JPH07258973A - 絹フィブロイン加工方法 - Google Patents

絹フィブロイン加工方法

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JPH07258973A
JPH07258973A JP4961094A JP4961094A JPH07258973A JP H07258973 A JPH07258973 A JP H07258973A JP 4961094 A JP4961094 A JP 4961094A JP 4961094 A JP4961094 A JP 4961094A JP H07258973 A JPH07258973 A JP H07258973A
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JP
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water
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silk
insolubilizing
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JP4961094A
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Takashi Tabata
孝 田畑
Shigeru Takeuchi
茂 竹内
Akihiro Katagiri
朗弘 片桐
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Shinano Kenshi Co Ltd
Original Assignee
Shinano Kenshi Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維製品に付着された絹フィブロインの耐久
性を容易に向上し得る絹フィブロイン加工方法を提供す
る。 【構成】 単繊維群、糸、或いは布帛等の繊維製品に絹
フィブロインを付着し固着する際に、該繊維製品に、絹
フィブロインが溶解されて成る絹フィブロイン溶液を付
着せしめた後、前記絹フィブロイン溶液が付着された繊
維製品に、水溶性の絹フィブロンを水不溶性とする水不
溶化液を付与することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は絹フィブロイン加工方法
に関し、更に詳細には単繊維群、糸、或いは布帛等の繊
維製品に絹フィブロインを付着し固定化する絹フィブロ
イン加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成繊維等の繊維製品に絹様の特
性を付加すべく、特開平5−5275号公報には、繊維
製品に絹フィブロインを付着することが提案されてい
る。この公報に記載された絹フィブロイン加工方法は、
絹フィブロインが溶解された絹フィブロイン溶液に、繊
維製品を浸漬してから乾燥し、乾熱又は湿熱処理を行う
ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この様に、絹フィブロ
インが付着された繊維製品は、絹様の風合、反撥性等を
呈し、且つ温湿度調整機能を有することができる。しか
しながら、前記絹フィブロイン加工方法によって得られ
る繊維製品は、付着された絹フィブロインの耐久性が劣
り、染色や洗濯等において絹フィブロインが脱落し易い
ため、繊維製品の呈する絹様の風合等が次第に消失す
る。一方、繊維製品に付着された絹フィブロインの耐久
性を改善すべく、絹フィブロイン溶液に架橋剤や触媒等
を添加する方法も考えられるが、加工方法が複雑化して
加工コストが上昇したり、新たな設備投資を強いられる
等の欠点を有しているため、工業的生産に採用すること
は困難である。
【0004】そこで、本発明の目的は、繊維製品に付着
された絹フィブロインの耐久性を容易に向上し得る絹フ
ィブロイン加工方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記目的
を達成すべく検討を重ねた結果、染色工程等において汎
用されている芒硝を溶解した溶液に、水溶性の絹フィブ
ロンを付着した繊維製品を浸漬処理したところ、絹フィ
ブロンの耐久性を向上し得ることを見出し、本発明に到
達した。すなわち、本発明は、単繊維群、糸、或いは布
帛等の繊維製品に絹フィブロインを付着し固着する際
に、該繊維製品に、絹フィブロインが溶解されて成る絹
フィブロイン溶液を付着せしめ、次いで、前記絹フィブ
ロイン溶液が付着された繊維製品に、水溶性の絹フィブ
ロインを水不溶性とする水不溶化液を付与することを特
徴とする絹フィブロインの加工方法にある。
【0006】かかる構成を有する本発明において、絹フ
ィブロイン溶液に、浸透剤として界面活性剤を配合する
ことによって、繊維製品を構成する繊維に均一に絹フィ
ブロインを付着することができる。また、水不溶化液の
主成分を、メチルアルコールやエチルアルコール等のア
ルコール類、ポリエチレングリコール等のグリコール
類、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン等の
ケトン類、又は硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウム等の
硫酸塩の中性塩とすることにより、繊維製品に付着した
絹フィブロインの水不溶化を促進することができる。更
に、かかる絹フィブロインを付着した後、水不溶化液を
付与した繊維製品に加熱処理を施すと、絹フィブロイン
の水不溶化の程度を更に向上できる。
【0007】
【作用】絹フィブロイン溶液を付着した繊維製品に乾熱
又は湿熱処理を施すことによって、繊維製品に付着した
水溶性の絹フィブロインを水不溶性とすることができる
が、その耐久性は劣る。絹フィブロインの水不溶化程度
が不充分であるためと推察される。この点、本発明で
は、絹フィブロイン溶液を付着した繊維製品に、水溶性
の絹フィブロインを水不溶性とする水不溶化液を付与
し、絹フィブロインの水不溶化を更に促進できる。その
結果、繊維製品に付着した水溶性の絹フィブロインの水
不溶化を充分に行うことができ、その耐久性を著しく向
上させることができるのである。
【0008】
【発明の概要】本発明の対象とする繊維製品は、フィラ
メント糸や混紡糸等の糸、織編物や不織布等の布帛(紙
を含む)、縫製品は勿論のこと、非収束状のフィラメン
ト群や短繊維群から構成される綿等の単繊維群も含む。
かかる繊維製品を構成する繊維としては、任意の繊維を
用いることができ、例えばポリエステル繊維、ポリアミ
ド繊維、アクリル繊維等の合成繊維、絹、綿、羊毛、麻
等の天然繊維、或いはレーヨン繊維、アセテート繊維等
の半合成繊維は勿論のこと、二種以上の繊維を混繊した
混繊品も挙げることができる。
【0009】この様な繊維製品に絹フィブロイン溶液を
付着させる絹フィブロイン溶液としては、公知の絹フィ
ブロイン溶液を使用できるが、絹フィブロイン溶液用の
溶媒としては、銅−エチレンジアミン水溶液、水酸化銅
−アンモニア水溶液(シュワイザー試薬)、水酸化銅−
アルカリ−グリセリン水溶液(ローエ試薬)、臭化リチ
ウム水溶液、カルシウム或いはマグネシウム又は亜鉛の
塩酸塩或いは硝酸塩又はチオシアン酸塩の水溶液、チオ
シアン酸ナトリウム水溶液を使用できる。但し、コスト
や作業性等の観点からは、溶媒としては、カルシウム又
はマグネシウムの塩酸塩又は硝酸塩の水溶液が好まし
い。一方、絹フィブロインとしては、生糸工程又は絹紡
工程で副生する絹の屑繊維を、マルセル石鹸及びソーダ
灰を使用して通常の方法で精錬し、残留セリシンを1重
量%以下にしたものを使用する。
【0010】かかる絹フィブロイン溶液中の絹フィブロ
イン濃度は、溶媒の種類や付着量によって異なるが、通
常、0.2〜20重量%、特に1.0〜10.0重量%
とすることが好ましい。この様な絹フィブロイン溶液
は、そのまま使用してもよいが、最終製品の品質や工程
管理等の観点からは、チューブ状又はフィルム状の半透
膜、或いは電気透析等の脱塩基・脱塩処理方法を使用
し、絹フィブロイン溶液に脱塩基・脱塩処理を施すこと
が好ましい。更に、かかる絹フィブロイン溶液に、浸透
剤として界面活性剤を配合することが好ましい。浸透剤
としての界面活性剤によって、繊維製品を構成する繊維
の脱脂等がなされ、絹フィブロインを均一に付着するこ
とができるからである。この界面活性剤としては、絹フ
ィブロイン溶液に浸漬処理する繊維製品を構成する繊維
との関係で選択する。例えば、絹製品の場合には、カチ
オン系界面活性剤よりもノニオン系界面活性剤を使用す
ることが好ましく、綿製品の場合には、ノニオン系界面
活性剤を使用することが好ましい。
【0011】この様な絹フィブロイン溶液を繊維製品に
付着させる方法としては、繊維製品を絹フィブロイン溶
液に浸漬する浸漬法、絹フィブロイン溶液を繊維製品に
噴霧する噴霧法、絹フィブロイン溶液を含浸させたパッ
ドによって繊維製品を叩くパッディング法等を採用でき
る。繊維製品に付着する絹フィブロイン溶液の付着量
を、絹フィブロイン加工後の繊維製品に対して好ましく
は0.1〜50重量%、更に好ましくは0.2〜20重
量%、特に好ましくは0.5〜10重量%となるように
調整する。繊維製品に対する絹フィブロイン溶液の付着
量の調整は、浸漬や噴霧する絹フィブロイン溶液の液
量、又はパッディングするパッドに含浸させる液量等で
行ってもよく、或いは絹フィブロイン溶液が付着された
繊維製品をローラー等で絞ってもよい。尚、絹フィブロ
イン溶液を付着した繊維製品を乾燥することは、付着さ
れた絹フィブロインの一部を水不溶化できるため好まし
い。
【0012】本発明においては、絹フィブロイン溶液が
付着された繊維製品に絹フィブロインの水不溶化液を付
与する。かかる水不溶化液としては、絹フィブロンの水
不溶化を促進し得る液であればよく、例えばメチルアル
コールやエチルアルコール等のアルコール類、ポリエチ
レングリコール等のグリコール類、アセトアルデヒド等
のアルデヒド類、アセトン等のケトン類、或いは硫酸ナ
トリウムや硫酸アンモニウム等の硫酸塩の中性塩を主成
分とする液を挙げることができる。かかる水不溶化液が
付与された繊維製品では、絹フィブロインが水溶性構造
から水不溶性構造(β構造)に転移する。このため、繊
維製品を構成する繊維表面は、洗濯等に対して充分な耐
久性を有する水不溶性の絹フィブロインによって膜状に
覆われており、繊維製品の呈する絹様の風合等は洗濯等
を施しても維持できるのである。
【0013】かかる水不溶化液において、メチルアルコ
ールやエチルアルコールを主成分とする水不溶化液、硫
酸ナトリウム(芒硝)又は硫酸アンモニウム(硫安)を
主成分とする水不溶化液を使用することが好ましい。つ
まり、メチルアルコールやエチルアルコールを主成分と
する水不溶化液を使用した場合、繊維製品に付着された
絹フィブロン中に浸透し易いため、絹フィブロンの水不
溶化を迅速に促進させることができ、布帛等にシャリ感
を与えることができる。また、硫酸ナトリウム(芒硝)
を主成分とする水不溶化液(好ましくは飽和水溶液)を
使用した場合、メチルアルコール等を主成分とする水不
溶化液を使用して得られた布帛等に比較して、布帛等に
ソフトな風合を呈することができる。硫酸ナトリウムを
主成分とする水不溶化液は、繊維製品に付着された絹フ
ィブロイン中への浸透速度が、メチルアルコールやエチ
ルアルコール等を主成分とする水不溶化液よりも遅いた
めと考えられる。しかも、硫酸ナトリウムを主成分とす
る水不溶化液は、作業環境等の維持に特別の装置を必要
とせず且つ染色工程等において汎用されているため、取
扱が容易である。更に、硫酸アンモニウム(硫安)を主
成分とする水不溶化液(好ましくは飽和水溶液)を使用
した場合、硫酸ナトリウムを主成分とする水不溶化液と
同様に、布帛等にソフトな風合を付与することができ、
且つ取扱も容易である。しかも、絹フィブロンが付着さ
れた絹布に、この水不溶化液を付与した後、乾燥する
と、最終的に得られた絹布は、絹鳴りを呈するものとな
る。
【0014】かかる水不溶化液の付与方法は、絹フィブ
ロイン溶液が付着された繊維製品を、水不溶化液に浸漬
する浸漬法、水不溶化液を繊維製品に噴霧する噴霧法、
水不溶化液を含浸させたパッドによって繊維製品を叩く
パッディング法等を採用できる。この様にして繊維製品
に付与された水不溶化液は、絹フィブロインが充分に水
不溶化されるまで放置した後、水洗等によって除去して
もよい。ところで、絹フィブロインが充分に水不溶化さ
れるまでの時間(水不溶化時間)は、水不溶化液の種類
によって異なり、例えばアルコール類、アルデヒド類、
ケトン類等の低分子成分を主成分とする水不溶化液の水
不溶化時間は、硫酸塩の中性塩等を主成分とする水不溶
化液の水不溶化時間よりも短い。また、同一水不溶化液
においても、水不溶化液を付与してから除去するまでの
放置時間が長い程、絹フィブロインの水不溶性は向上さ
れるが、繊維製品の風合が硬くなる傾向にある。他方、
放置時間が短い程、繊維製品の風合はソフトとなるが、
絹フィブロインの水不溶性は低下する傾向にある。この
ため、最終製品に要求される風合や絹フィブロインの耐
久性に適合するように、水不溶化液の種類及び放置時間
を調整することができ、これらを予め実験的に定めてお
くことが好ましい。
【0015】本発明においては、水不溶化液を付着した
繊維製品には、更に加熱処理を施すことが好ましい。か
かる加熱処理によって、絹フィブロインの水不溶化を更
に促進させることができるからである。この加熱処理
は、乾熱処理又は湿熱処理であってもよく、50〜13
0℃、好ましくは80〜120℃の加熱空気又は水蒸気
を使用して行うことができる。特に、加熱空気を使用す
ることによって繊維製品の乾燥も同時に行うことができ
好ましい。また、かかる加熱処理後において、水不溶化
液を付着した繊維製品に水洗を施し、過剰に付着した絹
フィブロインや水不溶化液を除去てもよい。
【0016】本発明の絹フィブロイン加工が施された繊
維製品には、水不溶化されて耐久性が向上された絹フィ
ブロインが付着されている。このため、絹フィブロイン
を付着した繊維製品を染色や洗濯等を施しても、絹フィ
ブロインの脱落を防止でき、染色や洗濯後の繊維製品も
絹様の特性を保持できる。更に、繊維本体を形成する分
子鎖よりも低分子量の絹フィブロインが、付着されてい
るため、繊維製品の染色性を向上させることができる。
しかも、絹フィブロインは草木染可能であるため、草木
染が不可能な繊維製品であっても、絹フィブロインを付
着することによって、草木染を可能とすることができ
る。
【0017】
【実施例】本発明を実施例によって更に詳細に説明す
る。先ず、本実施例において用いた絹フィブロイン溶液
と水不溶化液としては、下記のものを使用した。 (1)絹フィブロイン溶液 絹フィブロイン濃度を4重量%とし、浸透剤(ノニオン
系界面活性剤)濃度を0.3重量%とした。尚、浸透剤
としては、旭電化工業(株)製のアデカトールSO−1
35(商品名)を用いた。 (2)水不溶化液 水不溶化液としては、メチルアルコールの75%水溶液
(B液)、エチルアルコールの75%水溶液(C液)、
硫酸ナトリウム(芒硝)の飽和水溶液(D液)、硫酸ア
ンモニウム(硫安)の飽和水溶液(E液)、アセトンの
75%水溶液(F液)、ポリエチレングリコールの10
0%液(G液)、アセトアルデヒドの100%液(H
液)のいずれかを用いた。
【0018】実施例1 絹紡績工程から発生する絹ブーレットと、紡績工程を通
過した絹紡糸との各々に、絹フィブロイン加工を施し
た。絹ブーレットの絹フィブロイン加工においては、絹
ブーレットを室温の絹フィブロイン溶液に30分間浸漬
した。次いで、浸漬処理を施した絹ブーレットを、遠心
脱水機によって絞り率90%で脱水し、110℃で30
分間の乾燥を行った。その後、絹ブーレットに表1に示
す室温の水不溶化液に30分間の浸漬処理を行い、脱水
してから110℃で30分間の乾燥を行った。
【0019】また、絹紡糸の絹フィブロイン加工におい
ては、絹紡糸(EC140/2) の10ハンク綛を、室温の絹フ
ィブロイン溶液に30分間浸漬した。次いで、浸漬処理
を施した絹紡糸を、脱水した後、110℃で30分間の
乾燥を行った。その後、絹紡糸を表1に示す室温の水不
溶化液に30分間の浸漬処理を行い、脱水してから11
0℃で30分間の乾燥を行った。尚、硫酸ナトリウム
(芒硝)の飽和水溶液(D液)又は硫酸アンモニウム
(硫安)の飽和水溶液(E液)を水不溶化液として使用
した水準では、水不溶化液中への浸漬処理が完了した
後、脱水・乾燥処理を施してから残留する硫酸ナトリウ
ム又は硫酸アンモニウムを除去すべく水洗処理を施し
た。
【0020】絹フィブロイン加工を施した絹ブーレット
と絹紡糸との各々について、下記に示す絹フィブロイン
の付着率、沸水処理後の絹フィブロインの付着率、バル
キー性、及び風合を測定し、表1に併せて示した。尚、
表1には、絹フィブロイン溶液に浸漬処理を施したが、
水不溶化液に浸漬処理を施さなかった比較例についての
結果も併せて示した。 絹フィブロインの付着率(%) 絹フィブロイン加工(以下、単に加工と称することがあ
る)が終了したとき、加工前後の重量を測定し、下記式
によって算出した。
【数1】 沸水処理後の絹フィブロインの付着率(%) 加工を施した試料に、沸騰水中に30分間浸漬する沸水
処理を施した後、沸水処理の前後の重量を測定し、下記
式によって算出した。
【数2】 尚、表1においては、Boil後付着率として示した。 バルキー性 加工を施した試料の触感や目視による官能評価を行っ
た。 風合 加工を施した試料の触感による官能評価を行った。
【0021】
【表1】
【0022】表1から明らかな様に、実施例であるNO.
1〜2、NO. 4〜8においては、沸水処理後の絹フィブ
ロインの付着率低下が高々0.6%ある。これに対し、
水不溶化液での浸漬処理を実施しなかった比較例(NO.
3)では、沸水処理後の絹フィブロインの付着率低下が
2.3%にも昇る。この様に、絹フィブロイン溶液への
浸漬処理後に、更に水不溶化液への浸漬処理を施さなか
った場合には、絹フィブロインの耐久性が劣る。また、
水不溶化液として、メチルアルコールの75%水溶液
(B液)、エチルアルコールの75%水溶液(C液)、
又はアセトンの75%水溶液(F液)を使用した水準
(NO. 4、5、8)では、加工後の絹紡糸の風合がやや
硬くなる。これに対し、硫酸ナトリウムの飽和水溶液
(D液)を水不溶化液として使用した水準(NO. 6)
は、ソフトな風合を呈する。メチルアルコールやエチル
アルコールに比較して、硫酸ナトリウムの絹フィブロイ
ンへの浸透速度が遅く、付着された絹フィブロインが完
全に水不溶化されていないためと考えられる。更に、硫
酸アンモニウム(硫安)の飽和水溶液(E液)を水不溶
化液として使用した水準(NO. 7)では、絹鳴りも呈す
る。
【0023】実施例2 絹布、羊毛布、綿布、ポリエステル布、ナイロン布、及
びアクリル布の各々に、絹フィブロイン加工を施した。
かかる絹フィブロイン加工においては、300 ×500mm の
布地を室温の絹フィブロイン溶液に30分間浸漬した
後、絞り率70〜120%の脱水処理を施してから11
0℃で30分間の乾燥処理を施した。次いで、各布地を
表2に示す室温の水不溶化液に30分間浸漬し、脱水処
理してから110℃で30分間の乾燥処理を施した。か
かる水不溶化液への浸漬処理の後、硫酸ナトリウム(芒
硝)の飽和水溶液(D液)又は硫酸アンモニウム(硫
安)の飽和水溶液(E液)を水不溶化液として使用した
水準では、水不溶化液中への浸漬処理が完了した後、脱
水・乾燥処理を施してから残留する硫酸ナトリウム又は
硫酸アンモニウムを除去すべく水洗処理を施した。本実
施例においては、絹フィブロイン加工が完了してから布
地に軽くアイロン掛けを施した後、絹フィブロインの付
着率、沸水処理後の絹フィブロインの付着率、しわ、沸
水収縮率、吸湿性、保湿性、及び風合について測定し
た。その結果を表2に併せて示す。尚、表2において
は、絹フィブロイン加工を施さない布地の特性も「Blan
k 」として併記した。
【0024】絹フィブロインの付着率、沸水処理後の絹
フィブロインの付着率、及び風合は、実施例1と同様に
して測定し、「しわ」、「沸水収縮率」、「吸湿性」、
及び「保湿性」については、下記方法によって測定し
た。 沸水収縮率(%) 布地を沸騰水中に30分間浸漬し、下記式によって算出
した。
【数3】 吸湿性 温度25℃、湿度60%の雰囲気中に24時間放置した
布地の重量を測定し、下記式によって算出した。
【数4】 保湿性 温度25℃、湿度80%の雰囲気中に24時間放置した
布地の重量を測定した後、この布地を更に温度25℃、
湿度20%の雰囲気中に8時間放置してから布地重量を
測定し、下記式によって算出した。
【数5】 しわ 50mlの注射器のシリンジ内に布地を挿入し、シリン
ダーによってシリンジ容積を25mlに縮小して約5分
間保持した。その後、シリンジ内から布地を取り出し、
「しわ」の状態を目視で判定した。
【0025】
【表2】 表2から明らかな様に、絹フィブロイン溶液に浸漬処理
した布地は、絹フィブロイン加工を施さなかった水準
(Blank )に比較して、しわ、沸水収縮率、吸湿率、保
湿率の特性が改善されている。但し、絹フィブロイン溶
液に浸漬処理した布地に、水不溶化液の浸漬処理を施し
た布地(実施例)は、絹フィブロイン溶液に浸漬処理の
みを行った布地(比較例)に比較して、沸水処理におけ
る絹フィブロインの脱落率が小さい。このことは、布地
に付着した絹フィブロインが水不溶化液によって水不溶
化され耐久性が向上されたからである。また、水不溶化
液に浸漬処理された布地は、水不溶化液に浸漬処理をし
なかった布地に比較して、ソフトな風合、或いは腰のあ
る風合を呈する場合もある。
【0026】実施例3 ペニー染色された絹紡糸(EC36/2)を使用し、実施例1
のNO. 4、6、7の水準と同様にして絹フィブロイン加
工を施し、摩擦堅牢度、洗濯堅牢度、耐光堅牢度につい
て測定した。その結果を、表3に示した。また、絹フィ
ブロイン加工を施さなかった水準(Blank) についても同
様な測定を行い、その結果を、表3に併せて示した。
尚、これらの測定は、下記に示すJISに記載された測
定方法に準拠して行った。 (1)摩擦堅牢度 JIS L−0849 II形 に準拠し、乾摩擦堅牢度
と湿摩擦堅牢度とを測定した。 (2)洗濯堅牢度 JIS L−0844 A−4法 に準拠し、綿白布、
絹白布、アセテート白布を添加し、所定時間の洗濯を行
った。洗濯後に、試料の変褪色、各白布の変色程度を測
定した。 (3)耐光堅牢度 JIS L−0842に準拠し、試料に対してカーボン
アークランプによって20時間の連続照射を行った。
【0027】
【表3】
【0028】表3から明らかな様に、本実施例の絹フィ
ブロイン加工を施したものは、絹フィブロイン加工を施
さなかった水準(Blank) よりも湿摩擦堅牢度を向上する
ことができる。このため、衣服の襟等における褪色現象
の改善が可能である。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、付着された絹フィブロ
インの耐久性が向上された、絹様の風合を呈し得る繊維
製品を既存の設備によって容易に得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単繊維群、糸、或いは布帛等の繊維製品
    に絹フィブロインを付着し固着する際に、 該繊維製品に、絹フィブロインが溶解されて成る絹フィ
    ブロイン溶液を付着せしめ、 次いで、前記絹フィブロイン溶液が付着された繊維製品
    に、水溶性の絹フィブロインを水不溶性とする水不溶化
    液を付与することを特徴とする絹フィブロインの加工方
    法。
  2. 【請求項2】 絹フィブロイン溶液に、浸透剤として界
    面活性剤が配合されている請求項1記載の絹フィブロイ
    ンの加工方法。
  3. 【請求項3】 水不溶化液の主成分が、メチルアルコー
    ルやエチルアルコール等のアルコール類、ポリエチレン
    グリコール等のグリコール類、アセトアルデヒド等のア
    ルデヒド類、アセトン等のケトン類、又は硫酸ナトリウ
    ムや硫酸アンモニウム等の硫酸塩の中性塩である請求項
    1記載の絹フィブロイン加工方法。
  4. 【請求項4】 絹フィブロイン溶液が付着された繊維製
    品に、水溶性の絹フィブロンを水不溶性とする水不溶化
    液を付与した後、加熱処理を施す請求項1記載の絹フィ
    ブロイン加工方法。
JP4961094A 1994-03-22 1994-03-22 絹フィブロイン加工方法 Pending JPH07258973A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5984974A (en) * 1998-03-02 1999-11-16 Toa Wool Spinning & Weaving Co., Ltd. Process for producing a silk fibroin modified woolen fiber and a modified woolen fiber

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