JP5298329B2 - 石油系炭化水素の処理方法 - Google Patents

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、沸点範囲が120〜380℃で、少なくとも30質量%の芳香族炭化水素化合物を含む石油系炭化水素の処理方法に関する。
詳しくは、該石油系炭化水素を軽質分及び重質分に分離した後、各留分を特定の触媒、かつ特定の反応条件下で処理して、リサーチオクタン価(以下「RON」と略することがある)90以上、硫黄分10質量ppm以下のガソリン基材と、セタン価50以上、硫黄分10質量ppm以下の軽油基材を同時に製造する方法に関する。
近年、重油需要の低迷に伴って、重油を他の基材、例えばガソリン、灯油、軽油等へ変換する技術が望まれている。流動接触分解装置(FCC装置)から生産されるLCO(接触分解装置循環油)及びコーカー装置から生産されるコーカー軽油は主に重油基材として使用されており、今後余剰になってくると予想される。こうした中、LCOならびにコーカー軽油等を他の有用な基材へ変換する方法が数多く提案されている。
例えば、LCOならびにコーカー軽油等を軽油基材へ変換する試みが行われている。LCO等の分解油は一般に芳香族分が高く、セタン価が低いため、そのまま軽油基材として用いることは出来ない。このため、LCO等の分解油を水素化精製することによって芳香族化合物を水素化し、セタン価を向上させる方法が提案されている。例えば、特許文献1には、特定の触媒を特定の反応条件下でLCOと接触させ、セタン価45以上の軽油基材を製造する方法が提案されている。この方法の場合、反応初期においてはセタン価45以上の軽油基材が得られるものの、LCOに含まれる窒素化合物、オレフィン等による触媒被毒により、触媒活性劣化が大きいものと予想される。製油所のユニファイナー装置のような固定床流通式リアクターを用いることを想定した場合、触媒の交換頻度が高くなりあまり経済的な手法とは言えない。
また、LCO、コーカー軽油を水素化分解触媒等と接触させてガソリン基材へ変換する試みが行われている。例えば、特許文献2には、LCOもしくはコーカー軽油を原料とし、それを結晶性アルミノシリケートゼオライトと接触させ、ガソリン基材へ変換させる方法が提案されている。この方法の場合、得られるガソリン基材の収率が少ない上、未分解の軽油留分は、そのセタン価が36程度と低く、軽油基材としてそのまま利用することが出来ない。
また、上記方法の他、特許文献3には、FCCナフサ、LCOの軽質分のみを反応させ、オクタン価の高いガソリン留分に転化する方法が提案されている。この方法の場合、得られるガソリン留分の収率は高いものの、LCOの重質分の用途に関する記載はなく、LCOの重質分の用途に課題が残されたままである。また、近年の厳しい環境規制からガソリン又は軽油中の硫黄分を10質量ppm以下にしなければならず、この方法の場合、硫黄分に関しても課題は残されたままである。
特許第3291527号公報 特開昭55−149386号公報 特許第2788348号公報
本発明は、上記従来の状況に鑑み、LCOやコーカー軽油などの石油系炭化水素から、リサーチオクタン価90以上、硫黄分10質量ppm以下の性状の高品質で付加価値の高いガソリン基材と、セタン価50以上、硫黄分10質量ppm以下の高品質で付加価値の高い軽油基材を同時に、効率良く、経済的に得ることが出来る方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、少なくとも30質量%の芳香族炭化水素化合物を含む石油系炭化水素の原料を軽質分と重質分とに分離し、各留分をそれぞれ特定の反応条件下に特定の触媒と接触させることにより、上記目的を達成出来ることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、次の石油系炭化水素の処理方法を提供するものである。
(1)(A)沸点範囲が120〜380℃で、かつ、少なくとも30質量%の芳香族炭化水素化合物を含む石油系炭化水素を、軽質分及び重質分に分離する工程、
(B)前記工程(A)で得られた軽質分の一部もしくは全量と、フォージャサイト型ゼオライトにチタンを含有させた修飾ゼオライトを含む担体に水素化活性金属を含有させた水素化分解触媒とを、10MPa以下の水素分圧下、水素/炭化水素比100〜10000Nm /KL、液空間速度0.05〜10h −1 、反応温度330〜450℃で接触させ、リサーチオクタン価90以上、硫黄分10質量ppm以下のガソリン基材を製造する工程、
(C)前記工程(A)で得られた重質分の一部もしくは全量と水素化活性金属を含むアルミナ触媒とを10MPa以上の水素分圧下、水素/炭化水素比100〜10000Nm /KL、液空間速度0.05〜10h −1 、反応温度250〜500℃で接触させ、セタン価50以上、硫黄分10質量ppm以下の軽油基材を製造する工程、を含み、かつ、
前記工程(B)の前記水素化分解触媒における前記修飾ゼオライトが、下記(a)〜(e)を満たしていることを特徴とする石油系炭化水素の処理方法。
(a)修飾ゼオライトにおけるチタンの含有量が金属酸化物換算で1〜17質量%
(b)修飾ゼオライト中に含まれるアルミニウムとケイ素との原子比Al/Siが0.14〜0.35
(c)格子定数が24.36〜24.48Å
(d)結晶化度が30〜95%
(e)比表面積が500〜850m/g
(2)前記工程(A)の石油系炭化水素の軽質分及び重質分の分離が、蒸留により軽質分と重質分に分画することにより行われることを特徴とする前記(1)に記載の石油系炭化水素の処理方法。
(3)前記軽質分の蒸留における終点が、180℃以上かつ320℃以下の範囲であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の石油系炭化水素の処理方法。
(4)前記石油系炭化水素が、接触分解装置循環油(LCO)、コーカー軽油、又はその混合物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の石油系炭化水素の処理方法。
(5)前記工程(B)の前記水素化分解触媒において、前記水素化活性金属が、長周期型周期律表第8族金属及び第6族金属から選択された少なくとも1種であり、その含有量が触媒基準・金属酸化物換算で0.5〜30質量%であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の石油系炭化水素の処理方法。
本発明によれば、LCOやコーカー軽油など石油系炭化水素から、高品質で付加価値の高いガソリン基材や軽油基材を同時に効率よく製造することが可能であり、LCOやコーカー軽油など石油系炭化水素の有効利用に技術的意義が大きいものである。また、本発明により、ガソリン及び軽油の得率を適宜コントロールすることが可能になり、それらの需給バランスに見合った製造方法を提供出来ることから、その点においても有用である。
実施例における石油系炭化水素油の処理フローの概略を示す図である。
以下に本発明の詳細を示す。
≪A:石油系炭化水素の軽質分、重質分の分離≫
〔石油系炭化水素〕
本発明においては、石油系炭化水素として、少なくとも30質量%の芳香族炭化水素化合物を含む石油系炭化水素を用いることが必須である。
芳香族炭化水素化合物とは、単環芳香族炭化水素化合物又は多環芳香族炭化水素化合物を指し、両者の混合物でも問題はない。芳香族炭化水素化合物の種類には特に制限はないが、単環芳香族炭化水素化合物としては、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、プロピルベンゼン、エチルメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、インダン、メチルインダン類が好適に用いられ、多環芳香族炭化水素化合物としては、ナフタレン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン、アントラセン類、フェナントレン類が好適に用いられる。
本発明において、石油系炭化水素中の芳香族炭化水素化合物の含有量は高いほど良いが、少なくとも30質量%、好ましくは40〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%である。芳香族炭化水素化合物の含有量が高いほど、得られるガソリン留分のリサーチオクタン価は向上し所望の高オクタン価基材が得られる。一方、芳香族炭化水素化合物の含有量が30質量%を下回る場合は、得られるガソリン留分は、リサーチオクタン価90以上を満たすことが困難となり、ガソリン基材に適さない。石油系炭化水素中には、芳香族炭化水素化合物以外のものとしてパラフィン、ナフテン、オレフィン類の炭化水素化合物、チオフェン、ベンゾチオフェン類などの硫黄化合物が存在しても本発明において使用し得る。
また、本発明で用いる石油系炭化水素においては、沸点範囲として120〜380℃が規定される。沸点範囲が380℃を超える原料を用いると触媒上の堆積コーク量が増大し急激な分解活性劣化を引き起こし好ましくない。なお、蒸留性状は、JIS K 2254に記載されている方法で算出することが可能である。
また、本発明では、用いる石油系炭化水素として、具体的には、接触分解装置(FCC)で得られるLCO、コーカー装置で得られるコーカー軽油、又は接触改質装置から得られるボトム油などが選択される。
〔軽質分、重質分の分離〕
本発明では、上記石油系炭化水素を軽質分と重質分に分離し、それぞれの留分を特定の触媒と特定の反応条件下で接触させることを特徴とする。軽質分と重質分との分離方法としては、溶剤抽出法や蒸留法が挙げられるが、蒸留装置により沸点の差を利用して行う蒸留法が一般的である。蒸留装置を用いて分離する場合、軽質分の沸点範囲として120〜320℃が好ましく、さらに好ましくは120〜300℃である。この軽質分においては、終点が320℃を超えないようにすれば、後述する分解触媒の性能の低下を抑制することが出来、ガソリン留分の収率の低下を抑制することが出来て好ましく、また、終点は180℃を下回らないようにすることが、分離された重質分から得られる軽油留分の性状(セタン価)を満足することが出来て好ましい。ここでいう軽質分の終点は、換言すれば、原料にする石油系炭化水素を蒸留により軽質分と重質分に分離する場合の軽質分と重質分のカット温度の範囲であり、該カット温度に依存する。
≪B:ガソリン基材の製造≫
〔水素化分解触媒〕
本発明では、上記工程(A)の分離により得られたうち石油系炭化水素の軽質分の一部もしくは全量と、炭化水素油の水素化分解触媒とを接触させ、特定のガソリン基材を製造する。
水素化分解触媒は、フォージャサイト型ゼオライトにチタンを含有させた修飾ゼオライトを含む担体に、水素化活性金属を含有させてなる。
ここでフォージャサイト型ゼオライトとは、Xゼオライト、Yゼオライト、超安定化Yゼオライト(Ultra Stable Y;USY)などが含まれる。本発明では、修飾ゼオライトの原料として用いるフォージャサイト型ゼオライトにはUSYゼオライトが好ましい。原料に用いるUSYゼオライトのAl/Si原子比は、特に限定されるものではないが、一般に0.2〜0.5のものが用いられる。
また、フォージャサイト型ゼオライトのカチオンは水素イオンやアンモニウムイオンであることが好ましく、特に水素イオンが有効である。一方、ナトリウムイオンは、少ない方が好ましく、NaOに換算して0.7質量%以下、好ましくは0.5質量%以下であることが望ましい。
本発明で用いる修飾ゼオライトは、以上のフォージャサイト型ゼオライトにチタンを含有させてなることを特徴とする。チタン以外の金属として、ジルコニウム、ハフニウムを含有させることも出来るが、好適にはチタンが用いられる。この修飾ゼオライト担体におけるチタンの含有量は、修飾ゼオライト基準・金属酸化物換算で、すなわちTiOに換算して好ましくは1〜17質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
チタンの含有量を1質量%以上とすることにより、後述する水素化活性金属を担体上に高分散に担持することが可能となり、得られる触媒の水素化分解活性及び触媒寿命を維持することができる。また、チタンの含有量が17質量%以下であれば、ゼオライト表面のチタン被覆による比表面積の低下を抑制し、結果として得られる触媒の水素化分解活性を維持することができる。
また、本発明における修飾ゼオライトは、Al/Si原子比が好ましくは0.14〜0.35、より好ましくは0.15〜0.30である。Al/Si原子比は、チタンの塩を含む酸性水溶液をフォージャサイト型ゼオライトと接触させる際に、その接触条件を制御することにより原料フォージャサイト型ゼオライトを適度に脱アルミニウムして調節することができる。本発明では、修飾ゼオライトのAl/Si原子比を0.14以上とすることにより、修飾ゼオライト中のアルミニウムが過度に脱離するのを抑制し、同時に、ゼオライト構造が破壊し結晶化度及び比表面積が低下するのも抑制し、結果として水素化分解活性及び触媒寿命を維持できる触媒を与え得る担体が得られる。また、Al/Si原子比を0.35以下とすることにより、修飾ゼオライトの脱アルミニウム化の進行の減少に伴ってゼオライト中のチタンの含有量が減少するのを抑制し、結果として触媒寿命を維持することができる触媒を与え得る担体が得られる。
本発明における修飾ゼオライトは、さらに、格子定数が24.36Å以上、24.48Å以下の範囲にあることが好ましい。この下限として、さらに好ましくは24.37Å以上である。また、この上限として、好ましくは24.47Å以下である。格子定数を24.36Å以上とすることにより、ゼオライト構造が損なわれて触媒性能が低下することを抑制し、また、24.48Å以下とすることにより、格子定数が大き過ぎて触媒性能維持の効果が飽和気味となることを回避して、効果的に触媒性能を維持することができる。
修飾ゼオライトの格子定数は、X線回折分析(XRD分析)によって測定できる。この測定方法についてはASTM D3942−97に記載されており、本発明においては、この方法に準拠した測定により格子定数を決定するものとする。
また、本発明における修飾ゼオライトは、結晶化度が好ましくは30%以上、95%以下、さらに好ましくは40%以上である。修飾ゼオライトの結晶化度はXRD分析によって測定できる。この測定方法についてはASTM D3906−97に記載されており、本発明においては、この方法に準拠した測定により結晶化度を決定するものとする。この方法では、基準とするフォージャサイトに対する相対値として結晶化度が求められる。
結晶化度は、ゼオライトに起因する分解活性の指標として重要であり、この数値が大きい程、ゼオライト構造が保持されている割合が高くなり、水素イオンで置換した時のゼオライトの分解活性が向上する。結晶化度30%以上とすることにより、ゼオライト構造の崩壊による触媒性能の低下を抑制することができる。結晶化度は高いほど好ましいが、チタンをゼオライトに修飾させる際にゼオライト構造の一部が損なわれるため、結晶化度は通常30〜95%の範囲である。
また、本発明における修飾ゼオライトは、比表面積が好ましくは500〜850m/g、さらに好ましくは600〜850m/gである。比表面積を上記範囲とすることにより、経時的安定性に優れ、かつ水素化分解能の高い触媒にすることが可能となる。また、比表面積が500m/g以上であれば、後述する水素化活性金属を十分な分散性をもって担持しやすくなる。なお、上記比表面積は窒素吸着法(BET法)にて測定し得る値である。
次に、水素化分解触媒用担体の製造方法について詳述する。
本発明の担体の主成分である修飾ゼオライトは、フォージャサイト型ゼオライトにチタンを含有させて得ることができる。チタンを含有させる方法としては、例えば、チタンの塩を含む酸性水溶液を、上述したフォージャサイト型ゼオライトと接触させる方法が挙げられる。これにより、チタン含有フォージャサイト型ゼオライト、すなわち修飾ゼオライトを得ることができる。この際、チタンの塩としては、無機酸もしくは有機酸の塩を用いることができ、無機酸の塩を用いる場合は硫酸塩、硝酸塩、塩化物等を、有機酸の塩を用いる場合は酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩等を用いることができる。
チタンの塩を含む酸性水溶液とフォージャサイト型ゼオライトとを接触させる際の酸性水溶液中のチタンの濃度は、接触させる時の温度、時間によって決定されるが、例えば、30℃、4時間の処理条件で行う場合、0.001〜0.025モル/L、好ましくは0.01〜0.02モル/Lが選択される。また、この際の水溶液のpHは、1.3〜3.0、好ましくは1.5〜2.5に調節される。
フォージャサイト型ゼオライトにチタンを含有させるために、フォージャサイト型ゼオライトにチタンの塩を含む酸性水溶液を接触させるに当たっては、攪拌状態で行っても良く、静置状態でも原料フォージャサイト型ゼオライトがチタンの塩を含む酸性水溶液に均一に分散されていれば特に支障はない。前記条件下での原料フォージャサイト型ゼオライトとチタンの塩を含む酸性水溶液との接触により、原料ゼオライトに含有するアルミニウムが所望のように脱離するとともに、チタンが所望のようにゼオライト中に取り込まれる。
チタンの塩を含む酸性水溶液と原料フォージャサイト型ゼオライトとの接触後は、ゼオライトと水溶液を濾過もしくは遠心分離により固液分離することができる。この分離により得られたゼオライトの固形物は、水を用いて洗浄した後、乾燥、焼成を行うことが好ましい。
この際、固形物の洗浄は、30〜70℃に加温した水を用いると洗浄効果が高くなり好ましい。また、乾燥は、一般に、20〜150℃、好ましくは50〜140℃で、空気または窒素気流中に行われる。焼成は、一般に、400〜700℃、好ましくは450〜650℃で、空気気流中1〜10時間程度で行われるが、焼成条件は得られる修飾ゼオライトを担体にする触媒の使用条件を考慮して適宜選択される。
このようにして、修飾ゼオライトを得ることができる。
本発明における水素化分解触媒の担体は、上記した修飾ゼオライトそのものであってもよいし、修飾ゼオライトにバインダーを加えて成型したものであってもよい。バインダーを加えて成型して用いる場合には、上記のチタンの塩を含む酸性水溶液と原料フォージャサイト型ゼオライトとの接触後に固液分離して得られた固形物を、水を用いて洗浄した後にバインダーを加えて成型し、その成型物を上記と同様の条件で乾燥、焼成することができる。この際、バインダーとしては、アルミナ、シリカアルミナ、シリカ、ジルコニア、ボリア、アルミナボリア等が挙げられ、好ましくはアルミナ、シリカアルミナ、シリカ、ボリア、アルミナボリアが挙げられる。上記アルミナは、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ、アルミナ水和物等の種々のアルミナを使用することができるが、多孔質で高比表面積であるアルミナが好ましく、中でもγ−アルミナが好ましい。バインダーの含有量は担体全体に対して10〜70質量%、好ましくは15〜65質量%である。バインダーの含有量が多すぎると、触媒の性能を十分に発揮することができず、また含有量が少なすぎると触媒の物理的強度が低下する傾向になるので、その目的に応じて含有量を選択する。
本発明における水素化分解触媒は、前述した水素化分解触媒用担体に、長周期型周期律表第8族金属及び第6族金属から選択された少なくとも1種の水素化活性金属を含有させてなるものである。
含有させる水素化活性金属の内、第8族金属としては、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金から選択され、第6族金属としては、クロム、モリブデン、タングステンから選択される。これらの金属の内、通常、好ましくはニッケル、コバルト、モリブデンから選択される。
水素化活性金属を担体に含有させる方法は、特に限定されないが、例えば水素化活性金属の塩を含む溶液を担体に含浸する方法が好ましく採用される。また、平衡吸着法、Pore−filling法、Incipient−wetness法なども適用できる。
例えば、Pore−filling法は、担体の細孔容積を予め測定し、これと同じ容積の金属塩溶液を含浸する方法であるが、含浸方法は特に限定されるものではなく、金属含有量や担体の物性に応じて適宜選択される。
水素化活性金属の含有量は、触媒基準・金属酸化物換算で好ましくは0.5〜30質量%である。水素化活性金属の担持量が0.5質量%以上であれば、水素化活性金属に起因する効果を発現させるのに十分であり、また、30質量%以下であれば、水素化活性金属の含浸(担持)工程で水素化活性金属化合物の凝集が生じず、水素化活性金属の分散性が良くなり、水素化分解活性の向上がみられる。
上記水素化活性金属の含有量は、貴金属と卑金属とで望ましい範囲が多少異なる場合がある。貴金属の場合の望ましい範囲は、下限値が触媒基準・金属酸化物換算で0.5質量%、好ましくは0.7質量%であり、上限値が触媒基準・金属酸化物換算で5質量%、好ましくは3質量%である。また、卑金属の場合の望ましい範囲は、下限値が触媒基準・金属酸化物換算で0.5質量%、好ましくは1質量%であり、上限値が触媒基準・金属酸化物換算で30質量%、好ましくは20質量%である。
活性金属を担体に含有させた後の処理は、乾燥、焼成を行うことが好ましい。
乾燥は、一般に、20〜150℃、好ましくは50〜120℃で、空気または窒素気流中にて行われる。焼成は、一般に、400〜700℃、好ましくは450〜650℃で、空気気流中1〜10時間程度で行われるが、焼成条件は得られる触媒の使用条件を考慮して適宜選択される。
〔石油系炭化水素軽質分の処理条件〕
本発明においては、後記する前記石油系炭化水素の軽質分と上記水素化分解触媒との接触処理を行う前又は行った後に、該軽質分を市販のCoMoアルミナ系触媒、あるいはNiMoアルミナ系触媒などの脱硫触媒を用いて脱硫処理を行うことが出来る。脱硫触媒の水素化活性金属量並びに充填比率等は特に限定されるものではないが、得られる生成油の用途により、適宜選択される。
本発明においては、前記石油系炭化水素の軽質分の一部もしくは全量と、上記水素化分解触媒とを、10MPa以下の水素分圧下で接触させることが必須であり、好ましくは9MPa以下の水素分圧下で接触させる。水素分圧が高すぎると、得られるガソリン留分のリサーチオクタン価の低下を招く。
上記水素化分解触媒と、石油系炭化水素の軽質分を接触させる方法は、固定床流通式,流動床式、移動床式等種々の方法で行うことが出来るが、操作の容易性を考慮すれば、固定床流通式で行うのが好ましい。
流通式反応装置で実施する場合、一般に、水素/炭化水素比は、100〜10000Nm/KL、好ましくは200〜5000Nm/KL、さらに好ましくは300〜3000Nm/KLである。また、その時の液空間速度(LHSV;Liquid Hourly Space Velocity)は、一般に、0.05〜10h−1、好ましくは0.1〜5h−1、さらに好ましくは0.2〜3h−1である。
接触させるときの温度は、原料の石油系炭化水素の種類にもよるが、一般に、330〜450℃、好ましくは350〜440℃である。温度が上記範囲であれば、温度が低すぎて目的生成物であるガソリン留分の収量が低減することを防ぐことが出来、また、温度が高すぎて、用いるエネルギーが無駄となり、経済性が悪くなることを防ぐことが出来る。
本発明においては、RONが高いガソリン留分が得られるばかりでなく、同時にガソリン留分中の硫黄分を10質量ppm以下に低減出来ることを特徴とする。
本発明では、上記のように軽質分を処理することにより得られるガソリン基材の芳香族炭化水素化合物の含有量が高いことを特徴とする。一般に、芳香族炭化水素化合物は、オクタン価が高く、発熱量が大きい点でガソリン基材として優れている。この軽質分の処理における水素化分解反応の未分解留分は、それをリサイクルさせ、本発明で用いる水素化分解触媒と再度接触させてガソリン留分を増量させることも可能である。
本発明で軽質分の処理により製造されるガソリン基材は、高オクタン価で、リサーチオクタン価90以上であって、そのままガソリン基材として使用することが可能であり、また、他の基材と混合することも可能である。この他の基材としては、例えば、原油を蒸留して得られる石油留出油、及び石油留出油に各種の処理を行ったものが挙げられる。より具体的にいえば、接触改質装置から得られる改質ガソリン、流動接触分解装置から得られる接触分解ガソリン、その他アルキレート、エタノール、ETBEなどの基材と好ましく混合することが出来る。また、本発明により得られるガソリン基材中には、ベンゼン、トルエン、キシレンを含むため、それらをそれぞれ抽出して化学工業原料として用いることが可能である。
≪C:軽油基材の製造≫
[水素化活性金属を含むアルミナ触媒]
本発明では、上記工程(A)の分離により得られたうち石油系炭化水素の重質分の一部もしくは全量と、水素化活性金属を含むアルミナ触媒とを接触させ、該重質分をセタン価の高い軽油留分へ変換出来ることも特徴である。
アルミナ触媒として用いるアルミナは、特に限定されるものではないが、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ、アルミナ水和物等の種々のアルミナを使用することが出来るが、多孔質で高比表面積であるアルミナが好ましく、中でもγ−アルミナが適している。アルミナは、単独で用いることも、他の酸化物を複合して用いることも可能である。他の酸化物としては、シリカ、ボリア、ジルコニア、チタニア、亜鉛等が挙げられる。本発明では、上記アルミナに水素化活性金属を含有させることが必須である。ここで水素化活性金属とは、第8族又は第6金属のことを指し、具体的には、第8族金属としては、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金が挙げられ、第6族金属としては、クロム、モリブデン、タングステンが挙げられる。これらの金属の中で、好ましくはニッケル、コバルト、ルテニウム、パラジウム、白金、モリブデン、タングステンが選択される。水素化活性金属として、第8族金属と第6族金属とを併用することも出来る。
アルミナに水素化活性金属を含有させる方法は、特に限定されないが、例えば水素化活性金属の塩を含む溶液を担体となるアルミナに含浸させる方法が好ましく採用される。また、平衡吸着法、Pore−filling法、Incipient−wetness法なども適用できる。例えば、Pore−filling法は、担体の細孔容積を予め測定し、これと同じ容積の金属塩溶液を含浸する方法であるが、含浸方法は特に限定されるものではなく、金属担持量や担体の物性に応じて適宜選択される。
アルミナ触媒の水素化活性金属の含有量は、一般に、触媒基準・金属酸化物換算で0.1〜30質量%である。水素化活性金属の含有量が0.1質量%以上であれば、充分な脱硫活性を得ることが出来ず得られる軽油基材中の硫黄分10質量ppm以下の達成が困難となることを回避することが出来、また、30質量%以下であれば、脱硫の効果が飽和して不経済となることを回避することが出来る。
上記水素化活性金属の含有量は、貴金属と卑金属とで望ましい範囲が多少異なる場合がある。貴金属の場合の望ましい範囲は、下限値が触媒基準・金属酸化物換算で0.1質量%、好ましくは0.3質量%であり、上限値が触媒基準・金属酸化物換算で20質量%、好ましくは15質量%である。また、卑金属の場合の望ましい範囲は、下限値が触媒基準・金属酸化物換算で1質量%、好ましくは2質量%であり、上限値が触媒基準・金属酸化物換算で30質量%、好ましくは25質量%である。
上記アルミナに水素化活性金属を含有させる含浸処理などの処理の後は、乾燥、焼成を行うことが好ましい。
乾燥条件としては、一般に20〜150℃、好ましくは50〜120℃が選択され、空気又は窒素気流中にて行われる。焼成条件としては、一般に400〜700℃、好ましくは450〜650℃が選択され、空気気流中1〜10時間程度にて行われるが、焼成条件は得られる触媒の使用条件を考慮して適宜選択される。
〔石油系炭化水素重質分の処理条件〕
本発明においては、石油系炭化水素の重質分とアルミナ触媒との接触は、10MPa以上の水素分圧下で接触させることが必須であり、好ましくは11MPa以上、さらに好ましくは12MPa以上の水素分圧下で接触させる。水素分圧が低すぎると、得られる軽油留分のセタン価の低下や触媒の活性劣化を招く。
水素分圧の上限値は特に制限はないが、18MPa以下にすることにより、効果が飽和して、また高耐圧性の反応器、ライン等が必要となって、不経済的となることを防ぐことが出来る。アルミナ触媒と石油系炭化水素の重質分とを接触させる方法は、固定床流通式,流動床式、移動床式等種々の方法で行うことが出来るが、操作の容易性を考慮すれば、固定床流通式で行うのが好ましい。
固定床流通式反応装置で実施する場合、一般に、水素/炭化水素比は100〜10000Nm/KL、好ましくは200〜5000Nm/KL、さらに好ましくは300〜3000Nm/KLである。また、その時の液空間速度(LHSV;Liquid Hourly Space Velocity)は、一般に、0.05〜10h−1、好ましくは0.1〜5h−1、さらに好ましくは0.2〜3h−1である。
接触させるときの温度は、250〜500℃、好ましくは280〜470℃、さらに好ましくは300〜450℃である。温度が上記範囲であれば、温度が低すぎて目的生成物である軽油留分のセタン価の向上を図れなくなることを回避出来、また、温度が高すぎて効果が飽和して、反応のそれ以上の促進が困難となるのみならず、用いるエネルギーが無駄となって、経済性が悪くなることを回避することが出来る。
本発明で石油系炭化水素の重質分の処理により製造される軽油基材は、高セタン価で、セタン価50以上であり、且つ硫黄分10質量ppm以下であって、そのまま軽油基材として使用することが可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
1.水素化分解触媒の調製例
<担体となる修飾ゼオライトの調製例>
担体調製例1
原料ゼオライトとして、Si/Al原子比0.33のUSYゼオライト粉末(平均粒子径3.5μm、粒子径6μm以下のものがゼオライト全粒子の87%)を用いた。
イオン交換水2.5L及び30質量%硫酸チタン(IV)水溶液7mLを3Lのガラス製フラスコに入れた(調製後のチタン濃度:0.005モル/L)。これを30℃に加温し、前記USYゼオライトの60gを攪拌しながら投入した。この時の水溶液のpHは2.2であった。4時間攪拌を行った後、スラリーを濾過分離し、50℃の加温水3Lを用いて洗浄を行った。得られたゼオライトケーキを120℃で3時間乾燥処理を行った。乾燥処理後、空気気流中(250mL/min)で500℃にて3時間焼成し、修飾ゼオライトLを得た。修飾ゼオライトLの組成及び物性を表1に示した。表1に示した修飾ゼオライトの組成及び物性の測定方法及び分析機器を以下に示す。以下に示す組成分析に係る装置は、後記各触媒の組成分析にも用いた。
〔組成分析〕
プラズマ発光分光分析装置(ICP):Thermo ELECTRON CORPORATION社製 “IRIS Advantage”を用いて測定した。
〔格子定数、結晶化度の測定〕
粉末X線回折分析装置((株)リガク製、Ultima IV)を用いて、X線源CuKα、出力40kV、40mAの条件で測定した。格子定数はASTM D3942−97に準拠した方法で算出した。結晶化度はASTM D3906−97に準拠した方法で算出した。
〔比表面積(SA)の測定〕
窒素吸着によるBET法により測定した。窒素吸着装置は日本ベル株式会社製の表面積測定装置(BELSORP−mini)を使用した。
担体調製例2
30%硫酸チタン(IV)水溶液15mL(調製後のチタン濃度:0.01モル/L)を用いた以外は、担体調製例1と同様な手法で調製し、修飾ゼオライトMを得た。USYゼオライトを投入した時の水溶液のpHは1.9であった。修飾ゼオライトMの組成及び物性を表1に示した。
担体調製例3
30%硫酸チタン(IV)水溶液29mL(調製後のチタン濃度:0.02モル/L)を用いた以外は、担体調製例1と同様な手法で調製し、修飾ゼオライトNを得た。USYゼオライトを投入した時の水溶液のpHは1.8であった。修飾ゼオライトNの組成及び物性を表1に示した。
Figure 0005298329
<水素化分解触媒の調製例>
分解触媒調製例1
担体調製例1で得られた修飾ゼオライトL 30.1gに、ベーマイト40.0gと、水36.0gを加え、1時間混練りした。この混練物を押出し成型機により、直径1.6mmのシリンダーの形状に押出し、ついで120℃で2時間乾燥処理を行った。
乾燥処理後、空気気流中(250mL/min)で550℃にて2時間焼成し成型物を得た。この成型物20gをナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターで脱気しながらモリブデン酸六アンモニウム四水和物1.3gを含む含浸溶液をフラスコ中に注入した。含浸した試料は120℃で2時間乾燥処理を行った。乾燥処理後、空気気流中(250mL/min)で550℃にて2時間焼成し、触媒Aを得た。触媒Aの組成を表2に示した。
分解触媒調製例2
担体調製例2で得られた修飾ゼオライトMを用いた以外は、分解触媒調製例1と同様の方法で触媒Bを得た。触媒Bの組成を表2に示した。
分解触媒調製例3
担体調製例3で得られた修飾ゼオライトNを用いた以外は、分解触媒調製例1と同様の方法で触媒Cを得た。触媒Cの組成を表2に示した。
分解触媒調製例4
モリブデン酸六アンモニウム四水和物1.0g及び硝酸ニッケル(II)六水和物0.8gを含む含浸溶液を用いた以外は、分解触媒調製例3と同様な方法で触媒Dを得た。触媒Dの組成を表2に示した。
分解触媒調製例5
モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.6g及び硝酸ニッケル(II)六水和物0.5gを含む含浸溶液を用いた以外は、分解触媒調製例3と同様な方法で触媒Eを得た。触媒Eの組成を表2に示した。
分解触媒調製例6
モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.61g及び炭酸コバルトニッケル(II)六水和物0.52gを含む含浸溶液を用いた以外は、分解触媒調製例3と同様な方法で触媒Fを得た。触媒Fの組成を表2に示した。
分解触媒調製例7
担体調製例1で使用したUSYゼオライト粉末に、ベーマイト40.0gと水36.0gを加え、1時間混練りした。この混練物を押出し成型機により、直径1.6mmのシリンダーの形状に押出し、ついで120℃で2時間乾燥処理を行った。乾燥処理後、空気気流中(250mL/min)で550℃にて2時間焼成し成型物を得た。
この成型物20gをナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターで脱気しながらモリブデン酸六アンモニウム四水和物1.0g及び硝酸ニッケル(II)六水和物0.8gを含む含浸溶液をフラスコ中に注入した。含浸した試料は120℃で2時間乾燥処理を行った。乾燥処理後、空気気流中(250mL/min)で550℃にて2時間焼成し、チタンをゼオライト中に含有しない触媒aを得た。触媒aの組成を表2に示した。
<水素化活性金属を含むアルミナ触媒の調製例>
アルミナ触媒調製例1(NiMo/アルミナの調製)
γ−アルミナ(比表面積372m/g、細孔容積0.65cc/g、平均細孔径62Å)をナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターで脱気しながらモリブデン酸六アンモニウム四水和物6.6gを含む含浸溶液をフラスコ中に注入した。
含浸した試料は110℃で3時間乾燥処理を行った。乾燥処理後、空気気流中(100mL/min)で500℃にて3時間焼成した。次いでこれをロータリーエバポレーターで脱気しながら硝酸ニッケル六水和物5.3gを含む含浸溶液をフラスコ中に注入した。含浸した試料は110℃で3時間乾燥処理を行った。乾燥処理後、空気気流中(100mL/min)で500℃にて3時間焼成し、触媒Gを得た。触媒Gの組成を表2に示した。
アルミナ触媒調製例2(CoMo/アルミナの調製)
硝酸ニッケル六水和物の代わりに炭酸コバルト2.2gを使用した以外は、アルミナ触媒調製例1と同様な手法を用いて触媒Hを得た。触媒Hの組成を表2に示した。
Figure 0005298329
<調製した触媒を用いたガソリン留分と軽油留分の製造例>
実施例1
下記性状の接触分解装置循環油(LCO)を蒸留装置でカット温度300℃にて、軽質分と重質分とに分離した。蒸留装置は釜容量20L、実段数20段の回分式のものを使用し、還流比7、減圧下(50mmHg)の条件で蒸留を行った。蒸留塔の塔頂温度が300℃(常圧換算)に達した時点で蒸留を終了し、留出油を軽質分、釜残油を重質分とした。軽質分65質量%、重質分35質量%の比率であった。
次いで、分解触媒調製例1で製造した触媒Aを内径15mmのステンレス製反応管に20mL充填し、その上部に前段触媒として触媒H(CoMoアルミナ)を20mL充填し、固定床式触媒層を形成した。次に、反応温度に加熱した上記得られた軽質分と水素含有ガスとの混合流体を、反応装置の上部より導入して、下記の条件で水素化分解を進行させ、生成油とガスの混合流体を、反応装置の下部より流出させ、気液分離器で生成油を分離して、下記沸点範囲のガソリン留分を得た。
さらに、触媒G(NiMoアルミナ)を内径15mmのステンレス製反応管に充填し、触媒Gと、反応温度に加熱した上記得られた重質分を、下記の条件で水素化処理し、下記沸点範囲の軽油留分を得た。
この軽質分処理及び重質分処理の条件、並びに通油開始20日後の反応結果を表3に、フロー概略図を図1に示した。なお、ガソリン留分と軽油留分の各収率の算出方法は以下に示す通りに規定した。以下いずれの実施例、比較例とも通油開始後20日目の反応結果を示す。反応結果については、以下の方法で解析した。
収率を算出するにあたって、バッチ式蒸留装置(釜容量3L)によりガソリン留分(沸点範囲30〜175℃)や、軽油留分(沸点範囲175〜380℃)を回収し、それらの重量を測定することによりガソリン留分収率や軽油留分収率を求めた。
なお、蒸留性状はJIS K 2254に準拠して、芳香族分は石油学会法JPI−5S−49−97(高速液体クロマトグラフ法)に準拠して、RONはJIS K 2280に準拠して、セタン価はJIS K 2280に準拠して、そして硫黄分はJIS K 2541に準拠して測定した値である。セタン価測定の際は、通油開始後20〜25日目の生成油を混合したものを測定サンプルとした。
〔接触分解装置循環油(LCO)の性状〕
芳香族炭化水素化合物成分 ;56.9質量%
密度(15/4℃) ;0.8935
硫黄成分 ;0.15質量%
窒素成分 ;0.03質量%
蒸留性状 ;初留点が163℃、10%点が198℃、
30%点が229℃、50%点が305℃、
70%点が310℃、90%点が342℃、
終点が369℃
〔軽質分の水素化分解条件〕
反応温度 ;410℃
圧力(水素分圧) ;7.0MPa
液空間速度(LHSV) ;1.0hr−1
前段の脱硫触媒以降の水素化分解処理条件
水素/炭化水素比 ;600Nm/KL
〔重質分の水素化処理条件〕
反応温度 ;350℃
圧力(水素分圧) ;12.0MPa
液空間速度(LHSV) ;0.5hr−1
水素/炭化水素比 ;600Nm/KL
〔各留分の沸点範囲〕
ガソリン留分 沸点範囲30〜175℃
軽油留分 沸点範囲175〜380℃
〔各収率の算出方法〕
軽質分処理 C1−C4収率 質量% [7]/[2]×100
ガソリン留分収率 質量% [4]/[2]×100
未分解留分収率 質量% [6]/[2]×100
重質分処理 C1−C4収率 質量% [8]/[3]×100
ナフサ収率 質量% [9]/[3]×100
軽油留分収率 質量% [5]/[3]×100
注:算出式中の数字記号は図1の概略フロー図の数字記号に基づく。
実施例2
触媒Aの代わりに触媒Bを用いたこと以外は、実施例1と同様な手法でガソリン留分と軽油留分を得た。その時の通油開始20日後の反応結果を表3に示した。
実施例3
触媒Aの代わりに触媒Cを用いたこと以外は、実施例1と同様な手法でガソリン留分と軽油留分を得た。その時の通油開始20日後の反応結果を表3に示した。
実施例4
触媒Aの代わりに触媒Dを用いたこと以外は、実施例1と同様な手法でガソリン留分と軽油留分を得た。その時の通油開始20日後の反応結果を表3に示した。
実施例5
触媒Aの代わりに触媒Eを用いたこと以外は、実施例1と同様な手法でガソリン留分と軽油留分を得た。その時の通油開始20日後の反応結果を表4に示した。
実施例6
触媒Aの代わりに触媒Fを用いたこと以外は、実施例1と同様な手法でガソリン留分と軽油留分を得た。その時の通油開始20日後の反応結果を表4に示した。
実施例7
触媒Gの代わりに触媒Hを用いたこと以外は、実施例1と同様な手法でガソリン留分と軽油留分を得た。その時の通油開始20日後の反応結果を表4に示した。
比較例1
触媒Aの代わりに触媒aを用いたこと以外は、実施例1と同様な手法でガソリン留分と軽油留分を得た。その時の通油開始20日後の反応結果を表4に示した。
Figure 0005298329
Figure 0005298329
実施例8
実施例1で用いたのと同性状の接触分解装置循環油(LCO)を蒸留装置でカット温度250℃にて軽質分と重質分とに分離(軽質分46質量%、重質分54質量%)した以外は、実施例1と同様な手法でガソリン留分と軽油留分を得た。その時の通油開始20日後の反応結果を表5に示した。
比較例2
下記性状の直留系軽油を蒸留装置でカット温度300℃にて軽質分と重質分とに分離した以外は、実施例1と同様な手法でガソリン留分と軽油留分を得た。その時の通油開始20日後の反応結果を表5に示した。
〔直留系軽油の性状〕
芳香族炭化水素化合物成分 ;27.4質量%
密度(15/4℃) ;0.8542
硫黄成分 ;1.35質量%
窒素成分 ;0.02質量%
蒸留性状 ;初留点が211℃、10%点が259℃、
30%点が285℃、50%点が302℃、
70%点が321℃、90%点が344℃、
終点が364℃
比較例3
軽質分の水素化分解条件として水素分圧12.0MPaならびに重質分の水素化処理条件として水素分圧8.0MPaとした以外は、実施例1と同様な方法でガソリン留分及び軽油留分を得た。その時の通油開始20日後の反応結果を表5に示した。
比較例4
実施例1で用いたのと同性状の接触分解装置循環油(LCO)を、軽質分と重質分に分離することなく触媒Eと、反応温度410℃、水素分圧7.0MPa、全LHSV=0.5/h、水素/炭化水素原料=600Nm/KLで接触させ反応生成油を得た。通油開始20日後の反応生成油をバッチ式蒸留装置(釜容量3L)によりガソリン留分(沸点範囲30〜175℃)を回収し、その重量を測定することによりガソリン留分収率ならびにガソリン留分の性状を求め、結果を表6に示した。ガソリン留分収率は以下の式より算出した。
ガソリン留分収率(質量%)=(蒸留分離により得られたガソリン留分収量(質量基準))/反応装置に投入した接触分解装置循環油の投入量(質量基準)×100
比較例5
実施例1で用いたのと同性状の接触分解装置循環油(LCO)を、軽質分と重質分に分離することなく触媒Gと、反応温度350℃、水素分圧12.0MPa、全LHSV=0.5/h、水素/炭化水素原料=600Nm/KLで接触させ反応生成油を得た。通油開始20日後の反応生成油をバッチ式蒸留装置(釜容量3L)により軽油留分(沸点範囲175〜380℃)を回収し、その重量を測定することにより軽油留分収率ならびに軽油留分の性状を求め、結果を表6に示した。
軽油留分収率(質量%)=(蒸留分離により得られた軽油留分収量(質量基準))/反応装置に投入した接触分解装置循環油の投入量(質量基準)×100
セタン価測定の際は、通油開始後20〜25日目の生成油を混合したものを測定サンプルとした。
Figure 0005298329
Figure 0005298329
表3〜5から明らかように、芳香族炭化水素化合物含有量の高い石油系炭化水素を原料として用い、さらに本発明で規定する触媒A〜Fを用いれば、オクタン価90以上、かつ硫黄分10質量ppm以下のガソリン留分が得られることがわかる。
また、表3〜6から明らかなように、石油系炭化水素を軽質分及び重質分に分離を行うことにより、リサーチオクタン価90以上、硫黄分10質量ppm以下の性状の高品質で付加価値の高いガソリン基材と、セタン価50以上、硫黄分10質量ppm以下の高品質で付加価値の高い軽油基材を同時に得られることがわかる。

Claims (5)

  1. (A)沸点範囲が120〜380℃で、かつ、少なくとも30質量%の芳香族炭化水素化合物を含む石油系炭化水素を、軽質分及び重質分に分離する工程、
    (B)前記工程(A)で得られた軽質分の一部もしくは全量と、フォージャサイト型ゼオライトにチタンを含有させた修飾ゼオライトを含む担体に水素化活性金属を含有させた水素化分解触媒とを、10MPa以下の水素分圧下、水素/炭化水素比100〜10000Nm /KL、液空間速度0.05〜10h −1 、反応温度330〜450℃で接触させ、リサーチオクタン価90以上、硫黄分10質量ppm以下のガソリン基材を製造する工程、
    (C)前記工程(A)で得られた重質分の一部もしくは全量と水素化活性金属を含むアルミナ触媒とを10MPa以上の水素分圧下、水素/炭化水素比100〜10000Nm /KL、液空間速度0.05〜10h −1 、反応温度250〜500℃で接触させ、セタン価50以上、硫黄分10質量ppm以下の軽油基材を製造する工程、を含み、かつ、
    前記工程(B)の前記水素化分解触媒における前記修飾ゼオライトが、下記(a)〜(e)を満たしていることを特徴とする石油系炭化水素の処理方法。
    (a)修飾ゼオライトにおけるチタンの含有量が金属酸化物換算で1〜17質量%
    (b)修飾ゼオライト中に含まれるアルミニウムとケイ素との原子比Al/Siが0.14〜0.35
    (c)格子定数が24.36〜24.48Å
    (d)結晶化度が30〜95%
    (e)比表面積が500〜850m/g
  2. 前記工程(A)の石油系炭化水素の軽質分及び重質分の分離が、蒸留により軽質分と重質分に分画することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の石油系炭化水素の処理方法。
  3. 前記軽質分の蒸留における終点が、180℃以上かつ320℃以下の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の石油系炭化水素の処理方法。
  4. 前記石油系炭化水素が、接触分解装置循環油(LCO)、コーカー軽油、又はその混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の石油系炭化水素の処理方法。
  5. 前記工程(B)の前記水素化分解触媒において、前記水素化活性金属が、長周期型周期律表第8族金属及び第6族金属から選択された少なくとも1種であり、その含有量が触媒基準・金属酸化物換算で0.5〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の石油系炭化水素の処理方法。
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