JPH07268361A - 原油の水素化処理方法 - Google Patents

原油の水素化処理方法

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JPH07268361A
JPH07268361A JP6058643A JP5864394A JPH07268361A JP H07268361 A JPH07268361 A JP H07268361A JP 6058643 A JP6058643 A JP 6058643A JP 5864394 A JP5864394 A JP 5864394A JP H07268361 A JPH07268361 A JP H07268361A
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充 由田
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 原油又はナフサ留分を除いた原油を一括して
水素化脱硫処理を行い、品質が良好で安定した灯油・軽
油を増産することのできる原油の水素化処理方法を提供
すること。 【構成】 触媒として、(1)(a)アルミナ−ボリア
担体に、周期律表第6,8〜10族の金属を担持したも
の、(2)鉄含有アルミノシリケート含有担体に、周期
律表第6,8〜10族の金属を担持したもの、又は
(3)上記(a)触媒と(b)触媒とを組み合わせたも
のを用い、原油又はナフサ留分を除いた原油を水素化処
理する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原油の水素化処理方法
に関する。さらに詳しくは、原油又はナフサ留分を除い
た原油の一括水素化脱硫工程において、水素化脱窒素及
び水素化分解を併せて行い、高品質の灯油・軽油を増産
しうるとともに、精油設備の簡素化を図ることのできる
原油の水素化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、原油の精製処理方法としては、一
般に、原油を常圧蒸留して各留分を分離したのち、分離
した各留分をそれぞれ脱硫する方法がとられている。し
かしながら、この方法は、精油設備の基数が多く、かつ
工程が煩雑である上、製品の冷却、加熱を繰り返すため
にエネルギー効率が悪いなどの問題があり、必ずしも満
足しうるものではなく、新しい形式の原油処理方法が求
められている。これを解決するために、ナフサ留分を除
いた原油の一括処理が試みられている。例えば、(1)
原油中のナフサ留分を蒸留分離したのち、ナフサ留分を
除いた残油を一括水素化脱硫処理する方法(特開平3−
294390号公報)、(2)原油中のナフサ留分を蒸
留分離したのち、ナフサ留分を除いた残油を一括水素化
脱硫処理し、次いで、高圧分離槽で軽質留分と重質留分
とに分離し、得られた軽質留分を水素化精製する方法
(特開平4−224890号公報)などが提案されてい
る。しかしながら、上記(1)の方法においては、通常
の脱硫触媒を用いているため、品質が安定した灯油・軽
油留分が得られない上、白油増産効果も満足できるもの
ではない。また、(2)の方法においては、脱硫処理
後、さらに水素化精製するために設備が複雑となり、設
備費や運転費が増加するのを免れないなどの問題があ
る。このように、従来のナフサ留分を除いた原油の一活
処理方法は、品質の安定した灯油・軽油留分が得られに
くかったり、また設備費や運転費が高くついたりなどし
て、実用化に至っていないのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
下で、原油又はナフサ留分を除いた原油の一括水素化脱
硫工程において、水素化脱窒素及び水素化分解を併せて
行い、品質が良好でかつ安定した灯油・軽油を増産しう
るとともに、精油設備の簡素化を図ることのできる、経
済的に有利な原油の水素化処理方法を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、原油
又はナフサ留分を除いた原油を水素化処理する際に、触
媒として、アルミナ−ボリア担体に特定の金属を担持し
たもの、又は鉄含有アルミノシリケート含有担体に特定
の金属を担持したもの、あるいはこれらを組み合わせた
ものを用いることにより、その目的を達成しうることを
見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したも
のである。すなわち、本発明は、原油又はナフサ留分を
除いた原油を触媒の存在下で水素化処理するにあたり、
触媒として、(1)(a)アルミナ−ボリア担体に、周
期律表第6,8,9及び10族に属する金属の中から選
ばれた少なくとも一種を担持したもの、(2)(b)鉄
含有アルミノシリケート含有担体に、周期律表第6,
8,9及び10族に属する金属の中から選ばれた少なく
とも一種を担持したもの、又は(3)上記(a)触媒と
(b)触媒とを組み合わせたものを用いることを特徴と
する原油又はナフサ留分を除いた原油の水素化処理方法
を提供するものである。更に、本発明は、上記水素化処
理方法で得た水素化処理油を、さらに蒸留により沸点の
異なる各留分に分離することを特徴とする原油の処理方
法をも提供するものである。
【0005】図1は、本発明の水素化処理工程を含む、
各石油製品を分離するための工程概略図であって、
(イ)は原油をまず予備蒸留塔に供給してナフサ留分を
除去したのち、その残油を水素化脱硫し、次いで、常圧
蒸留塔に導き、ナフサ留分、灯油留分、軽油留分及び残
油に分離する工程を示す。一方、(ロ)は、原油を直接
水素化脱硫した後、常圧蒸留塔に導き、ナフサ留分、灯
油留分、軽油留分及び残油に分離する工程を示す。本発
明においては、図1−(イ)で示すように、予備蒸留塔
でナフサ留分を除いた原油を一括水素化処理してもよ
く、また、ナフサ留分の硫黄含有量を1ppm未満程度
にする必要がない場合、例えばナフサ留分をエチレン製
造装置の原料として使用する場合には、図1−(ロ)で
示すように、予備蒸留塔にてナフサ留分を除くことな
く、原油を一括して水素化処理してもよい。予備蒸留塔
に供給する原油や水素化処理工程に供給する原油は、予
備蒸留塔内の汚れや閉塞の防止、水素化処理触媒の劣化
防止などのために、予め脱塩処理を行うことが好まし
い。脱塩処理方法としては、当業者にて一般的に行われ
ている方法を用いることができる。その方法としては、
例えば、化学的脱塩法,ペトレコ電気脱塩法、ハウ・ベ
ーカー電気脱塩法などが挙げられる。
【0006】図1−(イ)で示すように、予備蒸留塔で
原油を処理する場合、原油中のナフサ留分及びそれより
も軽質の留分の除去が行われるが、この場合蒸留条件と
しては、通常、温度は145〜200℃の範囲であり、
また圧力は常圧〜10kg/cm2 の範囲、好ましくは
1.5kg/cm2 前後である。この予備蒸留塔にて塔頂
より除去するナフサ留分は、沸点が10℃以上で、上限
が125〜174℃の範囲にあるものが好ましいが、後
段にて水素化脱硫して精留するため、精度よく蒸留する
必要はない。なお、沸点10〜125℃のナフサ留分
は、通常炭素数が5〜8のものであり、10〜174℃
のナフサ留分は、通常炭素数5〜10のものである。ナ
フサ留分を沸点125℃未満でカットした場合、次の工
程の水素化処理の際に水素分圧が低下して、水素化処理
の効率が低下するおそれがあり、また沸点174℃を超
えてカットすると、後段の水素化処理及び蒸留で得られ
る灯油留分の煙点が低下する傾向がみられる。
【0007】本発明の方法においては、原油又はナフサ
留分を除いた原油を水素化処理する際に、触媒として、
(1)(a)アルミナ−ボリア担体に、周期律表第6,
8,9及び10族に属する金属の中から選ばれた少なく
とも一種を担持したもの、(2)(b)鉄含有アルミノ
シリケート含有担体に、周期律表第6,8,9及び10
族に属する金属の中から選ばれた少なくとも一種を担持
したもの、又は(3)上記(a)触媒と(b)触媒とを
組み合わせたものが用いられる。
【0008】前記(a)水素化処理触媒は、アルミナ−
ボリア担体に、周期律表第6,8.9及び10族に属す
る金属の中から選ばれた少なくとも一種を担持したもの
であって、周期律表第6族に属する金属としては、タン
グステン、モリブデンが好ましく、また周期律表第8〜
10族に属する金属としては、ニッケル、コバルトが好
ましい。なお、第6族の金属、第8〜10族の金属はそ
れぞれ一種用いてもよく、それぞれ複数種の金属を組み
合わせて用いてもよいが、特に水素化活性が高く、かつ
劣化が少ない点から、Ni−Mo,Co−Mo,Ni−
W,Ni−Co−Moの組合せが好適である。
【0009】また、前記金属の担持量については、特に
制限はなく、各種条件に応じて適宜選定すればよいが、
通常は触媒全重量に基づき、金属酸化物として1〜35
重量%の範囲である。この担持量が1重量%未満では、
水素化処理触媒としての効果が充分に発揮されず、また
35重量%を超えると、その担持量の割には水素化活性
の向上が顕著でなく、かつ経済的に不利である。特に、
水素化活性及び経済性の点から5〜30重量%の範囲が
好ましい。前記アルミナ−ボリア担体は、担体の全重量
に基づき、ボリア(硼素酸化物)を3〜20重量%の割
合で含有するものが好適である。ボリアの含有量が3重
量%未満では、水素化活性を向上させる効果が小さく、
また20重量%を超えると、その量の割には水素化活性
の向上効果があまりみられず、経済的でない上、脱硫活
性が低下する場合があり、好ましくない。特に水素化活
性の向上効果の点から5〜15重量%の範囲が好まし
い。さらに、該アルミナ−ボリア担体は、ボロン原子分
散性が分散性理論値の85%以上であるものが好適であ
る。
【0010】担体のボロン分散性は、X線光電子分光法
(以下、XPSと称する。)により測定され、モノレイ
ヤー分散の理論式により導出される。XPSとは、固体
表面から10〜30Å程度の深さまでの領域に存在する
原子の定量・定性分析手法である。この手法によりアル
ミナ上に分散担持されたボロン原子を定量すると(Al
ピーク強度に対するBピーク強度で表現する)、この方
法が表面敏感であるが故に、ボロン原子の分散状態を大
きく反映する。したがって、ボリア含有量が一定の場合
においても、アルミナ上に高分散しているか、あるいは
ボロンがバルクの状態で存在するかによりXPS強度比
が変化する。ボロン原子が高分散状態であればXPS強
度比は大きくなり、逆に分散性が低くバルクボリアが存
在するようになるとXPS強度比は小さくなる。ボロン
分散性を評価することは、アルミナ上のAl−O−B結
合の形成量を見積もることであり、さらには、そこに発
現する酸量を決定することである。固体酸性は、水素化
分解特性及び脱窒素活性に直接関連する重要な因子であ
り、ボロン分散性と上記特性とは密接に相関する。以上
の理由から、XPSという表面分析の手法を用いること
により、アルミナ−ボリア担体におけるボリアの分散状
態を規定し、添加したボリアが最も有効に機能する分散
範囲を決定することが可能となる。
【0011】次に、ボロン分散性評価の具体的な方法に
ついて説明する。担体(Al2 3 )表面にボリア(B
2 3 )を担持させたもののXPS測定を行った場合、
XPS強度比は、Moulijn らにより導出された理論式
(I)〔「ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリ
ー(J. Phys. Chem.)」第83巻、第1612〜161
9ページ(1979年)〕から、次のように求めること
ができる。
【0012】
【数1】
【0013】〔式中、(IB /IAltheoret は理論的
に求められるBとAlのXPSピーク強度比であり、
(B/Al)atomはBとAlの原子比であり、σ(Al)
Al2s電子のイオン化断面積であり、σ(B) はB1s電子
のイオン化断面積であり、β1 及びβ2 は式 β1 =2/(λ(Al)ρS0 ) β2 =2/(λ(B) ρS0 ) から求められ、λ(Al)はAl2s電子の脱出深さであり、
λ(B) はB1s電子の脱出深さであり、ρはアルミナの密
度であり、S0 はアルミナの比表面積であり、D
(εAl)およびD(εB )は、それぞれAl2s又はB1s
の検出器効率(D∝1/ε)である。〕上記(1)式に
対して、Pennの式〔「ジャーナル・オブ・エレクトロン
・スペクトロスコピー・アンド・リレイテッド・フェノ
メナ(J. Electron Spectroscopy and Related Phenome
na)」第9巻,第29〜40ページ(1976年)〕を
用いて導出したλ(Al2s)=18.2Å、λ(B1s)=1
8.8Å及びσ(Al2s)=0.753、σ(B1s)=0.48
6(Scofieldの文献値〔「ジャーナル・オブ・エレクト
ロン・スペクトロスコピー・アンド・リレイテッド・フ
ェノメナ(J. Electron Spectroscopy and Related Phe
nomena)」第8巻,第129〜137ページ(1976
年)〕:AlKα線を励起源とした値)を代入する。ま
た、ボリアとアルミナの重量比を(B2 3 /AL2
3 wtで示すと、(B/Al)atom=1.465(B2
3 /Al2 3 wtなので、これを代入する。そうする
と、(2)式が導かれる。ここで、前記のとおりAl及
びBのXPSピークとして、Al2s及びB1sを採用して
いる。
【0014】
【数2】
【0015】(IB /IAltheoret は、理論的に求め
られるBとAlのXPSピーク強度比を意味する。ここ
で、(2)式におけるS0 はアルミナの比表面積である
が、本発明における調製法ではアルミナあるいはアルミ
ナ前駆体と硼素化合物との混練法を採用しているため、
0 を規定できない。そこで、本発明においてはS0
代わりにアルミナ−ボリア担体の比表面積SAl-Bを使用
することとする。したがって、本発明においては、ボロ
ン分散性の分散理論値は、式(3)によって求められ
る。
【0016】
【数3】
【0017】つまり、本発明においては、式(3)を用
いることによりボロンがモノレイヤーにてアルミナ表面
上に担持されたときの理論IB /IAl値を算出し、こう
して求められた理論IB /IAl値が分散性理論値であ
る。ここにρの単位はg/m3、SAl-Bの単位はm2
gである。またボロン原子分散性は、実測IB /IAl
(BとAlのXPSピーク強度比実測値)である。
【0018】該アルミナ−ボリア担体は、上記のように
して測定したボロン原子分散性が分散性理論値の85%
以上であるのが望ましい。ボロン原子分散性が理論値の
85%未満であると、酸点の発現が不充分となり高い水
素化分解活性及び脱窒素活性が期待できないという不都
合が生ずるおそれがある。上記アルミナ−ボリア担体
は、例えば水分含有量が65重量%以上のアルミナ又は
アルミナ前駆体に、硼素化合物を所定の割合で加え、6
0〜100℃程度の温度で好ましくは1時間以上、さら
に好ましくは1.5時間以上加熱混練したのち、公知の方
法により成形,乾燥及び燒成を行うことによって、製造
することができる。加熱混練が1時間未満では、混練が
不充分となってボロン原子の分散状態が不充分となるお
それがあり、また混練温度が上記範囲を逸脱すると、ボ
リアが高分散しない場合があり、好ましくない。なお、
上記硼素化合物の添加は、必要に応じ、水に加熱溶解さ
せて溶液状態で行ってもよい。
【0019】ここで、アルミナ前駆体としては、焼成に
よりアルミナを生成するものであれば、特に制限はな
く、例えば、水酸化アルミニウム,擬ベーマイト,ベー
マイト,バイヤライト,ジブサイトなどのアルミナ水和
物などを挙げることができる。上記のアルミナ又はアル
ミナ前駆体は水分含有量65重量%以上として使用する
のが望ましく、水分含有量が65重量%未満である場
合、添加したホウ素化合物の分散が充分でないおそれが
ある。また、硼素化合物としては、酸化硼素の他に、焼
成により酸化硼素に転化しうる各種の硼素化合物を使用
することができ、例えば、硼酸,硼酸アンモニウム,硼
酸ナトリウム,過硼酸ナトリウム,オルト硼酸,四硼
酸,五硫化硼素,三塩化硼素,過硼酸アンモニウム,硼
酸カルシウム,ジボラン,硼酸マグネシウム,硼酸メチ
ル,硼酸ブチル,硼酸トリシクロヘキシルなどが挙げら
れる。
【0020】本発明の方法において用いられる(a)水
素化処理触媒は、上記のようにして得られたアルミナ−
ボリア担体に、周期律表第6,8,9及び10族に属す
る金属の中から選ばれた少なくとも一種を担持させたも
のであるが、その担持方法については、特に制限はな
く、含浸法,共沈法,混練法などの公知の任意の方法を
採用することができる。アルミナ−ボリア担体に、所望
の金属を所定の割合で担持させたのち、必要に応じて乾
燥後、燒成処理を行う。燒成温度及び時間は、担持させ
た金属の種類などに応じて適宜選ばれる。このようにし
て得られた(a)水素化処理触媒は、通常平均細孔径が
70Å以上、好ましくは90〜200Åのものである。
この平均細孔径が70Å未満では、触媒寿命が短くなる
という不都合が生じる場合がある。
【0021】一方、本発明の方法において用いられる
(b)水素化処理触媒は、鉄含有アルミノシリケート含
有担体に、周期律表第6,8,9及び10族に属する金
属の中から選ばれた少なくとも一種を担持したものであ
って、周期律表第6族に属する金属としては、タングス
テン,モリブデンが好ましく、また周期律表第8〜10
族に属する金属としては、ニッケル,コバルトが好まし
い。なお、第6族の金属、第8〜10族の金属はそれぞ
れ一種用いてもよく、それぞれ複数種の金属を組み合わ
せて用いてもよいが、特に水素化活性が高く、かつ劣化
の少ない点から、上記(a)水素化処理触媒の場合と同
様に、Ni−Mo,Co−Mo,Ni−W,Ni−Co
−Moの組合せが好適である。
【0022】また、前記金属の担持量については、特に
制限はなく、各種条件に応じて適宜選定すればよいが、
通常は触媒全重量に基づき、金属酸化物として1〜44
重量%の範囲である。この担持量が1重量%未満では、
水素化処理触媒としての効果が充分に発揮されず、また
44重量%を超えると、その担持量の割には水素化活性
の向上が顕著でなく、かつ経済的に不利である。特に、
水素化活性及び経済性の点から、10〜28重量%の範
囲が好ましい。前記鉄含有アルミノシリケート含有担体
は、鉄含有アルミノシリケート10〜90重量%及び無
機酸化物90〜10重量%とからなるものが好ましい。
担体中の鉄含有アルミノシリケートの含有量が10重量
%未満では、水素化処理触媒としての効果が充分に発揮
されず、また90重量%を超えると、その量の割には水
素化活性の向上効果があまりみられず、むしろ経済的に
不利となる。特に、水素化活性及び経済性の点から、鉄
含有アルミノシリケート30〜70重量%及び無機酸化
物70〜30重量%からなるものが好適である。
【0023】前記鉄含有アルミノシリケート含有担体に
用いられる無機酸化物としては、例えばベーマイトゲル
やアルミナゾルなどのアルミナ,シリカゾルなどのシリ
カ、あるいはシリカ−アルミナなどの多孔質のものが挙
げられる。一方、該担体に用いられる鉄含有アルミノシ
リケートは、酸化物の形態で表した主な組成が、一般式
(4) aFe2 3 ・Al2 3 ・bSiO2 ・nH2 O ・・・(4) で表されるものである。この一般式(4)において、n
は0〜30の実数を示し、bは15<b<100、好ま
しくは18<b<40であり、またa,bの関係は0.0
05<a/b<0.15、好ましくは0.02<a/b<0.
05を満たすものである。また、この鉄含有アルミノシ
リケートには、少量のNa2 Oなどのアルカリ金属酸化
物やアルカリ土類金属酸化物などが含有されていてもよ
い。
【0024】一般に鉄含有アルミノシリケートには以下
のような様々な形態の鉄化合物が存在している。すなわ
ち、単にアルミノシリケートに物理吸着している不活
性な鉄化合物。この鉄化合物は水素雰囲気下において、
500℃以下でFe3+→Fe 0 に一段で還元される。 アルミノシリケートの骨格と規則正しく相互作用して
いる鉄化合物。これにはイオン交換鉄化合物やアルミノ
シリケート骨格を構成する鉄化合物など様々な形態の鉄
化合物が存在する。これらの鉄化合物は水素雰囲気下に
おいて、低温部(室温〜700℃)でFe3+ →Fe
2+ に、高温部(700〜1,200℃)でFe2+→Fe0
二段で還元される。
【0025】の鉄化合物は昇温プログラム還元(TP
R)測定によって計算される不活性鉄化合物含有率〔F
e〕dep によって判別でき、の鉄化合物は同じくTP
R測定の高温部還元ピークによって判別できる。該担体
に用いられる鉄含有アルミノシリケートは、上記TPR
測定により計算される〔Fe〕dep が35%以下、好ま
しくは30%以下であるのが望ましい。また、少なくと
も一つの高温部還元ピーク温度Thが式 700℃≦Th≦(−300×UD+8,320)℃ 好ましくは式 850℃≦Th≦(−300×UD+8,300)℃ の範囲にあるのがよい。ここで、TPR測定とは、水素
流通下で試料を加熱昇温する際の水素消費量を測定する
ものである。この水素による金属酸化物の還元挙動か
ら、試料中の金属の状態を容易に知ることができる。な
お、UDは鉄含有アルミノシリケートの格子定数(Å)
を示す。
【0026】この鉄含有アルミノシリケートに見られる
TPR測定による還元ピークには、低温部の還元ピーク
と高温部の還元ピークが認められる。ここで、低温部の
還元ピークとして、Fe3+がFe2+に還元される際のピ
ークが室温〜700℃の範囲に認められ、また高温部の
還元ピークとして、Fe2+がFe0 に還元される際のピ
ークが700℃〜(−300×UD+8,320)℃の範
囲に認められる。なお、一般に、高温部還元ピークは、
活性の高い鉄含有アルミノシリケートほど低温にシフト
する傾向がある。また、ゼオライトの格子定数が小さく
なるほど高温にシフトする傾向にある。また、該鉄含有
アルミノシリケートでは、高温部還元ピークが二箇所以
上あるときは、少なくともその一つが700℃から(−
300×UD+8,320)℃の範囲に認められる。
【0027】ところで、該鉄含有アルミノシリケート中
のFe 種は、高温部の還元ピーク面積(高温ピーク面
積,Sh)(高温部の水素消費量に対応)と低温部の還
元ピーク面積(低温ピーク面積,Sl)(低温部の水素消
費量に対応)との比率は、その還元される原子価から計
算して理想的にはSh/Sl=2になるはずである。し
かし、ここで不活性(不純物)鉄化合物が存在すると、
低温部のみにピークをもつため上記比率は2より小さく
なる。したがって不活性鉄化合物含有率〔Fe〕
dep は、 〔Fe〕dep =(Sl−Sh/2)/St×100(%) 〔式中、St は全ピーク面積和を示す。〕により定義す
ることができる。この〔Fe〕dep で評価したときに、
該鉄含有アルミノシリケートは35%以下、特に好まし
くは30%以下のものが望ましい。このような鉄を含有
するアルミノシリケートとしては、上記の各条件を満足
するものであれば様々なものが充当できるが、特に触媒
の水素化活性を向上させる点から、結晶質アルミノシリ
ケートであるフォージャサイト型あるいはY型ゼオライ
トが好ましく、なかでも格子定数が24.15〜24.40
Å、とりわけ24.20〜24.37Åのものが最適であ
る。
【0028】該鉄含有アルミノシリケートを製造するに
当たっては、原料として、アルミナに対するシリカのモ
ル比SiO2 /Al2 3 が3.5以上のフォージャサイ
ト型ゼオライトが好ましく用いられる。このSiO2
Al2 3 モル比が3.5未満では、耐熱性が不充分であ
り、かつ結晶性が破壊されやすい。特に、耐熱性や結晶
性の保持の点から、SiO2 /Al2 3 モル比が4.6
以上のフォージャサイト型ゼオライトが好適である。ま
た、このアルミノシリケートには、Na2 Oが2.4重量
%以下程度含有されていてもよく、好ましくはその含有
量は1.8重量%以下である。本発明で用いる鉄含有アル
ミノシリケートを製造する場合、通常次に示す方法が用
いられる。まず、上記原料のアルミノシリケートをスチ
ーミング処理してスチーミングアルミノシリケートとす
る。ここでスチーミング処理の条件としては、様々な状
況に応じて適宜選定すればよいが、一般には温度540
〜810℃の水蒸気の存在下で処理することが好まし
い。ここで水蒸気は流通系であってもよく、また密閉容
器中に原料アルミノシリケートを保持して加熱し、該ア
ルミノシリケートの保有する水によりセルフスチーミン
グを行ってもよい。
【0029】次に、このようにスチーミング処理して得
られたスチーミングアルミノシリケートを、鉱酸で処理
する。ここで用いる鉱酸としては、各種のものが挙げら
れるが、塩酸,硝酸,硫酸などが一般的であり、そのほ
かリン酸,過塩素酸などを用いることもできる。次い
で、この系に鉄塩を加えて処理する。この鉄塩処理を行
う場合、前記鉱酸を加えた直後に、鉄塩を加えてそのま
ま処理を行ってもよく、また鉱酸を加えて充分に攪拌し
た後に、鉄塩を加えてもよい。また、この鉱酸の一定量
を添加したのち、残量の鉱酸と鉄塩を同時に加えてもよ
い。いずれにしても、スチーミングアルミノシリケート
に鉱酸を加えた系に鉄塩を加えること、換言すれば鉱酸
の存在下で鉄塩を加えることが必要である。この鉱酸を
添加し、さらに鉄塩を添加して処理を行う際の処理条件
としては、状況により異なり一義的に決定することはで
きないが、通常は処理温度5〜100℃、好ましくは5
0〜90℃、処理時間0.1〜24時間、好ましくは0.5
〜5時間とし、処理 pH0.5〜2.5、好ましくは1.4〜
2.1の範囲で適宜選定すればよい。処理液のpHが2.5
を超えると、重合鉄コロイドが生成するという不都合が
生じ、また pH0.5未満では、ゼオライト(アルミノシ
リケート)の結晶性が破壊されるおそれがある。また、
添加すべき鉱酸量は、アルミノシリケート1kg当たり
5〜20モル程度とし、鉱酸濃度は通常0.5〜50重量
%溶液、好ましくは1〜20重量%溶液である。さらに
鉱酸の添加時期は、前記したように鉄塩を加える前でな
ければならない。鉱酸の添加の際の温度は、前記範囲で
選定すればよいが、好ましくは室温〜100℃、特に好
ましくは50〜100℃である。
【0030】一方、鉄塩を加えるに当たっては、その種
類は特に制限はないが、通常は塩化第一鉄,塩化第二
鉄,硝酸第一鉄,硝酸第二鉄,硫酸第一鉄,硫酸第二鉄
を挙げることができる。この鉄塩はそのまま加えること
もできるが、溶液として加えることが好ましい。この際
の溶媒は鉄塩を溶解するものであればよいが、水,アル
コール,エーテル,ケトンなどが好ましい。また、加え
る鉄塩濃度は、通常は0.02〜10.0M、好ましくは0.
05〜5.0Mである。この鉄塩の添加時期は、前述の鉱
酸によりアルミノシリケートのスラリーを pH1〜2に
した後とすべきである。また鉄塩添加の際の温度は、好
ましくは室温〜100℃、特に好ましくは50〜100
℃とする。また添加に際して予め鉄塩を加熱しておくこ
とも有効である。なお、この鉱酸ならびに鉄塩を加えて
アルミノシリケートを処理するに当たっては、そのスラ
リー比、すなわち処理溶液容量(リットル)/アルミノ
シリケート重量(kg)は、1〜50の範囲が好都合で
あり、特に、5〜30が好適である。このように鉱酸処
理,鉄塩処理を順次あるいは同時進行的に行うことによ
って、前記したような性状の鉄含有アルミノシリケート
が得られる。ここで、アルミノシリケートを鉱酸処理後
に、乾燥,焼成し、しかる後に鉄塩処理を行うと目的と
する性状の鉄含有アルミノシリケートを得ることができ
ない。このようにして得られる鉄含有アルミノシリケー
トに、さらに必要に応じて水洗,乾燥,焼成を適宜行う
ことも有効である。
【0031】本発明の方法において用いられる(b)水
素化処理触媒は、上記のようにして得られた鉄含有アル
ミノシリケートと前記無機酸化物とを所定の割合で含有
する担体に、周期律表第6,8,9及び10族に属する
金属の中から選ばれた少なくとも一種を担持したもので
あるが、その担持方法については、特に制限はなく、含
浸法,共沈法,混練法などの公知の任意の方法を採用す
ることができる。鉄含有アルミノシリケート含有担体
に、所望の金属を所定の割合で担持させたのち、必要に
応じて乾燥後、焼成処理を行う。焼成温度及び時間は、
担持させた金属の種類などに応じて適宜選ばれる。本発
明の方法においては、触媒として、前記(a)水素化処
理触媒を用いてもよく、(b)水素化処理触媒を用いて
もよい。また、所望の製品性状や得率に応じて、該
(a)水素化処理触媒と(b)水素化処理触媒とを、任
意の割合で組み合わせて用いることができるが、特に
(b)水素化処理触媒を(a)水素化処理触媒に対して
20容量%以上用いることにより、白油増産効果が顕著
となる。
【0032】さらに、本発明の方法においては、原料油
のメタル含有レベルに応じて、既存の脱メタル触媒を、
上記(a)触媒、(b)触媒又は(a)と(b)との混
合触媒に、触媒全容量に基づき10〜80容量%程度組
み合わせて用いてもよい。これにより、メタルによる触
媒劣化を抑制しうるとともに、製品中の含有量を低減す
ることができる。該脱メタル触媒としては、当業者が通
常用いているもの、例えば無機酸化物,酸性担体,天然
鉱物などに、周期律表第5,6,8,9及び10族に属
する金属の中から選ばれた少なくとも一種を、触媒全重
量に基づき、酸化物として3〜30重量%程度担持して
なる平均細孔径100Å以上の触媒、具体的にはアルミ
ナにNi−Moを触媒全重量に基づき、酸化物として1
0.5重量%担持してなる平均細孔径118Åの触媒など
を挙げることができる。このような水素化処理触媒を用
いた反応形式については、特に制限はなく、例えば固定
床,流動床,移動床などを採用することができる。
【0033】本発明の方法においては、原油又はナフサ
留分を除いた原油を、前記水素化処理触媒を用いて一括
水素化脱硫処理を行う。ナフサ留分を除いた原油を水素
化脱硫処理する場合の反応条件としては、通常反応温度
300〜450℃,水素分圧30〜200kg/c
2 ,水素/油比300〜2,000Nm3 /キロリット
ル,液時空間速度(LHSV)0.1〜3hr-1であるが、
効率よく水素化脱硫を行いうる点から、反応温度360
〜420℃,水素分圧100〜180kg/cm2,水
素/油比500〜1,000Nm3 /キロリットル,LH
SV0.15〜0.5 hr -1の範囲が好ましい。一方、原油を
水素化脱硫処理する場合の反応条件は、上記のナフサ留
分を除いた原油を水素化脱硫処理する場合の反応条件と
同様であるか、水素分圧が低下するため、水素分圧及び
水素/油比を、上記範囲内で大きくすることが好まし
い。
【0034】このようにして、原油又はナフサ留分を除
いた原油を一括水素化脱硫処理したのち、この処理油
は、図1で示すように常圧蒸留塔にて各種製品、例えば
ナフサ留分,灯油留分,軽油留分,常圧蒸留残油などに
分離される。この際、常圧蒸留塔の操作条件としては、
石油精製設備において広く行われている原油常圧蒸留方
法と同様であり、通常温度は300〜380℃程度、圧
力は常圧〜1.0kg/cm2 G程度である。この工程
を、水素化脱硫工程に引き続き行うことにより、熱回収
を図り運転費を大きく低減することができる。また、既
設の原油常圧蒸留塔を有効に利用するため、他の場所に
ある製油所へ水素化脱硫処理油を転送して製品の分離を
行うことにより、建設費を低減することができる。
【0035】
【実施例】更に、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。 実施例1 原料油として、アラビアンヘビー脱塩原油のナフサ留分
(C5〜157℃)を除いた下記性状のものを用いた。 密度(15℃) 0.9319g/cm3 硫黄分 3.24重量% 窒素分 1500重量ppm バナジウム 55重量ppm ニッケル 18重量ppm 灯油留分(157℃より高く239℃以下) 9.8重量% 軽油留分(239℃より高く370℃以下) 25.8重量% 残油 (370℃より高いもの) 64.4重量% 第1表に示す触媒A(脱メタル触媒)及び触媒Bをそれ
ぞれこの順に、20容量%及び80容量%の割合で1,0
00ccの反応管に充填し、水素分圧130kg/cm
2 ,水素/油比800Nm3 /キロリットル,反応温度
380℃,LHSV0.4hr-1の条件で水素化処理を行っ
た。次に、得られた水素化処理油を蒸留により、ナフサ
留分(C5〜157℃),灯油留分(157℃より高く
239℃以下),軽油留分(239℃より高く370℃
以下)及び残油(370℃より高いもの)に分留し、そ
れぞれの性状を求めた。その結果を第2表に示す。ま
た、上記で得られた灯油留分及び軽油留分の貯蔵安定性
試験を実施した。具体的には、ベントを有した500ミ
リリットルのガラス容器に試料を400ミリリットル入
れ、43℃に保たれた暗所にて30日間貯蔵した。貯蔵
試験前後の結果を第3表に示す。これよりアラビアンヘ
ビー脱塩原油のナフサ留分を除いた残油から、品質のよ
い灯油や軽油が得られ、貯蔵時の色相も安定しているこ
とがわかる。
【0036】実施例2 第1表に示す触媒A(脱メタル触媒),触媒C及び触媒
Bをそれぞれこの順に、20容量%,30容量%及び5
0容量%の割合で2,000ccの反応管に充填し、反応
温度を390℃に変えた以外は、実施例1と同様に水素
化処理を実施した。得られた水素化処理油を、実施例1
と同様にして分留し、それぞれの性状を求めた。その結
果を第2表に示す。また、灯油留分及び軽油留分につい
て、実施例1と同様にして貯蔵安定性試験を行った。そ
の結果を第3表に示す。これよりアラビアンヘビー脱塩
原油のナフサ留分を除いた残油から、品質のよい灯油が
増産でき、貯蔵時の色相も安定していることがわかる。
【0037】実施例3 第1表に示す触媒A(脱メタル触媒)及び触媒Cをそれ
ぞれこの順に、20容量%及び80容量%の割合で1,0
00ccの反応管に充填し、反応温度を400℃に変え
た以外は、実施例1と同様に水素化処理を実施した。得
られた水素化処理油を、実施例1と同様にして分留し、
それぞれの性状を求めた。その結果を第2表に示す。ま
た、灯油留分及び軽油留分について、実施例1と同様に
して貯蔵安定性試験を行った。その結果を第3表に示
す。これよりアラビアンヘビー脱塩原油のナフサ留分を
除いた残油から、品質のよい灯油が増産でき、貯蔵時の
色相も安定していることがわかる。
【0038】実施例4 原料油として、アラビアンライト脱塩原油を用い、水素
分圧を120kg/cm2 ,反応温度を395℃,LH
SVを0.35hr-1に変えた以外は、実施例1と同様に水
素化処理を実施した。原料油の性状を下記に示す。 密度(15℃) 0.8639g/cm3 硫黄分 1.93重量% 窒素分 850重量ppm バナジウム 18重量ppm ニッケル 5重量ppm ナフサ留分(C5〜157℃) 14.7重量% 灯油留分(157℃より高く239℃以下) 14.2重量% 軽油留分(239℃より高く370℃以下) 25.6重量% 残油 (370℃より高いもの) 45.5重量% 得られた水素化処理油を、実施例1と同様にして分留
し、それぞれの性状を求めた。その結果を第2表に示
す。また、灯油留分及び軽油留分について、実施例1と
同様にして貯蔵安定性試験を行った。その結果を第3表
に示す。これよりアラビアンライト脱塩原油から、品質
のよい灯油や軽油が得られ、貯蔵時の色相も安定してい
ることがわかる。
【0039】比較例1 第1表に示す触媒A(脱メタル触媒)及び触媒D(脱硫
触媒)をそれぞれこの順に、20容量%及び80容量%
の割合で1,000ccの反応管に充填し、実施例1と同
一条件で水素化処理を実施した。得られた水素化処理油
を、実施例1と同様にして分留し、それぞれの性状を求
めた。その結果を第2表に示す。また、灯油留分及び軽
油留分について、実施例1と同様にして貯蔵安定性試験
を行った。その結果を第3表に示す。これよりアラビア
ンヘビー脱塩原油のナフサ留分を除いた残油から得られ
る灯油や軽油は、品質および得率ともに不充分であり、
貯蔵時の色相がよくないことがわかる。
【0040】比較例2 第1表に示す触媒A(脱メタル触媒)及び触媒D(脱硫
触媒)をそれぞれこの順に、20容量%及び80容量%
の割合で1,000ccの反応管に充填し、実施例4と同
一条件で水素化処理を実施した。得られた水素化処理油
を、実施例1と同様にして分留し、それぞれの性状を求
めた。その結果を第2表に示す。また、灯油留分及び軽
油留分について、実施例1と同様にして貯蔵安定性試験
を行った。その結果を第3表に示す。これよりアラビア
ンライト脱塩原油から得られる灯油や軽油は、品質およ
び得率ともに不充分であり、貯蔵時の色相がよくないこ
とがわかる。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、原油又はナフサ留分を
除いた原油の一括水素化脱硫工程において、特定の触媒
を用い、水素化脱窒素及び水素化分解を併せて行うこと
により、品質が良好でかつ安定した灯油・軽油を増産し
うるとともに、精油設備の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水素化処理工程を含む各石油製品を
分離するための工程概略図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原油又はナフサ留分を除いた原油を触媒
    の存在下で水素化処理するにあたり、触媒として、
    (a)アルミナ−ボリア担体に、周期律表第6,8,9
    及び10族に属する金属の中から選ばれた少なくとも一
    種を担持したものを用いることを特徴とする原油又はナ
    フサ留分を除いた原油の水素化処理方法。
  2. 【請求項2】 原油又はナフサ留分を除いた原油を触媒
    の存在下で水素化処理するにあたり、触媒として、
    (b)鉄含有アルミノシリケート含有担体に、周期律表
    第6,8,9及び10族に属する金属の中から選ばれた
    少なくとも一種を担持したものを用いることを特徴とす
    る原油又はナフサ留分を除いた原油の水素化処理方法。
  3. 【請求項3】 原油又はナフサ留分を除いた原油を触媒
    の存在下で水素化処理するにあたり、触媒として、
    (a)アルミナ−ボリア担体に、周期律表第6,8,9
    及び10族に属する金属の中から選ばれた少なくとも一
    種を担持した触媒と、(b)鉄含有アルミノシリケート
    含有担体に、周期律表第6,8,9及び10族に属する
    金属の中から選ばれた少なくとも一種を担持した触媒と
    を組み合わせたものを用いることを特徴とする原油又は
    ナフサ留分を除いた原油の水素化処理方法。
  4. 【請求項4】 触媒として、さらに(c)脱メタル触媒
    を組み合わせたものを用いることを特徴とする請求項
    1,2又は3記載の水素化処理方法。
  5. 【請求項5】 アルミナ−ボリア担体が、ボリアを担体
    全重量に対して3〜20重量%含有し、かつボロンの原
    子分散性が理論値の85%以上のものである請求項1,
    3又は4記載の水素化処理方法。
  6. 【請求項6】 鉄含有アルミノシリケート含有担体が、
    鉄含有アルミノシリケートを担体全重量に対して10〜
    90重量%含有するものである請求項2,3又は4記載
    の水素化処理方法。
  7. 【請求項7】 脱メタル触媒が、無機酸化物、酸性担体
    又は天然鉱物に、周期律表第5,6,8,9及び10族
    に属する金属の中から選ばれた少なくとも一種を担持し
    てなる平均細孔径100Å以上のものである請求項4記
    載の水素化処理方法。
  8. 【請求項8】 脱メタル触媒の含有量が、触媒全容量に
    対して10〜80容量%である請求項4又は7記載の水
    素化処理方法。
  9. 【請求項9】 請求項1,2又は3記載の水素化処理方
    法で得た水素化処理油を、さらに蒸留により沸点の異な
    る各留分に分離することを特徴とする原油の処理方法。
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