JPH0725930B2 - 有機電導性組成物 - Google Patents

有機電導性組成物

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JPH0725930B2
JPH0725930B2 JP6439988A JP6439988A JPH0725930B2 JP H0725930 B2 JPH0725930 B2 JP H0725930B2 JP 6439988 A JP6439988 A JP 6439988A JP 6439988 A JP6439988 A JP 6439988A JP H0725930 B2 JPH0725930 B2 JP H0725930B2
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富雄 中村
茂 清水
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日東化学工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、有機電導性組成物に関するものであり、詳し
くは、高分子化合物、7,7,8,8−テトラシアノキノジメ
タン(以下TCNQと略す)錯塩及び有機溶剤からなる系
に、界面活性剤を添加することを特徴とする成膜性、成
形性の優れた電導性組成物に関する。
本組成物は、導電ペースト、電子回路、コンデンサー、
感熱素子、電磁波シールド用塗料、帯電防止フイルム、
導電紙、導電性コーティング剤等の用途に適用可能であ
る。
〔従来技術〕
電導性組成物としては、カチオンポリマーを主組成物と
したもの、金属又はカーボンを高分子中に分散させたも
のが広く知られている。ところが前者は導電レベルが低
い、吸湿性が大きい等の欠点を有し、又後者は、フィル
ムとした場合に平滑性、透明性に問題点を有している。
一方、TCNQを用いる電導性組成物としては、第4級窒
素カチオン性基を有する高分子とTCNQとからなるもの、
高分子化合物とTCNQの有機低分子錯塩とからなる組成
物が知られている。
については、有機溶剤に対する溶解性が非常に悪く、
ジメチルホルムアミド等の極性の大きな溶剤にのみ溶解
可能な為、使用用途が非常に限られ実用的とは言い難
い。
については、特公昭44−16499号、特開昭50−123750
号、特開昭54−130651号等に提案されているが、50μm
以下とくに10μm以下のような極く薄い膜にした時の成
膜性、成形性に於てあるいは使用可能溶剤の制約等にお
いて十分満足できるものとは言えない。すなわち、これ
らの組成物は、膜厚を厚くすると一応フィルムにはなる
が、表面の均一性に問題が残る。このフィルムは表面が
ザラザラであったり、斑模様が生じたりして、実用性に
乏しいものである。
従来、高電導性を付与するためには、電導性の有機成分
(本発明ではTCNQの錯塩)と高分子化合物は完全に溶解
状態に近い状態で混合することは好ましくないとされて
いた(特開昭54−130650号)。特開昭58−34841号で
は、高電導性をもったフィルムを成形するためには、高
分子化合物中にTCNQ錯塩を3次元網状に細い針状形又は
繊維様の結晶として形成させるべきだと提案している。
即ち従来は、高分子化合物中にTCNQ錯塩の結晶が生長
し、それらが重なり合うほど、電導性が向上すると考え
られていた。しかし、このようなものはフィルムにした
場合、高分子化合物とTCNQ錯塩の相溶性が悪く、表面の
透明性、平滑性が十分でなく、特に膜厚50μm以下の薄
膜にした場合フィルムの形成していない部分が生じるな
ど成膜性に問題があり、又、微細加工を要する用途には
適用しうるとは言い難い。さらにフィルム中にTCNQ錯塩
の結晶が存在している状態では、その結晶の大きさより
膜厚を薄くすることは不可能であるのみならず、高分子
化合物の屈折率とTCNQ錯塩結晶の屈折率が異るから当然
透明性が不充分にならざるを得ない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、高分子化合物とTCNQ錯塩との相溶性を改善
し、成膜性、成形性に優れ、得られたフィルムは透明
性、柔軟性に富み、しかも高電導性を示す有機電導体組
成物を提供することを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕 上記目的を達成するために、本発明の有機電導体組成物
においては、高分子化合物、TCNQ錯塩及び有機溶剤から
なる系に更に界面活性剤を存在せしめた。これによりTC
NQ錯塩は高分子化合物に極微小の結晶が事実上溶解した
状態で分散することができ、表面の平滑な電導性極薄膜
や微細加工を要する電導体の形成が可能な有機電導体組
成物とすることができた。本発明はこのような知見に基
づいて達成されたものである。
すなわち、本発明による有機電導体組成物は、(a)高
分子化合物、(b)7,7,8,8−テトラシアノキノジメタ
ン錯塩、(c)界面活性剤又はシリコーン油及び(d)
前記(a),(b),(c)の三者を溶解することので
きる有機溶剤からなることを特徴とするものである。
以下、具体的に説明する。
高分子化合物としては特に制限はないが、ポリメタクリ
ル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロ
ニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセター
ル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、
ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルカルバゾ
ール、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリイミド系樹脂、ポリパラバン
酸、ポリウレタン、フェノール樹脂、ケイ素樹脂等が単
独又は混合物として用いられる。また前記ビニル系高分
子化合物の共重合体を用いることも可能である。とくに
好ましい高分子化合物としてはフィルム形成性、塗膜形
成性の高分子化合物である。
高分子化合物の有機溶剤に対する割合は、高分子化合物
と有機溶剤の種類の組合せ、あるいは用途場面により異
なるが、一般には有機溶剤100重量部に対して高分子化
合物は0.1〜90重量部、好ましくは0.5〜70重量部の範囲
で用いられる。
TCNQ錯塩に関しては、J.Am.Chem.Soc.84 3374(1962)
に詳しく報告されているが、本発明ではD+・TCNQ-・TCN
Q゜と表わすコンプレックス塩を用いることが好まし
い。D+については下式に示す有機カチオンを用いること
ができる。
(R1,R3,R4はH又はC数が1〜12のアルキル基、R2はH
又はC数が1〜30のアルキル基、ベンジル基、フェニル
エチル基を示す) また、第4級窒素カチオン性基を有するオリゴマーのTC
NQ塩を用いることもできる。
TCNQ錯塩は高分子化合物100重量部に対して1〜90重量
部、好ましくは5〜50重量部用いられる。
界面活性剤等の(c)成分としては、陰イオン界面活性
剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界
面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン等が用いら
れるが、特に非イオン界面活性剤、ノニオンタイプのフ
ッ素系界面活性剤及びメチルシリコーン、ジメチルシリ
コーン、メチルフェニルシリコーンのようなシリコーン
が好ましい。
界面活性剤等の(c)成分の添加量は、高分子化合物10
0重量部に対して0.001〜20重量部、好ましくはフッ素系
界面活性剤に於て0.005〜5重量部、他の界面活性剤で
は0.05〜10重量部用いられる。
有機溶剤としては、ジメチルホルムアミド等のアミド
類、アセトニトリル等のニトリル類及びメタノール、エ
タノール、ブタノール等のアルコール類、シクロヘキサ
ノン、メチルエチルケトン等のケトン類、メトキシエチ
ルアセテート、メトキシエタノール等のセロソルブ類、
酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類、エチレングリ
コールジメチルエーテル等のエーテル類、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素類、ジクロルメタン、トリク
レン等のハロゲン化炭化水素類が用いられる。
これらの有機溶剤は単独もしくは混合して用いられる。
組成物は、有機溶剤に高分子化合物、TCNQ錯塩、界面活
性剤を添加し、室温下で、又は加熱攪拌して完全に溶解
して調製する。室温で固形分が析出する場合はろ別して
用いる。
〔発明の効果〕
本発明の方法による組成物を用いて電導体を作製した場
合、TCNQ錯塩の高分子化合物中での結晶成長が抑えら
れ、事実上溶解した状態であるにもかかわらず、高電導
性を発現する。
したがって、本発明の組成物を用いると成膜性、成形性
に優れた高電導体が得られるので平滑、透明な膜厚50μ
m以下特に10μm以下の極薄膜の作製及び微細加工を要
する電導体の作製には特に好都合である。
実施例1 N−ブチルイソキノリニウム・TCNQコンプレックス塩1.
0g、ポリアクリロニトル5.0g、ジメチルホルムアミド45
g及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(花
王社製エマルゲン903)0.25gを混合し、室温で攪拌溶解
した。得られた緑色のワニスをガラス板上に流延し、10
0℃で乾燥させた。膜厚5μmの表面の平滑な表面抵抗
値3.0×103Ω/□のフィルムが得られた。なお、フィル
ムを顕微鏡で観察したところ結晶の生成は認められなか
った(結晶の大きさ5μm以下)。
実施例2 N−デシルキノリニウム・TCNQコンプレックス塩0.6g、
メチルメタクリレートとn−ブチルアクリレートの(1:
1)共重合体2.0g、エタノール40g、アセトニトリル20
g、シクロヘキサノン30g及びフッ素系界面活性剤FC−43
1(3M社製)0.05gを室温下攪拌溶解した。一部不溶の固
体をろ別後、ろ液をガラス板上に流延し、100℃で乾燥
させた。膜厚1μmの表面の平滑な表面抵抗値1.5×106
Ω/□の透明フィルムが得られた。なお、フィルムを顕
微鏡で観察したところ結晶の生成は認められなかった
(結晶の大きさ5μm以下)。
実施例3 N−ヘキシルイソキノリニウム・TCNQコンプレックス塩
1g、ポリメチルメタクリレート5.0g、n−ブタノール50
g、アセトニトリル20g、メチルエチルケトン30g及びシ
リコーンオイル(信越シリコン社製KP341)0.34gを室温
下攪拌溶解した。得られた緑色のワニスをガラス板上に
流延し、100℃で乾燥させた。膜厚3μmの表面の平滑
な表面抵抗値6.0×107Ω/□の透明フィルムが得られ
た。なお、フィルムを顕微鏡で観察したところ結晶の生
成は認められなかった(結晶の大きさ5μm以下)。
実施例4 N−ブチル−α−ピコリニウム・TCNQコンプレックス塩
0.4g、AS樹脂(旭化成社製スタイラックAS−767)4.0
g、シクロヘキサン86g、アセトニトリル10g及びソルビ
タンモノラウレート(花王社製レオドールSP−L10)0.2
gを室温下攪拌溶解した。得られた緑色のワニスをガラ
ス板上に流延し、100℃で乾燥させた。膜厚1μmの表
面の平滑な表面抵抗値4.5×107Ω/□の透明フィルムが
得られた。なお、フィルムを顕微鏡で観察したところ結
晶の生成は認められなかった(結晶の大きさ5μm以
下)。
実施例5 N−ベンジルピリジニウム・TCNQコンプレックス塩3.0
g、ポリカーボネート10g、ジメチルホルムアミド70g、
ジオキサン27g及びフッ素系界面活性剤FC−431(3M社
製)0.02gを室温下攪拌溶解した。得られた緑色のワニ
スをガラス板上に流延し、100℃で乾燥させた。膜厚10
μmの表面の平滑な表面抵抗値8.0×108Ω/□のフィル
ムが得られた。なお、フィルムを顕微鏡で観察したとこ
ろ結晶の生成は認められなかった(結晶の大きさ5μm
以下)。
実施例6 N−ドデシルキノリニウム・TCNQコンプレックス塩0.3
g、ポリビニルブチラール1.5g、ブタノール30g、アセト
ニトリル5g、メチルエチルケトン40g、エトキシエタノ
ール20g及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(花
王社製エマルゲン−104P)0.07gを室温下攪拌溶解し
た。得られた緑色のワニスをガラス板上に流延し、100
℃で乾燥させた。膜厚1μm以下の表面の平滑な表面抵
抗値6.5×108Ω/□のフィルムが得られた。なお、フィ
ルムを顕微鏡で観察したところ結晶の生成は認められな
かった。
比較例1 フッ素系界面活性剤を用いず、実施例2と同様にして調
製したワニスを用いてフィルムを形成させたところ、表
面抵抗値1.1×106Ω/□のフィルムが得られたが、表面
状態は細かな凹凸がみられ、顕微鏡の観察では、20μm
程度の結晶の生成が認められた。またフィルムの形成し
ていない部分が認められた。
比較例2 シリコンオイルを用いず、実施例3と同様にして調製し
たワニスを用いてフィルムを形成させたところ、表面抵
抗値3.4×107Ω/□のフィルムが得られたが、表面状態
は細かな凹凸がみられ、顕微鏡の観察では、50μm程度
の結晶の生成が認められた。またフィルムの形成してい
ない部分が認められた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)高分子化合物 (b)7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン錯塩 (c)(i)界面活性剤 又は (ii)シリコーン油 (d)前記(a),(b),(c)の三者を溶解するこ
    とのできる有機溶剤 よりなることを特徴とする有機電導性組成物。
JP6439988A 1988-03-16 1988-03-16 有機電導性組成物 Expired - Lifetime JPH0725930B2 (ja)

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US07/321,284 US5009811A (en) 1988-03-16 1989-03-09 Conducting varnish composition
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