JPH07258862A - 透明導電性薄膜形成用塗布液、およびこれを用いた透明導電性薄膜の製法、および表面導電性物品 - Google Patents

透明導電性薄膜形成用塗布液、およびこれを用いた透明導電性薄膜の製法、および表面導電性物品

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JPH07258862A
JPH07258862A JP6054193A JP5419394A JPH07258862A JP H07258862 A JPH07258862 A JP H07258862A JP 6054193 A JP6054193 A JP 6054193A JP 5419394 A JP5419394 A JP 5419394A JP H07258862 A JPH07258862 A JP H07258862A
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暢 木下
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性、導電性に優れ、汎用性の高い透明導
電性薄膜形成用塗布液、およびこれを用いた透明導電性
薄膜の製法、および前記透明導電性薄膜を有する表面導
電性物品を提供する。 【構成】 金属塩溶液中に、粒径が5〜100nmの導
電性微粒子を分散させてなる透明導電性薄膜形成用塗布
液を基板上に塗布し、化学的または物理的な処理を施
し、金属塩から金属を析出させることにより、その表面
に透明導電性薄膜が形成された表面導電性物品を得るこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示板などに用い
られる透明電極、ブラウン管表面に用いられる帯電防止
膜、電磁波遮蔽膜、建材用ガラスに用いられる赤外線遮
蔽膜などに利用される透明導電性薄膜形成用塗布液、お
よびこれを用いた透明導電性薄膜の製法、および表面導
電性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、ガラスやプラスチックの表面に、
その透明性や色調を損なうことなく導電性をもたせるた
めに、その表面に透明導電性薄膜を成膜することが広く
行われている。これらの透明導電性薄膜を有するガラス
やプラスチックは、液晶表示板などに用いられる透明電
極、ブラウン管表面に用いられる帯電防止膜、電磁波遮
蔽膜、建材用ガラスに用いられる赤外線遮蔽膜などに利
用されている。
【0003】従来、これらの透明導電性薄膜の成膜は、
スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーディング法と
いった、物理的プロセスによる成膜法が主流であり、こ
れらの方法を用いて成膜を行った場合、低抵抗、かつ、
透明性の高い高品質な透明導電性薄膜を得ることができ
る。
【0004】しかしながら、上記の方法で成膜を行う場
合、成膜に最適な条件範囲が狭く、また、成膜時には真
空容器などを必要とするため、結果として成膜コストが
高く、さらに、大きな面積の基板上に成膜できないとい
う欠点もあった。
【0005】そこで、前記欠点を解決するために、塗布
液を用いた塗布法による透明導電性薄膜の成膜法が検討
されている。例えば、導電性材料として酸化スズや酸化
インジウムなどの導電性金属酸化物を用い、前記金属酸
化物の微粉末をフィラーとして用いた塗布液を利用する
などの方法が知られている。前記塗布液から得られた透
明導電性薄膜は、十分な透明性を持つなどの利点があ
る。ところが、前記透明導電性薄膜の有する導電性は、
帯電防止膜として使用するのであれば十分な性能を示す
が、その他の用途に用いるには不十分なものであるなど
の問題があった。
【0006】また、塗布液を用いた塗布法による他の方
法として、スズまたはインジウムを含む化合物より、ゾ
ルーゲル法または熱分解法を用いて成膜する方法も公知
である。この方法により得られた透明導電性薄膜は、透
明性、導電性ともに良好なものであるが、前記透明導電
性薄膜を形成するには、400℃以上の高温が必要であ
り、よって、プラスチックなどの熱に弱い基板には適用
できないなどの問題があった。
【0007】一方、導電性材料として、Agなどの金属
材料を用いた透明導電性薄膜の成膜に関しても検討され
ている。しかしながら、前記金属材料を用いた透明導電
性薄膜の成膜例は極めて希で、いくつかの試みにおいて
も、透明性と導電性を両立させた膜はまだ得られていな
い。これは、導電性のよい金属材料を用いるにしても、
粒子間の接触抵抗は考慮しなければならず、このため、
必要な導電性を得るには、前記金属材料からなる金属導
電膜をある程度厚くしなければならず、結果として、透
明性が失われてしまうからである。
【0008】このように、塗布法による透明導電性薄膜
の形成は、コストが安く、熟練した技術が必要ないなど
の利点を有するものの、導電性と透明性との両立が困難
であるか、あるいは、その使用用途が狭い、基材として
用いることのできる材料が限定されるなどの問題があっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの事
情に鑑みてなされたものであって、透明性、導電性およ
び汎用性に優れた透明導電性薄膜形成用塗布液、および
これを用いた透明導電性薄膜の製法、および前記透明導
電性薄膜を有する表面導電性物品を提供することを目的
としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的は、金属塩溶
液に、粒径5〜100nmの導電性微粒子を分散させて
なることを特徴とする透明導電性薄膜形成用塗布液によ
り解決できる。また、前記導電性微粒子が、金属酸化物
系微粒子、または、表面が金属元素でコートされた金属
元素コート微粒子であることが好ましい。さらに、導電
性微粒子が、金属酸化物系微粒子および表面が金属元素
でコートされた金属元素コート微粒子であってもよい。
また、上記金属塩を構成する金属元素が、化学的または
物理的処理法により、溶液中から析出可能なもので、例
えば、Au、Ag、Pt、Cu、Ni、Pb、Co、C
d、Pd、Rh、Ru、Snの群から選ばれる1種以上
であることが好ましい。前記透明導電性薄膜形成用塗布
液を用いた透明導電性薄膜は、透明導電性薄膜形成用塗
布液を基板上に塗布し、これに化学的または物理的処理
を施し、金属塩から金属元素を析出させることによって
得ることができる。さらに、透明なバインダーを塗布
し、保護膜を形成してもよい。また、本発明の表面導電
性物品は、少なくともその一部に前記製法からなる透明
導電性薄膜を形成することによって得ることができる。
【0011】次に、本発明の透明導電性薄膜形成用塗布
液について詳しく説明する。この透明導電性薄膜形成用
塗布液は、金属塩溶液中に導電性微粒子が分散してなる
ものである。前記導電性微粒子の粒径は5〜100n
m、特に5〜10nmであることが好ましい。これは、
粒径が100nmを越えると可視光の散乱が増大し、こ
の溶液を用いて得られた膜の透明度が低下するからであ
り、一方5nm未満であると、金属塩溶液中に一次分散
をさせることが困難になり、かつ、各微粒子間の界面で
の抵抗が無視できなくなるからである。
【0012】前記導電性微粒子は、金属酸化物系微粒
子、または表面が金属元素でコートされた、金属元素コ
ート微粒子であることが好ましい。また、前記導電性微
粒子が、金属酸化物系微粒子および金属元素コート微粒
子であってもよい。
【0013】前記金属酸化物系微粒子としては、100
S/cm以上の導電性を有するものであれば任意であ
り、例えば酸化インジウム、酸化スズ、スズ含有インジ
ウム、アンチモン含有酸化スズ、アルミニウム含有酸化
亜鉛などが挙げられる。
【0014】前記表面が金属元素でコートされた微粒子
とは、導電性が低いか、全く導電性を持たない微粒子
に、導電性を付与するために、その表面を任意の金属で
コートしたものである。前記導電性が低いか、全く導電
性を持たない微粒子としては、ガラス微粉、微粒子状の
雲母、酸化チタンなど、任意のものを用いることができ
る。さらに、これらの微粒子の表面をコートする金属と
しては、前記金属塩溶液中に存在している金属塩が電
離、イオン化していない場合は任意であるが、前記金属
塩が、イオン化している場合は、そのイオンとの反応を
避けるため、Ag、Au、Ptなどイオン化傾向の低い
金属を用いることが好ましく、特に、前記金属元素のう
ち、コストなどの点から、Agであることが好ましい。
【0015】このような金属元素コート微粒子を得るに
は、前記導電性が低いかあるいは全く導電性を持たない
微粒子を、任意の方法で表面処理することによって得る
ことができる。例えば、硝酸銀水溶液中に、導電性を有
しない微粒子を分散させ、これを数分から数時間、攪拌
しながら加熱するなどの方法が挙げられる。
【0016】また、前記金属塩としては、可視光下、室
温で安定に、金属塩として溶液中に存在するか、また
は、その一部が還元されて導電性微粒子の表面にその分
散性を損なわない範囲で析出する程度に安定であれば特
にその種類は限定されず、硝酸塩、塩化物塩、有機金属
塩などのなかから任意のものを選ぶことができる。具体
的には、ジアンミン銀硝酸塩、硝酸銅、塩化ニッケル、
クロロ金酸塩、塩化パラジウムなどが挙げられる。これ
らは、1種類、あるいは2種類以上を混合して用いるこ
とができる。
【0017】また、前記金属塩に含有される金属元素と
しては、還元などの化学的な処理方法、または、エネル
ギー線の照射などの物理的処理方法を用いることによっ
て、金属として析出できるものであれば任意であり、例
えば、Au、Ag、Pt、Cu、Ni、Pb、Co、C
d、Pd、Rh、Ru、Snなどの中から1種類以上が
選ばれる。また、前記金属元素の中でも、特に化学的に
安定な、Au、Ag、Pt、Cuが好ましい。
【0018】さらに、前記金属塩溶液中の金属元素は、
0.01〜5重量%、好ましくは、0.1〜2重量%と
なるように、金属塩が配合されているものが好ましい。
これは、5重量%を越えると、これを用いて作製された
透明導電性薄膜の透明性が低下するからであり、一方
0.01重量%未満であると、前記透明導電性薄膜の導
電性に劣るからである。
【0019】このような透明導電性薄膜形成用塗布液
は、上述した金属塩溶液に、導電性微粒子を分散するこ
とで得ることができる。このとき、超音波分散機やホモ
ジナイザーなどの分散機を用いれば、より一層分散状態
を良好なものとできる。
【0020】また、前記導電性微粒子は、前記金属塩溶
液中の金属元素1重量部に対して、1〜99重量部、好
ましくは4〜20重量部となるように配合される。これ
は、99重量部を越えると、透明導電性薄膜形成用塗布
液中に占める金属元素の割合が小さくなり、これによっ
て得られる透明導電性薄膜の導電性が劣るからであり、
また1重量部未満であると透明導電性薄膜形成用塗布液
中の金属元素の割合が大きくなり、前記透明導電性薄膜
の透明性の低下の原因となるからである。
【0021】次に、前記透明導電性薄膜の製法の一例を
説明する。まず、基板上に前記透明導電性薄膜形成用塗
布液をスピンコート法、ディップコート法などの任意の
方法で塗布し、これを硬化させて基板上に塗布膜を形成
させる。前記基板としては、特に種類は限定されず、ガ
ラス、プラスチックなど任意のものを用いることができ
る。
【0022】ついで、前記塗布膜に化学的または物理的
処理を施し、塗布膜中に金属元素を析出させ、導電膜を
得る。これは、透明導電性薄膜形成用塗布液中で金属元
素を析出させると、前記金属元素が塗布時に粒子状とな
り、その結果、透明性、導電性の両方に優れた薄膜を形
成することができないからである。一方、金属元素を透
明導電性薄膜形成用塗布液中ではなく、塗布膜中でマト
リックスの形で析出させると、金属元素内の粒界抵抗を
大きく減少させることができるため、透明性、導電性に
良好なものとすることができるからである。
【0023】また、前記化学的、物理的処理法として
は、塗布膜中の金属元素を安定に析出できるものであれ
ば任意であり、X線や紫外線などの電磁波・エネルギー
線の照射や、還元雰囲気中での熱処理や、還元剤溶液を
用いた方法などが利用できる。
【0024】例えば、前記還元剤溶液を用いた方法の一
例として、塗布膜形成後、前記塗布膜を任意時間還元剤
溶液中に浸漬し、ついで、このものを還元剤溶液中から
取り出し、任意時間放置し、さらに洗浄するなどの方法
が挙げられる。この際用いられる還元剤溶液としては、
導電膜中に析出した金属元素と反応しないものであれば
任意であり、例えば、酒石酸カリウムナトリウム、炭酸
水素ナトリウム、水酸化ナトリウムを含有したホルムア
ルデヒド水溶液、ジ亜リン酸ナトリウム、塩化アンモニ
ウムを含有したアンモニア水等を挙げることができる。
【0025】また、前記塗布膜にX線や紫外線などの電
磁波・エネルギー線を照射する場合は、析出効率を向上
させるため、あらかじめ、透明導電性薄膜形成用塗布液
に還元剤を添加しておくことが好ましい。前記還元剤と
しては、透明導電性薄膜形成用塗布液の保存中に塗布液
中の金属元素と顕著に反応しないものであれば任意であ
り、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコー
ル、これらの誘導体、各種アルキルアミンなどを挙げる
ことができる。これは、金属元素との反応性が高いもの
を使用した場合、塗布する以前に透明導電性薄膜形成用
塗布液中で金属元素が析出し、塗布液中の微粒子の分散
性を悪化させたり、導電膜中に析出する金属元素の量が
不足し、所望の導電性が得られない可能性があるからで
ある。
【0026】前記還元剤は、金属塩溶液中に導電性微粒
子とともに混合し、超音波分散機やホモジナイザーなど
の分散機を用いて分散させることにより、良好な分散状
態を維持できる。
【0027】このようにして得られた導電膜が、この例
における透明導電性薄膜であり、この透明導電性薄膜
は、前記透明導電性薄膜形成用塗布液が基板上に塗布さ
れ、さらにこれが硬化してなるものであり、金属元素よ
りなるマトリックス中に、導電性微粒子が分散して存在
しているものである。
【0028】また、前記透明導電性薄膜の可視光透過率
は、75%以上、特に85%以上であることが好まし
い。また、前記透明導電性薄膜の導電率は、10-6S/
cm以上、特に10-5S/cm以上であることが好まし
い。
【0029】これらは、前記透明導電性薄膜中に存在す
る金属元素と導電性微粒子の存在比によって調節するこ
とができる。一般に、金属元素の存在比が大きいと、導
電性が向上するが、透明性が低下する。よって、この金
属元素の存在比が、50%以下、特に25%以下である
ことが好ましく、この範囲であれば、優れた導電性を維
持しつつ、良好な透明性を有することができる。
【0030】また、前記透明導電性薄膜の膜厚は、使用
用途や得ようとする導電性、透明性、膜強度によって任
意のものとすることができるが、通常は50〜300n
m程度とされる。
【0031】また、本発明の透明導電性薄膜形成用塗布
液、およびこれを用いた透明導電性薄膜の製法は、先の
例に限られるものではなく、透明導電性薄膜形成用塗布
液に添加される添加剤の有無など、具体的な条件は任意
である。例えば、金属塩溶液中の金属塩の安定性を損な
わない範囲内で、分散剤や塗布性改良剤を添加すること
もできる。
【0032】また、前記導電膜のみでは、基板との密着
力が弱く剥がれやすいため、前記導電膜上に透明なバイ
ンダーを、ディップコート法、スピンコート法、スプレ
ー法など任意の方法で塗布し、保護膜を形成させ、この
2層からなるものを透明導電性薄膜としてもよい。前記
保護膜を形成することによって、前記析出した金属元素
および導電性微粒子を基板上に固定することができる。
【0033】前記バインダー液としては、特に種類は限
定されず、既に析出している金属元素を侵すことなく、
所定の強度が得られるものであれば任意のものを使用す
ることができる。例えば、ゾルーゲル法を応用したシリ
コンのアルコキシドの加水分解液や、熱硬化型樹脂、紫
外線硬化型樹脂などが挙げられる。
【0034】このような保護膜を形成することによっ
て、透明導電性薄膜全体の膜強度を向上させるばかりで
なく、導電膜中に存在する金属元素の酸化を防止し、さ
らに導電膜と保護膜の屈折率および膜厚を調節すること
により、可視光領域での反射防止機能を付与することも
できる。
【0035】次に、本発明の表面導電性物品について説
明する。この表面導電性物品は、基板上の少なくとも一
部に、前記透明導電性薄膜が形成されたものである。前
記基板としては、ガラス、プラスチックなど任意のもの
を用いることができる。また、本発明の表面導電性物品
は、前記透明導電性薄膜形成用塗布液を基板上に塗布し
て得ることができるものであるので、基板の面積につい
ても、100cm2 以上の大型のものを用いることがで
きる。
【0036】さらに、前記表面導電性物品は、導電膜上
に前記保護膜が形成された透明導電性薄膜を有するもの
であることが好ましい。これは、表面導電性物品の使用
用途によっては、厳しい環境下で使用される可能性があ
り、このような場合でも、透明性および導電性に優れた
状態を長期間にわたって維持できるよう、金属元素の酸
化や、基板からの導電膜の剥離を防止するためである。
【0037】このような表面導電性物品としては、例え
ば、ブラウン管がある。前記ブラウン管は、その表面が
帯電防止され、受像時にブラウン管より発せられる電磁
波を遮蔽することができる。
【0038】この他にも、熱遮蔽性が付与された建材用
ガラスが挙げられる。この場合は、従来法による透明導
電性薄膜と比較して、熱線遮蔽率がほぼ同様で、かつ、
透明であることにより、意匠性に優れ、しかも、金属薄
膜よりなる熱線遮蔽膜と比較して表面抵抗が高く、さら
に電波反射能が低く、付近の建物への電波障害が起こり
にくいガラスとなる。また、本発明の表面導電性物品と
しては、さらに、透明電極などが挙げられるが、これら
の例に限られるものではない。
【0039】このような透明導電性薄膜形成用塗布液で
は、金属塩溶液中に、粒径5〜100nmの導電性微粒
子を分散させてなるものであるので、前記金属塩を構成
する金属元素による導電性と、導電性微粒子による透明
性と導電性とが融合するため、これを用いて成膜した際
に、導電性および透明性に優れた透明導電性薄膜を得る
ことができる。
【0040】また、前記透明導電性薄膜の製法は、透明
導電性薄膜形成用塗布液を基板上に塗布して後、化学的
または物理的方法により、金属塩中の金属元素を析出す
るものであるので、金属元素内の粒界抵抗が低減される
ため、導電性および透明性を良好なまま維持することが
できる。さらに、透明なバインダーからなる保護膜を形
成した場合は、金属元素の酸化や導電膜の基板からの剥
離が防止でき、かつ、膜強度の強いものとなる。また、
本発明においては、塗布法を用いているので、基板の大
きさを選ばず、簡便で、かつ低コストである。また、前
記製法からなる透明導電性薄膜を有する表面導電性物品
は、汎用性が高く、その優れた透明性、導電性を長時間
にわたって維持できる。
【0041】以下、具体例を示し、本発明の効果を明ら
かにする。 (実施例1)銀金属に換算して0.2重量%になるよう
な濃度のジアンミン銀硝酸塩の水溶液を作製し、さら
に、これに、粒径が6〜10nmで、導電性が100
/cmのアンチモン含有酸化スズ微粒子が、1.8重量
%となるように分散させた金属塩溶液を作製した。この
金属塩溶液にさらに還元剤として、2−メトキシエタノ
ールを2重量%、塗布性改良用界面活性剤として信越シ
リコーン株式会社のKF618を0.006重量%添加
して、透明導電性薄膜形成用塗布液(以下、塗布液Aと
略す)を作製した。
【0042】ついで、前記塗布液Aを、よく洗浄したガ
ラス基板上にスピンコート法によって塗布して塗布膜と
した。さらに、このものに対して、高圧水銀灯を用いて
約110W/cmのエネルギー量で2分間紫外線照射を
行い、塗布膜中に銀金属を析出せしめ、導電膜とした。
ついで、前記導電膜上にシリカバインダーコーティング
液(以下、塗布液Bと略す)をスピンコート法によって
塗布し、風乾後、空気中で160℃の熱処理を行い、硬
化せしめて透明導電性薄膜を得た。
【0043】(実施例2)銀溶液に換算して1重量%に
なるような濃度のジアンミン銀硝酸塩の水溶液を作製
し、これに、粒径が10〜20nmのコロイダルシリカ
が1重量%になるように分散させた溶液を作製した。こ
れを70℃で約1時間攪拌することにより、表面が銀で
コートされたコロイダルシリカが分散した溶液を作製し
た。このものに、さらに、還元剤としてエチレングリコ
ールを2重量%、塗布性改良用界面活性剤として信越シ
リコーン株式会社のKF618を0.006重量%添加
して、透明導電性薄膜形成用塗布液(以下、塗布液Cと
略す)を作製した。ついで、前記塗布液Cを、実施例1
の塗布液Aと同様の方法で、塗布、銀金属の析出操作を
行い、さらに、得られた導電膜上に塗布液Bを塗布、硬
化せしめて透明導電性薄膜を得た。
【0044】(実施例3)前記実施例1における塗布液
Aと、実施例2における塗布液Cを1:1に混合した溶
液を調整して透明導電性薄膜形成用塗布液とし、これを
実施例1および実施例2と同様の方法で、塗布、銀金属
の検出操作を行い、さらに、得られた導電膜上に塗布液
Bを塗布、硬化せしめて透明導電性薄膜を得た。
【0045】(実施例4)銅金属に換算して0.2重量
%になるような濃度の硝酸銅の水溶液を作製し、これ
に、さらに、粒径が6〜10nmで、導電性が100
/cmのアンチモン含有酸化スズ微粒子が1.8重量%
となるように分散させた溶液(以下、塗布液D)を作製
した。ついで、この塗布液Dに、塗布性改良用界面活性
剤として信越シリコーン株式会社のKF355Aを0.
01重量%添加した後に、これをディップコート法によ
り、よく洗浄したガラス基板上に塗布し、風乾した。
【0046】一方、酒石酸カリウムナトリウムを3重量
%、炭酸水素ナトリウムを1重量%、水酸化ナトリウム
を2重量%、37重量%ホルムアルデヒド水溶液を10
重量%からなる組成を持つ水溶液(還元剤E)を作製
し、前記の塗布、風乾したガラス基板をこの還元液Eに
浸漬し、室温にて30分保持した。この後、前記基板を
純水で洗浄し、導電膜とした。次に、前記導電膜上に塗
布液Bをディップコート法により塗布した後、風乾し、
空気中で160℃の熱処理を行い、硬化せしめて透明導
電性薄膜を得た。
【0047】(実施例5)ニッケル金属に換算して0.
2重量%になるような濃度の塩化ニッケルの水溶液を作
製し、これに、さらに、前記アンチモン含有酸化スズ微
粒子が1.8重量%となるように分散した溶液(以下、
塗布液Fと略す)を作製した。前記塗布液Fに、さら
に、塗布性改良用界面活性剤として信越シリコーン株式
会社のKF355Aを0.01重量%添加した後、この
ものをディップコート法により、よく洗浄したガラス基
板上に塗布し、風乾した。
【0048】一方、ジ亜リン酸ナトリウムを1重量%、
塩化アンモニウムを5重量%を含む水溶液に、アンモニ
ア水を添加してpHを8〜10に調整した水溶液(還元
剤G)を作製し、前記の塗布、風乾したガラス基板をこ
の還元液Gに浸漬し、室温にて30分保持した。この
後、前記基板を純水で洗浄し、導電膜とした。次に、前
記導電膜上に、塗布液Bをディップコート法により塗布
した後、風乾し、空気中で160℃の熱処理を行い、硬
化せしめて透明導電性薄膜を得た。
【0049】(比較例1)アンチモン含有酸化スズ微粒
子を含まない以外は、塗布液Aと同じ組成で、銀金属に
換算して2.0重量%になるような濃度のジアンミン銀
硝酸塩のみを含む溶液を作製し、実施例1と同様にして
透明導電性薄膜を作製した。
【0050】(比較例2)コロイダルシリカを含まない
以外は、塗布液Cと同じ組成で、銀金属に換算して2.
0重量%になるような濃度のジアンミン銀硝酸塩のみを
含む溶液を作製し、実施例2と同様にして透明導電性薄
膜を作製した。
【0051】(比較例3)銀を含まず、アンチモン含有
酸化スズのみを含む他は、塗布液Aと同じ組成の溶液を
作製し、実施例1と同様にして透明導電性薄膜を作製し
た。
【0052】(比較例4)塗布液Aに、強力な還元剤と
して37重量%ホルムアルデヒド水溶液を、2重量%添
加した溶液を作製した他は、実施例1と同様にして透明
導電性薄膜を作製した。
【0053】(比較例5)アンチモン含有酸化スズ微粒
子を含まない以外は、塗布液Dと同じ組成で、銅金属に
換算して2.0重量%になるような濃度の硝酸銅のみを
含む溶液を作製し、実施例4と同様にして透明導電性薄
膜を作製した。
【0054】(比較例6)アンチモン含有酸化スズ微粒
子を含まない以外は、塗布液Fと同じ組成で、ニッケル
金属に換算して2.0重量%になるような濃度の塩化ニ
ッケルのみを含む溶液を作製し、実施例5と同様にして
透明導電性薄膜を作製した。
【0055】(試験例)以上の実施例1ないし実施例
5、および比較例1ないし比較例6により得られた透明
導電性薄膜について、その品質を評価するため、以下の
測定を行った。結果を表1に示す。また、導電性は表面
抵抗率を調査することにより評価でき、この値が小さい
ものほど導電性が良好であるといえる。この表面抵抗率
は、三菱油化株式会社製の「ロレスタAP」を用いて4
探針法により測定した。また、透明性は、全光透過率お
よびヘーズ値を調査することにより評価でき、全光透過
率は大きいほど、ヘーズ値は小さいほど透明性が良好で
あるといえる。この全光透過率、およびヘーズ値は、J
ISーK6718に準拠する積分球方式にて東京電色株
式会社製の「Automatic Haze Meter TC-HIIIDP」を用い
て測定した。さらに、膜強度は鉛筆硬度試験の結果によ
り評価でき、この値が大きい程、強固な膜であるという
ことがいえる。この値は、太平理科株式会社製の鉛筆強
度試験器を用いて測定した。
【0056】
【表1】
【0057】表1から明らかなように、本発明の透明導
電性薄膜は、比較例のものに比べて、透明性、導電性の
いずれも良好で、かつ、膜強度の強いものである。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の透明導電
性薄膜形成用塗布液は、金属塩溶液中に、導電性微粒子
が分散してなるものであるので、これを塗布し、その後
に金属元素を析出させることにより、金属元素の持つ導
電性と、導電性微粒子の持つ透明性とを兼ね備えた、高
導電性、かつ、高透明性なる、透明導電性薄膜を得るこ
とができる。さらに、このものの上に、バインダーを塗
布、硬化させることにより、金属元素および導電性微粒
子の基板への固定度、透明導電性薄膜自体の膜強度を高
めることができる。よって、本発明の透明導電性薄膜
は、帯電防止用途に留まらず、CRTや建材ガラス用の
電磁波遮蔽膜や透明熱線遮蔽膜、または透明電極などに
用いることができ、汎用性が高く、工業的利用価値の高
いものである。さらに、簡便で、低コストで成膜できる
などの効果も得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 13/00 503 C

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属塩溶液に、粒径5〜100nmの導
    電性微粒子を分散させてなることを特徴とする透明導電
    性薄膜形成用塗布液。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の透明導電性薄膜形成用塗
    布液において、導電性微粒子が、金属酸化物系微粒子で
    あることを特徴とする透明導電性薄膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の透明導電性薄膜形成用塗
    布液において、導電性微粒子が、その表面が金属元素で
    コートされた、金属元素コート微粒子であることを特徴
    とする透明導電性薄膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の透明導電性薄膜形成用塗
    布液において、導電性微粒子が、金属酸化物系微粒子お
    よび表面が金属元素でコートされた金属元素コート微粒
    子であることを特徴とする透明導電性薄膜形成用塗布
    液。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の透明導電性薄膜形成用塗
    布液において、上記金属塩を構成する金属元素が、化学
    的または物理的処理法により、溶液中から析出可能なも
    のであることを特徴とする透明導電性薄膜形成用塗布
    液。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の透明導電性薄膜形成用塗
    布液において、上記金属元素が、Au、Ag、Pt、C
    u、Ni、Pb、Co、Cd、Pd、Rh、Ru、Sn
    の群から選ばれる1種以上であることを特徴とする透明
    導電性薄膜形成用塗布液。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6に記載の透明導電性薄
    膜形成用塗布液を基板に塗布し、化学的または物理的処
    理を施し、上記金属塩から金属を析出させることを特徴
    とする透明導電性薄膜の製法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし6に記載の透明導電性薄
    膜形成用塗布液を基板に塗布し、化学的または物理的処
    理を施し、上記金属塩から金属を析出させ、ついで、こ
    の上に透明なバインダーを塗布することを特徴とする透
    明導電性薄膜の製法。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の製法により得られた透明
    導電性薄膜を有することを特徴とする表面導電性物品。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の製法により得られた透
    明導電性薄膜を有することを特徴とする表面導電性物
    品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6726330B2 (en) 2000-06-28 2004-04-27 Seiko Epson Corporation Electro-optical apparatus and projector

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