JP3402215B2 - 導電膜形成用塗布液および導電膜 - Google Patents

導電膜形成用塗布液および導電膜

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JP3402215B2
JP3402215B2 JP26196098A JP26196098A JP3402215B2 JP 3402215 B2 JP3402215 B2 JP 3402215B2 JP 26196098 A JP26196098 A JP 26196098A JP 26196098 A JP26196098 A JP 26196098A JP 3402215 B2 JP3402215 B2 JP 3402215B2
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film
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トモ子 岡
年治 林
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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TV、コンピュー
タのブラウン管、CRTをはじめとする各種の画像ディ
スプレイ装置の画像表示部に、静電気帯電防止性と、紫
外線、赤外線を含めた電磁波シールド性、を付与する透
明導電膜、およびさらに防眩性も付与することができる
多層低反射性導電膜、を形成するための導電膜形成用塗
布液と、それを用いた成膜方法および成膜された導電膜
に関する。
【0002】
【従来の技術】高屈折率の透明導電膜からなる下層の上
に、低屈折率の透明被膜 (例、シリカ質被膜) からなる
上層を設けた2層膜により、TVのブラウン管やコンピ
ュータのCRTに帯電防止性と防眩性 (外部光の映り込
みの防止) を付与できることが知られている。透明導電
膜をITO (錫ドープ酸化インジウム) やATO (アン
チモンドープ酸化錫) といった半導体性の微粉末から形
成した上記の2層膜が、例えば特開平5−290634号、6
−12920 号公報等に開示されている。
【0003】近年、ブラウン管やCRTから出る電磁波
が人体に及ぼす悪影響、外部電磁波によるコンピュータ
の誤作動等が問題となり、低周波の漏洩電磁波に対する
規格が各国で制定されるようになってきた。そのため、
ブラウン管やCRTに対する電磁波シールド性の付与が
求められている。電磁波シールド性を付与するには、表
面抵抗が 102〜103 Ω/□台という低抵抗の導電膜を、
基体であるブラウン管やCRTの表面に形成する必要が
ある。上述した2層膜は、下層の透明導電膜の導電性が
低いので、このような低抵抗を達成することは困難であ
る。
【0004】そこで、上記2層膜の下層の透明導電膜
を、平均一次粒子径0.2 μm (200 nm)以下、場合によっ
ては0.05μm (50 nm) 以下という金属微粒子から形成し
て低抵抗化を図ることにより、電磁波シールド性と帯電
防止性と防眩性のすべてを満たそうとする試みがなされ
た。例えば、特開平8−77832 号、9−115438号、9−
331183号、10−74772 号、10−154473号各公報を参照。
金属微粒子としては、導電性を考慮して、主に貴金属、
中でもAgの微粒子を用いることが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】平均一次粒子径が200
nm以下という粒径はコロイド領域である。即ち、このよ
うな粒径の金属微粒子を含有する分散液は金属コロイド
である。金属コロイドは、疎水コロイドであって、分散
質である金属微粒子と分散媒である水との間の親和性に
乏しいため、熱力学的に不安定で、電解質が存在すると
凝集を起こし易い。そこで、疎水コロイドを安定化させ
る作用を有する保護コロイド(水溶性高分子などの親水
性コロイド)を大量に添加して金属コロイドを安定化さ
せる必要がある。
【0006】金属コロイドが大量の保護コロイドを含ん
でいると、これを透明導電膜の形成に用いる場合に、導
電性を持たない有機物である保護コロイドが導電性を妨
害する。そのため、透明導電膜形成時の焼付け温度を、
有機物が完全に分解・消失するような高温(例、350 ℃
以上) にしない限り、電磁波シールドに十分な導電性を
得ることが困難となる。しかし、このような高い焼付け
温度は、例えば、TVやコンピュータのブラウン管また
はCRT管に適用する場合には、蛍光体の脱落、真空圧
力の変化、寸法精度、酸性ガス発生による電子銃の腐食
等を生じるため採用できない。
【0007】金属塩の水溶液を還元剤と反応させて金属
コロイドを製造することは100 年以上前から知られてい
るが、1889年にCarey Lea が発表した方法 (M. Carey L
ea,American Journal of Science, 37:491, 1989)を除
くと、いずれも金属コロイドの安定化のために大量の保
護コロイドを使用する。
【0008】Carey Lea の方法は、クエン酸ナトリウム
水溶液と硫酸第一鉄水溶液とを混合して、クエン酸イオ
ンと第一鉄イオンを含有する還元剤の水溶液 (即ち、硫
酸第一鉄の水溶液) を調製し、この還元剤の水溶液を硝
酸銀水溶液と混合して硝酸銀を還元することにより、銀
コロイドを得る方法である。クエン酸イオンが銀微粒子
に吸着されたコロイドを安定化させるため、高分子の保
護コロイドを添加しなくても、銀コロイドは安定に保持
される。
【0009】特開平10−66861 号公報には、このCarey
Lea の方法により調製した粒径1〜100 nmの銀コロイド
からなる透明導電膜用コーティング材と、さらにバイン
ダーを含有する透明導電膜用コーティング材が記載され
ている。
【0010】しかし、上記のCarey Lea の方法や特開平
10−66861 号公報に開示された方法で調製した銀コロイ
ドを利用して上記の2層膜を形成しても、温度や湿度な
どの外的要因により、下層の透明導電膜中の金属微粒子
が粒子形態の変化を受けやすく、導電性が安定せず、場
合によっては膜の剥がれが起こることが判明した。導電
性の安定化のために、金属微粒子を隙間なく敷きつめる
と透明性が大きく低下したり、膜の密着性が著しく低下
し、実用に耐えなくなる。
【0011】このように従来の銀コロイドを用いた透明
導電膜は、耐熱性、耐湿性、耐薬品性、耐候性 (耐紫外
線性) といった耐久性が必ずしも十分ではなく、例え
ば、ブラウン管等の上で経年劣化して膜の電気抵抗が次
第に増大し、透明導電膜に要求される特性、特に電磁波
シールド機能を果たせなくなる恐れがあり、膜が剥離す
る場合もある。
【0012】本発明は、銀コロイドを用いた透明導電膜
の上記の問題点を解消すること、即ち、この透明導電膜
より耐熱性、耐湿性、耐薬品性、耐候性に優れた透明導
電膜を形成することができる導電膜形成用塗布液と、こ
れから形成された低抵抗の導電膜、特に上記の低反射性
の2層膜を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、銀コロイ
ドから形成した透明導電膜の耐久性が、パラジウムの混
合、即ち、Ag−Pd微粒子を含有する金属コロイドの使用
によって著しく改善されることを見出した。しかし、上
記のCarey Lea の方法に従ってAgとPdの微粒子を含有す
る金属コロイドを調製すると、AgとPdが別々に析出した
金属コロイドが生成し、この金属コロイドを塗布液とし
て用いた場合に、成膜中または焼付け中に金属微粒子が
動いて同じ金属種の微粒子同士が集まり易く、AgとPdが
不均一に分布した膜が生成する傾向がある。そうなる
と、耐久性の向上は得られない上、膜特性が膜の部位で
変化するので、安定した品質の透明導電膜を形成するこ
とができないことがわかった。
【0014】そこで、Carey Lea の銀コロイドの製造方
法をベースにして、2種類の金属を含む金属微粒子を含
有する金属コロイドの製造について研究を重ねた結果、
還元剤の水溶液と還元すべき金属塩の水溶液とを混合す
る際の反応条件が反応結果に大きく影響し、この混合を
不活性ガス雰囲気のような酸素を実質的に含有しない雰
囲気中で行うと、2種類の金属 (例、AgとPd) が混ざり
合って析出し、合金化金属微粒子を含有する金属コロイ
ドが得られることを見出した。
【0015】この方法で得られた金属コロイド中のAg−
Pd微粒子は、AgとPdが合金化していて、どの微粒子も実
質的に同じ金属組成比を有するため、この金属コロイド
を用いて成膜した場合に、膜のどの部位でもAgとPdが均
一に分布した導電膜を確実に得ることができる。なお、
この金属コロイドの金属微粒子中でAgとPdが合金化して
いることは、金属コロイドを異なる重力加速度で遠心分
離した時に、どの重力加速度でも上液と沈殿とで金属組
成比が実質的に同一 (差異が6%以内) であることによ
り確かめられる。
【0016】この方法は、2種類の金属がAgとPd以外の
場合でも、同様に合金化した金属微粒子を得ることがで
き、また金属が3種類以上であってもよい。さらに、析
出した金属微粒子が非常に微細で、粒度がよく揃ってい
る (バラツキが少ない) 。この効果は金属が1種類でも
得られる。即ち、この金属コロイドの製造方法は、全て
の貴金属種 (Au、Pt、Ir、Pd、Ag、Rh、Ru、Os) ならび
にReおよびCuの1種もしくは2種以上からなる金属微粒
子を含有する金属コロイドの製造に適用することができ
る。
【0017】ここに、本発明は、銀塩およびパラジウム
塩を含有する水溶液(A) と、クエン酸イオンおよび第一
鉄イオンとを含有する水溶液(B) とを、実質的に酸素を
含まない雰囲気中で混合することにより析出させたAg−
Pd微粒子を水および/または有機溶媒中に含有すること
を特徴とする、導電膜形成用塗布液である。
【0018】好ましくは、(1) 該Ag−Pd微粒子が、析出
後に脱塩処理されたものであり、(2) (B) 液が実質的に
酸素を含まない雰囲気中で調製されたものであり、(3)
(B) 液が、(A) 液中の金属イオンの総原子価数に対して
それぞれ1〜5倍モルの範囲の量のクエン酸イオンと第
一鉄イオンとを含有する、pH3〜10の溶液であり、(4)
(A) 液と(B) 液の混合が、25〜95℃の温度で攪拌しなが
ら、混合後に最終pH3〜9、化学量論的金属生成量が2
〜60 g/Lの混合液が得られるように行われ、および/ま
たは(5) (A) 液が、Pd/(Pd+Ag)重量比が 0.001以上、1
未満であって、平均一次粒子径が1〜15 nm の範囲内で
ある。
【0019】別の側面からは、本発明は、水および/ま
たは有機溶媒中にAg−Pd微粒子を含有する導電膜形成用
塗布液であって、この分散液を異なる2以上の重力加速
度で遠心分離した時に、どの重力加速度でも上液と沈殿
とで金属組成比が実質的に同一 (差異が6%以内) であ
ることを特徴とする、導電膜形成用塗布液である。
【0020】上述した本発明の導電膜形成用塗布液は、
無機系バインダーおよび/または有機系バインダー成分
を含有していても、含有していなくてもよく、好ましく
はpHが 3.2〜8.0 、電気伝導率が2.0 mS/cm 以下、金属
含有量が 0.1〜10重量%の範囲内である。
【0021】本発明によればまた、バインダー成分を含
有していない本発明の導電膜形成用塗布液の基体への塗
布と乾燥によりAg−Pd微粒子膜を形成した後、その上に
バインダー含有溶液、好ましくはシリカ前駆体を含有す
る溶液、の塗布と乾燥により透明上層を形成することか
らなる多層低抵抗導電膜の成膜方法も提供される。
【0022】本発明によればまた、上記の導電膜形成用
塗布液から形成されたAg−Pd微粒子を含む下層と、下層
より屈折率の低い透明被膜、好ましくはシリカ質被膜、
からなる上層という2層構造を有する、基体上に形成さ
れた耐久性に優れた多層低反射低抵抗導電膜も提供され
る。好ましくは、この基体は、画像ディスプレイ装置の
画像表示部である。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明では、上述したCarey Lea
の金属コロイドの製造方法をベースとする改良方法で金
属微粒子を製造する。まず、析出させようとする銀とパ
ラジウムの塩を含有する水溶液(A)(以下、(A) 液) を調
製する。金属塩としては、還元剤で容易に金属に還元さ
れる水溶性の金属塩が好ましい。使用できる好ましい銀
塩としては、硝酸銀、亜硝酸銀、塩化銀が例示され、パ
ラジウム塩としては、塩化パラジウム、四塩化パラジウ
ムアンモニウム、六塩化パラジウムカリウム、酢酸パラ
ジウム、硝酸パラジウムが例示される。(A) 液中の銀塩
とパラジウム塩の割合は、Pd/(Pd+Ag)重量比が0.001 以
上、1未満であることが好ましく、より好ましくは0.15
〜0.6 の範囲内である。
【0024】別に還元剤の水溶液(B)(以下、(B) 液) を
調製する。この還元剤の水溶液は、クエン酸イオンと第
一鉄イオン (即ち、クエン酸第一鉄) を含有する水溶液
である。クエン酸第一鉄は一水和物の結晶として得られ
るが、この結晶は水溶性が低いので、水溶液の調製には
不適である。そのため、Carey Lea が採用したように、
クエン酸イオンと第一鉄イオンをそれぞれ別の化合物か
ら供給することが好ましい。即ち、クエン酸イオンはク
エン酸および/またはクエン酸塩から、第一鉄イオンは
第一鉄塩から供給する。
【0025】水溶液を調製するのに適したクエン酸塩と
しては、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、およ
びクエン酸アンモニウムが挙げられ、第一鉄塩として
は、硫酸鉄、硝酸鉄、硫酸アンモニウム鉄、シュウ酸
鉄、および酢酸鉄が挙げられる。但し、これら以外のク
エン酸塩または第一鉄塩も、水溶性や酸性度 (または塩
基性度) が適当であれば、使用可能である。
【0026】クエン酸イオンと第一鉄イオンを含有する
(B) 液は、クエン酸およびクエン酸塩から選ばれた少な
くとも1種のクエン酸化合物の水溶液を調製し、これに
少なくとも1種の第一鉄塩を固体のまま添加することに
より調製できる。或いは、第一鉄塩も水溶液を調製し、
この水溶液をクエン酸化合物の水溶液と混合することに
より、(B) 液を調製してもよい。
【0027】この(B) 液は還元剤として作用するので、
酸化され易い。(A) 液と混合する前の(B) 液の酸化を防
止するため、混合工程に関して後述する「実質的に酸素
を含まない雰囲気」中で(B) 液を調製し、混合工程まで
この雰囲気で保存しておくことが好ましい。
【0028】(A) 液と(B) 液の量、濃度およびpHは次の
条件を満たすことが好ましい。(B)液中のクエン酸イオ
ンと第一鉄イオンの量は、いずれも(A) 液中に含まれる
金属イオン (Agイオン+Pdイオン) の総原子価数に対し
て1〜5倍モルの範囲である。(B) 液のpHは3〜10の範
囲である。(A) 液と(B) 液を混合して反応させた後の最
終pHが3〜9、化学量論的な金属生成量が2〜60 g/Lの
範囲となる。
【0029】上記のように調製した(A) 液と(B) 液を混
合すると、(A) 液中の銀塩とパラジウム塩が(B) 液中の
還元剤(第一鉄イオン)でそれぞれ金属に還元されて、
Ag−Pd微粒子として液中に析出し、金属微粒子分散液、
即ち、金属コロイドが生成する。本発明では、この混合
を、実質的に酸素を含まない雰囲気中で行う。好ましく
は、この混合を、25〜95℃の温度で、攪拌下に、(B) 液
に(A) 液を加えることにより行う。
【0030】この混合は従来は空気中で行われてきた。
その場合、析出させる金属種がAgとPdのように2種であ
ると、各金属種が別々の微粒子として析出する。その結
果、生成した金属微粒子分散液を異なる2以上の重力加
速度(例、500 、1000、1500×G) で遠心分離した時
に、金属組成比の分析値が上液と沈殿とで一般に異な
り、しかも重力加速度が変化すると、上液と沈殿のいず
れの分析値も変動する。従って、例えば、遠心分離で析
出した金属微粒子を分離する場合、分離された金属微粒
子の金属組成比の予測が困難となり、また遠心分離条件
のわずかな変動で分離された金属微粒子の金属組成比が
変動し、一定した品質の金属微粒子を得ることが非常に
困難である。
【0031】さらに、異種の金属種 (例、AgとPd) が別
々に析出した金属微粒子を含む分散液を塗布液として用
いた場合、成膜中または焼付け中に金属微粒子が動いて
同じ金属種の微粒子同士が集まり易く、各金属が不均一
に分布した膜が生成する傾向がある。そうなると、膜特
性が膜の部位で変化し、安定した品質の導電膜を形成す
ることができない。また、大気中で析出させた金属微粒
子は、酸化物を生じやすく、粒度分布が不均一になる等
のため、分散状態が悪い。その結果、液の保存安定性が
悪く、膜が不均一になるという問題もある。
【0032】本発明に従って、実質的に酸素を含まない
雰囲気中、好ましくは25〜95℃の温度で攪拌下に(A) 液
と(B) 液と混合すると、生成した金属微粒子分散液を上
記のように異なる2以上の重力加速度で遠心分離した時
に、どの重力加速度でも上液と沈殿とで金属組成比の分
析値が実質的に同一 (差異が6%以内、通常は全く同
じ) となる。また、重力加速度を変化させても、金属組
成比の分析値はほとんど変動せず、実質的に同一 (即
ち、変動が6%以内) であり、さらにこの金属組成比の
分析値は、液全体の金属組成比の分析値と実質的に同一
である。このことは、この2種以上の金属種が同じ微粒
子中に一緒に析出し、微粒子内で合金化していることを
意味する。
【0033】従って、遠心分離で析出したAg−Pd微粒子
を分離しても、分離された金属微粒子の金属組成比は液
中の金属組成比と実質的に同じであり、遠心分離条件が
大きく変動しても金属組成比はほとんど変動しないの
で、常に金属組成比がほぼ一定のAg−Pd微粒子を得るこ
とができる。また、得られたAg−Pd微粒子分散液を塗布
液として用いた場合、成膜中または焼付け中に金属微粒
子が動いても、全ての粒子で金属組成比が同じであるた
め、金属組成比は変化せず、常に各金属が均一に分布し
た、安定した品質の導電膜を形成することができる。
【0034】また、金属微粒子の組成が同じであるた
め、Ag−Pd微粒子の粒度のバラツキも非常に少ない。例
えば、Ag−Pd微粒子の平均粒径が5nmである場合、粒子
の大半(90%以上) が3〜7nmという非常に狭い粒度範
囲の粒径を持つ。そのため、前述した成膜時の粒子の動
きも少なくなる。
【0035】(A) 液と(B) 液の混合時の「実質的に酸素
を含まない雰囲気」とは、酸素分圧が0.05 atm以下の雰
囲気を意味する。この雰囲気は、混合を密閉系で行う場
合には、真空または不活性ガス雰囲気により達成するこ
とができる。しかし、一般には混合は開放系で行われる
ので、上記雰囲気は不活性ガス (例、窒素、アルゴン、
ヘリウム) を流通させることにより達成すればよい。経
済性を考慮すると、窒素流通下での混合が好ましい。水
素、水素と不活性ガスとの混合ガスといった還元性ガス
も使用できるが、可燃性であるので、不活性ガスの方が
取扱いが容易である。
【0036】混合時の温度が25℃より低いと前述したAg
とPdの合金化が十分に行われず、空気中で混合した場合
と同様の結果になることがある。混合時の温度の上限は
特に限定されないが、水性系であるので、95℃より高温
で混合するのは、加圧しない限り水の蒸発が多くなり、
困難である。混合時の温度は、より好ましくは30〜80
℃、最も好ましくは35〜60℃である。
【0037】上記の混合は攪拌下に行うことが好まし
い。攪拌速度は特に制限されないが、通常は30〜1000 r
pmの範囲内であろう。攪拌速度や混合時の温度は析出す
るAg−Pd微粒子の粒度に影響し、温度は微粒子の金属組
成比に影響することもあるので、所望の粒度や組成比が
得られるように攪拌速度と温度を決定すればよい。
【0038】混合時間は、銀塩とパラジウム塩の還元が
ほぼ完全に終了するように選択する。通常は5〜120 分
間程度でよい。こうして得られたAg−Pd微粒子分散液
は、そのまま、或いは金属分の濃度調整 (希釈または濃
縮) を行っただけで、適当な用途 (例、塗布液の調製)
に使用することもできる。しかし、液中には、未反応物
や反応生成物として多量の電解質が存在しており、これ
が製品 (例、導電膜) の品質を悪化させることが多い。
【0039】従って、混合で得られた分散液からAg−Pd
微粒子を回収し、適当な脱塩処理を行って付着した電解
質を除去した後、水および/または有機溶媒に再分散
(リパルプ) させることが好ましい。Ag−Pd微粒子の回
収は、その凝集状態にもよるが、沈降分離、ろ過、遠心
分離などの適当な方法で行えばよい。その後の脱塩処理
は、例えば、イオン交換または透析により行うことがで
きる。また、硝酸ナトリウム水溶液を加えて分散してい
る微粒子を凝集させ洗い流し、遠心分離する方法でもよ
い。このような脱塩処理では、Ag−Pd微粒子に吸着され
ているクエン酸イオンは除去されず、このクエン酸イオ
ンがAg−Pd微粒子の分散を安定化させる保護コロイド的
な役割を果たす。脱塩処理したAg−Pd微粒子に、所望の
金属含有量になるように脱イオン水および/または水混
和性有機溶媒(例、アルコール、ケトン、アルコキシア
ルコール等)を加えて、Ag−Pd微粒子を再分散させる。
【0040】こうして脱塩処理した後のAg−Pd微粒子分
散液は、pHが 3.2〜8.0 、電気伝導率が2.0mS/cm以下、
金属含有量が 0.1〜10重量%の範囲内であることが好ま
しい。この範囲外の条件では、分散状態が不安定にな
り、膜特性を劣化させることがある。Ag−Pd微粒子は、
その表面にクエン酸イオンが吸着しており、これが保護
コロイドと同様に分散状態を安定化させる。
【0041】以上に説明した方法は、Ag−Pd微粒子分散
液の製造に限られるものではなく、他の1種もしくは2
種以上の金属、特にAu、Pt、Ir、Pd、Ag、Rh、Ru、Os、
ReおよびCuの1種もしくは2種以上からなる金属微粒子
を含有する金属微粒子分散液の製造にも広く応用でき
る。また、適当な添加剤を使用すると、分散媒は完全に
非水系とすることもできる。
【0042】上記方法により、Ag−Pd微粒子の分散液で
あって、この分散液を異なる2以上の重力加速度で遠心
分離した時に、どの重力加速度でも上液と沈殿とで金属
組成比が実質的に同一 (差異が6%以内) であることを
特徴とする、Ag−Pd微粒子分散液が得られる。Ag−Pd微
粒子の平均一次粒子径は、好ましくは50 nm 以下であ
り、より好ましくは30 nm 以下、最も好ましくは1〜15
nm である。この微粒子の金属組成比は、好ましくはPd
/(Pd+Ag)重量比が0.001 以上、1未満であり、より好ま
しくは0.15〜0.6 の範囲内である。
【0043】このAg−Pd微粒子分散液は、TVやコンピ
ュータのブラウン管に透明導電膜を形成するのに非常に
適しており、Ag微粒子からなる透明導電膜に比べて、耐
熱性、耐湿性、耐薬品性、耐候性 (耐紫外線性) といっ
た耐久性が非常に優れた透明導電膜を形成することがで
きる。
【0044】上記方法で得られたAg−Pd微粒子分散液を
そのまま、或いは適当な方法で濃度調整 (例、水および
/もしくは水溶性有機溶媒の添加、または蒸発) するこ
とにより、本発明に係る導電膜形成用塗布液として用い
ることができる。この塗布液はバインダーを含有してい
ないが、前述した2層膜の下層被膜を形成する場合に
は、バインダーは必要ないので、Ag−Pd微粒子分散液
(即ち、金属コロイド) をそのまま塗布液として使用で
きる。
【0045】バインダーを含有する導電膜形成用塗布液
は、上記方法で得られたAg−Pd微粒子分散液に適当なバ
インダーを混合すればよい。バインダーとしては有機系
と無機系のいずれも使用できる。好ましい有機系バイン
ダーは、分散液の分散媒が水である場合には水性有機樹
脂 (水溶性樹脂およびエマルジョン樹脂、例、アクリル
系、エポキシ系、ウレタン系等) であるが、分散媒を変
えれば油性樹脂も使用可能である。
【0046】無機系バインダーとしては、乾燥または焼
付け後にシリカ質被膜を形成できるもの、例、シリカゾ
ル、アルコキシシランやシランカップリング剤およびそ
の部分加水分解物がある。チタンやジルコニウムのアル
コキシド、チタネートカップリング剤といった、他の金
属酸化物の被膜を形成する無機系バインダーも使用可能
である。
【0047】バインダーを含有する本発明の導電膜形成
用塗布液を基体に塗布し、バインダーに応じて適当な温
度で乾燥および/または焼付けを行うと、Ag−Pd微粒子
を含有する、電磁波シールド性付与に十分な低抵抗を示
す導電膜が得られる。この導電膜は、膜厚が50 nm より
薄ければ、全可視光透過率が50%以上という透明性を備
えているが、外観上は、屈折率の高い金属質被膜に固有
の反射光により透明膜には見えない。従って、この導電
膜は、外観上の透明性を要求されるブラウン管やCRT
などには適用できないが、反射光でも構わない用途、例
えば、窓ガラスや自動車ガラスの帯電防止と電磁波シー
ルド用、透明電極形成用などの用途に有用である。ま
た、この他の用途として、太陽電池、熱線反射用、電波
吸収体等にも広く応用が考えられる。
【0048】ブラウン管やCRTに電磁波シールド性を
付与する場合には、前述した2層膜とすればよい。即
ち、本発明の導電膜形成用塗布液を基体に塗布し、塗膜
を乾燥させて、Ag−Pd微粒子からなる下層の被膜を形成
する。その後、この下層の被膜より屈折率の低い透明被
膜を形成できる適当なバインダー溶液を用いて、オーバ
ーコートを施す。この場合の導電膜形成用塗布液は、バ
インダーを含有していてもよいが、好ましくはバインダ
ーを含有させない。
【0049】即ち、この場合には、前述したAg−Pd微粒
子分散液を、必要であれば濃度調整をした後、そのまま
塗布液として使用し、塗布後に溶媒を蒸発させて、実質
的にAg−Pd微粒子のみからなり、バインダーを含有しな
いAg−Pd微粒子膜を形成する。この塗布は、任意の塗布
法を採用できるが、好ましくはスピンコートにより行
う。
【0050】この下層のAg−Pd微粒子膜の上に、この微
粒子膜より屈折率の低い透明被膜を形成できる適当なバ
インダー溶液をオーバーコートする。この塗布も、例え
ば、スピンコートにより行うことができる。オーバーコ
ートしたバインダー溶液は、下層のAg−Pd微粒子膜の粒
子間の間隙にも浸透し、Ag−Pd微粒子を結合する。浸透
しきれなかった余分の塗布液が下層膜の上にたまり、上
層として低屈折率の透明被膜を形成する。
【0051】下層のAg−Pd微粒子を含有する膜は屈折率
が高く、上層被膜が低屈折率であると、上層被膜の表面
からの反射光が、下層の高屈折率被膜の表面からの反射
光と干渉して反射光が打ち消されて低反射性となるの
で、金属質被膜の固有の反射光が目立たなくなり、低反
射性で低抵抗の、実質的に透明な導電膜となる。
【0052】オーバーコートに用いるバインダーとして
は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、
メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、紫外線
硬化性樹脂等の有機系バインダー、ならびにケイ素、チ
タン、ジルコニウム等の金属アルコキシドもしくはその
加水分解物 (例、シリカゾル) 、シリコーンモノマー、
シリコーンオリゴマー等の無機系バインダーのいずれも
使用できる。
【0053】オーバーコート用の好ましいバインダー
は、乾燥または焼付け後にシリカ質被膜を形成すること
ができるシリカ前駆体である。シリカ前駆体溶液として
は、シリカゾルまたは加水分解性ケイ素化合物 (例、ア
ルコキシシランもしくはその部分加水分解物) の溶液
(溶媒は好ましくはアルコール) が使用できる。シリカ
質被膜は、高硬度で傷つきにくく、透明性 (可視光透過
率) が高い。
【0054】この2層膜の好ましい膜厚は、下層のAg−
Pd微粒子含有膜が50 nm 以下、より好ましくは15〜40 n
m の範囲であり、上層のシリカ質被膜は好ましくは10〜
200nm、より好ましくは50〜150 nmの範囲である。2層
を塗布した後に最後に焼付けを行うが、焼付け温度は蛍
光体の脱落、真空圧力の変化、寸法精度の変化、酸性ガ
ス発生による電子銃の腐食を防止するために、250 ℃以
下、好ましくは200 ℃以下、さらに好ましくは180 ℃以
下とする。本発明の導電膜形成用塗布液は、有機高分子
からなる保護コロイドを含んでいないので、このような
比較的低温での焼付けでも、有機分を実質的に完全に除
去して、電磁波シールドに必要な低抵抗の導電膜を形成
することができる。
【0055】下層の金属微粒子膜を、本発明に係るAg−
Pd微粒子分散液から形成すると、従来のAgコロイドを用
いた場合に比べて、耐食性、耐候性、耐熱性等に優れ、
膜組成が均一で、高い導電性を長期にわたって保持で
き、かつ膜剥離が起こりにくい2層構造の低抵抗、低反
射導電膜を形成することができる。
【0056】具体的には、このAgとPdからなるAg−Pd微
粒子を含む下層とシリカ質の上層からなる2層構造を有
する多層低反射低抵抗導電膜は、初期表面抵抗が 102
103Ω/□台であり、 250℃で24時間の耐熱性試験と、6
0℃、相対湿度80%で10日間の耐湿性試験と、1cmの距
離のブラックライトでの10日間のUV照射による耐候性
試験の各試験後の表面抵抗が、いずれも初期表面抵抗と
ほとんど変化せず、悪くても初期表面抵抗の2倍以下、
好ましくは1.5 倍以下、多くは1.2 倍以下である。ま
た、室温で2%過酸化水素水に5時間浸漬するか、また
は0.1N塩酸に5時間浸漬する耐薬品性試験でも、試験後
の表面抵抗が、上記と同様に初期表面抵抗の2倍以下、
好ましくは1.5 倍以下であり、かつ被膜性状に変化を生
じない。
【0057】従来の空気中で析出させたAg−Pd微粒子を
下層に用いた2層膜では、初期表面抵抗は本発明のもの
と同様に低くても、上記の各試験後の表面抵抗は著しく
増大し (例、107 Ω/□台に) 、電磁波シールドに必要
な導電性がなくなる。また、上記の耐薬品性試験では、
皮膜の白化や剥がれを生ずる。
【0058】基体としては、ブラウン管やCRT以外の
他の画像ディスプレイ装置 (例、プラズマディスプレ
イ、ELディスプレイ、液晶ディスプレイ) の画像表示
部であってもよい。
【0059】なお、以上に説明した1層および2層構造
の透明導電膜は、Ag−Pd以外の他の1種もしくは2種以
上の金属微粒子を本発明の方法に従って析出させて得た
金属微粒子分散液を用いて形成することもできる。但
し、他の金属種では、Ag−Pdの場合と同様な優れた結果
は得られない。
【0060】
【実施例】(実施例1)硝酸銀と硝酸パラジウムをそれ
ぞれ別に脱イオン水に溶解して水溶液を調製し、これら
の水溶液を各種の比率で混合して、銀塩とパラジウム塩
を含有する金属塩水溶液を調製した。
【0061】別に、クエン酸ナトリウムを脱イオン水に
溶解させて得た26%クエン酸ナトリウム水溶液に、表1
に示した温度で、窒素ガス気流中で粒状の硫酸第一鉄を
直接加えて溶解させ、クエン酸イオンと第一鉄イオンを
3:2のモル比で含有する還元剤水溶液を調製した。
【0062】得られた還元剤水溶液を、窒素ガス気流と
温度を保持したまま100 rpm で攪拌しながら、この水溶
液に上記の金属塩水溶液を滴下して混合した。金属塩水
溶液の添加量は、還元剤水溶液の量の1/10以下になる
ように、各溶液の濃度を調整することで、室温の金属塩
水溶液を滴下しても反応温度が所定温度に保持されるよ
うにした。
【0063】両水溶液の混合比は、金属塩水溶液中の金
属イオンの総原子価数に対する還元剤水溶液中のクエン
酸イオンと第一鉄イオンのモル比がいずれも 0.5〜6倍
モルとなるようにした。金属塩水溶液の滴下終了後、攪
拌をさらに15分間続けて金属微粒子分散液を得た。この
分散液のpHは3〜9の範囲内、化学量論的金属生成量は
2〜60 g/Lの範囲内であった。
【0064】得られた分散液を室温で放置し、沈降した
Ag−Pd微粒子をデカンテーションにより分離し、分離物
に脱イオン水を加えて分散体とし、透析により脱塩処理
した後、脱イオン水を加えて、金属含有量が4.0 重量%
のAg−Pd微粒子分散液を得た。この分散液は、pHが 3.2
〜8.0 の範囲内、電気伝導率が2mS/cm 以下であった。
分散液中のAg−Pd微粒子の平均粒径を、TEM 写真で粒子
100 ヶの実測から求めた。粒度分布は測定しなかった
が、いずれの場合も、粒径が非常に均一で、粒子の90%
以上が平均粒径の±20%以内の粒径を有していた。
【0065】得られたAg−Pd微粒子分散液の全体の金属
組成比を、よく攪拌してから採取した試料をICP spectr
ometry (誘導結合高周波プラズマ分光分析) により分析
することにより求めた。さらに、この分散液の一部を、
場合により電解質添加 (30wt%硝酸ナトリウム水溶液を
コロイド重量に対し 0.2%の量で添加) を行った後、表
1に示す重力加速度で5分間遠心分離し、得られた上液
と沈殿部のそれぞれにおける金属組成比を上記と同様に
分析した。これらの結果も表1に示した。
【0066】比較のために、還元剤水溶液の調製、およ
び金属塩水溶液と還元剤水溶液との混合を、いずれも空
気中で行った以外は上記と同様にして、Ag−Pd微粒子分
散液を調製した場合の結果も表1に併記した。
【0067】
【表1】
【0068】表1からわかるように、本発明例では、平
均粒径が10 nm 以下と微細で、粒度がよく揃った、高品
質のAg−Pd微粒子分散液を得ることができる。また、分
散液を500 、1000、1500×Gで遠心分離した時に、いず
れの重力加速度でも、金属組成比 [Pd/(Ag+Pd)重量比]
の分析値が上液と沈殿とでほぼ同じであり、重力加速度
を変化させても、この金属組成比の変化は非常に小さか
った。また、この金属組成比は、還元に用いた混合金属
塩水溶液中の金属組成比とほぼ同じであった。即ち、各
金属微粒子がいずれも合金化しており、金属組成が均質
であることを意味している。そのため、各金属が均質に
分布した膜が常に得られ、均一で安定した膜特性を得る
ことができる。
【0069】一方、金属塩水溶液と還元剤水溶液との混
合を従来のように空気中で行った比較例では、500 、10
00、1500×Gで遠心分離した時に、いずれの重力加速度
でも、金属組成比の分析値が上液と沈殿とで大きく異な
り、しかも重力加速度が変化すると、上液と沈殿のいず
れの分析値も変動した。より詳しくは、いずれの重力加
速度でも、同じ重力加速度での上液と沈殿の金属組成比
を比べると、Agは上液に多く含まれ、Pdは沈殿に多く含
まれていた。また、重力加速度が高くなるほど、上液で
はAgの割合が増え、沈殿ではPdの割合が増えた。これ
は、AgとPdが別々に析出していることを意味し、Ag粒子
とPd粒子の表面状態や酸化状態が異なるため、遠心分離
でこのような挙動を示したものと考えられる。いずれに
しても、分散液と沈殿での金属組成比が異なり、また遠
心分離条件が変化すると、上液および沈殿の金属組成比
がいずれも変動する。
【0070】このようにAgとPdが別々に析出すると、こ
の金属微粒子分散液を塗布液として用いた場合に、金属
微粒子が動いて同じ金属種の微粒子同士が集まり易く、
各金属が不均一に分布した膜が生成するため、均一で安
定した膜特性を得ることができない。
【0071】(実施例2)実施例1と同様に調製した本
発明例および比較例のAg−Pd微粒子分散液を、エタノー
ル/1−メトキシ−2−プロパノール(90/10) 混合溶
媒で希釈してから導電膜形成用塗布液として使用し、下
記のようにして2層膜を成膜した。なお、場合により、
金属固形分が0.32wt%および0.28wt%と異なる2種類の
Ag−Pd微粒子分散液を調製し、同じ金属組成比で抵抗値
の異なる2種類の2層膜を形成した(試験No. 11と12, 1
5と16) 。
【0072】100 mm×100 mm×厚さ2.8 mmのガラス基体
をオーブン中で40℃に予熱した後、スピンコーターにセ
ットして150 rpm で回転させ、実施例1のAg−Pd微粒子
分散液を2cc滴下し、90秒間回転させた後、再びオーブ
ン中で40℃に加熱し、上層形成用のシリカ前駆体溶液を
同じ条件でスピンコートした。その後、160 ℃のオーブ
ンで20分間加熱して、下層がAg−Pd微粒子膜、上層がシ
リカ質被膜からなる2層膜を基体上に形成した。
【0073】上層の形成に用いたシリカ前駆体溶液は、
三菱マテリアル社製のシリカコート液SC-100 (SiO2換算
濃度1.00wt%のシリカゾル) を、メタノールでSiO2換算
濃度が0.70wt%になるように希釈した溶液であった。
【0074】比較のために、銀塩 (硝酸銀) またはパラ
ジウム塩 (硝酸パラジウム) のみを含有する金属塩水溶
液を用いた以外は実施例1と同様にして、2液の混合を
窒素気流中または空気中で行って、銀微粒子分散液とパ
ラジウム微粒子分散液を得た。さらに、これらの銀微粒
子分散液とパラジウム微粒子分散液を混合して、AgとPd
の微粒子を含有する分散液も調製した。これらの各微粒
子分散液からも、上記と同様に2層膜を成膜した。
【0075】以上の成膜操作における初期成膜性を、目
視観察にて、○:良好 (ムラ、ハジキ、光点なし) 、
△:やや不良 (部分的にムラ、ハジキ、光点あり) 、
×:不良(全体的にムラ、ハジキ、光点あり) と評価し
た。
【0076】得られた導電膜の断面をSEMで観察する
と、いずれも下層が金属微粒子膜、上層がシリカ膜から
なる2層膜であることが確認された。膜厚は、下層が約
8〜10 nm の範囲、上層が約60〜160 nmの範囲であっ
た。
【0077】この2層導電膜の表面抵抗を4探針法 (ロ
レスタAP、三菱油化製) により、また可視光透過率を
自記分光光度計 (U-4000、日立製作所製) により測定し
た。可視光透過率は550 nmでの測定値を記録した。これ
は、550 nmでの可視光透過率が全可視光透過率をほぼ一
致することが経験的に判明しているためである。
【0078】この2層導電膜を形成したガラス基体の試
験片 (寸法10mm×10mm×2.7 mmの各5枚を同条件でスピ
ンコートして調製) を用いて、次の各試験に供した。 250 ℃のオーブンを用いて、空気中250 ℃で24時間加
熱する耐熱性試験; 60℃、相対湿度80%の恒温槽に10日間放置する耐湿性
試験; 紫外線源であるブラックライト (FL20S-BLB 東芝製)
を1cmの距離で10日間照射する耐候性試験; 室温で2%過酸化水素水に5時間浸漬する耐薬品性試
験A;および 室温で0.1N塩酸に5時間浸漬する耐薬品性試験B。
【0079】各試験後の2層導電膜の表面抵抗を上記の
ように測定した。また、耐薬品性試験A、Bに供した試
験片については、導電膜の表面をSEMで観察し、外観
の変化 (白化またはシミ、剥がれ) を観察した。また、
一部の試験片については、試験前と上記耐熱性試験で1
時間経過後の試験片の表面をSEM観察し、Ag−Pd微粒
子膜の微細構造を調べた。以上の測定値および試験結果
を表2にまとめて示す。また、上記のSEM写真の一部
を添付図面に次の通りに示す。
【0080】図1、2は、下層の金属微粒子が同じAg/
Pd=50/50の組成比のAg−Pd微粒子からなるが、混合雰
囲気が図1は窒素 (試験No.12)、図2は空気 (試験No.1
6)と異なる2層膜の、初期の微細構造(a) 、および250
℃で1時間加熱した後の微細構造(b) を示す。倍率はい
ずれも50000 倍である。図中、白っぽい部分が金属微粒
子であり、黒い部分はマトリックスである。なお、これ
らの2層膜は、いずれも初期の表面抵抗は103 Ω/□台
と同じであった。
【0081】図3は、下層の金属微粒子が試験No. 12の
本発明例のAg−Pd微粒子である2層膜の耐薬品性試験A
(過酸化水素水浸漬) の後の表面状態を斜め上から観察
した倍率100000倍のSEM写真である。
【0082】図4は、下層の金属微粒子が空気中での混
合・反応により析出させたAg微粒子である試験No.1の、
上記と同じ耐薬品性試験後の表面状態を示すSEM写真
であり、(a) は倍率50000 倍、(b) は倍率500000倍であ
る。
【0083】図5は、下層の金属微粒子が空気中での混
合・反応により析出させたAg−Pd微粒子である試験No.1
6 の2層膜の上と同じ耐薬品性試験後の表面状態を示す
SEM写真であり、(a) は倍率50000 倍、(b) は倍率10
0000倍である。
【0084】
【表2】
【0085】表2からわかるように、本発明に従って、
金属塩水溶液と還元剤水溶液との混合を、窒素気流中、
25〜95℃の温度で行って析出させたAg−Pd微粒子を用い
た導電膜形成用塗布液から下層の導電膜を形成すると、
初期の表面抵抗が 102〜103Ω/□台と低抵抗で、可視
光透過率が65%以上と透明性も良好な2層導電膜が得ら
れた。この2層膜は、耐熱性、耐湿性、耐候性 (UV照
射) 、2種類の耐薬品性の全ての試験後も、表面抵抗が
ほとんど変化しておらず、低抵抗を保持していた。ま
た、耐薬品性試験後のSEM観察で表面にシミ、白化、
剥がれなどの変化は起きていなかった。そのようなSE
M写真の1例を、図3に示す。
【0086】図1(a) および(b) は試験No. 12 (Ag/Pd
=50/50のAg−Pd微粒子を窒素気流中42℃での混合・反
応により析出させた本発明例) の2層膜の初期および25
0 ℃×1時間後の微細構造を示すSEM写真である。
図1(a) からわかるように、金属微粒子が膜中で凝集し
て、隙間の多い網目構造を形成し、導電路を形成してい
る。網目構造の隙間は透明なシリカ質のマトリックスで
充填されている。金属微粒子が密に詰まっておらず、隙
間を可視光が透過できるので、65%以上という良好な可
視光透過率を与えることができる。
【0087】図1(a) と(b) を比較すると、250 ℃で1
時間加熱した(b) の微細構造は、初期と比べて変化して
おらず、この2層膜が耐熱性に優れていることがわか
る。加熱後も網目構造 (即ち、導電路) が保持されてい
るので、導電性はほとんど変化せず、初期と同じ103 Ω
/□台を保持している。
【0088】これに対して、金属組成比が同じAg/Pd=
50/50の金属微粒子で、析出時の混合温度も約40℃と同
じであっても、混合雰囲気が空気である試験No. 16で
は、初期の表面抵抗は同じように低抵抗で、透明性も良
好であったが、各試験後は表面抵抗が2桁以上増大し、
導電性が著しく低下した。また、耐薬品性試験で、過酸
化水素水の場合にはシミができ (図5(a) および(b) を
参照) 、塩酸では白化するものが多かった。
【0089】図2は、試験No. 16 (Ag/Pd=50/50のAg
−Pd微粒子を空気中40℃での混合・反応により析出させ
た比較例) の2層膜の、それぞれ(a) 初期と、(b) 250
℃×1時間後、の微細構造を示すSEM写真である。図
2(a) からわかるように、初期の2層膜の微細構造は、
網目構造が多少粗いものの、図1(a) に示す本発明例の
場合と同様に、隙間の多い網目構造になっている。その
ため、103 Ω/□台の良好な導電性と65%以上の良好な
可視光透過率が達成される。
【0090】しかし、図2(b) を見ると、250 ℃×1時
間の加熱後は、膜の微細組織が大きく変化し、金属微粒
子が粗大になって、ばらばらに点在し、導電路が失われ
ている。そのため、表面抵抗が著しく増大したのであ
る。
【0091】さらに、表2からわかるように、金属微粒
子がAgのみ (即ち、銀コロイド) の場合には、銀析出時
の2液の混合雰囲気が空気でも、窒素気流でも、試験結
果にあまり違いがない。即ち、初期の表面抵抗は良好で
あるものの、耐熱性、耐湿性、耐候性、耐薬品性の全て
の試験で表面抵抗がほぼ107 Ω/□台と大きく増大し、
電磁波シールドには全く不十分なレベルとなる。また、
耐薬品性試験では、外観が大きく変化し、過酸化水素水
でも白化や剥がれが起きた (図4を参照) 。
【0092】つまり、Ag−Pd微粒子の場合に得られた、
窒素気流中で2液を混合することによる2層膜の耐久性
向上という効果は、銀微粒子の場合には全く得られない
という予想外の結果になった。これは、この方法で析出
させたAg−Pd微粒子が、AgとPdが別々に析出したもので
はなく、AgとPdが合金化したものであるため、耐食性や
耐熱性が大きく向上したと考えると理解できる。
【0093】Pd微粒子も、Ag微粒子より初期の表面抵抗
が約一桁大きいことを除くと、表面抵抗は上で説明した
Ag微粒子と同じ結果であり、また膜の可視光透過率も低
かった。さらに、これらのAg微粒子とPd微粒子を50/50
の重量比で混合した場合、混合時の雰囲気が窒素であろ
うと、空気であろうと、初期の表面抵抗が105 Ω/□台
に大きく増大した。即ち、どちらも窒素気流中で析出さ
せたAg微粒子とPd微粒子を混合して導電膜形成用塗布液
を形成しても、本発明で得られるような 102〜103 Ω/
□台の低抵抗の2層膜は形成できないのである。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、初期表面抵抗が 102
103 Ω/□台と電磁波シールドに十分な低抵抗を有し、
250℃で24時間の耐熱性試験と、60℃、相対湿度80%で
10日間の耐湿性試験と、ブラックライトで10日間のUV
照射による耐候性試験の各試験後の表面抵抗が、いずれ
も初期表面抵抗とほとんど変化せず、さらに室温で2%
過酸化水素水に5時間または0.1N塩酸に5時間浸漬する
耐薬品性試験でも表面抵抗がほとんど変化せず、被膜性
状にも変化を生じない、非常に耐久性に優れた、下層が
Ag−Pd微粒子膜、上層がシリカ質膜という2層構造の、
低抵抗、低反射性の導電膜を形成することができる。こ
の導電膜は、ブラウン管やCRTに、帯電防止性、電磁
波シールド性および防眩性を付与するのに最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るAg−Pd微粒子を含有する導電膜形
成用塗布液から形成された下層被膜と上層シリカ質被膜
からなる2層膜の初期の微細構造(a) と、250 ℃で1時
間加熱した後の微細構造(b) を示すSEM写真である。
【図2】下層被膜が比較例のAg−Pd微粒子を含有する導
電膜形成用塗布液から形成された場合の図1と同様のS
EM写真である。
【図3】本発明に係るAg−Pd微粒子を含有する導電膜形
成用塗布液から形成された下層被膜と上層シリカ質被膜
からなる2層膜の過酸化水素水浸漬試験後の表面状態を
示すSEM写真である。
【図4】下層の金属微粒子がAg微粒子である上記と同様
の2層膜の過酸化水素水浸漬試験後の表面状態を示すS
EM写真である。
【図5】下層の金属微粒子が比較例のAg−Pd微粒子であ
る上記と同様の2層膜の過酸化水素水浸漬試験後の表面
状態を示すSEM写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01J 9/20 H01J 9/20 A 29/88 29/88 H05F 1/02 H05F 1/02 E H05K 9/00 H05K 9/00 W (56)参考文献 特開 平10−188681(JP,A) 特開2000−87122(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 1/00 - 1/24 H01B 5/14

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀塩およびパラジウム塩を含有する水溶
    液(A) と、クエン酸イオンおよび第一鉄イオンとを含有
    する水溶液(B) とを、実質的に酸素を含まない雰囲気中
    で混合することにより析出させたAg−Pd微粒子を水およ
    び/または有機溶媒中に含有し、(B) 液が(A) 液中の金
    属イオンの総原子価数に対してそれぞれ1〜5倍モルの
    範囲の量のクエン酸イオンと第一鉄イオンとを含有す
    る、pH3〜10の溶液であることを特徴とする、導電膜形
    成用塗布液。
  2. 【請求項2】 該Ag−Pd微粒子が、析出後に脱塩処理さ
    れたものである、請求項記載の導電膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】 (B) 液が実質的に酸素を含まない雰囲気
    中で調製されたものである、請求項または記載の導
    電膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】 (A) 液と(B) 液の混合が、30〜80℃で攪
    拌しながら、混合後に最終pH3〜9、化学量論的金属生
    成量が2〜60 g/Lの混合液が得られるように行われた、
    請求項ないしのいずれかに記載の導電膜形成用塗布
    液。
  5. 【請求項5】 (A) 液中のPd/(Pd+Ag)重量比が 0.001以
    上、1未満であって、平均一次粒子径が1〜15 nm の範
    囲内である、請求項ないしのいずれかに記載の導電
    膜形成用塗布液。
  6. 【請求項6】 水および/または有機溶媒中にAg−Pd微
    粒子を含有する導電膜形成用塗布液であって、この分散
    液を異なる2以上の重力加速度で遠心分離した時に、ど
    の重力加速度でも上液と沈殿とで金属組成比が実質的に
    同一 (差異が6%以内) である、請求項のいずれ
    かに記載の導電膜形成用塗布液。
  7. 【請求項7】 pHが 3.2〜8.0 、電気伝導率が2.0 mS/c
    m 以下、金属含有量が 0.1〜10重量%の範囲内である、
    請求項ないしのいずれかに記載の導電膜形成用塗布
    液。
  8. 【請求項8】 バインダー成分を含有していない、請求
    ないしのいずれかに記載の導電膜形成用塗布液。
  9. 【請求項9】 無機系および/または有機系バインダー
    成分を含有する、請求項ないしのいずれかに記載の
    導電膜形成用塗布液。
  10. 【請求項10】 請求項のいずれかに記載の導電
    膜形成用塗布液の基体への塗布と乾燥によりAg−Pd微粒
    子膜を形成した後、その上にバインダー含有溶液の塗布
    と乾燥により透明上層を形成することからなる多層低抵
    抗導電膜の成膜方法。
  11. 【請求項11】 前記バインダー含有溶液がシリカ前駆
    体を含有する溶液である、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 請求項ないしのいずれかに記載の
    導電膜形成用塗布液から形成されたAg−Pd微粒子を含む
    下層と、下層より屈折率の低い透明被膜からなる上層と
    いう2層構造を有する、基体上に形成された耐久性に優
    れた多層低反射低抵抗導電膜。
  13. 【請求項13】 前記上層の透明被膜がシリカ質被膜で
    ある、請求項12記載の多層低反射低抵抗導電膜。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の多層低反射低抵抗導電
    膜であって、初期表面抵抗が 102〜103 Ω/□台であ
    り、 250℃で24時間の耐熱性試験と、60℃、相対湿度80
    %で10日間の耐湿性試験と、1cmの距離のブラックライ
    トでの10日間のUV照射による耐候性試験の各試験後の
    表面抵抗が、いずれも初期表面抵抗の2倍以下であるこ
    とを特徴とする、多層低反射低抵抗導電膜。
  15. 【請求項15】 室温で2%過酸化水素水に5時間浸漬
    と、0.1N塩酸に5時間浸漬の2種類の耐薬品性試験で、
    いずれも試験後の表面抵抗が初期表面抵抗の2倍以下で
    あり、かつ被膜性状に変化を生じないことをさらに特徴
    とする、請求項14記載の多層低反射低抵抗導電膜。
  16. 【請求項16】 基体が画像ディスプレイ装置の画像表
    示部である、請求項12ないし15のいずれかに記載の多層
    低反射低抵抗導電膜。
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