JPH07267749A - 多孔質焼結体及び固体電解質型燃料電池 - Google Patents

多孔質焼結体及び固体電解質型燃料電池

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JPH07267749A
JPH07267749A JP6079224A JP7922494A JPH07267749A JP H07267749 A JPH07267749 A JP H07267749A JP 6079224 A JP6079224 A JP 6079224A JP 7922494 A JP7922494 A JP 7922494A JP H07267749 A JPH07267749 A JP H07267749A
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porous sintered
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Shinji Kawasaki
真司 川崎
Hirotake Yamada
裕丈 山田
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NGK Insulators Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B38/00Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2111/00Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
    • C04B2111/00474Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00
    • C04B2111/00853Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00 in electrochemical cells or batteries, e.g. fuel cells

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Abstract

(57)【要約】 【目的】多孔質焼結体を固体電解質燃料電池の空気極材
料としたとき、900〜1000℃の温度と、室温〜6
00℃の温度との間で加熱─冷却サイクルをかけたと
き、他の構成材との間でクラックが発生した。このクラ
ックを防止するため、多孔質焼結体に安定性を与えるこ
とである。 【構成】ペロブスカイト型の複合酸化物のAサイトが少
なくともランタンによって占められており、この複合酸
化物のBサイトが少なくともマンガンによって占められ
ている複合酸化物からなる多孔質焼結体であって、この
複合酸化物のAサイトの原子の総数をBサイトの原子の
総数で除した値が0.97以上、0.993以下(好ま
しくは0.98以上)であり、又は、1.008以上
(好ましくは1.015以下)、1.02以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔質焼結体及びこれ
を使用した固体電解質型燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解質型燃料電池(SOFC)は、
1000°Cの高温で作動するため電極反応が極めて活
発で、高価な白金などの貴金属触媒を全く必要とせず、
分極が小さく、出力電圧も比較的高いため、エネルギー
変換効率が他の燃料電池に比べて著しく高い。更に、構
造材は全て固体から構成されるため、安定かつ長寿命で
ある。SOFCの開発事業においては、高温で安定な材
料の探索が重要である。SOFCの空気極材料として
は、現在、ランタンマンガナイト焼結体が有望と見られ
ている(エネルギー総合工学、13、2、52〜68
頁、1990年)。こうしたランタンマンガナイト焼結
体においては、ほぼ化学量論的組成のものやAサイト
(ランタン部位)が一部欠損した組成のもの(マンガン
リッチな組成)が知られている。特に、AサイトにC
a、Srをドープしたランタンマンガナイトからなる多
孔質焼結体が、自己支持型の空気極管を含む空気極の材
料として有望視されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、こうしたラ
ンタンマンガナイトを始めとするペロブスカイト型酸化
物多孔質焼結体について、次の問題があることを、本発
明者が初めて発見した。即ち、SOFCの発電温度であ
る900〜1100℃の温度と、室温〜600℃の温度
との間で加熱−冷却サイクルをかけると、上記の多孔質
焼結体からなる空気極管と、単電池の他の構成材料との
間でクラックが発生し、単電池の破壊が生ずることが判
明した。しかも、この単電池を1000℃で長時間動作
させても、このようなクラックは全く発生しなかった。
従って、この現象は、上記の多孔質焼結体の焼成収縮に
よるものではなく、上記の熱サイクルによる寸法変化に
起因するものと考えられた。
【0004】本発明の課題は、上記の熱サイクルに対す
る安定性をランタンマンガナイトを始めとするペロブス
カイト型酸化物多孔質焼結体に付与することである。ま
た、本発明の課題は、固体電解質型燃料電池において、
上記の熱サイクルに起因する空気電極の寸法収縮によっ
て、空気電極と他の構成材料との間でクラックが発生す
るのを、防止できるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ペロブスカイ
ト型の複合酸化物のBサイトが少なくともマンガンによ
って占められている複合酸化物からなる多孔質焼結体で
あって、この複合酸化物のAサイトの原子の総数をBサ
イトの原子の総数で除した値が0.97以上、0.99
3以下である、多孔質焼結体に係るものである。
【0006】本発明は、ペロブスカイト型の複合酸化物
のBサイトが少なくともマンガンによって占められてい
る複合酸化物からなる多孔質焼結体であって、この複合
酸化物のAサイトの原子の総数をBサイトの原子の総数
で除した値が1.008以上、1.02以下である、多
孔質焼結体に係るものである。
【0007】
【作用】最初に、本発明者が発見した、熱サイクルによ
る多孔質焼結体の寸法収縮現象について、説明する。本
発明者は、従来のランタンマンガナイト多孔質焼結体に
ついて、900〜1100°Cの温度と、室温〜600
°Cの温度との間で、加熱−冷却サイクルをかけ、その
安定性を試験してみた。このランタンマンガナイトは、
Bサイトは特に置換されておらず、Aサイトの10%〜
20%がカルシウムによって置換されているものであ
り、又は、Aサイトの10%〜15%がストロンチウム
によって置換されているものであった。
【0008】この結果、上記の多孔質焼結体の寸法が、
熱サイクル1回当り0.01〜0.04%程度収縮する
ことが判明した。しかも、この熱サイクルによる収縮
は、100回の熱サイクルをかけても収束せず、100
回の熱サイクルで数%にも及ぶことが判明した。このよ
うに空気極が収縮すると、単電池の他の構成材料との間
でクラックが発生し、単電池の破壊の原因となる。
【0009】本発明者は、この問題を解決するために研
究を進めた。この研究の過程で、特に、多孔質焼結体を
構成する複合酸化物の組成について詳細に検討を加え
た。
【0010】この結果、複合酸化物のAサイトとBサイ
トとの比率、即ち、Aサイトの原子の総数とBサイトの
原子の総数との比率を、一定の範囲に限定すると、上記
した熱サイクルによる寸法収縮が、顕著に減少すること
を発見し、本発明に至った。
【0011】具体的には、Aサイトの原子の総数をBサ
イトの原子の総数で除した値を0.993以下とするこ
とにより、熱サイクルによる寸法収縮が、顕著に減少し
た。また、Aサイトの原子の総数をBサイトの原子の総
数で除した値を1.008以上とすることにより、熱サ
イクルによる寸法収縮が、顕著に減少した。
【0012】特に、複合酸化物の組成にもよるが、室温
と1000°Cとの間の熱サイクルによって生ずる寸法
収縮を、上記の熱サイクル1回当たり0.01%以下に
抑えることができた。これにより、特に固体電解質型燃
料電池のように、多孔質焼結体と他の構成材料とが接合
された構造体において、900〜1100°Cの温度
と、室温〜600°Cの温度との間で加熱−冷却サイク
ルをかけても、多孔質焼結体と他の構成材料との間でク
ラックが発生しないことを確認した。
【0013】ただし、Aサイトの原子の総数をBサイト
の原子の総数で除した値が0.97未満になると、多孔
質焼結体の微構造の走査型電子顕微鏡写真によって、マ
ンガンの偏析が見られることを確認した。従って、Aサ
イトの原子の総数をBサイトの原子の総数で除した値
を、0.97以上とする必要がある。
【0014】また、Aサイトの原子の総数をBサイトの
原子の総数で除した値が1.02を越えると、多孔質焼
結体の微構造の走査型電子顕微鏡写真によって、ランタ
ンの偏析が見られることを確認した。従って、Aサイト
の原子の総数をBサイトの原子の総数で除した値を、
1.02以下とする必要がある。
【0015】Aサイトの原子の総数をBサイトの原子の
総数で除した値が、0.993〜0.97の間である場
合には、この値が小さくなるほど、即ち、0.97の方
に近づくほど、前記寸法収縮率は減少しており、特に、
0.99以下に限定すると、前記寸法収縮率が顕著に減
少している。0.99〜0.97の範囲内では、寸法収
縮率の減少の度合いは大きくない。特に、Aサイトの原
子の総数をBサイトの原子の総数で除した値が0.98
5以下である場合には、前記寸法収縮率は変動が少な
い。
【0016】しかし、Aサイトの原子の総数をBサイト
の原子の総数で除した値が0.98よりも低くなると、
今度は多孔質焼結体を製造するのに際して、焼結体が非
常に焼結し易くなり、多孔質焼結体の気孔率をある程度
以上大きくすることや、気孔率を一定に保持すること
が、困難になることが判明した。むろん気孔率は多孔質
焼結体の組成に応じて変動するが、上記の値が0.98
未満になると、上記の値が僅かに変動しても、気孔率の
変動量が多くなるので、気孔率を一定値に保持すること
は難しくなった。従って、この観点からは、上記の値を
0.98以上とすることが好ましい。
【0017】また、Aサイトの原子の総数をBサイトの
原子の総数で除した値が、1.008〜1.02の間で
ある場合には、この値が大きくなるほど、即ち、1.0
2の方に近づくほど、前記寸法収縮率は減少するが、特
に、1.01以上に限定すると、前記寸法収縮率が顕著
に減少している。1.01〜1.02の範囲内では、寸
法収縮率の減少の度合いは、1.00〜1.008の範
囲と比較すると、さほど大きくない。
【0018】しかし、Aサイトの原子の総数をBサイト
の原子の総数で除した値が1.015よりも大きくなる
と、今度は多孔質焼結体の電気伝導度が急激に低下する
ことが分かった。従って、多孔質焼結体の電気伝導度を
高く保持するという観点からは、上記の値を1.015
以下とすることが好ましい。
【0019】「熱サイクル1回当たりの寸法収縮」と
は、多孔質焼結体を焼結させた後、最初の熱サイクルか
ら10回目の熱サイクルまでの各寸法収縮の平均値を指
すものとする。
【0020】更に、本発明者は、上記の熱サイクルに伴
なう多孔質焼結体の寸法収縮が生ずる機構などについ
て、研究を進めた。この結果、室温から1000°C程
度まで温度上昇させると多孔質焼結体の重量が僅かに減
少し、再び室温に温度降下させると、この重量が元に戻
ることが分かった。また、多孔質焼結体の熱サイクルに
伴う寸法収縮量は、熱サイクル時の昇降温速度、雰囲気
中の酸素分圧によって、若干異なっていた。
【0021】こうした現象が生ずる機構は、現在のとこ
ろ不明である。しかし、熱サイクルに伴って、大気中の
800℃以上の温度域で酸素が結晶中に出入りし、この
出入りに伴って結晶格子が歪み、金属原子の物質移動が
促進されているものと推測される。こうした現象と、複
合酸化物のAサイトとBサイトとの間の原子数の比率と
の関連も、不明である。
【0022】
【実施例】本発明に係る多孔質焼結体を製造するには、
この複合酸化物の原料混合物を混合して混合粉末を製造
し、この混合粉末を成形し、この成形体を焼成して合成
物を製造し、この合成物を粉砕することが好ましい。こ
の際には、複合酸化物の原料粉末の混合比率を変更する
ことにより、複合酸化物におけるAサイトとBサイトと
の比率を制御する。
【0023】成形体の焼成温度は、1300°C〜16
00°Cとすることが好ましい。焼成温度を1300°
C未満とすると、焼結が完全に完了しない。1600°
Cよりも高くすると、焼結体の組織が緻密になりすぎ
る。
【0024】本発明に係る多孔質焼結体を構成する複合
酸化物の組成について、説明する。複合酸化物のBサイ
トが少なくともマンガンによって占められている。好ま
しくは、複合酸化物のAサイトが、希土類元素及びアル
カリ土類金属元素からなる群より選ばれた1種以上の金
属元素によって占められている。更に好ましくは、複合
酸化物のAサイトが、セリウムを除く希土類元素、及び
イットリウムからなる群より選ばれた一種以上の金属元
素と、カルシウム及びストロンチウムからなる群より選
ばれた1種以上の金属元素とによって、占められてい
る。
【0025】本発明で好ましく使用できる複合酸化物を
例示する。この複合酸化物は、次の一般式(I)の組成
を有するものが好ましい。
【0026】
【数1】〔R1-X X a Mnb 3 (I)
【0027】ここで、R、Aが複合酸化物のAサイトを
占め、Mnが複合酸化物のBサイトを占める。a/b
は、本発明で規定する「Aサイトの原子の総数をBサイ
トの原子の総数で除した値」である。Aは、カルシウム
及びストロンチウムからなる群より選ばれた1種以上の
金属である。
【0028】Rは、セリウムを除く希土類元素、及びイ
ットリウムからなる群より選ばれた一種の金属元素であ
る。この群とは、イットリウム、ランタン、プラセオジ
ム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウ
ム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホル
ミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びル
テチウムからなる群である。Rとしては、ランタン、プ
ラセオジム、ネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、
ガドリニウム及びイットリウムからなる群より選ばれた
ものが、特に好ましい。
【0029】この組成においては、Aがカルシウムであ
る場合には、Aサイトの15%以上、35%以下(x=
0.15〜0.35)をカルシウムによって置換する。
ここで、カルシウムの置換量を25%以上とした場合に
は、特に、熱サイクルによる寸法収縮を熱サイクル1回
あたり0.01%以下に抑えることができるので、好ま
しい。
【0030】また、本発明の多孔質焼結体を固体電解質
型燃料電池用の空気極材料として使用する場合には、多
孔質焼結体の熱膨張率を、固体電解質膜や燃料電極膜な
どの熱膨張率に近くしなければならない。
【0031】そして、この固体電解質膜がイットリア安
定化ジルコニアである場合には、25°C〜1000°
Cの間の平均線熱膨張率は10.5×10-6-1である
ことが知られている。この場合には、多孔質焼結体の平
均線熱膨張率を11.8×10-6-1以下に抑えれば、
多孔質焼結体と固体電解質膜との間の熱膨張差に起因す
るクラックの発生は、防止することができた。
【0032】上記の組成において、カルシウムの置換量
xが増大すると、それにつれて、多孔質焼結体の平均線
熱膨張率は増加していく。そして、カルシウムの置換量
が35%を越えると、多孔質焼結体の平均線熱膨張率が
11.8×10-6-1を越えるので、好ましくない。
【0033】又は、Aサイトの10%以上、40%以下
(x=0.10〜0.40)をストロンチウムによって
置換する。ここで、ストロンチウムの置換量を20%以
上とした場合には、特に、熱サイクルによる寸法収縮を
熱サイクル1回あたり0.01%以下に抑えることがで
きるので、好ましい。ストロンチウムの置換量が40%
を越えると、多孔質焼結体の平均線熱膨張率が11.8
×10-6-1を越えるので、好ましくない。
【0034】また、次の一般式(II)の組成を有する
複合酸化物も好ましい。
【0035】
【数2】 〔R1-X X a 〔Mn1-Z z b 3 (II)
【0036】ここで、R、Aが複合酸化物のAサイトを
占め、Mn、Eが複合酸化物のBサイトを占める。a/
bは、本発明で規定する「Aサイトの原子の総数をBサ
イトの原子の総数で除した値」である。Rは、セリウム
を除く希土類元素、及びイットリウムからなる群より選
ばれた1種の金属元素である。Aは、カルシウム及びス
トロンチウムからなる群より選ばれた1種以上の金属で
ある。
【0037】この組成においては、アルミニウム、コバ
ルト、銅、マグネシウム、クロム、ニッケル、鉄、チタ
ン及び亜鉛からなる群より選ばれた一種以上の金属原子
Eによって、ランタンマンガナイトのBサイトのマンガ
ン原子の一部を置換している。
【0038】Bサイトにおけるマンガン原子以外の金属
原子Eの置換割合は、0.02%以上、20%以下(z
=0.0002〜0.20)とすることが好ましく、5
%以上、20%以下(z=0.05〜0.20)とする
ことが更に好ましい。この置換割合を0.02%以上と
することにより、熱サイクルによる収縮抑制効果が一層
顕著となる。しかし、20%を超えると、電気伝導度が
低下し、電極素子として使用できる電気伝導度の限界値
を下回る。
【0039】この組成においては、更に、Aサイトの5
%以上、35%以下(x=0.05〜0.35)をカル
シウムによって置換する。この置換量が5%未満である
と、多孔質焼結体の電気伝導度が低下し、電極素子とし
て使用できる電気伝導度の限界値を下回る。このAによ
る置換量が35%を越えると、多孔質焼結体の平均線熱
膨張率が11.8×10-6-1を越えるので、好ましく
ない。
【0040】カルシウムの置換量を25%以上とした場
合には、特に、熱サイクルによる寸法収縮を熱サイクル
1回あたり0.01%以下に抑えることができるので、
好ましい。
【0041】又は、この組成においては、更に、Aサイ
トの5%以上、40%以下(x=0.05〜0.40)
をストロンチウムによって置換する。この置換量が5%
未満であると、多孔質焼結体の電気伝導度が低下し、電
極素子として使用できる電気伝導度の限界値を下回る。
このAによる置換量が40%を越えると、多孔質焼結体
の平均線熱膨張率が11.8×10-6-1を越えるの
で、好ましくない。
【0042】ストロンチウムの置換量を20%以上とし
た場合には、特に、熱サイクルによる寸法収縮を熱サイ
クル1回あたり0.01%以下に抑えることができるの
で、好ましい。
【0043】また、他の好ましい組成においては、複合
酸化物のAサイトが、カルシウム及びストロンチウムか
らなる群より選ばれた一種以上の第一の金属元素、セリ
ウムを除く希土類元素とイットリウムからなる群より選
ばれた二種以上の第二の金属元素によって占められてお
り、Aサイトのうち5〜70%が第一の金属元素によっ
て占められており、複合酸化物のBサイトにマンガンが
含有されている。
【0044】この複合酸化物の組成は、好ましくは下記
一般式(III)式によって表されるものである。
【0045】
【数3】〔R1-X X a 〔Mn〕b 3 (III)
【0046】ここで、R、Aが複合酸化物のAサイトを
占め、Mn、Eが複合酸化物のBサイトを占める。a/
bは、本発明で規定する「Aサイトの原子の総数をBサ
イトの原子の総数で除した値」である。
【0047】Aは、カルシウム及びストロンチウムから
なる群より選ばれた一種以上の第一の金属元素である。
Rは、セリウムを除く希土類元素、及びイットリウムか
らなる群より選ばれた二種以上の第二の金属元素であ
る。この群とは、イットリウム、ランタン、プラセオジ
ム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウ
ム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホル
ミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテ
チウムからなる群である。第二の金属元素Rは、ランタ
ン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ジスプロシ
ウム、ガドリニウム、イットリウムからなる群より選ば
れたものが好ましい。
【0048】第一の金属元素Aによる置換割合Xは、A
サイトのうち5〜70%(x=0.05〜0.70)と
する。第一の金属元素Aがカルシウムである場合には、
カルシウムの置換量を20%以上とした場合には、特
に、熱サイクルによる寸法収縮を熱サイクル1回あたり
0.01%以下に抑えることができるので、好ましい。
カルシウムの置換量は50%以下とすることが好まし
い。これが50%を越えると、多孔質焼結体の平均線熱
膨張率が11.8×10-6-1を越えるからである。
【0049】第一の金属元素Aがストロンチウムである
場合には、ストロンチウムの置換量を10%以上とした
場合には、特に、熱サイクルによる寸法収縮を熱サイク
ル1回あたり0.01%以下に抑えることができるの
で、好ましい。カルシウムの置換量は50%以下とする
ことが好ましい。これが50%を越えると、多孔質焼結
体の平均線熱膨張率が11.8×10-6-1を越えるか
らである。
【0050】また、複合酸化物の組成は、好ましくは下
記一般式(IV)式によって表されるものである。
【0051】
【数4】 〔R1-X X a 〔Mn1-z z b 3 (IV)
【0052】A、Rは、上記した元素である。Eは、ア
ルミニウム、コバルト、銅、マグネシウム、クロム、ニ
ッケル、鉄、チタン及び亜鉛からなる群より選ばれた一
種以上の第三の金属元素であり、Bサイトの残部がマン
ガンによって占められている。
【0053】第一の金属元素Aによる置換割合Xは、A
サイトのうち5〜70%(x=0.05〜0.70)と
する。この置換量が5%未満であると、多孔質焼結体の
電気伝導度が低下し、電極素子として使用できる電気伝
導度の限界値を下回る。第一の金属元素Aの置換量を1
0%以上とした場合には、特に、熱サイクルによる寸法
収縮を熱サイクル1回あたり0.01%以下に抑えるこ
とができるので、好ましい。
【0054】第一の金属元素Aによる置換割合は、50
%以下とすることが好ましい。これが50%を越える
と、多孔質焼結体の平均線熱膨張率が11.8×10-6
-1を越えるからである。
【0055】Rは、前記したように、セリウムを除く希
土類元素、及びイットリウムからなる群より選ばれた二
種以上の第二の金属元素である。第二の金属元素のう
ち、1種類をランタンとした場合、Aサイトにおけるラ
ンタンの割合は、1〜94%とすることが好ましい。ま
た、この場合において、他の第二の金属元素Rの割合
は、Aサイトのうち1〜80%とするのが好ましく、2
0〜50%とするのが更に好ましい。
【0056】第三の金属元素Eによる置換割合は、0.
02%〜40%とすることが好ましい。これを0.02
%以上とすることにより、熱サイクルによる収縮抑制効
果が一層顕著となる。また、Eの置換割合が上昇する
と、多孔質焼結体の電気伝導度が低下していくが、カル
シウムやストロンチウムの添加量を増加させることによ
り、この電気伝導度の低下を相殺することができる。従
って、置換割合が40%以下であれば、電極素子として
使用できる。
【0057】また、複合酸化物は非化学量論的組成をと
りうるので、多孔質焼結体の製造工程において不可避的
に混入する若干の不純物に由来する複合酸化物の組成変
動は、許容される。
【0058】本発明によって製造した多孔質焼結体は、
特に、熱サイクルに対して安定な高温電極材料として好
ましく使用できる。こうした高温電極材料としては、核
融合炉、MHD発電等における電極材料がある。
【0059】また、本発明の多孔質焼結体は、SOFC
用の空気極材料として、特に好適に使用できる。更に、
自己支持型の空気極基体の材料として用いることが好ま
しい。こうした空気極基体は、単電池の母材として用い
られるものであり、空気極基体上に、固体電解質膜、燃
料電極膜、インターコネクター、セパレータなどの各構
成部分が積層される。この際、空気極基体の形状は、両
端が開口した円筒形状、一端が開口し、他端が閉塞され
た有底円筒形状、平板形状などであってよい。このう
ち、上記したいずれかの円筒形状のものが、熱応力がか
かりにくく、ガスシールが容易なので、特に好ましい。
【0060】多孔質焼結体の気孔率は、5〜40%とす
ることが好ましい。また、これをSOFC用の空気極材
料として用いる場合には、更に気孔率を15〜40%と
することが好ましく、25〜35%とすると一層好まし
い。この場合は、空気極の気孔率を15%以上とするこ
とで、ガス拡散抵抗を小さくし、気孔率を40%以下と
することで、ある程度の強度も確保することができる。
【0061】以下、更に具体的な実験結果について説明
する。(実験用試料の製造)出発原料として、La2
3 、CaCO3 、Nd2 3 、Y2 3 、Mn3 4
NiOの各粉末を使用した。表1、表2に示す各試料番
号1─1〜6─7の組成比率となるように、各試料番号
について、所定量の出発原料を秤量し、混合した。この
混合粉末を、コールドアイソスタティックプレス法によ
り、1tf/cm2 の圧力で成形し、成形体を作製し
た。この成形体を、大気中、1500℃で15時間熱処
理し、後述する各組成の複合酸化物を合成した。
【0062】この合成体をトロンメルで8〜12時間粉
砕し、平均粒径2〜6μmの合成粉末を作製した。次
に、この合成粉末に、水と、有機バインダーとしてのア
クリル系バインダーを加え、混合し、水分40%のスラ
リーを調製し、スプレードライヤーで造粒した。その
後、この造粒粉末と、増孔剤としてのアクリルパウダー
とを乾式混合し、コールドアイソスタティックプレス法
により、1tf/cm2 の圧力で成形して、外径20m
m、内径10mmの円環形状の成形体を製造し、この管
状成形体を1300°C〜1600°Cで5時間焼成し
た。この管状焼結体から、長さ50mmの管状試料を切
り出した。
【0063】(X線回折測定)表1、表2に示す各試料
番号1─1〜6─7を、それぞれ乳鉢にて粉砕し、粉末
法にてX線回折測定を行った。この結果、各試料番号の
各回折パターンは、ほぼ同じであり、かつ単一相を示し
ていた。
【0064】これらのX線回折パターンからみて、各試
料番号1─1〜6─7において、カルシウム、ネオジ
ム、イットリウム及びニッケルは、それぞれ確かに複合
酸化物の結晶中に固溶していた。
【0065】(気孔率の測定)各試料番号の気孔率を水
置換法にて測定した。この結果、気孔率は0.3%〜3
8%の範囲内であった。
【0066】(熱サイクル収縮の測定)各試料番号を大
気中にて200℃/時間で600℃まで昇温し、その後
600℃と1000℃との間で、200℃/時間の昇降
温速度にて10回熱サイクルをかけ、室温まで降温し
た。この際、各熱サイクルにおいて、600℃と100
0℃では各々30分間一定温度を保持した。その後、マ
イクロメータを用いて各試料の寸法を測定し、熱サイク
ル前後の寸法収縮率を計算した。熱サイクル10回あた
りの寸法収縮率を、表1、表2に示す。
【0067】また、図1に、各組成の多孔質焼結体につ
いて、Aサイトの原子の総数をBサイトの原子の総数で
除した値(a/b)と、熱サイクル10回当たりの寸法
収縮との関係を示す。ただし、図1におけるグラフ1
は、試料番号1─1〜1─7に関するものであり、組成
1:〔La0.80Ca0.20a Mnb 3 の多孔質焼結体
に関するものである。図1におけるグラフ2は、試料番
号2─1〜2─7に関するものであり、組成2:〔La
0.80Ca0.20a 〔Mn0.98Ni0.02b 3 の多孔質
焼結体に関するものである。
【0068】グラフ3は、試料番号3─1〜3─7に関
するものであり、組成3:〔La0.80Ca0.20a 〔M
0.95Ni0.05b 3 の多孔質焼結体に関するもので
ある。グラフ4は、試料番号4─1〜4─7に関するも
のであり、組成4:〔La0.45Nd0.30Ca0.25a
b 3 の多孔質焼結体に関するものである。グラフ5
は、試料番号5─1〜5─7に関するものであり、組成
5:〔La0.450.30Ca0.25a Mnb 3 の多孔質
焼結体に関するものである。グラフ6は、試料番号6─
1〜6─7に関するものであり、組成6:〔La0.45
0.30Ca0.25a 〔Mn0.98Ni0.02b 3 の多孔質
焼結体に関するものである。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】表1、表2に示す結果から分かるように、
複合酸化物のAサイトの原子の総数をBサイトの原子の
総数で除した値(a/b)を0.993以下とすること
により、熱サイクルによる寸法収縮が、顕著に減少し
た。(a/b)が、0.993〜0.97の間である場
合には、この値が小さくなるほど、前記寸法収縮率は減
少するが、その減少の度合いはさほど大きくない。特
に、Aサイトの原子の総数をBサイトの原子の総数で除
した値が0.985以下である場合には、前記寸法収縮
率は変動が少ない。
【0072】また、(a/b)を1.008以上とする
ことにより、熱サイクルによる寸法収縮が、顕著に減少
した。また、(a/b)が1.008〜1.02の間で
ある場合には、この値が大きくなるほど、前記寸法収縮
率は単調に減少するが、その減少の度合いは、1.00
〜1.008の範囲と比較すると、さほど大きくない。
【0073】(a/b)が0.97未満になると、多孔
質焼結体の微構造の走査型電子顕微鏡写真によって、マ
ンガンの偏析が見られることを確認した。また、(a/
b)が1.02を越えると、多孔質焼結体の微構造の走
査型電子顕微鏡写真によって、ランタンの偏析が見られ
ることを確認した。
【0074】これらの各組成のうちの一部について、こ
うしたマンガン又はランタンの偏析を示す走査型電子顕
微鏡写真を、添付する。まず、図2は、〔La0.80Ca
0.20a Mnb 3 の組成の複合酸化物において、(a
/b)=0.960の場合について、多孔質焼結体のセ
ラミックス組織を示す走査型電子顕微鏡写真である。気
孔の周辺で色が濃く見えるのが、マンガンの偏析した部
分である。図3は、〔La0.80Ca0.20a 〔Mn0.95
Ni0.05b 3 の組成の複合酸化物において、(a/
b)=0.965の場合について、多孔質焼結体のセラ
ミックス組織を示す走査型電子顕微鏡写真である。気孔
の周辺で色が濃く見えるのが、マンガンの偏析した部分
である。
【0075】他の組成の複合酸化物からなる多孔質焼結
体についても、ほぼ同様の試験結果を得ている。従っ
て、(a/b)を0.97以上とすることが、マンガン
の偏析を防止するために、必要であることが分かる。
【0076】図4は、〔La0.80Ca0.20a Mnb
3 の組成の複合酸化物において、(a/b)=1.02
9の場合について、多孔質焼結体のセラミックス組織を
示す走査型電子顕微鏡写真である。気孔の周辺で色が薄
く見えるのが、ランタンの偏析した部分である。図5
は、〔La0.80Ca0.20a 〔Mn0.95Ni0.05b
3 の組成の複合酸化物において、(a/b)=1.02
7の場合について、多孔質焼結体のセラミックス組織を
示す走査型電子顕微鏡写真である。気孔の周辺で色が薄
く見えるのが、ランタンの偏析した部分である。
【0077】他の組成の複合酸化物からなる多孔質焼結
体についても、ほぼ同様の試験結果を得ている。従っ
て、(a/b)を1.02以下とすることが、ランタン
の偏析を防止するために、必要であることが分かる。
【0078】(a/b)と、熱サイクルによる寸法収縮
との間にある上記の様な各関係は、多孔質焼結体の組成
が変動しても、維持されていた。従って、本発明は、前
記したような広範囲の組成を有する複合酸化物からなる
多孔質焼結体に対して、適用できるものである。
【0079】試料番号2─1〜2─7、3─1〜3─
7、4─1〜4─7、5─1〜5─7、6─1〜6─7
の各組成を有する複合酸化物からなる多孔質焼結体の場
合には、本発明で規定した(a/b)の範囲内におい
て、熱サイクル1回当たりの寸法収縮を0.01%以下
に抑えることができた。そして、この場合には、固体電
解質型燃料電池の空気電極として使用した場合に、90
0〜1100°Cの温度と、室温〜600°Cの温度と
の間で加熱−冷却サイクルをかけても、空気電極と他の
構成材料との間でクラックが発生しないことを確認し
た。
【0080】こうした各組成は、前記の各一般式の組成
とは、次の関係にある。試料番号2─1〜2─7は、一
般式(II)において、カルシウムの置換量が20%
(x=0.20)であり、ニッケルの置換量が2%(z
=0.02)である。試料番号3─1〜3─7は、一般
式(II)において、カルシウムの置換量が20%(x
=0.20)であり、ニッケルの置換量が5%(z=
0.05)である。
【0081】試料番号4─1〜4─7は、一般式(II
I)において、カルシウムの置換量が25%(x=0.
25)であり、ネオジムの置換量が30%(Y=0.3
0)である。試料番号5─1〜5─7は、一般式(II
I)において、カルシウムの置換量が25%(x=0.
25)であり、イットリウムの置換量が30%(Y=
0.30)である。試料番号6─1〜6─7は、一般式
(IV)において、カルシウムの置換量が25%(x=
0.25)であり、イットリウムの置換量が30%(Y
=0.30)であり、ニッケルの置換量が2%(z=
0.02)である。即ち、これらはすべて前記した各組
成と本発明との組み合わせの効果をも立証するものであ
る。
【0082】また、本発明者は、表1の試料1─5につ
いて、室温から1000℃まで温度を上昇及び下降さ
せ、熱膨張計によって多孔質焼結体の寸法変化を測定し
た。この結果、寸法の収縮現象は、温度下降時の900
℃〜800℃の温度範囲で起こっていることを突き止め
た。従って、この温度範囲で、酸素原子の吸収や金属原
子の移動が生じているものと推定される。また、本実験
の条件である600℃と1000℃の間での熱サイクル
による結果は、室温と1000℃との間の熱サイクルに
よる結果と同じになる。
【0083】また、試料1─5を、大気中1000℃で
10時間保持し、室温へと降温した後、加熱前と加熱後
との寸法変化率を測定したところ、0.028%の収縮
を示した。一方、表1を見ると、焼成後の10回の熱サ
イクルについて、熱サイクル1回当たりの寸法収縮率は
0.026%であった。
【0084】従って、0.028%の収縮は、熱サイク
ル1回分の寸法収縮量にほぼ相当する。この結果から、
上記した0.028%の寸法収縮は、1000℃で10
時間保持している間に生じたのではなく、1000℃か
ら室温へと下降した降温過程の間に生じたものである。
言い換えると、多孔質焼結体の上記熱サイクルによる収
縮現象は、高温で多孔質焼結体を保持したことによる焼
結の進行とは、全く別の機構によって生じている。
【0085】また、本発明者は、前記した組成1:〔L
0.80Ca0.20a Mnb 3 の多孔質焼結体と、組成
3:〔La0.80Ca0.20a 〔Mn0.95Ni0.05b
3 の多孔質焼結体に関して、(a/b)及び焼成温度を
変更したときに、多孔質焼結体の気孔率がどのように変
化するかを測定した。焼成温度は、1400°C、14
50°C、1500°C及び1550°Cに変更した。
【0086】組成1:〔La0.80Ca0.20a Mnb
3 についての結果を、図6に示す。図6からわかるよう
に、いずれの焼成温度においても、(a/b)が0.9
8以上の範囲内であれば、気孔率の絶対値が比較的に大
きく、かつ(a/b)が変化しても、気孔率の変動は少
ない。
【0087】組成3:〔La0.80Ca0.20a 〔Mn
0.95Ni0.05b 3 についての結果を、図7に示す。
図7からわかるように、いずれの焼成温度においても、
(a/b)が0.98以上の範囲内であれば、気孔率の
絶対値が比較的に大きく、かつ(a/b)が変化して
も、気孔率の変動は少ない。
【0088】また、本発明者は、前記した各組成1、
2、3、4、5、6の各多孔質焼結体に関して、(a/
b)を変更したときに、多孔質焼結体の気孔率がどのよ
うに変化するかを測定した。焼成温度は1550°Cに
固定した。この結果を図8に示す。図8からわかるよう
に、いずれの組成においても、(a/b)が0.98以
上の範囲内であれば、気孔率の絶対値が比較的に大き
く、かつ(a/b)が変化しても、気孔率の変動は少な
い。
【0089】また、本発明者は、前記した各組成1、
2、3、4、5、6の各多孔質焼結体に関して、(a/
b)を変更したときに、多孔質焼結体の1000°Cに
おける電気伝導度がどのように変化するかを測定した。
焼成温度は1550°Cに固定した。この結果を図9に
示す。
【0090】図9からわかるように、(a/b)が1.
015よりも大きくなると、多孔質焼結体の電気伝導度
が急激に低下している。従って、多孔質焼結体の電気伝
導度を高く保持するという観点から、(a/b)を1.
015以下とすることが好ましい。
【0091】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、上
記の複合酸化物からなる多孔質焼結体に対して、900
〜1000℃の温度と、室温〜600℃の温度との間で
加熱─冷却サイクルをかけたときに、多孔質焼結体の寸
法収縮量を顕著に減少させることができる。しかも、複
合酸化物中のランタン及びマンガンの偏析を防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各組成の複合酸化物からなる多孔質焼結体につ
いて、Aサイトの原子の総数をBサイトの原子の総数で
除した値(a/b)と、熱サイクル10回当たりの寸法
収縮との関係を示すグラフである。
【図2】〔La0.80Ca0.20a Mnb 3 の組成の複
合酸化物において、(a/b)=0.960の場合につ
いて、多孔質焼結体のセラミックス組織を示す走査型電
子顕微鏡写真である。
【図3】〔La0.80Ca0.20a 〔Mn0.95Ni0.05
b 3 の組成の複合酸化物において、(a/b)=0.
965の場合について、多孔質焼結体のセラミックス組
織を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】〔La0.80Ca0.20a Mnb 3 の組成の複
合酸化物において、(a/b)=1.029の場合につ
いて、多孔質焼結体のセラミックス組織を示す走査型電
子顕微鏡写真である。
【図5】〔La0.80Ca0.20a 〔Mn0.95Ni0.05
b 3 の組成の複合酸化物において、(a/b)=1.
027の場合について、多孔質焼結体のセラミックス組
織を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】組成1:〔La0.80Ca0.20a Mnb 3
多孔質焼結体に関して、(a/b)及び焼成温度を変更
したときに、多孔質焼結体の気孔率がどのように変化す
るかを示すグラフである。
【図7】組成3:〔La0.80Ca0.20a 〔Mn0.95
0.05b 3 の多孔質焼結体に関して、(a/b)及
び焼成温度を変更したときに、多孔質焼結体の気孔率が
どのように変化するかを示すグラフである。
【図8】各組成1、2、3、4、5、6の各多孔質焼結
体に関して、(a/b)を変更したときに、多孔質焼結
体の気孔率がどのように変化するか示すグラフである。
【図9】各組成1、2、3、4、5、6の各多孔質焼結
体に関して、(a/b)を変更したときに、多孔質焼結
体の1000°Cにおける電気伝導度がどのように変化
するかを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01M 8/02 E 9444−4K 8/12 9444−4K

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ペロブスカイト型の複合酸化物のBサイト
    が少なくともマンガンによって占められている複合酸化
    物からなる多孔質焼結体であって、この複合酸化物のA
    サイトの原子の総数をBサイトの原子の総数で除した値
    が0.97以上、0.993以下であることを特徴とす
    る、多孔質焼結体。
  2. 【請求項2】前記複合酸化物のAサイトの原子の総数を
    Bサイトの原子の総数で除した値が0.98以上であ
    る、請求項1記載の多孔質焼結体。
  3. 【請求項3】室温と1000°Cとの間の熱サイクルに
    よって生ずる前記多孔質焼結体の寸法収縮が、この熱サ
    イクル1回当たり0.01%以下である、請求項1又は
    2記載の多孔質焼結体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の
    多孔質焼結体によって空気極が形成されていることを特
    徴とする、固体電解質型燃料電池。
  5. 【請求項5】前記空気極が自己支持型の空気極であるこ
    とを特徴とする、請求項4記載の固体電解質型燃料電
    池。
  6. 【請求項6】ペロブスカイト型の複合酸化物のBサイト
    が少なくともマンガンによって占められている複合酸化
    物からなる多孔質焼結体であって、この複合酸化物のA
    サイトの原子の総数をBサイトの原子の総数で除した値
    が1.008以上、1.02以下であることを特徴とす
    る、多孔質焼結体。
  7. 【請求項7】前記複合酸化物のAサイトの原子の総数を
    Bサイトの原子の総数で除した値が1.015以下であ
    る、請求項6記載の多孔質焼結体。
  8. 【請求項8】室温と1000°Cとの間の熱サイクルに
    よって生ずる前記多孔質焼結体の寸法収縮が、この熱サ
    イクル1回当たり0.01%以下である、請求項6又は
    7記載の多孔質焼結体。
  9. 【請求項9】請求項6〜8のいずれか1つの項に記載の
    多孔質焼結体によって空気極が形成されていることを特
    徴とする、固体電解質型燃料電池。
  10. 【請求項10】前記空気極が自己支持型の空気極である
    ことを特徴とする、請求項9記載の固体電解質型燃料電
    池。
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