JPH0726015B2 - 新規な難燃化樹脂組成物 - Google Patents

新規な難燃化樹脂組成物

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JPH0726015B2
JPH0726015B2 JP18019189A JP18019189A JPH0726015B2 JP H0726015 B2 JPH0726015 B2 JP H0726015B2 JP 18019189 A JP18019189 A JP 18019189A JP 18019189 A JP18019189 A JP 18019189A JP H0726015 B2 JPH0726015 B2 JP H0726015B2
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照雄 片寄
弘治 小田
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旭化成工業株式会社
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/0313Organic insulating material
    • H05K1/0353Organic insulating material consisting of two or more materials, e.g. two or more polymers, polymer + filler, + reinforcement

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、硬化性難燃化樹脂組成物に関し、より詳しく
は、硬化性官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物お
よび難燃剤からなる硬化性でかつ難燃性に優れた樹脂組
成物に関する。さらに本発明は、該硬化性難燃化樹脂組
成物を硬化して得られる難燃性、耐薬品性に優れた樹脂
組成物硬化体に関する。
この樹脂組成物硬化体は、難燃性、耐薬品性、誘電特性
に優れ、電気・電子分野における材料として有利に使用
できるものである。
〔従来の技術〕
近年、通信用、民生用、産業用等の電子機器の分野にお
ける実装方法の小型化、高密度化への指向は著しいもの
があり、それに伴って材料の面でもより優れた耐熱性、
寸法安定性、電気特性、難燃性が要求されつつある。例
えばプリント配線基板としては、従来からフェノール樹
脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を基材とした銅張
り積層板が用いられてきた。これらは各種の性能をバラ
ンスよく有するものの、電気特性、特に高周波領域での
誘電特性が悪いという欠点を持っている。この問題を解
決する新しい材料としてポリフェニレンエーテルが近年
注目をあび銅張り積層板への応用が試みられている。
ポリフェニレンエーテルは機械的特性と電気的特性に優
れたエンジニアリングプラスチックであり、耐熱性も比
較的高い。しかしながらプリント基板材料として利用し
ようとした場合、極めて高いハンダ耐熱性が要求される
ため、ポリフェニレンエーテル本来の耐熱性では決して
十分とは言えない。すなわち、ポリフェニレンエーテル
は200℃以上の高温に曝されると変形を起こし、機械的
強度の著しい低下や、樹脂表面に回路用として形成され
た銅箔の剥離を引き起こす。またポリフェニレンエーテ
ルは、酸、アルカリ、熱水に対しては強い抵抗性を有す
るものの芳香族炭化水素化合物やハロゲン置換炭化水素
化合物に対する抵抗性が極めて弱く、これらの溶媒に溶
解する。
難燃性という観点から見てもポリフェニレンエーテルは
プリント基板材料としての要求に耐えうるだけの十分な
難燃性を持つとは言い難い。
ポリフェニレンエーテルの耐熱性と耐薬品性を改善する
方法の一つとして、ポリフェニレンエーテルの鎖中に架
橋性の官能基を導入しさらに硬化させて硬化ポリフェニ
レンエーテルとして利用する方法が提案されている。
具体例を挙げると、2−アリル−6−メチルフェノール
または2,6−ジアリルフェノールの重合体がJournal of
Polymer Science誌,第49巻,267頁(1961)に開示され
ている。米国特許第3281393号および同3422062号には、
2,6−ジメチルフェノールと2−アリル−6−メチルフ
ェノールまたは2,6−ジアリルフェノールとの共重合体
が開示されている。また米国特許第4634742号には、ビ
ニル基置換ポリフェニレンエーテルが開示されている。
さらには本発明者らは、先にプロパルギル基あるいはア
リル基で置換されたポリフェニレンエーテル、ならびに
三重結合あるいは二重結合を含むポリフェニレンエーテ
ルを発明し、これらが硬化可能であること、そして得ら
れる硬化体は芳香族炭化水素溶媒やハロゲン置換炭化水
素溶媒に不溶であり優れた誘電特性を持つことを見い出
した(特開昭64−69628号、同64−69629号、特開平1−
113425号、同1−113426号を参照)。しかし以上のいず
れの硬化性ポリフェニレンエーテルも難燃性という点で
はまったく改良が行われていなかった。
ポリフェニレンエーテルに耐薬品性と難燃性を同時に付
与した材料として、本発明者らは続いてポリフェニレン
エーテル樹脂とアリルブロマイドあるいはプロパルギル
ブロマイドとの反応生成物からなる官能化ポリフェニレ
ンエーテル樹脂組成物を発明した(特願平1−52041
号、同1−53703号を参照)。しかしながらこれらの硬
化体は、(1)トリクロロエチレンで煮沸すると不溶で
はあるものの膨れや反りが生じるため、プリント基板材
料として使用するにはなお耐薬品性の改善が不十分であ
り、(2)難燃性の改善も不十分であるという問題点が
あった。
〔本発明が解決しようとする課題〕
本発明は以上の事情に鑑みて、ポリフェニレンエーテル
の優れた誘電特性を保持しつつ、かつ耐薬品性と難燃性
のより一層改善された新規なポリフェニレンエーテル樹
脂組成物を提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上述のような課題を解決し、積層材料とし
て好適な材料を得るべく鋭意検討を重ねた結果、本発明
に到った。本発明は次に述べる発明より構成される。
すなわち本発明は、 (a)(i)ポリフェニレンエーテル樹脂および、アリ
ルブロマイドおよび/またはプロパルギルブロマイドの
反応生成物からなる官能化ポリフェニレンエーテル樹脂
組成物であって、臭素および、アリル基および/または
プロパルギル基が共有的にポリフェニレンエーテル樹脂
に結合しており、臭素の含量が1重量%以上30重量%以
下であり、かつ次式で定義されるアリル基および/また
はプロパルギル基の含量が0.1モル%以上100モル%以下
である官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 または (ii)上記官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物98
〜40重量%とトリアリルイソシアヌレートおよび/また
はトリアリルシアヌレート2〜60重量%とからなる樹脂
組成物 ならびに (b)リン系、塩素系および臭素系難燃剤からなる群か
ら選ばれた少なくとも一種の難燃剤 を含有する硬化性難燃化樹脂組成物であって、(a)成
分100重量部に対して(b)成分を1〜40重量部含むこ
とを特徴とする硬化性難燃化樹脂組成物を提供する。
本発明の上記の組成物は硬化させると、リン系、酸素系
および臭素系難燃剤からなる群から選ばれた少なくとも
一種の難燃剤を含有する難燃化樹脂組成物硬化体であっ
て、 (i)官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を硬化
して得られる硬化体であり、クロロホルムにより23℃で
12時間処理したときのクロロホルム抽出率が0.01重量%
以上20重量%以下であり、かつ該クロロホルム抽出物中
に次の構造式で表わされる単位(I)および/または
(II)、および(III)が含まれる (式中、Rはアリル基および/またはプロパルギル基を
表わす。) かあるいは、 (ii)官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物およ
び、トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリア
リルシアヌレートからなる樹脂組成物を硬化して得られ
る硬化体であり、クロロホルムにより23℃で12時間処理
したときのクロロホルム抽出率が0.01重量%以上10重量
%以下であり、かつ該クロロホルム抽出物中に上記の構
造式で表される単位(I)および/または(II),(II
I),ならびにトリアリルイソシアヌレートおよび/ま
たはトリアリルシアヌレートが含まれるかのいずれかを
特徴とする難燃化樹脂組成物硬化体を提供する。
以上の発明について以下に詳しく説明する。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の(a)成分として用
いられる官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物と
は、ポリフェニレンエーテル樹脂および、アリルブロマ
イドおよび/またはプロパルギルブロマイドの反応生成
物からなる樹脂組成物である。
ここで用いられるポリフェニレンエーテル樹脂とは、次
の一般式で表わされるものである。
QJ−H〕m (IV) 式中、mは1または2の整数であり、Jは次の一般式で
表わされる単位から実質的に構成されるポリフェニレン
エーテル鎖であり、 Qは、mが1のとき水素原子を表わし、mが2のときは
一分子中に2個のフェノール性水酸基を持ち、フェノー
ル性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な置換
基を有する2官能性フェノール化合物の残基を表わす。
Qの代表的な例としては、次の2種の一般式で表わされ
る化合物群が挙げられる。
(式中、A1,A2は同一または異なる炭素数1〜4の直鎖
状アルキル基を表わし、Yは脂肪族炭化水素残基および
それらの置換誘導体、芳香族炭化水素残基およびそれら
の置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導
体、酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基等を表わ
し、A2と直接結合した2つのフェニル基、A2とYの結合
位置はすべてフェノール性水酸基のオルト位およびパラ
位を示す。) 具体例として、 等が挙げられる。
一般式(IV)のポリフェニレンエーテル樹脂の特に好ま
しい例は、2,6−ジメチルフェノールを単独で酸化重合
して得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェノールエ
ーテル)である。また、2,6−ジメチルフェノールと2,
3,6−トリメチルフェノールの共重合から得られるコポ
リマーも好ましい例の一つである。
一般式(IV)のポリフェニレンエーテル樹脂の分子量に
ついては特に制限されず、低分子量体から高分子量体ま
で使用できるが、特に30℃,0.5g/d1のクロロホルム溶液
で測定した粘度数ηsp/Cが0.2〜1.0の範囲にあるものが
良好に使用できる。
一般式(IV)のポリフェニレンエーテル樹脂より(a)
成分の官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を製造
する方法は、特に限定されるものではないが、例えば特
願平1−52041号、同1−53703号に開示された方法を挙
げることができる。すなわち、一般式(IV)のポリフェ
ニレンエーテル樹脂を有機金属でメタル化し、続いてア
リルブロマイドおよび/またはプロパルギルブロマイド
で置換反応する工程より成る方法を挙げることができ
る。
このようにして得られる該官能化ポリフェニレンエーテ
ル樹脂組成物の構造は、核磁気共嗚(以下NMRと略称す
る。)スペクトルの測定により、少なくとも次の3種な
いし4種の構造式で表わされる単位より実質的に構成さ
れていることが判明している。
(式中Rはアリル基および/またはプロパルギル基を表
わす。) また同じくNMRスペクトルの測定によれば、該官能化ポ
リフェニレンエーテル樹脂組成物中に含まれる臭素およ
び、アリル基および/またはプロパルギル基は、共にポ
リフェニレンエーテル樹脂骨格に共有的に結合してお
り、臭素は実質的に上記(III)の構造に由来し、アリ
ル基および/またはプロパルギル基は実質的に上記
(I)および(II)の構造に由来することが判明してい
る。
該官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の構造およ
びその生成機構の詳細については、特願平1−52041
号、同1−53703号明細書を参照されたい。
本発明の(a)成分に用いられる官能化ポリフェニレン
エーテル樹脂組成物の臭素の含有量は、該樹脂組成物を
基準として1重量%以上30重量%以下の範囲であり、よ
り好ましくは1重量%以上20重量%以下の範囲である。
また次式によって定義されるアリル基および/またはプ
ロパルギル基の含量は、0.1モル%以上100モル%以下の
範囲、より好ましくは0.5モル%以上50モル%以下の範
囲である。
臭素の含量が1重量%を下まわると難燃性の改善に多量
の難燃剤の併用が必要となるので好ましくない。逆に30
重量%を越えると熱安定性が低下するので好ましくな
い。またアリル基および/またはプロパルギル基の含量
が0.1モル%を下まわると硬化後の耐薬品性の改善が不
十分となるので好ましくない。逆に100モル%を越える
と硬化後において非常に脆くなるので好ましくない。
本発明の(a)成分に用いられる官能化ポリフェニレン
エーテル樹脂組成物の分子量については特に制限され
ず、低分子量体から高分子量体まで使用できるが、特に
30℃,0.5g/d1のクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp
/Cが0.2〜1.0の範囲にあるものが良好に使用できる。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の(a)成分に用いら
れるトリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリア
リルシアヌレートとは、それぞれ次の構造式で表される
3官能性モノマーである。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の(a)成分として
は、上記官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物が単
独で、もしくは上記官能化ポリフェニレンエーテル樹脂
組成物とトリアリルイソシアヌレートおよび/またはト
リアリルシアヌレートが同時に用いられる。トリアリル
イソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
トは、賦形の際の成形性を改善し、かつ硬化の際の架橋
密度を向上させて耐薬品性の一層の向上を図るために用
いられる。トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリ
ルシアヌレートはそれぞれ単独で用いられるだけでな
く、両者を任意の割合で混合して使用することが可能で
ある。
官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物とトリアリル
イソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
トを同時に用いる場合、その配合割合は、両者の和を基
準として官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物が98
〜40重量%、より好ましくは95〜60重量%の範囲であ
り、トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリア
リルシアヌレートが2〜60重量%、より好ましくは5〜
40重量%の範囲である。トリアリルイソシアヌレートお
よびトリアリルシアヌレートが2重量%未満では成形性
や耐薬品性の改善が不十分であり、好ましくない。逆に
60重量%を越えると誘電特性や難燃性が低下し、また硬
化後において非常に脆い材料となるので好ましくない。
さらには後に述べるキャスティング法で成膜すると、脆
くかつ表面のべたついた材料となるので好ましくない。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の(b)成分として用
いられる難燃剤とは、リン系、塩素および臭素系難燃剤
からなる群から選ばれた少なくとも一種の難燃剤であ
り、任意のものが使用できる。好適な難燃剤は例えば次
のようなものである。
(1)次の一般式で表わされるリン酸エステルまたは亜
リン酸エステル。
(式中、R9〜R10は脂肪族炭化水素残基、芳香族炭化水
素残基、アラルキル基;これらが塩素および/または臭
素で置換された残基;水素; −CH2(CH2CH2OH)2−CH2OH, −OCH2CH2O-C4H9, 等で例示される含窒素および/または含酸素炭化水素残
基を表わし、R9〜R10の少なくとも1つは水素以外であ
る) (2)次式で例示されるような縮合リン酸エステル。
(3)赤リンまたは赤リンを主成分として含む難燃剤。
(4)塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、臭素
化ポリフェニル、パークロロペンタシクロデカン、ヘキ
サブロモシクロドデカン、テトラブロモエタン、テトラ
ブロモブタン、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモベ
ンゼン、ペンタブロモメチルベンゼン、1,2−ジブロモ
−3−クロロプロパン、1,2,3−トリブロモプロパン等
で例示される塩素および/または臭素化脂肪族炭化水素
化合物、または塩素および/または臭素化芳香族炭化水
素化合物。
(5)次の一般式で表わされる塩素化および/または臭
素化芳香族化合物。
(式中、Xは塩素または臭素を表わし;k,l,p,q,r,x,y,z
はいずれもベンゼン環上に存在する塩素または臭素の総
数を表わす整数であり、k,lは0〜5でかつk+l≧1
であり、p,qは0〜4でかつp+q≧1であり、rは1
〜5であり、x,y,zは1〜4であり;Z1は酸素または2
価のヒドロキシ化合物残基を表わし、Z2は脂肪族炭化水
素残基、芳香族炭化水素残基、アラルキル基、2価のヒ
ドロキシ化合物残基、酸素を表わし;R12〜R14は下式で
表わされる原子又は基からなる群から独立に選ばれた一
種であり; −H,−CH2CH=CH2 −CH2CH2OH, CH2CH2O2H nは5〜100の整数であり、R15は−OHまたは (6)次式で例示されるような塩素化および/または臭
素化含窒素炭化水素化合物。
一般式(VI)のリン酸エステルの具体的な例としては、
トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ト
リブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ト
リブトキシホスフェート、トリフェニルホスフェート、
トリクレジルホスフェート、トリス(トリブロモフェニ
ル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェー
ト、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート;2
−アクリロキシエチルホスフェート、ビス(2−アクリ
ロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリ
ロキシエチルホスフェート、これらアクリロキシ基がメ
タクリロキシ基になったもの等が挙げられる。
一般式(VII)の亜リン酸エステルの具体的な例として
は、ジ(イソプロピル)−N,N′−ビス(2−ヒドロキ
シエチル)アミノメチルホスホネート、グリシジル−α
−メチル−β−ジ(ブトキシ)ホスフィニルプロピオネ
ート、ジブトキシホスフィニルプロピルアミド、ジブチ
ルヒドロキシメチルホスホネート等が挙げられる。
一般式(VIII)の化合物の具体的な例としては、テトラ
ブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエー
テル等が挙げられる。
一般式(IX)の化合物の具体的な例としては、テトラブ
ロモビスフェノールAおよびこれから誘導される、前述
の基を含む化合物等が挙げられる。
一般式(X)の化合物の具体的な例としては、トリブロ
モフェノールおよびこれから誘導される、前述の基を含
む化合物等が挙げられる。
一般式(XI)の化合物の具体的な例としては、ポリ(2,
6−ジブロモ−1,4−フェニレンエーテル)、ベンゾイル
基でエンドキャップされたポリ(2,6−ジブロモ−1,4−
フェニレンエーテル)等が挙げられる。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の(b)成分として用
いられる難燃剤の特に好ましい例は、トリス(トリブロ
モフェニル)ホスフェート、赤リンを主成分として含む
難燃剤(具体的には、燐化学工業(株)製ノーバレッ
ド,ノーバクエル等)、テトラブロモベンゼン、ヘキサ
ブロモベンゼン、ペンタブロモメチルベンゼン、テトラ
ブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエ
ーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモ
ジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジ
アリルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジアリ
ルエーテルのアリル基の二重結合に臭素を4個付加させ
た化合物、テトラブロモビスフェノールAジグリシジル
エーテル、テトラブロモビスフェノールAジアクリレー
ト、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、
テトラブロモビスフェノールAジ(2−アクリロキシエ
チル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAジ(2
−メタクリロキシエチル)エーテル、トリブロモフェニ
ルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、
トリブロモフェニル−2−アクリロキシエチルエーテ
ル、トリブロモフェニル−2−メタクリロキシエチルエ
ーテル、ポリ(2,6−ジブロモ−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ベンゾイル基でエンドキャップされたポリ(2,6
−ジブロモ−1,4−フェニレンエーテル)、トリアリル
イソシアヌレートのアリル基のすべての二重結合に臭素
を付加させた化合物等である。
以上述べた難燃剤のうち、分子内にオレフィン性不飽和
二重結合を少なくとも2個有する難燃剤は架橋性を有し
ており、上述したトリアリルイソシアヌレートやトリア
リルシアヌレートを併用せずとも優れた耐薬品性を付与
することができ、なおかつ難燃性とすることができる。
このような架橋性難燃剤の好適な例は、テトラブロモビ
スフェノールAジアリルエーテル、テトラブロモビスフ
ェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノー
ルAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA
ジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ
ビスフェノールAジ(2−メタクリロキシエチル)エー
テル等である。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物は、上記の(a),
(b)2つの成分を配合することにより製造される。両
者の配合比は、(a)成分100重量部に対して(b)成
分が1〜40重量部の範囲であり、より好ましくは2〜30
重量部の範囲である。(b)成分が1重量部未満では難
燃性が付与されず好ましくない。逆に40重量部を越える
と誘電特性、耐薬品性、機械特性が低下するので好まし
くない。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物は、上記の(a),
(b)2つの成分に加えて、難燃性の一層の向上を図る
目的で難燃助剤を加えて用いることができる。難燃助剤
としては任意のものを用いることができるが、特にSb2O
3,Sb2O5,NaSbO3・1/4H2O等のアンチモン化合物を用
いることが好ましい。難燃助剤の好適な量は、難燃剤の
量に応じて選ばれるが、(a)成分の100重量部に対し
ては0.1〜40重量部の範囲で用いられ、より好ましくは
1〜30重量部の範囲で用いられる。難燃助剤が0.1重量
部未満ではその効果が現われず、難燃性が改善されない
ので好ましくない。逆に40重量部を越えると誘電特性、
耐薬品性、機械特性が低下するので好ましくない。
以上の成分を配合する方法は特に制限されず、溶液混合
による方法や加熱溶融による方法等を利用することがで
きる。
溶液混合に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、
クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン置換炭
化水素やベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素等のうちから選んだ単独または混合溶媒が挙げられ
る。これらの溶媒中に溶かしたり分散させたりした上記
の樹脂組成物をキャスティング法によりフィルム状に賦
形することができる。
このようなキャスティング法以外の賦形方法としては通
常の加熱溶融による方法が挙げられ、インジェクション
成形、トランスファー成形、押出成形、プレス成形等の
方法が利用できる。加熱溶融の際の温度は、該樹脂組成
物のガラス転移温度以上硬化開始温度以下の範囲で選ば
れる。
(a)成分に用いられる官能化ポリフェニレンエーテル
樹脂組成物は、分子に導入された臭素および、アリル基
および/またはプロパルギル基の効果により、これらの
官能基を持たないポリフェニレンエーテルと比較してガ
ラス転移温度が約140℃〜約210℃と大旨低く、熱成形に
有利である。さらにはトリアリルイソシアヌレートおよ
び/またはトリアリルシアヌレートを用いる場合には、
これらが可塑剤としての効果も発揮するため、ガラス転
移温度は80〜160℃の範囲となり、低温においても顕著
な流動性が認められ、熱成形に一層有利となっている。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物を硬化させる方法は任
意であり、熱、光、電子線等による方法を採用すること
ができる。
また硬化の際の温度を低くしたり架橋反応を促進する目
的で触媒としてラジカル開始剤を含有させて使用するこ
ともできる。開始剤の好ましい量は、(a)成分100重
量部に対して0.1〜10重量部の範囲であり、より好まし
くは0.1〜5重量部の範囲である。開始剤が0.1重量%未
満では硬化が十分行なわれず、耐薬品性が不十分となる
ので好ましくない。逆に10重量%を越えると、開始剤が
残存して誘電特性を低下させたり脆い材料となるため好
ましくない。ラジカル開始剤の代表的な例を挙げると、
ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオ
キサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α′−ビス(t
−ブレルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキ
シイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−
ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ
(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリ
ルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物があ
るがこれらに限定されない。また過酸化物ではないが、
2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンもラジカル開始
剤として利用できる。
加熱により硬化を行う場合の温度は、開始剤の有無やそ
の種類によっても異なるが、温度は100℃〜350℃、より
好ましくは150℃〜300℃の範囲で選ばれる。また時間は
1分〜5時間程度、より好ましくは1分〜3時間であ
る。この硬化反応の程度は示差走査熱量計や赤外吸収
(以下IRと略称する)スペクトル法により追跡すること
が可能である。
本発明の硬化性難燃化樹脂組成物は、その用途に応じて
所望の性能を付与する目的で本来の性質を損わない範囲
の量の充填材や添加剤を配合して用いることができる。
充填材は繊維状であっても粉末状であってもよく、ガラ
ス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、セ
ラミック繊維、アスベスト繊維、カーボンブラック、シ
リカ、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス
中空球等を挙げることができる。又添加剤としては、酸
化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染
料、着色剤等を配合することができる。
以上述べてきた本発明の硬化性難燃化樹脂組成物の特徴
をまとめると、まず第1に難燃性に優れる点が挙げられ
る。本発明に用いられる官能化ポリフェニレンエーテル
樹脂組成物は、分子骨格中に臭素が導入されているた
め、より少量の難燃剤の添加で優れた難燃性を発揮でき
るという利点がある。第2の特徴はキャスティング法に
よる成膜性に優れている点にある。通常のポリフェニレ
ンエーテルでは溶媒成膜性がほとんど認められないのに
対し、本発明の樹脂組成物では平滑で表面にべたつきの
ないフィルムが得られ、取り扱いが容易である。第3に
特徴は貯蔵安定性に優れる点であり、溶液状またはフィ
ルム状でゲル化することなく長期間保存可能である。第
4の特徴はガラス転移温度が低く流動性に優れるため、
熱成形が行いやすい点にある。
次に本発明の難燃化樹脂組成物の硬化体について説明す
る。この難燃化樹脂組成物硬化体は、本発明の第1とし
て述べた硬化性難燃化樹脂組成物を加熱等の方法により
硬化することによって得られるものである。
該難燃化樹脂組成物硬化体が官能化ポリフェニレンエー
テル樹脂組成物、もしくは官能化ポリフェニレンエーテ
ル樹脂組成物とトリアリルイソシアヌレートおよび/ま
たはトリアリルシアヌレートから成る組成物を硬化させ
たものであるということについては、例えばIRスペクト
ル法、固体の高分解能NMRスペクトル法(いわゆるCP−M
AS)、熱分解ガスクロマトグラフィー等の分析手法によ
り実証することができる。
本発明の難燃化樹脂組成物硬化体中には、リン系、塩素
系および臭素系難燃剤からなる群から選ばれた少なくと
も一種の難燃剤が含まれている。
また該硬化体中には、難燃剤とは別に必ず臭素が含有さ
れている。この臭素は、硬化体を構成するポリフェニレ
ンエーテル骨格に共有的に結合した臭素であり、前記の
構造式(III)の構造に実質的に由来するものである。
このことは後述するクロロホルム抽出物の解析により実
証することができる。
硬化体中に含まれるリン、塩素および臭素の定性および
定量分析は、例えば蛍光X線法や発行分析法等の方法に
より行うことができる。該硬化体を熱や酸等で分解した
後、滴定やイオンクロマトグラフ等の手法を用いて分析
することも可能である。
本発明の硬化体のクロロホルム抽出率の好ましい範囲
は、該硬化体がトリアリルイソシアヌレートおよび/ま
たはトリアリルシアヌレートを用いた硬化体であるか否
かによって異なる。
後述するような抽出物の1H-NMRの解析によってトリアリ
ルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレートが検
出されない場合には、クロロホルム抽出率は0.01重量%
以上20重量%以下であり、より好ましくは0.01重量%以
上10重量%以下である。一方、トリアリルイソシアヌレ
ートおよび/またはトリアリルシアヌレートが検出され
る場合には、クロロホルム抽出率は0.01重量%以上10重
量%以下であり、より好ましくは0.01重量%以上5重量
%以下である。いずれの場合にせよクロロホルム抽出率
がこれらの範囲より小さい場合には硬化体が脆くなり好
ましくない。逆に大きい場合には耐薬品性が不十分であ
りやはり好ましくない。ここで言うクロロホルム抽出率
とは、該難燃化樹脂組成物硬化体をクロロホルム中に23
℃で12時間浸漬して得られる値であり、該硬化体のクロ
ロホルム浸漬前の重さを基準として次式に従って計算さ
れる。
クロロホルムに浸漬させる難燃化樹脂組成物硬化体の形
状としては、クロロホルムの除去しやすさを考慮してフ
ィルム状又は粉末状が最も好ましい。
クロロホルム抽出率の測定は、クロロホルムの代りに重
クロロホルムを用いて行うこともできるが、この場合の
抽出物の重クロロホルム溶液のNMRスペクトルを測定す
ることにより、抽出物の成分およびその構造を知ること
ができる。この抽出物は、本発明の第1で述べた硬化性
難燃化樹脂組成物のうち硬化過程において硬化反応に十
分寄与できなかった成分が抽出されたものである。従っ
て該抽出物中には、該硬化性難燃化樹脂組成物の(a)
成分に由来する構造として、前述の式(I)および/ま
たは(II)、および(III)で表わされる単位が確認さ
れる。またトリアリルイソシアヌレートおよび/または
トリアリルシアヌレートを併用した場合には、これらの
構造も抽出物中に確認される。抽出物の構造確認の手段
としては、前述の通りNMRスペクトル法が有効である
が、その中でも特に1H-NMRが有効である。又IRスペクト
ル法も利用できる。
以上述べてきた本発明の難燃化樹脂組成物の硬化体の特
徴をまとめると、第1の特徴はポリフェニレンエーテル
骨格中の臭素および難燃剤の効果による難燃性である。
第2の特徴は硬化によって得られる耐薬品性と耐熱性で
ある。耐薬品性は、特にトリアリルイソシアヌレートお
よび/またはトリアリルシアヌレートを用いた系が優れ
ており、トリクロロエチレン中で煮沸しても膨潤は小さ
く、外観の変化も認められなかった。また、架橋性難燃
剤を用いるとトリアリルイソシアヌレートやトリアリル
シアヌレートを用いなくとも優れた耐薬品性を難燃性と
同時に付与することができた。耐熱性については、260
℃のハンダ浴で120秒間加熱しても外観に変化は認めら
れなかった。
第3の特徴は、ポリフェニレンエーテルの優れた誘電特
性(低誘電率、低誘電正接)が損われていないことであ
り、プリント基板等の材料として有用である。さらに本
発明における硬化反応は、官能化ポリフェニレンエーテ
ル樹脂組成物中のアリル基やプロパルギル基および、ト
リアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシ
アヌレート中のアリル基、架橋性難燃剤中のオレフィン
性不飽和二重結合の付加反応によって起こるため、ポリ
イミド樹脂のように縮合反応に起因する水、ガス等の副
生物が生成せず、均一でボイドのないフィルム、シー
ト、成形品が得られるという特徴も有する。
〔実施例〕
以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説
明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するも
のではない。
実施例1〜6 官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 30℃,0.5g/d1のクロロホルム溶液で測定した粘度数ηSP
/Cが0.56であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン
エーテル)210gをテトラヒドロフラン(以下THFと略称
する。)7.0lに溶解させ、n−ブチルリチウム(1.5モ
ル/l、ヘキサン溶液)300mlを加えて窒素雰囲気下、40
℃で3分間反応させた。続いてアリルブロマイド38mlを
加え、40℃のままさらに30分間攪拌した。最後に水2.8l
とメタノール2.8lの混合溶液を加え、ポリマーを析出さ
せた。濾過とメタノール洗浄を5回繰り返した後、80℃
で14時間真空乾燥させ、白色粉末状のポリマーを得た。
このポリマーの分析値を第1表にまとめた。各値は次の
方法により求めた。
1.粘度数ηSP/C:30℃,0.5g/d1,クロロホルム溶液 2.臭素含量:蛍光X線法 3.アリル基含量:1H-NMR 硬化性難燃化樹脂組成物 上で合成したポリマー、トリアリルイソシアヌレート
(以下TAICと略記する)またはトリアリルシアヌレート
(以下TACと略記する)、開始剤、難燃剤、および難燃
助剤を第1表に示した組成でトリクロロエチレン中に溶
解または均一に分散させ、キャスティング法により厚さ
約100μmのフィルム状に成膜した。開始剤、難燃剤、
難燃助剤としては次のようなものを用いた。
開始剤;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3 (日本油脂(株)パーヘキシン25B) 難燃剤; B赤リン系難燃剤〔燐化学工業(株)ノーバレッド120U
F〕 難燃助剤;Sb2O3(日本精鉱(株)PATOX−M) 得られたフィルムの成膜性、保存安定性、熱機械的分析
装置(TAM)で測定したガラス転移温度を第1表にまと
めた。いずれのフィルムも成膜性に優れており、表面の
平滑なべたつきのない物であった。また、室温で3か月
間放置してもゲル化は起らず、長期保存性にも優れてい
た。
難燃化樹脂組成物硬化体 上記の方法で得た樹脂組成物のフィルムを18枚重ね合わ
せ、真空プレスにより室温から200℃まで加熱圧縮し、2
00℃で30分間保持後、冷却して厚さ1.5mmのシート状硬
化体を得た。いずれの実施例についてもフィルムのガラ
ス転移温度が低く流動性に優れていたため、プレス成形
は容易であった。得られたシート状硬化体の物性を第2
表にまとめた。各物性の測定は次に述べる方法により行
った。
1.クロロホルム抽出率 シート状硬化体の一部をヤスリで削って微粉末化し、ク
ロロホルム中に23℃で12時間浸漬して、その前後の重さ
から次式に従って求めた。
2.燃焼性 長さ127mm、幅12.7mmの試験片を切り出し、UL−94の試
験法に準じて行った。
3.ハンダ耐熱性 10mm角の試験片を260℃のハンダ浴中に120秒間浮かべ、
外観の変化を目視により観察した。
4.耐トリクロロエチレン性 シート状硬化物を約15mm角に切り出し、トリクロロエチ
レン中で5分間煮沸し、取り出してから5分後の重量増
加を次式から求めた。また外観の変化を目視により観察
した。
5.誘電率、誘電正接 1MHzで測定を行った。
いずれの実施例についても難燃性、耐トリクロロエチレ
ン性は良好であり、誘電特性に優れていた。特に、架橋
性難燃剤を用いた実施例6では、TAICおよびTACを用い
ていないにもかかわらず、極めて良好な耐トリクロロエ
チレン性を示した。
一方、難燃化樹脂組成物硬化体の構造を確認するため以
下のような解析を行った。まず粉末化した硬化体のFT−
IR(拡散反射法)を測定し、いずれの実施例についても
ポリフェニレンエーテル骨格の存在を確認した。その主
要なピークの帰属は次の通りであった。
同時に1700cm-1にTAICに起因するカルボニル基の吸収が
確認された。また、熱分解ガスクロマトグラフィーの測
定では(熱分解条件:590℃,4秒)、ポリフェニレンエー
テル特有の熱分解生成物である2−メチルフェノール、
2,6−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノールお
よび2,4,6−トリメチルフェノールが確認できた。実施
例6を除いてTAICまたはTACのピークも確認された。な
おガスクロマトグラフのピークの同定は、市販の試薬を
標準として用い、保持時間、質量スペクトル、およびFT
−IRスペクトルを比較することにより行った。
次に硬化体の微粉末を重クロロホルム(CDCl3)中に23
℃で12時間浸漬し、抽出を行った。この重クロロホルム
溶液をNMRサンプル管に移し1H-NMRを測定したところ、
前述の構造式(I)〜(III)に特徴的なピークが確認
された。また実施例6を除いてTAICまたはTACのアリル
基のピークも確認された。主要なピークの帰属は次の通
りである。
実施例7 官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 実施例1〜6で用いたものと同じポリ(2,6−ジメチル
−1,4−フェニレンエーテル)8.0gをTHF400mlに溶解さ
せ、n−ブチルリチウム(1,5モル/l,ヘキサン溶液)8
8.9mlを加えて窒素雰囲気下、25℃で20分間反応させ
た。続いてアリルブロマイド11.5mlを加え、25℃のまま
さらに30分間攪拌した。最後にこの反応混合物をメタノ
ール1.0l中に注ぎ、ポリマーを析出させた。濾過とメタ
ノール洗浄を3回繰り返した後、80℃で14時間真空乾燥
させ、白色粉末状のポリマーを得た。このポリマーの分
析値を第1表にまとめた。
硬化性難燃化樹脂組成物および難燃化樹脂組成物硬化体 上記のポリマーを用い、第1表に示した組成で実施例1
〜6と同じ操作を繰り返した。難燃剤としては次の構造
のものを用いた。
硬化体の物性を第2表にまとめた。難燃性、耐トリクロ
ロエチレン性は良好であり、誘電特性にも優れていた。
硬化体の構造解析についても実施例1〜6と同様に行っ
た。すなわち、FT−IRおよび熱分解ガスクロマトグラフ
ィーを用いてポリフェニレンエーテル骨格とTACの存在
を確認した。さらに重クロロホルム抽出物1H-NMRを測定
し、前述の構造(I)〜(III)とTACに特徴的なピーク
を確認した。
実施例8〜11 官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパンの共存下に2,6−ジメチルフェノールを酸化重
合して得た両末端に水酸基を有するポリフェニレンエー
テル(30℃,0.5g/d1のクロロホルム溶液で測定した粘度
数ηsp/Cが0.40のもの)210gをTHF7.0lに溶解させ、n
−ブチルリチウム(1.5モル/l,ヘキサン溶液)350mlを
加えて窒素雰囲気下40℃で5分間反応させた。続いてプ
ロパルギルブロマイド40.0mlを加え、40℃のままさらに
30分間攪拌した。実施例1と同様に後処理を行い、白色
粉末状のポリマーを得た。このポリマーの分析値を第1
表にまとめた。
硬化性難燃化樹脂組成物および難燃化樹脂組成物硬化体 上記のポリマーを用い、第1表に示した組成で実施例1
〜6と同じ操作を繰り返した。実施例8においては次の
構造の難燃剤を用いた。
硬化体の物性を第2表にまとめた。架橋性難燃剤を用い
た実施例10では、TAICおよびTACを用いていないにもか
かわらず極めて良好な耐トリクロロエチレン性を示し
た。
硬化体の構造確認についてもFT−IR、熱分解ガスクロマ
トグラフィーおよび1H-NMRを用いて実施例1〜6と同様
に行うことができた。
比較例1〜3 実施例1〜6で合成したポリマーを用い、第1表に示し
た組成で難燃剤を用いずに物性を測定した。結果を第2
表にまとめた。
TAICおよびTACを併用しない場合には、難燃性は良好で
あったが耐トリクロロエチレン性に劣るものであった
(比較例1)。またTAICを併用することによって耐トリ
クロロエチレン性は改善されたが、難燃性が低下した
(比較例2,3)。
比較例4 実施例1〜6においてn−ブチルリチウムの反応条件を
40℃,3分から40℃,1時間に変えて、他はまったく同様に
反応を行った。得られたポリマーの分析値を第1表に示
した。蛍光X線法による測定では、このポリマー中には
臭素は検出されなかった。
このポリマーを用いて実施例3と同じ組成、同じ方法で
硬化体を作製し、物性を測定した。結果を第2表にまと
めた。同量の難燃剤を用いているにもかかわらず、実施
例3より難燃性は劣っていた。
〔発明の効果〕 本発明の第1である硬化性難燃化樹脂組成物の特徴をま
とめると、まず第1に難燃性に優れる点が挙げられる。
本発明に用いられる官能化ポリフェニレンエーテル樹脂
組成物は、分子骨格中に臭素が導入されているため、よ
り少量の難燃剤の添加で優れた難燃性を発揮できるとい
う利点がある。第2の特徴はキャスティング法による成
膜性に優れている点にある。通常のポリフェニレンエー
テルでは溶媒成膜性がほとんど認められないのに対し、
本発明の樹脂組成物では平滑で表面にべたつきのないフ
ィルムが得られ、取り扱いが容易である。第3の特徴は
貯蔵安定性に優れる点であり、溶液状またはフィルム状
でゲル化することなく長期間保存可能である。第4の特
徴はガラス転移温度が低く流動性に優れるため、熱成形
が行いやすい点にある。
一方、本発明の第2である難燃化樹脂組成物硬化体の特
徴をまとめると、第1の特徴はポリフェニレンエーテル
骨格中の臭素および難燃剤の効果による難燃性である。
第2の特徴は硬化によって得られる耐薬品性と耐熱性で
ある。耐薬品性は、特にトリアリルイソシアヌレートお
よび/またはトリアリルシアヌレートを用いた系が優れ
ており、トリクロロエチレン中で煮沸しても膨潤は小さ
く、外観の変化も認められなかった。また、架橋性難燃
剤を用いるとトリアリルイソシアヌレートやトリアリル
シアヌレートを用いなくとも優れた耐薬品性を難燃性と
同時に付与することができた。耐熱性については、260
℃のハンダ浴で120秒間加熱しても外観にに変化は認め
られなかった。第3の特徴は、ポリフェニレンエーテル
の優れた誘電特性(低誘電率、低誘電正接)が損われて
いないことである。さらに本発明における硬化反応は、
官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物中のアリル基
やプロパルギル基および、トリアリルイソシアヌレート
および/またはトリアリルシアヌレート中のアリル基、
架橋性難燃剤中のオレフィン性不飽和二重結合の付加反
応によって起こるため、ポリイミド樹脂のように縮合反
応に起因する水、ガス等の副生物が生成せず、均一でボ
イドのないフィルム、シート、成形品が得られるという
特徴も有する。
以上述べてきた本発明の特徴はいずれも、本発明が難燃
性低誘電率プリント基板材料として有利に使用できるこ
とを示している。すなわち、片面または両面銅張積層
板、多層基板用プリプレグ、フレキシブル基板、射出成
形による三次元プリント基板等の材料として有用であ
る。これら以外の用途としては、半導体封止材料、衛星
放送用アンテナ基材、VLSI用絶縁膜、電子レンジ用材
料、耐熱性接着剤等が挙げられる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)(i)ポリフェニレンエーテル樹脂
    および、アリルブロマイドおよび/またはプロパルギル
    ブロマイドの反応生成物からなる官能化ポリフェニレン
    エーテル樹脂組成物であって、臭素および、アリル基お
    よび/またはプロパルギル基が共有的にポリフェニレン
    エーテル樹脂に結合しており、臭素の含量が1重量%以
    上30重量%以下であり、かつ次式で定義されるアリル基
    および/またはプロパルギル基の含量が0.1モル%以上1
    00モル%以下である官能化ポリフェニレンエーテル樹脂
    組成物 または (ii)上記官能化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物98
    〜40重量%とトリアリルイソシアヌレートおよび/また
    はトリアリルシアヌレート2〜60重量%とからなる組成
    物、 ならびに (b)リン系、塩素系および臭素系難燃剤からなる群か
    ら選ばれた少なくとも一種の難燃剤 を含有する硬化性難燃化樹脂組成物であって、(a)成
    分100重量部に対して(b)成分が1〜40重量部含むこ
    とを特徴とする硬化性難燃化樹脂組成物。
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