、凝固することなく、布帛の起毛面と重ねることで、高分子弾性体の溶液を浸透させ、ついで、重ねたまま高分子弾性体を凝固した後、離型紙を剥がす方法が好ましく採用される。
この際、高分子弾性体の塗布量は、布帛に対し固形分で30〜100g/mとすることが好ましい。より好ましくは40g/m以上であり、さらに好ましくは50g/m以上である。30g/m以上であると、耐摩耗性が大きく向上するため好ましい。また、100g/m以下であると、風合いがより柔軟となるため好ましい。この時、混在層の厚みは60〜400μmとする。この厚みは、高分子弾性体の量や粘度により調整する他、布帛へ撥水剤を付与する等によって制御することが可能である。
高分子弾性体溶液の粘度としては、10〜30Pa・Sに調整することが好ましい。15Pa・Sであることがより好ましい。また、25Pa・S以下であることがより好ましい。10Pa・S以上であると、高分子弾性体が布帛へ浸透しすぎず、風合いをより柔軟とすることができる。また、30Pa・S以下であると、布帛へ適度に浸透して、高分子弾性体と布帛の一体感が増す点で好ましい。当該範囲の粘度とするには、例えば、高分子弾性体の分子量を調整することによって行うことができ、好ましい方法である。この場合、分子量増加と共に、粘度は増加する傾向にある。
表面に凹凸模様を形成させる手段としては、例えばエンボスロールによるプレスが一般的であるが、密度の増加や、凹部の高分子弾性体が圧縮により無孔質となり、風合いが硬くなる問題がある。そこで、本発明においては、凹凸模様を有する離型紙を用いて、凹凸模様を形成させる方法が好ましい。グラビアコーティング等で混在層を形成させた場合この方法を採用できないが、転写法はこの方法採用することができる点でも好ましい形成手段である。
このようにして得られたシートは、ついで表面をサンドペーパーやブラシ等によりバフィングして表面を研削する。これにより、高分子弾性体の膜に亀裂が生じ、極細繊維を露出させることができる。この研削量の度合いにより、極細繊維が立毛として露出したり、高分子弾性体膜の亀裂の隙間から確認できる程度の露出としたりすることができる。
なお、さらに水分散型樹脂を表面にコーティングして、耐摩耗性を向上させることは、本発明の皮革様シートを得るに際して好ましい方法である。水分散型樹脂としては、ポリウレタンやアクリル、ポリエステル等、特に限定されるものではないが、柔軟性の点でポリウレタンであることが好ましい。このとき、樹脂のコーティング量は固形分で0.1〜10g/mとすることが好ましい。10g/m以下であれば、風合いの硬化を抑制できる。また、0.1g/m以上であれば、耐摩耗性向上効果を得ることができる。
また、本発明の皮革様シートの好ましいものとして前述した、JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、その表面を1万回摩耗した後、表面に膜状物質が残在するものは、混在層を60μm以上とすることや、さらに、シート表面に水分散型樹脂を付与することにより製造することができる。また、布帛が不織布である場合、極細繊維同士を相互に絡合させることによって、より容易に上記の特性を得ることができる。
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。なお、実施例中の各物性値の測定方法は、以下の方法を用いた。
(1)繊維目付、繊維見掛け密度
繊維目付(g/m)はJIS L 1096 8.4.2(1999)に記載された方法で測定した。また、厚み(mm)として、ダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名“ピーコックH”)により、無作為に10箇所測定してその平均値を小数点2桁に丸めた値を用い、目付の値を厚みの値で割って、繊維見掛け密度(g/cm)を求め、小数点3桁に丸めて示した。
(2)単繊維繊度
光学顕微鏡にて繊維断面を100個ランダムに選んで断面積を測定した後、100個の繊維断面積の数平均を求めた。求められた繊維断面積の平均値と繊維の比重から、繊度を計算により求めた。なお、繊維の比重はJIS L 1015(1999)に基づいて測定した。
(3)高分子弾性体と極細繊維の混在層の厚み測定
皮革様シートを10個サンプリングし、それぞれの断面を電子顕微鏡を用いて1000倍で観察した。そして、高分子弾性体が極細繊維間を拘束する状態が明確に観察される箇所の厚みを、それぞれのサンプル毎に測定し、10個の平均値を混在層の厚みとした。
(4)マーチンデール摩耗試験
皮革様シートから、直径3.8cmの試験片を採取し、重量を測定した。JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に従って、マーチンデール摩耗試験機を用いて耐摩耗試験を実施した。表面を1万回摩擦したところで試験機を止め、外観を目視評価した。
(5)防水性
JIS L 1092(1998)はっ水度試験(スプレー試験)に規定される防水性試験に基づいて行った。
実施例1
海成分としてポリスチレン45部、島成分としてポリエチレンテレフタレート55部からなる単繊維繊度3デシテックス、36島、平均繊維長51mmの海島型複合短繊維を、カード機およびクロスラッパーに通してウェブを作製した。得られたウェブを、1バーブ型のニードルパンチ機を用いて、2500本/cmの打ち込み密度でニードルパンチ処理し、繊維見掛け密度0.23g/cmの複合短繊維不織布を得た。
次に95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のポリビニルアルコール(PVA)5%の水溶液に2分間浸積し、PVAを不織布に、不織布重量に対し固形分換算で12%の付着量になるように含浸させると同時に収縮処理を行った。その後、不織布を100℃にて乾燥して水分を除去した。次いで、この複合短繊維不織布を30℃のトリクレンでポリスチレンが完全に除去されるまで処理することにより、複合短繊維から単繊維繊度0.046デシテックスの極細繊維を発現させた。これにより得られたシートを、室田製作所(株)製の標準型漉割機を用いて、厚み方向に対して垂直に2枚にスプリット処理して繊維目付130g/mの極細繊維ウェブを得た。
次に110デシテックス24フィラメントのサイドバイサイド型複合ポリエステル糸からなる平織物を重ね、極細繊維ウェブの方から上記と同一のウォータージェットパンチ機を用い、7m/分の処理速度で、17MPaの圧力で3回処理し、ついで裏側から同様に3回処理した。
このようにして得られた積層シートの極細繊維不織布側を、株式会社菊川鉄工所製のワイドベルトサンダを用い、粒度が180の炭化ケイ素砥粒のサンドペーパーにて起毛処理した。さらに、液流染色機にて分散染料で茶色に染色して、基布Aを得た。
その後、シリコーン系撥水剤をパディングした後、乾燥させた。このときの撥水度は2であった。ついで、カレンダーによって、120℃でプレス処理した。
次に、凹凸のシボ模様を有する離型紙上に茶色の顔料を含むDMF溶媒のカーボネート系ポリウレタン(20Pa・S)を、固形分で50g/mとなるように離型紙上へ塗布した。
その後、上記で得られた基布Aの起毛面とポリウレタンを重ね、湿式凝固し、乾燥させた。ついで、粒度320のサンドペーパーによってシート表面をバフィングして、皮革様シートを得た。当該皮革様シートの断面を電子顕微鏡で観察したところ、高分子弾性体と極細繊維の混在層は150μmであった。
このようにして得られた皮革様シートを電子顕微鏡により100倍および500倍の倍率で観察すると、シート表面では高分子弾性体の膜の亀裂から極細繊維が露出していたが、シート裏面には高分子弾性が確認できなかった。また、極細繊維が立毛を形成し、ヌバック調のタッチとライティング効果を有していた。さらに、混在層と布帛が一体感を有しており、天然皮革調の風合いであった。断面は電子顕微鏡で2000倍の倍率で観察したところ、いずれの箇所も高分子弾性体は多孔質状に存在していた。
さらに、マーチンデール摩耗試験を行った結果、1万回摩耗後であっても、高分子弾性体の膜が存在し、外観変化はほとんどなかった。
実施例2
海成分がカチオン可染タイプのポリエステルで、島成分がポリエチレンテレフタレートからなる(海成分20:島成分80で、島本数8本)90デシテックス36フィラメント海島型複合繊維と、90デシテックス36フィラメント加工糸を28ゲージのダブル丸編機で以下の編成条件で編み上げた。
交編率:海島型複合繊維41%、加工糸69%
編密度:ウエル37、コース34
次にこの編成品を開反し、(株)日阪製作所製サーキュラーラピッド染色機)を用いて、マレイン酸1g/Lを添加したPH2.5酸性水溶液中で130℃30分の処理した後、水洗し、苛性ソーダ6重量%含有水溶液で90℃30分間、アルカリ処理して海成分(カチオン可染タイプのポリエステル)を除去した。
得られた0.25デシテックスの極細ポリエチレンテレフタレート繊維と90デシテックス36フィラメントからなる編成品を、液流染色機を用いて分散染料で茶色に染色した。その後染色機から取り出し、起毛助剤を付与して乾燥し、針布起毛機で起毛し、パイルが極細ポリエチレンテレフタレートからなる染色編成品を得た。
これを実施例1の基布Aの代わりに用い(基布B)、フッ素系撥水剤をパディングした後、乾燥させた。この時の撥水度は5であった。ついで、カレンダーによって、120℃でプレス処理した。
次に、凹凸のシボ模様を有する離型紙上に、茶色の顔料を含むDMF溶媒のカーボネート系ポリウレタン(20Pa・S)を、固形分で50g/mとなるように離型紙上へ塗布した。
その後、上記で得られた基布Bの起毛面とポリウレタンを重ね、湿式凝固し、乾燥させた。ついで、粒度320のサンドペーパーによってシート表面をバフィングして、皮革様シートを得た。当該皮革様シートの断面を電子顕微鏡で観察したところ、高分子弾性体と極細繊維の混在層は160μmであった。
このようにして得られた皮革様シートを電子顕微鏡により100倍および500倍の倍率で観察すると、シート表面では高分子弾性体の膜の亀裂から極細繊維が露出していたが、シート裏面には高分子弾性体が確認できなかった。また、極細繊維が立毛を形成し、ヌバック調のタッチとライティング効果を有していた。さらに、混在層と布帛が一体感を有しており、天然皮革調の風合いであった。
さらに、マーチンデール摩耗試験を行った結果、1万回摩耗後であっても、高分子弾性体の膜が存在し、外観変化はほとんどなかった。
比較例1
実施例1と同様にして基布Aを得た。
次に、茶色の顔料を含むDMF溶媒のポリウレタンを、立毛面へ固形分で3g/mとなるようにグラビアで塗布し、湿式凝固した。ついで、粒度320のサンドペーパーによってシート表面をバフィングして、皮革様シートを得た。
このようにして得られた皮革様シートを電子顕微鏡により100倍および500倍の倍率で観察すると、シート表面では繊維が高分子弾性体により接着された状態と極細繊維が混在していたが、シート裏面には高分子弾性体が確認できなかった。また、極細繊維は立毛を形成していたが、ヌバック調のタッチとライティング効果は劣るものであった。当該皮革様シートの断面を電子顕微鏡で観察したところ、高分子弾性体と極細繊維の混在層は51μmであった。
さらに、マーチンデール摩耗試験を行った結果、1万回摩耗後には高分子弾性体がほとんど残存せず、立毛調の外観となって外観変化は著しいものであった。
比較例2
実施例2と同様にして基布Bを得た。
次に、茶色の顔料を含むDMF溶媒のポリウレタンを、立毛面へ固形分で3g/mとなるようにグラビアで塗布し、湿式凝固した。ついで、粒度320のサンドペーパーによってシート表面をバフィングして、皮革様シートを得た。
このようにして得られた皮革様シートを電子顕微鏡により100倍および500倍の倍率で観察すると、シート表面では繊維が高分子弾性体により接着された状態と極細繊維が混在していたが、シート裏面には高分子弾性体が確認できなかった。また、極細繊維は立毛を形成していたが、ヌバック調のタッチとライティング効果は劣るものであった。当該皮革様シートの断面を電子顕微鏡で観察したところ、高分子弾性体と極細繊維の混在層は44μmであった。
さらに、マーチンデール摩耗試験を行った結果、1万回摩耗後には高分子弾性体がほとんど残存せず、立毛調の外観となって外観変化は著しいものであった。

Claims (14)

  1. 0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維を含む布帛からなる層と、厚さ60〜400μmの高分子弾性体と極細繊維との混在層とからなり、前記混在層が存在する面をシート表面としたとき、前記シート表面に凹凸模様を有し、かつ、シート表面において高分子弾性体により形成された膜状物質から前記極細繊維が露出していることを特徴とする皮革様シート。
  2. 前記高分子弾性体がシート裏面を除く部分に偏在していることを特徴とする請求項1に記載の皮革様シート。
  3. 前記布帛が、実質的に繊維素材からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮革様シート。
  4. 前記凹凸模様の凹部および凸部のいずれの箇所でも高分子弾性体が多孔質であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様シート。
  5. 前記布帛が、丸編、トリコット、朱子織物および極細繊維同士が相互に絡合した不織布のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート。
  6. 前記不織布が、その内部に織編物を含んで形成されているものであることを特徴とする請求項5に記載の皮革様シート。
  7. マーチンデール摩耗試験において、12kPa荷重下、1万回摩耗後に表面に前記膜状物質が残存することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の皮革様シート。
  8. 以下の工程を行うことにより製造することを特徴とする皮革様シートの製造方法。
    A.単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維からなる布帛を製造する工程。
    B.前記Aの工程で得られた布帛を起毛する工程。
    C.前記Bの工程で得られた起毛布帛を撥水加工する工程。
    D.高分子弾性体の溶液を離型紙上に塗布する工程。
    E.前記D工程で塗布された離型紙上の高分子弾性体の溶液と、前記起毛布帛の起毛面を重ねる工程。
    F.前記E工程で起毛布帛の起毛面と重ねられた高分子弾性体を湿式凝固する工程。
    G.前記離型紙を剥がす工程。
    H.前記湿式凝固された高分子弾性体がある起毛布帛面をバフィングする工程。
  9. 前記H工程の後、さらに下記工程を行うことを特徴とする請求項8に記載の皮革様シートの製造方法。
    I.シート表面に水分散型樹脂を付与する工程。
  10. 前記I工程において、水分散型樹脂がポリウレタンであることを特徴とする請求項9に記載の皮革様シートの製造方法。
  11. 前記E工程において、前記離型紙がシボ模様を有していることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の皮革様シートの製造方法。
  12. 前記D工程において、高分子弾性体の溶液の粘度が10〜30Pa・Sであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の皮革様シートの製造方法。
  13. 前記D工程において、高分子弾性体を固形分で30〜100g/m塗布することを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の皮革様シートの製造方法。
  14. 上記A工程において、前記布帛が下記J工程とK工程により製造される不織布であることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の皮革様シートの製造方法。
    J.単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維が発生可能な、単繊維繊度1〜10デシテックスの極細繊維発生型繊維をニードルパンチにより絡合させる工程。
    K.前記単繊維繊度0.0001〜0.5デシテックスの極細繊維を発生させた後に、高速流体処理により該極細繊維を絡合させ、不織布を得る工程。
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