JP4138325B2 - 修飾ゼオライトおよびそれを用いた水素化処理触媒 - Google Patents

修飾ゼオライトおよびそれを用いた水素化処理触媒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、修飾ゼオライト、炭化水素油を水素化処理するための触媒と方法及び該修飾ゼオライトの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体酸触媒は、石油精製、化学産業など化学反応をともなう産業分野において広く用いられる重要な機能性材料である。固体酸の中でもゼオライトは強い酸性とイオン交換能を有するとともに規則的な構造を有し、触媒や吸着剤などの工業分野で用いられるだけでなく、洗剤用ビルダー、脱臭剤、土壌改良材などさまざまな用途に使われている。
石油精製において、固体酸触媒はさまざまなプロセスに用いられ、なかでもゼオライトは接触分解、水素化分解、異性化、脱ロウなどの多くのプロセスの触媒として重要である。これらのプロセスでは酸触媒反応と水素化反応を同時に行わせるものが多い。この典型的な例は水素化分解である。石油精製の分野における水素化分解は比較的に重質な原料油を軽質な生成油に分解する反応である。近年、石油製品のなかで比較的に軽質な留分から調製されるディーゼル軽油、ガソリンなどの輸送用燃料の需要が旺盛である一方、重質留分からなる産業用重油の需要は低迷している。このため、重質油から軽質留分を製造する水素化分解の重要性は高まっている。
【0003】
重質油の水素化分解において、固体酸と水素化活性金属を含む触媒が用いられる。この固体酸にゼオライトを用いた触媒は、シリカ・アルミナなどの非晶質の複合金属酸化物を用いた触媒に比べて一般に活性が高いことが知られているが、残油などアスファルテンを含む重質油を水素化分解すると、活性劣化が著しく実用できない問題がある。
そこで本発明者らはアスファルテンを含む重質油に適用できるゼオライトの開発に取り組み、研究を進めた。その結果、チタン族金属酸化物を複合させた特定のゼオライトが優れた成績を示すことを見出した(特開2000−334305)。しかしながら、経済性を向上させる目的および環境に対する負荷を低減する目的で、さらに高活性な触媒が切望されてきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高活性のゼオライト系水素化処理触媒を与える触媒及び触媒担体として好適な修飾ゼオライトを提供するとともに、該修飾ゼオライトを触媒担体とする水素化処理用触媒、該触媒を用いる炭化水素油の水素化処理方法及び該修飾ゼオライトの製造方法を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す修飾ゼオライト、炭化水素油の水素化処理用触媒、炭化水素油の水素化処理方法及び修飾ゼオライトの製造方法が提供される。
(1)格子定数が24.28Å以上で24.46Å以下のフォージャサイト型ゼオライトに周期表第4族金属元素を含有させた修飾ゼオライトであって、該修飾ゼオライト中の該金属元素の含有量が、金属単体換算量で、0.1〜10重量%であり、かつ該修飾ゼオライトのAl/Si原子比が0.01〜0.1の範囲にあることを特徴とする修飾ゼオライト。
(2)水素化活性金属を含有することを特徴とする前記(1)に記載の修飾ゼオライト。
(3)前記(1)又は(2)に記載の修飾ゼオライトからなることを特徴とする炭化水素油の水素化処理用触媒。
(4)該修飾ゼオライトが成形されていることを特徴とする前記(3)に記載の触媒。
(5)前記(3)又は(4)に記載の触媒の存在下において炭化水素油を水素化処理することを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
(6)該炭化水素油が重質炭化水素油であることを特徴とする前記(5)に記載の方法。
(7)格子定数が24.28Å以上で24.46Å以下のフォージャサイト型ゼオライトに周期表第4族金属元素の水溶性化合物を含む水溶液を酸性条件下で接触させる接触工程を包含し、該接触工程で得られた修飾ゼオライト中の該金属元素の含有量が、金属単体換算量で、0.1〜10重量%であり、かつ該修飾ゼオライトのAl/Si原子比が0.01〜0.1の範囲にあることを特徴とする修飾ゼオライトの製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の修飾ゼオライトは、格子定数が24.28Å以上、24.46Å以下のフォージャサイト型ゼオライト中に周期表第4族金属元素を含有させて得られ、アルミニウム/シリカ(Al/Si)原子比が0.01〜0.1であることを特徴とする。
次に、この修飾ゼオライトの製造方法について詳述する。
(原料ゼオライト)
本発明の修飾ゼオライトの原料はフォージャサイト型ゼオライトであり、その格子定数は24.28Å以上、24.46Å以下の範囲にあるものである。フォージャサイト型ゼオライトは公知のものであり、ソーダライトケージを有し、ミクロ細孔の最大径は7.4Åと工業的に使用されているゼオライトの中で最大級のものである。フォージャサイト型ゼオライトには、Xゼオライト、Yゼオライト、超安定化Yゼオライト(Ultra Stable Y,USY)などが包含される。本発明で原料として用いるフォージャサイト型ゼオライトにはUSYが好ましい。
原料のフォージャサイト型ゼオライト(以下、単にフォージャサイト又はゼオライトとも言う)のAl/Si原子比(アルミニウム原子の数とケイ素原子の数の比)に制限はないが、下限として0.05以上が好ましく、0.1以上がさらに好ましい。また上限として0.5以下が好ましく、0.4以下がさらに好ましい。
原料のフォージャサイトの格子定数は24.28Å以上、24.46Å以下の範囲にあるものである。この下限として、好ましくは24.30Å以上、さらに好ましくは24.32Å以上、とくに好ましくは24.33Å以上である。この上限として、好ましくは24.40Å以下、さらに好ましくは24.38Å以下、とくに好ましくは24.36Å以下である。本発明では、特に、24.33Å〜24.36Åである。触媒又は触媒担体とする上では、この原料ゼオライトの格子定数がとくに重要な因子であり、これが前記特定の範囲にあることにより、得られる修飾ゼオライト触媒の性能が著しく高まる。この格子定数が大きすぎると修飾ゼオライトのゼオライト構造が損なわれて触媒性能が低下し、一方、小さすぎると修飾の効果が小さくなる。
フォージャサイトの格子定数はX線回折分析(XRD分析)によって測定できる。この測定方法についてASTM D3942−97に記載されており、本発明においては、この方法に準拠した測定により格子定数を決定するものとする。
【0007】
原料のフォージャサイトの結晶化度は高い方が好ましい。好ましくは30%以上、さらに好ましくは60%以上、とくに好ましくは80%以上である。フォージャサイトの結晶化度はXRD分析によって測定できる。この測定方法についてASTM D3906−97に記載されており、本発明においては、この方法に準拠した測定により結晶化度を決定するものとする。この方法では、基準とするフォージャサイトに対する相対値として結晶化度が求められる。この基準とするフォージャサイトとして、通常、カチオンがナトリウムイオンであるナトリウム型Yゼオライトが用いられる。本発明において、この基準となるフォージャサイトとして東ソー(株)のHSZ−320NAA(ロット番号:3002)を採用する。
【0008】
原料のフォージャサイトの表面積は高い方が好ましい。BET表面積で表すと、好ましくは500m2/g以上、さらに好ましくは600m2/g以上である。この表面積は広く公知の窒素吸着測定によって求められる。
原料のフォージャサイトはメソポアを有していることが好ましい。メソポア容積は下限として0.05ml/g以上が好ましく、さらに好ましくは0.06ml/g以上であり、上限として0.20ml/g以下が好ましく、さらに好ましくは0.15ml/g以下である。このメソポア容積は広く公知の窒素吸着測定によって求められるが、本発明においては、窒素吸着測定の脱離等温線の測定データを用いてBJH法により算出した、細孔径が50〜300Åの範囲にあるメソポアの容積をメソポア容積と定義する。
【0009】
原料のフォージャサイトの1次粒子径に制限はないが、下限として0.1μm以上が好ましく、さらに好ましくは0.2μm以上であり、上限として1.0μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.5μm以下である。
原料のフォージャサイトのカチオンは、水素イオンやアンモニウムイオンであることが好ましく、さらに好ましくは水素イオンである。一方、ナトリウムイオンは好ましくない。フォージャサイトは水熱合成により得られるが、この段階でのカチオンは通常、ナトリウムイオンである。また天然のフォージャサイトのカチオンもナトリウムイオンが多い。その後のイオン交換、スチーミングなどの処理によりナトリウムの含有量は減少する。原料のフォージャサイトのナトリウム含有量は少ない方が好ましく、Na2Oとして換算して好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下である。この含有量は広く公知の化学分析法、たとえば、原子吸光分析、発光分光分析で求められる。
【0010】
原料のフォージャサイトは、第4族金属元素の化合物による処理を受けることにより本発明の修飾ゼオライトとなる。原料のフォージャサイトをそのまま用いて第4族金属元素の化合物による処理を行っても良いが、必要に応じて前処理を行い、原料ゼオライトとしてより好ましい物性としてから第4族金属元素の化合物による処理を行っても良い。前処理としては、酸処理、スチーミング処理、焼成処理、その他の脱アルミニウム処理などが挙げられる。好ましくは酸処理、スチーミング処理、焼成処理であり、希薄な酸による前処理がさらに好ましい。酸による前処理によって、不純物の除去、ゼオライト骨格外のアルミニウムの除去、ゼオライト骨格の適度な脱アルミニウムによる耐熱性、耐酸性の向上が達成される。また、前処理として上記の処理を適宜組合せて実施してもよい。
酸による前処理において用いる酸の種類は任意であり、無機酸、有機酸とも使用できるが、工業的に安価で取り扱いやすく後の工程に悪影響を与えないことが望まれる。たとえば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などが好ましく挙げられる。酸の濃度は原料のフォージャサイトの物性、酸の種類により異なるが、水素イオン濃度(規定、N)で表して、その下限として、好ましくは0.01N以上、さらに好ましくは0.02N以上、とくに好ましくは0.05N以上である。その上限として、好ましくは1N以下、さらに好ましくは0.5N以下、とくに好ましくは0.2N以下である。
【0011】
酸による前処理の温度は、原料のフォージャサイトの物性、酸の種類により適宜選択されるが、下限として好ましくは0℃以上、さらに好ましくは20℃以上、とくに好ましくは25℃以上であり、上限として好ましくは100℃以下、さらに好ましくは60℃以下、とくに好ましくは50℃以下である。処理時間は原料のフォージャサイトの物性、酸の種類により適宜選択されるが、下限として好ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上であり、上限として好ましくは20時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。処理後はゼオライトと処理液を分離する。分離の方法はロ過、遠心分離など公知の方法で行うことができる。
酸による前処理の後には乾燥、焼成を行うことが好ましい。乾燥および焼成の雰囲気は空気、窒素、乾燥空気が好ましい。乾燥温度は、下限として25℃以上が好ましく、50℃以上がさらに好ましい。上限として150℃以下が好ましく、120℃以下がさらに好ましい。焼成温度は下限として400℃以上が好ましく、450℃以上がさらに好ましい。上限として800℃以下が好ましく、700℃以下がさらに好ましい。焼成時間は下限として10分以上が好ましく、30分以上がさらに好ましい。上限として20時間以下が好ましく、10時間以下がさらに好ましい。
【0012】
(周期表第4族金属元素の化合物による修飾)
本発明の修飾ゼオライトは、これまでに述べた原料ゼオライトに、周期表第4族金属元素の化合物による修飾を行うことにより得られる。
なお、本発明において、周期表の族番号はIUPAC無機化学命名法改訂版(1989年)による長周期型周期表に基づく。第4族金属元素とは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムを指す。好ましくはチタン、ジルコニウムであり、さらに好ましくはチタンである。本発明において、金属元素の化合物には、場合によっては、その金属元素の単体も含むものとする。
修飾に用いる第4族金属元素の化合物としては、水溶性で酸性の物質が好ましい。この点で鉱酸の塩が好ましく挙げられ、塩化物、硫酸塩、硝酸塩がさらに好ましく、硫酸塩がとくに好ましい。修飾の方法としては、ゼオライトを上記の化合物の水溶液と接触させて処理する方法が好ましい。このとき、ゼオライトを粉体のまま扱っても良く、またゼオライトを水に分散させてスラリーとして扱っても良い。また、加える順序として水溶液中にゼオライトを添加しても良く、ゼオライトに水溶液を添加しても良い。
【0013】
濃度の好ましい範囲は、その化合物の種類にもよるが、下限として好ましくは0.01M以上、さらに好ましくは0.02M以上、とくに好ましくは0.03M以上であり、上限として好ましくは0.10M以下、さらに好ましくは0.09M以下、とくに好ましくは0.08M以下である。このときの溶液のpHは、酸性の領域であり、化合物の種類によるが、下限として好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上であり、上限として好ましくは2.0以下であり、さらに好ましくは1.9以下である。
処理の温度は、その化合物の種類、濃度により適宜選択されるが、下限として好ましくは0℃以上、さらに好ましくは20℃以上、とくに好ましくは25℃以上であり、上限として好ましくは100℃以下、さらに好ましくは60℃以下、とくに好ましくは50℃以下である。処理時間は化合物の種類、濃度により適宜選択されるが、下限として好ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上であり、その上限として好ましくは20時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。処理後はゼオライトと処理液を分離する。分離の方法はロ過、遠心分離など公知の方法で行うことができる。
処理の後には乾燥、焼成を行うことが好ましい。乾燥および焼成の雰囲気は空気、窒素、乾燥空気が好ましい。乾燥温度は下限として25℃以上が好ましく、50℃以上がさらに好ましい。上限として150℃以下が好ましく、120℃以下がさらに好ましい。本発明では、特に、50〜120℃である。焼成温度は下限として400℃以上が好ましく、450℃以上がさらに好ましい。上限として600℃以下が好ましく、550℃以下がさらに好ましい。本発明では、特に、450〜550℃である。焼成時間は下限として10分以上が好ましく、30分以上がさらに好ましい。上限として20時間以下が好ましく、10時間以下がさらに好ましい。
【0014】
上記の周期表第4族金属元素の化合物による修飾により得られる修飾ゼオライトの物性は任意であるが、好ましい物性は以下のとおりである。
修飾ゼオライトのAl/Si原子比は0.01以上であり0.1以下である。その下限として0.02以上が好ましく、0.03以上がさらに好ましい。またその上限として0.08以下が好ましく、0.06以下がさらに好ましい。本発明では、特に、0.03〜0.06の範囲にするのがよい。
修飾ゼオライトの格子定数は下限として、好ましくは24.22Å以上、さらに好ましくは24.24Å以上である。この上限として、好ましくは24.34Å以下、さらに好ましくは24.33Å以下である。本発明では、特に、24.24Å〜24.33Åの範囲にするのがよい。
修飾ゼオライトの結晶化度は高い方が好ましい。好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上、とくに好ましくは30%以上である。
修飾ゼオライトの表面積は高い方が好ましい。BET表面積で表すと、好ましくは500m2/g以上、さらに好ましくは600m2/g以上である。
修飾ゼオライトのメソポア容積はある程度大きい方が好ましい。この下限として、好ましくは0.06ml/g以上、さらに好ましくは0.08ml/g以上である。この上限として、好ましくは0.20ml/g以下、さらに好ましくは0.15ml/g以下である。
修飾ゼオライト中の第4族金属元素含有量は、金属単体に換算して、その下限として0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がさらに好ましく、1重量%以上がとくに好ましい。その上限として10重量%以下が好ましく、8重量%以下がさらに好ましく、5重量%以下がとくに好ましい。本発明においては、1〜8重量%、特に、1〜5重量%にするのがよい。
【0015】
次に、本発明の修飾ゼオライトを担体とする水素化処理用触媒について詳述する。
【0016】
(水素化活性金属の担持)
本発明の修飾ゼオライトは、必須ではないが、水素化活性金属を含むことが好ましい。本発明において水素化活性金属とは、周期表第6族、第8族、第9族、第10族の各元素である。具体的には第6族元素はクロム、モリブデン、タングステン、第8族元素は鉄、ルテニウム、オスミウム、第9族元素はコバルト、ロジウム、イリジウム、第10族元素はニッケル、パラジウム、白金を指す。また第8〜10族卑金属元素とは鉄、コバルト、ニッケルを指し、第8〜10族貴金属元素とはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金を指すものとする。水素化活性金属として好ましくはモリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金である。
【0017】
水素化活性金属をゼオライトに担持する方法としては、水素化活性金属の水溶性の化合物を水溶液としてゼオライトと接触させる方法が好ましい。水溶性の化合物としては、塩化物、硝酸塩、炭酸塩が好ましく挙げられる。周期表第6族元素の化合物では、モリブデン酸塩、タングステン酸塩がさらに好ましく挙げられる。
ゼオライトと接触させる方法としては吸着法、含浸法が好ましく挙げられる。吸着法で担持する場合には、ゼオライトを水素化活性金属の化合物の水溶液に浸して水素化活性金属の化合物を吸着させ、その後に液を分離する。吸着の際の溶液濃度は0.001M以上が好ましく、0.005M以上がさらに好ましい。
処理の温度は、その化合物の種類、濃度により適宜選択されるが、下限として好ましくは0℃以上、さらに好ましくは20℃以上、とくに好ましくは25℃以上であり、上限として好ましくは100℃以下、さらに好ましくは60℃以下、とくに好ましくは50℃以下である。処理時間は化合物の種類、濃度により適宜選択されるが、その下限として好ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上であり、その上限として好ましくは20時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。
含浸法で担持する場合には、Incipient Wetness法、蒸発乾固法などが挙げられるが、Incipient Wetness法が好ましい。含浸法で担持する場合、含浸液の濃度、液量を適宜調整することにより、所望する量の水素化活性金属を含有させることができる。
【0018】
水素化活性金属の担持処理の後には乾燥、焼成を行うことが好ましい。乾燥温度の下限として25℃以上が好ましく、50℃以上がさらに好ましい。上限として150℃以下が好ましく、120℃以下がさらに好ましい。焼成温度の下限として400℃以上が好ましく、450℃以上がさらに好ましい。上限として600℃以下が好ましく、550℃以下がさらに好ましい。焼成時間は下限として10分以上が好ましく、30分以上がさらに好ましい。上限として20時間以下が好ましく、10時間以下がさらに好ましい。
上記の水素化活性金属の担持により得られる水素化活性金属を担持した修飾ゼオライトの物性は任意であるが、好ましい物性は、水素化活性金属含有量を除いて前記の水素化活性金属を担持していない修飾ゼオライトの好ましい物性と同一である。
修飾ゼオライトに対する水素化活性金属含有量は、金属単体に換算して、その下限として0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がさらに好ましく、1重量%以上がとくに好ましい。その上限として10重量%以下が好ましく、5重量%以下がさらに好ましく、3重量%以下がとくに好ましい。
修飾ゼオライトを使用する時の水素化活性金属の状態は、金属、硫化物、酸化物の状態が好ましい。第6族元素および第8〜10族卑金属の場合は硫化物の状態がより好ましく、反応前に硫化処理しておくことが好ましい。硫化処理は公知の方法により行うことができる。第8〜10族貴金属の場合は金属の状態がより好ましく、反応前に還元処理しておくことが好ましい。還元処理は公知の方法により行うことができる。なお、修飾ゼオライトを成形体とする場合には、水素化活性金属の修飾ゼオライトへの担持は、成形体としてから行っても良い。
【0019】
(修飾ゼオライトを含有する成形触媒)
本発明の修飾ゼオライトは粉体の状態でも有用であるが、広く利用されている固定床流通反応装置の触媒として用いるためには粉体の状態から成形する必要がある。以下、本発明の修飾ゼオライトを含有する成形触媒について説明する。
修飾ゼオライトの成形方法としては任意の方法が用いられるが、バインダーを用いた方法が好ましい。ゼオライトとバインダーを混合し押し出して成形する押出成形が好ましく挙げられる。バインダーとしては機械的強度が高く熱的に安定で表面積が大きい点から、安定な金属酸化物が好ましく、具体的にはアルミナ、シリカ、シリカアルミナ、アルミナボリアが好ましく挙げられる。
成形体は、さらに水素化活性金属を含むことが好ましい。水素化活性金属は周期表第6族、第8族、第9族、第10族の各元素であるが、好ましくはモリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金である。モリブデン、タングステンから選ばれる少なくとも1種の元素とコバルト、ニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素を組み合わせがさらに好ましい。とくに好ましくはニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−タングステンの組み合わせである。
水素化活性金属の含有量は、全触媒に対して、第8〜10族貴金属の場合は金属換算で下限として0.1重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.5重量%以上である。上限として5重量%以下が好ましく、さらに好ましくは2重量%以下である。第6族元素および第8〜10族卑金属の場合は酸化物換算で下限として1重量%以上が好ましく、さらに好ましくは5重量%である。上限として30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは20重量%以下である。
【0020】
水素化活性金属を成形触媒に含有させる調製法は任意であるが、含浸法が好ましく挙げられる。具体的には、Incipient Wetness法、蒸発乾固法などが挙げられるが、Incipient Wetness法が好ましい。用いる金属の化合物は水溶性の塩が好ましく、水溶液として含浸することが好ましい。水溶性の化合物としては、塩化物、硝酸塩、炭酸塩が好ましく挙げられる。周期表第6族元素の化合物では、モリブデン酸塩、タングステン酸塩がさらに好ましく挙げられる。
処理の後には乾燥、焼成を行うことが好ましい。乾燥温度は下限として25℃以上が好ましく、50℃以上がさらに好ましい。上限として150℃以下が好ましく、120℃以下がさらに好ましい。焼成温度は下限として400℃以上が好ましく、450℃以上がさらに好ましい。上限として600℃以下が好ましく、550℃以下がさらに好ましい。本発明では、特に、450〜550℃で焼成するのがよい。
成形触媒の平均細孔径は下限として50Å以上が好ましく、70Å以上がさらに好ましい。上限として200Å以下が好ましく、150Å以下がさらに好ましい。
成形触媒を使用する時の水素化活性金属の状態は、金属、硫化物、酸化物の状態が好ましい。第6族元素および第8〜10族卑金属の場合は硫化物の状態がより好ましく、反応前に硫化処理しておくことが好ましい。硫化処理は公知の方法により行うことができる。第8〜10族貴金属の場合は金属の状態がより好ましく、反応前に還元処理しておくことが好ましい。還元処理は公知の方法により行うことができる。
成形触媒の形状は、顆粒状、円柱状、円筒状、三つ葉型、四つ葉型等の各種の形状であることができる。
【0021】
次に、本発明の修飾ゼオライト及び成形触媒を用いた炭化水素の水素化処理について詳述する。
本発明の修飾ゼオライト、成形触媒は、ゼオライトの有する酸触媒機能と水素化触媒機能とを兼ね備えたものであり、したがって酸触媒反応と水素化反応に広く有用である。酸触媒反応としては、炭化水素の分解、異性化、転位、アルキル化、重合などの反応が好ましく挙げられ、水素化反応としては不飽和結合、芳香環などの水素化、水素化脱硫、水素化脱窒素などが好ましく挙げられる。なかでも本発明の修飾ゼオライト、成形触媒は、水素共存下で炭化水素油を処理する水素化処理に優れた触媒であり、石油精製の分野で優れた効果を発揮する。
【0022】
反応の原料としては、炭化水素を主成分とする炭化水素油が好ましく挙げられ、これには石油から得られる留分のほか、オイルシェール、タールサンド、石炭などに由来する炭化水素も含まれる。好ましい原料油として、原油を蒸留して得られる直留留分が挙げられ、具体的には留出油であるナフサ、灯油、軽油、重質軽油、減圧軽油と残油である常圧残油、減圧残油である。また直留留分以外にも、流動接触分解装置やコーカーなどから得られる分解油や残油を脱れきして得られる脱れき油なども好ましい原料油である。
さらには、本発明の修飾ゼオライト、成形触媒は、とくに水素共存下で炭化水素油を分解する水素化分解反応に優れた触媒である。一般に重質油よりも軽質油であるナフサ、灯油、軽油の方が価格が高く、とくに灯油、軽油の価値が高い。このため水素化分解触媒には高い活性とともに、灯油、軽油の収率が高いことが必要である。一方、原料油としての残油留分はアスファルテンなどの分子を含み触媒の劣化を促進する。本発明の修飾ゼオライトや成形触媒は、残油留分等の重質油の水素化分解に対し高い活性と高い灯油、軽油の収率を有する点が特長である。
【0023】
本発明の修飾ゼオライト、成形触媒を用いて重質油の水素化分解反応を行う場合、反応温度は、下限として好ましくは350℃以上、さらに好ましくは370℃以上、とくに好ましくは390℃以上であり、上限として好ましくは440℃以下、さらに好ましくは430℃以下、とくに好ましくは420℃以下である。反応圧力は、全圧力で表して、下限として好ましくは3MPa以上、さらに好ましくは5MPa以上、とくに好ましくは8MPa以上であり、上限として好ましくは25MPa以下、さらに好ましくは20MPa以下、とくに好ましくは18MPa以下である。
液空間速度(LHSV:Liquid Hourly Space Velocity)は、下限として好ましくは0.05h-1以上、さらに好ましくは0.1h-1以上、とくに好ましくは0.15h-1以上であり、上限として好ましくは10h-1以下、さらに好ましくは5h-1以下、とくに好ましくは2h-1以下である。
水素/油比は、下限として好ましくは100Nm3/m3以上、さらに好ましくは200Nm3/m3以上、とくに好ましくは400Nm3/m3以上であり、上限として好ましくは10000Nm3/m3以下、さらに好ましくは4000Nm3/m3以下、とくに好ましくは2000Nm3/m3以下である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
【0025】
(ゼオライト修飾例1)
格子定数が24.52Åである市販のフォージャサイト(酸型、USY、原料ゼオライト1とする)の物性を表1に示す。格子定数、結晶化度については粉末X線回折分析装置(リガク製、RINT1400)を用いて、X線源CuKα、出力40kV、150mAの条件で測定した。格子定数はASTM D3942−97に準拠した方法で算出した。具体的にはサンプルに5%のシリコン粉末を混合して、2θ=50〜60゜の範囲を測定し、CuKα2成分の除去を行った後、所定の方法に従いCuKα1による2つのフォージャサイトのピ−クおよび1つのシリコンのピーク回折角を求めて格子定数を算出した。結晶化度はASTM D3906−97に準拠した方法で算出した。具体的には測定サンプルと基準サンプル(東ソー(株)、HSZ−320NAA、ロット番号 3002)について2θ=14〜35゜の範囲を測定し、CuKα2成分の除去を行った後、所定の方法に従いCuKα1による8つのフォージャサイトのピ−ク強度を求めて結晶化度を算出した。Al/Si比、SiO2/Al23比については、フッ酸を用いてゼオライトを溶解し、ICP発光分光分析装置を用いて化学分析を行って求めたAl、Siの含有量から算出した。表面積については全自動ガス吸着量測定装置(カンタクローム社、オートソーブ・1−C型)を用いて、窒素吸着法により得られた脱離等温線の測定デ−タからBET表面積を算出した。
【0026】
【表1】
Figure 0004138325
【0027】
原料ゼオライト1を原料としてチタン修飾を行った。まず硫酸チタン0.05M水溶液2.5リットルに原料ゼオライト60gを加え、撹拌しながら30℃で2時間処理し、45℃に昇温して2時間処理した。吸引ろ過により溶液を分離し、得られたゼオライトを約50℃の温水でロ液に硫酸イオンがなくなるまで洗浄した。120℃で3時間乾燥後、乾燥空気中500℃で3時間焼成した。
次に、このチタン修飾したゼオライトに対してモリブデン修飾を行った。モリブデン酸アンモニウム0.007M水溶液2リットルに硝酸を加えてpHを2に調節し、40gのチタン修飾したゼオライトを加え、撹拌しながら50℃で4時間処理した。吸引ろ過により溶液を分離した。120℃で3時間乾燥後、乾燥空気中500℃で3時間焼成した。得られたゼオライトを修飾ゼオライト1とした。修飾ゼオライト1の物性を表2に示す。
【0028】
(ゼオライト修飾例2、3)
格子定数がそれぞれ24.51Å、24.48Åである市販のフォージャサイト(酸型、HY、それぞれ原料ゼオライト2、3とする)の物性を表1に示す。原料ゼオライト2、3をそれぞれ原料としたほかはゼオライト修飾例1と同様に修飾を行った。得られたゼオライトをそれぞれ修飾ゼオライト2、3とした。修飾ゼオライト2、3の物性を表2に示す。
【0029】
(ゼオライト修飾例4、5)
格子定数がそれぞれ24.40Å、24.38Åである市販のフォージャサイト(酸型、USY、それぞれ原料ゼオライト4、5とする)の物性を表1に示す。原料ゼオライト4、5をそれぞれ原料としたほかはゼオライト修飾例1と同様に修飾を行った。得られたゼオライトをそれぞれ修飾ゼオライト4、5とした。修飾ゼオライト4、5の物性を表2に示す。
【0030】
(ゼオライト修飾例6)
ゼオライト修飾例5で用いた格子定数が24.38Åである市販のフォージャサイト(酸型、USY、原料ゼオライト5)を、チタン修飾の前に希硫酸で前処理をした。0.14Nの希硫酸2.5リットルに原料ゼオライト60gを加え、撹拌しながら30℃で2時間処理し、45℃に昇温して2時間処理した。吸引ろ過により溶液を分離し、得られたゼオライトを約50℃の温水でロ液に硫酸イオンがなくなるまで洗浄した。120℃で3時間乾燥後、乾燥空気中500℃で3時間焼成した。得られたゼオライトを原料ゼオライト6とした。原料ゼオライト6の物性を表1に示す。この原料ゼオライト6を原料としたほかはゼオライト修飾例1と同様に修飾を行った。得られたゼオライトを修飾ゼオライト6とした。修飾ゼオライト6の物性を表2に示す。
【0031】
(ゼオライト修飾例7〜10)
格子定数がそれぞれ24.35Å、24.33Å、24.30Å、24.27Åである4種の市販のフォージャサイト(酸型、USY、それぞれ原料ゼオライト7〜10とする)の物性を表1に示す。原料ゼオライト7〜10をそれぞれ原料としたほかはゼオライト修飾例1と同様に修飾を行った。得られたゼオライトをそれぞれ修飾ゼオライト7〜10とした。修飾ゼオライト7〜10の物性を表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0004138325
【0033】
表1、表2では原料ゼオライトの格子定数が大きい順にデータを並べた。格子定数が24.28〜24.46Åの範囲に入る原料ゼオライトを用いた修飾ゼオライト4〜9が本発明の対象であり、修飾ゼオライト1〜3と修飾ゼオライト10は本発明の対象外である。
表1は原料ゼオライトの物性を示しているが、原料ゼオライトの格子定数と他の物性との間に明白な相関は見られない。表2は修飾ゼオライトの物性を示しているが、原料ゼオライトの格子定数と修飾ゼオライトの結晶化度に明らかな相関が見られ、原料ゼオライトの格子定数が大きいほど修飾ゼオライトの結晶化度が小さい。結晶化度はXRD分析により観察されるゼオライト(フォージャサイト)の量を示す値であり、この値が小さいことはXRD分析で観察されるゼオライト量が減少していることを意味している。修飾ゼオライト1〜3ではゼオライトの回折パターンが観察できなかった。またこれらの修飾ゼオライトの表面積は著しく低下しており、ゼオライト修飾によってゼオライトの骨格構造が壊れることが示唆された。一方、原料ゼオライトの格子定数が小さい修飾ゼオライト(修飾ゼオライト9、10)ではTiの量が少ない傾向がある。
【0034】
(成形触媒調製例1)
修飾ゼオライトを用いて成形を行った。10gの修飾ゼオライト1と市販の擬ベーマイトバインダー(アルミナ含量75%、解膠剤として酸を含む)13.3gを混合し約20gの水を加えて解膠させ、ペースト状になったものをシリンダーから押し出して、直径1/32インチの円柱状の成形体とした。120℃で2時間乾燥後、乾燥空気中550℃で3時間焼成した。得られた成形体のゼオライト含有量は50%である。この成形体を用いて、続いてIncipient Wetness法によりニッケルとモリブデンを担持した。触媒全体に対してNiO 4wt%、MoO3 16wt%となるように濃度を調整した硝酸ニッケルとモリブデン酸アンモニウムの混合水溶液を含浸させた。120℃で3時間乾燥後、乾燥空気中550℃で3時間焼成した。得られた成形触媒を成形触媒1とした。
【0035】
(成形触媒調製例2〜10)
修飾ゼオライト1の代わりにそれぞれ修飾ゼオライト2〜10を用いたほかは成形触媒調製例1と同様に成形触媒調製を行った。得られた成形触媒をそれぞれ成形触媒2〜10とした。
【0036】
(比較例1)
(修飾ゼオライトのオートクレーブ反応評価)
オートクレーブを用いて修飾ゼオライトの水素化分解活性を評価した。原料油として、アラビアンライト原油の常圧残油(AR)を残油用脱メタル触媒を用いて水素化脱メタル処理した油を用いた。容量150mlのオートクレーブに1gの修飾ゼオライト1と10gの原料油を入れ、水素を圧力10MPaまで充填した。反応器にセットし、410℃に昇温後、6時間反応を行った。反応終了後、室温に冷却し、ガスを回収してその量を測定するとともに、ガスクロマトグラフを用いてガス中の炭化水素の濃度を測定した。またオートクレーブを開放し、蒸留ガスクロマトグラフを用いて回収した生成油の組成を測定した。測定結果から転化率と灯油・軽油留分の収率、ナフサ留分の収率、およびガスの収率を算出した。なお、算出の方法は次のとおりである。結果を表3に示す。
【0037】
転化率(%)=(1−全生成物中の沸点343℃以上の留分の割合/原料油中の沸点343℃以上の留分の割合)×100
ガスの収率(%)=全生成物中の炭素数1〜4の炭化水素の割合(重量%)
ナフサ留分の収率(%)=生成油中の沸点150℃未満の留分の割合(重量%)
灯油・軽油留分の収率(%)=生成油中の沸点150〜343℃の留分の割合(重量%)
【0038】
実施例1〜6
(修飾ゼオライトのオートクレーブ反応評価)
修飾ゼオライト1の代わりにそれぞれ修飾ゼオライト4〜9を用いたほかは、比較例1と同様に修飾ゼオライトの分解活性を評価した。結果を表3に示す。
【0039】
比較例2
(修飾ゼオライトのオートクレーブ反応評価)
修飾ゼオライト1の代わりに修飾ゼオライト10を用いたほかは、比較例1と同様に修飾ゼオライトの分解活性を評価した。結果を表3に示す。
【0040】
比較例3
(原料ゼオライトのオートクレーブ反応評価)
修飾ゼオライト1の代わりに修飾していない原料ゼオライト5を用いたほかは、比較例1と同様に修飾ゼオライトの分解活性を評価した。結果を表3に示す。
【0041】
比較例4
(オートクレーブ反応評価のブランク実験)
修飾ゼオライト1を用いずに、比較例1と同様に分解反応を評価した。結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
Figure 0004138325
【0043】
表3に示した修飾ゼオライトのオートクレーブ反応評価結果では、本発明の実施例ではいずれも44.4%以上の高いAR転化率を示している。これに対し、比較例1、比較例2ではAR転化率が低く、ブランク実験(比較例4)の値に近くなっており、活性がきわめて低い。ゼオライト修飾をしていない原料ゼオライト5を用いた比較例3ではAR転化率は43.4%と高いが、目的生成物である灯油・軽油の収率は20.8%とブランク実験と同様に低い。これに対し本発明の実施例ではいずれも30.6%以上と高く優れた成績である。
【0044】
比較例5
(成形触媒のオートクレーブ反応評価)
オートクレーブ反応装置を用いて成形触媒の水素化分解活性を評価した。修飾ゼオライト1の代わりに成形触媒1を用いたほかは、比較例1と同様にして評価を行った。結果を表4に示す。ブランク実験(比較例4)の結果も表4にあわせて示す。
【0045】
比較例6、7
(成形触媒のオートクレーブ反応評価)
修飾ゼオライト1の代わりにそれぞれ成形触媒2、3を用いたほかは、比較例1と同様にして成形触媒の水素化分解活性を評価した。結果を表4に示す。
【0046】
実施例7〜12
(成形触媒のオートクレーブ反応評価)
修飾ゼオライト1の代わりにそれぞれ成形触媒4〜9を用いたほかは、比較例1と同様にして成形触媒の水素化分解活性を評価した。結果を表4に示す。
【0047】
比較例8
(成形触媒のオートクレーブ反応評価)
修飾ゼオライト1の代わりに成形触媒10を用いたほかは、比較例1と同様にして成形触媒の水素化分解活性を評価した。結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
Figure 0004138325
【0049】
表4には成形触媒のオートクレーブ反応評価結果を示したが、表3と同様の結果が得られている。本発明の実施例ではAR転化率が34.4%以上と高い。これに対し比較例5〜7ではAR転化率がブランク実験(比較例4)の値に近くなっており、活性がきわめて低い。比較例8ではAR転化率は33.1%と高いが、灯油・軽油の収率は28.4%と低い。これに対し本発明の実施例では灯油・軽油の収率が30.0%以上と高く優れた成績である。
【0050】
実施例13
(成形触媒の固定床流通反応評価)
固定床流通式反応装置を用いて成形触媒の水素化分解活性を評価した。原料油として、残油用脱硫触媒と脱メタル触媒を用いて、クエート原油の常圧残油を水素化脱メタル処理した油を用いた。
反応管に9.5g(15ml)の成形触媒5を充填した。軽油に硫化剤であるジメチルジスルフィドを混合して硫黄濃度3wt%とした油と水素を流し、13.8MPa、250℃、LHSV 0.5h-1、水素/油比2,000Nm3/m3の条件で8時間、硫化を行った。その後、原料油と水素を流して反応を開始し、250℃、350℃、380℃、390℃の各温度で3時間ずつ保持し、さらに400℃で20時間保持したのち、410℃にした。反応条件は13.8MPa、LHSV0.5h-1、水素/油比2,000Nm3/m3とした。反応管から出た生成油とガスは気液分離器で分離し、ガスを回収してその量を測定するとともに、ガスクロマトグラフを用いてガス中の炭化水素の濃度を測定した。また回収した生成油の量を測定するとともに、蒸留ガスクロマトグラフを用いて生成油の組成を測定した。測定結果から転化率と灯油・軽油留分の収率、ナフサ留分の収率およびガスの収率を算出した。反応開始後96〜100時間の結果を表5に示す。
【0051】
実施例14〜17
(成形触媒の固定床流通反応評価)
成形触媒5の代わりにそれぞれ成形触媒6〜9を用いたほかは、実施例13と同様に成形触媒の水素化分解活性を評価した。結果を表5に示す。
【0052】
【表5】
Figure 0004138325
【0053】
表5には成形触媒について実用装置の条件に即した実験条件である流通系反応装置で評価した結果を示した。本発明の実施例の中でも、とくに成形触媒6〜8が高い灯油・軽油収率とAR転化率を示し優れている。このことは表4の成形触媒のオートクレーブ反応評価のみならず、表3の修飾ゼオライトのオートクレーブ反応評価にも現れている。もし表2に示した修飾ゼオライトの結晶化度だけが触媒性能に寄与するのであれば、結晶化度の高い修飾ゼオライト9、修飾ゼオライト10および成形触媒9、成形触媒10が高性能を示すはずであるから、本発明の効果は結晶化度だけで説明できるものではないことは明らかである。一方、修飾ゼオライト9、10はTiの量が少ないことから本発明におけるTiの効果が示唆される。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、高活性の触媒及び触媒担体として使用することのできる修飾ゼオライトが提供される。この修飾ゼオライトは、特に、重質油や軽質油等の炭化水素油の水素化処理用触媒として有利に用いることができる。

Claims (9)

  1. 格子定数が24.28Å以上で24.46Å以下のフォージャサイト型ゼオライトに周期表第4族金属元素を含有させた修飾ゼオライトであって、該修飾ゼオライト中の該金属元素の含有量が、金属単体換算量で、0.1〜10重量%であり、かつ該修飾ゼオライトのAl/Si原子比が0.01〜0.1の範囲にあることを特徴とする修飾ゼオライト。
  2. フォージャサイト型ゼオライトの結晶化度が30%以上、又は表面積が500m 2 /g以上である請求項1に記載の修飾ゼオライト。
  3. 水素化活性金属を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の修飾ゼオライト。
  4. 水素化活性金属の含有量が、金属単体換算量で0.1〜10重量%である請求項3に記載の修飾ゼオライト。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の修飾ゼオライトからなることを特徴とする炭化水素油の水素化処理用触媒。
  6. 該修飾ゼオライトが成形されていることを特徴とする請求項に記載の触媒。
  7. 請求項又はに記載の触媒の存在下において炭化水素油を水素化処理することを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
  8. 該炭化水素油が重質炭化水素油であることを特徴とする請求項に記載の方法。
  9. 格子定数が24.28Å以上で24.46Å以下のフォージャサイト型ゼオライトに周期表第4族金属元素の水溶性化合物を含む水溶液を酸性条件下で接触させる接触工程を包含し、該接触工程で得られた修飾ゼオライト中の該金属元素の含有量が、金属単体換算量で、0.1〜10重量%であり、かつ該修飾ゼオライトのAl/Si原子比が0.01〜0.1の範囲にあることを特徴とする修飾ゼオライトの製造方法。
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