JPH07258182A - L−フェニルアラニンの回収方法 - Google Patents
L−フェニルアラニンの回収方法Info
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- JPH07258182A JPH07258182A JP6053742A JP5374294A JPH07258182A JP H07258182 A JPH07258182 A JP H07258182A JP 6053742 A JP6053742 A JP 6053742A JP 5374294 A JP5374294 A JP 5374294A JP H07258182 A JPH07258182 A JP H07258182A
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Abstract
ン メチルエステルの製造から生じる側流から、高収率
で且つ水分含量の少ないL−フェニルアラニンを回収す
る方法を確立する。 【構成】 α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニ
ン メチルエステルの製造から生じた少なくとも一つの
側流を鉱酸酸性下加水分解して得られた反応混合物から
L−フェニルアラニンを晶析により回収する際に、L−
フェニルアラニンを含む晶析スラリーに、アルカリ水を
添加することでスラリーのpHを3〜8に保ちながら、
前記加水分解した反応混合物を添加する。
Description
味を呈するペプチド系甘味料であり、その良質な甘味と
低カロリーであることによってダイエット甘味料として
需要の大きなαーL−アスパルチルーL−フェニルアラ
ニンメチルエステル(以下αーAPMと略す)の製法に
関する。更にくわしくはα−APMの製造プロセスから
生じた側流からL−フェニルアラニン(以下L−Phe
と略す)を回収する方法に関する。
れたL−アスパラギン酸無水物とL−フェニルアラニン
メチルエステルを反応させる方法(米国特許37860
39),N保護されたL−アスパラギン酸無水物とL−
Pheを反応させる方法(米国特許4173562)、
NーベンジルオキシカルボニルーL−アスパラギン酸と
L−フェニルアラニンメチルエステルを酵素により縮合
させる方法(特開昭53ー92729)等、種々の方法
が公知である。
するためにはα−APM製造プロセスから生じる側流、
例えばα−APM晶析母液やα−APM塩酸塩晶析母液
からL−Phe及びL−アスパラギン酸(以下L−As
pと略す)を回収して再利用することは必須である。な
ぜなら、これら側流中にはかなりのL−フェニルアラニ
ン誘導体やL−アスパラギン酸誘導体及びβーL−アス
パルチルーL−フェニルアラニンメチルエステルやα−
APMが含まれているからである。なかでも高価なアミ
ノ酸であるL−Pheを効率よく回収することは非常に
重要である。
らL−Pheを回収する方法としては特開昭48ー97
812が公知である。即ちβーL−アスパルチルーL−
フェニルアラニンメチルエステルを含む溶液を鉱酸酸性
下加水分解し、その反応液にアルカリ水を添加してい
き、pHをL−Pheの等電点付近、即ち6付近に調整
してL−Pheを晶析させ分離させる方法である。この
晶析工程でL−Pheの収率を高める為には、加水分解
液中のL−Phe濃度を高くすることが必要である。し
かし、この中和方法ではアルカリ水を添加しpHを上昇
させていく過程において、一旦L−Aspも析出する。
特にL−Aspが析出し始めるpH1前後の領域では晶
析スラリーの攪拌性が極端に悪くなる。これは、L−P
heの濃度を高くすることは、L−Pheとほぼ等モル
存在するL−Aspの濃度も高くすることにもなり、前
述のpH1前後の領域でスラリー濃度が高くなりすぎる
為である。又、場合によっては晶析スラリー全体、ある
いは一部が固化し攪拌が不可能となることもある。従っ
て、L−Pheの回収率を高めるには、ボトルネックと
なっているpH調整時のスラリー攪拌性を改善すること
が必要である。
ることで、析出するLーPheの結晶が小さくなり、分
離して得られたL−Phe結晶は水分含量の高いものと
なる。水分含量の高いL−Pheをα−APM製造の原
料として用いることは、米国特許4173562の方法
でL−Pheとしてリサイクル使用する場合、必要とな
る乾燥の負荷が非常に大きくなるという欠点を持つ。
又、米国特許3786039、特開昭53ー92729
のようにL−フェニルアラニン メチルエステルに変換
してリサイクル使用する場合、エステル化反応が加水分
解反応との平衡反応であることから、エステル生成収率
の低下を招くという欠点がある。
はα−APMから生じる側流を鉱酸酸性下加水分解した
反応液から中和によりL−Pheを晶析させて回収させ
る際に、高収率で且つ水分含量の少ないL−Pheを回
収する工業的製法を確立することにある。
鋭意検討した結果、驚くべきことに、従来、α−APM
の側流を鉱酸で加水分解した溶液にアルカリ水を加えて
pH調整し、L−Pheを晶析していた方法に対し、L
−PheのスラリーにスラリーのpHを5〜6に保ちつ
つ、加水分解液とアルカリ水とを同時に添加すること
で、得られるスラリー流動性が格段に向上することを見
いだした。本発明者らは更に鋭意検討した結果、L−P
heのスラリーのpHを約3〜8に維持しつつ、加水分
解液とアルカリ水とを同時に添加すれば、高収率で且つ
低水分含量のL−Pheを回収できるとの知見に到り、
本発明を完成した。即ち、晶析スラリーの攪拌性が悪化
するpH1前後の領域を経ることなく、強酸性の加水分
解液を一気に攪拌性の良くなるpH3〜8にする方法で
ある。この添加方法では、従来の添加方法ではスラリー
の流動性が極度に悪化し、固結するほどのL−Phe濃
度が高い加水分解液を用いても、良好なスラリー性を保
つことができ、得られた晶析スラリーからのL−Phe
の晶析率を増大させることが可能となった。しかも、こ
の方法で得られたL−Phe結晶は従来の方法で得られ
たL−Pheに比べ、水分含量が大幅に減少できる。
スより生ずる側流として代表的なものとしてはNーベ
ンジルオキシカルボニルーL−アスパラギン酸無水物と
L−フェニルアラニンメチルエステルとを縮合させた
後、保護基を還元により除去し(米国特許378603
9)生成したα−APMを水より晶析、分離した母液、
NーホルミルーL−アスパラギン酸無水物とL−フェ
ニルアラニンメチルエステルとを縮合させた後、メタノ
ールと高濃度の塩酸で処理してα−APM塩酸塩を生成
析出させ、分離した母液(米国特許4684745)、
α−L−アスパルチルーL−フェニルアラニンを水、
メタノール及び塩酸でエステル化した後、α−APM塩
酸塩として析出させ、(米国特許4173562)分離
した母液があげられる。
ン酸等であるが、加水分解反応後のpH調整にて生成す
るこれらの塩の除去しやすさから塩酸が望ましい。加水
分解反応時のこれら酸濃度は1〜12規定、特に2〜6
が望ましく、また、使用する量は前記側流中に含まれる
アミノ酸及びアミノ酸残基1モルに対して1モル以上、
特に1.5〜10モルの割合が望ましい。
度で加水分解されたものであれば特に限定されないが、
従来の中和方法では反応液が固化しやすい8g/dl以
上の濃度の加水分解液に対して、本発明の効果はより顕
著に発揮される。
に90〜110℃が望ましい。反応時間は種々の条件に
より変わりうるため限定し得ないが、あまり長すぎると
ラセミ化が促進されるので通常20時間以内で充分であ
る。
heの晶析スラリーに添加していくわけであるが、L−
Phe濃度が高い加水分解液を調製した場合は、結晶析
出防止の観点から、添加中は加温しておくことが望まし
い。
eスラリーのpHはアルカリ水を加えることで3〜8の
範囲に保っておく。但し、L−Phe晶析収率を高くす
るには、L−Pheの等電点の観点から、最終的には得
られたL−Pheスラリーは固液分離前にはpH5〜6
に調整することが望ましい。
ーダ、苛性カリ、炭酸ソーダ、アンモニア等があるが価
格の点から苛性ソーダが最も望ましい。アルカリそのも
のを添加してもよいが、pH調整のし易さからその水溶
液を用いるのが望ましい。
限はないが、0℃〜100℃、望ましくは0℃〜80℃
で行って差し支えない。但し、10℃以上で行った場
合、L−Pheの溶解度を下げて収率を高くするため、
晶析スラリーは加水分解液添加終了後、最終的には、1
0℃以下に冷却するのが望ましい。
ラリーの攪拌性には特に影響しないが、強酸性である加
水分解液とアルカリ水との中和で発生する熱による温度
上昇を抑制する為には、加水分解反応液全体を、1時間
以上かけて添加することが望ましい。
るL−Pheを含むスラリーにおいては、そのL−Ph
e濃度は特に制限されない。例えば、L−Pheスラリ
ーの代わりに、水またはPheを含む水溶液を用いても
構わない。このような場合、加水分解液及びアルカリ水
を添加していくに従い、溶液のPhe濃度が増加してい
くことになり、溶解度以上になるとL−Pheが析出し
てくる。一旦L−Pheが析出すると、その後はL−P
heスラリーに添加していくことと同じことになる。
eスラリーの容量も特に制限されない。工業的には、L
−Pheのスラリー槽に設置した攪拌羽根等による攪拌
が可能であり且つpH計が有効に機能する液量であれば
差し支えない。
説明する。
7時間加熱し加水分解液を得た。アミノ酸分析計による
分析の結果、L−Phe 16.41g/dl、L−A
sp14.91g/dlの濃度であった。又、HCl濃
度は3.5規定であった。この加水分解液15mlを4
8%NaOHでpH5.6に調整しL−Pheスラリー
を調製した。このL−Pheスラリーを40℃で攪拌し
ておき、これに、同じ加水分解液685mlを10時間
かかって添加した。その間、晶析スラリーのpHは48
%NaOHを加えることで5〜7の間に保ち、加水分解
液添加終了後は、pH5.6に調整した。晶析中の攪拌
性は特に問題なく良好なスラリーが得られた。又、その
間の温度は38〜45℃に保った。その後、得られたL
−Pheスラリーは6℃で24時間攪拌した後、吸引濾
過分離し、結晶は90mlの水で洗浄した。アミノ酸分
析計による分析の結果、得られた湿結晶138.7g中
L−Pheは109.0g含まれていた。収率94.9
%。本湿結晶を105℃、4時間乾燥した時の乾燥減量
は20.5%であった。
を500mlフラスコ中で70℃に加熱攪拌しておき、
これに48%NaOHを添加していった。pH0.7付
近で結晶が析出しはじめ攪拌性が極端に悪くなり、周辺
部が固化して攪拌されない状態になった。さらに48%
NaOHを添加し続けpH5.6にしたが、周辺部は固
化したままであった。周辺部の固化物をスパチュラで突
き崩してから、90℃に加熱すると、しばらくしてスラ
リー状になった。このスラリーを5℃に冷却し、1晩攪
拌した後、吸引濾過分離し、結晶は40mlの水で洗浄
した。得られた湿結晶75.6g中L−Pheは46.
1g含まれていた。収率93.6%。乾燥減量 37.
2%。
晶析の母液から加水分解液を得た。アミノ酸分析計によ
る分析の結果、L−Phe17.0g/dlの濃度であ
った。この加水分解液に水を加えることで希釈し、L−
Phe濃度がそれぞれ6、8、10、13、15g/d
lの加水分解液を150mlずつ調製した。それぞれの
加水分解液を300mlフラスコにいれ40℃で攪拌し
た。これに、48%NaOHを添加し、pH5.6にす
るまでのスラリーの攪拌性をしらべたところ、L−Ph
e濃度6g/dlの加水分解液でおこなった場合のみ良
好なスラリー状態が維持できたが、L−Phe濃度8g
/dl以上のものを用いた場合、いずれも、pH1前後
で周辺部が固化した。
140gを加え、減圧下に0.8Lまで濃縮した。この
濃縮液に35%塩酸を加え(HCl濃度としては3.5
規定)を105℃で7時間加熱した加水分解液を得た。
アミノ酸分析計による分析の結果、L−Phe 18.
35g/dl、L−Asp 15.29g/dlの濃度
であった。実施例1で得られた分離母液20ml(L−
Pheを0.1g含む)を70℃で攪拌しておき、これ
に、加水分解液600mlを3時間かかって添加した。
その間、晶析スラリーのpHは48%NaOHを加える
ことで5〜7の間に保ち、加水分解液添加終了後は、p
H5.6に調整した。晶析中の攪拌性は特に問題なく良
好なスラリーが得られた。又、その間の温度は68〜7
3℃に保った。その後、得られたL−Pheスラリーは
6℃で24時間攪拌した後、吸引濾過分離し、結晶は9
0mlの水で洗浄した。得られた湿結晶128.5g中
L−Pheは104.9g含まれていた。収率95.3
%。乾燥減量16.1%
を500mlフラスコに70℃に加熱攪拌しておき、こ
れに48%NaOHを添加していった。pH0.4付近
から結晶が急激に析出しはじめ、スラリー性が極端に悪
くなり、周辺部が固化した。これに温水150mlを加
えてしばらくすると、固化物がスラリー化し攪拌が可能
になったので、48%NaOHを添加し、pHを5.6
にした。その後5℃に冷却し、同温度に3時間保った
後、吸引濾過分離した。結晶は45mlの水で洗浄し
た。得られた湿結晶65.1g中L−Pheは41.1
g含まれていた。収率89.7%。乾燥減量 34.8
%
晶析の母液から加水分解液を得た。アミノ酸分析計によ
る分析の結果、L−Phe14.61g/dl、L−A
sp12.20g/dlの濃度であった。又、HCl濃
度は4.0規定であった。この加水分解液20mlを4
8%NaOHでpH3.5に調整しL−Pheスラリー
を調製した。このL−Pheスラリーを40℃で攪拌し
ておき、これに、同じ加水分解液480mlを3時間か
かって添加した。その間、晶析スラリーのpHは48%
NaOHを加えることで3.4〜4.0の間に保ち、加
水分解液添加終了後1時間はpH3.5で攪拌した後、
48%NaOHでさらにpH5.6に調整した。晶析中
の攪拌性は特に問題なく良好なスラリーが得られた。
又、その間の温度は38〜45℃に保った。その後、得
られたL−Pheスラリーは6℃で5時間攪拌した後、
吸引濾過分離し、結晶は50mlの水で洗浄した。得ら
れた結晶79.0g中L−Pheは68.1g含まれて
いた。収率93.2%。乾燥減量 13.2%
晶析の母液から加水分解液を得た。アミノ酸分析計によ
る分析の結果、L−Pheの濃度は16.5g/dlで
あった。容量400ml部分に溢流口のある1L円筒形
容器に攪拌羽根と温度計及びpH計と中和用の48%N
aOH水を入れた滴下ロートを取り付け、この円筒形容
器内に加水分解液を100ml/Hrの速度で連続的に
添加した。その間、液温は37〜43℃に保ち、48%
NaOHを加えることでpHを5.3〜5.6にコント
ロールした。加水分解液は中和されると、すぐにスラリ
ー状態になった。添加を開始してから、3時間15分後
に、溢流口から、スラリーが溢れ出始めた。このスラリ
ーは別の容器に受けた。この操作を7時間続けた後、円
筒容器内のスラリーを冷蔵庫で1晩冷却した後、吸引濾
過分離した。得られた結晶の乾燥減量は11.6%であ
った。
分解液を用いコントロールするpHを4.2〜4.5と
する以外は実施例4と同様にし、操作を6時間続けた。
得られたスラリーをさらにpH5.6にした後、冷蔵庫
で1晩晶析し、吸引濾過分離した。得られた結晶の乾燥
減量は12.3%であった。
r、コントロールするpHを3.3〜3.5とする以外
は実施例5と同様にし、操作を6時間続けた。得られた
スラリーをさらにpH5.6にした後、冷蔵庫で1晩晶
析し、吸引濾過分離した。得られた結晶の乾燥減量は1
8.7%であった。
ラニン メチルエステルの製造から生じた少なくとも一
つの側流を鉱酸酸性下加水分解して得られた反応混合物
からL−フェニルアラニンを晶析により回収する際に、
晶析スラリーの攪拌が容易になり高収率で且つ水分含量
の少ないL−フェニルアラニンを晶析させることができ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 α−L−アスパルチル−L−フェニルア
ラニン メチルエステルの製造から生じた少なくとも一
つの側流を鉱酸酸性下加水分解して得られた反応混合物
からL−フェニルアラニンを晶析により回収する際に、
L−フェニルアラニンを含む晶析スラリーに、アルカリ
水を添加することでスラリーのpHを3〜8に保ちなが
ら、前記加水分解した反応混合物を添加することを特徴
とするL−フェニルアラニンの晶析方法。 - 【請求項2】 前記鉱酸が塩酸である請求項1記載の方
法。 - 【請求項3】 加水分解した反応混合物中のL−フェニ
ルアラニンの濃度が、8g/dl以上である請求項1記
載の方法。
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