JPH0986034A - 型付きインクジェット記録用紙 - Google Patents

型付きインクジェット記録用紙

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JPH0986034A
JPH0986034A JP7267985A JP26798595A JPH0986034A JP H0986034 A JPH0986034 A JP H0986034A JP 7267985 A JP7267985 A JP 7267985A JP 26798595 A JP26798595 A JP 26798595A JP H0986034 A JPH0986034 A JP H0986034A
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一博 野島
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正博 森江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 見易く立体感に優れた型を有し、インクの吸
収性、及び、画像品質に優れるインクジェット記録用紙
を提供する。 【解決手段】 JIS−P8142による表面光沢度が
60以上の基紙の表面に彫刻を施した型付きインクジェ
ット記録用紙であって、該彫刻の深さが5μm以上50
μm以下であり、JIS−P8117による透気度が5
00秒以下である型付きインクジェット記録用紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、彫刻された表面
を有する型付きインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、包装紙、包装容器、ラベル、レタ
ー用紙、印刷用紙あるいは壁紙等において、その表面に
美的な図柄、マーク、模様等の彫刻を型付け加工(Embo
ssing)により施した型付き紙が知られている。このよ
うな型付け紙はオフセット印刷やグラビア印刷により印
刷されていた。
【0003】上記型付け加工としては、一般的に、彫刻
ロールを雄型、弾性ロールを雌型として歯車の噛合いと
同じように上下に組み合わされた2本の圧接されたロー
ル間に、原紙に顔料と接着剤を主成分とする顔料塗被液
を塗被した塗被紙を通紙させることにより行われる。
【0004】さらに、他の型付け加工としては、長網抄
紙機により抄紙する過程において、例えば、プレスパー
トでプレスマークを付与する方法(原紙そのものへの型
付け方法)がある。
【0005】一方、近年、インクジェットプリンタによ
る印刷、即ち、記録が普及している。このインクジェッ
トプリンタは、インクを多数のノズルから噴出すること
により記録を行なうため、型付き紙のような表面に凹凸
を有する用紙にも比較的画像品質が高い記録が可能であ
る。
【0006】ところで、このインクジェットプリンタ用
の記録用紙としては、インク吸収性に富む上質紙や原紙
の表面に多孔性顔料を塗被した塗被紙が使用されてい
る。
【0007】しかし、上記のインクジェット記録用紙を
型付け加工することなく平滑な表面のまま記録したとし
ても、表面の光沢が低いため記録画像品質に欠ける。そ
こで、このような問題点を解決するために、特開平7−
149038号公報は、表面の優れた平滑性と強光沢を
有し、かつ、インクジェットプリンタのインク吸収性に
優れたインクジェット記録用紙を開示している。
【0008】このインクジェット記録用紙は、原紙上
に、顔料、接着剤及びポリアルキレンポリアミン類とジ
シアンジアミドを共重合してなるカチオン性樹脂を含有
する下塗り塗被層、さらに該下塗り塗被層上にエチレン
性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる40℃
以上のガラス転移点を持つ重合体を含有するキャスト塗
被層を積層して成る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のインク吸収性に
富む上質紙や原紙の表面に多孔性顔料を塗被した塗被紙
を型付け加工すると、上述した記録画像品質の問題の他
に、型が見づらくなるという問題点があった。このよう
な型付き紙の商品価値は著しく低下する。
【0010】さらに、上記のインク吸収性に富む上質紙
や原紙の表面に多孔性顔料を塗被した塗被紙を型付け加
工すると、型付けの凹部の深さによってインクジェット
吸収性が悪化する場合があるという問題点があった。こ
れは、塗被層が凹部分において押しつぶされてしまうた
め当該部分においてインクの吸収不良を生じるためであ
ると考えられる。
【0011】さらに、特開平7−149038号公報に
開示されるようなインクジェット記録用紙に型付け加工
を施した場合においても記録ムラが生じる場合があり、
当該記録ムラの調整はインクジェットプリンタのインキ
噴射量等の設定を変更して行なうことで対応する必要が
あった。このようなインクジェットプリンタの設定は経
験的に得られるものであるため、安定した記録画像品質
を維持することが困難であるという問題点があった。
【0012】上記の課題に鑑み、本発明は見易く立体感
に優れた型を有し、インクの吸収性、及び、記録画像品
質に優れた型付きインクジェット記録用紙を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る型付きイン
クジェット記録用紙は、JIS−P8142による表面
光沢度が60以上の基紙の表面に彫刻を施した型付きイ
ンクジェット記録用紙であって、該彫刻の深さが5μm
以上50μm以下であり、JIS−P8117による透
気度が500秒以下であることを特徴とする。
【0014】上記JIS−P8142による表面光沢度
が60以上の基紙を使用することにより型が見易くな
る。表面光沢が60未満になると型が見づらくなり型付
き紙の商品価値が著しく低下するからである。
【0015】上記彫刻の深さは5μm以上50μm以下
にすることにより、インクジェットプリンタのインキ噴
射量等の設定を特に調整することなくインク噴射ノズル
と被記録面の凹部との距離が適正に保たれる。即ち、当
該深さが5μm未満の場合には型が見づらくなり、ま
た、50μmよりも深くなると凸部と凹部とにおける記
録濃度の差が大きくなり記録濃度ムラを生じる。
【0016】上記のように彫刻の深さは5μm以上50
μm以下にすることが必要であるが、より明瞭な型を表
現すると共により良好なインクジェット記録画像を得る
ためには10μm以上30μm以下にすることが望まし
い。
【0017】上記JIS−P8117による透気度を5
00秒以下にすることにより、インクの吸収性が確保さ
れる。即ち、透気度が500秒よりも長くなるとインク
の乾燥不良やにじみ等が発生する。
【0018】上記のように基紙の透気度を500秒以下
にするためには、型付け加工時のロールニップ圧や通紙
温度を調整したり、あるいは、基紙に設ける塗被層中の
顔料や接着剤等を適宜調整することにより行なう。上記
ロールニップ圧に関しては、線圧としては10kg/cm以
上、400kg/cm以下が好ましい。尚、上記基紙の透気
度は300秒以下10秒以上であることが好ましい。1
0秒以下の場合には表面平滑性が低下し、好ましくない
からである。
【0019】尚、上記JIS−P8117による透気度
は、基紙の彫刻凹部における測定値である。実際に測定
する場合には、型付け紙を剪断して彫刻凹部の深さを採
寸し、該深さになるよう該型付け紙となる基紙に線圧を
かけ被試験紙を得る。
【0020】さらに、上記基紙はJIS−P8142に
よる表面光沢度が60以上のキャスト塗被紙であること
が好適である。また、上記の特開平7−149038号
のインクジェット記録用紙のように、表面の強光沢とイ
ンク吸収性が両立されているインクジェット記録用紙が
好ましいが、本発明の数値を満たす用紙であればこのよ
うなインクジェット記録用紙に限られない。
【0021】
【実施例】
(実施例1)顔料として無定形シリカ100部、接着剤
としてポリビニルアルコール13部、カチオン性樹脂と
してポリエチレンポリアミン系樹脂13部、及び、分散
剤としてポリアクリル酸ソーダ1部を添加し下塗り塗被
液を調整した。
【0022】この下塗り層用塗被液を米坪100g/m2
原紙表面に乾燥重量で8g/m2になるようにエアーナイフ
コーターにより塗被、乾燥して下塗り原紙とした。
【0023】キャスト塗被液として、ガラス転移点80
℃のスチレン−2メチルヘキシルアクリレート共重合体
100部、離型剤としてステアリン酸エマルジョン1部
よりなる固形分濃度が30%のキャスト用塗被液を調整
した。
【0024】この塗被液を上記の下塗り原紙上にロール
コーターを用いて塗被した後、直ちに表面温度が75℃
の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後離型し、JIS−P81
42による光沢度が65のキャスト塗被紙を得た。
【0025】このキャスト塗被紙を、逆柄の彫刻の深さ
が150μmの彫刻ロールとコットン材の弾性ロール間
を通紙して型付きのインクジェット記録用紙を得た。
尚、通紙時の線圧70kg/cmである。
【0026】本実施例の型付きインクジェット記録用紙
は、彫刻の凹部の深さが30μmであり、JIS−P8
117による透気度が50秒であった。そして、記録直
後に指で触れてもインクで指がまったく汚れず、記録濃
度ムラも認められず、また、型付け部分が明瞭であり模
様や図柄が鮮明に観察することができた。
【0027】(実施例2)基紙として平滑なインクジェ
ット記録用紙(キャノン製光沢紙GP−101)を、逆
柄の彫刻の深さが150μmの彫刻ロールとコットン材
の弾性ロール間を通紙して型付きのインクジェット記録
用紙を得た。尚、使用した基紙のJIS−P8142に
よる表面光沢度は86であり、また、通紙時の線圧70
kg/cmである。
【0028】本実施例のインクジェット記録用紙は、彫
刻の凹部の深さが30μmであり、JIS−P8117
による透気度が90秒であった。そして、記録直後に指
で触れても指がまったく汚れず、記録濃度ムラも認めら
れず、また、型付け部分が明瞭であり模様や図柄が鮮明
に観察することができた。
【0029】(実施例3)基紙として平滑なインクジェ
ット記録用紙(キャノン製光沢紙NS−101)を使用
し、線圧80kg/cmとした他は実施例1と同様の方法に
より型付きのインクジェット記録用紙を得た。尚、使用
した基紙のJIS−P8142による表面光沢度は85
である。
【0030】本実施例のインクジェット記録用紙は、彫
刻の深さが25μmであり、JIS−P8117による
透気度が250秒であった。そして、記録直後に指で触
れても指がまったく汚れず、記録濃度ムラも認められ
ず、また、型付け部分が明瞭であり模様や図柄が鮮明に
観察することができた。
【0031】(実施例4)実施例2と同様の基紙を使用
し、線圧20kg/cmとした他は実施例2と同様の方法に
より型付きのインクジェット記録用紙を得た。
【0032】本実施例のインクジェット記録用紙は、彫
刻の深さが20μmであり、JIS−P8117による
透気度が70秒であった。そして、記録直後に指で触れ
ても指がまったく汚れず、記録濃度ムラも認められず、
また、型付け部分が明瞭であり模様や図柄が鮮明に観察
することができた。
【0033】(実施例5)実施例3と同様の基紙を使用
し、線圧150kg/cmとした他は実施例2と同様の方法
により型付きのインクジェット記録用紙を得た。
【0034】本実施例のインクジェット記録用紙は、彫
刻の深さが40μmであり、JIS−P8117による
透気度が460秒であった。そして、記録直後にはイン
ク部分がわずかに光っていたが実用上問題はなく、記録
濃度ムラも認められず、また、型付け部分が明瞭であり
模様や図柄が鮮明に観察することができた。
【0035】(実施例6)実施例2と同様の基紙を使用
し、逆柄の彫刻の深さが80μmの彫刻ロールとコット
ン材の弾性ロール間を通紙して型付きのインクジェット
記録用紙を得た。尚、通紙時の線圧70kg/cmである。
【0036】本実施例のインクジェット記録用紙は、彫
刻の深さが10μmであり、JIS−P8117による
透気度が80秒であった。そして、記録直後に指で触れ
ても指がまったく汚れず、記録濃度ムラも認められず、
また、型付け部分が明瞭であり模様や図柄が鮮明に観察
することができた。
【0037】(比較例1)鏡面ドラムの温度を60℃と
した他は、上記実施例1と同様の方法によりJIS−P
8142による表面光沢度が55の型付きインクジェッ
ト記録用紙を得た。
【0038】本比較例のインクジェット記録用紙は、彫
刻の深さが30μmであり、JIS−P8117による
透気度が50秒であった。記録直後に指で触れても指が
まったく汚れず、記録濃度ムラも認められなかったが、
型付け部分が不明瞭であり見づらかった。
【0039】(比較例2)通紙時の線圧を300kg/cm
とした他は、上記実施例2と同様の方法により型付きイ
ンクジェット記録用紙を得た。
【0040】本比較例のインクジェット記録用紙は、彫
刻の深さが55μmであり、JIS−P8117による
透気度が190秒であった。記録直後にインクがわずか
に光っているが実用上インク吸収性に問題はなく、型付
け部分が明瞭であり模様や図柄が鮮明に観察することが
できたものの、記録濃度ムラが認められた。
【0041】(比較例3)通紙時の線圧を250kg/cm
とした他は、上記実施例3と同様の方法により型付きイ
ンクジェット記録用紙を得た。
【0042】本比較例のインクジェット記録用紙は、彫
刻の深さが60μmであり、JIS−P8117による
透気度が550秒であった。型付け部分が明瞭であり模
様や図柄が鮮明に観察することができたものの、インク
の乾燥不良によりインクが流れて実用に耐えず、また、
記録濃度ムラが認められた。
【0043】(比較例4)彫刻ロールの逆柄の彫刻の深
さを10μmとした他は、上記実施例2と同様の方法に
より型付きインクジェット記録用紙を得た。
【0044】本比較例のインクジェット記録用紙は、彫
刻の深さが3μmであり、JIS−P8117による透
気度が80秒であった。記録直後にインクがわずかに光
っているが実用上インク吸収性に問題はなく、記録濃度
ムラも認められなかったが、型付け部分が不明瞭であり
見づらかった。
【0045】上記各実施例及び比較例は以下の方法によ
り行なった。尚、当該測定結果を表1に示す。
【0046】彫刻深さは小坂研究所粗さ測定器TDF−
3Aを使用しR−MAX(μm)を測定した。
【0047】インク吸収性はシャープ株式会社製のカラ
ーイメージジェットIO−735Xにて記録を行い、イ
ンクの乾燥性を目視して評価した。即ち、記録直後に指
で触れてもまったく汚れない場合を「◎」とし、記録直
後インク部分がわずかに光っているものの実用上問題が
ない場合を「○」とし、記録直後インクの乾燥不良によ
りインクがながれて実用上耐えないものを「×」とし
た。
【0048】記録濃度ムラについてはシャープ株式会社
製のカラーイメージジェットIO−735Xにて記録を
行い、記録パターンの濃度ムラを目視して評価した。即
ち、記録濃度ムラがなく均一な記録画像である場合を
「○」とし、記録パターンに濃度ムラがあるものを
「×」とした。
【0049】型の明瞭性については目視にて評価し、型
付け部分が明瞭で模様や図柄が鮮明に観察できるものを
「○」とし、型付け部分が不明瞭で見にくいものを
「×」とした。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録用紙は、J
IS−P8142による表面光沢度が60以上の基紙に
型付け加工を行なうため、見易く立体感に優れた模様等
の型を得ることができる。
【0052】また、本発明のインクジェット記録用紙
は、彫刻の深さを5μm以上50μm以下とすることに
より、インクジェットプリンタのインキ噴射量等の設定
を特に調整することなくインク噴射ノズルと被記録面の
凹部との距離が適正に保つことが可能となり、見易く立
体感に優れた模様等の型を得ることができると共に、記
録濃度の差による記録濃度ムラを防止することができ
る。
【0053】また、本発明のインクジェット記録用紙
は、JIS−P8117による透気度が500秒以下に
することによりインクの吸収性が確保され、インクの乾
燥不良を防止することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JIS−P8142による表面光沢度が
    60以上の基紙の表面に彫刻を施した型付きインクジェ
    ット記録用紙であって、該彫刻の深さが5μm以上50
    μm以下であり、JIS−P8117による透気度が5
    00秒以下であることを特徴とする型付きインクジェッ
    ト記録用紙。
  2. 【請求項2】 基紙はキャスト塗被紙である請求項1記
    載の型付きインクジェット記録用紙。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001009431A1 (fr) * 1999-07-29 2001-02-08 Mitsubishi Paper Mills Limited Feuille support d'enregistrement et procede de preparation associe
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