JP2591897B2 - 多孔質焼結体及び固体電解質型燃料電池 - Google Patents

多孔質焼結体及び固体電解質型燃料電池

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JP2591897B2
JP2591897B2 JP5073974A JP7397493A JP2591897B2 JP 2591897 B2 JP2591897 B2 JP 2591897B2 JP 5073974 A JP5073974 A JP 5073974A JP 7397493 A JP7397493 A JP 7397493A JP 2591897 B2 JP2591897 B2 JP 2591897B2
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    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔質焼結体及びこれ
を空気極材料として用いた固体電解質型燃料電池に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解質型燃料電池(SOFC)は、1000℃
の高温で作動するために電極反応が極めて活発で、高価
な白金などの貴金属触媒を全く必要とせず、分極が小さ
く、出力電圧も比較的高いため、エネルギー変換効率が
他の燃料電池にくらべて著しく高い。更に、構造材はす
べて固体から構成されるため、安定かつ長寿命である。
【0003】SOFCの開発事業においては、高温で安定な
材料の探索が重要である。SOFCの空気極材料としては、
現在、ランタンマンガナイト焼結体が有望と見られてい
る(エネルギー総合工学、13、2、52〜68頁、1990
年)。こうしたランタンマンガナイト焼結体において
は、ほぼ化学量論的組成のものやAサイト(ランタン部
位)が一部欠損した組成のもの(マンガンリッチな組
成)も知られている。また、Aサイトが一部欠損した組
成のランタンマンガナイト焼結体は、室温から1000℃へ
と温度が上昇すると、重量が減少することが報告されて
いる(J.Electrochem.Soc.138,5,1519 〜1523頁,199
1 年)。この場合は、800 ℃近辺から焼結体の重量が減
少し始めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特に、AサイトにC
a、Srをドープしたランタンマンガナイトからなる多
孔質焼結体が、自己支持型の空気極管を含む空気極の材
料として有望視されている。ところが、こうした多孔質
焼結体について、次の問題があることを、本発明者が初
めて発見した。
【0005】即ち、SOFCの発電温度である 900〜1100℃
の温度と、室温〜600 ℃の温度との間で加熱−冷却サイ
クルをかけると、上記の多孔質焼結体からなる空気極管
と、単電池の他の構成材料との間でクラックが発生し、
単電池の破壊が生ずることが判明した。しかも、この単
電池を1000℃で長時間動作させても、このようなクラッ
クは全く発生しなかった。従って、この現象は、上記の
多孔質焼結体の焼成収縮によるものではなく、上記の熱
サイクルによる寸法変化に起因するものと考えられた。
【0006】本発明の課題は、上記の熱サイクルに対す
る安定性をランタンマンガナイト多孔質焼結体に付与す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルカリ土類
及び希土類からなる群より選ばれる金属原子によってA
サイトのランタン原子の一部が置換されているランタン
マンガナイトからなる多孔質焼結体であって、1000℃に
おける重量を室温における重量で除した値が0.9988以
上、1.0000以下であり、室温と1000℃との間の熱サイク
ルによって生ずる寸法収縮が熱サイクル1回当たり0.01
%以下であることを特徴とする、多孔質焼結体に係るも
のである。
【0008】ここで、「アルカリ土類及び希土類からな
る群より選ばれる金属原子」は、ランタンマンガナイト
のAサイトのランタン原子の一部を置換するものであ
り、スカンジウム、イットリウム、セリウム、プラセオ
ジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピ
ウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホ
ルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ル
テチウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラ
ジウムから選択する。
【0009】
【作用】本発明者は、 900〜1100℃の温度と、室温〜60
0 ℃の温度との間で、AサイトにCa、Sr等をドープ
したランタンマンガナイトからなる多孔質焼結体に対し
て加熱−冷却サイクルをかけ、その安定性を試験してみ
た。この結果、上記の多孔質焼結体が熱サイクル1回当
り0.01〜0.1 %程度収縮することが判明した。しかも、
この熱サイクルによる収縮は、100 回の熱サイクルをか
けても収束せず、100 回の熱サイクルで数%にも及ぶこ
とが判明した。このように空気極が収縮すると、単電池
の他の構成材料との間でクラックが発生し、単電池の破
壊の原因となる。
【0010】本発明者は、かかる知見に立って更に研究
を進めた結果、ランタンマンガナイトからなる多孔質焼
結体において、室温と1000℃との間の熱サイクルによっ
て生ずる寸法収縮を熱サイクル1回当たり0.01%以下に
すれば、空気極と他の構成材料との間でクラックが発生
しないことを発見した。
【0011】更に、本発明者は、上記の熱サイクルに伴
なう多孔質焼結体の寸法収縮が生ずる機構などについ
て、研究を進めた。この結果、1000℃における重量を室
温における重量で除した値を0.9988以上とすると、上記
の寸法収縮が顕著に抑制されることを見出した。即ち、
室温から1000℃程度の高温に多孔質焼結体を昇温する
と、多孔質焼結体に重量減少が見られ、この重量減少
が、上記の熱サイクルによる寸法収縮と明確な相関を有
していた。
【0012】上記の現象の機構は、現時点では明らかで
はない。しかし、室温から1000℃程度まで温度上昇させ
ると多孔質焼結体の重量が僅かに減少し、再び室温に温
度降下させると、この重量が元に戻る。また、多孔質焼
結体の上記熱サイクルに伴なう寸法収縮量は、焼結体を
構成する結晶粒径、熱サイクル時の昇降温速度、雰囲気
中の酸素分圧によって、若干異なってくる。即ち、結晶
粒径が小さいほど、昇降温速度が小さいほど、雰囲気中
の酸素分圧が高いほど、多孔質焼結体の寸法収縮が大き
いことが判った。なお、熱サイクルに伴なう寸法収縮量
を低下させるためには、多孔質焼結体の平均結晶粒径を
3μm以上とすることが好ましい。
【0013】これらのことから、上記の熱サイクルに伴
って800 ℃以上の温度域で酸素がランタンマンガナイト
結晶中に出入りし、これにより多孔質焼結体の重量変化
が生ずるものと推定される。こうした酸素の出入りに伴
って結晶格子が歪み、金属原子の物質移動が促進され、
多孔体の焼結現象が進行するものと考えられる。
【0014】また、本発明者は、更に研究を進めた結
果、多孔質焼結体の電気伝導度の活性化エネルギー(以
下、活性化エネルギーと記す)が、上記の熱サイクルに
よる寸法収縮と明確な相関を有していることを見出し
た。即ち、200 ℃〜1000℃の広範囲に亘ってアレニウス
プロットを作成してみると、200 〜600 ℃の範囲におけ
る活性化エネルギーと900 〜1000℃の範囲における活性
化エネルギーとの差が明確に現われた多孔質焼結体にお
いては、熱サイクル寸法収縮が進行することが判明し
た。
【0015】更に具体的には、200 ℃〜600 ℃の範囲に
おける活性化エネルギーと900 ℃〜1000℃の範囲におけ
る活性化エネルギーとの差を0.01eV以下にすると、室温
と1000℃との間の熱サイクルによって生ずる寸法収縮を
熱サイクル1回当り0.01%以下に抑制できることが明ら
かになった。
【0016】このように、 200℃〜 600℃の範囲と、 9
00℃〜1000℃の範囲とで、活性化エネルギーに差が生ず
る理由も明確ではないが、上記したような、熱サイクル
による酸素の結晶中への出入りに伴なって、ペロブスカ
イト構造の結晶格子が歪むものと考えられる。
【0017】200 ℃〜600 ℃の範囲における活性化エネ
ルギーと900 ℃〜1000℃の範囲における活性化エネルギ
ーとの差を0.01eV以下とするには、また、多孔質焼結体
の1000℃における重量を室温における重量で除した値を
0.9988以上にするには、例えば、カルシウムの置換量を
Aサイトの25%以上、35%以下にするか、ストロンチウ
ムの置換量をAサイトの20%以上、40%以下にすること
が有効である。カルシウムの置換量をAサイトの20%以
下にした場合及びストロンチウムの置換量をAサイトの
15%以下にした場合には、アルミニウム、マグネシウ
ム、コバルト及びニッケルからなる群より選ばれる金属
で、Bサイトのマンガン原子の一部を置換することが有
効である。この場合の置換量は、2〜20%とすると好ま
しく、5〜20%とすると更に好ましい。
【0018】「寸法収縮が熱サイクル1回当たり0.01%
以下である」とは、多孔質焼結体を焼結させた後、最初
の熱サイクルから10回目の熱サイクルまでの各寸法収縮
の平均値を指すものとする。本発明の多孔質焼結体にお
いては、製造工程でランタンマンガナイト中に混入する
不可避的不純物の存在も許容される。
【0019】本発明の多孔質焼結体は、特に、熱サイク
ルに対して安定な高温電極材料として好ましく使用でき
る。こうした高温電極材料としては、核融合炉、MHD 発
電等における電極材料がある。また、本発明の多孔質焼
結体は、SOFC用の空気極材料として、特に好適に使用で
きる。更に、自己支持型の空気極基体の材料として用い
ることが好ましい。
【0020】こうした空気極基体は、単電池の母体とし
て用いられるものであり、空気極基体上に、固体電解質
膜、燃料電極膜、インターコネクター、セパレータなど
の各構成部分が積層される。この際、空気極基体の形状
は、両端が開口した円筒形状、一端が開口し、他端が閉
口した有底円筒形状、平板形状等であってよい。このう
ち、上記したいずれかの円筒形状のものが、熱応力がか
かりにくく、ガスシールが容易なので、特に好ましい。
【0021】多孔質焼結体の気孔率は、5〜40%とする
ことが好ましい。また、これをSOFC用の空気極材料とし
て用いる場合には、更に気孔率を15〜40%とすることが
好ましく、25〜35%とすると一層好ましい。この場合
は、空気極の気孔率を15%以上とすることで、ガス拡散
抵抗を小さくし、気孔率を40%以下とすることで、ある
程度の強度も確保することができる。
【0022】本発明の多孔質焼結体をSOFC用の空気極材
料として使用する場合には、多孔質焼結体の熱膨脹率
を、固体電解質膜や燃料電極膜などの熱膨脹率に近くし
なければならない。そして、この固体電解質膜をイット
リア安定化ジルコニアで形成する場合には、ランタンマ
ンガナイトのAサイトにおけるカルシウムの置換量は10
〜20%とすることが好ましく、ストロンチウムの置換量
は5〜15%とすることが、熱膨脹を固体電解質膜と整合
させるうえで好ましい。
【0023】
【実施例】
(実験1) (実験用試料の製造)出発原料として、La2O3 、Mn3O
4 、CaCO3 、Al2O3 、MgO の各粉末を使用した。表1に
示す組成比率となるように、各例について、所定量の出
発原料を秤量し、混合した。この混合粉末を、コールド
アイソタティックプレス法により、1tf/ cm2 の圧力で
成形し、成形体を作製した。この成形体を、大気中、11
00℃で40時間熱処理し、表1に示す組成のランタンマン
ガナイトを合成した。この合成体をボールミルにて粉砕
し、平均粒径が約3μmのランタンマンガナイト粉末を
作製した。次に、このランタンマンガナイト粉末に有機
バインダーとしてポリビニルアルコールを分散させ、一
軸プレス法にて角板を成形した。この成形体を大気中12
50℃で5時間焼成して焼結体を得、この焼結体から、縦
3mm、横4mm、長ささ40mmの角棒を切出し、実験用試料
とした。
【0024】(測定)まず、各試料の気孔率を水置換法
にて測定した。この結果を表1に示す。次に、各試料の
重量を測定した。次に、各試料を大気気流中、200 ℃/
時間の昇温速度で1000℃まで昇温し、1000℃で5時間保
持した後、室温で空気を吹きつけ、急冷した。このよう
に急冷後の試料の重量の測定値を、1000℃における重量
とした。そして、1000℃における重量を室温における重
量で除し、重量比を算出した。この値を表1に示す。
【0025】また、重量を測定した角棒とは別の試料
を、各例についてそれぞれ準備した。次に、各試料を大
気中にて200 ℃/時間で600 ℃まで昇温し、その後600
℃と1000℃との間で、200 ℃/時間の昇降温速度にて10
回熱サイクルをかけ、室温まで降温した。この際、各熱
サイクルにおいて、600 ℃と1000℃では各々30分間一定
温度を保持した。その後、マイクロメータを用いて各試
料の寸法を測定し、熱サイクル前後の寸法収縮率を計算
した。これらの測定結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1から分かるように、1000℃における多
孔質焼結体の重量を室温における重量で除した値(重量
比)が0.9988以上の場合(試料2〜4)は、焼成後の初
期10回の熱サイクルによって生ずる寸法収縮の熱サイク
ル1回当たりの平均が、0.01以下となる。この値は、比
較例1では0.043 %になる。
【0028】また、本発明者は、表1の試料1につい
て、室温から1000℃まで温度を上昇及び下降させて熱膨
張計によって寸法変化を測定した。この結果、寸法の収
縮現象は、温度下降時の900 ℃〜800 ℃の温度範囲で起
っていることを突き止めた。従って、この温度範囲で、
酸素原子の吸収や金属原子の移動が生じているものと推
定される。また、本実験の条件である600 ℃と1000℃の
間での熱サイクルによる結果は、室温と1000℃との間の
熱サイクルによる結果と同じになる。
【0029】また、試料1を、大気中1000℃で10時間保
持し、室温へと降温した後、加熱前と加熱後との寸法変
化率を測定したところ、0.03%の収縮を示した。一方、
表1を見ると、焼成後の10回の熱サイクルについて、熱
サイクル1回当たりの寸法収縮率は0.043 %であった。
従って、0.03%の収縮は、熱サイクル1回分の寸法収縮
量にほぼ相当する。この結果から、上記した0.03%の寸
法収縮は、1000℃で10時間保持している間に生じたので
はなく、1000℃から室温へと下降した降温過程の間に生
じたものである。言い換えると、多孔質焼結体の上記熱
サイクルによる収縮現象は、高温で多孔質焼結体を保持
したことによる焼結の進行とは、全く別の機構によって
生じている。
【0030】(実験2)出発原料として、La2O3 、Mn3O
4 、CaCO3 、MgO 、NiO 、CoO 、SrCO3 の各粉末を使用
し、表2に示す組成比率となるように、各例について、
所定量の出発原料を秤量し、混合した。そして、上記と
同様の実験を行った。この結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2の比較例1に示すように、空気極材料
として一般的なLa0.9Sr0.1MnO3についても、前記の熱サ
イクル収縮が確認され、また前記の重量比が0.9988未満
であることも確認された。実施例2−1〜2−7におい
ては、熱サイクル1回当りの寸法収縮率は0.01%以下で
あった。これらの各サンプルについて前記の重量比を測
定すると、いずれも0.9988以上、1.0000以下であった。
【0033】(実験3)出発原料として、La2O3 、Mn3O
4 、CaCO3 、SrCO3 、NiO 、MgO 、CoO の各粉末を使用
した。表3、表4に示す組成比率となるように、各例に
ついて、所定量の出発原料を秤量し、混合した。この混
合粉末を、コールドアイソスタティックプレス法によ
り、1tf/ cm2 の圧力で成形し、成形体を作製した。こ
の成形体を、大気中、1550℃で5時間熱処理し、表3、
表4に示す組成のランタンマンガナイトを合成した。
【0034】この合成体をボールミルにて粉砕し、平均
粒径が約4〜6μmのランタンマンガナイト粉末を作製
した。次に、このランタンマンガナイト粉末に有機バイ
ンダーとしてポリビニルアルコールを分散させ、一軸プ
レス法にて角板を成形した。この成形体を大気中1400〜
1600℃で4時間焼成して焼結体を得、この焼結体から、
縦3mm、横4mm、長さ40mmの角棒を切出し、実験用試料
とした。
【0035】各試料の気孔率を水置換法にて測定した。
この結果を表3、表4に示す。各試料を大気中にて200
℃/時間で600 ℃まで昇温し、その後600 ℃と 1000℃
との間で、200 ℃/時間の昇降温速度にて10回熱サイク
ルをかけ、室温まで降温した。この際、各熱サイクルに
おいて、600 ℃と1000℃では各々30分間一定温度を保持
した。その後、マイクロメータを用いて各試料の寸法を
測定し、熱サイクル前後の寸法収縮率を計算した。これ
らの測定結果を表3、表4に示す。
【0036】また、各組成のランタンマンガナイトから
なる多孔質焼結体について、直流4端子法を用いて各温
度における電気伝導度を測定し、200 ℃〜600 ℃の範囲
における活性化エネルギー、900 ℃〜1000℃の範囲にお
ける活性化エネルギー及びこれらの差ΔE を算出した。
結果を表3、表4に示す。ただし、活性化エネルギーを
算出するには、図1に示すようなアレニウスプロットを
作成した。
【0037】即ち、図1には、La0.9Sr0.1MnO3の組成
と、La0.7Ca0.3MnO3の組成からなる各多孔質焼結体につ
いてのアレニウスプロットを示す。ここで、図1におけ
る横軸は1000/T(K-1) ないしT(℃)であり、縦軸
はσT(S/cm・K)である。σは電気伝導度である。
このアレニウスプロットから活性化エネルギーを算出し
た。
【0038】図1から解るように、La0.9Sr0.1MnO3にお
いては、200 ℃〜600 ℃の範囲における勾配と900 ℃〜
1000℃の範囲における勾配とは、かなり相違している。
具体的には、表2に示すようにΔE が0.039eV にもな
る。一方、La0.7Ca0.3MnO3の組成からなる多孔質焼結体
においては、200 ℃〜600 ℃の範囲における勾配と、90
0 ℃〜1000℃の範囲における勾配との差ΔE が少ない。
【0039】図1には、二つの例のみを示したが、表
3、表4に示す他の組成についても、上記と同様にし
て、200 〜600 ℃の範囲における活性化エネルギー、90
0 ℃〜1000℃の範囲における活性化エネルギー、両者の
差ΔE を測定した。また、図2に、各例についてのΔE
と寸法収縮率(%/10サイクル) との関係をプロットし
た。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】上記の結果から解るように、ΔE を0.01〜
−0.01eVの範囲内とすることにより、寸法収縮率が0.01
%/サイクル以下となることが解る。ΔE >0.01eV又は
ΔE<−0.01eVの範囲では、寸法収縮率が0.01%/サイ
クルを超えるが、この範囲内では特に明瞭な規則性は見
られない。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ラ
ンタンマンガナイトからなる多孔質焼結体の熱サイクル
による寸法収縮が抑制されているので、この多孔質焼結
体を含む構成体に熱サイクルを加えても、多孔質焼結体
と他の構成材との間にクラックが生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】多孔質焼結体におけるアレニウスプロットの例
を示すグラフである。
【図2】電気伝導度の活性化エネルギーの差ΔE と寸法
収縮率(%/10サイクル)との関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 義弘 愛知県名古屋市緑区ほら貝1丁目30番地 日本ガイシほら貝社宅A棟106号 (72)発明者 吉岡 克己 兵庫県姫路市名古山町8番28−704 (56)参考文献 特開 平2−293384(JP,A) 特開 平6−287048(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ土類及び希土類からなる群より
    選ばれる金属原子によってAサイトのランタン原子の一
    部が置換されているランタンマンガナイトからなる多孔
    質焼結体であって、1000℃における重量を室温における
    重量で除した値が0.9988以上、1.0000以下であり、室温
    と1000℃との間の熱サイクルによって生ずる寸法収縮が
    熱サイクル1回当たり0.01%以下であることを特徴とす
    る、多孔質焼結体。
  2. 【請求項2】 前記金属原子が、カルシウム及びストロ
    ンチウムからなる群より選ばれる、請求項1記載の多孔
    質焼結体。
  3. 【請求項3】 200℃〜 600℃の範囲における電気伝導
    度の活性化エネルギーと 900℃〜1000℃の範囲における
    電気伝導度の活性化エネルギーとの差が0.01eV以下であ
    る、請求項1又は2記載の多孔質焼結体。
  4. 【請求項4】 気孔率が5%以上、40%以下である、請
    求項1記載の多孔質焼結体。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の多孔質焼結体によって空
    気極が形成されていることを特徴とする、固体電解質型
    燃料電池。
  6. 【請求項6】 前記空気極が支持体としても機能してい
    る、請求項5記載の固体電解質型燃料電池。
  7. 【請求項7】 前記空気極が円筒型である、請求項6記
    載の固体電解質型燃料電池。
JP5073974A 1992-10-14 1993-03-31 多孔質焼結体及び固体電解質型燃料電池 Expired - Lifetime JP2591897B2 (ja)

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DE69326304T DE69326304T2 (de) 1992-10-14 1993-10-13 Poröse, gesinterte Lanthan-Manganit-Formkörper und Festoxidbrennstoffzellen
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