JP5296404B2 - 超低硫黄燃料油の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

超低硫黄燃料油の製造方法およびその製造装置 Download PDF

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、代表的には流動接触分解で留出される分解軽油(LCO:Light Cycle Oil)などの高芳香族炭化水素含有炭化水素油から、有用な超低硫黄高オクタン価ナフサなどの超低硫黄燃料油を製造する超低硫黄燃料油の製造方法およびその製造装置に関する。
本製造法の原料油である高芳香族炭化水素含有炭化水素油は、沸点範囲としては軽質軽油留分で、芳香族炭化水素を多く含む流動接触分解装置(FCC:fluid catalytic cracking)およびコーカー等の熱分解装置由来のものを対象としている。具体的には、芳香族炭化水素、すなわち、一環、二環および三環の芳香族炭化水素を合計60容量%以上(好ましくは70容量%、さらに好ましくは80容量%以上)含有する。さらには、オイルサンド等の劣質な油を起源とした高芳香族炭化水素含有炭化水素油が対象である。
これらの中で、FCCの主目的は重質油からナフサや分解軽油(LCO:Light Cycle Oil)を製造することである。ここで製造されたLCOには芳香族化合物が多く含まれているため、軽油としての品質を満たさない。そこで、一般的にはA重油またはC重油の基材として活用するか、または、他の軽油基材に少量のLCOを混合することによって処理されている。
しかしながら、LCOを他の軽油基材に混合できる量には限度があり、また、最近の重油の需要の低下により、LCOを有効的に活用する技術の開発が期待されている。例えば、LCOを水素化して、軽油として用いる方法が考えられているが、芳香族炭化水素を完全に水素化するため、水素消費量が多くなるという問題がある。さらに、完全に核水素化してナフテンとしても、軽油として十分なセタン指数まで向上しないため、直留軽油にブレンドするなど、基材としての活用が制限されるという問題がある。
そこで、LCOを有効的に活用する技術の開発が期待されている。
一方、LCOに芳香族炭化水素が多く含まれる性質を利用して一環芳香族炭化水素に富むガソリン留分に転換する試みが米国で行なわれてきた。例えば、水素化分解装置にLCOを通油し、水素化分解して軽質油に転化する方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、これらの水素化分解法では高オクタン価ガソリンを直接製造することができなかった。その理由は、これらの方法は通常高い水素分圧と比較的高い転化レベルで操業されて、芳香族炭化水素の飽和、無機形態での異種原子の除去およびそれに続く水素化芳香族のパラフィンへの転化が最高になるように運転されてきたからである(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照)。
特許文献1に記載のものは、ナフサ沸点以上の温度で沸騰する装入原料(分解軽油相当)を触媒と接触させ、装入原料をナフサ沸点範囲生成物へクラッキングすることからなる高オクタンガソリンの製造方法である。この特許文献1は、実質上脱アルキル化した装入原料を水素分圧7MPa以下、温度371℃〜482℃および1通過当たりのナフサへの転化率50%以下で、制御指数2以下のゼオライト触媒と接触させる構成が採られている。
しかしながら、この特許文献1に記載のものでは、ナフサへの転化率が50%以下と低い領域でしか高オクタン価ガソリンが得られない。したがって、ナフサ留分の収率およびその留分に含まれている一環芳香族炭化水素の収率は低くなり、効果的でない不都合がある。
特許文献2に記載のものは、原料油の最終沸点が343℃以下に設定し、三環芳香族炭化水素を実質的に含まない原料油を選択して処理する構成が採られている。
しかしながら、この特許文献2に記載のものは、ナフサへの転化率が80%以下、好適には65%以下と限定されているため、効果的ではない不都合がある。
特許文献3に記載のものは、1通過当たりのナフサへの転化率50%以下で、分解生成油を分留し、初留点が165℃〜227℃、終留点が232℃〜260℃を、水素化分解ゾーンへとリサイクルしている。
しかしながら、この特許文献3に記載のものは、処理工程が複雑であり、効率的でない不都合がある。
「Petroleum Refining」第2版、Marcer Dekker、N.Y.1984年発行、第138−151頁 特開昭61−283687号公報 特開昭63−161072号公報 特開平3−170598号公報
上述したように、上記特許文献1ないし特許文献3に記載のような従来の構成では、効率よく分解軽油を水素化脱硫および水素化分解して超低硫黄燃料油が得られにくいおそれがある。
本発明の目的は、このような点に鑑みて、高芳香族炭化水素含有炭化水素油を効率よく高い分解率で分解して一環芳香族炭化水素を高比率で含有する超低硫黄高オクタン価ナフサが得られる超低硫黄燃料油の製造方法およびその製造装置を提供する。
本発明に記載の超低硫黄燃料油の製造方法は、高芳香族炭化水素含有炭化水素油である流動接触分解で留出される分解軽油(LCO:Light Cycle Oil)から超低硫黄燃料油を製造する超低硫黄燃料油の製造方法であって、前記LCOは、エングラー蒸留に基づく10%点と90%点が190℃から390℃の範囲にあり、芳香族炭化水素を合計60容量%以上含有し、密度が0.88g/cm 3 以上1.00g/cm 3 以下であり、前記LCOを、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうち少なくともいずれか1種を耐火性無機酸化物担体に担持した水素化脱硫触媒を用いて水素化脱硫処理を実施する水素化脱硫処理工程と、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうちの少なくともいずれか1種を結晶性アルミノシリケートを含有する耐火性無機酸化物担体に担持した水素化分解触媒を用いて水素化分解処理を実施する水素化分解処理工程と、を実施するもので、前記水素化脱硫処理工程および前記水素化分解処理工程は、前記LCOの処理を、水素分圧が3MPa以上15MPa以下、液空間速度(LHSV)が0.3hr -1 以上3.0hr -1 以下、温度が300℃以上450℃以下で実施し、前記LCOの分解率を70質量%以上とすることを特徴とする。
この発明で製造する超低硫黄燃料油は、例えば超低硫黄高オクタン価ナフサである。
流動接触分解は、通常、重質軽油(HGO)や減圧軽油(VGO)を原料とする流動接触分解(FCC:fluid catalytic cracking)と、アスファルテン分を多く含むものを原料とする残油流動接触分解(RFCC:Residue fluid catalytic cracking)とを区別する場合があるが、本発明の流動接触分解はFCCとRFCCのいずれをも含み、いずれの工程で留出されたLCOをも本発明の対象とする。
原料油として用いる高芳香族炭化水素含有の炭化水素油は、エングラー蒸留に基づく10%点と90%点が190℃から390℃の範囲(好ましくは200℃から380℃の範囲、さらに好ましくは210℃から370℃の範囲)にあり、芳香族炭化水素、すなわち、一環、二環、三環芳香族炭化水素を合計60容量%以上(好ましくは70容量%、さらに好ましくは80容量%以上)含有するもので、95容量%を超えないものが原料油として好適である。
ここで、沸点が低すぎると芳香族炭化水素含有量が低いため好ましくない。一方、沸点が高すぎると、触媒の劣化が顕著になるため好ましくない。
また、芳香族炭化水素含有量が低いと既存の水素化脱硫装置で水素化処理して軽油に転換した方が経済性が高いので、本発明を適用する意義がない。一方、芳香族炭化水素含有量が95容量%を超えると、反応における発熱が大きすぎ、除熱が困難となるので、好ましくない。
また、原料油として、LCO以外にもコーカーなどの熱分解装置由来のものが芳香族炭化水素を多く含むため好適である。
さらには、オイルサンドなどの劣質な油を起源としたものも同様に適用可能である。これらの高芳香族含有炭化水素油を単独あるいは混合して原料油として用いることができる。
原料油の密度は、通常0.88g/cm3以上1.00g/cm3以下の範囲(好ましくは0.89g/cm3以上0.99g/cm3以下、さらに好ましくは0.90g/cm3以上0.98g/cm3以下)が好適である。原料油の硫黄分は通常、0.1質量%以上1.0質量%以下のものが好適である。
ここで、密度が低すぎると芳香族炭化水素含有量が少ないため好ましくない。一方、密度が高すぎると芳香族炭化水素含有量が多すぎ、触媒の劣化が顕著になるため好ましくない。
原料油の窒素分については、3,000質量ppm以下(好ましくは2,000質量ppm、より好ましくは1,000質量ppm以下)が好適である。ここで、窒素分が多いと、水素化処理工程において十分には窒素分が除去できなくなり、水素化分解工程における分解反応が抑制されるため好ましくない。
この発明によれば、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうち少なくともいずれか1種を耐火性無機酸化物担体に担持させた触媒を用いるので、効率よく脱硫を行うことができる。さらに、周期表第6族、第8、第9、第10族金属のうちの少なくともいずれか1種を結晶性アルミノシリケートを含有する耐火性無機酸化物担体に担持した水素化分解触媒を用いて水素化分解処理を実施するので、一環芳香族炭化水素を高収率に含むオクタン価の高い超低硫黄燃料油が得られる。このように、炭化水素油の流動接触分解で留出する高芳香族炭化水素含有炭化水素油を有効利用し、70質量%以上、望ましくは80質量%以上の高分解率で芳香族炭化水素を高収率に含むオクタン価の高い、かつ硫黄分が10質量ppm以下の超低硫黄燃料油を製造できる。
そして、本発明では、前記結晶性アルミノシリケートは、Y型ゼオライトである構成とすることが好ましい。
この発明では、高分解活性を有するY型ゼオライトを用いるため、より高分解率で芳香族炭化水素を高収率に含むオクタン価の高い、かつ硫黄分が10質量ppm以下の超低硫黄燃料油を製造できる。
さらに、本発明では、前記結晶性アルミノシリケートは、鉄を含有するY型ゼオライトである構成とすることが好ましい。
この発明では、鉄イオンでのイオン交換により修飾したY型ゼオライトを用いるため、より高分解活性が得られる。
また、本発明では、前記水素化分解触媒は、耐火性無機酸化物担体中に前記結晶性アルミノシリケートを30質量%以上で含有している構成とすることが好ましい。
この発明では、耐火性無機酸化物担体中に結晶性アルミノシリケートを30質量%以上で含有しているため、より高分解活性が得られる。
ここで、結晶性アルミノシリケートが30質量%より少ない場合、分解活性が著しく低くなり高分解率を得るために必要な温度が著しく高温となり、ガスへの過分解や触媒の急激な失活が生じて寿命が短くなるので好ましくない。
そして、本発明では、前記LCOの分解率は70質量%以上とする構成とする。
この発明では、LCOの分解率を70質量%以上としているので、高オクタン価の超低硫黄燃料油を効率よく製造できる。
ここで、分解率は、原料油である高芳香族炭化水素含有炭化水素油を100重量部として、生成したガス、LPG、軽質ナフサ(〜90℃)、重質ナフサ(90〜190℃)、軽油(190℃〜)の物質収支をとる。その軽油の重量割合を軽油重量部とし、100−軽油重量部として分解率を求める。消費された水素は負数として計上する。よって、ガス、LPG、軽質ナフサ、重質ナフサ、軽油の合計重量は100重量部より大きくなるのが通常である。
本発明において、分解率は70質量%以上(好ましくは80質量%以上)が好適で、分解率が低いと高オクタン価重質ナフサ、一環芳香族炭化水素、C8芳香族炭化水素等の原料油通油量当たりの得率が低いので好ましくない。一方、分解率が95質量%以上になると、付加価値の低いガスの生成が増え、高オクタン価重質ナフサの原料油通油量当たりの得率がかえって減少するので好ましくない。
そして、本発明では、前記超低硫黄燃料油は、超低硫黄高オクタン価ナフサである構成とすることが好ましい。
本発明では、超低硫黄高オクタン価ナフサを製造する構成に特に有効である。
また、本発明では、前記水素化脱硫処理工程および前記水素化分解処理工程は、前記LCOの処理を、水素分圧が3MPa以上15MPa以下、液空間速度(LHSV)が0.3hr-1以上3.0hr-1以下、温度が300℃以上450℃以下で実施する構成とする。
本発明では、水素分圧が3MPa以上15MPa以下(好ましくは3MPa以上10MPa以下)、液空間速度(LHSV)が0.3hr-1以上3.0hr-1以下(好ましくは0.2hr-1以上2.0hr-1以下)、温度が300℃以上450℃以下の条件で水素化脱硫処理および水素化分解処理を実施する。このため、高い分解率を得て、分解された軽質留分として硫黄分10質量ppm以下の超低硫黄で、かつ芳香族炭化水素を高収率に含むオクタン価の高いナフサが、また未分解留分として同じく硫黄分10質量ppm以下の超低硫黄軽油が製造できる。
本発明の超低硫黄燃料油の製造装置は、高芳香族炭化水素含有炭化水素油である流動接触分解で留出される分解軽油(LCO:Light Cycle Oil)から超低硫黄燃料油を製造する超低硫黄燃料油の製造装置であって、前記LCOは、エングラー蒸留に基づく10%点と90%点が190℃から390℃の範囲にあり、芳香族炭化水素を合計60容量%以上含有し、密度が0.88g/cm 3 以上1.00g/cm 3 以下であり、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうち少なくともいずれか1種を耐火性無機酸化物担体に担持した水素化脱硫触媒を収容し、この水素化脱硫触媒により前記LCOを水素化脱硫処理する水素化脱硫処理手段と、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうちの少なくともいずれか1種を結晶性アルミノシリケートを含有する耐火性無機酸化物担体に担持した水素化分解触媒を収容し、この水素化分解触媒により前記水素化脱硫処理手段で処理した留分を水素化分解処理する水素化分解処理手段と、を具備し、前記水素化脱硫処理手段および前記水素化分解処理手段は、前記LCOの処理を、水素分圧が3MPa以上15MPa以下、液空間速度(LHSV)が0.3hr -1 以上3.0hr -1 以下、温度が300℃以上450℃以下で実施し、前記LCOの分解率を70質量%以上とすることを特徴とする。
この発明では、請求項1に記載の超低硫黄燃料油の製造方法を製造装置に展開したもので、前述と同様の作用効果を奏することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る分解軽油(LCO)から超低硫黄燃料油を製造する製造装置の一態様を示した概略図である。
図1に示すように、製造装置100は、流動接触分解(FCC)装置10から留出したLCOを水素化脱硫処理する水素化脱硫装置20と、水素化脱硫処理された脱硫LCOを水素化分解処理する水素化分解装置30と、を備えている。
本実施形態は、水素化脱硫装置20でFCC装置から留出したLCOを水素化脱硫処理する水素化脱硫処理工程を実施し、水素化分解装置30で水素化脱硫処理された脱硫LCOを水素化分解処理する水素化分解処理工程を実施する。
各工程について以下に詳述する。
[1.前工程]
FCC装置10は、流動接触分解により、高芳香族炭化水素含有炭化水素油である分解軽油(LCO:Light Cycle Oil)を留出する。FCC装置10は、通常、重質油からガソリンやLCOを生成するが、生成LCO中には芳香族炭化水素分やオレフィン分が多量に含まれている。FCC装置10の原料油となる高芳香族含有炭化水素油として特に好ましいのは、重質軽油、減圧軽油、常圧残油、脱歴油、原油およびこれらを事前に脱硫処理したもののほか、これらの混合物が挙げられる。
また、オイルサンドなどの劣質な油を起源としたものも含むことができる。オイルサンドをコーカーなどで分解して得られた重質軽油留分・減圧軽質留分およびこれらを事前に脱硫処理したものもFCC装置原料の対象である。
FCC装置で生成されたLCOは水素化脱硫装置20に導入され、水素化脱硫処理される。
[2.水素化脱硫処理工程]
前工程で留出されたLCOは水素化脱硫装置20に通油され、水素化脱硫される。この工程が水素化脱硫処理工程である。
水素化脱硫装置20は、反応温度320℃以上400℃以下、水素分圧3MPa以上15MPa以下、液空間速度(LHSV)0.3h-1以上3.0h-1以下、の条件で運転される。また、水素化脱硫処理触媒として、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうち少なくとも1種を耐火性酸化物担体に担持したものを用いることができる。耐火性酸化物担体としては、例えば、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシア、酸化亜鉛、結晶性アルミノシリケート、粘土鉱物またはそれらの混合物が挙げられる。中でも、アルミナ、特にγ-アルミナが好ましい。その平均細孔は50Å以上150Å以下の範囲のものが好ましく、60Å以上140Å以下の範囲のものがより好ましい。形状については、粉体でもよく、円柱、三つ葉、四つ葉などの成形体でもよい。
[3.第2の水素化処理工程]
水素化脱硫処理工程で脱硫されたLCOは水素化分解装置30に通油され、水素化分解処理される。この工程が水素化分解処理工程である。
水素化分解装置30は、反応温度320℃以上430℃以下、水素分圧3MPa以上15MPa以下、液空間速度(LHSV)0.3h-1以上3.0h-1以下、の条件で運転される。このような条件であれば、30質量%以上90質量%以下の範囲の脱硫LCO留分の分解率を得ることができる。
また、触媒として、結晶性アルミノシリケートを含む水素化分解触媒を用いることができる。水素化分解触媒は、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうちの少なくともいずれか1種を結晶性アルミノシリケートを含有する耐火性無機酸化物担体に担持したものを含有したものを用いることができる。結晶性アルミノシリケートの含有量は、耐火性無機酸化物担体中に10質量%以上80質量%以下であることが好ましいが、高分解活性を発揮するという点から30質量%以上、特に50質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。形状については、粉体でもよく、円柱、三つ葉、四つ葉などの成形体でもよい。
さらに、水素化脱硫触媒および水素化分解触媒における結晶性アルミノシリケートとしては、例えば、Y型ゼオライト、βゼオライトおよびモルデナイトなどが挙げられる。特に、Y型ゼオライトを修飾または安定化処理したものが好ましい。
Y型ゼオライトの修飾方法としては、鉄イオンでイオン交換する方法がある。鉄イオンでイオン交換されたY型ゼオライトの物性としては、SiO2/Al23(モル比)が3.5以上、好ましくは4.6以上であることが好ましい。また、格子常数が24.20Å以上24.40Å以下であることが好ましい。
また、Y型ゼオライトの安定化処理方法としては、540℃以上810℃以下の範囲で水蒸気下にてスチーミング処理を実施する方法が挙げられる。スチーミング処理後の結晶性アルミノシリケートに鉱酸を加えて脱アルミニウムおよび脱落アルミニウムの洗浄を行う。さらに鉄で修飾する場合は、鉄の硫酸塩を加えて混合攪拌することにより、鉄の担持ならびに脱アルミニウムおよび脱落アルミニウムの洗浄を行うことが好ましい。
[4.超低硫黄燃料油の製造方法]
次に、具体的な製造方法について説明する。
まず、FCC装置10で得られた分解軽油(LCO)は水素化脱硫装置20に通油され、脱硫されて硫黄分100質量ppm以下の脱硫LCO留分となる。
さらに、脱硫LCO留分は水素化分解装置30に通油され、水素化分解処理される。そして、図示しない蒸留工程を経て、硫黄分10質量ppm以下、かつリサーチ法オクタン価(RON:Research Octane Number)80以上であり、さらに炭素数8の芳香族炭化水素分を多く含むガソリン基材と、硫黄分10質量ppm以下の軽油基材とを製造することができる。このとき、ガソリン基材は50容量%以上、軽油基材は30容量%以下の製造割合で製造される。
[5.本実施形態における作用効果]
本実施形態によれば、FCC装置10で得られた分解軽油(LCO)を、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうち少なくともいずれか1種を耐火性無機酸化物担体に担持した水素化脱硫触媒を用いて水素化脱硫処理する水素化脱硫処理工程を実施するので、効率よく脱硫を行うことができる。さらに、脱硫されたLCOを周期表第6、第8、第9、第10族金属のうちの少なくともいずれか1種を結晶性アルミノシリケートを含有する耐火性無機酸化物担体に担持した水素化分解触媒を用いて水素化分解処理する水素化分解処理工程を実施するので、芳香族炭化水素を高収率に含むオクタン価の高い超低硫黄燃料油が得られる。
特に、超低硫黄高オクタン価ナフサの製造に好適である。
このように、炭化水素油の流動接触分解で留出する高芳香族炭化水素含有炭化水素油を有効利用し、70質量%以上、望ましくは80質量%以上の高分解率で芳香族炭化水素を高収率に含むオクタン価の高い、かつ硫黄分が10質量ppm以下の超低硫黄燃料油を製造できる。また、水素化分解して超低硫黄高オクタン価ガソリンを製造するプロセスへ通油させることもできる。
そして、本実施形態では、高分解活性を有するY型ゼオライトを用いるため、より高分解率で芳香族を高収率に含むオクタン価の高い、かつ硫黄分が10ppm以下の超低硫黄燃料油を製造できる。
特に、鉄イオンでのイオン交換により修飾したY型ゼオライトを用いるため、より高分解活性が得られる。
さらに、結晶性アルミノシリケートを30質量%以上、特に50質量%以上80質量%以下で含有しているため、より高分解活性が得られる。
また、LCOの分解率を70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上95質量%以下としている。
このため、高オクタン価の超低硫黄燃料油を効率よく製造できる。
そして、水素分圧が3MPa以上15MPa以下(好ましくは3MPa以上10MPa以下)、液空間速度(LHSV)が0.3hr-1以上3.0hr-1以下(好ましくは0.2hr-1以上2.0hr-1以下)、温度が300℃以上450℃以下の条件で水素化脱硫処理および水素化分解処理を実施する。
このため、高い分解率を得て、分解された軽質留分として硫黄分10質量ppm以下の超低硫黄ナフサが、また未分解留分として同じく硫黄分10質量ppm以下の超低硫黄軽油が製造されることとなり、芳香族炭化水素を高収率に含むオクタン価の高い、かつ硫黄分が10質量ppm以下の超低硫黄燃料油を製造できる。
[6.本実施形態の変形]
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
例えば、原料となる高芳香族炭化水素含有炭化水素油としては、上述したように、流動接触分解装置からの軽質軽油留分であるLCOや、オイルサンドなどの芳香族性の高い超重質油をコーカーなどで分解して得られる軽質軽油留分であるLCGO、これらの混合物など、高芳香族炭化水素を含有する各種炭化水素油を用いることができる。
そして、製造する超低硫黄燃料油としても、超低硫黄高オクタン価ナフサに限られるものではない。
また、水素化脱硫触媒についても、上述したように、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうち少なくともいずれか1種を耐火性無機酸化物担体に担持したものであれば、各種態様のものを用いることができる。
同様に、水素化分解触媒についても、上述したように、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうちの少なくともいずれか1種を結晶性アルミノシリケートを含有する耐火性無機酸化物担体に担持したものであれば、各種態様のものを用いることができる。
さらに、水素化脱硫処理および水素化分解処理の処理条件としても、上述したように、適宜設定できる。
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例の記載内容に何ら制約されるものではない。
本実施形態におけるベンチ試験を行った(試験1)。
[水素化脱硫触媒の調製]
水素化脱硫触媒は、特開2001−300316を参照して、コバルト、モリブデンおよびリンを含む金属溶液を、アルミナ担体に含浸担持して調製した。
コバルト、モリブデンおよびリンの金属溶液は、炭酸コバルト(関東化学製 CoO;51質量%)116g、三酸化モリブデン(和光純薬工業製 >99質量%)323g、正リン酸(和光純薬工業製 純度80質量%)39gをイオン交換水1000mLに加えて、攪拌しながら80℃で溶解させた。80℃で濃縮後、室温に冷却、純水にて500mLに定容し、コバルトモリブデン含浸液(S1)を調製した。
次に、純水1Lに、まず水酸化ナトリウム(関東化学製 >97質量%)35.3gを溶解し、さらに、アルミン酸ナトリウム(和光純薬工業製 Al/NaOH 0.78)99.3gを添加して、均一なアルミナ溶液(B1)を得た。また、純水1Lに硫酸アルミニウム14−18水和物(和光純薬工業製 純度55%をイオン交換水に溶解した)500gを溶解し、アルミナ溶液(A1)を得た。次に、純水2.38Lを70℃に加温し、攪拌しながら、アルミナ溶液A1をpH2.6になるまで添加した。次に上記アルミナ溶液B1をpH9.0になるまで添加して、5分間攪拌しながら熟成させた。続いて再びアルミナ溶液A1を添加して、pHを3.6として、攪拌しながら5分間熟成させた。この様にpHを3.5から9の間で変化させる操作を計13回繰り返した。その後、得られたゲルを濾過、洗浄してアルミナゲルを1075g得た。このゲルを120℃、16時間乾燥し、さらに550℃で2時間焼成してγ−アルミナ担体(A1)を得た。
この吸水率0.8mL/gのγ−アルミナ担体(A1)100gに、コバルトモリブデン含浸液(S1)を50mL採取し、トリエンチレングリコール(和光純薬工業製 >95質量%)6gを添加し、その吸水率に見合うように純水で容積を調整した溶液を、常圧下で含浸し、120℃で16時間乾燥させ水素化脱硫触媒1を調製した。
[水素化分解触媒の調製]
水素化分解触媒は、特許願第266558号を参照して、下記のようにコバルト・モリブデン、またはニッケル・モリブデンを含む金属溶液を、ゼオライトを含有するアルミナ担体に含浸担持して調製した。
<実施例1>
合成Na−Yゼオライト(Na2O含量13.3質量%,SiO2/Al23モル比5.0)をアンモニウム交換し、NH4−Yゼオライト(Na2O含量1.3質量%)を得た。これを580℃でスチーミング処理してスチーミングゼオライトを得た。10kgのスチーミングゼオライトを純水115Lに懸濁させた後、該懸濁液を75℃に昇温し30分間攪拌した。次いで、この懸濁液に硫酸(和光純薬工業製 >97質量%)をイオン交換水で希釈して10質量%硫酸溶液63.7kgを35分間で添加し、さらに濃度0.57モル/Lの硫酸第二鉄溶液(関東化学製 純度70%をイオン交換水に溶解した)11.5kgを10分間で添加し、添加後さらに30分間攪拌した後、濾過、洗浄し、固形分濃度30.5質量%の鉄含有結晶性アルミノシリケートスラリーIを得た。
この鉄含有結晶性アルミノシリケートスラリーIの一部を採り、乾燥したのち、細孔構造を測定した。細孔構造としては、600Å以下の細孔容積は0.5393mL/g、600Å以下の細孔容積に占める50〜300Åの細孔容積の割合は22.8%、さらに、100〜300Åの細孔容積の割合は15.6%であった。
次に、アルミナスラリーの調製を行った。内容積200Lのスチームジャケット付ステンレス容器に、アルミン酸ナトリウム溶液(和光純薬工業製 Al/NaOH 0.78をNaOHで溶解した水溶液/Al23換算濃度5.0質量%)80kgおよび50質量%のグルコン酸溶液(関東化学製 純度50質量%)240gを入れ、60℃に加熱した。次いで、硫酸アルミニウム溶液(硫酸アルミニウム14−18水和物(和光純薬工業製 純度55質量%)を水に溶解/Al23換算濃度2.5質量%)88kgを別容器に準備し、15分間でpH7.2になるように該希釈硫酸アルミニウム溶液を添加し水酸化アルミニウムスラリー(調合スラリーI)を得た。
該調合スラリーIをさらに60℃に保ったまま、60分間熟成した。次いで、前記調合スラリー全量を平板フィルターにより脱水し、60℃の0.3質量%アンモニア水600Lで洗浄し、アルミナケーキとした。該アルミナケーキの一部を純水と15質量%のアンモニア水を用い、アルミナ濃度12.0質量%、pH10.5のスラリーを得た。このスラリーを還流器付のステンレス製熟成タンクに入れ攪拌しながら95℃で8時間熟成した。次いで、この熟成スラリーに純水を加え、アルミナ濃度9.0質量%に希釈した後、攪拌機付オートクレーブに移し145℃で5時間熟成した。さらにAl23換算濃度で20質量%となるように加熱濃縮すると同時に脱アンモニアし、アルミナスラリーAを得た。触媒の調製は、4016gの鉄含有結晶性アルミノシリケートスラリーI(30.5質量%濃度)と2625gのアルミナスラリーA(20質量%濃度)をニーダーに加え、加熱、攪拌しながら押し出し成形可能な濃度に濃縮した後、1/16インチサイズ(約1.6mm)の三葉型ペレット状に押し出し成形した。次いで、110℃で16時間乾燥した後、550℃で3時間焼成し、鉄含有結晶性アルミノシリケート/アルミナ(固形分換算質量比)で70/30の担体A3を得た。
次いで、三酸化モリブデンと炭酸コバルトを純水に懸濁したものを90℃に加熱し、次いでリンゴ酸(和光純薬製 >99質量%)を加え溶解させた。この溶解液を担体A3にそれぞれ触媒全体に対して仕込みでMoO3として11質量%、CoOとして4質量%になるように含浸し、次いで乾燥させ、550℃で3時間焼成し、水素化分解触媒2を得た。
<実施例2>
実施例1の担体A3の調製に、酸化モリブデン(和光純薬工業製 >99質量%)と炭酸コバルト(関東化学製 CoO;51質量%)を純水に懸濁したものを90℃に加熱し、次いでリンゴ酸を加え溶解させた。この溶解液を担体A3にそれぞれ触媒全体に対して、仕込み量としてMoO3として6.0質量%、CoOとして2.0質量%になるように含浸し、次いで乾燥させ、550℃で3時間焼成し、水素化分解触媒3を得た。
<実施例3>
実施例1の担体A3の調製と同様に、鉄含有結晶性アルミノシリケートスラリーI(30.5質量%濃度)1721gと2625gのアルミナスラリーA(20質量%濃度)をニーダーに加え、加熱、攪拌しながら押し出し成形可能な濃度に濃縮した後、1/16インチサイズ(約1.6mm)の三葉型ペレット状に押し出し成形した。次いで、110℃で16時間乾燥した後、550℃で3時間焼成し、鉄含有結晶性アルミノシリケート/アルミナ(固形分換算質量比)で50/50の担体A4を得た。
また、酸化モリブデンと炭酸コバルトを純水に懸濁したものを90℃に加熱し、次いでリンゴ酸を加え溶解させた。この溶解液を担体A4にそれぞれ触媒全体に対して仕込み量MoO3として6.0質量%、CoOとして2.1質量%になるように含浸し、次いで乾燥させ、550℃で3時間焼成し、水素化分解触媒4を得た。
<実施例4>
実施例1の担体A3に、酸化モリブデンと塩基性炭酸ニッケル(和光純薬工業製 純度57質量%)を純水に懸濁したものを90℃に加熱し、次いでリンゴ酸を加え溶解させた。この溶解液を担体A3にそれぞれ触媒全体に対してMoO3として6.2質量%、NiOとして2.0質量%になるように含浸し、次いで乾燥させ、550℃で3時間焼成し、水素化分解触媒5を得た。
<比較例1>
実施例1の担体A3の調製と同様に、鉄含有結晶性アルミノシリケートスラリーI(30.5質量%濃度)191gと2625gのアルミナスラリーA(20質量%濃度)をニーダーに加え、加熱、攪拌しながら押し出し成形可能な濃度に濃縮した後、1/16インチサイズ(約1.6mm)の三葉型ペレット状に押し出し成形した。次いで、110℃で16時間乾燥した後、550℃で3時間焼成し、鉄含有結晶性アルミノシリケート/アルミナ(固形分換算質量比)で10/90の担体A5を得た。
次いで、三酸化モリブデンと炭酸コバルトを純水に懸濁したものを90℃に加熱し、次いでリンゴ酸を加え溶解させた。この溶解液を担体A3にそれぞれ触媒全体に対して仕込みでMoO3として11質量%、CoOとして4質量%になるように含浸し、次いで乾燥させ、550℃で3時間焼成し、水素化分解触媒6を得た。
そして、上述の水素化分解触媒2〜6の性状を表1に示す。
Figure 0005296404
[ベンチ試験]
高圧固定床流通式のベンチ反応器を2基直列に連結し、水素化分解反応を実施した。
触媒は、前段(水素化反応器)に水素化触媒1を37.5ミリリットル、後段(水素化分解反応器)に水素化分解触媒(2〜5)を50mL充填した。
原料油は、水素ガス(ボンベの純水素を昇圧して使用)とともに反応管の上段から導入するダウンフロー形式で流通させて反応評価を行った。前処理として、DMDS(ジメチルジスルフィド)を添加し硫黄濃度を2.0質量%に調整した、密度0.844g/cm3の中東系軽油をベースとする予備硫化油を水素ガスとともに流通させて温度240℃で4時間、290℃で9時間予備硫化を行なった。予備硫化後、硫黄分1.1質量%、密度0.846g/cm3の中東系原油に切り替え、310℃で24時間原料油硫化を行なった。次に、表2に記載した分解軽油に切り替えて、水素化分解実験を行なった。
反応温度は前段の水素化触媒ゾーンを345℃,後段の水素化分解触媒ゾーンを370℃〜395℃の範囲で等温に制御した。反応圧力は水素化分解反応器出口で6.9MPa、水素/原料油比は水素化反応器入口で2,000Nm3/kL、LHSV(液空間速度)は水素化触媒1と水素化分解触媒(2〜5)合計で0.69〜0.91h-1の条件に調整し、ベンチ試験を行なった。
[原料油]
原料油としては、表2に示す(R)FCCからのLCOの性状のものを用いる。また、前段の水素化触媒1ゾーン出口の性状も同様に示す。
[原料油および生成油の分析方法]
水素化触媒通過後の油については、硫化水素を除去するため、窒素を流通し硫化水素ストリッピングを行なった。得られた試料の密度、動粘度(30℃)、HPLC分析を行い、芳香族転化率を求めた。
水素化分解触媒通過後のガスについては流量を測定するとともにガスクロにて分析し、生成油については秤量し、物質収支をとったところ、最低でも96質量%以上の回収率が得られた。
生成油については、2リットルないし4リットル回収し、15段蒸留を行い、LPG、軽質ガソリン(〜90℃)、重質ガソリン(90〜190℃)、軽油(190℃〜)に分留し、各々の質量を秤量した。軽質ガソリン、重質ガソリンについては、密度、硫黄分、窒素分、エングラー蒸留、ガソリン全組成分析を行なった。重質ガソリンについては、必要に応じリサーチオクタン価の実測を行なった。軽油留分については、密度、硫黄分、窒素分、動粘度(30℃)、エングラー蒸留、流動点、CFPP、曇り点、HPLC分析を行なった。
<分析方法>
分析は、以下に示す方法に準拠して実施した。
・密度:JIS K2249
・窒素分:JIS K2609
・硫黄分:JIS K2541−2(S:<100質量ppm)、K2541−6(S:≧0.01質量%)
・動粘度(30℃):JIS K2283
・エングラー蒸留:JIS K2254
・HPLC:JPI−5S−49−97
・GC全成分:JIS K 2537
Figure 0005296404
[水素化分解反応ベンチ試験]
<実施例1>
表2のLCOを原料にして、反応管に水素化脱硫触媒1と水素化分解触媒2とを、37.5mLおよび50mLでそれぞれ充填し、水素化分解反応評価した。その結果を、図2,3に示す。
<実施例2>
実施例1と同様に、表2のLCOを原料にして、反応管に水素化脱硫触媒1と水素化分解触媒3とを、37.5mLおよび50mLでそれぞれ充填し、水素化分解反応評価した。その結果を図2,3に示す。
<実施例3>
実施例1と同様に、表2のLCOを原料にして、反応管に水素化脱硫触媒1と水素化分解触媒4とを、37.5mLおよび50mLでそれぞれ充填し、水素化分解反応評価した。その結果を図2,3に示す。
<実施例4>
実施例1と同様に、表2のLCOを原料にして、反応管に水素化脱硫触媒1と水素化分解触媒5とを、37.5mLおよび50mLでそれぞれ充填し、水素化分解反応評価した。その結果を図2,3に示す。
<比較例1>
実施例1と同様に、表2のLCOを原料にして、反応管に水素化脱硫触媒1と水素化分解触媒6とを、37.5mLおよび50mLでそれぞれ充填し、水素化分解反応評価した。その結果を図2に示す。
[結果]
図2に示す結果から、ゼオライト含有量の低い水素化分解触媒6は390℃以上の高い温度においても目標のLCO分解率70質量%以上に達しない。その他の水素化分解触媒2〜5(実施例1〜4)は、390℃にて70質量%から80質量%の高分解率が得られることが分かる。
また、図3に示す結果から、分解率70〜80質量%以上において、いずれの触媒も分解率50質量%以下の場合と比べて、高い一環芳香族炭化水素の収率を有することが分かる。
さらに、実施例1〜4のベンチ試験結果で、水素化触媒のゾーンが395℃における各留分の得率およびヘビーナフサ(HN)の密度、C8芳香族炭化水素、C8ナフテン、ナフテン/芳香族炭化水素比、ガスクロの全組成分析による計算オクタン価を表3に示す。また、実施例4のベンチ試験結果で、水素化触媒のゾーンが375℃で分解率が44質量%のデータを比較例として同様に表3に示す。
Figure 0005296404
LCO分解率が80質量%以上と高い場合、重質ナフサの計算オクタン価(RON)が80程度と高く、また、C8芳香族炭化水素の収率が7〜8質量%と高いことが示された。一方、分解率が44質量%と低い場合は、重質ナフサのHNの得率が低く、C8芳香族の収率が4質量%以下と、高分解率の場合と比べて著しく低く、有効でないことが分かる。
本発明は、高芳香族炭化水素含有炭化水素油の流動接触分解である留出する分解軽油(LCO)から有用な超低硫黄燃料油を製造する方法として利用することができる。
本発明の一実施形態にかかる超低硫黄燃料油の製造装置を示す概略図。 水素化分解反応ベンチ試験における190℃留分への分解率と水素化分解触媒ゾーンの温度との関係を示す反応評価のグラフ。 水素化分解反応ベンチ試験における生成油中の一環芳香族炭化水素量と190℃留分への分解率との関係を示す反応評価のグラフ。
符号の説明
100…製造装置
10…流動接触分解(FCC)装置
20…水素化脱硫装置
30…水素化分解装置

Claims (6)

  1. 高芳香族炭化水素含有炭化水素油である流動接触分解で留出される分解軽油(LCO:Light Cycle Oil)から超低硫黄燃料油を製造する超低硫黄燃料油の製造方法であって、
    前記LCOは、エングラー蒸留に基づく10%点と90%点が190℃から390℃の範囲にあり、芳香族炭化水素を合計60容量%以上含有し、密度が0.88g/cm 3 以上1.00g/cm 3 以下であり、
    前記LCOを、周期表第6、第8、第9、第10族金属のうち少なくともいずれか1種を耐火性無機酸化物担体に担持した水素化脱硫触媒を用いて水素化脱硫処理を実施する水素化脱硫処理工程と、
    周期表第6、第8、第9、第10族金属のうちの少なくともいずれか1種を結晶性アルミノシリケートを含有する耐火性無機酸化物担体に担持した水素化分解触媒を用いて水素化分解処理を実施する水素化分解処理工程と、を実施するもので、
    前記水素化脱硫処理工程および前記水素化分解処理工程は、前記LCOの処理を、水素分圧が3MPa以上15MPa以下、液空間速度(LHSV)が0.3hr -1 以上3.0hr -1 以下、温度が300℃以上450℃以下で実施し、前記LCOの分解率を70質量%以上とする
    ことを特徴とする超低硫黄燃料油の製造方法。
  2. 請求項1に記載の超低硫黄燃料油の製造方法であって、
    前記結晶性アルミノシリケートは、Y型ゼオライトである
    ことを特徴とする超低硫黄燃料油の製造方法。
  3. 請求項2に記載の超低硫黄燃料油の製造方法であって、
    前記結晶性アルミノシリケートは、鉄を含有するY型ゼオライトである
    ことを特徴とする超低硫黄燃料油の製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の超低硫黄燃料油の製造方法であって、
    前記水素化分解触媒は、耐火性無機酸化物担体中に前記結晶性アルミノシリケートを30質量%以上で含有している
    ことを特徴とする超低硫黄燃料油の製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の超低硫黄燃料油の製造方法であって、
    前記超低硫黄燃料油は、超低硫黄高オクタン価ナフサである
    ことを特徴とする超低硫黄燃料油の製造方法。
  6. 高芳香族炭化水素含有炭化水素油である流動接触分解で留出される分解軽油(LCO:Light Cycle Oil)から超低硫黄燃料油を製造する超低硫黄燃料油の製造装置であって、
    前記LCOは、エングラー蒸留に基づく10%点と90%点が190℃から390℃の範囲にあり、芳香族炭化水素を合計60容量%以上含有し、密度が0.88g/cm 3 以上1.00g/cm 3 以下であり、
    周期表第6、第8、第9、第10族金属のうち少なくともいずれか1種を耐火性無機酸化物担体に担持した水素化脱硫触媒を収容し、この水素化脱硫触媒により前記LCOを水素化脱硫処理する水素化脱硫処理手段と、
    周期表第6、第8、第9、第10族金属のうちの少なくともいずれか1種を結晶性アルミノシリケートを含有する耐火性無機酸化物担体に担持した水素化分解触媒を収容し、この水素化分解触媒により前記水素化脱硫処理手段で処理した留分を水素化分解処理する水素化分解処理手段と、を具備し
    前記水素化脱硫処理手段および前記水素化分解処理手段は、前記LCOの処理を、水素分圧が3MPa以上15MPa以下、液空間速度(LHSV)が0.3hr -1 以上3.0hr -1 以下、温度が300℃以上450℃以下で実施し、前記LCOの分解率を70質量%以上とする
    ことを特徴とする超低硫黄燃料油の製造装置。
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