JPH0678482B2 - 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその硬化体のシート又はフィルム並びにその用途 - Google Patents
硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその硬化体のシート又はフィルム並びにその用途Info
- Publication number
- JPH0678482B2 JPH0678482B2 JP63271983A JP27198388A JPH0678482B2 JP H0678482 B2 JPH0678482 B2 JP H0678482B2 JP 63271983 A JP63271983 A JP 63271983A JP 27198388 A JP27198388 A JP 27198388A JP H0678482 B2 JPH0678482 B2 JP H0678482B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyphenylene ether
- group
- chloroform
- cured
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Polyethers (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物およ
びそれを硬化して得られる硬化ポリフェニレンエーテル
樹脂に関するものであり、さらに詳しくはポリフェニレ
ンエーテルの優れた誘電特性、機械特性を損うことなく
耐熱性と耐薬品性を改善した硬化ポリフェニレンエーテ
ル樹脂に関するものである。
びそれを硬化して得られる硬化ポリフェニレンエーテル
樹脂に関するものであり、さらに詳しくはポリフェニレ
ンエーテルの優れた誘電特性、機械特性を損うことなく
耐熱性と耐薬品性を改善した硬化ポリフェニレンエーテ
ル樹脂に関するものである。
本発明の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂をシートまた
はフィルムとしたものは平面アンテナおよび絶縁膜とし
て特に有用である。
はフィルムとしたものは平面アンテナおよび絶縁膜とし
て特に有用である。
近年、通信用、民生用、産業用等の電子機器の分野にお
ける実装方法の小型化、高密度化への指向は著しいもの
があり、それに伴って材料の面でもより優れた耐熱性、
寸法安定性、電気特性が要求されつつある。例えばプリ
ント配線基板としては、従来からフェノール樹脂やエポ
キシ樹脂などの熱硬化性樹脂を基材とした銅張り積層版
が用いられてきた。これらは各種の性能をバランスよく
有するものの、電気特性、特に高周波領域での誘電特性
が悪いという欠点を持っている。この問題を解決する新
しい材料としてポリフェニレンエーテルが近年注目をあ
び銅張り積層板への応用が試みられている。
ける実装方法の小型化、高密度化への指向は著しいもの
があり、それに伴って材料の面でもより優れた耐熱性、
寸法安定性、電気特性が要求されつつある。例えばプリ
ント配線基板としては、従来からフェノール樹脂やエポ
キシ樹脂などの熱硬化性樹脂を基材とした銅張り積層版
が用いられてきた。これらは各種の性能をバランスよく
有するものの、電気特性、特に高周波領域での誘電特性
が悪いという欠点を持っている。この問題を解決する新
しい材料としてポリフェニレンエーテルが近年注目をあ
び銅張り積層板への応用が試みられている。
ポリフェニレンエーテルは機械的特性と電気的特性に優
れたエンジニアリングプラスチックであり、耐熱性も比
較的高い。しかしながらプリント基板材料として利用し
ようとした場合、極めて高いハンダ耐熱性が要求される
ため、ポリフェニレンエーテル本来の耐熱性では決して
十分とは言えない。即ち、ポリフェニレンエーテルは20
0℃以上の高温に曝されると変形を起こし、機械的強度
の著しい低下や、樹脂表面に回路用として形成された銅
箔の剥離を引き起こす。またポリフェニレンエーテル
は、酸、アルカリ、熱水に対しては強い抵抗性を有する
ものの芳香族炭化水素化合物やハロゲン置換炭化水素化
合物に対する抵抗性が極めて弱く、これらの溶媒に溶解
する。
れたエンジニアリングプラスチックであり、耐熱性も比
較的高い。しかしながらプリント基板材料として利用し
ようとした場合、極めて高いハンダ耐熱性が要求される
ため、ポリフェニレンエーテル本来の耐熱性では決して
十分とは言えない。即ち、ポリフェニレンエーテルは20
0℃以上の高温に曝されると変形を起こし、機械的強度
の著しい低下や、樹脂表面に回路用として形成された銅
箔の剥離を引き起こす。またポリフェニレンエーテル
は、酸、アルカリ、熱水に対しては強い抵抗性を有する
ものの芳香族炭化水素化合物やハロゲン置換炭化水素化
合物に対する抵抗性が極めて弱く、これらの溶媒に溶解
する。
ポリフェニレンエーテルの耐熱性と耐薬品性を改善する
方法の一つとして、ポリフェニレンエーテルの鎖中に架
橋性の官能基を導入しさらに硬化させて硬化ポリフェニ
レンエーテルとして利用する方法が提案されているが、
今のところ満足すべき解決法は得られていない。
方法の一つとして、ポリフェニレンエーテルの鎖中に架
橋性の官能基を導入しさらに硬化させて硬化ポリフェニ
レンエーテルとして利用する方法が提案されているが、
今のところ満足すべき解決法は得られていない。
具体例を挙げると、米国特許第3281393号および同34220
62号では、2−アリル−6−メチルフェノールと2,6−
ジメチルフェノールの共重合によってアリル基を含むポ
リフェニレンエーテルを製造し、これを硬化させること
によって硬化ポリフェニレンエーテルを得ている。しか
しながらこのアリル基を含むポリフェニレンエーテル
は、溶融温度が硬化温度よりも高いため熱成形を行うこ
とは不可能である。かかる成形性の改良方法として後者
では、多量の可塑剤の併用が試みられているが、これは
ポリフェニレンエーテルの優れた電気特性(低誘電率、
低誘電正接)を損うだけでなく、硬化後の耐熱性、耐薬
品性の低下にもつながる。またこの硬化ポリフェニレン
エーテルの引張り強度は、実施例7に示されるように28
kg/cm2と極めて低い値であり、実用に耐えうるものとは
言い難い。
62号では、2−アリル−6−メチルフェノールと2,6−
ジメチルフェノールの共重合によってアリル基を含むポ
リフェニレンエーテルを製造し、これを硬化させること
によって硬化ポリフェニレンエーテルを得ている。しか
しながらこのアリル基を含むポリフェニレンエーテル
は、溶融温度が硬化温度よりも高いため熱成形を行うこ
とは不可能である。かかる成形性の改良方法として後者
では、多量の可塑剤の併用が試みられているが、これは
ポリフェニレンエーテルの優れた電気特性(低誘電率、
低誘電正接)を損うだけでなく、硬化後の耐熱性、耐薬
品性の低下にもつながる。またこの硬化ポリフェニレン
エーテルの引張り強度は、実施例7に示されるように28
kg/cm2と極めて低い値であり、実用に耐えうるものとは
言い難い。
一方米国特許第4634742号では、2,6−ジメチルフェノー
ルの重合体を用い、メチル基をビニル基に変換するか、
あるいはフェニル基の3,5位にビニル基を導入するかし
て硬化性のポリフェニレンエーテルとし、これを熱硬化
させている。この場合、ビニル基は屈曲性の炭素鎖やエ
ーテル結合を介せず直接ポリフェニレンエーテルの芳香
環に結合することになるため、硬化後は可撓性に不足
し、極めて脆い材料となって実用に耐えない。
ルの重合体を用い、メチル基をビニル基に変換するか、
あるいはフェニル基の3,5位にビニル基を導入するかし
て硬化性のポリフェニレンエーテルとし、これを熱硬化
させている。この場合、ビニル基は屈曲性の炭素鎖やエ
ーテル結合を介せず直接ポリフェニレンエーテルの芳香
環に結合することになるため、硬化後は可撓性に不足
し、極めて脆い材料となって実用に耐えない。
アリル基、ビニル基とならぶ代表的な架橋性官能基とし
てエチニル基が知られているが、ポリフェニレンエーテ
ルにエチニル基、あるいは一般にアルキル基を導入し硬
化させた例はこれまでに開示されていない。
てエチニル基が知られているが、ポリフェニレンエーテ
ルにエチニル基、あるいは一般にアルキル基を導入し硬
化させた例はこれまでに開示されていない。
本発明は以上の事情に鑑みて、ポリフェニレンエーテル
の優れた誘電特性および機械特性を損うことなく、耐熱
性ならびに耐薬品性の著しく改善された新規な硬化ポリ
フェニレンエーテル樹脂を提供しようとするものであ
る。
の優れた誘電特性および機械特性を損うことなく、耐熱
性ならびに耐薬品性の著しく改善された新規な硬化ポリ
フェニレンエーテル樹脂を提供しようとするものであ
る。
本発明者らはこの課題を解決するため鋭意検討の結果、
本発明の目的に沿った新規な硬化性ポリフェニレンエー
テル樹脂組成物および硬化ポリフェニレンエーテル樹脂
を発明するに到った。
本発明の目的に沿った新規な硬化性ポリフェニレンエー
テル樹脂組成物および硬化ポリフェニレンエーテル樹脂
を発明するに到った。
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の第1は、一般式(I)で表わされる構造の硬化
性ポリフェニレンエーテル100重量部とラジカル開始剤
0.01〜10重量部からなることを特徴とする硬化性ポリフ
ェニレンエーテル樹脂組成物を提供する。
性ポリフェニレンエーテル100重量部とラジカル開始剤
0.01〜10重量部からなることを特徴とする硬化性ポリフ
ェニレンエーテル樹脂組成物を提供する。
Q′J′−H〕m (I) 式中mは1〜6の整数、J′は一般式(II)で表わされ
る単位を含むポリフェニレンエーテル鎖であり、mが1
のときQ′は水素原子を表わし、mが2以上のときは、
Q′はQおよび/または前記一般式(III)のアルケニ
ル基および/または前記一般式(IV)のアルキニル基で
置換されたQを表わし、Qは一分子中に2〜6個のフェ
ノール性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位
およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フ
ェノール化合物の残基を表わし、各ポリフェニレンエー
テル鎖は同じでも異なってもよい。
る単位を含むポリフェニレンエーテル鎖であり、mが1
のときQ′は水素原子を表わし、mが2以上のときは、
Q′はQおよび/または前記一般式(III)のアルケニ
ル基および/または前記一般式(IV)のアルキニル基で
置換されたQを表わし、Qは一分子中に2〜6個のフェ
ノール性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位
およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フ
ェノール化合物の残基を表わし、各ポリフェニレンエー
テル鎖は同じでも異なってもよい。
アルケニル基(III)の具体的な例としては、アリル
基、2−メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、
3−ブテニル基、3−メチル−2−プテニル基、4−ペ
ンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、5−ヘキ
セニル基等が挙げられる。またアルキニル基(IV)の具
体的な例としては、プロパルギル基、2−ブチニル基、
3−ブチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル
基、4−ペンチニル基、3−ヘキシニル基、5−ヘキシ
ニル基等が挙げられる。Qの代表的な例としては、次の
4種の一般式で表わされる化合物群が挙げられる。
基、2−メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、
3−ブテニル基、3−メチル−2−プテニル基、4−ペ
ンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、5−ヘキ
セニル基等が挙げられる。またアルキニル基(IV)の具
体的な例としては、プロパルギル基、2−ブチニル基、
3−ブチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル
基、4−ペンチニル基、3−ヘキシニル基、5−ヘキシ
ニル基等が挙げられる。Qの代表的な例としては、次の
4種の一般式で表わされる化合物群が挙げられる。
〔式中、A1,A2は同一または異なる炭素数1〜4の直鎖
状アルキル基を表わし、Xは脂肪族炭化水素残基および
それらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換
誘導体、酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表
わし、Yは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導
体、芳香族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、ア
ラルキル基およびそれらの置換誘導体を表わし、Zは酸
素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表わしA2と直
接結合した2つのフェニル基、A2とX,A2とY,A2とZの結
合位置はすべてフェノール性水酸基のオルト位およびパ
ラ位を示し、pは0〜4、qは2〜6の整数を表わ
す。〕 具体例として、 等がある。
状アルキル基を表わし、Xは脂肪族炭化水素残基および
それらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換
誘導体、酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表
わし、Yは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導
体、芳香族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、ア
ラルキル基およびそれらの置換誘導体を表わし、Zは酸
素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表わしA2と直
接結合した2つのフェニル基、A2とX,A2とY,A2とZの結
合位置はすべてフェノール性水酸基のオルト位およびパ
ラ位を示し、pは0〜4、qは2〜6の整数を表わ
す。〕 具体例として、 等がある。
一般式(I)のポリフェニレンエーテル樹脂の具体例と
しては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)がアルケニル基および/またはアルキニル基で置換
された樹脂、2,6−ジメチルフェノールをQH)m
(mは2〜6の整数)の存在下で重合して得られた樹脂
がアルケニル基および/またはアルキニル基で置換され
た樹脂を挙げることができる。
しては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)がアルケニル基および/またはアルキニル基で置換
された樹脂、2,6−ジメチルフェノールをQH)m
(mは2〜6の整数)の存在下で重合して得られた樹脂
がアルケニル基および/またはアルキニル基で置換され
た樹脂を挙げることができる。
一般式(I)のポリフェニレンエーテル樹脂を製造する
方法としては、特に制限されるものではないが、例えば
特願昭62−224146号、同224147号、同269459号、同2694
60号に開示された方法を挙げることができる。すなわ
ち、第1の方法として、一般式 QJ−H〕m 〔式中、mは1〜6の整数、Jは次の一般式で表わされ
る単位からなるポリフェニレンエーテル鎖であり、 mが1のときQは水素原子を表わし、mが2以上のとき
Qは前記一般式(V−a)〜(V−d)の多官能性フェ
ノール化合物の残基を表わす。〕で表わされるポリフェ
ニレンエーテルを有機金属でメタル化する工程、および
一般式 〔式中、lは1〜4の整数を示し、Lは塩素または臭素
またはヨウ素を表わし、R5,R6およびR7は各々独立に水
素原子またはメチル基を表わす。〕で表わされるアルケ
ニルハライドおよび/または一般式 LCH2kC≡C−R8 〔式中、kは1〜4の整数を示し、Lは塩素または臭素
またはヨウ素を表わし、R8は水素原子またはメチル基ま
たはエチル基を表わす。〕で表わされるアルキニルハラ
イドで置換反応する工程より成る方法を挙げることがで
きる。また第2の製造方法として、一般式 Q″J″−H〕m 〔式中、mは1〜6の整数、J″は次の一般式で表わさ
れる単位を含むポリフェニレンエーテル鎖である。
方法としては、特に制限されるものではないが、例えば
特願昭62−224146号、同224147号、同269459号、同2694
60号に開示された方法を挙げることができる。すなわ
ち、第1の方法として、一般式 QJ−H〕m 〔式中、mは1〜6の整数、Jは次の一般式で表わされ
る単位からなるポリフェニレンエーテル鎖であり、 mが1のときQは水素原子を表わし、mが2以上のとき
Qは前記一般式(V−a)〜(V−d)の多官能性フェ
ノール化合物の残基を表わす。〕で表わされるポリフェ
ニレンエーテルを有機金属でメタル化する工程、および
一般式 〔式中、lは1〜4の整数を示し、Lは塩素または臭素
またはヨウ素を表わし、R5,R6およびR7は各々独立に水
素原子またはメチル基を表わす。〕で表わされるアルケ
ニルハライドおよび/または一般式 LCH2kC≡C−R8 〔式中、kは1〜4の整数を示し、Lは塩素または臭素
またはヨウ素を表わし、R8は水素原子またはメチル基ま
たはエチル基を表わす。〕で表わされるアルキニルハラ
イドで置換反応する工程より成る方法を挙げることがで
きる。また第2の製造方法として、一般式 Q″J″−H〕m 〔式中、mは1〜6の整数、J″は次の一般式で表わさ
れる単位を含むポリフェニレンエーテル鎖である。
(ここでR9,R10,R11およびR12は各々独立に水素原子、
一般式 CH2kCH=CHR8 (VI) (kは1〜4の整数、R8は水素原子、メチル基またはエ
チル基) で表わされるアルケニル基を表わす。) 各ポリフェニレンエーテル鎖は同一でも異なっていても
よく、R9,R10,R11およびR12の少なくとも一つは水素以
外であり、R1〜R12は同一でも異なっていてもよい。
一般式 CH2kCH=CHR8 (VI) (kは1〜4の整数、R8は水素原子、メチル基またはエ
チル基) で表わされるアルケニル基を表わす。) 各ポリフェニレンエーテル鎖は同一でも異なっていても
よく、R9,R10,R11およびR12の少なくとも一つは水素以
外であり、R1〜R12は同一でも異なっていてもよい。
またmが1のときQ″は水素原子を表わし、mが2以上
のときQ″は前記一般式(V−a)〜(V−d)の多官
能性フェノール化合物の残基Qおよび/または上記アル
ケニル基(VI)で置換されたQを表わす。〕から実質的
に構成されるアルケニル基置換ポリフェニレンエーテル
のアルケニル基の二重結合にハロゲンを付加させる工程
および金属アミドで脱ハロゲン化水素させる工程より成
る方法を挙げることができる。
のときQ″は前記一般式(V−a)〜(V−d)の多官
能性フェノール化合物の残基Qおよび/または上記アル
ケニル基(VI)で置換されたQを表わす。〕から実質的
に構成されるアルケニル基置換ポリフェニレンエーテル
のアルケニル基の二重結合にハロゲンを付加させる工程
および金属アミドで脱ハロゲン化水素させる工程より成
る方法を挙げることができる。
一般式(I)のポリフェニレンエーテル樹脂を用いて本
発明の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を製造
しようとする場合、特に限定するものではないが、次式
で定義されるアルケニル基および/またはアルキニル基
の平均置換率が0.1モル%〜100モル%の範囲にあり、か
つ30℃,0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数η
SP/Cが0.2〜1.0の範囲にあるものが良好に使用できる 本発明の第1の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成
物においては、硬化温度を低くしたり架橋密度の向上を
図る目的でラジカル開始剤を併用する。開始剤の量は、
未硬化樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲、
好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。0.01重量部未
満では耐薬品性の向上が認められない。また10重量部を
越える時は、開始剤が残存したり硬化体が脆くなったり
するので好ましくない。一般式(I)で表わされるポリ
フェニレンエーテル樹脂の場合、開始剤としては、希望
する硬化温度に応じて適当な分解温度を持つ開始剤を選
択すればよい。その代表的な例を挙げると、クメンハイ
ドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ
ハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,
α′−ビス(t−ベチルパーオキシ−m−イソプロピ
ル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオ
キシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オク
タン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキ
シ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイ
ド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイ
ド等の過酸化物があるがこれらに限定されない。また過
酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブ
タンもラジカル開始剤として利用できる。開始剤の配合
は、溶剤への溶解時か熱溶融の直前に行われる。
発明の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を製造
しようとする場合、特に限定するものではないが、次式
で定義されるアルケニル基および/またはアルキニル基
の平均置換率が0.1モル%〜100モル%の範囲にあり、か
つ30℃,0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数η
SP/Cが0.2〜1.0の範囲にあるものが良好に使用できる 本発明の第1の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成
物においては、硬化温度を低くしたり架橋密度の向上を
図る目的でラジカル開始剤を併用する。開始剤の量は、
未硬化樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲、
好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。0.01重量部未
満では耐薬品性の向上が認められない。また10重量部を
越える時は、開始剤が残存したり硬化体が脆くなったり
するので好ましくない。一般式(I)で表わされるポリ
フェニレンエーテル樹脂の場合、開始剤としては、希望
する硬化温度に応じて適当な分解温度を持つ開始剤を選
択すればよい。その代表的な例を挙げると、クメンハイ
ドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ
ハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,
α′−ビス(t−ベチルパーオキシ−m−イソプロピ
ル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオ
キシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オク
タン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキ
シ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイ
ド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイ
ド等の過酸化物があるがこれらに限定されない。また過
酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブ
タンもラジカル開始剤として利用できる。開始剤の配合
は、溶剤への溶解時か熱溶融の直前に行われる。
本発明の第2である硬化ポリフェニレンエーテル樹脂
は、請求項1の組成物の硬化物であって、クロロホルム
非抽出性ポリフェニレンエーテルとクロロホルム抽出性
ポリフェニレンエーテルとからなり、熱分解ガスクロマ
トグラフィーによる分析で(a)2−メチルフェノー
ル、(b)2,6−ジメチルフェノール、(c)2,4−ジメ
チルフェノール、(d)3,5−ジメチルフェノールおよ
び(e)2,4,6−トリメチルフェノールが熱分解生成物
として生成し、且つこれらの面積比が次の不等式を満た
すとともに、 〔式中、A,B,C,DおよびEはそれぞれ熱分解成分a,b,c,d
およびeに起因する熱分解ガスクロマトグラムのピーク
面積を表わす〕 該硬化ポリフェニレンエーテル樹脂をクロロホルムによ
り23℃で12時間処理したときのクロロホルム抽出率から
決定されるクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル
量が該樹脂を基準として0.01重量%以上20重量%以下で
あり、該クロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテルが
一般式(II) 〔式中、R1,R2,R3およびR4は各々独立に水素原子、一般
式(III) (式中、lは1〜4の整数、R5,R6およびR7は各々独立
に水素原子またはメチル基)で表わされるアルケニル
基、または一般式(IV) CH2kC≡C−R8 (IV) (ここで、kは1〜4の整数、R8は水素原子、メチル基
またはエチル基)で表わされるアルキニル基であり、
R1,R2,R3およびR4の少なくとも1つは水素以外であり、
かつR1〜R4は同一でも異なってもよい〕で表わされる単
位を含むことを特徴とする硬化ポリフェニレンエーテル
樹脂を提供する。
は、請求項1の組成物の硬化物であって、クロロホルム
非抽出性ポリフェニレンエーテルとクロロホルム抽出性
ポリフェニレンエーテルとからなり、熱分解ガスクロマ
トグラフィーによる分析で(a)2−メチルフェノー
ル、(b)2,6−ジメチルフェノール、(c)2,4−ジメ
チルフェノール、(d)3,5−ジメチルフェノールおよ
び(e)2,4,6−トリメチルフェノールが熱分解生成物
として生成し、且つこれらの面積比が次の不等式を満た
すとともに、 〔式中、A,B,C,DおよびEはそれぞれ熱分解成分a,b,c,d
およびeに起因する熱分解ガスクロマトグラムのピーク
面積を表わす〕 該硬化ポリフェニレンエーテル樹脂をクロロホルムによ
り23℃で12時間処理したときのクロロホルム抽出率から
決定されるクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル
量が該樹脂を基準として0.01重量%以上20重量%以下で
あり、該クロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテルが
一般式(II) 〔式中、R1,R2,R3およびR4は各々独立に水素原子、一般
式(III) (式中、lは1〜4の整数、R5,R6およびR7は各々独立
に水素原子またはメチル基)で表わされるアルケニル
基、または一般式(IV) CH2kC≡C−R8 (IV) (ここで、kは1〜4の整数、R8は水素原子、メチル基
またはエチル基)で表わされるアルキニル基であり、
R1,R2,R3およびR4の少なくとも1つは水素以外であり、
かつR1〜R4は同一でも異なってもよい〕で表わされる単
位を含むことを特徴とする硬化ポリフェニレンエーテル
樹脂を提供する。
本発明の第3は、請求項2の硬化体よりなる硬化ポリフ
ェニレンエーテル樹脂シートまたはフィルム。
ェニレンエーテル樹脂シートまたはフィルム。
本発明の第4は、請求項3の硬化ポリフェニレンエーテ
ル樹脂シートまたはフィルムからなる絶縁膜。
ル樹脂シートまたはフィルムからなる絶縁膜。
本発明の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂がポリフェニ
レンエーテルを実質的な骨格として成り立つということ
については、例えば赤外吸収(以下IRと略称する)スペ
クトル法、固体の高分解能核磁気共鳴(以下NMRと略称
する)スペクトル法、熱分解ガスクロマトグラフィー等
の手法により実証することができる。特に熱分解ガスク
ロマトグラフィーは非常に有効な解析手段であり、ポリ
フェニレンエーテルを用いた類似の硬化体との区別も容
易に行える。
レンエーテルを実質的な骨格として成り立つということ
については、例えば赤外吸収(以下IRと略称する)スペ
クトル法、固体の高分解能核磁気共鳴(以下NMRと略称
する)スペクトル法、熱分解ガスクロマトグラフィー等
の手法により実証することができる。特に熱分解ガスク
ロマトグラフィーは非常に有効な解析手段であり、ポリ
フェニレンエーテルを用いた類似の硬化体との区別も容
易に行える。
本発明の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂は、これ以外
にもその構造に起因するいくつかの特徴を有しており、
他の樹脂硬化体との識別をさらに容易にしている。
にもその構造に起因するいくつかの特徴を有しており、
他の樹脂硬化体との識別をさらに容易にしている。
本発明の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂の特徴は、熱
分解ガスクロマトグラフィーによる分析で、具体的には
本発明の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂を不活性ガス
雰囲気下、500℃で4秒間熱分解することによって、2
−メチルフェノール(a)、2,6−ジメチルフェノール
(b)、2,4−ジメチルフェノール(e)、3,5−ジメチ
ルフェノール(d)、2,4,6−トリメチルフェノール
(e)の5つの特徴的な熱分解生成物が生成することで
ある。これら5つの生成物のうち、(a),(b),
(c),(e)の4つについては、通常一般のポリフェ
ニレンエーテル樹脂およびその組成物についても検出で
きるものであり、Journal of Applied Polymer Science
誌,第22巻,2891頁(1978)等の文献にその生成機構が
詳細に報告されている。これに対し、3,5−ジメチルフ
ェノール(d)は本発明の硬化ポリフェニレンエーテル
樹脂に特有の熱分解生成物であり、しかもその生成量を
他の4つの生成物と比較すると、 という関係が常に成立する。ここでA〜Eはそれぞれ熱
分解成分(a)〜(e)に起因する熱分解ガスクロマト
グラムのピーク比面積を表わす。
分解ガスクロマトグラフィーによる分析で、具体的には
本発明の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂を不活性ガス
雰囲気下、500℃で4秒間熱分解することによって、2
−メチルフェノール(a)、2,6−ジメチルフェノール
(b)、2,4−ジメチルフェノール(e)、3,5−ジメチ
ルフェノール(d)、2,4,6−トリメチルフェノール
(e)の5つの特徴的な熱分解生成物が生成することで
ある。これら5つの生成物のうち、(a),(b),
(c),(e)の4つについては、通常一般のポリフェ
ニレンエーテル樹脂およびその組成物についても検出で
きるものであり、Journal of Applied Polymer Science
誌,第22巻,2891頁(1978)等の文献にその生成機構が
詳細に報告されている。これに対し、3,5−ジメチルフ
ェノール(d)は本発明の硬化ポリフェニレンエーテル
樹脂に特有の熱分解生成物であり、しかもその生成量を
他の4つの生成物と比較すると、 という関係が常に成立する。ここでA〜Eはそれぞれ熱
分解成分(a)〜(e)に起因する熱分解ガスクロマト
グラムのピーク比面積を表わす。
3,5−ジメチルフェノールが生成する機構については今
のところ詳らかではないが、例えば一般式(IV)のポリ
フェニレンエーテル樹脂の硬化体を例にとると、以下の
ような説明が可能である。
のところ詳らかではないが、例えば一般式(IV)のポリ
フェニレンエーテル樹脂の硬化体を例にとると、以下の
ような説明が可能である。
ポリフェニレンエーテルの熱分解機構として上述の文献
中にフリース型の転位反応が提唱されており、式(VI
I)のように表わされる。この転位反応によりポリフェ
ニレンエーテルの熱分解生成物として得られるフェノー
ル類は必ず2,4,6のいずれかの位置にメチル基を含んで
いる。ところが一般式(IV)のポリフェニレンエーテル
樹脂の場合には、アルケニル基および/またはアルキニ
ル基がポリフェニレンエーテル鎖中に導入されており、
しかもこれらが硬化過程で重合反応を起こし てポリフェニレンエーテル鎖どうしを強固に結びつける
ため、上記のフリース型転位反応が著しく阻害を受ける
ものと解釈される。また特にメチル基上にアルケニル基
および/またはアルキニル基が置換されると、フリース
型転位反応はこれらの官能基によって直接妨害を受ける
ことになる。これらの結果、一湾式(I)のポリフェニ
レンエーテル樹脂の硬化体では、例えば式(VIII)のよ
うな機構で熱分解を起こし、3,5−ジメチルフェノール
を与えるものと思われる。
中にフリース型の転位反応が提唱されており、式(VI
I)のように表わされる。この転位反応によりポリフェ
ニレンエーテルの熱分解生成物として得られるフェノー
ル類は必ず2,4,6のいずれかの位置にメチル基を含んで
いる。ところが一般式(IV)のポリフェニレンエーテル
樹脂の場合には、アルケニル基および/またはアルキニ
ル基がポリフェニレンエーテル鎖中に導入されており、
しかもこれらが硬化過程で重合反応を起こし てポリフェニレンエーテル鎖どうしを強固に結びつける
ため、上記のフリース型転位反応が著しく阻害を受ける
ものと解釈される。また特にメチル基上にアルケニル基
および/またはアルキニル基が置換されると、フリース
型転位反応はこれらの官能基によって直接妨害を受ける
ことになる。これらの結果、一湾式(I)のポリフェニ
レンエーテル樹脂の硬化体では、例えば式(VIII)のよ
うな機構で熱分解を起こし、3,5−ジメチルフェノール
を与えるものと思われる。
そして3,5−ジメチルフェノールの生成比は、一般式
(I)のポリフェニレンエーテル樹脂の平均置換率が大
きくなるにつれて大きくなる傾向にあり、また硬化反応
がより進むにつれて大きくなる傾向にある。3,5−ジメ
チルフェノールの生成比が7.0%未満の場合には硬化度
が不十分であり、耐熱性および耐薬品性に劣るため好ま
しくない。一方40%を越える時は、硬化度が高くなるの
で、硬化体が脆くなり好ましくない。
(I)のポリフェニレンエーテル樹脂の平均置換率が大
きくなるにつれて大きくなる傾向にあり、また硬化反応
がより進むにつれて大きくなる傾向にある。3,5−ジメ
チルフェノールの生成比が7.0%未満の場合には硬化度
が不十分であり、耐熱性および耐薬品性に劣るため好ま
しくない。一方40%を越える時は、硬化度が高くなるの
で、硬化体が脆くなり好ましくない。
この熱分解ガスクロマトグラフィーに用いられる熱分解
の方法は本発明を実施する上で特に制限されるものでは
なく、加熱フィラメント法、加熱炉法、高周波誘導加熱
法、レーザー加熱法等あらゆる方法が利用できる。特に
高周波誘導加熱法(キュリーポイントパイロライザー)
は、非常に迅速な加熱が可能であり、かつ得られる温度
が正確で再現性があるため本分析に最適である。熱分解
条件は、特に限定するものではないが、例えば一般式
(IV)のポリフェニレンエーテル樹脂から得られる硬化
体の場合、不活性ガス雰囲気下、500℃で4秒間行うの
が最も好ましい。通常のポリフェニレンエーテルはこの
条件ではほとんどもしくはまったく熱分解を起こさな
い。これに対し一般式(IV)のポリフェニレンエーテル
樹脂の硬化体では、アルケニル基および/またはアルキ
ニル基の部分がこの条件で熱分解し、これが引き金とな
ってポリフェニレンエーテル鎖の分解が起こる。従って
アルケニル基および/またはアルキニル基の導入に起因
して生成する3,5−ジメチルフェノールの分析にはこの
条件が最も適する。不活性ガスとしてはヘリウムまたは
窒素がガスクロマトグラフのキャリヤーガスと共通で利
用できる。熱分解させる際の試料の形状としては、再現
性を良くする目的で微粉末化することが好ましい。
の方法は本発明を実施する上で特に制限されるものでは
なく、加熱フィラメント法、加熱炉法、高周波誘導加熱
法、レーザー加熱法等あらゆる方法が利用できる。特に
高周波誘導加熱法(キュリーポイントパイロライザー)
は、非常に迅速な加熱が可能であり、かつ得られる温度
が正確で再現性があるため本分析に最適である。熱分解
条件は、特に限定するものではないが、例えば一般式
(IV)のポリフェニレンエーテル樹脂から得られる硬化
体の場合、不活性ガス雰囲気下、500℃で4秒間行うの
が最も好ましい。通常のポリフェニレンエーテルはこの
条件ではほとんどもしくはまったく熱分解を起こさな
い。これに対し一般式(IV)のポリフェニレンエーテル
樹脂の硬化体では、アルケニル基および/またはアルキ
ニル基の部分がこの条件で熱分解し、これが引き金とな
ってポリフェニレンエーテル鎖の分解が起こる。従って
アルケニル基および/またはアルキニル基の導入に起因
して生成する3,5−ジメチルフェノールの分析にはこの
条件が最も適する。不活性ガスとしてはヘリウムまたは
窒素がガスクロマトグラフのキャリヤーガスと共通で利
用できる。熱分解させる際の試料の形状としては、再現
性を良くする目的で微粉末化することが好ましい。
ガスクロマトグラフの分離カラムとしては、上述の5つ
の熱分解生成物が完全に分解できればよく、特に限定さ
れるものではないが、メチルシリコーン系の非極性カラ
ムないしはこれと同程度の非極性を有するカラムが最も
良好に使用できる。カラムの形状としては充填カラムで
あってもキャピラリーカラムであっても良く、特に後者
は分離能が優れており良好に使用できる。またカラム温
度についても特に限定する趣旨はないが、室温付近から
毎分10℃ないし20℃ずつ昇温するのが分析時間が短縮で
きて有効である。
の熱分解生成物が完全に分解できればよく、特に限定さ
れるものではないが、メチルシリコーン系の非極性カラ
ムないしはこれと同程度の非極性を有するカラムが最も
良好に使用できる。カラムの形状としては充填カラムで
あってもキャピラリーカラムであっても良く、特に後者
は分離能が優れており良好に使用できる。またカラム温
度についても特に限定する趣旨はないが、室温付近から
毎分10℃ないし20℃ずつ昇温するのが分析時間が短縮で
きて有効である。
本分析でガスクロマトグラフの検出器として利用できる
のは、熱伝導度型検出器(TCD)と水素炎イオン化型検
出器(FID)であり、質量分析装置(MS)と接続して熱
分解GCMSとして利用することも可能である。また定性を
目的としてフーリエ変換型IR(FT−IR)を検出器代りに
用いることもできる。
のは、熱伝導度型検出器(TCD)と水素炎イオン化型検
出器(FID)であり、質量分析装置(MS)と接続して熱
分解GCMSとして利用することも可能である。また定性を
目的としてフーリエ変換型IR(FT−IR)を検出器代りに
用いることもできる。
本発明の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂は、クロロホ
ルム非抽出性ポリフェニレンエーテルとクロロホルム抽
出性ポリフェニレンエーテルとから成る。クロロホルム
抽出性ポリフェニレンエーテルの量は該樹脂のクロロホ
ルム抽出率から決定され、0.01重量%以上20重量%以
下、より好ましくは0.01重量%以上10重量%以下の範囲
である。抽出率が0.01重量%未満の場合は硬化体が脆く
なり好ましくない。抽出率が20重量%を越えるときは耐
薬品性が不十分であり好ましくない。ここで言うクロロ
ホルム抽出率とは、硬化ポリフェニレンエーテル樹脂を
クロロホルム中に23℃で12時間浸漬して得られる値であ
り、次式に従って計算される。
ルム非抽出性ポリフェニレンエーテルとクロロホルム抽
出性ポリフェニレンエーテルとから成る。クロロホルム
抽出性ポリフェニレンエーテルの量は該樹脂のクロロホ
ルム抽出率から決定され、0.01重量%以上20重量%以
下、より好ましくは0.01重量%以上10重量%以下の範囲
である。抽出率が0.01重量%未満の場合は硬化体が脆く
なり好ましくない。抽出率が20重量%を越えるときは耐
薬品性が不十分であり好ましくない。ここで言うクロロ
ホルム抽出率とは、硬化ポリフェニレンエーテル樹脂を
クロロホルム中に23℃で12時間浸漬して得られる値であ
り、次式に従って計算される。
またこのクロロホルム抽出率の測定は、クロロホルムの
代りに重クロロホルムを用いて行ってもよい。クロロホ
ルムに浸漬させる硬化ポリフェニレンエーテル樹脂の形
状としては、クロロホルムの除去しやすさを考慮して、
フィルム状または粉末状が最も好ましい。
代りに重クロロホルムを用いて行ってもよい。クロロホ
ルムに浸漬させる硬化ポリフェニレンエーテル樹脂の形
状としては、クロロホルムの除去しやすさを考慮して、
フィルム状または粉末状が最も好ましい。
クロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテルは、次の一
般式(II)で表わされる単位を含んでいる。
般式(II)で表わされる単位を含んでいる。
ここで、R1,R2,R3およびR4は各々独立に水素原子、一般
式(III) (ここで、lは1〜4の整数、R5,R6およびR7は各々独
立に水素原子またはメチル基)で表わされるアルケニル
基、または一般式(IV) CH2kC≡C−R8 (IV) (ここで、kは1〜4の整数、R8は水素原子、メチル基
またはエチル基)で表わされるアルキニル基であり、
R1,R2,R3およびR4は同一でも異なってもよい。
式(III) (ここで、lは1〜4の整数、R5,R6およびR7は各々独
立に水素原子またはメチル基)で表わされるアルケニル
基、または一般式(IV) CH2kC≡C−R8 (IV) (ここで、kは1〜4の整数、R8は水素原子、メチル基
またはエチル基)で表わされるアルキニル基であり、
R1,R2,R3およびR4は同一でも異なってもよい。
クロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテルの粘度数は
特に限定されないが、30℃,0.5g/dlのクロロホルムまた
は重クロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.05〜
1.0の範囲のものである。
特に限定されないが、30℃,0.5g/dlのクロロホルムまた
は重クロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.05〜
1.0の範囲のものである。
クロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル中のアルケ
ニル基の具体的な例としては、アリル基、2−メチル−
2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、
3−メチル−2−ブテニル基、4−ペンテニル基、4−
メチル−3−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等が挙げ
られる。またアルキニル基の具体的な例としては、プロ
パルギル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、2−ペ
ンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、3
−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基等が挙げられる。次
式によって定義されるこれらのアルケニル基およびアル
キニル基の平均置換率は0.1モル%以上100モル%以下の
範囲である。
ニル基の具体的な例としては、アリル基、2−メチル−
2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、
3−メチル−2−ブテニル基、4−ペンテニル基、4−
メチル−3−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等が挙げ
られる。またアルキニル基の具体的な例としては、プロ
パルギル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、2−ペ
ンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、3
−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基等が挙げられる。次
式によって定義されるこれらのアルケニル基およびアル
キニル基の平均置換率は0.1モル%以上100モル%以下の
範囲である。
以上述べたクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル
は硬化過程において硬化反応に十分寄与できなかった未
硬化樹脂の一部が抽出されたものである。しかし抽出成
分の粘度数と平均置換率の値は、必ずしももとの未硬化
樹脂のそれらの値と一致するわけではない。また、例え
ば一般式(I)で表わされるポリフェニレンエーテル樹
脂を本発明に用いた場合、Q′で表わされる水素または
多官能性フェノール化合物残基については、抽出物中に
確認できてもよく確認できなくても構わない。これらの
抽出成分の構造確認の手段としては、NMRスペクトル
法、IRスペクトル法などが用いられるが、特に1H−NMR
が有効である。
は硬化過程において硬化反応に十分寄与できなかった未
硬化樹脂の一部が抽出されたものである。しかし抽出成
分の粘度数と平均置換率の値は、必ずしももとの未硬化
樹脂のそれらの値と一致するわけではない。また、例え
ば一般式(I)で表わされるポリフェニレンエーテル樹
脂を本発明に用いた場合、Q′で表わされる水素または
多官能性フェノール化合物残基については、抽出物中に
確認できてもよく確認できなくても構わない。これらの
抽出成分の構造確認の手段としては、NMRスペクトル
法、IRスペクトル法などが用いられるが、特に1H−NMR
が有効である。
本発明の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂は、本発明の
硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を利用目的に
応じた形状に賦形し、続いて硬化せしめることによって
得ることができる。賦形の方法は、溶剤に溶解して行な
われるいわゆるキャスティング法か、通常の加熱溶融に
よる方法がとられる。
硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を利用目的に
応じた形状に賦形し、続いて硬化せしめることによって
得ることができる。賦形の方法は、溶剤に溶解して行な
われるいわゆるキャスティング法か、通常の加熱溶融に
よる方法がとられる。
キャスティング法に用いられる溶剤としては、未硬化樹
脂を完全に溶解させ、かつ常圧における沸点が40℃〜20
0℃の範囲にあるものが最も良好に使用できる。一般式
(I)で表わされるポリフェニレンエーテル樹脂を用い
た硬化性組成物の場合には、クロロホルム、トリクロロ
エチレン、ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素化合
物や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化
水素化合物が挙げられ、これらのうちから選んだ単独ま
たは混合溶剤に1〜50重量%の割合で一種または二種以
上の樹脂を溶解させた組成物として用いられる。賦形物
の形状は、特に限定するわけではないが、フィルム状ま
たはシート状が最も好ましい。例えばフィルム状の賦形
では、ステンレス板、ガラス板、あるいはポリイミドフ
ィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム
等を支持体として用い、この上に上記の樹脂組成物溶液
を流延または塗布する。この時の厚みは特に限定され
ず、目的とするフィルムの厚みと樹脂組成物溶液の濃度
に応じて設定される。流延ないし塗布された樹脂溶液
は、風乾、熱風乾燥、真空乾燥等の方法で溶剤を除去
し、フィルム状となった後に支持体から剥離せしめる。
剥離後に再び溶剤除去工程を繰り返すことも可能であ
る。また、溶剤は必ずしも完全に除去する必要はなく、
一部を賦形物中に残したまま利用することができる。溶
剤の除去に適した温度は、室温〜200℃ないしは室温〜
支持体の耐熱温度の範囲である。
脂を完全に溶解させ、かつ常圧における沸点が40℃〜20
0℃の範囲にあるものが最も良好に使用できる。一般式
(I)で表わされるポリフェニレンエーテル樹脂を用い
た硬化性組成物の場合には、クロロホルム、トリクロロ
エチレン、ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素化合
物や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化
水素化合物が挙げられ、これらのうちから選んだ単独ま
たは混合溶剤に1〜50重量%の割合で一種または二種以
上の樹脂を溶解させた組成物として用いられる。賦形物
の形状は、特に限定するわけではないが、フィルム状ま
たはシート状が最も好ましい。例えばフィルム状の賦形
では、ステンレス板、ガラス板、あるいはポリイミドフ
ィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム
等を支持体として用い、この上に上記の樹脂組成物溶液
を流延または塗布する。この時の厚みは特に限定され
ず、目的とするフィルムの厚みと樹脂組成物溶液の濃度
に応じて設定される。流延ないし塗布された樹脂溶液
は、風乾、熱風乾燥、真空乾燥等の方法で溶剤を除去
し、フィルム状となった後に支持体から剥離せしめる。
剥離後に再び溶剤除去工程を繰り返すことも可能であ
る。また、溶剤は必ずしも完全に除去する必要はなく、
一部を賦形物中に残したまま利用することができる。溶
剤の除去に適した温度は、室温〜200℃ないしは室温〜
支持体の耐熱温度の範囲である。
一方、加熱溶融による賦形方法としては、インジェクシ
ョン成形、トランスファー成形、押出成形、プレス成形
等通常の熱成形の方法が利用できる。熱成形の温度は、
樹脂のガラス転移温度以上硬化開始温度以下の範囲で選
ばれる。一般式(I)で表わされるポリフェニレンエー
テル樹脂の組成物の場合、アルケニル基および/または
アルキニル基の効果により、これらの官能基を持たない
ポリフェニレンエーテルと比較してガラス転移温度が約
140℃〜約210℃と大旨低く、熱成形に有利である。また
かかるアルケニル基および/またはアルキニル基は、約
250℃から380℃の範囲で硬化反応を起こし、この硬化反
応は示差走査熱量計や赤外吸収(以下IRと略称する)ス
ペクトル法により追跡することができる。
ョン成形、トランスファー成形、押出成形、プレス成形
等通常の熱成形の方法が利用できる。熱成形の温度は、
樹脂のガラス転移温度以上硬化開始温度以下の範囲で選
ばれる。一般式(I)で表わされるポリフェニレンエー
テル樹脂の組成物の場合、アルケニル基および/または
アルキニル基の効果により、これらの官能基を持たない
ポリフェニレンエーテルと比較してガラス転移温度が約
140℃〜約210℃と大旨低く、熱成形に有利である。また
かかるアルケニル基および/またはアルキニル基は、約
250℃から380℃の範囲で硬化反応を起こし、この硬化反
応は示差走査熱量計や赤外吸収(以下IRと略称する)ス
ペクトル法により追跡することができる。
キャスティング法による賦形と加熱溶融法による賦形
は、それぞれ単独に行うだけでなく両者を組み合わせて
行うことも可能である。例えば、キャスティング法によ
り得られたフィルムを数枚〜数十枚積層し、熱プレスで
フィルム間を融着せしめてシート状とすることができ
る。
は、それぞれ単独に行うだけでなく両者を組み合わせて
行うことも可能である。例えば、キャスティング法によ
り得られたフィルムを数枚〜数十枚積層し、熱プレスで
フィルム間を融着せしめてシート状とすることができ
る。
賦形された樹脂組成物を硬化させる方法は任意であり、
熱、光、電子線等による方法を採用することができる
が、正常は加熱する方法がとられる。
熱、光、電子線等による方法を採用することができる
が、正常は加熱する方法がとられる。
硬化に必要な温度は未硬化樹脂組成物の特性に応じて決
定され、特に限定されるものではないが、例えば一般式
(I)のポリフェニレンエーテル樹脂を用いた組成物の
場合には260℃〜350℃が好適である。あるいは開始剤の
分解温度に応じたより低い温度、例えば140℃〜280℃の
範囲が選ばれる。硬化時間についても特に制限はしない
が、1分〜3時間程度、より好ましくは1分〜1時間程
度である。
定され、特に限定されるものではないが、例えば一般式
(I)のポリフェニレンエーテル樹脂を用いた組成物の
場合には260℃〜350℃が好適である。あるいは開始剤の
分解温度に応じたより低い温度、例えば140℃〜280℃の
範囲が選ばれる。硬化時間についても特に制限はしない
が、1分〜3時間程度、より好ましくは1分〜1時間程
度である。
本発明の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂を得るにあっ
ては、未硬化樹脂組成物のみを単独で用いるだけでな
く、その用途に応じて所望の性能を付与する目的で本来
の性質を損わない範囲の量の充填材や添加剤を配合する
ことができる。充填剤は繊維状であっても粉末状であっ
てもよく、カーボン繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、セ
ラミック繊維、アスベスト繊維、カーボンブラック、シ
リカ、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス
中空球などを挙げることができる。また添加剤として
は、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑
剤、顔料、染料、着色剤などを配合することができる。
さらには架橋性のモノマーや他の熱可塑性および熱硬化
性樹脂を一種または二種以上配合することも可能であ
る。
ては、未硬化樹脂組成物のみを単独で用いるだけでな
く、その用途に応じて所望の性能を付与する目的で本来
の性質を損わない範囲の量の充填材や添加剤を配合する
ことができる。充填剤は繊維状であっても粉末状であっ
てもよく、カーボン繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、セ
ラミック繊維、アスベスト繊維、カーボンブラック、シ
リカ、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス
中空球などを挙げることができる。また添加剤として
は、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑
剤、顔料、染料、着色剤などを配合することができる。
さらには架橋性のモノマーや他の熱可塑性および熱硬化
性樹脂を一種または二種以上配合することも可能であ
る。
以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説
明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するも
のではない。
明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するも
のではない。
参考例 1〜9 一般式(I)に示したポリフェニレンエーテル樹脂の代
表的な例として、表1に示すようなアリル基を持った様
々なポリフェニレンエーテルを合成し、賦形と熱硬化を
試みた。合成法はいずれも同様であるが、代表例として
参考例8について説明する。
表的な例として、表1に示すようなアリル基を持った様
々なポリフェニレンエーテルを合成し、賦形と熱硬化を
試みた。合成法はいずれも同様であるが、代表例として
参考例8について説明する。
30℃,0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数η
SP/Cが0.90であるポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)(以下PPE−1と略称する。)2.0gをテト
ラヒドロフラン(以下THFと略称する。)100mlに溶解さ
せ、n−ブチルリチウム(1.63モル/、ヘキサン溶
液)10.2mlを加えて窒素雰囲気下、50℃で3時間反応さ
せた。続いてアリルプロマイド2.5gを加え、50℃のまま
さらに1時間攪拌した。放冷後多量のメタノールに注い
でポリマーを析出させた後、濾過、メタノール洗浄を3
回繰り返した。最後に60℃で12時間真空乾燥させ白色粉
末状の生成物を得た。1H−NMRにより求めたアリル基の
置換率は28%であった。また30℃,0.5g/dlのクロロホル
ム溶液で測定した粘度数ηSP/Cは0.91であった。
SP/Cが0.90であるポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)(以下PPE−1と略称する。)2.0gをテト
ラヒドロフラン(以下THFと略称する。)100mlに溶解さ
せ、n−ブチルリチウム(1.63モル/、ヘキサン溶
液)10.2mlを加えて窒素雰囲気下、50℃で3時間反応さ
せた。続いてアリルプロマイド2.5gを加え、50℃のまま
さらに1時間攪拌した。放冷後多量のメタノールに注い
でポリマーを析出させた後、濾過、メタノール洗浄を3
回繰り返した。最後に60℃で12時間真空乾燥させ白色粉
末状の生成物を得た。1H−NMRにより求めたアリル基の
置換率は28%であった。また30℃,0.5g/dlのクロロホル
ム溶液で測定した粘度数ηSP/Cは0.91であった。
参考例1〜7では、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパンの共存下に2,6−ジメチル
フェノールを酸化重合して得た二官能性ポリフェニレン
エーテル(以下PPE−2と略称する。)を上述のPPE−1
の代りに用い、n−ブチルリチウムとアリルプロマイド
の量を様々に変化させることによりアリル基置換率の異
なるポリフェニレンエーテルを合成した。
ドロキシフェニル)プロパンの共存下に2,6−ジメチル
フェノールを酸化重合して得た二官能性ポリフェニレン
エーテル(以下PPE−2と略称する。)を上述のPPE−1
の代りに用い、n−ブチルリチウムとアリルプロマイド
の量を様々に変化させることによりアリル基置換率の異
なるポリフェニレンエーテルを合成した。
参考例9では三官能性ポリフェニレンエーテル(トリス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンと
2,6−ジメチルフェノールから重合したもの。以下PPE−
3と略称する。)を用いた。
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンと
2,6−ジメチルフェノールから重合したもの。以下PPE−
3と略称する。)を用いた。
以上の方法で合成したポリフェニレンエーテル樹脂を用
い、次に述べる方法で賦形と熱硬化を行った。
い、次に述べる方法で賦形と熱硬化を行った。
まず、粉末状のポリマー0.45gをクロロホルム10mlに溶
かし、底の平らな直径70mmのガラス製ペトリ皿に入れて
23℃で12時間放置した。できあがったフィルム状のポリ
マーをガラスから剥離し、さらに100℃で4時間真空乾
燥させた。フィルムの厚みは約100μmであった。この
フィルムをガラス板上に粘着テープで固定し、280℃の
エアーオーブン中で30分間熱硬化させた。得られた硬化
フィルムについてクロロホルム抽出性ポリフェニレンエ
ーテル量とガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(23℃か
らTgまで:α1,Tg以上:α2)を求めた。クロロホルム
抽出性ポリフェニレンエーテル量は、フィルムをクロロ
ホルム中に23℃で12時間浸漬し、その時の重量減少から
求めた。Tgとα1,α2は熱機械分析装置(以下TMAと略
称する)を用いて測定した。
かし、底の平らな直径70mmのガラス製ペトリ皿に入れて
23℃で12時間放置した。できあがったフィルム状のポリ
マーをガラスから剥離し、さらに100℃で4時間真空乾
燥させた。フィルムの厚みは約100μmであった。この
フィルムをガラス板上に粘着テープで固定し、280℃の
エアーオーブン中で30分間熱硬化させた。得られた硬化
フィルムについてクロロホルム抽出性ポリフェニレンエ
ーテル量とガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(23℃か
らTgまで:α1,Tg以上:α2)を求めた。クロロホルム
抽出性ポリフェニレンエーテル量は、フィルムをクロロ
ホルム中に23℃で12時間浸漬し、その時の重量減少から
求めた。Tgとα1,α2は熱機械分析装置(以下TMAと略
称する)を用いて測定した。
また参考例6および7については、粉末状サンプルから
真空プレスで厚さ2mmのシートを成形した。成形はまず2
40℃で1時間行い、さらに280℃に昇温して30分間熱硬
化させた。参考例6,7以外については、厚さ100μmのキ
ャストフィルムを20枚積層し、上と同じ条件で真空プレ
スによる層間接着と熱硬化を行って厚さ2mmのシートと
した。このシートを用いて1MHzで比誘電率(εr)と誘
電正接(tanδ)を測定した。さらに、シートの一部を
ヤスリで削り取って微粉末とし、これを熱分解ガスクロ
マトグラフィーにかけて3,5−ジメチルフェノールの生
成比を求めた。熱分解ガスクロマトグラフィーの測定条
件は次の通りである。(熱分解装置) 日本分析工業 キュリーポイントパイロ ライザー JHP−3S オーブン温度 300℃ 熱分解条件 500℃,4秒 (ガスクロマトグラフ) ヒューレットパッカード 5890A カ ラ ム J&W社 DB−1 0.25mmI.D.×30m カラム温度 50℃より10℃/minで昇温 キャリヤーガス He 検 出 器 FID (保持時間) 2−メチルフェノール (a) 6.9分 2,6−ジメチルフエノール (b) 7.7分 2,4−ジメチルフェノール (c) 8.4分 3,5−ジメチルフェノール (d) 8.7分 2,4,6−トリメチルフェノール(e) 9.3分 ただし、(a)〜(e)の各ピークの同定は、市販の試
薬とMSおよびIRスペクトルを比較することにより行っ
た。
真空プレスで厚さ2mmのシートを成形した。成形はまず2
40℃で1時間行い、さらに280℃に昇温して30分間熱硬
化させた。参考例6,7以外については、厚さ100μmのキ
ャストフィルムを20枚積層し、上と同じ条件で真空プレ
スによる層間接着と熱硬化を行って厚さ2mmのシートと
した。このシートを用いて1MHzで比誘電率(εr)と誘
電正接(tanδ)を測定した。さらに、シートの一部を
ヤスリで削り取って微粉末とし、これを熱分解ガスクロ
マトグラフィーにかけて3,5−ジメチルフェノールの生
成比を求めた。熱分解ガスクロマトグラフィーの測定条
件は次の通りである。(熱分解装置) 日本分析工業 キュリーポイントパイロ ライザー JHP−3S オーブン温度 300℃ 熱分解条件 500℃,4秒 (ガスクロマトグラフ) ヒューレットパッカード 5890A カ ラ ム J&W社 DB−1 0.25mmI.D.×30m カラム温度 50℃より10℃/minで昇温 キャリヤーガス He 検 出 器 FID (保持時間) 2−メチルフェノール (a) 6.9分 2,6−ジメチルフエノール (b) 7.7分 2,4−ジメチルフェノール (c) 8.4分 3,5−ジメチルフェノール (d) 8.7分 2,4,6−トリメチルフェノール(e) 9.3分 ただし、(a)〜(e)の各ピークの同定は、市販の試
薬とMSおよびIRスペクトルを比較することにより行っ
た。
〔式中、A〜Eは各成分のピーク面積を表わす。〕 以上の結果を表1にまとめて示した。また図1に参考例
4のパイログラムを示した。
4のパイログラムを示した。
さらに、硬化体の構造を確認するために次のような解析
を行った。まず微粉末化した硬化体のFT−IR(拡散反射
法)を測定し、いずれの参考例についても硬化体が確か
にポリフェニレンエーテル骨格から成り立っていること
を確認した。一例として、図2に参考例8のスペクトル
とその主要なピークの帰属を示した。次にこの硬化体微
粉末を重クロロホルム(CDCl3)中に23℃で12時間浸漬
し、クロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテルを抽出
した。この重クロロホルムをNMRサンプル管に移し1H−N
MRを測定したところ、やはりいずれの参考例についても
ポリフェニレンエーテル鎖とアリル基が確認できた。こ
の抽出成分のスペクトルと硬化前に測定したスペクトル
は化学シフトが完全に一致した。一例として、図3に参
考例8の抽出物のスペクトルとその主要なピークの帰属
を示した。参考例2においてクロロホルムにより抽出さ
れたポリフェニレンエーテルの粘度数は0.15であった。
参考例3においてクロロホルムにより抽出されたポリフ
ェニレンエーテルの粘度数は0.12であった。
を行った。まず微粉末化した硬化体のFT−IR(拡散反射
法)を測定し、いずれの参考例についても硬化体が確か
にポリフェニレンエーテル骨格から成り立っていること
を確認した。一例として、図2に参考例8のスペクトル
とその主要なピークの帰属を示した。次にこの硬化体微
粉末を重クロロホルム(CDCl3)中に23℃で12時間浸漬
し、クロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテルを抽出
した。この重クロロホルムをNMRサンプル管に移し1H−N
MRを測定したところ、やはりいずれの参考例についても
ポリフェニレンエーテル鎖とアリル基が確認できた。こ
の抽出成分のスペクトルと硬化前に測定したスペクトル
は化学シフトが完全に一致した。一例として、図3に参
考例8の抽出物のスペクトルとその主要なピークの帰属
を示した。参考例2においてクロロホルムにより抽出さ
れたポリフェニレンエーテルの粘度数は0.15であった。
参考例3においてクロロホルムにより抽出されたポリフ
ェニレンエーテルの粘度数は0.12であった。
比較例 1〜4 PPE−2に参考例8の方法を用いてアリル基を0.05%導
入し比較例1とした。比較例2,3ではPPE−2を、比較例
4ではPPE−1をそれぞれそのまま用いた。
入し比較例1とした。比較例2,3ではPPE−2を、比較例
4ではPPE−1をそれぞれそのまま用いた。
比較例1,3,4については参考例1〜9と同様に熱処理を
行い、物性を測定した。比較例2については、熱処理を
行わずに物性を測定した。結果を表1にまとめた。
行い、物性を測定した。比較例2については、熱処理を
行わずに物性を測定した。結果を表1にまとめた。
いずれの場合もアリル基の効果が無いかあるいは不十分
なため、参考例と比較してクロロホルム抽出性ポリフェ
ニレンエーテルの量が多く、耐薬品性の改善が十分行わ
れていなかった。比較例2では耐熱性も低かった。また
熱分解ガスクロマトグラフィーによる分析では(500℃,
4秒)いずれの例も熱分解生成物はほとんど検出できな
かった。
なため、参考例と比較してクロロホルム抽出性ポリフェ
ニレンエーテルの量が多く、耐薬品性の改善が十分行わ
れていなかった。比較例2では耐熱性も低かった。また
熱分解ガスクロマトグラフィーによる分析では(500℃,
4秒)いずれの例も熱分解生成物はほとんど検出できな
かった。
比較例 5 参考例7において、熱処理条件を、320℃、1時間に変
えて熱硬化を行った。得られた硬化体はクロロホルム性
ポリフェニレンエーテル量が0%であったが、非常に脆
く実用に耐えうるものではなかった。
えて熱硬化を行った。得られた硬化体はクロロホルム性
ポリフェニレンエーテル量が0%であったが、非常に脆
く実用に耐えうるものではなかった。
参考例 10〜15 一般式(I)に示したポリフェニレンエーテル樹脂の代
表的な例として、表2に示すような様々なアルケニル基
置換ポリフェニレンエーテルを合成し、賦形と熱硬化を
試みた。合成法はいずれも同様であるが、代表例として
参考例14について説明する。
表的な例として、表2に示すような様々なアルケニル基
置換ポリフェニレンエーテルを合成し、賦形と熱硬化を
試みた。合成法はいずれも同様であるが、代表例として
参考例14について説明する。
30℃,0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数η
SP/Cが0.59であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)(以下PPE−4と略称する。)2.0gをTHF10
0mlに溶解させ、n−ブチルリチウム(1.63モール/
、ヘキサン溶液)を10.2ml加えて、窒素雰囲気下、室
温で1時間攪拌した。さらに1−クロロ−2−メチル−
2−プロペン1.5gを加え30分間攪拌した後、多量のメタ
ノール中に注いでポリマーを析出させた。濾過、メタノ
ール洗浄を3回繰り返し、60℃で12時間真空乾燥させて
白色粉末状の生成物を得た。1 H−NMRにより求めた2−メチル−2−プロペニル基の
置換率は21%であった。また30℃,0.5g/dlのクロロホル
ム溶液で測定した粘度数ηSP/Cは0.59であった。
SP/Cが0.59であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)(以下PPE−4と略称する。)2.0gをTHF10
0mlに溶解させ、n−ブチルリチウム(1.63モール/
、ヘキサン溶液)を10.2ml加えて、窒素雰囲気下、室
温で1時間攪拌した。さらに1−クロロ−2−メチル−
2−プロペン1.5gを加え30分間攪拌した後、多量のメタ
ノール中に注いでポリマーを析出させた。濾過、メタノ
ール洗浄を3回繰り返し、60℃で12時間真空乾燥させて
白色粉末状の生成物を得た。1 H−NMRにより求めた2−メチル−2−プロペニル基の
置換率は21%であった。また30℃,0.5g/dlのクロロホル
ム溶液で測定した粘度数ηSP/Cは0.59であった。
参考例12では、PPE−4とn−ブチルリチウムをトルエ
ン/N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン(以下
TMEDAと略称する。)中で反応させ、さらに1−クロロ
−2−ブテン(シス/トランス混合物)を加えてポリフ
ェニレンエーテルを合成した。
ン/N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン(以下
TMEDAと略称する。)中で反応させ、さらに1−クロロ
−2−ブテン(シス/トランス混合物)を加えてポリフ
ェニレンエーテルを合成した。
参考例13ではPPE−4と4−ブロモ−2−メチル−2−
ブテンを用いTHF中で反応を行った。
ブテンを用いTHF中で反応を行った。
参考例10,11ではPPE−2と4−ブロモ−1−ブテンを用
い同じくTHF中で反応を行った。
い同じくTHF中で反応を行った。
参考例15ではビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホンの共存下に2,6−ジメチルフェノール
を酸化重合して得た二官能性ポリフェニレンエーテル
(以下PPE−5と略称する。)と5−ブロモ−1−ペン
テンを用いトルエン/TMEDA中で反応を行った。
ェニル)スルホンの共存下に2,6−ジメチルフェノール
を酸化重合して得た二官能性ポリフェニレンエーテル
(以下PPE−5と略称する。)と5−ブロモ−1−ペン
テンを用いトルエン/TMEDA中で反応を行った。
以上述べた方法で合成したポリフェニレンエーテル樹脂
を用い、賦形と熱硬化を行ったところ表2の如き結果を
得た。賦形、熱硬化の方法はすべて参考例1〜9に従っ
た。この際厚さ2mmのシート状硬化体は、すべてフィル
ムから真空プレスで成形して得た。
を用い、賦形と熱硬化を行ったところ表2の如き結果を
得た。賦形、熱硬化の方法はすべて参考例1〜9に従っ
た。この際厚さ2mmのシート状硬化体は、すべてフィル
ムから真空プレスで成形して得た。
また微粉末化した硬化体のFT−IR(拡散反射法)を測定
し、すべての参考例についてポリフェニレンエーテル骨
格を確認した。重クロロホルム抽出物の1H−NMRの測定
では硬化前と同じ構造のポリフェニレンエーテルが確認
された。主要なピークの化学シフトは表3の通りであっ
た。
し、すべての参考例についてポリフェニレンエーテル骨
格を確認した。重クロロホルム抽出物の1H−NMRの測定
では硬化前と同じ構造のポリフェニレンエーテルが確認
された。主要なピークの化学シフトは表3の通りであっ
た。
参考例12においてクロロホルムにより抽出されたポリフ
ェニレンエーテルの粘度数は0.20であった。参考例15に
おいてクロロホルムにより抽出されたポリフェニレンエ
ーテルの粘度数は0.07であった。
ェニレンエーテルの粘度数は0.20であった。参考例15に
おいてクロロホルムにより抽出されたポリフェニレンエ
ーテルの粘度数は0.07であった。
比較例 6 PPE−2に参考例14と同じ方法で3−ブテニル基を0.05
%導入し、280℃、30分硬化後の物性を測定した。結果
を表2にまとめた。クロロホルム抽出性ポリフェニレン
エーテルの量が多く、耐薬品性の改善は不十分であっ
た。また熱分解ガスクロマトグラフィーによる分析で
は、熱分解生成物はほとんど検出できなかった。
%導入し、280℃、30分硬化後の物性を測定した。結果
を表2にまとめた。クロロホルム抽出性ポリフェニレン
エーテルの量が多く、耐薬品性の改善は不十分であっ
た。また熱分解ガスクロマトグラフィーによる分析で
は、熱分解生成物はほとんど検出できなかった。
参考例 16〜23 一般式(I)に示したポリフェニレンエーテル樹脂の代
表的な例として、表4に示すようなプロパルギル基を持
った様々なポリフェニレンエーテルを合成し、賦形と熱
硬化を試みた。
表的な例として、表4に示すようなプロパルギル基を持
った様々なポリフェニレンエーテルを合成し、賦形と熱
硬化を試みた。
まずその合成方法を参考例16と参考例22を例にとって説
明する。参考例16では、PPE−2 2.0gをトルエン100ml、
TMEDA2.5mlの混合溶液に溶解させ、n−ブチルリチウム
(1.54モル/、ヘキサン溶液)10.8mlを加えて、窒素
雰囲気下、室温で1時間反応させた。続いて−70℃まで
冷却し、プロパルギルプロマイドを2.0g加えて10分間攪
拌した。多量のメタノールに注いでポリマーを析出さ
せ、濾過、メタノール洗浄を3回繰り返した。最後に60
℃で12時間真空乾燥させて白色粉末状の生成物を得た。
1H−NMRで測定したプロパルギル基の置換率は5%、粘
度数ηSP/C(0.5g/dl)、クロロホルム溶液、30℃)は
0.40であった。
明する。参考例16では、PPE−2 2.0gをトルエン100ml、
TMEDA2.5mlの混合溶液に溶解させ、n−ブチルリチウム
(1.54モル/、ヘキサン溶液)10.8mlを加えて、窒素
雰囲気下、室温で1時間反応させた。続いて−70℃まで
冷却し、プロパルギルプロマイドを2.0g加えて10分間攪
拌した。多量のメタノールに注いでポリマーを析出さ
せ、濾過、メタノール洗浄を3回繰り返した。最後に60
℃で12時間真空乾燥させて白色粉末状の生成物を得た。
1H−NMRで測定したプロパルギル基の置換率は5%、粘
度数ηSP/C(0.5g/dl)、クロロホルム溶液、30℃)は
0.40であった。
一方参考例22では、PPE−1を参考例1〜9と同じ方法
でn−ブチルリチウムとアリルプロマイドを用いてアリ
ル化し、アリル基置換率28%のポリマーとした。このポ
リマー1.8gをジクロロメタン100mlに溶解させ、室温に
て臭素のジクロロメタン溶液(1.0モル/)を5.8ml加
えて30分間攪拌した。多量のメタノールに注いでポリマ
ーを析出させ、濾過、メタノール洗浄を3回繰り返し、
60℃で12時間真空乾燥させた。得られた白色粉末状の生
成物全量をTHF100mlに溶解させ、−70℃に冷却した。こ
こへジシクロヘキシルアミン1.68gとn−ブチルリチウ
ム(1.54モル/)90mlから調製したリチウムジシクロ
ヘキシルアミドのTHF溶液を加え、窒素雰囲気下で5分
間攪拌した。少量のメタノールを加えて反応を停止さ
せ、室温まで昇温した後、多量のメタノール中に注い
だ、洗浄、単離後1H−NMRによりプロパルギル基の置換
率を求めたところ、もとのアリル量の置換率と一致して
いた。30℃,0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度
数は0.91であった。
でn−ブチルリチウムとアリルプロマイドを用いてアリ
ル化し、アリル基置換率28%のポリマーとした。このポ
リマー1.8gをジクロロメタン100mlに溶解させ、室温に
て臭素のジクロロメタン溶液(1.0モル/)を5.8ml加
えて30分間攪拌した。多量のメタノールに注いでポリマ
ーを析出させ、濾過、メタノール洗浄を3回繰り返し、
60℃で12時間真空乾燥させた。得られた白色粉末状の生
成物全量をTHF100mlに溶解させ、−70℃に冷却した。こ
こへジシクロヘキシルアミン1.68gとn−ブチルリチウ
ム(1.54モル/)90mlから調製したリチウムジシクロ
ヘキシルアミドのTHF溶液を加え、窒素雰囲気下で5分
間攪拌した。少量のメタノールを加えて反応を停止さ
せ、室温まで昇温した後、多量のメタノール中に注い
だ、洗浄、単離後1H−NMRによりプロパルギル基の置換
率を求めたところ、もとのアリル量の置換率と一致して
いた。30℃,0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度
数は0.91であった。
参考例17〜21ではPPE−2をn−ベチルリチウムとアリ
ルプロマイドを用いてアリル化し、参考例22と同じ方法
を用いてプロパルギル基に変換した。
ルプロマイドを用いてアリル化し、参考例22と同じ方法
を用いてプロパルギル基に変換した。
参考例23でも同様にPPE−3をアリル化し、さらにプロ
パルギル基に変換した。
パルギル基に変換した。
以上の方法で合成したポリフェニレンエーテル樹脂を用
い、次に述べる方法で賦形と熱硬化を行った。
い、次に述べる方法で賦形と熱硬化を行った。
まず参考例1〜9と同じ方法でキャストフィルム(厚さ
約100μm)を作製し、ガラス板の間にはさんで260℃の
エアーオープン中で30分間熱硬化させた。この硬化フィ
ルムを用いてクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテ
ル量(23℃、12時間浸漬)とガラス転移温度(Tg)、線
膨張係数(23℃からTgまで:α1、Tg以上:α2)を求
めた。
約100μm)を作製し、ガラス板の間にはさんで260℃の
エアーオープン中で30分間熱硬化させた。この硬化フィ
ルムを用いてクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテ
ル量(23℃、12時間浸漬)とガラス転移温度(Tg)、線
膨張係数(23℃からTgまで:α1、Tg以上:α2)を求
めた。
参考例16〜19,22,23については、さらにキャストフィル
ムを用いて厚さ2mmのシート状硬化体を作製した(真空
プレス、220℃×1時間+260℃、30分)。参考例20,21
では粉末状サンプルから直接2mm厚のシート状硬化体を
得た(真空プレス、条件はフィルムの場合と同様)。こ
れらのシートを用いて1MHzで比誘電率(εr)と誘電正
接(tanδ)を測定した。また硬化シートをヤスリで削
って微粉末とし、参考例1〜9と同じ条件で熱分解ガス
クロマトグラフィーを測定して3,5−ジメチルフェノー
ルの生成比を求めた。
ムを用いて厚さ2mmのシート状硬化体を作製した(真空
プレス、220℃×1時間+260℃、30分)。参考例20,21
では粉末状サンプルから直接2mm厚のシート状硬化体を
得た(真空プレス、条件はフィルムの場合と同様)。こ
れらのシートを用いて1MHzで比誘電率(εr)と誘電正
接(tanδ)を測定した。また硬化シートをヤスリで削
って微粉末とし、参考例1〜9と同じ条件で熱分解ガス
クロマトグラフィーを測定して3,5−ジメチルフェノー
ルの生成比を求めた。
以上の結果を表4にまとめた。図4には参考例17のパイ
ログラムを示した。
ログラムを示した。
また微粉末化した硬化体のFT−IR(拡散反射法)を測定
し、すべての参考例についてポリフェニレンエーテル骨
格を確認した。一例として、図5に参考例17のスペクト
ルとその主要なピークの帰属を示した。
し、すべての参考例についてポリフェニレンエーテル骨
格を確認した。一例として、図5に参考例17のスペクト
ルとその主要なピークの帰属を示した。
重クロロホルム抽出物(23℃、12時間)の1H−NMRの測
定では、いずれの参考例についても1.8〜1.9ppmにプロ
パルギル基の末端アセチレンのプロトンが、2.3〜2.4pp
m付近にプロパルギル茎のメチレンのプロトンが、2.6〜
2.7ppm付近にプロパルギル基と結合したポリフェニレン
エーテルのメチレンのプロトンが、さらには1.9〜2.2pp
mと6.4〜6.6ppmにポリフェニレンエーテルのメチル基お
よびフェニル基のプロトンがそれぞれ確認できた。
定では、いずれの参考例についても1.8〜1.9ppmにプロ
パルギル基の末端アセチレンのプロトンが、2.3〜2.4pp
m付近にプロパルギル茎のメチレンのプロトンが、2.6〜
2.7ppm付近にプロパルギル基と結合したポリフェニレン
エーテルのメチレンのプロトンが、さらには1.9〜2.2pp
mと6.4〜6.6ppmにポリフェニレンエーテルのメチル基お
よびフェニル基のプロトンがそれぞれ確認できた。
参考例16においてクロロホルムにより抽出されたポリフ
ェニレンエーテルの粘度数は0.22であった。参考例17に
おいてクロロホルムにより抽出されたポリフェニレンエ
ーテルの粘度数は0.20であった。参考例23においてクロ
ロホルムにより抽出されたポリフェニレンエーテルの粘
度数は0.39であった。
ェニレンエーテルの粘度数は0.22であった。参考例17に
おいてクロロホルムにより抽出されたポリフェニレンエ
ーテルの粘度数は0.20であった。参考例23においてクロ
ロホルムにより抽出されたポリフェニレンエーテルの粘
度数は0.39であった。
比較例 7 PPE−2に参考例16と同じ方法でプロパルギル基を0.05
%導入し、260℃、30分硬化後の物性を測定した。結果
を表4にまとめた。クロロホルム抽出性ポリフェニレン
エーテルの量が多く、耐薬品性の改善は不十分であっ
た。また熱分解ガスクロマトグラフィーによる分析で
は、熱分解生成物はほとんど検出できなかった。
%導入し、260℃、30分硬化後の物性を測定した。結果
を表4にまとめた。クロロホルム抽出性ポリフェニレン
エーテルの量が多く、耐薬品性の改善は不十分であっ
た。また熱分解ガスクロマトグラフィーによる分析で
は、熱分解生成物はほとんど検出できなかった。
比較例 8 参考例21において、熱処理条件を340℃、1時間に変え
て熱硬化を行った。得られた硬化体はクロロホルム抽出
率が0%であったが、非常に脆く実用に耐えうるもので
はなかった。
て熱硬化を行った。得られた硬化体はクロロホルム抽出
率が0%であったが、非常に脆く実用に耐えうるもので
はなかった。
参考例 24〜30 一般式(I)に示したポリフェニレンエーテル樹脂の代
表的な例として、表5に示すような様々なアルキニル基
置換ポリフェニレンエーテルを合成し、賦形と熱硬化を
試みた。
表的な例として、表5に示すような様々なアルキニル基
置換ポリフェニレンエーテルを合成し、賦形と熱硬化を
試みた。
まずその合成方法について説明する。参考例24では、PP
E−4 2.0gをTHF100mlに溶かし、n−ブチルリチウム
(1.60モル/、ヘキサン溶液)10.4mlを加えて、窒素
雰囲気下、室温で2時間攪拌した。続いて4−ブロモ−
1−ブチン2.2gを加えて30分間攪拌し、多量のメタノー
ルに注いでポリマーを回収した。洗浄、乾燥後1H−NMR
を測定したところ3−ブチニル基の置換率は5%であっ
た。また粘度数ηSP/C(30℃、0.5g/dl、クロロホルム
溶液)は0.59であった。
E−4 2.0gをTHF100mlに溶かし、n−ブチルリチウム
(1.60モル/、ヘキサン溶液)10.4mlを加えて、窒素
雰囲気下、室温で2時間攪拌した。続いて4−ブロモ−
1−ブチン2.2gを加えて30分間攪拌し、多量のメタノー
ルに注いでポリマーを回収した。洗浄、乾燥後1H−NMR
を測定したところ3−ブチニル基の置換率は5%であっ
た。また粘度数ηSP/C(30℃、0.5g/dl、クロロホルム
溶液)は0.59であった。
参考例25,26ではn−ブチルリチウムの量を変え、4−
ブロモ−1−ブチンの代りにそれぞれ4−ブロモ−2−
ブチン、1−ヨード−2−ペンチンを用いて反応を行っ
た。
ブロモ−1−ブチンの代りにそれぞれ4−ブロモ−2−
ブチン、1−ヨード−2−ペンチンを用いて反応を行っ
た。
参考例27では、3,3′,5,5′−テトラメチルビフェニル
−4,4′−ジオールの共存下に2,5−ジメチルフェノール
を酸化重合して得た二官能性ポリフェニレンエーテルと
1−プロモ−3−ベンチンを用い、シクロヘキサン/TME
DA中で反応を行った。
−4,4′−ジオールの共存下に2,5−ジメチルフェノール
を酸化重合して得た二官能性ポリフェニレンエーテルと
1−プロモ−3−ベンチンを用い、シクロヘキサン/TME
DA中で反応を行った。
参考例28,29ではPPE−2にn−ブチルリチウムと4−ブ
ロモ−1−ブテンを用いて3−ブテニル基を導入し、こ
れをさらに臭素とリチウムジイソプロピルアミドで3−
ブチニル基に変換した。
ロモ−1−ブテンを用いて3−ブテニル基を導入し、こ
れをさらに臭素とリチウムジイソプロピルアミドで3−
ブチニル基に変換した。
参考例30では同様にPPE−5に5−ヘキセニル基を導入
し、これをさらに5−ヘキシニル基にい変換した。
し、これをさらに5−ヘキシニル基にい変換した。
以上述べた方法で合成したポリフェニレンエーテル樹脂
を用い、賦形と熱硬化を行ったところ、表5の如き結果
を得た。賦形と熱硬化の方法はすべて参考例16〜23に従
った。この際厚さ2mmのシート状硬化体は、すべてフィ
ルムから真空プレスに成形して得た。
を用い、賦形と熱硬化を行ったところ、表5の如き結果
を得た。賦形と熱硬化の方法はすべて参考例16〜23に従
った。この際厚さ2mmのシート状硬化体は、すべてフィ
ルムから真空プレスに成形して得た。
また微粉末化した硬化体のFT−IR(拡散反射法)を測定
し、すべての参考例についてポリフェニレンエーテル骨
格を確認した。重クロロホルム抽出物の1H−NMRの測定
では硬化前と同じ構造のポリフェニレンエーテルが確認
された。主要なピークの化学シフトは表6の通りであっ
た。
し、すべての参考例についてポリフェニレンエーテル骨
格を確認した。重クロロホルム抽出物の1H−NMRの測定
では硬化前と同じ構造のポリフェニレンエーテルが確認
された。主要なピークの化学シフトは表6の通りであっ
た。
実施例 1〜5,比較例9 参考例8と同じ方法でアリル基を10%導入したポリ2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル(30.0℃、0.5g/
dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηSP/Cが0.62の
もの)100重量部と様々なラジカル開始剤3重量部をク
ロロホルムに溶かし、参考例1〜9に示した方法で厚さ
約100μmのフィルムを得た。ただしこの時フィルムの
真空乾燥は80℃で4時間行った。このフィルムをガラス
板にはさんでエアーオーブン中で30分間熱硬化させた。
またフィルムを10枚積層し、真空プレスを用いてオーブ
ンと同じ温度で30分間成形熱硬化を行い厚さ1mmのシー
ト状硬化体を得た。これらのフィルムとシートを用いて
クロロホルム抽出率と3,5−ジメチルフェノールの熱分
解生成比を求めた。方法は参考例1〜9に従った。結果
を表7にまとめた。ラジカル開始剤を併用することによ
りクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル量のより
一層の低減化がはかれた。
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル(30.0℃、0.5g/
dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηSP/Cが0.62の
もの)100重量部と様々なラジカル開始剤3重量部をク
ロロホルムに溶かし、参考例1〜9に示した方法で厚さ
約100μmのフィルムを得た。ただしこの時フィルムの
真空乾燥は80℃で4時間行った。このフィルムをガラス
板にはさんでエアーオーブン中で30分間熱硬化させた。
またフィルムを10枚積層し、真空プレスを用いてオーブ
ンと同じ温度で30分間成形熱硬化を行い厚さ1mmのシー
ト状硬化体を得た。これらのフィルムとシートを用いて
クロロホルム抽出率と3,5−ジメチルフェノールの熱分
解生成比を求めた。方法は参考例1〜9に従った。結果
を表7にまとめた。ラジカル開始剤を併用することによ
りクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル量のより
一層の低減化がはかれた。
また微粉末化した硬化体のFT−IR(拡散反射法)を測定
し、すべての実施例および比較例9についてポリフェニ
レンエーテル骨格を確認した。重クロロホルム抽出物か
らはポリフェニレンエーテル鎖とアリル基が1H−NMRに
より確認できた。
し、すべての実施例および比較例9についてポリフェニ
レンエーテル骨格を確認した。重クロロホルム抽出物か
らはポリフェニレンエーテル鎖とアリル基が1H−NMRに
より確認できた。
比較例9におけるクロロホルムにより抽出されたポリフ
ェニレンエーテルの粘度数は0.19であり、実施例1の粘
度数は0.10であり、実施例2および実施例3の粘度数は
0.09であった。
ェニレンエーテルの粘度数は0.19であり、実施例1の粘
度数は0.10であり、実施例2および実施例3の粘度数は
0.09であった。
参考例 31,32 参考例8と同じ方法でアリル基を10%導入したポリ2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル(30.0℃、0.5g/
dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηSP/Cが0.62の
もの)1.4gと2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパー
オキシ)ヘキシン−3 42mgをクロロホルム40mlに溶か
し、底の平らな直径220mmのガラス製ペトリ皿に入れて
室温で12時間放置した。できあがったフィルムをガラス
から剥離し、さらに80℃で4時間乾燥させた。フィルム
の厚みは約100μmであった。このフィルムを、幅1cmに
切り出して引張り破断強度を求めた。これを参考例31と
する。
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル(30.0℃、0.5g/
dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηSP/Cが0.62の
もの)1.4gと2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパー
オキシ)ヘキシン−3 42mgをクロロホルム40mlに溶か
し、底の平らな直径220mmのガラス製ペトリ皿に入れて
室温で12時間放置した。できあがったフィルムをガラス
から剥離し、さらに80℃で4時間乾燥させた。フィルム
の厚みは約100μmであった。このフィルムを、幅1cmに
切り出して引張り破断強度を求めた。これを参考例31と
する。
さらにアリル基を18%導入したポリ2,6−ジメチル−1,4
−フェニレンエーテル(ηSP/C=0.47)について同様に
熱硬化前の引張り破断強度を求めた(参考例32)。以上
の結果を表7に示した。実施例1と参考例31、実施例5
と参考例32を比較すると、硬化後も良好な引張り破断強
度が得られていることがわかる。
−フェニレンエーテル(ηSP/C=0.47)について同様に
熱硬化前の引張り破断強度を求めた(参考例32)。以上
の結果を表7に示した。実施例1と参考例31、実施例5
と参考例32を比較すると、硬化後も良好な引張り破断強
度が得られていることがわかる。
〔発明の効果〕 本発明の硬化性樹脂組成物の特徴は、誘電特性、耐熱
性、耐薬品性、および機械的特性のすべてに優れた硬化
ポリフェニレンエーテル樹脂を容易に得られることであ
る。
性、耐薬品性、および機械的特性のすべてに優れた硬化
ポリフェニレンエーテル樹脂を容易に得られることであ
る。
本発明の樹脂硬化体の特徴は、第1に、その優れた耐熱
性と耐薬品性にある。置換基の導入量とその硬化度に応
じて、約220℃〜300℃以上のガラス転移温度を示し、一
般に広く使用されるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンエーテル)と比べると約10℃〜100℃の改善が認め
られる。このガラス転移温度は、平均置換率がわずか5
%程度でも約260℃に達し、改善効果が大きい。また同
時に、ガラス転移温度以上での線膨張係数も著しく改善
され、寸法安定性が向上する。これらの特性は、本発明
の樹脂硬化体が十分なハング耐熱性を持ち、エレクトロ
ニクス材料として利用できることを示している。さらに
は、ポリフェニレンエーテルの良溶媒である芳香族炭化
水素やハロゲン化炭化水素に対して不溶であるので、実
際の製品としての応用に際しても有利に使用される。
性と耐薬品性にある。置換基の導入量とその硬化度に応
じて、約220℃〜300℃以上のガラス転移温度を示し、一
般に広く使用されるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンエーテル)と比べると約10℃〜100℃の改善が認め
られる。このガラス転移温度は、平均置換率がわずか5
%程度でも約260℃に達し、改善効果が大きい。また同
時に、ガラス転移温度以上での線膨張係数も著しく改善
され、寸法安定性が向上する。これらの特性は、本発明
の樹脂硬化体が十分なハング耐熱性を持ち、エレクトロ
ニクス材料として利用できることを示している。さらに
は、ポリフェニレンエーテルの良溶媒である芳香族炭化
水素やハロゲン化炭化水素に対して不溶であるので、実
際の製品としての応用に際しても有利に使用される。
本発明の樹脂硬化体の特徴の第2は、ポリフェニレンエ
ーテルの特徴である優れた誘電率、誘電正接がほとんど
損われていないことである。すなわち、低誘電率、低誘
電正接材料として際めて有望であり、種々のエレクトロ
ニクス材料として有利に使用される。
ーテルの特徴である優れた誘電率、誘電正接がほとんど
損われていないことである。すなわち、低誘電率、低誘
電正接材料として際めて有望であり、種々のエレクトロ
ニクス材料として有利に使用される。
特徴の第3は、可塑剤を用いていないので物性の低下が
なく、機械的性質が優れていることである。本発明の硬
化体の一例では、引張り破断強度は700〜800kg/cm2であ
り、米国特許第3422062号の参考例7に開示されている
組成物の引張り破断強度28kg/cm2よりも極めて優れてい
ることがわかる。
なく、機械的性質が優れていることである。本発明の硬
化体の一例では、引張り破断強度は700〜800kg/cm2であ
り、米国特許第3422062号の参考例7に開示されている
組成物の引張り破断強度28kg/cm2よりも極めて優れてい
ることがわかる。
又、本発明の硬化体は可撓性にも優れているので、シー
トまたはフィルム状としたときの信頼性が高い。
トまたはフィルム状としたときの信頼性が高い。
特徴の第4は、本樹脂硬化体がアルケニル基および/ま
たはアルキニル基の付加型反応によって得られるもので
あるため、ポリイミド樹脂の様に縮合反応に起因する
水、ガス等の副生物が生成せず、均一でボイドのないフ
ィルムシート、成形品となることである。
たはアルキニル基の付加型反応によって得られるもので
あるため、ポリイミド樹脂の様に縮合反応に起因する
水、ガス等の副生物が生成せず、均一でボイドのないフ
ィルムシート、成形品となることである。
その具体的な用途を挙げると、低誘電率プリント基板
(片面板、両面板、多層板、フレキシブル基板、射出成
形により三次元プリント基板等)、衛生放送様アンテナ
基材、VLSI用絶縁膜、電子レンジ用材料、耐熱性接着剤
等が挙げられる。特にシート又はフィルムとしたときの
信頼性の高さから、衛生放送用アンテナ、絶縁膜として
有用である。
(片面板、両面板、多層板、フレキシブル基板、射出成
形により三次元プリント基板等)、衛生放送様アンテナ
基材、VLSI用絶縁膜、電子レンジ用材料、耐熱性接着剤
等が挙げられる。特にシート又はフィルムとしたときの
信頼性の高さから、衛生放送用アンテナ、絶縁膜として
有用である。
図1は参考例8のパイログラムである。図2は同じく参
考例8のIRスペクトル(拡散反射法)である。図3は参
考例8の重クロロホルム抽出物の1H−NMRのスベクトル
である。 また図4は参考例17のパイログラムである。図5は同じ
く参考例17のIRスペクトル(拡散反射法)である。
考例8のIRスペクトル(拡散反射法)である。図3は参
考例8の重クロロホルム抽出物の1H−NMRのスベクトル
である。 また図4は参考例17のパイログラムである。図5は同じ
く参考例17のIRスペクトル(拡散反射法)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−224146(JP,A) 特開 昭62−224147(JP,A) 特開 昭62−269459(JP,A) 特開 昭62−269460(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】一般式(I)で表わされる構造の硬化性ポ
リフェニレンエーテル100重量部と、 Q′J′−H〕m (I) 〔式中mは1〜6の整数、J′は一般式(II)で表わさ
れる単位を含むポリフェニレンエーテル鎖であり、mが
1のときQ′は水素原子を表わし、mが2以上のとき
は、Q′はQおよび/または一般式(III)のアルケニ
ル基および/または一般式(IV)のアルキニル基で置換
されたQを表わし、Qは一分子中に2〜6個のフェノー
ル性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位およ
びパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フェノ
ール化合物の残基を表わし、各ポリフェニレンエーテル
鎖は同じでも異なってもよい。〕 〔式中、R1,R2,R3およびR4は各々独立に水素原子、一般
式(III) (式中、lは1〜4の整数、R5,R6およびR7は各々独立
に水素原子またはメチル基)で表わされるアルケニル
基、または一般式(IV) CH2kC≡C−R8 (IV) (ここで、kは1〜4の整数、R8は水素原子、メチル基
またはエチル基)で表わされるアルキニル基であり、
R1,R2,R3およびR4の少なくとも1つは水素以外であり、
かつR1〜R4は同一でも異なってもよい〕 ラジカル開始剤0.01〜10重量部からなることを特徴とす
る硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物。 - 【請求項2】請求項1記載の組成物の硬化体で、クロロ
ホルム非抽出性ポリフェニレンエーテルとクロロホルム
抽出性ポリフェニレンエーテルとからなる硬化ポリフェ
ニレンエーテル樹脂であって、熱分解ガラスクロマトク
ラフィーによる分析で(a)2−メチルフェノール、
(b)2,6−ジメチルフェノール、(c)2,4−ジメチル
フェノール、(d)3,5−ジメチルフェノールおよび
(e)2,4,6−トリメチルフェノールが熱分解生成物と
して生成し、且つこれらの面積比が次の不等式を満たす
とともに、 〔式中、A,B,C,DおよびEはそれぞれ熱分解成分a,b,c,d
およびeに起因する熱分解ガスクロマトグラムのピーク
面積を表わす〕 該硬化ポリフェニレンエーテル樹脂をクロロホルムによ
り23℃で12時間処理したときのクロロホルム抽出率から
決定されるクロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテル
量が該樹脂を基準として0.01重量%以上20重量%以下で
あり、該クロロホルム抽出性ポリフェニレンエーテルが
一般式(II)で表わされる単位を含むことを特徴とする
硬化ポリフェニレンエーテル樹脂。 - 【請求項3】請求項2記載の硬化体よりなる硬化ポリフ
ェニレンエーテル樹脂シートまたはフィルム。 - 【請求項4】請求項3記載の硬化ポリフェニレンエーテ
ル樹脂シートまたはフィルムからなる絶縁膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63271983A JPH0678482B2 (ja) | 1988-10-29 | 1988-10-29 | 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその硬化体のシート又はフィルム並びにその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63271983A JPH0678482B2 (ja) | 1988-10-29 | 1988-10-29 | 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその硬化体のシート又はフィルム並びにその用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02120357A JPH02120357A (ja) | 1990-05-08 |
JPH0678482B2 true JPH0678482B2 (ja) | 1994-10-05 |
Family
ID=17507514
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63271983A Expired - Fee Related JPH0678482B2 (ja) | 1988-10-29 | 1988-10-29 | 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその硬化体のシート又はフィルム並びにその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0678482B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8703277B2 (en) | 2010-12-16 | 2014-04-22 | Asahi Kasei E-Materials Corporation | Curable resin composition |
US9051465B1 (en) | 2012-02-21 | 2015-06-09 | Park Electrochemical Corporation | Thermosetting resin composition containing a polyphenylene ether and a brominated fire retardant compound |
US9243164B1 (en) | 2012-02-21 | 2016-01-26 | Park Electrochemical Corporation | Thermosetting resin composition containing a polyphenylene ether and a brominated fire retardant compound |
CN116670106A (zh) * | 2020-12-22 | 2023-08-29 | 本州化学工业株式会社 | 1,1,1-三(4-羟基-3,5-二甲基苯基)乙烷的结晶体及其制造方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6469629A (en) * | 1987-09-09 | 1989-03-15 | Asahi Chemical Ind | Novel curable polyphenylene ether and preparation thereof |
JPH01113425A (ja) * | 1987-10-27 | 1989-05-02 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 三重結合を含む硬化性ポリフェニレンエーテルおよびその製造法 |
JPH01113426A (ja) * | 1987-10-27 | 1989-05-02 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 二重結合を含む硬化性ポリフェニレンエーテルおよびその製造法 |
JPS6469628A (en) * | 1987-09-09 | 1989-03-15 | Asahi Chemical Ind | Curable polyphenylene ether and preparation thereof |
-
1988
- 1988-10-29 JP JP63271983A patent/JPH0678482B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02120357A (ja) | 1990-05-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4923932A (en) | Polyphenylene ether resin comprising chloroform extractable/nonextractable polyphenylene ether resin | |
KR930005399B1 (ko) | 경화 폴리페닐렌 에테르 수지조성물 및 이를 사용한 적층체 | |
JP7557841B2 (ja) | 樹脂組成物、プリプレグ、樹脂付きフィルム、樹脂付き金属箔、金属張積層板、及び配線板 | |
JP6976981B2 (ja) | ジシクロペンタジエンを有する官能化ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)オリゴマー及びその製造方法、並びにその用途 | |
WO2008089314A1 (en) | Flame retardant poly (arlene ether) compositions and articles | |
JP2018095815A (ja) | 熱硬化性樹脂組成物、並びに、それを用いた樹脂ワニス、プリプレグ、樹脂付金属箔、樹脂フィルム、金属張積層板及びプリント配線板 | |
JP2017031276A (ja) | 熱硬化性樹脂組成物、並びに、それを用いた樹脂ワニス、樹脂付金属箔、樹脂フィルム、金属張積層板及びプリント配線板 | |
TW202206470A (zh) | 多官能乙烯基樹脂及其製造方法、多官能乙烯基樹脂組成物、硬化物、預浸體、樹脂片以及積層板 | |
CA2835199A1 (en) | Halogen free thermoset resin system for low dielectric loss at high frequency applications | |
JPH0678482B2 (ja) | 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその硬化体のシート又はフィルム並びにその用途 | |
JPH0726013B2 (ja) | 硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物並びにこれを用いた複合材料および積層体 | |
JPH01113426A (ja) | 二重結合を含む硬化性ポリフェニレンエーテルおよびその製造法 | |
JPH058930B2 (ja) | ||
JP5797147B2 (ja) | 芳香族ジヒドロキシ化合物、ビニルベンジルエーテル系化合物、及びこれを含有する硬化性組成物 | |
JPH058931B2 (ja) | ||
JPH0726014B2 (ja) | 難燃化樹脂組成物 | |
JPH058932B2 (ja) | ||
JP7042691B2 (ja) | ビニルベンジルエーテル樹脂、当該ビニルベンジルエーテル樹脂の製造方法、硬化性樹脂組成物、当該硬化性樹脂組成物の硬化物、およびシールド部材 | |
JPH02202520A (ja) | 複合材料及び積層材料 | |
JPH0692532B2 (ja) | 難燃化複合材料 | |
JPH0692534B2 (ja) | 新しい難燃化複合材料 | |
JPH0747633B2 (ja) | 官能基を含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物 | |
JPH0747632B2 (ja) | 官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 | |
JPH0726016B2 (ja) | 硬化性官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 | |
JPH0726015B2 (ja) | 新規な難燃化樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |