JPH07259000A - 印刷用積層シート及びそれに使用するクーリングロール - Google Patents

印刷用積層シート及びそれに使用するクーリングロール

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JPH07259000A
JPH07259000A JP5023394A JP5023394A JPH07259000A JP H07259000 A JPH07259000 A JP H07259000A JP 5023394 A JP5023394 A JP 5023394A JP 5023394 A JP5023394 A JP 5023394A JP H07259000 A JPH07259000 A JP H07259000A
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JP
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printing
laminated sheet
unevenness
cooling roll
resin
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Akitoshi Kajiwara
明敏 梶原
Isao Miura
功 三浦
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速加工時の面質欠点をなくし、印刷面の光
沢感を改良した印刷用積層シートを提供するとともに、
それに用いる印刷積層シート用クーリングロールを提供
する。 【構成】 150m/分以上の加工速度で 、表面の波
長0.08mm以下の十点平均粗さが0.8〜1.2μ
m、平均ピッチが5〜30μmで、相対負荷曲線でのカ
ッティング深さと最大高さとの比が70%のときの相対
負荷長さが、50〜90%の表面粗さを有するクーリン
グロールを用いて製造される印刷用積層シート。 【効果】 高速加工時の剥離横段ムラやクレーター状細
孔を防止するとともに、高級な光沢感を有する印刷面が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速加工性、耐水性、
印刷画像の光沢感などが優れた高級印刷用積層シート及
びそれに使用するクーリングロールに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、木質パルプから製造した紙は、印
刷性、筆記性に優れているが、耐水性が劣る欠点があ
る。したがって、従来の紙よりなる伝票、封筒、広告
紙、メモ用紙、記録用紙が雨等の水に濡れるおそれがあ
るときは、その表面に透明なフィルムカバーを別に貼付
する必要がある。また、従来の紙は、紙粉が発生するの
で、ミクロン単位での塵を嫌う、例えば、クリーンルー
ムでは、従来の紙を使用することができない。
【0003】また、従来の前記紙の欠点を補うために、
防水性を備えた合成紙があるが、従来の合成紙では、た
とえば、インキで印刷しても、鮮明な画像を得ることが
困難であり、また、印刷物の光沢感が著しく高いか、も
しくは悪くて、高級感のある印刷面を得ることができな
いという欠点がある。合成紙に印刷を施した印刷物があ
ることはあるが、印刷インクを厳密に選定しても、高級
な光沢感が得られることはなかった。このような理由に
より、従来の合成紙は、その用途が限定されていて、
紙、特に、アート紙やコート紙のような高級な風合いを
有する印刷物などの用途に供することはできなかった。
【0004】紙、または合成樹脂フィルムをシート状基
体として、その表面に合成樹脂層を形成して、その樹脂
層の特徴を生かした積層シートとしては、印画紙用支持
体や合成紙あるいは熱転写受像紙等などが知られてい
る。特に、印画紙用支持体では、微細な写真画像を焼き
付けるために、紙の表面にポリエチレン樹脂層を積層し
ていて、樹脂層中に顔料を含有させて白色のバックグラ
ウンドを形成し、明瞭な写真画像が得られる様にしてい
る。すなわち、写真用支持体においては、表面のポリエ
チレン樹脂層中に無機顔料の配合することによって、樹
脂層表面の平滑性を損なうことがないように製造されて
いる。
【0005】また、印刷用積層シートとしては、樹脂表
面を加工する方法が種々提案されている。例えば、特開
平4−316700号公報には、ミラーポケット型クー
リングロールを用いて、合成樹脂を被覆した印刷用紙が
提案され、搬送性、裏移り性を改善することが提案され
ている。特公昭53−43551号公報には、紙基体と
して、炭酸カルシウム等の充填剤を50%以上含む、ポ
リエチレン、ポリプロピレン樹脂等の結晶性熱可塑性樹
脂を溶融押出コーティングした後、溶剤で粗面化するこ
とにより、印刷性、鉛筆加筆性を改良する方法が提案さ
れている。さらに、特開昭49−24278号公報に
は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、
好ましくは、それらのカルボキシ変性樹脂を炭酸カルシ
ウム、酸化チタン等の無機充填剤14.7〜33.3重量
%から成る組成物を溶融押出し、圧着、冷却して粗面化
し、印刷性及びインキ接着性の改良を提案している。し
かしながら、高級な風合いを有する光沢を得るため、検
討されたことはない。
【0006】さらに、印刷用の積層シートとしては、例
えば、無機顔料を最外層へ添加したり、樹脂機能をその
まま生かしたり、表面性を変えたりして、不透明度の向
上、インキ接着性の向上、静電気発生の抑制などの機能
付与のため、シート状基体を被覆するための樹脂層中に
添加する結果、樹脂の混練不良や発煙増加、及びそれら
に伴うクーリングロールの汚れ、油煙の付着による樹脂
層表面の斑点状汚れなどにより製品の外観が損なわれ
る。また、シート状基体と樹脂層との接着力が低下し、
製品の価値が損なわれる問題が発生するため、これらの
方法は、充分な方法とは言い難い。
【0007】特に、表面形状の凹凸が粗いクーリングロ
ールを用いて、シート状基体に溶融樹脂を被覆した印刷
用積層シートにインキを塗布した印刷物となった場合、
鏡面タイプの光沢が得られず、無光沢か、あるいは光沢
に乏しい粗面のようなマット調の印刷表面しか得られな
い欠点を有することになり、鏡面タイプの高級な風合い
を醸し出す光沢感がある印刷用積層シートとしての特殊
性能が欠如し、品質上致命的な欠点を有するため、製品
とはならない。
【0008】さらに、印刷用積層シートの外観特性の評
価について、色彩と光沢による評価方法は既に従来から
規格として制定され、その測定方法は一般化されている
ものを使用している。しかし、近年、これらの方法につ
いて、理論的には肯定できるものの、実用的には不満足
な点が多いとの批判が高まっている。特に、鏡面光沢度
が同程度の2つの印刷用積層シートを比較したとき、印
刷物の表面に映る物体像が異なって見えると、目視によ
る見た目の光沢感は、より鮮明に像が映る印刷用積層シ
ートの方が、高い光沢感が知覚される場合がある。例え
ば、家電製品や自動車の車体などの表面の美観を重視す
る製品は、鏡面光沢度の測定のみでは、視感と相関する
評価ができないことと同じである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記事情に
基づいてなされたものである。すなわち、この発明の目
的は、樹脂フィルムを素材としながらも、木質パルプか
ら製造した紙以上に、印刷面の光沢感が優れ、従来の合
成紙にはない特性、例えば優れた高級感のある光沢を備
えた印刷用積層シートを提供することにある。特に 、
印刷面の光沢感(特に、高級感)について 、検討された
ことはない。また、印刷面の光沢感については、高速加
工時おける印刷用積層シート表面に発生する特有の現象
により、光沢感が低下する要因について検討されたこと
もなく、未だに解決されていない状況にある。
【0010】従来の方法では表面の粗さが過剰になり、
印刷面の光沢を低下させ、マット調となり鏡面タイプと
しての光沢感を阻害し、支障をきたす。また、逆に、鏡
面タイプを試みても、平滑なフィルムそのものと同様
に、実質的に光沢過剰となり、高級感が得られないとい
う不都合を生じてしまう。
【0011】従来、熱可塑性樹脂表面の粗面化処理方法
として、エンボシング、サンドブラスト、ケミカルエッ
チング等により粗面化する方法、微粒状物質を塗被する
方法、および溶剤処理による方法等が知られている。し
かしながら、一般にエンボシング、ケミカルエッチング
によっては、印刷用積層シートとして必要な細かく、し
かも入り組んだ凹凸構造を有する表面層を得ることは困
難であり、従って、これらの方法による粗面化処理品は
印刷、書写に際してのインキの光沢が非常に乏しく、ま
た、インキの光沢感よりマット調印刷物になる。また、
微粒状物質を塗被する方法は、熱可塑性樹脂の本質上、
塗被材料溶液の溶媒の乾燥速度が遅いため生産性が悪
く、また、塗被層が剥げ易いという欠点を有する。さら
に、溶剤処理による方法は、一般に複雑な工程を経なけ
ればならず、やはり生産性が悪いという欠点を有する。
【0012】さらに、厄介なことにシート状基体に溶融
樹脂を150m/分以上の高速溶融押出コーティングす
る場合、長時間操業により、クーリングロールに表面に
堆積された汚れにより、クーリングロール表面と樹脂と
の剥離性が悪化して、横縞状の段ムラが発生することが
ある。これを剥離横段ムラと称す。この剥離横段ムラ
は、印刷用積層シートにインキを塗布した印刷物となっ
た場合においても、印刷物上の欠点がインキ層上に残
り、剥離横段ムラは横段状の縞が見られ、印刷用紙とし
ての品質を著しく低下させ、非常に強い場合において
は、実用に耐えなくなる。
【0013】また、前述のように、鏡面タイプの印刷用
積層シートの場合には、150m/分以上の高速溶融押
出コーティングすることにより、表面に微細なクレータ
ー状の細孔が多く発生することがある。このクレーター
状細孔においては、印刷面がチカチカし散乱するように
見え、品質上問題となり、実用に耐えない欠点を有する
ことになる。これらの現象は、高速加工時において、特
有の現象であり、剥離横段ムラとクレーター状細孔の発
生は、高速になればなるほど発生頻度は多くなる。
【0014】したがって、本発明は、第1の目的とし
て、高級感のある光沢感を有する印刷面を有する印刷用
積層シートを提供し、次に、第2の目的として、印刷用
積層シートを150m/分以上の高速加工により、溶融
した熱可塑性樹脂の高速溶融押出コーティングした場合
に生ずる品質上の欠点、即ち、樹脂被覆表面に発生する
横縞状の模様、およびクレータ状細孔の防止することに
より、光沢感を向上することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、シート状基体
に、熱可塑性樹脂を150m/分以上の加工速度で、溶
融押出コーティングし、表面の波長0.08mm以下の
十点平均粗さ(以下、単にRzと省略する)が0.3〜0.
7μm、平均ピッチが5〜40μmであり、かつ、相対
負荷曲線でのカッティング深さ(以下 、単にCVと省略
する)と最大高さ(以下、単にRmaxと省略する)との比が
、30%のときの相対負荷長さ(以下、単にtp省略と
する)が 、10〜50%の表面粗さを有する印刷用積層
シートである。
【0016】また、シート状基体に、熱可塑性樹脂を1
50m/分以上の加工速度で、溶融押出コーティングす
る工程において 、表面の波長0.08mm以下のRzが
0.8〜1.2μm、平均ピッチが5〜30μmであり
、かつ、相対負荷曲線でのCVとRmaxとの比が70%
のとき 、tpが50〜90%の表面粗さを有するクー
リングロールを用いて、冷却固化して表面に型付けを行
う印刷用積層シート用クーリングロールを提供する。
【0017】以下に、本願発明を詳細に説明するが、先
ず初めに、本願発明における、各種の表面粗さパラメー
ターについて詳細に説明する。Rzは、数1によって算
出されるものであり、例えば 、小坂研究所製の表面粗
さ解析装置SE−30AK等により解析することが可能
である。Rzとは 、断面曲線から基準長さだけ抜き取っ
た部分において、平均線に平行、かつ、断面曲線を横切
らない直線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目
までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底
の標高の平均値との差の値をマイクロメートル(μm)で
表したものをいい 、JIS B0601−1982(日
本工業規格)に規定されている。
【0018】
【数1】
【0019】R1,R3,R5,R7,R9は 、基準長さに対応
する抜取り部分の最高から5番目までの山頂であり、R
2,R4,R6,R8,R10は、基準長さに対応する抜取り部分
の最深から5番目までの谷底である。
【0020】次に、平均ピッチ(Mean Spacing of Pr
ofile Irregularities)とは、断面曲線から基準長さだ
け抜き取った部分において、平均線を横切って、山から
谷へ向かう点から、次の山から谷へ向かう横断点までの
間隔をSmiとするとき、間隔の総数をNとすれば平均
ピッチは数2で求まり、ISO 4287/1(国際標
準)に規定されている。
【0021】
【数2】
【0022】最後に、本発明に用いられるtpは、数3
によって算出されるものであり、Rzと同様に小坂研究
所製の表面粗さ解析装置SE− 30AK等により解析
することが可能である。ここで、tpとは、断面曲線か
ら基準長さだけ抜取りこの基準長さ区間の平均線に平行
な或るレベル (基準長さ区間の最高山頂からこのレベル
までの距離をカッティング深さCVという。)の直線で
基準長さ区間を切断したとき 、その切口の線分の長さ
(L)の総和と基準長さとの比をそのレベル(カッティン
グ深さCV)における相対負荷長さ(Profile bearing l
ength Ratio)を言い、ISO 4287/1(国際標準)
に規定されている。
【0023】
【数3】
【0024】本発明では、tpを凹凸の表面形状の高さ
方向の均一性の指標として用いた。CVとRmax(%)と
の比におけるを相対負荷長さである。
【0025】また、ここで用いられるRmaxは 、断面曲
線から基準長さだけ抜き取った部分の平均線に平行な2
直線で抜取り部分を挟んだとき、この2直線の間隔を断
面曲線の縦倍率の方向に測定して、この値をマイクロメ
ートル(μm)で表したものをいい、JIS B0601
−1982(日本工業規格)に規定されている。
【0026】次に、写像性について詳細に説明する。こ
の写像性とは、前述したように、従来の光沢計では測定
不可能な、目視で見た際の光沢感に相関のある指標であ
る。従来より、光沢値と目視の光沢感に違いがあり、印
刷用積層シートの印刷物表面の写像性の測定が必要とな
ってきたわけである。写像性とは、塗膜表面に物体が映
った時、その像がどの程度鮮明に、また、歪(ゆが)みな
く映し出されるかの指標として、特に、自動車ボディー
塗装の美観要素を決定づける重要な特性であり、近年発
展されてきた技術である。写像性の測定方法は、JIS
H 8686で規定され、光学的装置を使用し、光学く
しを通して得られた光量の波形から写像性を像鮮明度と
して求める方法である。光学くしは暗部明部の比が1:
1で、その幅は0.125,0.5,1.0及び2.0mmの
各種のものがある。測定は、光学くしを移動させ、記録
紙上の最高波形(M)及び最低波形(m)を読み取り、次式
により像鮮明度を求める。
【0027】
【数4】C=(M−m)/(M+m)×100 ここで、C:像鮮明度(%)、M:最高波形、m:最低波
形である。像鮮明度Cは、値が大きければ写像性が良
く、小さければ「ボケ」又は「歪み」をもっていること
を示す。この画像の「ボケ」または「歪み」が少なけれ
ば、光沢計での光沢値が同じ場合であっても、目視によ
る光沢感が向上する。
【0028】本発明者らは、前述のように、溶融押出し
コーティングした印刷用積層シートの加工工程に用いる
クーリングロールにおいて、表面形状の凹凸高さ、凹凸
ピッチを特定し、凹凸高さができるだけ均一な形状に制
御することにより、剥離横段ムラ、クレーター状細孔等
の面質欠陥がなく、目視による印刷用積層シートの高級
な風合いを有する光沢感を得ることが達成できた。
【0029】溶融押出コーティングされた印刷用積層シ
ートの加工工程に用いるクーリングロール表面の凹凸粗
さを大きくすることにより剥離横段ムラ、およびクレー
ター状細孔等の面質故障を防止することは比較的容易で
ある。これらの対処方法としては、表面の粗さを大きく
することにより容易に実現される。しかしながら、この
方法により、製造された印刷用積層シート上に、インキ
で印刷された表面の写像性は低下してしまい、目的を達
成することはできない。したがって、ここに相反した問
題を有するため、最適な形状を選択することが必要とな
る。
【0030】そこで、本発明者らは種々の粗さの形状の
凹凸を有するクーリングロールを用いて検討を行った結
果、印刷面の写像性を低下させる要因は、印刷面に発生
する微小なうねりであることをつきとめた。また、うね
りは、クーリングロール表面の凹凸で型付けられた印刷
用積層シートの表面の凹凸部で発生していて、この凹凸
部のピッチを選定し、凹凸の高さ方向に最適な均一性を
有するクーリングロールを用いて製造した印刷用積層シ
ートが、表面形状の凹凸部の特定のピッチを有し、凹凸
高さ均一に制御することにより、インキ印刷面の写像性
が良化することが可能であることが判明した。
【0031】印刷用積層シートの樹脂被覆表面は、オフ
セット印刷の網点の大きさや印刷仕上がりの点を考慮
し、インキでの印刷面の光沢感を有するためには、Rz
が0.3〜0.7μmであり、好ましくは 、0.4〜0.
5μmである。Rzが0.7μmより大きければ印刷用イ
ンキが塗布された印刷用積層シート表面の写像性が低下
して、目視の光沢感が低下してしまう。凹凸の平均ピッ
チは5〜40μmであり、好ましくは10〜20μmで
ある。平均ピッチが40μmより大きければ、インキ面
のうねりが発生し、写像性が低下してしまう。これに対
し、非印刷面においては、滑り性を考慮して、ある程度
大きくても良く、2〜5μm、また、凹凸のピッチは1
〜1000μmあっても良く、好ましくは、5〜500
μmの範囲が良い。
【0032】また 、相対負荷曲線でのCVとRmaxとの
比が30%のときのtpが10〜50%であり、好まし
くは20〜40%である。tpが10%より小さいか、
50%より大きいと凹凸の高さに均一性が失われ、凹凸
の高低差により印刷インキ層表面上に微細なうねりが発
生し、写像性が低下して、目視の光沢感が低下してしま
う。
【0033】本願発明の印刷用積層シートの製造方法と
しては、シート状基材層の少なくとも1面に熱可塑性合
成樹脂をTダイ成膜機から溶融押出成形し、溶融状態で
クーリングロールの表面で押さえ付けて積層材料を冷却
成形するが、クーリングロール表面には、目的より若干
大きい凹凸を形成することが好ましい。このように、目
的の凹凸より若干大きめの凹凸を設けるのは、冷却によ
り樹脂の収縮が発生するためであり、目的の凹凸より大
きめなのは、樹脂が底まで充分に入り込まないからであ
る。
【0034】しかも、印刷面上に凹凸を設ける場合に
は、印刷効果を妨げないように、凹凸の深さとピッチを
所定の値に制御することが重要である。これに対し、非
印刷面に凹凸を付ける場合は、印刷面の場合と異なり比
較的粗い凹凸でも構わない。勿論、印刷面及び非印刷面
の両面に設けることも可能であり、印刷物の絵柄、用途
と要求度によって組み合わせることができる。
【0035】本願発明における印刷用積層シートを溶融
押出コーティング加工する工程で用いるクーリングロー
ルの表面形状は 、微細な凹凸部を有し、Rzが0.8〜
1.2μmであり、好ましくは0.9〜1.0μmであ
る。Rzが0.8μmより小さければ、高速加工時におい
て、剥離横段ムラ、クレーター状細孔を防止することが
できず、逆に、1.2μmより大きければ 、印刷用積層
シートの表面のRzが0.7μmを超えてしまい、印刷面
の写像性の低下し、高級な光沢感は失われ、目的の鏡面
タイプの印刷用積層シートとは異なるマット調に近い印
刷用積層シートとなる。
【0036】凹凸の平均ピッチは、5〜30μmであ
り、好ましくは10〜20μmである。平均ピッチが3
0μmより大きければ、凹凸面の傾斜が緩くなり、冷却
面積が少なくなり、剥離横段ムラを防止することができ
ず、また、印刷用積層シートの表面に50μm以上のピ
ッチができてしまい、写像性を低下させてしまう。さら
に平均ピッチが5μmより小さい場合には、連続操業に
よる経時により、樹脂の低分子成分がクーリングロール
表面に堆積し易くなり、この堆積物により剥離不良が発
生して、やはり剥離横段ムラが発生するとともに、印刷
用積層シートの表面の光沢が変わり製品の価値が損なわ
れる。
【0037】また、相対負荷曲線でのCVとRmaxとの
比が 、70%のときのtpが50〜90%であり、好
ましくは60〜80%である。クーリングロールの表面
の相対負荷長さtpが50%より小さいか、90%より
大きければ、印刷用積層シートの表面の相対負荷長さt
pが10〜50%の範囲から外れてしまい、印刷インキ
が塗られた印刷用積層シート表面に微細なうねりが発生
し、写像性が低下して、目視の光沢感が低下してしま
う。
【0038】本願発明において、樹脂層の表面の凹凸を
設ける方法としては、例えば、シート状基体に熱可塑性
樹脂を溶融押出コーティングする際に、前記樹脂が硬化
する前に、表面に所定のパターンの凹凸を有するクーリ
ングロールで圧着冷却し、樹脂表面に突起物を形成する
方法が最も効果的である。
【0039】クーリングロールに凹凸を設ける方法とし
ては、サンドブラスト法、製版技術におけるエッチング
法や電子彫刻法やレーザービーム法などがあり、表面の
凹凸の大きさやロール材質などのよって適宜選択するこ
とができる。
【0040】本発明に用いられるクーリングロールの製
造方法について、クーリングロールの粗面形状の付与方
法としては、ロールの表面研磨、蒸着法、サンドブラス
ト法、エッチング法、電気的穿孔法、メッキ法等のいず
れの方法でもよく、これらの中でもサンドブラスト法が
好んで用いられる。先ず初めに、上記の方法から任意選
択し、表面に微細な凹凸を付ける。例えば、鉄等のロー
ル材質の上にクロムメッキを10〜200μmの厚さで
施す。この際表面は研磨でできるだけ平滑にした後、サ
ンドブラスト法により微細な凹凸を付ける。
【0041】本発明における最外層の熱可塑性樹脂とし
ては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンやポリメ
チルペンテン樹脂などのポリオレフィン系、また、ポリ
スチレンやポリエステル樹脂、ナイロン繊維など溶融押
出ラミネートが可能な樹脂を使用することができる。た
だし、基体との組み合わせによっては、接着性が不足す
る場合があり、その際には、例えば、グラフト変性ポリ
エチレンやエチレンとアクリル酸またはアクリル酸エス
テルの共重合体などを適宜使用して、その接着性を高め
ることができる。また、シート状基体としては、例え
ば、紙、合成樹脂フィルム、不織布、または金属箔を用
いることができる。
【0042】また、本発明に係る積層シート、特にその
最外層には無機顔料などの充填材を目的に応じて添加す
ることができる。すなわち、白色度、不透明度、鉛筆加
筆性などを付与したい場合などには、酸化チタン、炭酸
カルシウム、シリカ、タルクやカオリンなどが有効であ
り、静電気の発生やブロッキングなどの改良に寄与す
る。また、カーボンブラックや金属粉体などを練り込ん
で導電性などの機能性を付与することもできる。
【0043】
【実施例】以下に、本願発明の実施例及びその比較例を
示す。なお、本願発明は、実施例に限定されるものでは
ない。 [実施例1〜6および比較例1〜9]低密度ポリエチレ
ン(酸化チタン10%含有)をTダイより300℃の温度
で溶融押出し、坪量80g/m2、幅500mmのシー
ト状基体(予めコロナ放電により表面処理されていても
構わない)表面に、塗布量30g/m2になるように、表
1に記載するように、本願発明のクーリングロール、お
よびそれ以外の粗さを有するクーリングロールを用い
て、圧着冷却固化させ、積層シートを得た。この時、溶
融フィルムを溶融押出コーティングする積層速度は、そ
れぞれ表1記載の速度で行った。得られた印刷用積層シ
ートの表面粗さは、表1の通りである。
【0044】
【表1】
【0045】なお、実施例及び比較例で得られた印刷用
積層シートについて、下記の物性を測定し、その結果を
表1に示す。評価方法は、下記の内容で実施した。
【0046】印刷用積層シートの面質評価項目として、
剥離横段ムラ、クレーター状細孔の2つについて、評価
を行った。 [剥離横段ムラ]剥離横段ムラの評価は、グレード評価
とし、印刷用積層シートの剥離グレードが×になると印
刷用積層シートの印刷表面の光沢の低下等外観上の支障
をきたし、実用性は失われる。 ◎:剥離横段ムラはまったく見られない ○:薄く剥離横段ムラが見られる △:剥離横段ムラが見れるが、乳剤層上には見えない ×:剥離横段ムラが強く、乳剤層上にも薄く見れる ××:剥離横段ムラ非常に強く、乳剤層上にも強く残る [クレーター状細孔]クレーター状細孔の評価は印刷用
積層シートの表面の2 .0cm四方を10倍のルーペで
拡大して観察し 、径0.4mm(実測40μm)以上の細
孔の数でグレード評価とし、クレーター状細孔グレード
が×以下になると印刷用積層シートの印刷インキ表面の
光沢の低下等外観上の支障をきたし、実用性は失われ
る。 ◎:表面上に細孔は見られない ○:1〜10個見られる △:11〜50個見られる ×:51〜100個見られる ××:101個以上見られる
【0047】次に、印刷用積層シートとしての印刷適性
としては、裏移り開始枚数、給排紙でのトラブル回数の
2点について評価を行った。 [裏移り開始枚数]ローランド・オフセット平版印刷機
を使用した。印刷用紙の寸法は、297×429mm
(A3)であり、給紙速度は、6700枚/時で各試料に
対して3000枚を同じ版を使用し、インク濃度一定の
同条件下で印刷した。印刷室の雰囲気は、20℃,RH
50%である 。24時間後に3000枚重なった印刷
物の底(下)の方から数えて 、インキの裏移りが始まっ
ているところを観察して裏移り開始枚数とした。 [給排紙でのトラブル回数]裏移り開始枚数の項での印
刷時に重送や紙詰まりにより印刷機を停止させ回数。
【0048】印刷用積層シートの印刷物としての品質評
価としては、印刷面の評価、品質評価方法、および写像
性の3点について評価を行った。 [印刷面の評価]インキの乗りムラ、あるいはインキ層
上に現れるクレーター状細孔による光沢感の低下、およ
び剥離横段ムラなどの印刷仕上がり状態を観察した。グ
レードが△以下になると印刷用積層シートの外観上の支
障をきたし、実用性は失われる。 ◎:非常に良い ○:良い △:インキの若干塗りムラ、クレータ状細孔あるいは剥
離横段ムラ等が発生し、実用上問題あり ×:インキの塗りムラ、クレータ状細孔あるいは剥離横
段ムラ等が多く実用に耐えない。 [写像性]写像性は、印刷用積層シートに印刷物を用い
て 、スガ試験機株式会社製 写像性測定器 ICM−2
DP型 を用いて評価した。写像性のC値%が高いほ
ど、目視の光沢感が高い。 これらの評価結果を表1に示す。
【0049】本願発明の実施例1〜6のように、所定の
粗さに制御されたクーリングロールを用い、150m/
分以上の加工速度で製造しても、得られた印刷用積層シ
ートには、クレーター状細孔や剥離横段ムラ等の表面故
障が少なく、また、印刷物の写像性も優れており、高級
な光沢感が得られる。
【0050】比較例1では、加工速度が遅いため、表面
故障は抑えられるので、比較的良好な印刷用積層シート
が製造できる。しかしながら、比較例2〜5では、印刷
面の写像性は良好であるものの、表面故障が発生し、印
刷面上にも明かな故障点を有し、製品とはならない欠点
故障となる。また、比較例6においては、印刷積層シー
ト上のクレーター状細孔と印刷面の写像性が良好である
ものの、剥離横段ムラが発生し、印刷面上にも剥離横段
ムラを発生させ、製品とはならない。さらに、実施例7
〜9においては、印刷用積層シート上の表面故障は発生
せずに、実用レベルを有するものの、印刷物として印刷
面の写像性が低下して、鏡面タイプとしての高級感が得
られない。特に、実施例9においては、写像性が低下し
て、鏡面タイプの印刷物とは異なる、別のマット調に類
似した光沢感しか得られない印刷物なってしまう。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、150m/分以上の加
工速度で、印刷用積層シート表面が、波長0.08mm
以下の十点平均粗さで 、0.3〜0.7μm、平均ピッ
チで5〜40μmで、相対負荷曲線でのカッティング深
さと最大高さとの比が30%以下のときの相対負荷長さ
で、10〜50%に制御できるクーリングロールを用い
て、製造することにより、高速加工時の剥離横段ムラや
クレーター状細孔を防止するとともに、高級な光沢感を
有する印刷面が得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状基体に、150m/分以上の加
    工速度で熱可塑性樹脂を溶融押出コーティングし、表面
    の波長0.08mm以下の十点平均粗さが0.3〜0.7
    μm 、平均ピッチが5〜40μmであり、かつ、相対
    負荷曲線でのカッティング深さと最大高さとの比が30
    %のときの相対負荷長さが、10〜50%の表面粗さを
    有することを特徴とする印刷用積層シート。
  2. 【請求項2】 シート状基体に、熱可塑性樹脂を150
    m/分以上の加工速度で溶融押出コーティングする工程
    において、熱溶融樹脂を冷却固化させて、表面を型付け
    する際に使用する 、波長0.08mm以下の十点平均粗
    さが0.8〜1.2μm、平均ピッチが5〜30μmであ
    り、かつ、相対負荷曲線でのカッティング深さと最大高
    さの比が70%のときの相対負荷長さが50〜90%の
    表面粗さを有する印刷用積層シート用クーリングロー
    ル。
JP5023394A 1994-03-22 1994-03-22 印刷用積層シート及びそれに使用するクーリングロール Pending JPH07259000A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6435014B1 (en) * 1999-05-28 2002-08-20 Telefonaktiebolaget Lm Ericsson (Publ) Method for determination of surface texture
JP2005530934A (ja) * 2002-06-27 2005-10-13 ユーピーエム−キンメネ オサケイティオ ユルキネン 被印刷基体および印刷方法

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US6435014B1 (en) * 1999-05-28 2002-08-20 Telefonaktiebolaget Lm Ericsson (Publ) Method for determination of surface texture
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