JPH0726157B2 - 冷間加工性および磁気特性の良好な高珪素軟磁性鋼板の製造方法 - Google Patents

冷間加工性および磁気特性の良好な高珪素軟磁性鋼板の製造方法

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JPH0726157B2 JP2000187A JP18790A JPH0726157B2 JP H0726157 B2 JPH0726157 B2 JP H0726157B2 JP 2000187 A JP2000187 A JP 2000187A JP 18790 A JP18790 A JP 18790A JP H0726157 B2 JPH0726157 B2 JP H0726157B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、軟磁性材料として電気機器の鉄芯に用いられ
る、冷間加工性および磁気特性に優れた高珪素鋼板の製
造方法に関するものである。
(従来の技術) Siを含有する鋼板は、優れた軟磁気特性を有するため、
電力用変圧器或は回転機の鉄芯として用いられている。
この種磁性材料においては、Si含有量が増加すると、鉄
損特性が向上する(鉄損値が低くなる)。特にSi含有量
6.5%近傍では、鉄損特性が良好である上に磁歪が零に
近付くところから、透磁率も一段と向上し、従来にない
新しい機能をもつ磁性鋼板となり得る。しかしながら、
この6.5%Si含有鉄は、冷間加工たとえば冷間圧延する
上で種々の問題があり、実用化されていなかった。
6.5%Si含有鉄を冷間加工する上での問題として、 1) 高珪素鉄の結晶本来のイントリンシックな特性と
して、伸びが小さくたとえば冷間圧延時に板破断を起こ
し易い、 2) 高珪素鉄の伸びが本質的に小さいことに起因し
て、冷間圧延によって板側縁部に割れを生じる、所謂
“耳割れ”を発生し易い、 3) 高珪素鉄は、硬度が極めて高いため、最終板厚を
薄くするときに、冷間圧延における圧延負荷が過大なも
のとなる、 等の問題がある。
最近、省エネルギーを目的として、鉄損値が低くまた、
電気機器の多用な磁気特性上の要求を満足する新しい磁
性鋼板として、Siを6.5%或はその近傍含有する高珪素
鋼板が、見直され始めた。特に、冷間加工上の問題を解
決することに多くの努力が傾けられ、種々提案がなされ
ている。たとえば、中岡らは、前記1)項の板破断を招
き易いという問題に関連して、特開昭61−166923号公報
に、冷間圧延の素材となる熱延板について、連続仕上熱
間圧延条件を規定することによって、金属組織を圧延方
向に繊維状に伸びた状態とすることを提案している。ま
た、中岡らは、特開昭62−103321号公報に、連続仕上熱
間圧延前の材料の結晶粒を限定することにより、熱延板
組織を圧延方向に延伸した繊維状にする方法を提案して
いる。これらの方法は、連続仕上熱間圧延条件を限定す
ることによって熱延板組織を制御し、こうして得られた
熱延板を素材とすることによって、冷間圧延を可能なら
しめようとするものである。
一方、前記1)項の板破断を招き易いという問題は、冷
間圧延時の材料の温度を150〜300℃として圧延すれば、
解決することが知られている。冷間圧延時の材料温度を
常温よりも高くして圧延することはまた、従来、Siを約
3%含有する一方向性電磁鋼板の製造プロセスにおい
て、製品の磁気特性を向上させる手段として広く行なわ
れている。
前記2)項の、冷間圧延材の“耳割れ”の問題は、1)
項の問題を解決するための手段によって、解決され得
る。たとえば、冷間圧延時の材料温度を約150℃と常温
よりも高くして圧延することによって、大部分解決す
る。加えて、耳割れ防止のために、一般的に他の鋼種で
実施されている手段をより丁寧に適用することが、高珪
素鋼の冷間圧延に際しても有効である。たとえば、升田
らは特開昭62−127097号公報に、ロール端部のヒートク
ラウンを制御することによって耳割れを防止することを
提案している。
3)項の圧延負荷が過大になるという問題は、Si含有量
が増大するに伴って鋼の硬さが増し、たとえば6.5%Si
では、硬度(Hv)が390にも達し、冷間圧延荷重が過大
になるという問題である。圧延ゲージが薄くなると、一
層圧延荷重が大きくなる。一般に、圧延ロールの径を小
さくすると、ロールと圧延材の接触弧長が小さくなるか
ら、低荷重で板材を圧延することができるようになる。
従って、従来、Siを約3%含有する一方向性電磁鋼板或
は無方向性電磁鋼板の冷間圧延に、100mm以下の径のワ
ークロールをもつセンジマーミルが用いられている。ま
して、3%Si材よりも格段に硬度の高い6%Si材を薄手
まで冷間圧延しようとする場合は、小径ワークロールを
もつ圧延機での圧延が必須となる。ところが、6.5%Si
材を小径のワークロールをもつ圧延機で冷間圧延する
と、高田らが、特開昭63−145716号公報に示しているよ
うにストリップ破断の問題を生じる。
次に高Si鉄の磁気特性について述べる。この高Si軟磁性
鋼板の開発動機は、元々製造上の困難さは十分認識され
ていたところであるけれども、従来にない高い機能性た
とえば、優れた鉄損特性、磁気特性の実現にある。従っ
て、製造の容易さ、就中冷間圧延し易さに意を用いるの
は勿論であるが、良好な磁気特性を有する製品を得るこ
とを第一の狙いとして製造プロセスを設計する必要があ
る。このような観点からすれば、高Si軟磁性鋼板就中6.
5%Si材に最適な磁気特性を具備せしめる製造プロセス
について、十分な技術は確立していない。特に、高い磁
化特性(磁束密度で表される)および薄いゲージをもつ
製品とすることによって、さらに優れた鉄損特性(鉄損
値が低い)を有せしめることを可能ならしめなければな
らず、そのためには、極めて薄いゲージにまで高Si材を
冷間圧延し得る技術を確立する必要がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、高Si鉄就中6.5%Si鉄に固有の特性を考慮し
た良好な磁化特性を有する製品を得ることを可能ならし
めると同時に比較的容易に薄手材にまで冷間圧延し得る
製造プロセスを確立することを目的としてなされた。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨とするところは、下記のとおりである。
(1) 重量で、C≦0.006%、Si:4.5〜7.1%を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなる熱延板を、92
0〜1050℃の温度域で焼鈍し板厚方向全域に亙って再結
晶させた後、冷間圧延して最終板厚とし、次いで、800
〜1030℃の温度域で焼鈍することを特徴とする冷間加工
性および磁気特性の良好な高珪素軟磁性鋼板の製造方
法。
(2) 冷間圧延が、直径120mmφ以下のロールを有す
る圧延機で、最終板厚0.30mm以下までなされるものであ
る前項1記載の冷間加工性および磁気特性の良好な高珪
素軟磁性鋼板の製造方法。
(3) 重量で、C≦0.006%、Si:4.5〜7.1%を含有
し、S≦0.006%、N≦0.0035%とし、残部Feおよび不
可避的不純物からなる熱延板を、850〜1050℃の温度域
で焼鈍し板厚方向全域に亙って再結晶させた後、冷間圧
延して最終板厚とし、次いで、800〜1030℃の温度域で
焼鈍することを特徴とする冷間加工性および磁気特性の
良好な高珪素軟磁性鋼板の製造方法。
(4) 冷間圧延が、直径120mmφ以下のロールを有す
る圧延機で、最終板厚0.30mm以下までなされるものであ
る前項3記載の冷間加工性および磁気特性の良好な高珪
素軟磁性鋼板の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
Siを略6.5%含有する鉄を、一般的な熱間圧延条件たと
えば、連続仕上熱間圧延における材料温度を950℃とし
て圧延するときの鉄板の金属組織は、第1図に示すよう
に、表層部の再結晶した等軸晶および板厚方向中心部に
おいて圧延方向に繊維状に並んだ伸長粒からなってい
る。この板厚方向中心部における圧延方向に維持状に並
んだ伸長粒は、一般にSi含有量を多くすることによって
また、熱間圧延温度を低くし再結晶させずに圧延組織の
ままとすることによって、残存させることができる。従
来の技術においては、「日本金属学会誌」,Vol.30,No.
6,p.552/558に詳述されているように、前記伸長粒を材
料に残存させることによって、冷延性が良好となるとさ
れている。而して、特開昭61−166923号公報、特開昭62
−10332号公報にそのための具体的な手段が開示されて
いる。
本発明の発明者等は、一般的な連続仕上熱間圧延条件で
圧延された材料である第1図に示す金属組織を有する熱
延板を、150℃の温度として冷間(温間)圧延したとこ
ろ、圧延の進行に伴って特徴的な欠陥が発生することを
見出した。第2図は、発生した欠陥を板表面から見たも
のであり、この欠陥を“さざ波欠陥”と呼ぶことにす
る。このような“さざ波欠陥”が発生すると、板表面に
割れがあることによる商品価値が消失することは勿論、
板厚方向内部に割れ部があるとその部分では鉄心として
励磁しても磁束の流れが阻害され、所期の磁化特性が得
られなくなる。そこでこのような“さざ波欠陥”の発生
をできるだけ少なくする必要がある。この“さざ波欠
陥”部の板厚方向断面(縦断面)組織を、第3図に示
す。第3図から明らかな如く、板厚方向における上下約
1/3の位置を頂点として中心に向かって割れが進行し、
それが繰返されている。さらに、割れの初期を観察する
と、割れの起点は板厚方向における上下約1/3の位置に
あり、この位置は、冷間圧延前の材料における表層部の
等軸晶粒と板厚方向中心部における圧延方向に繊維状に
並んだ伸長粒の境界に対応する。割れ部を腐食させて組
織を現出させた拡大写真を第4図に示す。第4図から、
表層部の等軸晶粒と板厚方向中心部における圧延方向に
繊維状に並んだ伸長粒の境界で割れていることが分か
る。これらの観察から、“さざ波欠陥”は、冷間圧延に
伴って板断面に働く剪断力に対し、表層部の等軸晶粒と
板厚方向中心部における圧延方向に繊維状に並んだ伸長
粒の機械的強度の差によって割れが発生し、その後板厚
方向中心を付き抜けて割れが伝播したものと考えられ
る。本発明者等は、これらの知見から、板厚方向におけ
る結晶粒組織を均一にすることが、“さざ波欠陥”を発
生させることなく冷延性を向上させる要諦であることを
見出した。そこで、本発明においては、熱延板に高Si鉄
に合った適切な焼鈍を施すことによって、板厚方向にお
ける結晶粒組織を均一な再結晶組織とする。
本発明のプロセスによれば、たとえば、特開昭61−1669
23号公報に開示されている従来技術におけるような板厚
方向全域を圧延方向に繊維状に並んだ伸長粒としようと
するプロセスでは、低温での熱間圧延を必要とするとこ
ろから、変形抵抗の高い材料の圧延を余儀なくされるの
に対し、熱間圧延条件に格別の規制を付す必要がない。
前記先行技術によるときは、熱間圧延条件を厳しく規制
しても板厚方向全域を完全に圧延方向に繊維状に並んだ
伸長粒とするのは困難である。
また、本発明によれば、後述するように、熱延板に高Si
鉄に合った適切な焼鈍を施すことによって、得られる製
品の磁気特性が向上する。
次に、熱延板焼鈍条件による結晶組織の変化とそれに対
応する、冷間圧延時の“さざ波欠陥”の発生状況ならび
に製品の磁気特性について説明する。第5図に、重量
で、C:0.0035%、Si:6.70%、Mn:0.14%、S:0.009%、
N:0.0030%、残部実質的にFeからなる2.3mm厚さ×100mm
幅×150mm長さの熱延板を10枚、800〜1120℃の温度域で
90秒間焼鈍し、酸洗した後、150℃の温度で、0.23mm厚
さまで冷間(温間)圧延したときの、“さざ波欠陥”の
発生率と板破断の発生頻度(第5図(a))および熱延
板焼鈍後の結晶粒組織(第5図(b))を示す。第5図
から、板厚方向中心部に伸長粒が残っている低温焼鈍材
および焼鈍せずに熱延板を熱延後冷延したものは、冷間
圧延時に“さざ波欠陥”が著しく発生しているのに対
し、920℃以上の温度域で焼鈍することによって板厚方
向において均一に再結晶させ等軸晶粒としたものは、
“さざ波欠陥”が全く発生していないことが分る。しか
しながら、焼鈍温度を高くし結晶粒径が大きくなり過ぎ
ると、靱性が劣化し、冷間圧延時に板破断を惹起する。
次に、これら冷延板を950℃で60秒間、水素中で焼鈍し
た後、磁気特性を測定した。熱延板を焼鈍することなく
冷間圧延したものに比し、熱延板に焼鈍を施したもの
は、磁束密度、鉄損ともに向上することが分った。そし
てその向上の程度は、熱延板焼鈍温度が高くなるほど大
きい。
叙上のように、本発明者等は、高Si鉄の熱延板に適切な
温度域での焼鈍を施し、板厚方向全域に亙って再結晶さ
せることによって、冷間圧延時に鉄板表面に発生する
“さざ波欠陥”を生成せしめることなく、良好な磁気特
性を有する製品を得ることができることを新たに見出し
た。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
先ず、本発明における高Si鉄の成分限定理由を説明す
る。
本発明で用いる溶鋼は、その溶製方法を限定されない。
成分含有量が、次の範囲内であることが必要である。
Cは、不純物として最終製品に残存すると、製品の磁気
特性を劣化させるから可及的にその含有量が少ない方が
良い。特に、C含有量が0.006%を超えると、製品の磁
気特性を大きく劣化させる。
Siは、本発明の目標が磁歪が最小となる略6.5%Si鉄を
工業的に製造し得るプロセスの確立にあることに鑑み、
6.5%を中心として若干の上下幅をもつ範囲内であれば
良い。Si含有量の下限は、従来、市販されていない範囲
で、4.5%とし、可及的に6.5%に近い量であることが、
本発明の目的に合う。Si含有量の上限は、7.1%であ
る。Si含有量が7.1%を超えると、冷間加工性が急激に
劣化するにも拘わらず、得られる製品の磁気特性はさほ
ど向上しない。
その他の成分としては、S、Nの含有量を限定する。一
般にS、Nは、Si鉄の焼鈍時における粒成長を抑制する
作用をもつ。本発明者等は、Siを6.5%前後含有する高S
i鉄の熱延板にあって、S、N含有量が多くなると、板
厚方向中心域の伸長粒生成傾向が著しくなり、熱延板表
面近傍の粒が小さくなることを知見した。
而して、このような特徴をもつ熱延板は、焼鈍によって
再結晶させ板厚方向全域に亙って等軸晶とするに要する
温度を高くする。このように、板厚方向中心部の伸長粒
を再結晶させるには高い焼鈍温度を必要とするが、高い
焼鈍温度を採用すると、材料の表面粒が粗大なものとな
り、第5図に示すように、板破断が増加する。このよう
な理由から、S≦0.006%、N≦0.0035%にすれば、熱
延板の板厚方向中心域が伸長粒となる傾向は抑えられ、
焼鈍温度を低くすることができるから、焼鈍後の材料の
結晶粒を小さくでき、冷間圧延時の板破断を少なくする
ことができる。
前記以外の成分については、特に限定しない。
次いで、溶鋼は鋳造され、熱間圧延される。鋳造に関
し、本発明では特に限定条件はなく、一般的な方法を用
いることができる。熱間圧延された材料(熱延板)に、
920〜1050℃の温度域で焼鈍を施す。920℃未満の温度域
では、板厚方向中心部の伸長粒が残存し、“さざ波欠
陥”が発生し易くなる。鋼中不純物であるSとNを少し
なくして、熱延板焼鈍時の再結晶をし易くすると、この
伸長粒が消失し、“さざ波欠陥”が解消する下限焼鈍温
度は、850℃となる。このような、低い熱延板焼鈍温度
を可能にするためには、S、Nの含有量の上限はそれぞ
れ0.006%及び0.0035%とする。熱延板焼鈍後、材料は
冷間圧延され、最終板厚とされる。
冷間圧延に際し、一方向性電磁鋼板の製造プロセスにお
いて製品の特性向上のために実施されているように、15
0〜280℃の温度域で冷間圧延すると、板破断を起こすこ
とがない。本発明者等が、高Si鉄の冷間圧延において経
験した“さざ波欠陥”は、圧延機のワークロール径が大
きくなると減少し、ワークロール径が小さくなると、顕
著に発生する。ところが、高Si鉄たとえば6.5%Si鉄の
硬度は、Hvで約390あり、現在、製造されているSiを約
3%含有する一方向性電磁鋼板の1.5倍以上の硬度であ
るため、高Si鉄たとえば6.5%Si鉄の冷間圧延は極めて
困難である。従って、小径のワークロールをもつ圧延機
たとえばセンジマーミルのようなクラスタータイプの圧
延機で冷間圧延しなければ、薄いゲージにまで圧延する
ことができない。
かかる観点から、“さざ波欠陥”を解消し得る本発明
は、高Si鉄を薄いゲージにまで冷間圧延するのに効果的
である。たとえば、板厚が0.30mm以下になると、120mm
以下の径のワークロールをもつ圧延機、たとえばセンジ
マーミルでなければ冷間圧延できないから、かかる小径
ワークロールを有する圧延機で“さざ波欠陥”を生ぜし
めることなく、高Si鉄を薄いゲージにまで圧延する場
合、本発明が有効に機能し得る。
冷間圧延における冷延率については、特に限定しない。
冷延率は、熱間圧延機の能力によって決まる熱延板の厚
さと製品板厚の関係で決まり、50〜80%程度の冷延率が
採用される。最終板厚とされた冷延板を、800〜1030℃
の温度域で焼鈍し、製品とする。焼鈍時間は、温度が低
いときは長く、高いときは短かくなり、30秒間〜3時間
程度が採用される。
(実施例) 実施例1 重量でC:0.0051%、Si:6.6%、Mn:0.13%、S:0.008%、
total N:0.0043%、残部実質的にFeからなる2.3mm厚さ
の熱延板を、それぞれ830℃、900℃、950℃、1050℃、1
120℃で30秒間焼鈍したものおよび焼鈍なしの材料を、1
00mmの径のワークロールをもつセンジマーミルで170℃
の鋼板温度下に0.30mmまで冷間圧延した後、900℃で90
秒間の焼鈍を施した。こうして得られた製品の磁気特性
と“さざ波欠陥”および板破断の発生状況を、第1表に
示す。なお、冷間圧延時の欠陥発生状況は板表面につい
て、目視により発生程度を評価した。
第1表から明らかなように、本発明で規定する熱延板焼
鈍温度域内である950℃および1050℃で焼鈍して得られ
た材料は、冷間圧延時の欠陥も全くなく、製品の磁気特
性就中磁束密度(B8値)が優れている。
実施例2 重量で、Si:6.60%、Mn:0.13%、C、S、total Nは第
2表に示す量含有し、残部実質的にFeからなる2.3mm厚
さの熱延板を、850℃および950℃で30秒間焼鈍した後、
100mmの径のワークロールをもつセンジマーミルで、170
℃の鋼板温度下に0.30mmまで冷間圧延した。次いで、90
0℃で90秒間の焼鈍を施して製品とした。こうして得ら
れた製品の磁気特性と“さざ波欠陥”の発生状況を、第
2表に示す。なお、冷間圧延時の欠陥発生状況は板表面
について、目視により発生程度を評価した。
第2表から明らかなように、Cが本発明に規定する範囲
素である0.025%のものは、磁気特性わけても鉄損が劣
化し、板破断も若干発生する。S、total Nが少なくな
ると、熱延板焼鈍温度を850℃と低くしても、“さざ波
欠陥”を生じることが全くない。また、磁性、とりわけ
鉄損が良好である。
実施例3 重量で、C:0.005%、Si:6.60%、Mn:0.13%、S:0.004
%、N:0.0019%を含有し、残部実質的にFeからなる2.3m
m厚さの熱延板を、950℃で30秒間焼鈍したものと、焼鈍
することなく熱延ままのものを、それぞれ100mmおよび2
70mmの径のワークロールをもつ圧延機で、170℃の鋼板
温度下に0.35mm、0.30mm、0.23mm、0.15mmおよび0.08mm
まで冷間圧延した。このときの“さざ波欠陥”の発生状
況を第3表に示す。なお、冷間圧延時の欠陥発生状況は
板表面について、目視により発生程度を評価した。
第3表から明らかなように、950℃で30秒間熱延板焼鈍
した材料は、100mmの径のワークロールをもつ圧延機で
冷間圧延しても、“さざ波欠陥”の発生も全くなく良好
な表面性状をもつ製品を得ることができる。この場合、
ワークロール径が270mmと大きくなると、薄いゲージに
まで冷間圧延できない。
(発明の効果) 本発明によれば、磁気特性わけても鉄損が極めて低くか
つ、磁束密度が高く磁歪のない高Si鉄薄板を工業的に製
造することができ、騒音がなくエネルギーロスの極めて
少ない変圧器等を供給できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】 第1図は、高Si鉄を一般的な熱間圧延条件で圧延して得
られた熱延板の板厚方向断面の組織を示す金属組織写真
図、第2図は、第1図に示す熱延板を材料温度を150℃
として冷間圧延したときに、板表面に発生した“さざ波
欠陥”の模様を示す写真図、第3図は、第2図に示す冷
延板の縦断面(板厚方向断面)の組織を示す金属組織写
真図、第4図は、材料の板厚方向において割れを生じて
いる部分(組織)の金属組織拡大写真図、第5図(a)
は、熱延板焼鈍温度と、“さざ波欠陥”および板破断発
生頻度の関係を示す図、第5図(b)は焼鈍後の材料の
断面組織を示す金属組織写真図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量で、C≦0.006%、Si:4.5〜7.1%を含
    有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる熱延板を、
    920〜1050℃の温度域で焼鈍し板厚方向全域に亙って再
    結晶させた後、冷間圧延して最終板厚とし、次いで、80
    0〜1030℃の温度域で焼鈍することを特徴とする冷間加
    工性および磁気特性の良好な高珪素軟磁性鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】冷間圧延が、直径120mmφ以下のロールを
    有する圧延機で、最終板厚0.30mm以下までなされるもの
    である請求項1記載の冷間加工性および磁気特性の良好
    な高珪素軟磁性鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】重量で、C≦0.006%、Si:4.5〜7.1%を含
    有し、S≦0.006%、N≦0.0035%とし、残部Feおよび
    不可避的不純物からなる熱延板を、850〜1050℃の温度
    域で焼鈍し板厚方向全域に亙って再結晶させた後、冷間
    圧延して最終板厚とし、次いで、800〜1030℃の温度域
    で焼鈍することを特徴とする冷間加工性および磁気特性
    の良好な高珪素軟磁性鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】冷間圧延が、直径120mmφ以下のロールを
    有する圧延機で、最終板厚0.30mm以下までなされるもの
    である請求項3記載の冷間加工性および磁気特性の良好
    な高珪素軟磁性鋼板の製造方法。
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