JPH08259345A - 多孔質焼結体の製造方法 - Google Patents

多孔質焼結体の製造方法

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JPH08259345A
JPH08259345A JP7069322A JP6932295A JPH08259345A JP H08259345 A JPH08259345 A JP H08259345A JP 7069322 A JP7069322 A JP 7069322A JP 6932295 A JP6932295 A JP 6932295A JP H08259345 A JPH08259345 A JP H08259345A
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JP
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porosity
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JP7069322A
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Shinji Kawasaki
真司 川崎
Hirotake Yamada
裕丈 山田
Yoshihiro Ito
義弘 伊藤
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NGK Insulators Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B38/00Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof

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Abstract

(57)【要約】 【目的】ペロブスカイト型複合酸化物からなる多孔質焼
結体において、その気孔率を一定値以上に保持しつつ、
強度を顕著に向上させることである。 【構成】ペロブスカイト複合酸化物からなる多孔質焼結
体の焼結が進行する第一の温度範囲よりも低温側に、熱
処理によって多孔質焼結体が相対的に安定な第二の温度
範囲があり、この第二の温度範囲よりも低温側に、熱処
理によって多孔質焼結体の気孔率が減少する第三の温度
範囲がある多孔質焼結体を、第三の温度範囲内で熱処理
する。好ましくは、多孔質焼結体を第三の温度範囲内の
所定温度で5時間以上熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体電解質型燃料電池
(SOFC)の空気電極としてきわめて好適な多孔質焼
結体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】SOFCの開発事業においては、高温で
安定な材料の探索が重要である。SOFCの空気電極の
材料としては、現在、ランタンマンガナイト焼結体が有
望と見られている(エネルギー総合工学、13、2、5
2〜68頁、1990年)。こうしたランタンマンガナ
イト焼結体においては、ほぼ化学量論的組成のものや、
Aサイト(ランタン部位)が一部欠損した組成のもの
(マンガンリッチな組成)が知られている。特に、Aサ
イトにCa、Srをドープしたランタンマンガナイトか
らなる多孔質焼結体が空気電極の材料として有望視され
ている。
【0003】即ち、固体電解質型燃料電池の発電温度
は、通常1000°C近辺である。そして、固体電解質
型燃料電池の実現の鍵を握っているのは、高温で長時間
安定した出力を得るという要請から、特に高温でのセラ
ミックスの強度、安定性、信頼性を、高いレベルで維持
することである。特に、最近SOFCの支持体の上に空
気電極を形成するのではなく、空気電極自体に支持体と
しての強度を付与し、この空気電極の表面に、直接固体
電解質膜および燃料電極膜を形成することが行われてい
る。これによって、SOFCの単電池の部品点数を減少
させ、構造を簡略化することができる。
【0004】一例を挙げると、例えば、円筒型セル(エ
ネルギー総合工学13−2、1990年) においては、
構造上強度のある円筒型の空気電極材料からなる支持体
を用いている。そして、この円筒型空気電極の片端を封
じた構造にし、この円筒型空気電極の表面に固体電解質
膜および燃料電極膜を順次形成して単電池を製造する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような空
気電極材料としての多孔質焼結体に対しては、次の問題
がある。即ち、SOFCにおいては、空気電極内に空気
等の酸化ガスを透過させ、空気電極内を透過した酸化ガ
ス中の酸素を固体電解質との界面でイオン化する。従っ
て、空気電極の気孔率をできる限り増大させることによ
って、空気電極内の酸化ガスの通気性を向上させる必要
がある。この一方、前記したように空気電極を支持体と
して使用するためには、空気電極に高い強度を付与する
ことが必要である。
【0006】しかし、多孔質焼結体の気孔率を増大させ
ると、それだけ強度が低下してくるという二律背反が存
在しているために、これらの要求を満足させることは困
難であった。別の側面から見ると、同じ材質および同じ
気孔率を有する多孔質焼結体は、いずれもほぼ同程度の
強度しか得られないことが多かった。
【0007】本発明の課題は、ペロブスカイト型複合酸
化物からなる多孔質焼結体において、その気孔率を一定
値以上に保持しつつ、その強度を向上させることであ
り、または、その強度を一定値以上に保持しつつ、その
気孔率を大きくできるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ペロブスカイ
ト型複合酸化物からなる多孔質焼結体であって、この多
孔質焼結体の焼結が進行する第一の温度範囲よりも低温
側に、熱処理に対して多孔質焼結体が相対的に安定な第
二の温度範囲があり、この第二の温度範囲よりも低温側
に、熱処理によって多孔質焼結体の気孔率が減少する第
三の温度範囲がある多孔質焼結体を、第三の温度範囲内
で熱処理することを特徴とする、多孔質焼結体の製造方
法に係るものである。
【0009】
【作用】本発明者は、ランタンマンガナイトからなる多
孔質焼結体の物性について種々検討を重ねているうち
に、次の現象を発見した。即ち、SOFCの空気電極を
構成する材料である多孔質焼結体の材質としては、La
0.8 Ca0.2 MnO 3 、La0.9 Sr0.1 MnO3 とい
った組成を有するランタンマンガナイトが一般的であっ
た。なぜなら、これらの組成のランタンマンガナイト
は、SOFCの作動温度である1000℃付近において
長時間保持しても、焼結による気孔率の低下を生じず、
きわめて安定である考えられてきたからである。
【0010】ところが、この多孔質焼結体を800°C
付近で長時間保持すると、かなり大きな寸法の収縮や気
孔率の低下が見られることが判明してきた。この寸法収
縮率は、例えば上記の各多孔質焼結体を800℃で10
0時間保持したときには、最大で0.06〜0.09%
程度にも達することが判明した。
【0011】更に研究を進めると、600℃〜900℃
の温度範囲で、特にこの気孔率の低下が顕著であること
が判った。しかし、900℃〜1000℃の温度範囲に
おいても、気孔率の低下現象が僅かに存在していた。こ
れに対して、1000℃〜1100℃の温度範囲におい
ては、こうした現象が見られなかった。また、1100
℃を越えると、また気孔率の低下が見られるようになる
が、これは通常の焼結現象であり、1200℃を越える
とこの焼結現象がきわめて顕著となり、1250℃では
気孔率の急速な低下が見られた。
【0012】また、700℃〜900℃の温度範囲にお
いて、前記の気孔率の低下現象がもっとも顕著であっ
た。600℃以下の温度範囲においては、再びこのよう
な気孔率の上昇は見られなくなった。
【0013】この気孔率の低下現象は、通常の焼結現象
が生ずる温度範囲、即ち、この組成の多孔質焼結体にお
いては1200℃〜1600℃程度よりも、はるかに低
温側にあり、しかも1100℃〜1000℃の温度範囲
では気孔率の低下現象は見られないのにも係わらず、こ
れよりも低温側である700℃〜900℃の温度範囲で
再び気孔率の低下現象が見られるという点で、いわゆる
焼結現象の機構によって説明できない新しい現象であっ
た。このため、本発明者は、特願平5─73974号明
細書において、こうした現象の発見を開示した。
【0014】しかし、本発明者は、この後に更に検討を
進め、多孔質焼結体を例えば800℃で長時間保持し
て、その気孔率を低下させる実験を行った。この結果、
こうした低温領域における熱処理によっては、気孔率は
僅かしか低下しないのにも係わらず、多孔質焼結体の強
度の向上率がきわめて大きいことを発見した。
【0015】例えば、La0.8 Ca0.2 MnO3 、La
0.9 Sr0.1 MnO3 といった組成を有するランタンマ
ンガナイトからなる多孔質焼結体を1300℃以上の温
度で焼結させて多孔質焼結体を得たとき、その焼成温度
を高くすると、多孔質焼結体の焼結が一層進行するの
で、得られた多孔質焼結体の気孔率が低下する。この
際、本発明においては、目的とする気孔率が例えば3
2.0%であるとすると、例えば32.5%といったよ
うに、32.0%よりも大きい気孔率を有する多孔質焼
結体をまず焼結によって製造し、この多孔質焼結体を上
記の熱処理に供することによって、多孔質焼結体の気孔
率を若干低下させ、目的とする32.0%とする。
【0016】この際、最初から高温での焼結によって多
孔質焼結体を製造したとき、その気孔率が32.0%の
場合と32.5%の場合とは、ほとんどその強度には相
違がない。しかし、本発明による熱処理を多孔質焼結体
に対して施すことによって、多孔質焼結体を若干収縮さ
せると、多孔質焼結体の強度は、通常の気孔率の上昇か
ら予想される強度をはるかに越えて、向上することが判
明した。
【0017】この理由は明白ではないが、上記の熱処理
によって、多孔質焼結体の微構造が、単なる気孔率の数
値に現れる以上に大きく変化しているものと考えられ
る。おそらく、微視的に見て、多孔質焼結体を構成する
粒子と各粒子を結合しているネック部分との形状が変化
しているものと考えられる。
【0018】更に、本発明者は研究を進め、各種のペロ
ブスカイト型複合酸化物についても、上記の現象が基本
的には発生していることを見いだした。即ち、多孔質焼
結体の焼結が進行する第一の温度範囲よりも低温側に、
熱処理に対して多孔質焼結体が相対的に安定な第二の温
度範囲があり、この第二の温度範囲よりも低温側に、熱
処理によって多孔質焼結体の気孔率が減少する第三の温
度範囲があった。むろん、多孔質焼結体の気孔率の減少
の度合いは、各多孔質焼結体の組成によって異なり、あ
る系の組成を有する多孔質焼結体は上記の熱処理によっ
ては、ほとんど収縮しないし、別の系を組成を有する多
孔質焼結体は、上記の熱処理によってかなり収縮する。
【0019】また、多孔質焼結体の強度を顕著に向上さ
せるためには、多孔質焼結体を第三の温度範囲内で5時
間以上熱処理することが好ましく、50時間以上熱処理
することが更に好ましい。また、この熱処理時間が10
00時間を越えると、ほとんど気孔率および強度の変化
は見られなくなるので、1000時間以下とすることが
好ましい。
【0020】また、第三の温度範囲内の低温側と、第三
の温度範囲内の高温側または第二の温度範囲との間で、
多孔質焼結体の熱処理温度の上昇と下降とを交互に繰り
返して実施することができる。これは、例えば、600
℃〜700℃の温度範囲と、900℃〜1000℃また
は1000℃〜1100℃の温度範囲との間で、温度の
上昇と下降とを繰り返すことを意味している。
【0021】また、上記の熱処理を実施する際には、多
孔質焼結体の成形体を所定温度で焼成し、次いで多孔質
焼結体の温度を室温に降下させることなく、所定温度か
らの温度降下の過程で熱処理に供することが好ましい。
これによって、熱処理に必要な時間とエネルギーとを低
減させることができる。
【0022】なお、多孔質焼結体の焼成温度は、通常は
1300℃以上であるが、この場合には、第二の温度範
囲は約1000℃〜1100℃であり、第三の温度範囲
は約600℃〜1000℃である。この場合、前記熱処
理は600℃〜1000℃で実施するが、700℃〜9
00℃で実施することが好ましい。更に、750℃〜8
50℃の温度範囲では、特に短時間の熱処理で大きな強
度の向上を達成することができた。
【0023】
【実施例】本発明で前記熱処理を行う多孔質焼結体を構
成する複合酸化物の組成について、説明する。この複合
酸化物の組成は、特に限定されるわけではないが、複合
酸化物のAサイトに、セリウムを除く希土類、アルカリ
土類及びイットリウムからなる群より選ばれた1種以上
の金属原子が含有されており、Bサイトにマンガンが含
有されている組成が好ましい。
【0024】好ましい態様においては、複合酸化物のA
サイトに、セリウムを除く希土類、アルカリ土類及びイ
ットリウムからなる群より選ばれた1種以上の第一の金
属原子と、カルシウム及びストロンチウムからなる群よ
り選ばれた一種以上の第二の金属原子とが含有されてお
り、Aサイトにおけるこの第二の金属原子の含有割合が
25%以下である。この複合酸化物は、次の一般式
(I)の組成を有するものが好ましい。
【0025】
【化1】R1-X X MnO3 (I)
【0026】ここで、R、Aが複合酸化物のAサイトを
占め、Mnが複合酸化物のBサイトを占める。Rは、セ
リウムを除く希土類及びイットリウムからなる群より選
ばれた1種以上の第一の金属原子である。Aは、カルシ
ウム及びストロンチウムからなる群より選ばれた1種以
上の第二の金属原子である。xは、第二の金属原子Aの
含有割合であり、25%以下であり(xは0.25以
下)、20%以下とすることが更に好ましい。
【0027】「セリウムを除く希土類及びイットリウム
からなる群」とは、イットリウム、ランタン、プラセオ
ジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピ
ウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホ
ルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ル
テチウムからなる群である。この群は、更に、ランタ
ン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ジスプロシ
ウム、ガドリニウム、イットリウムからなる群であるこ
とが好ましい。また、Rのうち少なくとも一種がランタ
ンであることが、特に好ましい。
【0028】xが0.20以下の範囲内では、本発明の
効果が特に大きい。しかし、xが小さくなると、多孔質
焼結体の電気伝導度が低下してくるので、多孔質焼結体
を導電性材料として使用する場合には、xを0.05以
上とすることが好ましく、0.10以上とすることが更
に好ましい。
【0029】また、上記の組成において、更にBサイト
の一部をマンガン以外の金属元素によって置換すること
もできる。即ち、次の一般式(II)の組成を有する複
合酸化物も好ましい。
【0030】
【化2】R1-X X Mn1-Z z 3 (II)
【0031】ここで、R、Aは、前記したものと同じで
ある。Eは、アルミニウム、コバルト、銅、マグネシウ
ム、クロム、ニッケル、鉄、チタン及び亜鉛からなる群
より選ばれた一種以上の第三の金属原子である。
【0032】多孔質焼結体を導電性材料として使用する
場合には、多孔質焼結体の電気伝導度を向上させるため
に、xを0.05以上とすることが好ましく、0.10
以上とすることが更に好ましい。
【0033】(z+x)を0.25以下とすることによ
って、本発明による効果を一層顕著に奏することができ
る。(z+x)が0.25を越えた場合であっても、本
発明の効果を奏することは可能であるが、ただし多孔質
焼結体が第三の温度範囲内での熱処理によって収縮しに
くいので、熱処理時間を長くすることが要求される。こ
の観点からは、更に(z+x)を0.20以下とするこ
とが好ましい。
【0034】なお、複合酸化物は非化学量論的組成をと
りうるので、多孔質焼結体の製造工程において不可避的
に混入する若干の不純物に由来する複合酸化物の組成変
動は、許容される。
【0035】本発明において熱処理するべき多孔質焼結
体の製造方法は、特に限定されない。しかし、好ましく
は、目的とする組成の複合酸化物の原料粉末を混合して
混合粉末を製造し、この混合粉末を成形し、この成形体
を焼成して合成物を製造し、この合成物を粉砕する。こ
の際には、複合酸化物の原料粉末の混合比率を変更する
ことにより、複合酸化物における各金属原子の比率を制
御する。
【0036】成形体の焼成温度は、1300°C〜16
00°Cとすることが好ましい。焼成温度を1300°
C未満とすると、焼結が完全に完了しない。1600°
Cよりも高くすると、焼結体の組織が緻密になりすぎ
る。これは、1400℃以上とすることが更に好まし
い。ただし、例えば合成物の粉末の平均粒径を極度に小
さくすることによって、1300℃以下の温度でもこの
合成物の粉末が十分に焼結するようにもできる。
【0037】本発明によって得た多孔質焼結体は、特
に、耐熱性電極として好ましく使用できる。こうした耐
熱性電極としては、核融合炉、MHD発電等における電
極材料がある。
【0038】また、本発明によって得た多孔質焼結体
は、SOFC用の空気極材料として好適に使用でき、更
に、自己支持型の空気電極基体の材料として特に好適に
使用できる。こうした空気電極基体は、単電池の母材と
して用いられるものであり、空気電極基体上に、固体電
解質膜、燃料電極膜、インターコネクター、セパレータ
などの各構成部分が積層される。この際、空気電極基体
の形状は、両端が開口した円筒形状、一端が開口し、他
端が閉塞された有底円筒形状、平板形状などであってよ
い。このうち、上記したいずれかの円筒形状のものが、
熱応力がかかりにくく、ガスシールが容易なので、特に
好ましい。
【0039】多孔質焼結体の気孔率は、5〜40%とす
ることが好ましい。また、これをSOFC用の空気極材
料として用いる場合には、更に気孔率を15〜40%と
することが好ましく、25〜35%とすると一層好まし
い。この場合は、空気極の気孔率を15%以上とするこ
とで、ガス拡散抵抗を小さくし、気孔率を40%以下と
することで、強度を向上させることができる。
【0040】以下、更に具体的な実験結果について説明
する。 〔実験A:多孔質焼結体の熱処理による気孔率および強
度の向上〕 (実験用試料の製造)出発原料として、La2 3 、C
aCO3 、SrCO3 、Mn3 4 の各粉末を使用し
た。表1に示す各複合酸化物の組成比率となるように各
粉末を秤量し、混合した。この混合粉末を、コールドア
イソスタティックプレス法により、1tf/cm2 の圧
力で成形し、成形体を作製した。この成形体を、大気
中、1500℃で15時間熱処理し、各組成の複合酸化
物を合成した。
【0041】この合成体をトロンメルで8〜12時間粉
砕し、平均粒径2〜6μmの合成粉末を作製した。次
に、この合成粉末に、水と、有機バインダーとしてのア
クリル系バインダーを加え、混合し、水分40%のスラ
リーを調製し、スプレードライヤーで造粒した。その
後、この造粒粉末と、増孔剤としてのアクリルパウダー
とを乾式混合し、コールドアイソスタティックプレス法
により、1tf/cm2 の圧力で成形して、外径20m
m、内径15mmの円管形状の成形体を製造し、この管
状成形体を1300°C〜1600°Cで5時間焼成
し、環状の多孔質焼結体を得た。この多孔質焼結体か
ら、長さ10mmの管状試料を切り出した。
【0042】(熱処理前の多孔質焼結体の特性の測定)
表1に示す各複合酸化物の組成について、各多孔質焼結
体を、それぞれ乳鉢を使用して粉砕し、粉末法にてX線
回折測定を行った。この結果、各多孔質焼結体の各回折
パターンは、ほぼ同じであり、かつ単一相を示してい
た。これらのX線回折パターンからみて、各多孔質焼結
体において、カルシウム及びストロンチウムは、それぞ
れ確かに複合酸化物の結晶中に固溶していた。
【0043】また、各多孔質焼結体の気孔率を、水置換
法によって測定し、表1に「熱処理前の気孔率」として
表示した。また、各管状試料について、特開平2−29
3384号公報に記載の方法に従って圧環強度を測定
し、表1に「熱処理前の強度」として表示した。
【0044】(熱処理後の多孔質焼結体の特性の測定)
表1に示す各組成の複合酸化物からなる各管状試料につ
いて、それぞれ800℃で100時間熱処理し、各多孔
質焼結体を得た。これらの管状の各多孔質焼結体につい
て、それぞれ気孔率と圧環強度とを測定し、表1に示し
た。
【0045】
【表1】
【0046】表1からわかるように、800℃での熱処
理を長時間継続することによって、各管状試料とも、気
孔率が若干減少すると共に、その圧環強度がそれぞれ顕
著に増大していた。特に、熱処理後の各多孔質焼結体に
ついて、気孔率の減少から予想されるよりも、圧環強度
の増大の方がはるかに顕著である。
【0047】〔実験B:多孔質焼結体の熱処理温度と圧
環強度との関係〕実験Aと同様にして、La0.90Sr
0.10MnO3 の組成を有する複合酸化物からなる多孔質
焼結体を製造した。この気孔率は32.0%であった。
この多孔質焼結体から、実験Aと同様にして管状試料を
切り出し、この管状試料を、表2に示す各熱処理温度で
100時間熱処理し、管状の多孔質焼結体を得た。これ
らの各多孔質焼結体について、圧環強度および気孔率を
測定し、表2に示した。
【0048】
【表2】
【0049】この結果からわかるように、1200℃、
1300℃、1400℃で熱処理したときには、気孔率
および圧環強度共にかなり大きく向上した。しかし、こ
れは焼結による気孔率の向上によって、圧環強度が向上
したものであり、いずれも気孔率の上昇率が大きい。こ
れに対して、1100℃で熱処理を行ったときには、気
孔率の上昇率が小さく、かつ圧環強度の向上も小さい。
これは、焼結が顕著に進行する温度が1200℃以上の
領域にあることを示している。また、1100℃での気
孔率の僅かな上昇も、この焼結によるものである。
【0050】一方、この安定領域よりも低温側では、1
000℃で熱処理すると1100℃で熱処理したときよ
りも、ごく僅かに気孔率が低下しており、かつ圧環強度
がかなり顕著に向上していることが判る。通常の焼結現
象であれば、1100℃で熱処理したときの方が、圧環
強度が向上するはずである。この熱処理による圧環強度
の向上は、600℃〜1000℃の温度範囲内で観察す
ることができたが、特に熱処理温度が700℃〜900
℃のときにきわめて顕著であり、800℃のときが最大
である。熱処理温度が400℃、500℃のときには、
100時間後でも気孔率、圧環強度ともにほとんど変化
していない。
【0051】特に注目されるのは、600℃〜1000
℃の温度範囲内で熱処理したときには、気孔率の減少割
合はきわめて小さいのにもかかわらず、圧環強度の向上
割合は非常に顕著なことである。これは、単なる気孔率
の向上以上に、多孔質焼結体の内部微構造が大きく変化
していることを意味している。
【0052】〔実験C:多孔質焼結体の熱処理時間と圧
環強度との関係〕実験Aと同様にして、La0.90Sr
0.10MnO3 の組成を有する複合酸化物からなる多孔質
焼結体を製造した。この気孔率は32.0%であった。
この多孔質焼結体から、実験Aと同様にして管状試料を
切り出し、この管状試料を800℃で熱処理し、管状の
多孔質焼結体を得た。ただし、各管状試料の熱処理時間
は、表3に示すように変更した。これらの各多孔質焼結
体について、圧環強度を測定し、表3に示した。
【0053】
【表3】
【0054】この結果からわかるように、800℃での
熱処理を5時間以上継続すると、特に圧環強度が顕著に
向上する。この熱処理時間が10時間を越えると、これ
から50時間までは圧環強度がほぼ一定であるが、これ
が50時間を越えると、再び顕著に圧環強度が向上して
いることがわかる。この熱処理時間が100時間を越え
ると、圧環強度にほとんど変化が見られなくなる。これ
は、多孔質焼結体の内微構造の変化が、ある程度以上時
間が経過すると飽和してくることを意味している。
【0055】〔実験D:多孔質焼結体の気孔率を一定に
したときの圧環強度〕実験Aと同様にして、La0.90
0.10MnO3 の組成を有する複合酸化物からなる多孔
質焼結体を製造した。この多孔質焼結体から、実験Aと
同様にして管状試料を切り出し、この管状試料を、表4
に示す各熱処理温度で、表4に示す各熱処理時間の間、
熱処理し、管状の多孔質焼結体を得た。ただし、熱処理
後の各多孔質焼結体の気孔率が約32.0%となるよう
に、各多孔質焼結体の気孔率を調整した。むろん、各多
孔質焼結体を熱処理に供したときの各多孔質焼結体の気
孔率の減少の度合いは、実験A〜Cに示したような各実
験結果から算出することができた。これらの各多孔質焼
結体について圧環強度を測定し、表4に示した。
【0056】
【表4】
【0057】この結果からわかるように、1200℃で
熱処理した場合は、通常の焼結によって得た多孔質焼結
体であって同じ気孔率のものと、同程度の圧環強度しか
ない。熱処理温度が1100℃の場合には、気孔率自体
が熱処理の前後でほとんど変化しない。熱処理温度が1
000℃の場合には、若干は気孔率の低下が見られ、か
つ多孔質焼結体の圧環強度が向上している。そして、熱
処理温度が、600℃〜1000℃の温度範囲内では、
こうした圧環強度の向上が見られ、特に熱処理温度が7
00℃〜900℃のときに圧環強度の向上がきわめて顕
著であり、800℃のときが最大であった。熱処理温度
が400℃、500℃のときには、多孔質焼結体の圧環
強度は、熱処理温度が1200℃の場合と大差ない。
【0058】このように、本発明によって、第三の温度
範囲である600℃〜1000℃の温度範囲内で多孔質
焼結体を長時間熱処理することによって、多孔質焼結体
を製造すると、多孔質焼結体の気孔率の減少の度合いよ
りも、その圧環強度等の強度の向上の度合いの方が、き
わめて顕著であることがわかる。
【0059】〔実験E:SOFCの空気電極の製造およ
び発電実験〕実験Aと同様にして、管状の多孔質焼結体
を製造した。ただし、この組成は、La0.90Sr0.10
nO3 とし、多孔質焼結体の気孔率は32.4%とし、
これを800℃で1000時間熱処理することによっ
て、気孔率32.0%の多孔質焼結体を製造した。ま
た、この多孔質焼結体の寸法は、直径20mm、長さ5
0mmとし、その一方の端部に有底部を形成した。この
多孔質焼結体、即ち空気電極の表面に、8mol%イッ
トリア安定化ジルコニアからなる厚さ150μmの固体
電解質膜を形成し、この固体電解質膜の上に、ニッケル
─ジルコニアサーメットからなる燃料電極膜を形成し
た。
【0060】この単電池を試験装置内に設置し、室温か
ら200°C/時間の速度で1000°Cまで昇温さ
せ、1000°Cの温度で保持した。単電池の内部空間
に空気を導入し、外側に水素ガスを導入した。そして、
正常に発電が行われることを確認した。
【0061】〔実験F〕また、La0.80Ca0.20MnO
3 、La0.80Ca0.20Mn0.95Ni0.053 の組成を有
する複合酸化物からなる多孔質焼結体について、実験
B、C、DおよびEと同様の実験を行った結果、これら
と同様の結果を得た。
【0062】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ペ
ロブスカイト型複合酸化物からなる多孔質焼結体におい
て、その気孔率を一定値以上に保持しつつ、強度を顕著
に向上させることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ペロブスカイト型複合酸化物からなる多孔
    質焼結体であって、この多孔質焼結体の焼結が進行する
    第一の温度範囲よりも低温側に、熱処理に対して前記多
    孔質焼結体が相対的に安定な第二の温度範囲があり、こ
    の第二の温度範囲よりも低温側に、熱処理によって前記
    多孔質焼結体の気孔率が減少する第三の温度範囲がある
    多孔質焼結体を、前記第三の温度範囲内で熱処理するこ
    とを特徴とする、多孔質焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記多孔質焼結体を前記第三の温度範囲内
    の所定温度で5時間以上熱処理することを特徴とする、
    請求項1記載の多孔質焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記第三の温度範囲内の低温側と、前記第
    三の温度範囲内の高温側または前記第二の温度範囲との
    間で、前記多孔質焼結体の熱処理温度の上昇と下降とを
    交互に繰り返して実施することを特徴とする、請求項1
    記載の多孔質焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記多孔質焼結体の成形体を所定温度で焼
    成し、次いで多孔質焼結体の温度を室温に降下させるこ
    となく前記熱処理に供することを特徴とする、請求項1
    〜3のいずれか一つの請求項に記載の多孔質焼結体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】前記多孔質焼結体の焼成温度が1300℃
    以上であり、前記第三の温度範囲が600℃〜1000
    ℃であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一
    つの請求項に記載の多孔質焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記第三の温度範囲が700℃〜900℃
    であることを特徴とする、請求項5記載の多孔質焼結体
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009224186A (ja) * 2008-03-17 2009-10-01 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 固体酸化物形燃料電池用空気極材料の製造方法
JP2015201440A (ja) * 2014-03-31 2015-11-12 Dowaエレクトロニクス株式会社 燃料電池空気電極用複合酸化物粉末とその製造方法、燃料電池空気電極並びに燃料電池

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