JP3400070B2 - 多孔質焼結体の製造方法 - Google Patents

多孔質焼結体の製造方法

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JP3400070B2
JP3400070B2 JP05717194A JP5717194A JP3400070B2 JP 3400070 B2 JP3400070 B2 JP 3400070B2 JP 05717194 A JP05717194 A JP 05717194A JP 5717194 A JP5717194 A JP 5717194A JP 3400070 B2 JP3400070 B2 JP 3400070B2
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔質焼結体の製造方
法に関するものであり、例えば、固体電解質型燃料電池
の空気電極として有用な多孔質焼結体を製造する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解質型燃料電池(SOFC)は、
1000°Cの高温で作動するため電極反応が極めて活
発で、高価な白金などの貴金属触媒を全く必要とせず、
分極が小さく、出力電圧も比較的高いため、エネルギー
変換効率が他の燃料電池に比べて著しく高い。更に、構
造材は全て固体から構成されるため、安定かつ長寿命で
ある。SOFCの開発事業においては、高温で安定な材
料の探索が重要である。SOFCの空気極材料として
は、現在、ランタンマンガナイト焼結体が有望と見られ
ている(エネルギー総合工学、13、2、52〜68
頁、1990年)。こうしたランタンマンガナイト焼結
体においては、ほぼ化学量論的組成のものやAサイト
(ランタン部位)が一部欠損した組成のもの(マンガン
リッチな組成)が知られている。特に、AサイトにC
a、Srをドープしたランタンマンガナイトからなる多
孔質焼結体が、自己支持型の空気極管を含む空気極の材
料として有望視されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、こうした多
孔質焼結体について、次の問題があることを、本発明者
が初めて発見した。即ち、SOFCの発電温度である9
00〜1100℃の温度と、室温〜600℃の温度との
間で加熱−冷却サイクルをかけると、上記の多孔質焼結
体からなる空気極管と、単電池の他の構成材料との間で
クラックが発生し、単電池の破壊が生ずることが判明し
た。しかも、この単電池を1000℃で長時間動作させ
ても、このようなクラックは全く発生しなかった。従っ
て、この現象は、上記の多孔質焼結体の焼成収縮による
ものではなく、上記の熱サイクルによる寸法変化に起因
するものと考えられた。
【0004】本発明の課題は、上記の熱サイクルに対す
る安定性を、ペロブスカイト型複合酸化物からなる多孔
質焼結体に付与することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ペロブスカイ
ト型の複合酸化物であって、この複合酸化物のBサイト
が少なくともマンガンによって占められている複合酸化
物からなる多孔質焼結体を製造するのに際して、粒度分
布のメディアン径が5μm以上である複合酸化物の粉末
に、バインダー及び該複合酸化物粉末100重量部に対し2
〜8重量部の増孔剤を添加して成形し、この成形体を焼
成して多孔質焼結体を製造することを特徴とする。
【0006】
【作用】最初に、本発明者が発見した、熱サイクルによ
る多孔質焼結体の寸法収縮現象について、説明する。本
発明者は、従来のランタンマンガナイト多孔質焼結体に
ついて、900〜1100°Cの温度と、室温〜600
°Cの温度との間で、加熱−冷却サイクルをかけ、その
安定性を試験してみた。このランタンマンガナイトは、
Bサイトは特に置換されておらず、Aサイトの10mo
l%〜20mol%がカルシウムによって置換されてい
るものであり、又は、Aサイトの10mol%〜15m
ol%がストロンチウムによって置換されているもので
あった。
【0007】この結果、上記の多孔質焼結体の寸法が、
熱サイクル1回当り0.01〜0.04%程度収縮する
ことが判明した。しかも、この熱サイクルによる収縮
は、100回の熱サイクルをかけても収束せず、100
回の熱サイクルで数%にも及ぶことが判明した。このよ
うに空気極が収縮すると、単電池の他の構成材料との間
でクラックが発生し、単電池の破壊の原因となる。
【0008】本発明者は、この問題を解決するために研
究を進めた。この研究の過程で、特に、多孔質焼結体の
製造プロセスについて研究を重ねた。
【0009】本発明者は、酸化ランタン、酸化マンガ
ン、炭酸カルシウム等の原料粉末をバインダーと混合し
て焼成し、ランタンマンガナイトの合成物を製造し、こ
の合成物を粉砕して合成粉末を製造した。この合成粉末
に増孔剤及びバインダーを混合して成形し、管状の成形
体を得、この成形体を焼成して管状の多孔質焼結体を得
ていた。
【0010】本発明者は、この製造プロセスを研究した
結果、合成粉末の粒度が、熱サイクル収縮に対して極め
て重要であることを発見し、本発明に至った。
【0011】具体的には、粒度分布のメディアン径が5
μm以上である複合酸化物粉末を成形し、この成形体を
焼成して多孔質焼結体を製造すれば、多孔質焼結体の熱
サイクル収縮量が、顕著に減少することが判明した。
【0012】特に、複合酸化物の組成にもよるが、室温
と1000°Cとの間の熱サイクルによって生ずる寸法
収縮を、上記の熱サイクル1回当たり0.01%以下に
抑えることができた。これにより、900〜1100°
Cの温度と、室温〜600°Cの温度との間で加熱−冷
却サイクルをかけても、多孔質焼結体と他の構成材料と
の間でクラックが発生しないことを確認した。
【0013】「寸法収縮が熱サイクル1回当たり0.0
1%以下である」とは、多孔質焼結体を焼結させた後、
最初の熱サイクルから10回目の熱サイクルまでの各寸
法収縮の平均値を指すものとする。
【0014】更に、本発明者は、上記の熱サイクルに伴
なう多孔質焼結体の寸法収縮が生ずる機構などについ
て、研究を進めた。この結果、室温から1000°C程
度まで温度上昇させると多孔質焼結体の重量が僅かに減
少し、再び室温に温度降下させると、この重量が元に戻
ることが分かった。また、多孔質焼結体の熱サイクルに
伴う寸法収縮量は、熱サイクル時の昇降温速度、雰囲気
中の酸素分圧によって、若干異なっていた。
【0015】こうした現象が生ずる機構は、現在のとこ
ろ不明である。しかし、熱サイクルに伴って、大気中の
800℃以上の温度域で酸素が結晶中に出入りし、この
出入りに伴って結晶格子が歪み、金属原子の物質移動が
促進されているものと推測される。
【0016】従って、複合酸化物粉末のメディアン径を
5μm以上とすることによって、多孔質焼結体において
金属原子の物質移動が生じにくくなっているものと推測
される。
【0017】また、粒度分布のメディアン径が15μm
を越えると、複合酸化物粉末を焼結させる工程中に、こ
の焼結体が破損することがあった。
【0018】
【実施例】本発明において、粒度分布のメディアン径が
5〜15μmである複合酸化物粉末を準備する際には、
この複合酸化物の原料混合物を混合して混合粉末を製造
し、この混合粉末を成形し、この成形体を焼成して合成
物を製造し、この合成物を粉砕することが好ましい。
【0019】この原料混合物の合成温度は、1200〜
1600°Cとすることが好ましい。この原料混合物の
合成温度を下げるほど、最終的な多孔質焼結体の強度は
向上する。これは、原料混合物の合成温度を低くするほ
ど、この焼成によって得られた合成粉末が、次の段階で
焼結し易くなるからである。
【0020】複合酸化物粉末に少なくとも増孔剤及びバ
インダーを添加して成形し、この成形体を焼成して多孔
質焼結体を製造する。この増孔剤は、比較的に低温で消
失するものである。増孔剤としては、アクリルパウダ
ー、カーボンパウダー、セルロース等が好ましい。
【0021】この際、複合酸化物粉末100重量部に対
し、増孔剤の添加量を2〜8重量部とする。増孔剤の添加
量が8重量部を超えると、素地全体の均一性を損なう原
因となり、強度が低下し易い。増孔剤の添加量が2重量
部未満であると、強度向上の効果が乏しい。
【0022】バインダーとしては、ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、アクリル系バインダー等が好ま
しい。バインダーの添加量は、複合酸化物粉末100重
量部に対し、1〜5重量部とすることが好ましい。
【0023】成形体の焼成温度は、1300°C〜16
00°Cとすることが好ましい。焼成温度を1300°
C未満とすると、焼結が完全に完了しない。1600°
Cよりも高くすると、焼結体の組織が緻密になりすぎ
る。
【0024】本発明に係る多孔質焼結体を構成する複合
酸化物の組成について説明する。複合酸化物のBサイト
は少なくともマンガンによって占められている。好まし
くは、複合酸化物のAサイトが、少なくとも、セリウム
を除く希土類及びイットリウムからなる群より選ばれた
1種以上の金属原子によって占められている。
【0025】本発明で使用できる複合酸化物を例示す
る。この複合酸化物は、次の組成を有するものが好まし
い。
【0026】
【数5】 R1-XMnO
【0027】ここで、R、Aが複合酸化物のAサイトを
占め、Mnが複合酸化物のBサイトを占める。Rは、セ
リウムを除く希土類及びイットリウムからなる群より選
ばれた1種の金属原子である。この群とは、イットリウ
ム、ランタン、プラセオジム、プロメチウム、サマリウ
ム、ユーロピウム、ガドリニウム、ネオジム、テルビウ
ム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウ
ム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群である。A
は、カルシウム及びストロンチウムからなる群より選ば
れた1種以上の金属原子である。
【0028】この組成においては、Aサイトの15%以
上、35%以下(x=0.15〜0.35)をカルシウ
ムによって置換する。ここで、多孔質焼結体の熱サイク
ル収縮を一層減少させるために、カルシウムの置換量を
25%以上とすることが好ましい。カルシウムの置換量
が35%を越えると、多孔質焼結体の平均線熱膨張率が
急激に増大する。
【0029】又は、Aサイトの10%以上、40%以下
(x=0.10〜0.40)をストロンチウムによって
置換する。ここで、多孔質焼結体の熱サイクル収縮を一
層減少させるために、ストロンチウムの置換量を20%
以上とすることが好ましい。ストロンチウムの置換量が
40%を越えると、多孔質焼結体の平均線熱膨張率が急
激に増大する。
【0030】また、次の組成を有する複合酸化物も好ま
しい。
【0031】
【数6】 R1-XMn1-Z
【0032】ここで、R、Aが複合酸化物のAサイトを
占め、Mn、Eが複合酸化物のBサイトを占める。R
は、セリウムを除く希土類及びイットリウムからなる群
より選ばれた1種の金属原子である。Aは、カルシウム
及びストロンチウムからなる群より選ばれた1種以上の
金属原子である。
【0033】この組成においては、アルミニウム、コバ
ルト、銅、マグネシウム、ニッケル、鉄、チタン及び亜
鉛からなる群より選ばれた一種以上の金属原子Eによっ
て、ランタンマンガナイトのBサイトのマンガン原子の
一部を置換することが好ましい。
【0034】Bサイトにおけるマンガン原子以外の金属
原子Eの置換割合は、0.02%以上、20%以下(z
=0.0002〜0.20)とすることが好ましく、5
%以上、20%以下(z=0.05〜0.20)とする
ことが更に好ましい。この置換割合が0.02%未満で
あると収縮抑制効果が顕著ではなく、20%を超える
と、電気伝導度が低下する。
【0035】この組成においては、更に、Aサイトの1
5%以上、35%以下(x=0.15〜0.35)をカ
ルシウムによって置換する。ここで、多孔質焼結体の熱
サイクル収縮を一層減少させるために、カルシウムの置
換量を25%以上(x=0.25以上)とすることが好
ましい。カルシウムの置換量が35%を越えると、多孔
質焼結体の平均線熱膨張率が急激に増大する。
【0036】又は、Aサイトの10%以上、40%以下
(x=0.10〜0.40)をストロンチウムによって
置換する。ここで、多孔質焼結体の熱サイクル収縮を一
層減少させるために、ストロンチウムの置換量を20%
以上とすることが好ましい。ストロンチウムの置換量が
40%を越えると、多孔質焼結体の平均線熱膨張率が急
激に増大する。
【0037】また、他の好ましい組成においては、複合
酸化物のAサイトが、カルシウム及びストロンチウムか
らなる群より選ばれた一種以上の第一の金属原子によっ
て占められており、かつ、セリウムを除く希土類及びイ
ットリウムからなる群より選ばれた二種以上の第二の金
属原子によって占められており、Aサイトのうち5〜7
0mol%が第一の金属原子によって占められており、
複合酸化物のBサイトにマンガンが含有されている。
【0038】この複合酸化物の組成は、好ましくは下記
式によって表されるものである。
【0039】
【数7】 R1-XMn1-Z
【0040】ここで、R、Aが複合酸化物のAサイトを
占め、Mn、Eが複合酸化物のBサイトを占める。
【0041】Aは、カルシウム及びストロンチウムから
なる群より選ばれた一種以上の第一の金属原子である。
Rは、セリウムを除く希土類及びイットリウムからなる
群より選ばれた二種以上の第二の金属原子である。この
群とは、ランタン、イットリウム、プラセオジム、ネオ
ジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガド
リニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、
エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムか
らなる群である。第二の金属原子Rは、ランタン、プラ
セオジム、ネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ガ
ドリニウム、イットリウムからなる群より選ばれたもの
が好ましい。
【0042】第二の金属原子Rのうち一方をランタンと
した場合には、ランタンの割合は1%〜94%とするこ
とが好ましい。この場合には、第二の金属原子Rの他方
の置換割合は、Aサイトのうち1〜80%とするのが好
ましく、20〜60%とするのが更に好ましい。
【0043】第一の金属原子Aによる置換割合Xは、A
サイトのうち5〜70%(x=0.05〜0.70)と
するが、25〜50%とするのが更に好ましい。
【0044】Eは、アルミニウム、コバルト、銅、マグ
ネシウム、ニッケル、鉄、チタン及び亜鉛からなる群よ
り選ばれた一種以上の第三の金属原子Eであり、Bサイ
トの残部がマンガンによって占められている。ここで、
第三の金属原子Eの置換割合Zは、0%とすることがで
き、この場合には、複合酸化物のBサイトがマンガンに
よって占められる。従って、上記の一般式は、づぎのよ
うに表示される。
【0045】
【数8】 R1-XMnO
【0046】Bサイトの一部を第三の金属原子Eによっ
て置換する場合には、この置換割合Zは20%以下とす
るのが好ましく、5〜20%とするのが更に好ましい。
【0047】調合時における、マンガン及び第三の金属
原子Eの合計金属原子数に対する、A及びRの金属原子
数の合計の比率(Aサイトの原子数の合計/Bサイトの
原子数の合計)は、複合酸化物中において単一相を得る
ために、0.85以上、1.05以下とすることが好ま
しい。
【0048】なお、上記の各一般式においては、Aサイ
トとBサイトとの相対的比率は、煩雑なので示していな
いが、この相対的比率は、偏析を生じないような公知の
範囲である。更に、Rの金属原子としてランタン等を使
用し、ジルコニアからなる固体電解質を設けた場合に
は、例えば、La2 Zr2 7 からなる高抵抗層が生じ
ない組成にすることが特に好ましい。
【0049】また、ペロブスカイト型の前記複合酸化物
は非化学量論的組成をとりうるので、多孔質焼結体の製
造工程において不可避的に混入する若干の不純物に由来
する複合酸化物の組成変動は、許容される。特に、Rと
してランタンを使用した場合に、前記不純物に由来する
ランタンマンガナイトの組成変動は、許容される。
【0050】本発明によって製造した多孔質焼結体は、
特に、熱サイクルに対して安定な高温電極材料として好
ましく使用できる。こうした高温電極材料としては、核
融合炉、MHD発電等における電極材料がある。
【0051】また、本発明の多孔質焼結体は、SOFC
用の空気極材料として、特に好適に使用できる。更に、
自己支持型の空気極基体の材料として用いることが好ま
しい。こうした空気極基体は、単電池の母材として用い
られるものであり、空気極基体上に、固体電解質膜、燃
料電極膜、インターコネクター、セパレータなどの各構
成部分が積層される。この際、空気極基体の形状は、両
端が開口した円筒形状、一端が開口し、他端が閉塞され
た有底円筒形状、平板形状などであってよい。このう
ち、上記したいずれかの円筒形状のものが、熱応力がか
かりにくく、ガスシールが容易なので、特に好ましい。
【0052】多孔質焼結体の気孔率は、5〜40%とす
ることが好ましい。また、これをSOFC用の空気極材
料として用いる場合には、更に気孔率を15〜40%と
することが好ましく、25〜35%とすると一層好まし
い。この場合は、空気極の気孔率を15%以上とするこ
とで、ガス拡散抵抗を小さくし、気孔率を40%以下と
することで、ある程度の強度も確保することができる。
【0053】本発明の多孔質焼結体をSOFC用の空気
極材料として使用する場合には、多孔質焼結体の平均線
熱膨張率を、固体電解質膜や燃料電極膜などの平均線熱
膨張率に近くしなければならない。そして、この固体電
解質膜がイットリア安定化ジルコニアである場合には、
25°C〜1000°Cの間の平均線熱膨張率は10.
5×10-6-1であることが知られている。
【0054】以下、更に具体的な実験結果について説明
する。 (実験用試料の製造)出発原料として、La2 3 、C
aCO3 、Mn3 4 、NiOの各粉末を使用した。表
1、2、3に示す各組成比率となるように、各例につい
て、所定量の出発原料を秤量し、混合した。この混合粉
末を、コールドアイソスタティックプレス法により、1
tf/cm2 の圧力で成形し、成形体を作製した。この
成形体を、大気中、1500℃で15時間熱処理し、後
述する各組成のペロブスカイト型複合酸化物を合成し
た。
【0055】この合成体をトロンメルで8〜12時間粉
砕し、後述する各粒度分布を有するペロブスカイト型複
合酸化物の合成粉末を作製した。次に、この合成粉末
に、水と、有機バインダーとしてのアクリル系バインダ
ーを加え、混合し、水分40%のスラリーを調製し、ス
プレードライヤーで造粒した。その後、この造粒粉と増
孔剤としてのアクリルパウダーを乾式混合し、コールド
アイソスタティックプレス法により、1tf/cm2
圧力で成形して、円環形状の成形体を製造し、この管状
成形体を1600°Cで4〜20時間焼成した。この管
状焼結体から、長さ50mmの管状試料を切り出した。
【0056】(メディアン径の測定)各例において、ペ
ロブスカイト型複合酸化物のメディアン径を測定した。
具体的には、蒸留水30ccと、分散剤であるラベリン
10%水溶液とを混合して溶媒を製造し、この溶媒中
に、試料粉末100mgを加え、ホモジナイザーによっ
て3分間分散させ、懸濁液を得た。この懸濁液を用い
て、株式会社島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定
装置「SALD─2000」を用いて、粒度分布のメデ
ィアン径を測定した。
【0057】(X線回折測定)表1、表2、表3に示す
各試料番号1─1〜5─7を、それぞれ乳鉢にて粉砕
し、粉末法にてX線回折測定を行った。この結果、各試
料番号の各回折パターンは、ほぼ同じであり、かつ単一
相を示していた。
【0058】これらのX線回折パターンからみて、各試
料番号1─1〜5─7において、カルシウム及びニッケ
ルは、それぞれ確かにペロブスカイト型複合酸化物の結
晶中に固溶していた。
【0059】(気孔率の測定)次いで、各試料番号の気
孔率を水置換法にて測定した。この結果を表1、表2、
表3に示す。
【0060】(熱サイクル収縮の測定)次に、各試料番
号を大気中にて200℃/時間で600℃まで昇温し、
その後600℃と1000℃との間で、200℃/時間
の昇降温速度にて10回熱サイクルをかけ、室温まで降
温した。この際、各熱サイクルにおいて、600℃と1
000℃では各々30分間一定温度を保持した。その
後、マイクロメータを用いて各試料の寸法を測定し、熱
サイクル前後の寸法収縮率を計算した。熱サイクル1回
あたりの寸法収縮率を、表1、表2、表3に示す。ま
た、図1は、各実験番号における、多孔質焼結体の熱サ
イクル収縮と、合成粉末の粒度分布のメディアン径との
関係を示すグラフである。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】表1、表2、表3に示す結果から分かるよ
うに、合成粉末のメディアン径を5μm以上にすると、
多孔質焼結体の熱サイクル収縮が顕著に減少した。多孔
質焼結体の組成及び気孔率が変わっても、合成粉末のメ
ディアン径と多孔質焼結体の熱サイクル収縮との間のこ
の関係は、ほぼ一定であった。
【0065】また、本発明者は、表3の試料5─1につ
いて、室温から1000℃まで温度を上昇及び下降さ
せ、熱膨張計によって多孔質焼結体の寸法変化を測定し
た。この結果、寸法の収縮現象は、温度下降時の900
℃〜800℃の温度範囲で起こっていることを突き止め
た。従って、この温度範囲で、酸素原子の吸収や金属原
子の移動が生じているものと推定される。また、本実験
の条件である600℃と1000℃の間での熱サイクル
による結果は、室温と1000℃との間の熱サイクルに
よる結果と同じになる。
【0066】また、試料5─1を、大気中1000℃で
10時間保持し、室温へと降温した後、加熱前と加熱後
との寸法変化率を測定したところ、0.028%の収縮
を示した。一方、表3を見ると、焼成後の10回の熱サ
イクルについて、熱サイクル1回当たりの寸法収縮率は
0.026%であった。
【0067】従って、0.028%の収縮は、熱サイク
ル1回分の寸法収縮量にほぼ相当する。この結果から、
上記した0.026%の寸法収縮は、1000℃で10
時間保持している間に生じたのではなく、1000℃か
ら室温へと下降した降温過程の間に生じたものである。
言い換えると、多孔質焼結体の上記熱サイクルによる収
縮現象は、高温で多孔質焼結体を保持したことによる焼
結の進行とは、全く別の機構によって生じている。
【0068】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の製造方法に
よれば、室温と1000°Cとの間の熱サイクルによっ
て生ずる多孔質焼結体の寸法収縮を、非常に小さく抑え
ることができる。これにより、上記の加熱−冷却サイク
ルをかけても、多孔質焼結体と他の構成材料との間でク
ラックが発生するのを、防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各実験番号における、多孔質焼結体の熱サイク
ル収縮と、合成粉末の粒度分布のメディアン径との関係
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01M 8/02 H01M 8/12 8/12 C04B 35/00 J (56)参考文献 特開 平7−196367(JP,A) 特開 平5−190180(JP,A) 特開 平1−190180(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 38/00 - 38/10 C04B 35/00 - 35/51

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ペロブスカイト型の複合酸化物であって、
    この複合酸化物のBサイトが少なくともマンガンによっ
    て占められている、下記[数1]、[数2]及び[数3]から
    なる群から選択される式で表される複合酸化物からなる
    多孔質焼結体であって、室温と1000℃との間の熱サ
    イクルによって生ずる寸法収縮が、この熱サイクル1回
    当たり0.01%以下である多孔質焼結体を製造する方
    法において、粒度分布のメディアン径が5〜15μmである
    前記複合酸化物の粉末に、バインダー及び該複合酸化物
    粉末100重量部に対し2〜8重量部の増孔剤を添加して成
    形し、この成形体を焼成して多孔質焼結体を製造するこ
    とを特徴とする、多孔質焼結体の製造方法。 【数1】 R1-XMnO (ここで、R、Aが複合酸化物のAサイトを占め、Mn
    が複合酸化物のBサイトを占める。Rは、セリウムを除
    く希土類及びイットリウムからなる群より選ばれた1種
    の金属原子である。Aは、カルシウム及びストロンチウ
    ムからなる群より選ばれた1種以上の金属原子であ
    る。) 【数2】 R1-XMn1-Z (ここで、R、Aが複合酸化物のAサイトを占め、M
    n、Eが複合酸化物のBサイトを占める。Rは、セリウ
    ムを除く希土類及びイットリウムからなる群より選ばれ
    た1種の金属原子である。Aは、カルシウム及びストロ
    ンチウムからなる群より選ばれた1種以上の金属原子で
    ある。Eは、アルミニウム、コバルト、銅、マグネシウ
    ム、ニッケル、鉄、チタン及び亜鉛からなる群より選ば
    れた一種以上の金属原子である。) 【数3】 R1-XMn1-Z (ここで、R、Aが複合酸化物のAサイトを占め、M
    n、Eが複合酸化物のBサイトを占める。Aは、カルシ
    ウム及びストロンチウムからなる群より選ばれた一種以
    上の第一の金属原子である。Rは、セリウムを除く希土
    類及びイットリウムからなる群より選ばれた二種以上の
    第二の金属原子である。Eは、アルミニウム、コバル
    ト、銅、マグネシウム、ニッケル、鉄、チタン及び亜鉛
    からなる群より選ばれた一種以上の第三の金属原子であ
    り、Bサイトの残部がマンガンによって占められてい
    る。)
  2. 【請求項2】前記[数1]で表される複合酸化物におい
    て、Aサイトの15%以上、35%以下(x=0.15
    〜0.35)をカルシウムによって置換することを特徴
    とする請求項1に記載の多孔質焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記[数1]で表される複合酸化物におい
    て、Aサイトの10%以上、40%以下(x=0.10
    〜0.40)をストロンチウムによって置換することを
    特徴とする請求項1に記載の多孔質焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記[数2]で表される複合酸化物におい
    て、Bサイトにおけるマンガン原子以外の金属原子Eの
    置換割合を、0.02%以上、20%以下(z=0.0
    002〜0.20)とすることを特徴とする請求項1に
    記載の多孔質焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記[数2]で表される複合酸化物におい
    て、Aサイトの15%以上、35%以下(x=0.15
    〜0.35)をカルシウムによって置換することを特徴
    とする請求項1に記載の多孔質焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記[数2]で表される複合酸化物におい
    て、Aサイトの10%以上、40%以下(x=0.10
    〜0.40)をストロンチウムによって置換することを
    特徴とする請求項1に記載の多孔質焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記[数3]で表される複合酸化物におい
    て、第一の金属原子Aによる置換割合Xを、Aサイトの
    うち5〜70%(x=0.05〜0.70)とすること
    を特徴とする請求項1に記載の多孔質焼結体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】前記[数3]で表される複合酸化物におい
    て、第二の金属原子Rのうち一方をランタンとし、該ラ
    ンタンの割合を1%〜94%とすることを特徴とする請
    求項1に記載の多孔質焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】前記[数3]で表される複合酸化物におい
    て、金属原子Eの置換割合Zが0%の場合であり、下記
    [数4]で表されることを特徴とする請求項8に記載の多
    孔質焼結体の製造方法。 【数4】 R1-XMnO
  10. 【請求項10】前記多孔質焼結体が自己支持型電極であ
    る、請求項1〜9のいずれか一つの項に記載の多孔質焼
    結体の製造方法。
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