JPH0726014B2 - 難燃化樹脂組成物 - Google Patents

難燃化樹脂組成物

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JPH0726014B2
JPH0726014B2 JP5393889A JP5393889A JPH0726014B2 JP H0726014 B2 JPH0726014 B2 JP H0726014B2 JP 5393889 A JP5393889 A JP 5393889A JP 5393889 A JP5393889 A JP 5393889A JP H0726014 B2 JPH0726014 B2 JP H0726014B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、硬化性難燃化樹脂組成物に関し、より詳しく
は、硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂及び難燃剤から
なる、硬化性でかつ難燃性に優れた樹脂組成物に関す
る。さらに本発明は、該硬化性難燃化樹脂組成物を硬化
して得られる難燃性、耐薬品性に優れた樹脂組成物硬化
体に関する。
〔従来の技術〕
近年、通信用、民生用、産業用等の電子機器の分野にお
ける実装方法の小型化、高密度化への指向は著しいもの
があり、それに伴って材料の面でもより優れた耐熱性、
寸法安定性、電気特性、難燃性が要求されつつある。例
えばプリント配線基板としては、従来からフェノール樹
脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を基材とした銅張
り積層板が用いられてきた。これらは各種の性能をバラ
ンスよく有するものの、電気特性、特に高周波領域での
誘電特性が悪いという欠点を持っている。この問題を解
決する新しい材料としてポリフェニレンエーテルが近年
注目をあび銅張り積層板への応用が試みられている。
ポリフェニレンエーテルは機械的特性と電気的特性に優
れたエンジニアリングプラスチックであり、耐熱性も比
較的高い。しかしながらプリント基板材料として利用し
ようとした場合、極めて高いハンダ耐熱性が要求される
ため、ポリフェニレンエーテル本来の耐熱性では決して
十分とは言えない。即ち、ポリフェニレンエーテルは20
0℃以上の高温に曝されると変形を起こし、機械的強度
の著しい低下や、樹脂表面に回路用として形成された銅
箔の剥離を引き起こす。またポリフェニレンエーテル
は、酸、アルカリ、熱水に対しては強い抵抗性を有する
ものの芳香族炭化水素化合物やハロゲン置換炭化水素化
合物に対する抵抗性が極めて弱く、これらの溶媒に溶解
する。
ポリフェニレンエーテルの耐熱性と耐薬品性を改善する
方法の一つとして、ポリフェニレンエーテルの鎖中に架
橋性の官能基を導入しさらに硬化させて硬化ポリフェニ
レンエーテルとして利用する方法が提案されているが、
今のところ満足すべき解決法は得られていない。
Kurianらは、硬化性のポリフェニレンエーテルとして、
2−アリル−6−メチルフェノールまたは2,6−ジアリ
ルフェノールの重合体をJournal of Polymer Science
誌,第49巻,267頁(1961)に開示している。しかしなが
ら、これらの単独重合では低分子量体のみしか得られ
ず、しかも得られたポリマーを空気中に放置すると、2,
3週間で硬化して使用不能となる。
米国特許第3281393号および同3422062号には、2,6−ジ
メチルフェノールと2−アリル−6−メチルフェノール
または2,6−ジアリルフェノールとの共重合体が開示さ
れている。この共重合体は、分子量は高いものの溶融温
度が硬化温度よりも高いため熱成形を行うことは不可能
である。かかる成形性の改良方法として米国特許第3422
062号においては多量の可塑剤の併用が試みられている
が、これはポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性
(低誘電率、低誘電正接)を損うだけでなく、耐熱性、
耐薬品性の低下にもつながる。またこの硬化体の引張り
強度は、実施例7に示されるように28Kg/cm2と極めて低
い値であり、実用に耐えうるものとは言い難い。
一方米国特許第4634742号には、ビニル基置換ポリフェ
ニレンエーテルが開示されている。これは、2,6−ジメ
チルフェノールの重合体を用いて該重合体のメチル基を
ビニル基に変換するか、またはフェニル基の3,5位にビ
ニル基を導入する方法によって得られるものである。す
なわち、このようにして導入されたビニル基は屈曲性の
炭素鎖やエーテル結合を介せず直接ポリフェニレンエー
テルの芳香環に結合するため、硬化後は可撓性に不足
し、極めて脆い材料となって実用に耐えない。またこの
ポリマーは架橋反応性が低く、架橋に300℃以上の高温
を必要とするという欠点を持っている。
以上のような問題点を解決するため、本発明者らは先に
プロパルギル基あるいはアリル基で置換されたポリフェ
ニレンエーテル、ならびに三重結合あるいは二重結合を
含むポリフェニレンエーテルを発明し、これらが硬化可
能であること、そして得られる硬化体は芳香族炭化水素
溶媒やハロゲン置換炭化水素溶媒に不溶であり優れた誘
電特性を持つことを見い出した(特願昭62−224146号、
同62−224147号、同62−269459号、同62−269460号、同
63−271983号を参照)。しかしながらこれらの硬化体は
難燃性に劣るという問題点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は以上の事情に鑑みて、ポリフェニレンエーテル
の優れた誘電特性を保持しつつ、耐薬品性、耐熱性、難
燃性を兼備した新規なポリフェニレンエーテル樹脂組成
物を提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上述のような問題点を解決するため鋭意検
討を重ねた結果、本発明の目的に沿った新規なポリフェ
ニレンエーテル樹脂組成物を発明するに到った。本発明
は次に述べる発明より構成される。
すなわち本発明は、 (a)(i)下記一般式(I)から実質的に構成される
硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂であって、次式で定
義されるアリル基および/またはプロパルギル基の平均
置換率が0.1モル%以上100モル%以下である硬化性ポリ
フェニレンエーテル樹脂 または(ii)上記硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂98
〜40重量%とトリアリルイソシアヌレートおよび/また
はトリアリルシアヌレート2〜60重量%とからなる樹脂
組成物ならびに(b)リン系、塩素系および臭素系難燃
剤からなる群から選ばれた少なくとも一種の難燃剤を含
有する硬化性難燃化樹脂組成物であって、(a)成分10
0重量部に対して(b)成分を1〜50重量部含むことを
特徴とする硬化性難燃化樹脂組成物を提供する。
Q′J′−H〕(I) 〔式中、mは1または2の整数であり、J′は一般式 (ここで、R1,R2,R3およびR4は各々独立に水素原子、
アリル基またはプロパルギル基であり、R1〜R4の少なく
とも1つは水素以外であり、かつR1〜R4は同一でも異な
っていてもよい。) で表わされる単位を含むポリフェニレンエーテル鎖であ
り、mが1のときQ′は水素原子を表わし、mが2のと
きQ′は一分子中に2個のフェノール性水酸基を持ち、
フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活
性な置換基を有する2官能性フェノール化合物の残基Q
および/または、アリル基および/またはプロパルギル
基で置換されたQを表わし、Q′と結合した2つのポリ
フェニレンエーテル鎖は同じでも異なっていてもよ
い。〕 本発明の上記の組成物は硬化させると、 リン系、塩素系および臭素系難燃剤からなる群から選ば
れた少なくとも一種の難燃剤を含有する難燃化樹脂組成
物硬化体であって、該難燃化樹脂組成物硬化体が該難燃
剤を含有するとともに、(i)クロロホルム非抽出性ポ
リフェニレンエーテル樹脂とクロロホルム抽出性ポリフ
ェニレンエーテル樹脂組成物とから成るポリフェニレン
エーテル樹脂硬化体であって、熱分解ガスクロマトグラ
フィーによる分析で、(a)2−メチルフェノール、
(b)2,6−ジメチルフェノール、(c)2,4−ジメチル
フェノール、(d)3,5−ジメチルフェノールおよび
(e)2,4,6−トリメチルフェノールが熱分解生成物と
して生成し、かつこれら(a)〜(e)のピーク面積比
が次の不等式を満たすとともに、 〔式中、A,B,C,DおよびEはそれぞれ熱分解成分a,b,c,d
およびeに起因する熱分解ガスクロマトグラムのピーク
面積を表わす〕 該難燃化樹脂組成物硬化体をクロロホルムにより23℃で
12時間処理したときのクロロホルム抽出率から決定され
るクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂組成
物の量が該難燃化樹脂組成物硬化体を基準として0.01重
量%以上20重量%以下であり、該クロロホルム抽出性ポ
リフェニレンエーテル樹脂組成物が次の一般式(II) 〔式中、R1,R2,R3およびR4は各々独立に水素原子、ア
リル基またはプロパルギル基であり、R1〜R4の少なくと
も1つは水素以外であり、かつR1〜R4は同一でも異なっ
ていてもよい〕で表わされる単位を含むことを特徴とす
るポリフェニレンエーテル樹脂硬化体 からなるか、あるいは、 (ii)クロロホルム非抽出性ポリフェニレンエーテル樹
脂とクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂組
成物とから成るポリフェニレンエーテル樹脂組成物硬化
体であり、熱分解ガスクロマトグラフィーによる分析
で、2−メチルフェノール、2,6−ジメチルフェノ
ール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチ
ルフェノール、およびトリアリルイソシアヌレートお
よび/またはトリアリルシアヌレートが熱分解生成物と
して生成し、かつこれら〜のピーク面積比が次の不
等式を満たすとともに、 〔式中、〔1〕,〔2〕,〔3〕,〔4〕および〔5〕
はそれぞれ熱分解成分,,,およびに起因す
る熱分解ガスクロマトグラムのピーク面積を表わす〕 該難燃化樹脂組成物硬化体をクロロホルムにより23℃で
12時間処理したときのクロロホルム抽出率から決定され
るクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂組成
物の量が該難燃化樹脂組成物硬化体を基準として0.01重
量%以上10重量%以下であり、かつ該クロロホルム抽出
性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物が次の一般式(I
I) (式中、R1,R2,R3およびR4は各々独立に水素原子、ア
リル基またはプロパルギル基であり、R1〜R4の少なくと
も1つは水素以外であり、かつR1〜R4は同一でも異なっ
ていてもよい) で表わされる単位および、トリアリルイソシアヌレート
および/またはトリアリルシアヌレートを含むことを特
徴とするポリフェニレンエーテル樹脂組成物硬化体 からなる難燃化樹脂組成物硬化体を提供する。
以上の発明について以下に詳しく説明する。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の(a)成分に用いら
れる硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂とは、下記一般
式(I)から実質的に構成されるアリル基および/また
はプロパルギル基で置換されたポリフェニレンエーテル
であって、次式で定義されるアリル基および/またはプ
ロパルギル基の平均置換率が0.1モル%以上100モル%以
下のものを指す。
Q′J′−H〕 (I) 一般式(I)において、mは1または2の整数を示す。
またJ′は、一般式 で表わされる単位を含むポリフェニレンエーテル鎖を示
し、ここでR1〜R4は各々独立に水素原子、アリル基、ま
たはプロパルギル基であり、R1〜R4の少なくとも1つは
水素以外であり、かつR1〜R4は同一であっても異なって
いてもよい。Q′は、mが1のとき水素原子を表わし、
mが2のときは一分子中に2個のフェノール性水酸基を
持ち、フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重
合不活性な置換基を有する2官能性フェノール化合物の
残基Qおよび/または、アリル基および/またはプロパ
ルギル基で置換されたQを表わす。またmが2のとき、
Q′と結合した2つのポリフェニレンエーテル鎖は同じ
でも異なっていてもよい。
Qで表わされる2官能性フェノール化合物の代表的な例
としては、次の2種の一般式で表わされる化合物群が挙
げられる。
〔式中、A1,A2は同一または異なる炭素数1〜4の直鎖
状アルキル基を表わし、Yは脂肪族炭化水素残基および
それらの置換誘導体、芳香族炭化水素残基およびそれら
の置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導
体、酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表わし
A2と直接結合した2つのフェニル基、A2とYの結合位置
はすべてフェノール性水酸基のオルト位およびパラ位を
示す。〕 具体例として、 等が挙げられる。
一般式(I)の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の具
体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン
エーテル)をアリル基および/またはプロパルギル基で
置換反応して得られる樹脂、あるいは上記の2官能性フ
ェノール化合物QH)の共存下に2,6−ジメチルフ
ェノールを重合して得られた2官能性ポリフェニレンエ
ーテルをさらにアリル基および/またはプロパルギル基
で置換反応して得られる樹脂を挙げることができる。
一般式(I)の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂を製
造する方法としては、特に限定されるものではないが、
例えば特願昭62−224146号、同62−224147号に開示され
た方法を挙げることができる。すなわち、第1の方法と
して、一般式 QJ−H〕 〔式中、mは1または2の整数であり、Jは次の一般式
で表わされる単位から成るポリフェニレンエーテル鎖で
あり、 mが1のときQは水素原子を表わし、mが2のときQは
前記一般式(III−a),(III−b)の2官能性フェノ
ール化合物の残基を表わす。〕 で表わされるポリフェニレンエーテルを有機金属でメタ
ル化する工程および、アリルハライドおよび/またはプ
ロパルギルハライドで置換反応する工程より成る方法を
挙げることができる。また、第2の製造方法として、一
般式 Q″J″−H〕 〔式中、mは1または2の整数であり、J″は一般式 (ここで、R5,R6,R7およびR8は各々独立に水素原子ま
たはアリル基であり、R5〜R8の少なくとも1つはアリル
基であり、かつR5〜R8は同一でも異なっていてもよ
い。) で表わされる単位を含むポリフェニレンエーテル鎖であ
り、mが1のときQ″は水素原子を表わし、mが2のと
きQ″は前記一般式(III−a),(III−b)の2官能
性フェノール化合物の残基および/または、アリル基で
置換されたQを表わす。〕 から実質的に構成されるアリル基置換ポリフェニレンエ
ーテルのアリル基の二重結合にハロゲンを付加させる工
程および金属アミドで脱ハロゲン化水素させる工程より
成る方法を挙げることができる。
一般式(I)の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の分
子量については特に制限されず、低分子量体から高分子
量体まで使用できるが、特に30℃,0.5g/dlのクロロホル
ム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.2〜1.0の範囲にある
ものが良好に使用できる。
本発明の樹脂組成物を得るにあたっては、一般式(I)
の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂のアリル基および
/またはプロパルギル基の平均置換率は0.1モル%以上1
00モル%以下の範囲にあることが好ましく、より好適に
は0.5モル%以上50モル%以下の範囲である。ここで言
う平均置換率とは、フェニル基の全モル数に対するアリ
ル基および/またはプロパルギル基の全モル数の比とし
て定義され、最大で400モル%である。
平均置換率が0.1モル%を下まわると後述するキャステ
ィング法による成膜性が低下したり、硬化後の耐薬品性
の改善が不十分となるので好ましくない。また100モル
%を越えると硬化後において非常に脆くなるのでやはり
好ましくない。
本発明の第1である硬化性難燃化樹脂組成物の(a)成
分に用いられるトリアリルイソシアヌレートおよび/ま
たはトリアリルシアヌレートとは、次の構造式で表され
る3官能性モノマーである。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の(a)成分として
は、上記硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂が単独で、
もしくは上記硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂とトリ
アリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシア
ヌレートが同時に用いられる。トリアリルイソシアヌレ
ート及び/またはトリアリルシアヌレートは、賦形の際
の成形性を改善し、かつ硬化の際の架橋密度を向上させ
て耐薬品性の一層の向上を図るために用いられる。トリ
アリルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレート
はそれぞれ単独で用いられるだけでなく、両者を任意の
割合で混合して使用することが可能である。
硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂とトリアリルイソシ
アヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレートを同
時に用いる場合、その配合割合は、両者の和を基準とし
て硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂が98〜40重量%、
より好ましくは95〜60重量%の範囲であり、トリアリル
イソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
トが2〜60重量%、より好ましくは5〜40重量%の範囲
である。トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリル
シアヌレートが2重量%未満では成形性や耐薬品性の改
善が不充分であり、好ましくない。逆に60重量%を越え
ると誘電特性や難燃性が低下し、また硬化後において非
常に脆い材料となるので好ましくない。さらには後で述
べるキャスティング法で成膜すると、脆くかつ表面のべ
たついた材料となるので好ましくない。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の(b)成分として用
いられる難燃剤とは、リン系、塩素および臭素系難燃剤
からなる群から選ばれた少なくとも一種の難燃剤であ
り、任意のものが使用できる。好適な難燃剤は例えば次
のようなものである。
(1)次の一般式で表わされるリン酸エステルまたは亜
リン酸エステル (式中、R9〜R10は脂肪族炭化水素残基、芳香族炭化水
素残基、アラルキル基;これらが塩素および/または臭
素で置換された残基;水素; −CH2N(CH2CH2OH)2−CH2OH, −OCH2CH2O−C4H9, 等で例示される含窒素および/または含酸素炭化水素残
基を表わし、R9〜R10の少なくとも1つは水素以外であ
る) (2)次式で例示されるような縮合リン酸エステル (3)赤リンまたは赤リンを主成分として含む難燃剤。
(4)塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、臭素
化ポリフェニル、パークロロペンタシクロデカン、ヘキ
サブロモシクロドデカン、テトラブロモエタン、テトラ
ブロモブタン、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモベ
ンゼン、ペンタブロモメチルベンゼン、1,2−ジブロモ
−3−クロロプロパン、1,2,3−トリブロモプロパン等
で例示される塩素および/または臭素化脂肪族炭化水素
化合物、または塩素および/または臭素化芳香族炭化水
素化合物。
(5)次の一般式で表わされる塩素化および/または臭
素化芳香族化合物。
(式中、Xは塩素または臭素を表わし;k,l,p,g,r,x,y,z
はいずれもベンゼン環上に存在する塩素または臭素の総
数を表わす整数であり、k,lは0〜5でかつk+l≧1
であり、p,qは0〜4でかつp+q≧1であり、rは1
〜5であり、x,y,zは1〜4であり;Z1は酸素または2
価のヒドロキシ化合物残基を表わし、Z2は脂肪族炭化水
素残基、芳香族炭化水素残基、アラルキル基、2価のヒ
ドロキシ化合物残基、酸素を表わし;R12〜R14は下式で
表わされる原子又は基からなる群から独立に選ばれた一
種であり、−H, −CH2CH=CH2 −CH2CH2OH, CH2CH2O2H nは5〜100の整数であり、R15は−OHまたは (6)次式で例示されるような塩素化および/または臭
素化含窒素炭化水素化合物。
一般式(IV)のリン酸エステルの具体的な例としては、
トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ト
リブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ト
リブトキシホスフェート、トリフェニルホスフェート、
トリクレジルホスフェート、トリス(トリブロモフェニ
ル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェー
ト、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート;2
−アクリロキシエチルホスフェート、ビス(2−アクリ
ロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリ
ロキシエチルホスフェート、これらアクリロキシ基がメ
タクリロキシ基になったもの等が挙げられる。
一般式(V)の亜リン酸エステルの具体的な例として
は、ジ(イソプロピル)−N,N′−ビス(2−ヒドロキ
シエチル)アミノメチルホスホネート、グリシジル−α
−メチル−β−ジ(ブトキシ)ホスフィニルプロピオネ
ート、ジブトキシホスフィニルプロピルアミド、ジブチ
ルヒドロキシメチルホスホネート等が挙げられる。
一般式(VI)の化合物の具体的な例としては、テトラブ
ロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテ
ル等があげられる。
一般式(VII)の化合物の具体的な例としては、テトラ
ブロモビスフェノールAおよびこれから誘導される、前
述の基を含む化合物等が挙げられる。
一般式(VIII)の化合物の具体的な例としては、トリブ
ロモフェノールおよびこれから誘導される、前述の基を
含む化合物等が挙げられる。
一般式(IX)の化合物の具体的な例としては、ポリ(2,
6−ジブロモ−1,4−フェニレンエーテル)、ベンゾイル
基でエンドキャップされたポリ(2,6−ジブロモ−1,4−
フェニレンエーテル)等が挙げられる。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の(b)成分として用
いられる難燃剤の特に好ましい例は、トリス(トリブロ
モフェニル)ホスフェート、赤リンを主成分として含む
難燃剤(具体的には、燐化学工業(株)製ノーバレッ
ド、ノーバクエル等)、テトラブロモベンゼン、ヘキサ
ブロモベンゼン、ペンタブロモメチルベンゼン、テトラ
ブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエー
テル、テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテ
ル、テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテルの
アリル基の2重結合に臭素を4個付加させた化合物、テ
トラブロモビスフェノールAジクリシジルエーテル、テ
トラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブ
ロモビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモ
ビスフェノールAジ(2−アクリロキシエチル)エーテ
ル、テトラブロモビスフェノールAジ(2−メタクリロ
キシエチル)エーテル、トリブロモフェニルアクリレー
ト、トリブロモフェニルメタクリレート、トリブロモフ
ェニル−2−アクリロキシエチルエーテル、トリブロモ
フェニル−2−メタクリロキシエチルエーテル、ポリ
(2,6−ジブロモ−1,4−フェニレンエーテル)、ベンゾ
イル基でエンドキャップされたポリ(2,6−ジブロモ−
1,4−フェニレンエーテル)、トリアリルイソシアヌレ
ートのアリル基のすべての2重結合に臭素を付加させた
化合物等である。
以上述べた難燃剤のうち、分子内にオレフィン性不飽和
二重結合を少なくとも2個有する難燃剤は架橋性を有し
ており、上述したトリアリルイソシアヌレートやトリア
リルシアヌレートを併用せずとも優れた耐薬品性を付与
することができ、なおかつ難燃性とすることができる。
この様な架橋性難燃剤の好適な例は、テトラブロモビス
フェノールAジアリルエーテル、テトラブロモビスフェ
ノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノール
Aジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ
(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモビ
スフェノールAジ(2−メタクリロキシエチル)エーテ
ル等である。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物は、上記の(a),
(b)二つの成分を配合することにより製造される。両
者の配合比は、(a)成分100重量部に対して(b)成
分が1〜50重量部の範囲であり、より好ましくは2〜30
重量部の範囲である。(b)成分が1重量部未満では難
燃性が付与されず好ましくない。逆に60重量部を越える
と誘電特性、耐薬品性、機械特性が低下するので好まし
くない。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物は、上記の(a),
(b)二つの成分に加えて、難燃性の一層の向上を図る
目的で難燃助剤を加えて用いることができる。難燃助剤
としては任意のものを用いることができるが、特にSb2O
3,Sb2O5,NaSbO3・1/4H2O等のアンチモン化合物を用い
ることが好ましい。難燃助剤の好適な量は、難燃剤の量
に応じて選ばれるが、(a)成分の100重量部に対して
は0.1〜50重量部の範囲で用いられ、より好ましくは1
〜30重量部の範囲で用いられる。難燃助剤が0.1重量部
未満ではその効果が現われず、難燃性が改善されないの
で好ましくない。逆に50重量部を越えると誘電特性、耐
薬品性、機械特性が低下するので好ましくない。
以上の成分を配合する方法は特に制限されず、溶液混合
による方法や加熱溶融による方法などを利用することが
できる。
溶液混合に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、
クロロホルム、トリクロロエチレンなどのハロゲン置換
炭化水素やベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族
炭化水素などのうちから選んだ単独または混合溶媒が挙
げられる。これらの溶媒中に溶かしたり分散させたりし
た上記の樹脂組成物をキャスティング法によりフィルム
状に賦形することができる。
このようなキャスティング法以外の賦形方法としては通
常の加熱溶融による方法が挙げられ、インジェクション
成形、トランスファー成形、押出成形、プレス成形等の
方法が利用できる。加熱溶融の際の温度は、該樹脂組成
物のガラス転移温度以上硬化開始温度以下の範囲で選ば
れる。一般式(I)で表わされる硬化性ポリフェニレン
エーテル樹脂の場合、アリル基および/またはプロパル
ギル基の効果により、これらの官能基を持たないポリフ
ェニレンエーテルと比較してガラス転移温度が約140℃
〜約210℃と大旨低く、熱成形に有利である。さらには
トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリル
シアヌレートを用いる場合には、これらが可塑剤として
の効果も発揮するため、ガラス転移温度は80〜160℃の
範囲となり、低温においても顕著な流動性が認められ、
熱成形に一層有利となっている。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物を硬化させる方法は任
意であり、熱、光、電子線等による方法を採用すること
ができる。
また硬化の際の温度を低くしたり架橋反応を促進する目
的で触媒としてラジカル開始剤を含有させて使用するこ
ともできる。開始剤の好ましい量は、(a)成分100重
量部に対して0.1〜10重量部の範囲であり、より好まし
くは0.1〜5重量部の範囲である。開始剤が0.1重量%未
満では硬化が十分行なわれず、耐薬品性が不十分となる
ので好ましくない。逆に10重量%を越えると、開始剤が
残存して誘電特性を低下させたり脆い材料となるため好
ましくない。ラジカル開始剤の代表的な例を挙げると、
ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオ
キサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α′−ビス(t
−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキ
シイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−
ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ
(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリ
ルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物があ
るがこれらに限定されない。また過酸化物ではないが、
2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンもラジカル開始
剤として利用できる。
加熱により硬化を行う場合の温度は、開始剤の有無やそ
の種類によっても異なるが、温度は100℃〜350℃、より
好ましくは150℃〜300℃の範囲で選ばれる。また時間は
1分〜5時間程度、より好ましくは1分〜3時間であ
る。この硬化反応の程度は示差走査熱量計や赤外吸収
(以下IRと略称する)スペクトル法により追跡すること
が可能である。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物は、その用途に応じて
所望の性能を付与する目的で本来の性質を損わない範囲
の量の充填材や添加剤を配合して用いることができる。
充填材は繊維状であっても粉末状であってもよく、ガラ
ス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、セ
ラミック繊維、アスベスト繊維、カーボンブラック、シ
リカ、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス
中空球などを挙げることができる。又添加剤としては、
酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染
料、着色剤などを配合することができる。
以上述べてきた本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の特徴
をまとめると、まず第1にキャティング法による成膜性
に優れている点にある。通常のポリフェニレンエーテル
では溶媒成膜性がほとんど認められないのに対し、本発
明の樹脂組成物では平滑に表面にべたつきのないフィル
ムが得られ、取り扱いが容易である。第2の特徴は貯蔵
安定性に優れる点であり、溶液状またはフィルム状でゲ
ル化することなく長期間保存可能である。第3の特徴は
ガラス転移温度が低く流動性に優れるため、熱成形が行
いやすい点にある。そして第4の特徴は、難燃性に優れ
ている点である。
次に本発明の難燃化樹脂組成物の硬化体について説明す
る。この難燃化樹脂組成物硬化体は、本発明の硬化性難
燃化樹脂組成物を加熱等の方法により硬化することによ
って得られるものである。
該難燃化樹脂組成物硬化体がポリフェニレンエーテル樹
脂、もしくはポリフェニレンエーテル樹脂とトリアリル
イソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
トから成る組成物を硬化させたものであるということに
ついては、例えばIRスペクトル法、固体の高分解能核磁
気共鳴(以下NMRと略称する)スペクトル法(いわゆるC
P−MAS)、熱分解ガスクロマトグラフィー等の分析手法
により実証することができる。特に熱分解ガスクロマト
グラフィーは非常に有効な解析手段であり、ポリフェニ
レンエーテル樹脂を用いた類似の硬化体との区別も容易
に行える。
本発明の難燃化樹脂組成物硬化体がトリアリルイソシア
ヌレートおよびトリアリルシアヌレートを含まない組成
物の硬化体である場合、該硬化体を不活性ガス雰囲気
下、500℃で4秒間熱分解すると2−メチルフェノール
(a)、2,6−ジメチルフェノール(b)、2,4−ジメチ
ルフェノール(c)、3,5−ジメチルフェノール
(d)、2,4,6−トリメチルフェノール(e)、の5つ
の特徴的な熱分解生成物が生成する。これら5つの生成
物のうち、(a),(b),(c),(e)の4つにつ
いては、通常一般のポリフェニレンエーテル樹脂及びそ
の組成物についても検出できるものであり、Journal of
Applied Polymer Science誌,第22巻,2891頁(1978)
等の文献にその生成機構が詳細に報告されている。これ
に対し、3,5−ジメチルフェノール(d)は本発明の硬
化体に特有の熱分解生成物であり、しかもその生成量を
他の4つの生成物と比較すると、 という関係が常に成立する。ここでA〜Eはそれぞれ熱
分解成分(a)〜(e)に起因する熱分解ガスクロマト
グラムのピーク面積を表わす。
3,5−ジメチルフェノールが生成する機構については今
のところ詳らかではないが、例えば以下のような説明が
可能である。
ポリフェニレンエーテルの熱分解機構として上述の文献
中にフリース型の転移反応が提唱されており、式(X)
のように表わされる。この移転反応によりポリフェニレ
ンエーテルの熱分解生成物として得られるフェノール類
は必ず2,4,6のいずれかの位置にメチル基を含んでい
る。ところが本発明の硬化体の原料として用いられる一
般式(I)の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の場合
には、アリル基および/またはプロパルギル基がポリフ
ェニレンエーテル鎖中に導入されており、しかもこれら
が硬化過程で重合反応を起こしたり、架橋反応したりし
て、 R:水素ならびにアリル基および/またはプロパルギル基 ポリフェニレンエーテル鎖どうしを強固に結びつけるた
め、上記のフリース型転移反応が著しく阻害を受けるも
のと解釈される。また、特にメチル基上にアリル基およ
び/またはプロパルギル基が置換されると、フリース型
転移反応はこれらの官能基によって直接妨害を受けるこ
とになる。
これらの結果、本発明の硬化体では、例えば式(XI)の
ような機構で熱分解を起こし、3,5−ジメチルフェノー
ルを与えるものと思われる。
そして3,5−ジメチルフェノールの生成比は、一般式
(I)のポリフェニレンエーテル樹脂の平均置換率が大
きくなるにつれて大きくなる傾向にあり、また硬化反応
がより進むにつれて大きくなる傾向にある。
3,5−ジメチルフェノールの生成比が7.0%未満の場合に
は硬化度が不十分であり、耐熱性および耐薬品性に劣る
ため好ましくない。一方、40%を越えるときは、硬化度
が高くなるので、硬化体が脆くなり好ましくない。
一方、本発明の難燃化樹脂組成物硬化体がトリアリルイ
ソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレート
を含む組成物の硬化体である場合には、該硬化体を不活
性ガス雰囲気下、590℃で4秒間熱分解すると、2−
メチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,4
−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノー
ル、およびトリアリルイソシアヌレートおよび/また
はトリアリルシアヌレートの5種類ないしは6種類の特
徴的な熱分解生成物が生成し、これらの生成量の間には という関係が常に成立する。ここで〔1〕〜〔5〕はそ
れぞれ熱分解成分〜に起因する熱分解ガスクロマト
グラムのピーク面積を表わす。上記の熱分解生成物のう
ち〜の生成機構については上述した通りである。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物中のトリアリルイソシ
アヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレートの占
める割合が大きくなると、それに対応して〜の生成
量に対するの生成量が増大する。先の不等式で計算さ
れる値が0.05未満の場合には、トリアリルイソシアヌレ
ートおよび/またはトリアリルシアヌレートの量が不
足し、耐薬品性の改善が不十分となって好ましくない。
逆に不等式の値が40を超えると、誘電特性が低下したり
脆い材料となるので好ましくない。
以上の熱分解ガスクロマトグラフィーに用いられる熱分
解の方法は、本発明を実施する上で特に限定されるもの
ではなく、加熱フィラメント法、加熱炉法、高周波誘導
加熱法、レーザー加熱法等あらゆる方法が利用できる。
とくに高周波誘導加熱法(キュリーポイントパイロライ
ザー)は非常に迅速な加熱が可能であり、かつ得られる
温度が正確で再現性があるため本分析に最適である。
熱分解条件は、硬化体の組成によて最適条件が選ばれ、
特に限定するものではないが、該硬化体がトリアリルイ
ソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレートを含まな
い組成物の硬化体である場合には、500℃,4秒間が適し
ており、トリアリルイソシアヌレートおよび/またはト
リアリルシアヌレートを含む組成物の硬化体である場合
には、590℃,4秒間が適している。
トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリル
シアヌレートの有無については、後述するクロロホルム
抽出物の解析によって予め判断することができる。
本分析に用いられる不活性ガスとしてはヘリウムまたは
窒素がガスクロマトグラフのキャリヤーガスと共通で利
用できる。熱分解させる際の試料の形状としては、再現
性を良くする目的で微粉末化することが好ましい。
ガスクロマトグラフの分離カラムとしては、上述の5つ
ないし6つの熱分解生成物が完全に分解できればよく、
特に限定されるものではないが、メチルシリコーン系の
非極性カラムないしはこれと同程度の非極性を有するカ
ラムが最も良好に使用できる。カラムの形状としては充
填カラムであってもキャピラリーカラムであっても良
く、特に後者は分離能が優れており良好に使用できる。
またカラム温度についても特に限定する趣旨はないが、
室温付近から毎分10℃ないし20℃ずつ昇温するのが分析
時間が短縮できて有効である。
本分析でガスクロマトグラフの検出器として利用できる
のは、熱伝導度型検出器(TCD)と水素炎イオン化型検
出器(FID)であり、質量分析装置(MS)と接続して熱
分解GCMSとして利用することも可能である。また定性を
目的としてフーリエ変換型IR(FT−IR)を検出器代りに
用いることもできる。
本発明の難燃化樹脂組成物硬化体の構造を解析する手法
として熱分解ガスクロマトグラフィーと並んで有効な方
法は、クロロホルム抽出物の解析である。本発明の難燃
化樹脂組成物硬化体は難燃剤を含有するとともに、クロ
ロホルム非抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂とクロロ
ホルム抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物とから
成っており、このうちクロロホルム抽出性ポリフェニレ
ンエーテル樹脂組成物の量をクロロホルム抽出率より決
定できる。ここで言うクロロホルム抽出率とは、該難燃
化樹脂組成物硬化体をクロロホルム中に23℃で12時間浸
漬して得られる値であり、該硬化体のクロロホルム浸漬
前の重さを基準として次式に従って計算される。
クロロホルム抽出率の好ましい範囲は、該クロロホルム
抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物にトリアリル
イソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
トが含まれるか否かによって異なる。
後述する様な1H−NMRの解析によってトリアリルイソシ
アヌレートおよび/トリアリルシアヌレートが検出され
ない場合には、クロロホルム抽出率は0.01重量%以上20
重量%以下であり、より好ましくは0.01重量%以上10重
量%以下である。一方、トリアリルイソシアヌレートお
よび/またはトリアリルシアヌレートが検出される場合
には、クロロホルム抽出率は0.01重量%以上10重量%以
下であり、より好ましくは0.01重量%以上5重量%以下
である。いずれの場合にせよクロロホルム抽出率がこれ
らの範囲より小さい場合には硬化体が脆くなり好ましく
ない。逆に大きい場合には耐薬品性が不充分でありやは
り好ましくない。
クロロホルムに浸漬させる難燃化樹脂組成物硬化体の形
状としては、クロロホルムの除去しやすさを考慮してフ
ィルム状又は粉末状が最も好ましい。
クロロホルム抽出率の測定は、クロロホルムの代りに重
クロロホルムを用いて行うこともできるが、この場合の
抽出物の重クロロホルム溶液のNMRスペクトルを測定す
ることにより、クロロホルム抽出性ポリフェニレンエー
テル樹脂組成物の成分およびその構造を知ることが可能
である。本発明にかかわるクロロホルム抽出性ポリフェ
ニレンエーテル樹脂組成物中には、次の一般式(II)で
表わされる単位か、もしくは(II)とトリアリルイソシ
アヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレートが同
時に含まれる。
〔ここで、R1,R2,R3およびR4は各々独立に水素原子、
アリル基またはプロパルギル基であり、R1〜R4の少なく
とも1つは水素以外であり、かつR1〜R4は同一でも異な
っていてもよい〕 本発明におけるクロロホルム抽出性ポリフェニレンエー
テル樹脂組成物は、本発明の第1で述べた硬化性難燃化
樹脂組成物のうち硬化過程において硬化反応に十分寄与
できなかった成分が抽出されたものである。しかし該ク
ロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の
組成は、必ずしももとの硬化性難燃化樹脂組成物の組成
と一致するわけではない。例えば難燃剤は抽出物中に確
認できてもよく、確認できなくとも構わない。一般式
(II)で表わされるポリフェニレンエーテルとトリアリ
ルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレ
ートの比率は問わない。また一般式(II)で表わされる
ポリフェニレンエーテルの平均置換率についても、本発
明の(a)成分中の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂
の平均置換率に一致するわけではない。更に、該硬化性
ポリフェニレンエーテル樹脂のQ′で表わされる水素ま
たは2官能性フェノール化合物の残基については、抽出
物中に確認できてもよく確認できなくとも構わない。こ
れらのクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂
組成物の構造確認の手段としては、前述の通りNMRスペ
クトル法が有効であるが、その中でも特に1H−NMRが有
効である。又IRスペクトル法も利用できる。
本発明の難燃化樹脂組成物硬化体中に含有される難燃剤
は、どのような形で存在してもよい。すなわち、クロロ
ホルム非抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂中とクロロ
ホルム抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物中のど
ちらに存在してもよく、両者に同時に存在してもよい。
また、架橋性難燃剤を用いた場合のようにポリフェニレ
ンエーテル樹脂に共有的に結合して存在してもよい。
本発明の難燃化樹脂組成物硬化体中に含有される難燃剤
は、リン系、塩素系および臭素系難燃剤からなる群から
選ばれた少なくとも一種の難燃剤であり、例えば蛍光X
線法や発光分析法等の方法により元素の定性および定量
分析を行うことができる。該硬化体を熱や酸等で分解し
た後、滴定やイオンクロマトグラフ等の手法を用いて分
析することも可能である。
以上述べてきた本発明の難燃化樹脂組成物硬化体の特徴
をまとめると、まず第1にその優れた耐薬品性であり、
第2に難燃性である。耐薬品性は、特にトリアリルイソ
シアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレートを
用いた系が優れており、トリクロロエチレン中で煮沸し
ても膨潤は小さく、外観の変化も認められなかった。ま
た、架橋性難燃剤を用いるとトリアリルイソシアヌレー
トやトリアリルシアヌレートを用いなくとも優れた耐薬
品性を難燃性と同時に付与することができた。
第3の特徴は、ポリフェニレンエーテルの優れた誘電特
性(低誘電率、低誘電正接)が損われていないことであ
り、プリント基板等の材料として有用である。さらに本
発明における硬化反応は、硬化性ポリフェニレンエーテ
ル樹脂中のアリル基やプロパルギル基および、トリアリ
ルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレ
ート中のアリル基、架橋性難燃剤中のオレフィン性不飽
和二重結合の付加反応によって起こるため、ポリイミド
樹脂の様に縮合反応に起因する水、ガス等の副生物が生
成せず、均一でボイドのないフィルム、シート、成形品
が得られるという特徴も有する。
〔実施例〕
以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説
明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するも
のではない。
実施例1〜5 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の合成 30℃,0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp
/Cが0.56であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン
エーテル)(以下PPE−1と略称する。)350gをテトラ
ヒドロフラン(以下THFと略称する。)7.0lに溶解さ
せ、n−ブチルリチウム(1.5モル/l、ヘキサン溶液)3
90mlを加えて窒素雰囲気下、40℃で1時間反応させた。
続いてアリルブロマイド30mlを加え、40℃のままさらに
30分間攪拌した。最後に水2.8lとメタノール2.8lの混合
溶液を加え、ポリマーを析出させた。濾過とメタノール
洗浄を5回繰り返した後、80℃で14時間真空乾燥させ、
白色粉末状のアリル基置換PPE−1を得た。1H−NMRによ
り求めたアリル基の平均置換率は14%であった。また30
℃,0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度η数sp/C
は0.61であった。
硬化性難燃化樹脂組成物 上で合成したアリル基置換PPE−1,トリアリルイソシア
ヌレート(以下TAICと略記する)またはトリアリルシア
ヌレート(以下TACと略記する)、開始剤、難燃剤、お
よび難燃助剤を表−1に示した組成でトリクロロエチレ
ン中に溶解または均一に分散させ、キャスティング法に
より厚さ約100μmのフィルム状に成膜した。開始剤、
難燃剤、難燃助剤としては次のようなものを用いた。
開始剤;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3 (日本油脂(株))パーヘキシン25B) 難燃剤; [第一工業製薬(株)GX−6094] F赤リン系難燃剤 [燐化学工業(株)ノーバレッド120UF] 難燃助剤;Sb2O3(日本精鉱(株)PATOX−M) 得られたフィルムの成膜性、保存安定性、熱機械的分析
装置(TMA)で測定したガラス転移温度を表−1にまと
めた。いずれのフィルムも成膜性に優れており、表面の
平滑なべたつきのない物であった。また、室温で3か月
間放置してもゲル化は起らず、長期保存性にも優れてい
た。
難燃化樹脂組成物硬化体 上記の方法で得た樹脂組成物のフィルムを12枚重ね合わ
せ、真空プレスにより室温から200℃まで加熱圧縮し、2
00℃で30分間保持後、冷却して厚さ1mmのシート状硬化
体をえた。いずれの実施例についてもフィルムのガラス
転移温度が低く流動性に優れていたため、プレス成形は
容易であった。得られたシート状硬化体の物性を表−2
にまとめた。各物性の測定は次に述べる方法により行っ
た。
1.クロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル樹脂組成
物量 シートの一部をヤスリで削って微粉末化し、クロロホル
ム中に23℃で12時間浸漬して、その前後の重さから次式
に従って求めた。
2.フェノール類とTAICまたはTACの熱分解生成比 シート状硬化体の微粉末を熱分解ガスクロマトグラフィ
ーで分析することにより求めた。熱分解ガスクロマトグ
ラフィーの測定条件は次の通りである。
(熱分解装置) 日本分析工業 キュリーポイントパイロ ライザー JHP−3S オーブン温度 300℃ 熱分解条件 590℃,4秒 (ガスクロマトグラフ) ヒューレットパッカード 5890A カラム J&W社DB−1 0.25mmI.D.×30m カラム温度 50℃より10℃/分で昇温 キャリヤーガス He 検出器 FID ガスクロマトグラムのピークの同定は、市販の試薬を標
準として用い、保持時間、質量スペクトルおよびFT−IR
スペクトルを比較することにより行った。
フェノール類とTAICまたはTACの熱分解生成比は次式に
従って計算した。
フェノール類とTAICまたはTACの熱分解 (式中、〔1〕は2−メチルフェノールの、〔2〕は2,
6−ジメチルフェノールの、〔3〕は2,4−ジメチルフェ
ノールの、〔4〕は2,4,6−トリメチルフェノールの、
〔5〕はTAIC又はTACのそれぞれピーク面積を表わ
す。) 3.ハンダ耐熱性 シート状硬化体を約15mm角に切り出し、260℃のハンダ
浴中に120秒間浮かべ、外観の変化を目視により観察し
た。
4.耐トリクロロエチレン性 シート状硬化物を約15mm角に切り出し、トリクロロエチ
レン中で5分間煮沸し、取り出してから5分後の重量増
加を次式から求めた。また外観の変化を目視により観察
した。
5.難燃性 長さ127mm、幅12.7mmの試験片を切り出し、UL−94の試
験法に準じて行った。
6.誘電率、誘電正接 1MHzで測定を行った。
いずれの実施例についても難燃性、耐トリクロロエチレ
ン性は良好であり、誘電特性に優れていた。
一方、難燃化樹脂組成物硬化体の構造を確認するため以
下のような解析を行った。まず微粉末化した硬化体のFT
−IR(拡散反射法)を測定し、いずれの実施例について
もポリフェニレンエーテル骨格の存在を確認した。その
主要なピークの帰属は次の通りであった。
同時に1700cm-1にTAICに起因するカルボニル基の吸収が
確認された。
次に硬化体の微粉末を重クロロホルム(CDCl3)中に23
℃で12時間漬浸し、クロロホルム抽出性ポリフェニレン
エーテル樹脂組成物を抽出した。この重クロロホルム溶
液をNMRサンプル管に移し1H−NMRを測定したところ、い
ずれの実施例についてもポリフェニレンエーテル鎖と2
種類のアリル基が確認された。このうち一方のアリル基
は、樹脂組成物の原料として用いた硬化性ポリフェニレ
ンエーテル樹脂のアリル基と化学シフトが一致した。も
う一方のアリル基はTAICまたはTACのアリル基であっ
た。主要なピーク帰属は次の通りである。
実施例6,7 実施例1〜5で用いたものと同じ平均置換率14%のアリ
ル基置換PPE−1を用い、表−1の組成で実施例1〜5
と同様の操作を繰返した。ただし熱分解ガスクロマトグ
ラフィーによる分析では、以下に述べるように3,5−ジ
メチルフェノールの生成比を求めた。
(分析装置、分析条件、分析方法) 熱分解条件を500℃,4秒とする以外はすべて前述のフェ
ノール類とTAICまたはTACの生成比の分析と同様に行っ
た。
(式中、Aは2−メチルフェノールの、Bは2,6−ジメ
チルフェノールの、Cは2,4−ジメチルフェノールの、
Dは3,5−ジメチルフェノールの、Eは2,4,6−トリメチ
ルフェノールのそれぞれのピーク面積を表わす) 物性を表−1と表−2にまとめた。架橋性難燃剤を用い
た実施例6では、TAICおよびTACを用いていないにもか
かわらず、極めて良好な耐トリクロロエチレン性を示し
た。
また硬化体の構造を確認するために実施例1〜5と同様
にFT−IR(拡散反射法)および重クロロホルム抽出物の
1H−NMRを測定した。いずれの実施例においてもFT−IR
の測定からはポリフェニレンエーテルの骨格が確認でき
た。一方1H−NMRの測定からはもとの硬化性ポリフェニ
レンエーテル樹脂と同じ構造が確認された。
実施例8,9 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の合成 PPE−1とn−ブチルリチウムの量比を変えて実施例1
〜5と同じ操作を繰返し、ηsp/C=0.58、アリル基の平
均置換率=5%ポリマーとηsp/C=0.49アリル基の平均
置換率=42%のポリマーを得た。
硬化性難燃化樹脂組成物および難燃化樹脂組成物硬化体 上記のポリマーを用い表−1の組成で実施例1〜5もし
くは実施例6,7と同じ操作を繰返した。結果を表−1お
よび表−2に示した。
実施例9では架橋性難燃剤を用いることにより良好な耐
薬品性が得られた。
また硬化体の構造を確認するために実施例1〜5と同様
にFT−IR(拡散反射法)および重クロロホルム抽出物の
1H−NMRを測定した。いずれの実施例においてもFT−IR
の測定からはポリフェニレンエーテルの骨格が確認でき
た。一方1H−NMRの測定からはもとの硬化性ポリフェニ
レンエーテル樹脂と同じ構造および実施例8においては
TACが確認された。
比較例1,2 実施例1〜5で用いたものと同じポリマーを用い、表−
1に示したように難燃剤を用いずに物性を測定した。難
燃剤を用いていないために難燃性に劣るものであった。
実施例10〜12 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の合成 PPE−1に実施例1〜5と同じ方法でアリル基を13%導
入した。このアリル基置換PPE−1200gをクロロホルム5.
0lに溶解させ、臭素12mlを加えて室温で30分間攪拌し
た。反応混合物をメタノール10lに注いでポリマーを析
出させ、濾過、メタノール洗浄を3回繰返し、80℃で14
時間乾燥させた。得られた白色粉末状の生成物全量をTH
F8.0lに溶解させ、−15℃に冷却した。ここへ窒素雰囲
気下にリチウムジイソプロピルアミドのTHF溶液(1.2モ
ル%/l)400mlを加え、20分間攪拌した。最後にこの反
応混合物をメタノール10lに投じてポリマーを析出さ
せ、濾過、メタノール洗浄を3回繰返し、80℃で14時間
真空乾燥させた。得られたポリマーの1H−NMRを測定し
たところ、もとのアリル基は全てプロパルギル基に変換
されており、その置換率は13%であった。30℃、0.5g/d
lのクロロホルム溶液で測定した粘度数は0.63であっ
た。
硬化性難燃化樹脂組成物および難燃化樹脂組成物硬化体 上記のポリマーを用い表−3の組成で実施例1〜5もし
くは実施例6,7と同じ操作を繰返した。実施例11におい
ては次の構造の難燃剤を用いた。
結果を表−3および表−4に示した。
架橋性難燃剤を用いた実施例12では、TAICおよびTACを
用いていなにもかかわらず極めて良好な耐トリクロロエ
チレン性を示した。
また硬化体の構造を確認するために実施例1〜5と同様
にFT−IR(拡散反射法)および重クロロホルム抽出物の
1H−NMRを測定した。いずれの実施例においてもFT−IR
の測定からはポリフェニレンエーテルの骨格が確認でき
た。一方1H−NMRの測定からはもとの硬化性ポリフェニ
レンエーテル樹脂と同じ構造および組成に応じてTAICな
いしTACが確認された。
実施例13,14 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂の合成 PPE−1350gをTHF7.0lに溶解させ、n−ブチルリチウム
(1.5モル/l、ヘキサン溶液)580mlを加えて窒素雰囲気
下、40℃で1時間反応させた。続いてプロパルギルブロ
マイド103gを加え、40℃のままさらに20分間攪拌した。
最後に水2.8lとメタノール2.8lの混合液を加え、ポリマ
ーを析出させた。濾過とメタノール洗浄を4回繰返した
後、80℃で14時間真空乾燥させ、白色粉末状のプロパル
ギル基置換PPE−1を得た。1 H−NMRにより求めたプロパルギル基の平均置換率は6
%であった。
また、30℃,0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度
数ηsp/Cは0.64であった。
硬化性難燃化樹脂組成物および難燃化樹脂組成物硬化体 上記のポリマーを用い表−3の組成で実施例1〜5と同
じ操作を繰返した。結果を表−3および表−4に示し
た。
また硬化体の構造を確認するために実施例1〜5と同様
にFT−IR(拡散反射法)および重クロロホルム抽出物の
1H−NMRを測定した。いずれの実施例においてもFT−IR
の測定からはポリフェニレンエーテルの骨格が確認でき
た。
一方、1H−NMRの測定からはもとの硬化性ポリフェニレ
ンエーテル樹脂と同じ構造およびTAICが確認された。
比較例3,4 実施例10〜12で用いたものと同じポリマーを用い、表−
3に示したように難燃剤を用いずに物性を測定した。難
燃剤を用いていないために難燃性に劣るものであった。
〔発明の効果〕 本発明の第1である硬化性難燃化樹脂組成物の特長をま
とめると、まず第1にキャスティング法による成膜性に
優れている点にある。通常のポリフェニレンエーテルで
は溶媒成膜性がほとんど認められないのに対し、本発明
の樹脂組成物では平滑で表面にべたつきのないフィルム
が得られ、取り扱いが容易である。第2の特長は貯蔵安
定性に優れる点であり、溶液状またはフィルム状でゲル
化することなく長期間保存可能である。第3の特長は、
ガラス転移温度が低く流動性に優れるため、熱成形が行
いやすい点にある。そして第4の特長は、難燃性に優れ
ている点である。
本発明の第2である難燃化樹脂組成物硬化体の特長をま
とめると、まず第1にその優れた耐薬品性であり、第2
に難燃性が挙げられる。耐薬品性は、特にトリアリルイ
ソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレート
を用いた系が優れており、トリクロロエチレン中で煮沸
しても膨潤は小さく、外観の変化も認められなかった。
また、架橋性難燃剤を用いると、トリアリルイソシアヌ
レートやトリアリルシアヌレートを用いなくとも優れた
耐薬品性を難燃性と同時に付与することができた。
第3の特長は、ポリフェニレンエーテルの優れた誘電特
性(低誘電率、低誘電正接)が損われていないことであ
る。さらに本発明における硬化反応は、硬化性ポリフェ
ニレンエーテル樹脂中のアリル基やプロパルギル基およ
び、トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリア
リルシアヌレート中のアリル基、架橋性難燃剤中のオレ
フィン性不飽和二重結合の付加反応によって起こるた
め、ポリイミド樹脂の様に縮合反応に起因する水、ガス
等の副生物が生成せず、均一でボイドのないフィルム、
シート、成形品が得られるという特長も有する。
以上述べてきた本発明の特長はいずれも、本発明が低誘
電率プリント基板材料として有利に使用できることを示
している。特に、成膜性、成形性に優れるので、フレキ
シブル基板、射出成形による三次元プリント基板、片面
または両面銅張積層板、多層基板用プリプレグ等の材料
として有利に使用できる。これら以外の用途としては、
半導体封止材料、衛星放送用アンテナ基材、VLSI用絶縁
膜、電子レンジ用材料、耐熱性接着剤等が挙げられる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)(i)下記一般式(I)から実質的
    に構成される硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂であっ
    て、次式で定義されるアリル基および/またはプロパル
    ギル基の平均置換率が0.1モル%以上100モル%以下であ
    る硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂 または(ii)上記硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂98
    〜40重量%とトリアリルイソシアヌレート及び/または
    トリアリルシアヌレート2〜60重量%とからなる樹脂組
    成物ならびに (b)リン系、塩素系および臭素系難燃剤からなる群か
    ら選ばれた少なくとも一種の難燃剤を含有する硬化性難
    燃化樹脂組成物であって、(a)成分100重量部に対し
    て(b)成分を1〜50%重量部含むことを特徴とする硬
    化性難燃化樹脂組成物。 Q′J′−H〕 (I) 〔式中、mは1または2の整数であり、J′は一般式 (ここで、R1,R2,R3およびR4は各々独立に水素原子、
    アリル基またはプロパルギル基であり、R1〜R4の少なく
    とも1つは水素以外であり、かつR1〜R4は同一でも異な
    っていてもよい。) で表わされる単位を含むポリフェニレンエーテル鎖であ
    り、mが1のときQ′は水素原子を表わし、mが2のと
    きQ′は一分子中に2個のフェノール性水酸基を持ち、
    フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活
    性な置換基を有する2官能性フェノール化合物の残基Q
    および/または、アリル基および/またはプロパルギル
    基で置換されたQを表わし、Q′と結合した2つのポリ
    フェニレンエーテル鎖は同じでも異なっていてもよい〕
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