JPH07258757A - 懸濁溶解方法および装置 - Google Patents

懸濁溶解方法および装置

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JPH07258757A JP7050312A JP5031295A JPH07258757A JP H07258757 A JPH07258757 A JP H07258757A JP 7050312 A JP7050312 A JP 7050312A JP 5031295 A JP5031295 A JP 5031295A JP H07258757 A JPH07258757 A JP H07258757A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 銅、ニッケルおよび鉛などの金属を含有する
硫化物原料を懸濁溶解する方法と装置を提供し、懸濁溶
解炉の反応シャフトで生ずる反応、および粒子の溶融を
有利に完了してから、粒子が懸濁溶解炉の沈殿装置へ落
下することができるようにする。 【構成】 銅、ニッケルおよび鉛などの金属を含有する
微細粉砕した硫化物原料を酸素濃縮を用いて懸濁溶解す
る方法と装置において、懸濁溶解炉(1) へ被溶解原料
(4、 5)をフラックス(6) および酸化ガス(7) とともに供
給し、懸濁溶解炉の反応空間の壁(18)を冷却し、少なく
とも2つの溶融相(16、 17)が生ずる。酸化ガスの酸素濃
縮度は、懸濁粒子の温度を懸濁物の気相の温度より少な
くとも200 ℃まで高く上昇させるため、少なくとも40%
にして、反応空間で生ずる反応の反応速度を改善し、反
応空間の壁のライニングの厚さは、絞り鋳造で製造され
反応空間の壁内に設けられた冷却部材(20)により懸濁溶
解炉の生産量に従って調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、懸濁粒子の温度を上昇
させるために、溶解装置に供給する酸化ガスに高濃度の
酸素濃縮を使用する際、銅、ニッケルおよび鉛などの金
属を含有する硫化物原料を懸濁溶解する方法と装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の懸濁溶解おいては、銅、ニッケル
および鉛などの金属を含有する微細粉砕した硫化物原料
と、再循環される煙道粉塵およびフラックスと、酸化ガ
スとして予熱もしくは冷却して用いる空気および/また
は酸素混合物とを懸濁溶解炉の垂直反応シャフトに頂上
部から底部へ導入して、酸化反応が高温で行なわれるよ
うにしている。反応熱と場合によっては追加燃料との影
響により、反応生成物の大部分が溶解する。この反応シ
ャフトからは、懸濁物が炉の水平部、すなわち沈殿装置
へ落ち込み、これは、少なくとも2つの、ときには3つ
の溶融層を含む。沈殿装置に3つの溶融層がある場合、
最下層は未精練金属層である。多くの場合、炉には2つ
の層しかない。すなわち、最下部のマットまたは金属層
と、その上のスラグ層である。懸濁溶融粒子または懸濁
固形粒子の大部分は、反応シャフトの下にある溶解物に
おおむねスラグ温度で直接落下し、最も微細に粉砕され
た原料は引き続きガスとともに炉の他端へ向かう。その
全工程において、これら懸濁粒子は沈殿装置の溶解物の
中に沈殿する。沈殿装置の他端からは、排出ガスが懸濁
溶解炉の煙路シャフトを通って直接上方へ案内され、そ
こからガスはさらにガス処理設備へ案内される。このガ
ス処理設備は廃熱ボイラと電子フィルタを有する。一般
に、懸濁溶解炉における溶解は、外部燃料を用いずに、
反応空間へ供給される酸化ガスを予熱および/または酸
素濃縮することによって、できるかぎり自生的に行なわ
れるようにする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】反応は反応空間、すな
わち懸濁溶解炉の反応シャフトで始まり、懸濁溶解炉の
沈殿装置内にある溶解物の中へ粒子が落ち込んだ後に終
了する。熱損失を補償し、沈殿装置の反応に備えるため
に、油を沈殿装置の中へ、壁に連結されているバーナを
通して、反応シャフトの下方と沈殿装置の他の部分の両
方に供給する。しかし、油を燃焼させると、懸濁溶解炉
から出るガス中の水分含有量が増加し、これはガスのそ
の後の処理に関して有害となる。同時に、懸濁溶解炉か
ら出るガスの総量が増加するが、これは、燃焼で空気を
用いるためである。このガスの総量が多いことでまた、
懸濁溶解における溶解能力が低下し、さらには懸濁溶解
の操業コストやその全体のコストも上昇する。
【0004】懸濁液の最も微細に粉砕された部分の粒子
の他に、反応シャフトで反応および溶解しなかった粒子
もまた、懸濁溶解炉から出るガス流に付随し易い。これ
は、それらの面積対重量比が溶融粒子のそれより高いた
めである。これらの粒子は、排出ガス処理設備、廃熱ボ
イラおよび電子フィルタにおいて、懸濁物の最も微細粉
砕した部分の粒子とともに気相から分離される。ガス処
理設備では、分離された固体、すなわち煙道粉塵は懸濁
溶解炉へ戻される。煙道粉塵を再循環させると、懸濁溶
解炉の反応シャフトにおけるエネルギー需要が増大する
が、この需要は通常、燃料を追加供給することによって
補われる。追加燃料の使用が増すと、懸濁溶解炉中の総
ガス量が増加し、元の硫化物原料の溶融量が減少する。
【0005】本発明は、従来技術の欠点のいくつかを解
消し、銅、ニッケルおよび鉛などの金属を含有する硫化
物原料を懸濁溶解する方法と装置を提供し、懸濁溶解炉
の反応シャフトで生ずる反応、および粒子の溶融を有利
に完了してから、粒子が懸濁溶解炉の沈殿装置へ落下す
ることができるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の本質的に新規な
特徴は、添付の特許請求の範囲に明らかである。
【0007】本発明によれば、懸濁溶解炉の反応空間で
生ずる反応速度を改善するため、懸濁溶解に用いる酸化
ガスは、空気比率が最大で75% の工業用酸素である。し
たがって、酸素濃縮度は少なくとも40% である。酸素濃
縮度が高いので、懸濁溶解炉の反応シャフトで生ずる反
応速度が有利に高まる。なぜなら、これらの反応におけ
る牽引力、すなわち酸素分圧が、とくに反応の開始時に
高いからである。したがって、反応が迅速に行なわれ、
これらの反応で放出される熱を利用して、粒子を溶融
し、それらの反応を外部加熱、すなわち追加燃料を用い
る場合より高い度合にまで進行させることができる。こ
れらの粒子温度は、実質的に周囲の気相におけるより高
くなる。エネルギーは、酸素濃縮によって酸素分圧を増
圧して得られるが、このエネルギーを用いることは、追
加燃料の燃焼により得られるエネルギーを用いることと
は、結果として異なる。なぜなら、追加燃料を用いる目
的は、熱い気相によって粒子を加熱することにあるから
である。本発明を適用することによって有利な粒子温度
が得られるため、再循環される煙道粉塵の量も軽減す
る。なぜなら、非反応粒子や未溶融粒子の発生する確率
が減少するからである。したがって、元の硫化物原料を
以前よりも高い限度まで懸濁溶解炉の反応空間へ供給で
き、これも一部、マットまたは未精練金属に関して懸濁
溶解炉の生産性を増加させるのに寄与している。
【0008】粒子と気相との間の温度差が有利になって
いるので、懸濁物の平均温度は、仮に追加燃料の使用に
よって反応レベルの相応の増大が達成できたとして生じ
るであろう程度までは上昇しない。しかし、とくに反応
が最も急速に発生する反応領域では、反応空間の壁は、
粒子の温度上昇と熱放射の増大により、以前より大きな
熱歪みを受ける。この熱歪みは本発明による懸濁溶解炉
の反応空間の壁に向けられるため、反応空間の壁が有利
に冷却されるよう、壁に銅製の冷却部材が設けられ、こ
の冷却部材中を冷媒が強制循環する。本発明によれば、
反応空間の壁に用いられる冷却部材は絞り鋳造によって
製造される。したがって、その鋳造物の構造は、例えば
鋳型鋳造に比べて実質的に均質的であり、鋳型鋳造で
は、集中偏析により銅の伝導能力を弱める不純物が鋳造
品の一定の点に集中し易い。絞り鋳造により製造された
冷却部材では、鋳造材料自体で冷却部材を製造するとき
にすでに冷媒用流路の大部分が形成されている。この場
合、たとえば砂型鋳造の場合に冷却した銅管を鋳造中に
用いて冷媒用流路を形成するときに生ずることがあるよ
うな実質的な熱伝導妨害物が冷却部材とそれに流れる冷
媒との間に生じることはない。
【0009】本発明による絞り鋳造の冷却部材を用いる
と、その実質的に均質な鋳造品質と冷媒用流路の熱伝導
特性とにより、冷却部材全体で達成される熱伝導能力
は、冷却部材の高温と接触する表面からの冷媒用流路の
距離が増すようにするのが有利である。有利なことに
は、高温部分に最も近い冷媒用流路と高温部分に最も近
い冷却部材の表面との間の距離は、反応空間の内部に最
も近い冷却部材の表面とフレーム構体に最も近い冷却部
材の表面との間の距離の少なくとも40% である。そこ
で、冷媒用流路が破裂する危険が実質的に減少し、冷却
部材は誤作動により生じることのある冷媒流の中断に長
く耐える。さらに、冷却部材を反応空間の壁に取り付
け、必要に応じて、その冷却部材を炉を冷却せずに実質
的に短時間で交換することができるようにする。懸濁溶
解炉の反応空間の冷却による保護は、本発明により構成
された冷却方法に起因して、反応空間の内壁上に、スラ
グと、部分的には場合によって金属および/またはマッ
トの自生的なライニングとが形成され、この自生ライニ
ングによって、反応空間の耐火ライニング自体ならびに
冷却部材を熱的、化学的および機械的歪みから保護する
ことに基づいている。生じた自生ライニングは断熱にも
役立つため、反応シャフトにおける熱損失が減少する。
【0010】しかし、懸濁溶解炉の反応空間は、時間と
位置の両方の点で、変化する熱負荷の影響を受け易い。
連続大量生産工程では、懸濁溶解炉は大概は全能力で操
業する。しかし、ある場合には、例えば小さな修理の間
は、生産を低下させる必要がある。そこで、少量生産で
操業すると、反応空間における熱歪みも減少する。仮に
熱損失が全面操業の場合と同じ大きさであるとすれば、
それは、反応がそれより低い温度で行なわれることを意
味するであろう。本発明による方法と装置を用いると、
断熱自生ライニングの厚さを調節することができ、大量
生産では層が薄くなり、そのため断熱効果が弱くなる。
懸濁溶解炉を少量生産で操業すると、冷却部材の相対的
冷却効果が増し、自生ライニングの厚さも同様に増す。
したがって自生ライニングの断熱効果が強くなり、熱損
失は少なくなる。
【0011】本発明によって適用される高い酸素濃縮度
によれば、高酸素濃縮度では硫化物粒子と酸素との間の
反応に熱が生じ、とくに必要な場合に熱が放出されると
いう点で、懸濁溶解炉の操業が改善される。したがっ
て、反応空間内を流れる懸濁物相では、正確に被溶解粒
子が気相より高い温度になり、粒子と気相との間の温度
差が少なくとも200 ℃になるようにしている。高温の被
溶解粒子によって完全な自生溶融が可能になり、その場
合、反応シャフトに追加燃料を必要としない。しかし、
例えば酸素の生成量が限定要因である場合に、追加燃料
を用いるとしても、反応シャフトにおいて粒子の溶融に
追加燃料を必要とする量は、従来技術の解法と比べて基
本的に少ない。
【0012】粒子が高温であるため、沈殿装置で互いに
分離した複数の溶融相の温度もまた高くなり、これも、
沈殿装置における追加燃料の必要性が減少するのに寄与
している。必要な場合、追加燃料を沈殿装置の最上部、
有利には沈殿装置の天井に設けられた少なくとも1つの
バーナで燃焼し、このバーナは、上方から沈殿装置の溶
融物と沈殿装置のガス流へ向けられ、このバーナによっ
て、それで生じるガス流を利用して、溶融相へ沈殿装置
の主ガス流を押し向けることで、気相に含まれる粉塵が
これから分離するのが促進されるようにしている。した
がって、バーナにより生じたガス流は、粒子が溶融相に
衝突してその中へ落ち込むのを促進する。
【0013】本発明の方法により達成される被溶解粒子
の高い反応空間温度によってまた、固形相および溶融相
を懸濁溶解炉の水平部分、すなわち沈殿装置で気相から
分離するのが促進される。高温のため、反応空間から到
来する懸濁気体の粒子の大部分は溶融状態であり、これ
らの粒子の重量対面積の比が気相の分離に有利になるよ
うにしている。反応空間で得られ高温の粒子によってさ
らに、沈殿装置では、スラグおよびマットの両方の温度
と、炉内で生成される可能性のある未精練金属相の温度
が反応空間の真下で実質的に高くなり、粒子の実質的部
分が気相から分離される状態が生ずる。自然の法則に従
って、様々な大きさの粒子の部分が懸濁物中で様々な速
度で反応して、粒子の一部が熱力学的平衡に関して酸化
不足状態になり、少なくとも小さい粒子の方がより急速
に酸化物に反応することがあることが指摘される。この
ことは、粒子が溶融する際、その反応速度を調節する因
子は溶融相における拡散であって、粒子の気相と溶融相
との間の原料移動によって反応速度が調節されるという
状況に基づいているのではない。この原料移動とは、酸
素が周囲の気相から粒子へ移動し、反応生成物が粒子の
表面層から気相へ移することを意味している。反応空間
の下方に位置する沈殿装置の部分には、反応空間で生じ
た反応が、本発明により達成される高温によって実質的
に急速に平衡する。なぜならば、原則として温度が高い
ほど反応速度が速くなるからである。
【0014】懸濁溶解炉の反応炉の下方に位置する沈殿
装置の部分では、溶融相の温度は有利に高く、それゆえ
に粘度が低く、したがって溶融相は急速に分離され、溶
融相間での反応が熱力学的平衡状態付近に急速に整えら
れる。沈殿装置で生じた溶融相、すなわちスラグおよび
マット、またはスラグおよび未精練金属は、沈殿装置か
ら沈殿装置の煙路シャフトの端部に取り出されるが、こ
の場合、溶融相は、沈殿装置の溶融面を高く保つ必要な
く分離するのに実質的に充分な時間を有する。そこで、
溶融相は沈殿装置の外に実質的に連続した状態で出すこ
とができ、溶解物の表面も沈殿装置内で実質的に一定の
高さに保つことができる。したがって、沈殿装置内のガ
ス空間の高さもまた一定に保つのが有利であり、これに
よって、沈殿装置を通るガス流が実質的に円滑になる。
この円滑なガス流はさらに、炉空間自体から気相が排出
される前に気相から粒子を分離するのに有利である。
【0015】
【作用】本発明によれば、銅、ニッケルおよび鉛などの
金属を含有する微細粉砕した硫化物原料を酸素濃縮を用
いて懸濁溶解する方法と装置において、懸濁溶解炉へ被
溶解原料をフラックスおよび酸化ガスとともに供給し、
懸濁溶解炉の反応空間の壁を冷却し、少なくとも2つの
溶融相が生ずる。酸化ガスの酸素濃縮度は、懸濁粒子の
温度を懸濁物の気相の温度より少なくとも200 ℃まで高
く上昇させるため、少なくとも40% にして、反応空間で
生ずる反応の反応速度を改善し、反応空間の壁のライニ
ングの厚さは、絞り鋳造で製造され反応空間の壁内に設
けられた冷却部材により懸濁溶解炉の生産量に従って調
節する。
【0016】
【実施例】次に添付図面を参照して本発明をより詳細に
説明する。
【0017】図1によれば、懸濁溶解炉1の反応シャフ
ト2へ、精鉱バーナ3によって銅、または銅とニッケル
などの硫化物金属を含有する微細粉砕原料4と、懸濁溶
解炉から再循環された煙道粉塵5と、フラックス6と、
酸化ガス7が酸素濃縮度45%で供給される。本発明によ
れば、反応シャフト2内の酸素濃縮度が高いため、反応
シャフト2内で微細粉砕硫化物粒子が周囲の気相の温度
より高い温度に達する条件が有利に生ずる。高温の粒子
によってその溶解が、そしてさらに溶融粒子の気相から
の分離が促進される。気相と粒子との間の反応と同時
に、様々な相が反応シャフト2で水平部分に向けて、す
なわち懸濁溶解炉1の沈殿装置8へ向けて沈殿する。こ
の沈殿装置8では、溶融相(スラグ9およびマットまた
は未精練金属10)の気相からの分離が続き、沈殿装置8
の底部には、図1に示すように、別々の溶融相9と10が
形成される。気相とそれに含まれる未溶融固形粒子は、
懸濁溶解炉1の煙路シャフト11を介してガス処理設備、
廃熱ボイラ12および電子フィルタ13へ進む。廃熱ボイラ
12と電子フィルタ13では、固形粒子が気相から分離さ
れ、懸濁溶解炉1の供給原料として用いる煙道粉塵とし
て元へ戻される。気相に含まれる二酸化硫黄のため、気
相はそれだけで、たとえば硫酸の原料として使用するこ
とができる。
【0018】気相から溶融粒子をできるかぎり効率的に
分離するため、追加燃料を懸濁溶解炉1の沈殿装置8
へ、有利的には沈殿装置の天井14に設けられた少なくと
も1つのバーナ15を通して供給することができる。沈殿
装置8で生じる溶融相9および10は、排出口16および17
を通して沈殿装置8から除去され、排出口16および17は
懸濁溶解炉の煙路シャフト11の側に位置する端部に設置
されている。この除去は、実質的に連続した工程で、排
出口16および17に関連して、例えばサイフォンの原理で
作動する溶解流イクオライザを用いることによって行な
われる。
【0019】懸濁溶解炉の反応シャフト2へ供給された
酸化ガスの酸素濃縮度が高いため、反応シャフト2での
反応温度は高くなる。したがって、反応シャフト2の壁
のフレーム構体18には、図2によれば、レンガ材ライニ
ング19の間に、実質的に水平な位置で、絞り鋳造により
製造された少なくとも1つの冷却部材20が設けられてい
る。この冷却部材20は、冷媒を流すための冷却流路21お
よび22を有している。反応シャフト2の内部に最も接近
して設けられている流路21は、反応シャフト2の内部に
最も近い端部23から流路21までの距離が、反応シャフト
2の内部に最も近い冷却部材20の端部23と反応シャフト
のフレーム構体18に最も近い端部24との間の距離の少な
くとも40% になるような位置にある。
【0020】さらに図2は、参照番号25で示されるよう
に、懸濁溶解工程中に反応シャフト2の壁に形成される
自生ライニングを示す。このライニングは、反応シャフ
ト2における反応に加わる成分を含有している。本発明
によれば、自生ライニング25の厚さは、懸濁溶解炉1に
て生成されるマットすなわち未精練金属の生成量に基づ
いて有利に調節することができる。
【0021】図3のaおよびbに示す曲線は、様々な温
度の限界曲線を表わしている。したがって、例えば数字
1,000 で示す曲線は2つの冷却部材の間における温度1,
000℃を表わしている。図3のaおよびbからは、炉壁
ライニング19の領域では温度プロファイルが実質的に互
に類似していることが分かる。したがってこの場合は、
図3aに示すように、本発明の冷却部材20を用いること
が有利である。なぜなら、流路21の位置に応じて、冷却
部材20は、懸濁溶解炉の冷却で発生し得る障害状況に従
来技術の冷却部材より良好に耐えるからである。これに
よって、冷却部材20の流路の破裂の危険が減少する。
【0022】
【発明の効果】本発明の方法と装置を用いることによっ
て、懸濁溶解炉の能力を向上させることができる。また
は、懸濁溶解炉、とくに懸濁溶解炉の沈殿装置の寸法、
少なくとも幅と高さをそれぞれに小さくすることができ
る。同様に、ガス流が円滑なので、ガス処理装置を小さ
い寸法に設計することができる。さらに、本発明による
方法による懸濁溶解炉の冷却では、反応空間のライニン
グを更新する必要性が実質的に軽減され、懸濁溶解炉で
行なう溶解工程をライニング更新のために中断する必要
がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施例の側面図である。
【図2】図1の実施例の懸濁溶解炉の壁の詳細を断面A
で見た図である。
【図3】aは、懸濁溶解炉の壁おける図2の冷却部材に
よって形成された温度プロファイルの図であり、bは、
現状技術の冷却部材により形成されたaに示すのと同様
の温度プロファイルの図である。
【符号の説明】
1 懸濁溶解炉 2 反応シャフト 3 精鉱バーナ 4、5 原料 6 フラックス 7 酸化ガス 8 沈殿装置 9、10 溶融相 11 煙路シャフト 12 廃熱ボイラ 15 追加燃料 16、17 排出口 18 反応空間壁 20 冷却部材 21 冷却流路 23 冷却部材端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 リスト サーリネン フィンランド共和国 02200 エスポー、 ニイッティクヤ 2 エー 25 (72)発明者 エルッキ クロゲルス フィンランド共和国 02400 キルッコヌ ンミ、 カルリオティエ 9 (72)発明者 イルッカ コヨ フィンランド共和国 02430 マサラ、 マルメン 140

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅、ニッケルおよび鉛などの金属を含有
    する微細に粉砕した硫化物原料を酸素濃縮を用いて懸濁
    溶解する方法であって、懸濁溶解炉へ被溶解原料をフラ
    ックスおよび酸化ガスとともに供給し、該懸濁溶解炉の
    反応空間の壁を冷却し、少なくとも2つの溶解相を形成
    する懸濁溶解方法において、該方法は、 懸濁粒子の温度を懸濁物の気相の温度より少なくとも20
    0 ℃まで高く上昇させるため、前記酸化ガスの酸素濃縮
    度を少なくとも40% として、反応空間で生ずる反応の反
    応速度を改善し、 該反応空間の壁のライニングの厚さを前記懸濁溶解炉の
    生成量に従って、該反応空間の壁に設置された冷却部材
    によって調節することを特徴とする懸濁溶解方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、前記反
    応空間の壁のライニングの厚さは、熱損失を平均化させ
    るために、大量生産の場合は少量生産の場合より薄くな
    るように調節することを特徴とする懸濁溶解方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法において、前記懸
    濁溶解炉ではマットが生成されることを特徴とする懸濁
    溶解方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法において、前記懸
    濁溶解炉では未精製金属が生成されることを特徴とする
    懸濁溶解方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の方法を実現するための
    装置において、前記懸濁溶解炉には被溶解原料、フラッ
    クスおよび酸化ガスを供給する手段と、該懸濁溶解炉に
    生成された溶解相および気相を除去する手段と、該懸濁
    溶解炉の反応空間の少なくとも壁を冷却する手段と、追
    加燃料を供給する手段とが設けられ、該反応空間の壁に
    は、絞り鋳造により製造された少なくとも1つの冷却部
    材が取り付けられていることを特徴とする懸濁溶解装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の装置において、前記冷
    却部材は銅製であることを特徴とする懸濁溶解装置。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の装置おいて、
    前記冷却部材の冷却流路の反応シャフトの内部部分に最
    も近い端部からの距離は、該反応シャフトの内部部分に
    最も近い前記冷却部材の端部と該反応シャフトのフレー
    ム構体に最も近い端部との間の距離の少なくとも40% で
    あることを特徴とする懸濁溶解装置。
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