JPH0764914B2 - 新規な硬化性ポリフェニレンエーテル・エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

新規な硬化性ポリフェニレンエーテル・エポキシ樹脂組成物

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JPH0764914B2
JPH0764914B2 JP4067952A JP6795292A JPH0764914B2 JP H0764914 B2 JPH0764914 B2 JP H0764914B2 JP 4067952 A JP4067952 A JP 4067952A JP 6795292 A JP6795292 A JP 6795292A JP H0764914 B2 JPH0764914 B2 JP H0764914B2
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照雄 片寄
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硬化性ポリフェニレンエ
ーテル・エポキシ樹脂組成物およびこれを硬化して得ら
れる硬化体に関する。さらに本発明は、該樹脂組成物と
基材からなる硬化性複合材料、その硬化体、硬化体と金
属箔からなる積層体、および硬化体と金属ベースからな
る積層板に関する。
【0002】本発明の樹脂組成物は、硬化後において優
れた耐薬品性、誘電特性、耐熱性、難燃性を示し、電子
産業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材料、絶
縁材料、耐熱材料に用いることができる。
【0003】
【従来の技術】近年、通信用、民生用、産業用等の電子
機器の分野における実装方法の小型化、高密度化への指
向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより
優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性が要求されつつあ
る。例えばプリント配線基板としては、従来からフェノ
ール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を材料とす
る銅張り積層板が用いられてきた。これらは各種の性能
をバランスよく有するものの、電気特性、特に高周波領
域での誘電特性が悪いという欠点を持っている.この問
題を解決する新しい材料としてポリフェニレンエーテル
が近年注目を浴び、銅張積層板への応用が試みられてい
る。
【0004】銅張積層板材料としては、通常耐薬品性と
耐熱性が要求される。ポリフェニレンエーテルはガラス
転移温度約210℃という優れた耐熱性を有するが、芳
香族系溶媒やハロゲン系溶媒に対しては膨潤、溶解しや
すく耐薬品性に劣る材料である。ポリフェニレンエーテ
ルの耐薬品性を改良し、かつエポキシ樹脂の耐熱性およ
び誘電特性を改良する目的で両者をブレンドする方法が
種々提案されている。
【0005】特公昭64−3223号公報には、ポリフ
ェニレンエーテルと各種のエポキシ樹脂との組み合わせ
が開示されている。このエポキシ樹脂としては、ビスフ
ェノールAのポリグリシジルエーテルや3,3’,5,
5’−テトラブロモビスフェノールAのポリグリシジル
エーテル、エポキシフェノールノボラック樹脂等汎用の
ものが使用されており、アミン類をはじめとする様々な
公知の硬化剤が行われている。しかしこの硬化物は耐薬
品性にひどく劣っており、プリント基板材料に要求され
る耐トリクロロエチレン性を全く示さない。
【0006】耐薬品性を改善し、さらに難燃性を付与し
た材料として、特開平2−55721号公報および同5
5722号公報には、(1)ビスフェノールポリグリシ
ジルエーテル、エポキシノボラック、臭素化ビスフェノ
ールの反応生成物からなる樹脂組成物、(2)ポリフェ
ニレンエーテル、(3)ノボラック樹脂、(4)イミダ
ゾールおよびポリアミン類、(5)亜鉛塩、(6)Sb
2 5 からなる樹脂組成物が開示されている。しかしな
がら、この硬化体においても耐トリクロロエチレン性の
改善にはなお不十分であり、トリクロロエチレン煮沸後
においてはざらつき等著しい変化が認められる。
【0007】一方、ヨーロッパ特許公報第315829
号公報には、ポリフェニレンエーテル、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、およびアミン硬化剤からなる樹脂組
成物が開示されている。しかしながらこの硬化物の耐薬
品性、及び熱膨張特性については、同明細中にはなんら
説明がなされていない。本発明者らは、特願平3−19
03号および特願平3−12582号において耐薬品性
の改良を提案した。特願平3−1903号には、(a)
ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無
水物との反応生成物、(b)トリアリルイソシアヌレー
トおよび/またはトリアリルシアヌレート、(c)エポ
キシ樹脂および硬化剤からなる樹脂組成物が、また特願
平3ー12582号には、(a)ポリフェニレンエーテ
ルと不飽和カルボン酸叉は酸無水物との反応生成物、
(b)トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリ
アリルシアヌレート、(c)(i)臭素化ビスフェノー
ルポリグリシジルエーテルエポキシ樹脂、(ii)ノボ
ラックエポキシ樹脂、(iii)フェノール樹脂を必須
成分とする樹脂組成物が開示されている。しかしなが
ら、該組成物は耐薬品性を満足するものの寸法安定性す
なわち熱膨張特性についてはまだ不十分なレベルであり
一層の低熱膨張特性が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
事情に鑑みてなされたものであり、ポリフェニレンエー
テルの優れた誘電特性とエポキシ樹脂のバランスのとれ
た各種の性能および経済性を兼ね備え、かつ硬化後にお
いて優れた耐薬品性、耐熱性、難燃性に加えて低熱膨張
特性を示す新規な硬化性ポリフェニレンエーテル・エポ
キシ樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述のよう
な課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、(a)ポ
リフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸又は酸無水物
との反応生成物、(b)トリアリルイソシアヌレートお
よび/またはトリアリルシアヌレート、(c)(i)臭
素化ビスフェノールポリグリシジルエーテルエポキシ樹
脂、(ii)ノボラックエポキシ樹脂、(iii)フェ
ノール樹脂に(d)成分として少なくとも1個のエポキ
シ基を有しおよび少なくとも1個の不飽和結合基を有す
る化合物を添加することにより貯蔵安定性、成膜性に加
えて樹脂の溶融流れ性に優れた硬化性ポリフェニレンエ
ーテル・エポキシ樹脂組成物が得られ、かつ硬化後にお
いては一つのガラス転移温度を示し、耐薬品性、耐熱
性、難燃性に加えて低線膨張率を示すことを見いだし本
発明を完成した。本発明は次に述べる7つの発明により
構成される。
【0010】すなわち本発明の第1は、(a)、(a)
成分と(b)成分の和を基準として、98〜40重量%
のポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸
無水物との反応生成物、(b)、(a)成分と(b)成
分の和を基準として、2〜60重量%のトリアリルイソ
シアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレート、
(c)、(a)成分、(b)成分および(c)成分の和
を基準として、10〜90重量%の(i)臭素化ビスフ
ェノールポリグリシジルエーテルエポキシ樹脂、(i
i)ノボラックエポキシ樹脂および(iii)フェノー
ル樹脂を必須成分とする樹脂組成物、(d)、(a)成
分、(b)成分、(c)成分および(d)成分の和を基
準として、0.1〜30重量%の少なくとも1個のエポ
キシ基を有しおよび少なくとも1個の不飽和結合基を有
する化合物、からなることを特徴とする硬化性ポリフェ
ニレンエーテル・エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0011】本発明の第2は、上記第1発明の硬化性ポ
リフェニレンエーテル・エポキシ樹脂組成物を硬化して
得られた一つのガラス転移温度を示す硬化ポリフェニレ
ンエーテル・エポキシ樹脂組成物を提供する。本発明の
第3は、上記第1発明の硬化性ポリフェニレンエーテル
・エポキシ樹脂組成物と基材からなる硬化性複合材料を
提供する。
【0012】本発明の第4は、上記第3発明の硬化性複
合材料を硬化して得られた一つのガラス転移温度を示す
硬化複合材料を提供する。本発明の第5は、上記第4発
明の硬化複合材料と金属箔からなる積層体を提供する。
本発明の第6は、金属ベース上に上記第4発明の硬化複
合材料からなる絶縁層を積層した積層板を提供する。
【0013】最後に本発明の第7は、金属ベース上の少
なくとも片面に上記第4発明の硬化複合材料からなる絶
縁層が積層されており、かつ該絶縁層の少なくとも最表
層に金属箔が積層された金属張り積層板を提供する。以
下にこの発明を詳しく説明する。本発明において使用さ
れるポリフェニレンエーテルは次の一般式(1)で表さ
れる。
【0014】
【化1】
【0015】一般式(A)におけるR1 〜R4 の低級ア
ルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基
等が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基
等が挙げられる。ハロアルキル基の例としては、ブロモ
メチル基、クロロメチル基等が挙げられる。ハロゲン原
子の例としては臭素、塩素等が挙げられる。
【0016】一般式(1)のQの代表的な例としては、
つぎの4種の一般式(2)で表される化合物群が挙げら
れる。
【0017】
【化2】
【0018】具体例として、下記一般式(3)、(4)
等が挙げられる。
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】一般式(1)中のJで表されるポリフェニ
レンエーテル鎖中には、一般式(A)で表される単位の
ほか、次の一般式(5)で表される単位が含まれていて
もよい。
【0022】
【化5】
【0023】本発明に用いられる一般式(1)のポリフ
ェニレンエーテル樹脂の好ましい例としては、2,6−
ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、 ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の
スチレングラフト重合体 、2,6−ジメチルフェノー
ルと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体、
2,6−ジメチルフェノールと2−メチル−6−フェニ
ルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノール
と多官能フェノール化合物:一般式(6)、
【0024】
【化6】
【0025】の存在下で重合して得られた多官能性ポリ
フェニレンエーテル樹脂、例えば特開昭63−3012
22号公報、特開平1−297428号公報に開示され
ているような一般式(A)および(B)の単位を含む共
重合体等が挙げられる。以上述べたポリフェニレンエー
テル樹脂の分子量については、30℃、0.5g/dl
のクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.
1〜1.0の範囲にあるものが良好に使用できる。溶融
樹脂流れを重視する硬化性樹脂組成物、例えば多層配線
板用プリプレグとしては、粘度数の小さい樹脂が好まし
い。
【0026】本発明に用いられる(a)成分は、上記の
ポリフェニレンエーテル樹脂を不飽和カルボン酸または
酸無水物と反応させることによって製造される、実質的
に酸または酸無水物に起因する重合性の二重結合を含ま
ない反応生成物である。該反応生成物は、おそらく種々
の化学構造を持つ色々な生成物からなる混合物であっ
て、それらの化学構造はすべてが明らかにされているわ
けではなく、例えば、J.H.Glans,M.K.A
kkapeddi,Macromolecules,v
ol 1991,24,383〜386に記載されてい
る下記の化学構造が例として挙げられる。
【化10】 適当な酸および酸無水物の例としては、アクリル酸、メ
タクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、
無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸
等が挙げられ、このうち無水マレイン酸、フマル酸が最
も良好に使用できる。反応はポリフェニレンエーテル樹
脂と不飽和カルボン酸または酸無水物を100℃〜39
0℃の温度範囲で加熱することによって行われる。この
際ラジカル開始剤を共存させてもよい。溶液法と溶融混
合法の両方が使用できるが、押出し機等を用いる溶融混
合法の方が簡便に行うことができ、本発明の目的に適し
ている。不飽和カルボン酸または酸無水物の割合は、ポ
リフェニレンエーテル樹脂100重量部に対し、0.0
1〜5.0重量部、好ましくは0.1〜3.0重量部で
ある。
【0027】本発明のポリフェニレンエーテル・エポキ
シ樹脂組成物の(b)成分として用いられるトリアリル
イソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
トとは、それぞれ次の構造式(7)で表される3官能性
モノマーである。
【0028】
【化7】
【0029】本発明を実施する上においては、トリアリ
ルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレートはそ
れぞれ単独で用いられるだけでなく、両者を任意の割合
で混合して用いることが可能である。本発明において、
トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレ
ートは、可塑剤ならびに架橋剤としての効果を発揮す
る。すなわち、プレス時の樹脂流れの向上と架橋密度の
向上をもたらす。
【0030】本発明のポリフェニレンエーテル・エポキ
シ樹脂組成物の(c)成分の一つとして用いられる臭素
化ビスフェノールポリグリシジルエーテルエポキシ樹脂
とは、次の一般式(8)で表されるものである。
【0031】
【化8】
【0032】このうちpがすべて2であり、qが実質的
に0であり、A3 がイソプロピリデン基であるものが本
発明に最も良好に使用できる。同じく(c)成分の一つ
として用いられているノボラックエポキシ樹脂とは、次
の一般式(9)で表されるものである。
【0033】
【化9】
【0034】このうち、nの平均値が0〜5であり、A
4 が水素原子またはメチル基であるものが本発明に最も
良好に使用でき、1種もしくは2種以上が組み合わせて
用いられる。(c)成分の一つとして用いられるフェノ
ール樹脂とは、1分子中に2個以上のフェノール性水酸
基を有するものであり、フェノール、クレゾール、キシ
レノール、プロピルフェノール、アミルフェノール、ブ
チルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノ
ール、アリルフェノール、ビスフェノールAなどから単
独で、またそれらを併用して合成されるノボラック樹
脂、レゾール樹脂を指す。このうちブチルフェノールま
たはフェニルフェノールから合成されるノボラック樹
脂、レゾール樹脂が(a)、(b)、及び(c)−
(i)、(c)−(ii)の各成分との相溶性に優れて
いるので本発明に最も良好に使用でき、1種もしくは2
種以上が組み合わせて用いられる。
【0035】以上の(c)成分のうち、臭素化ビスフェ
ノールポリグリシジルエーテルエポキシ樹脂は難燃性の
付与に、ノボラックエポキシ樹脂は架橋密度の向上によ
る耐薬品性・耐熱性の向上に不可欠である。またフェノ
ール樹脂はこれらエポキシ樹脂の硬化剤として作用し、
他のエポキシ樹脂硬化剤と比べて樹脂配合後の貯蔵安定
性に優れるという特徴を有する。
【0036】(c)成分中には上記の他、難燃性、耐薬
品性、耐熱性等の諸特性を低下させない範囲において他
のエポキシ樹脂を配合してもよい。本発明の硬化性ポリ
フェニレンエーテル・エポキシ樹脂組成物の(d)成分
として用いられる少なくとも1個のエポキシ基を有しか
つ少なくとも1個の不飽和結合基を有する化合物とは、
1分子中に少なくとも1個以上のエポキシ基を有し、か
つ少なくとも1個以上の不飽和結合基を有している化合
物であればよく、また不飽和基としては炭素−炭素2重
結合および/または炭素−炭素3重結合を含む官能基を
示す。代表的な例としては、アリルグリシジルエーテ
ル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト等である。
【0037】(d)成分は、樹脂溶融流れ特性の向上に
寄与するという特徴を有する。かつ硬化後においては硬
化組成物に低熱膨張性を付与することができる。以上説
明した(a)〜(d)の4つの成分のうち(a)成分と
(b)成分の配合割合は、両者の和を基準として(a)
成分が98〜40重量%、(b)成分が2〜60重量%
であり、より好ましくは(a)成分が95〜50重量
%、(b)成分が5〜50重量%の範囲である。
【0038】(b)成分が2重量%未満では耐薬品性の
改善が不十分であり好ましくない。逆に60重量%を超
えると誘電特性、難燃性、吸湿特性が低下し、また硬化
後において非常に脆い材料になるので好ましくない。さ
らに、(a)成分と(b)成分の割合が上記範囲外で
は、キャスト法により得られたフィルムは非常に脆くか
つべたついた表面を有するので好ましくない。
【0039】(c)成分の配合割合は(a)成分、
(b)成分および(c)成分の和を基準として10〜9
0重量%が好ましく、より好ましくは40〜80重量%
である。(c)成分が90重量%を超えると誘電特性が
低下するので好ましくない。また(c)成分が10重量
%未満のときは、エポキシ樹脂による改良すなわち耐薬
品性、難燃性等が不十分であり好ましくない。また金属
箔との接着強度も低下するので好ましくない。
【0040】(c)成分中における臭素化ポリグリシジ
ルエーテルエポキシ樹脂とノボラックエポキシ樹脂の配
合割合は、本発明の樹脂組成物全体としての耐薬品性と
難燃性のバランスによって決定されるものであり、ノボ
ラックエポキシ樹脂の配合割合を増すことにより耐薬品
性は向上するが、(a)〜(d)成分の和を基準とする
臭素の含有量が5重量%以上20重量%以下となるよう
に臭素化ビスフェノールポリグリシジルエーテルエポキ
シ樹脂を用いるのが難燃性付与のため好ましい。
【0041】また(c)成分中におけるフェノール樹脂
の配合割合は、該樹脂中のフェノール性水酸基の量が上
記エポキシ樹脂の総量に対して0.5〜1.5当量、よ
り好ましくは0.6〜1.2当量の範囲になるよう調整
するのがよい。(d)成分の配合割合は(a)成分、
(b)成分、(c)成分および(d)成分の和を基準と
して0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量
%、さらに好ましくは0.2〜6重量%である。(d)
成分が30重量%を超えると耐薬品性の改善が不十分で
あり好ましくない。また0.1重量%未満では線膨張率
の低減が不十分であり好ましくない。
【0042】本発明において、(a)成分として臭素ま
たは塩素を含むポリフェニレンエーテル樹脂を用いた
り、(c)成分として臭素化エポキシ樹脂を用いると、
難燃性の樹脂組成物を得ることができる。難燃性を付与
するための好ましいハロゲン含量は、(a)〜(d)成
分の和を基準として5重量%以上より好ましくは10重
量%以上である。臭素含有量が20重量%を超えると該
樹脂組成物の熱安定性が低下するので好ましくない。
【0043】本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル・
エポキシ樹脂組成物には、機械的強度を高め、寸法安定
性を増大させるために(e)成分の基材を加えることが
できる。本発明に用いられる基材としては、”ロービン
グクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシング
マットなどの各種ガラス布”、”アスベスト布、金属繊
維布およびその他合成もしくは天然の無機繊維布”、”
ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリ
ル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリテトラフルオロ
エチレン繊維などの合成繊維から得られる織布または不
織布”、”綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維
布”、”カーボン繊維布”、”クラフト紙、コットン
紙、紙−ガラス混繊紙などの天然セルロース系布”など
がそれぞれ単独で、あるいは2種以上併せて用いられ
る。本発明の硬化性複合材料における(e)成分の基材
の占める割合は、硬化性複合材料100重量部を基準と
して5〜90重量%、より好ましくは10〜80重量%
さらに好ましくは20〜70重量%である。基材が5重
量%より少なくなると複合材料の硬化後の寸法安定性や
強度が不十分であり、また基材が90重量%より多くな
ると複合材料の誘電特性や難燃性が劣り好ましくない。
【0044】本発明で用いられる金属箔としては、例え
ば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特
に限定されないが、5〜200μm、より好ましくは5
〜100μmの範囲である。また本発明に用いられる金
属板としては、例えば鉄板、アルミニウム板、ケイ素鋼
板、ステンレス板等が挙げられる。その厚みは特に限定
されないが、0.2mm〜5mmの範囲である。金属板
は使用に先立ち、その接着性を改善するため研磨紙や研
磨布によるサンディング、湿式ブラスト、乾式ブラスト
等の機械的研磨を行い、さらに脱脂、エッチング、アル
マイト処理、化成皮膜処理等を施して用いることができ
る。アルミニウム板では、研磨後炭酸ナトリウムで脱脂
し、水酸化ナトリウムでエッチングするのが好ましい
が、とくにこの方法に限定されない。
【0045】上記の(a)〜(d)成分の4つの成分を
混合する方法としては、四者を溶媒中に均一に溶解また
は分散させる溶液混合法、あるいは押し出し機等により
加熱して行う溶融ブレンド法等が利用できる。溶液混合
に用いられる溶媒としては、”ジクロロメタン、クロロ
ホルム、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶
媒”、”ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系
溶媒”、”アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトンなどのケトン系溶媒”、”テトラヒドロフ
ラン”が単独であるいは二種以上を組み合わせて用いら
れる。
【0046】本発明の樹脂組成物は、あらかじめその用
途に応じて成形、硬化させてもよい。成形方法は特に限
定されない。通常は、樹脂組成物を上述した溶媒に溶解
させ好みの形に成形するキャスト法、または樹脂組成物
を加熱溶融し好みの形に成形する加熱溶融法が用いられ
る。上述したキャスト法と加熱溶融法は単独で行っても
よい。またそれぞれを組み合わせて行ってもよい。例え
ば、キャスト法で作成された本樹脂組成物のフィルムを
数枚〜数十枚積層し、加熱溶融法、例えばプレス成形機
で加熱溶融し、本樹脂組成物のシートを得ることができ
る。
【0047】本発明の硬化性複合材料を製造する方法と
しては、例えば本発明の(a)〜(c)成分と必要に応
じて他の成分を前述のハロゲン系、芳香族系、ケトン系
等の溶媒もしくはその混合溶媒中に均一に溶解または分
散させ、基材に含浸させた後乾燥する方法が挙げられ
る。含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行わ
れる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能で
あり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用い
て含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成および
樹脂量に調整することも可能である。
【0048】本発明の硬化性複合材料には、必要に応じ
て樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカ
ップリング剤を用いることができる。カップリング剤と
しては、シランカップリング剤、チタネートカップリン
グ剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネ
ートカップリング剤等一般のものが使用できる。本発明
の樹脂組成物は後述するように加熱等の手段により架橋
反応を起こして硬化するが、その際の反応温度を低くし
たり不飽和基の架橋反応を促進する目的でラジカル開始
剤を含有させて使用してもよい。
【0049】本発明の樹脂組成物に用いられるラジカル
開始剤の量は(a)成分と(b)成分の和を基準として
0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%であ
る。ラジカル開始剤の代表的な例を挙げると、ベンゾイ
ルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、
2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオ
キサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル
パーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサ
イド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブ
チルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)
ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオ
キシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイ
ド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイ
ド等の過酸化物があるがこれらに限定されない。また過
酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェ
ニルブタンもラジカル開始剤として使用できる。しか
し、本樹脂組成物の硬化に用いられる開始剤はこれらの
例に限定されない。
【0050】上述したラジカル開始剤の他に、本樹脂組
成物の(c)成分と(d)成分とを反応させる目的で硬
化促進剤を用いてもよい。硬化促進剤としては、例えば
アミン系化合物、イミダゾール系化合物、ジアザビシク
ロウンデセンのような含窒素複素環式化合物、有機ホス
フィン化合物、有機ホスフィン・有機ボロン錯体、第4
級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物等公
知のものを用いることができる。硬化促進剤に関する技
術の詳細については、例えば垣内弘編著、「エポキシ樹
脂 最近の進歩」(昭晃堂、1990)、第4章および
その引用文献に示されている。
【0051】本発明の樹脂組成物は、その用途に応じて
所望の性能を付与させる目的を達する範囲で、且つ本来
の性質を損なわない範囲の量の充填剤や添加剤を配合し
て用いることができる。充填剤は繊維状であっても粉末
状であってもよく、カーボンブラック、シリカ、アルミ
ナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス中空球等を挙
げることができる。添加剤としては、酸化防止剤、熱安
定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤等が挙
げられる。また難燃性の一層の向上を図る目的で塩素
系、臭素系、リン系の難燃剤や、Sb2 3 、Sb2
5 、NbSbO3・1/4H2 O等の難燃助剤を併用す
ることもできる。さらには、他の熱可塑性樹脂、あるい
は熱硬化性樹脂を一種又は二種以上配合することも可能
である。
【0052】本発明の硬化ポリフェニレンエーテル・エ
ポキシ樹脂組成物は、以上に述べた硬化性ポリフェニレ
ンエーテル・エポキシ樹脂硬化物を硬化することにより
得られるものである。硬化の方法は任意であり、熱、
光、電子線等による方法を採用することができる。加熱
により硬化を行う場合その温度は、ラジカル開始剤、硬
化剤の有無やその種類によっても異なるが、80〜30
0℃、より好ましくは120〜250℃の範囲で選ばれ
る。また時間は、1分〜10時間程度、より好ましくは
1分〜5時間である。
【0053】得られた硬化ポリフェニレンエーテル・エ
ポキシ樹脂組成物は、赤外吸収スペクトル法、高分解能
固体核磁気共鳴スペクトル法、熱分解ガスクロマトグラ
フィー等の方法を用いて樹脂組成を解析することができ
る。本発明の硬化複合材料はフィルム状、あるいは少な
くとも1種類の金属箔および/または金属板と、少なく
とも片面に上述の金属箔および/または金属板を張り合
わせた硬化樹脂組成物から構成される積層体として使用
されることが可能である。
【0054】本発明の硬化複合材料は、このようにして
得た硬化性複合材料を加熱等の方法により硬化すること
によって得られるものである。その製造方法は特に限定
されるものではなく、例えば該硬化性複合材料を複数枚
重ね合わせ、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時
に熱硬化を行い、所望の厚みの硬化複合材料を得ること
ができる。また一度接着硬化させた硬化複合材料と硬化
性複合材料を組み合わせて新たな層構成の硬化複合材料
を得ることも可能である。積層成形と硬化は、通常熱プ
レス等を用い同時に行われるが、両者をそれぞれ単独で
行ってもよい。すなわち、あらかじめ積層成形して得た
未硬化あるいは半硬化の複合材料を、熱処理または別の
方法で処理することによって硬化させることができる。
【0055】成形および硬化は、温度80〜300℃、
圧力0. 1〜1000kg/cm2、時間1分〜10時
間の範囲、より好ましくは、温度120〜250℃、圧
力1〜100kg/cm2 、時間1分〜5時間の範囲で
行うことができる。本発明の積層体とは、本発明の硬化
複合材料と金属箔より構成されるものである。また積層
板とは、同じく硬化複合材料と金属板より構成されるも
のであり、金属張り積層板とは、金属箔、硬化複合材
料、および金属板より構成されるものである。
【0056】本発明の積層体、積層板、および金属張り
積層板を製造する方法としては、例えば本発明の硬化性
複合材料と、金属箔および/または金属板を目的に応じ
た層構成で積層し、加熱加圧下に各層間を接着せしめる
と同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。例え
ば積層体においては、硬化性複合材料と金属箔が任意の
層構成で積層される。金属箔は表層としても中間層とし
ても用いることができる。
【0057】積層板においては、金属板をベースとしそ
の片面または両面に硬化性複合材料が積層される。金属
張り積層板においては、金属板をベースとしその片面ま
たは両面に硬化性複合材料を介して金属箔が積層され
る。この際金属箔は最表層として用いられるが、最表層
以外に中間層として用いてもよい。
【0058】上記の他、積層と硬化を複数回繰り返して
多層化することも可能である。金属箔および金属板の接
着には接着剤を用いることもできる。接着剤としては、
エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリ
レート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されな
い。上記の積層成形と硬化は、本発明の硬化複合材料と
同様の条件で行うことができる。
【0059】
【実施例】以下、本発明を一層明確にするために実施例
を挙げて説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に
限定するものではない。以下の実施例、比較例には各成
分として次のようなものを用いた。 ポリフェニレンエーテル樹脂: ・ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル) ηsp/c=0.54(30℃、0.5g/dlのクロ
ロホルム溶液) ・ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル) ηsp/c=0.60(30℃、0.5g/dlのクロ
ロホルム溶液) エポキシ樹脂: ・高臭素化ビスフェノールAグリシジルエーテルエポキ
シ樹脂 旭化成工業(株)製 AER735 エポキシ当量
350 臭素含量 48重量% ・クレゾールノボラックエポキシ樹脂 旭化成工業(株)製 ECN273 エポキシ当量
220 開始剤:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂パーヘキシン25
B) 硬化剤: 2E4MZ 2−エチル−4−メチルイミダゾール BPR t−ブチルフェノールレゾール樹脂(群栄
化学 PS2657) ガラスクロス:Eガラス製、目付48g/m2 または1
05g/m2
【0060】
【参考例1】30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶
液で測定した粘度数ηsp/cが0/54のポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)100重
量部と、無水マレイン酸1.5重量部、および2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン(日本油脂(株)製 パーヘキサ25B)1.0重量
部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度30
0℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し
出し機により押出した。この反応生成物をAとする。
【0061】
【参考例2】反応生成物、Aの測定と同様の方法で測定
した粘度数ηsp/cが0.60のポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレンエーテル)100重量部と、
無水マレイン酸1.5重量部を室温でドライブレンドし
た後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数23
0rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。この
反応生成物をBとする。
【0062】
【実施例1〜4】 硬化性ポリフェニレンエーテル・エポキシ樹脂組成物お
よび硬化ポリフェニレンエーテル・エポキシ樹脂組成
物:反応生成物AまたはB、トリアリルイソシアヌレー
ト、エポキシ樹脂、硬化剤、アリルグリシジルエーテ
ル、および開始剤を表1に示した組成でヘンシェルミキ
サーを用いて混合し、プレス成形機により200℃、2
時間の条件で成形・硬化させ、厚み約1mmの硬化物を
作成した。
【0063】この硬化物は、トリクロロエチレン中で5
分間煮沸しても反りおよび外観の変化は、認められず寸
法安定性は良好であった。
【0064】
【実施例5】 硬化性ポリフェニレンエーテル・エポキシ樹脂組成物か
らなるフィルムおよび硬化して得られたフィルム:反応
生成物A、トリアリルイソシアヌレート、エポキシ樹
脂、硬化剤、アリルグリシジルエーテル、および開始剤
を実施例1と同様の組成でクロロホルムに溶解した。こ
の溶液をテフロンシャーレにキャストし、フィルムを得
た。得られたフィルムは約100μmの厚みでありフィ
ルムはべたつき等がなく成膜性に優れていた。
【0065】エアーオーブンで乾燥後、得られたフィル
ムを真空プレス成形機にて積層硬化して厚さ1mmの硬
化物を作成した。この硬化物は、トリクロロエチレンで
5分間煮沸しても反りおよび外観の変化は、認められず
寸法安定性は良好であった。
【0066】
【実施例6〜17】 硬化性複合材料:表2、表3に示した組成で各成分をト
リクロロエチレン中に溶解または分散させた。この溶液
にガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン
中で乾燥させた。
【0067】積層体:成形後の厚みが約0.8mmにな
るように上記の硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、そ
の両面に厚さ35μmの銅箔を置いてプレス成形機によ
り成形硬化させて積層体を得た。各実施例の硬化条件を
表2、表3に示した。圧力はいずれも40kg/cm2
とした。諸物性については表4、表5の通り。
【0068】
【比較例1〜6】アリルグリシルエーテルを用いずに表
2、表3に示した組成で各成分をトリクロロエチレン中
に溶解あるいは分散させた。この溶液を実施例6〜17
と同様な方法で含浸を行いエアーオーブン中で乾燥させ
た。又、得られた硬化性複合材料は実施例6〜17と同
様な方法で成形硬化し積層体を得た。諸物性については
表4、表5の通り。
【0069】このようにして得られた積層体の諸物性を
以下の方法で測定した。 1、耐トリクロロエチレン性 銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、トリク
ロロエチレン中で5分間煮沸し、外観の変化を目視によ
り観察した。 2、誘電率、誘電正接 1MHzで測定を行った。
【0070】3、ハンダ耐熱性 銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、280
℃のハンダ浴中に120秒間浮かべ、外観の変化を目視
により観察した。 4、銅箔引き剥し強さ 積層体から幅20mm、長さ100mmの試験片を切り
出し、銅箔面に幅10mmの平行な切り込みを入れた
後、面に対して垂直なる方向に50mm/分の速さで連
続的に銅箔を引き剥し、その時の応力を引張り試験機に
て測定し、その応力の最低値を示した。
【0071】5、熱膨張特性 銅箔を除去した積層体を7mm角に切り出し、厚さ方向
の熱膨張量を昇温速度20℃/分の速さで熱機械分析装
置により測定した。 6、樹脂流れ 硬化性複合材料材料を3枚重ね170℃にて10分間プ
レス成形機により面圧22kg/cm2 でプレスし、は
み出した樹脂を秤量し、これをプレス前の硬化性複合材
料材料の重さで割った値を示した。
【0072】実施例6〜17、比較例1〜6の硬化性複
合材料は23℃で3カ月放置しても樹脂流れ性は良好な
ままであった。またこの硬化性複合材料の諸物性の経時
変化は認められなかった。積層体の動力学的性質を動的
粘弾性スペクトロメーターを用いて測定したところいず
れもガラス転移温度は1つであり210〜220℃であ
った。これは各成分の相溶性が良好であることを意味し
ており、結果として高いガラス転移温度と良好な耐薬品
性が達成されたと考えることができる。
【0073】また実施例6〜8と比較例1〜3からアリ
ルグリシジルエーテルを配合することによって、化学的
性質および電気的性質は変わらないが厚み方向の線膨張
係数はアリルグリシジルエーテルを配合しないものに比
べて低減する事がわかる。これは、本発明の積層体が多
層プリント配線板用材料として好ましいことを示してい
る。
【0074】さらに実施例12〜14と比較例1との比
較、または実施例15〜17と比較例5との比較から樹
脂流れ性がアリルグリシジルエーテルを配合することに
よって増大する事がわかる。これらの結果は、本発明の
積層体が多層プリント配線板用材料として好ましいこと
を示している。
【0075】
【実施例18】研磨、脱脂、エッチング処理を施した厚
さ1.0mmのアルミニウム板上に実施例6で得られた
硬化性複合材料3枚を積層し、220℃、30分、40
kg/cm2 の条件でプレス成形して積層板を作製し
た。この積層板の熱抵抗は25℃/Wであり、アルミニ
ウム板を使用しない場合(60℃/W)に比べて熱放熱
性に優れたものであった。
【0076】熱抵抗は、35mm×50mmのサンプル
上に回路を形成し、100Ωのチップ抵抗をハンダ付け
し、電圧印加後の温度上昇を測定することにより行っ
た。
【0077】
【実施例19】研磨、脱脂、エッチング処理を施した厚
さ1.0mmのアルミニウム板上に実施例10で得られ
た硬化性複合材料3枚と厚さ35μmの銅箔を積層し、
220℃、30分、40kg/cm2 の条件でプレス成
形して金属張り積層板を作製した。
【0078】この積層板の熱抵抗を実施例18と同様の
方法で測定したところ23℃/Wであり、放熱性に優れ
たものであった。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【発明の効果】本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル
・エポキシ樹脂組成物は、次のような特徴を有する。 1、該樹脂組成物に用いられるポリフェニレンエーテル
樹脂と不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物
は、押し出し機等を用いて安価に製造できるので、経済
的に優れた樹脂組成物が提供できる。
【0085】2、上記の反応生成物は溶媒成膜性に優れ
ており、従って表面のべたつき等のない取扱い性に優れ
たフィルムや硬化性複合材料が得られる。 3、特定のエポキシ樹脂およびフェノール樹脂を併用し
ており、さらにトリアリルシアヌレート、トリアリルイ
ソシアヌレートが可塑剤としての効果を持ったためプレ
ス時の樹脂流れが良好であるが、さらに(d)成分が樹
脂流れを一層良好なものとしている。
【0086】4、貯蔵安定性に優れており、23℃で3
カ月保存した後も良好な樹脂流れを保持し、硬化後の物
性低下が認められない。 5、該樹脂組成物に用いられる各成分は互いに相溶性に
優れており、硬化後においてガラス転移温度が1つとな
り優れた耐熱性、耐薬品性および低線膨張率が実現でき
る。
【0087】本発明の硬化ポリフェニレンエーテル・エ
ポキシ樹脂組成物は、(a)ポリフェニレンエーテルと
不飽和カルボン酸又は酸無水物との反応生成物、(b)
トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリル
シアヌレート、(c)−(i)臭素化ビスフェノールポ
リグリシジルエーテルエポキシ樹脂、(c)−(ii)
ノボラックエポキシ樹脂および(c)−(iii)フェ
ノール樹脂を必須成分とする樹脂組成物、および(d)
少なくとも1個のエポキシ基を有しおよび少なくとも1
個の不飽和結合基を有する化合物から構成されており、
寸法安定性、特にZ方向の線膨張率が優れた組成物であ
る。即ち(d)成分の添加によって、分子レベルで相溶
している(a)〜(c)の各成分が(d)成分を介して
化学結合をするので、より密な3次元構造を形成し、単
一のガラス転移温度を示すものと考えられる。
【0088】従って本発明の材料は、電気産業、電子産
業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材料、絶縁
材料、耐熱材料等として用いることができる。特に片
面、両面、多層プリント基板、セミリジット基板、金属
ベース基板、多層プリント基板用プリプレグとして好適
に用いられる。また本発明の材料は、その耐熱耐吸湿絶
縁性の故に線間100μm以下の高密度回路基板、相間
絶縁層の厚み200μm以下の多層回路基板、実装用回
路基板用の接着剤として良好に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 63/00 NJY

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)、(a)成分と(b)成分の和を
    基準として、98〜40重量%のポリフェニレンエーテ
    ルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、 (b)、(a)成分と(b)成分の和を基準として、2
    〜60重量%のトリアリルイソシアヌレートおよび/ま
    たはトリアリルシアヌレート、 (c)、(a)成分、(b)成分および(c)成分の和
    を基準として、10〜90重量%の(i)臭素化ビスフ
    ェノールポリグリシジルエーテルエポキシ樹脂、(i
    i)ノボラックエポキシ樹脂および(iii)フェノー
    ル樹脂を必須成分とする樹脂組成物、 (d)、(a)成分、(b)成分、(c)成分および
    (d)成分の和を基準として、0.1〜30重量%の少
    なくとも1個のエポキシ基を有しおよび少なくとも1個
    の不飽和結合基を有する化合物、 からなることを特徴とする硬化性ポリフェニレンエーテ
    ル・エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 臭素含有量が5〜20重量%である請求
    項1記載の硬化性ポリフェニレンエーテル・エポキシ樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の樹脂組成物から
    なるフィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の硬化性ポリフェ
    ニレンエーテル・エポキシ樹脂組成物を硬化して得られ
    た一つのガラス転移温度を有する硬化ポリフェニレンエ
    ーテル・エポキシ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項3のフィルムを硬化して得られた
    フィルム。
  6. 【請求項6】 (a)、(a)成分と(b)成分の和を
    基準として、98〜40重量%のポリフェニレンエーテ
    ルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、 (b)、(a)成分と(b)成分の和を基準として、2
    〜60重量%のトリアリルイソシアヌレートおよび/ま
    たはトリアリルシアヌレート、 (c)、(a)成分、(b)成分および(c)成分の和
    を基準として、10〜90重量%の(i)臭素化ビスフ
    ェノールポリグリシジルエーテルエポキシ樹脂、(i
    i)ノボラックエポキシ樹脂および(iii)フェノー
    ル樹脂を必須成分とする樹脂組成物、 (d)、(a)成分、(b)成分、(c)成分および
    (d)成分の和を基準として、0.1〜30重量%の少
    なくとも1個のエポキシ基を有しおよび少なくとも1個
    の不飽和結合基を有する化合物、 (e)、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)
    成分および(e)成分の和を基準として5〜90重量%
    の基材、 からなることを特徴とする硬化性複合材料。
  7. 【請求項7】 (a)成分、(b)成分、(c)成分、
    および(d)成分の和を基準として、臭素含有量が5〜
    20重量%である請求項6記載の硬化性複合材料。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の硬化性複合材料
    を硬化して得られた一つのガラス転移温度を有する硬化
    複合材料。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の硬化複合材料と金属箔か
    らなる積層体。
  10. 【請求項10】 金属ベース上に請求項8記載の硬化複
    合材料からなる絶縁体を積層した積層板。
  11. 【請求項11】 金属ベース上の少なくとも片面に請求
    項8記載の硬化複合材料からなる絶縁層が積層されてお
    り、かつ該絶縁層の少なくとも最表層に金属箔が積層さ
    れていることを特徴とする金属張り積層板。
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