JPH07255457A - 焼酎の製造方法 - Google Patents
焼酎の製造方法Info
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- JPH07255457A JPH07255457A JP7780394A JP7780394A JPH07255457A JP H07255457 A JPH07255457 A JP H07255457A JP 7780394 A JP7780394 A JP 7780394A JP 7780394 A JP7780394 A JP 7780394A JP H07255457 A JPH07255457 A JP H07255457A
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Abstract
香味豊かな焼酎を得ることを可能にする焼酎の製造法の
提供。 【構成】 原料麦を蒸気でα化し、該α化した原料麦
に、セルラーゼ系、プロテアーゼ系、アミラーゼ系から
なる群から選ばれる少なくとも一種の酵素剤の所定量を
含有する酵素水溶液と浸漬水を、合計20〜60重量%
(前記原料麦に対して)の範囲の量加水して、一度α化
した原料麦を再度α化し、得られた二度α化処理された
原料麦を、掛け原料または/及び麹原料として使用する
ことを特徴とする焼酎の製造法。
Description
うに特定の酵素剤を使用するα化処理を介して原料処理
した麦を用いる焼酎の製造方法に関する。より詳しくは
本発明は、散水して温度処理を行うα化処理と、特定の
酵素剤浸漬を介するα化処理とを連続して行った処理麦
を、原料に使用する焼酎の製造方法に関する。
麦味噌等がある。該麦麹用の麦としては、大麦、はとむ
ぎ等があり、これらの麦は一般に精白して使用される。
これらの麦は使用に供するに際して所定の原料処理に付
される。該原料処理は、洗浄工程、浸漬工程、及び蒸き
ょう(α化)工程を包含する。洗浄工程は、一般に、原
料に付着した糠を除去したほうが商品の品質が良くなる
ことから、浸漬工程前に糠除去を目的として行われる。
この時使用する洗浄水は、焼酎製造における原料大麦の
原料処理の場合、1トン当たり4m3の水が使用され、
全工程中最も使用水量が多い。これに加えてその際SS
濃度が高い排水が多量に排出される。こうしたことか
ら、多量の使用水の問題、環境に配慮しながら多量の排
水の問題への対応に各社対策に苦慮しているところであ
る。
料大麦が吸水した水分量の浸漬前原料大麦重量に対する
百分率で表す)は、精麦率70%の大麦を用いる大麦焼
酎製造の場合では、34〜38%と云われている。この
ように大麦の場合は、最大吸水量(70%精麦の場合約
75%)以下で浸漬処理されるので、浸漬水分は浸漬時
間で調整されている。しかし大麦の品種、浸漬水温度、
原料水分によって吸水速度が異なるため、安定した原料
処理を行うのは難しい。α化工程は通常、30〜50分
間蒸気吹き込みによる1回だけで行われ、使用設備とし
ては、回転ドラム型、連続蒸し機(横型、縦型)、甑等
がある。
そのため麹菌の増殖は大麦表面に留まり、表面だけに菌
糸があるいわゆる塗り破精麹となる傾向がある。また、
麹の増殖が遅く、麹そのものの溶解性も低い。実際、酒
造好適米を使用した清酒吟醸酒用麹では品質の指標とさ
れる総合力価は1800以上を示すのに対し、焼酎用大
麦麹の場合には、1100〜1200程度である。
来の原料処理方法により処理された麦を使用して製麹を
行う場合、麹菌の増殖は大麦表面に留まり、表面だけに
菌糸があるいわゆる塗り破精麹となり、麹の溶解性が悪
い。また、従来の原料処理方法により処理した大麦を掛
け原料として用いる場合、米を使用する場合に比べて発
酵経過は悪い。このような大麦麹または掛け原料を焼酎
の製造に用いると、酒造好適米を用いる清酒の製造の場
合に比べて、麹菌の増殖は悪く、麹の溶解性は低く、発
酵経過が遅いという問題がある。これらの問題は早急の
解決を要するものである。
酎の麹用大麦の原料処理方法における上述した問題を解
決すべく、原料処理方法の改善により麹菌の増殖を促進
し、大麦麹の溶解性を高め、製麹時間を短縮し、発酵期
間を短縮することを目的として実験を介して鋭意研究を
重ねた。その結果、原料大麦に、浸漬工程時に酵素剤を
含む水を吸水させることにより、これを麹原料として使
用した場合、麹菌の増殖が促進され、菌体量および総合
力価が高まり、麹の溶解性が向上し、またこれを掛け原
料として使用した場合にも発酵経過が良好となり、上記
技術的課題が解決される知見を得た。
る研究の結果完成に至ったものであり、本発明の主たる
目的は、従来の原料処理による麹および掛け原料に係る
上記問題点を解決し、焼酎製造において使用する麦麹及
び掛け原料について総合力価あるいは溶解性を高め、発
酵経過を良好にする原料処理方法を提供することにあ
る。
由にコントロールすること、そして洗浄排水を生じるこ
となくして、焼酎製造において使用する原料麦の処理を
効率的に行うことを可能にし、且つ高品質の焼酎の効率
的製造を可能にする焼酎製造方法を提供することにあ
る。
焼酎の製造法の骨子は、一度α化した原料大麦に、酵素
剤を含む所定量の水を吸水させ、再びα化したものを原
料として使用するところにある。本発明は、つぎの2つ
の態様を包含する。本発明の第一の態様は、焼酎用原料
大麦に対し2〜10重量%量の水を散水して120乃至
180℃の温度の蒸気と10乃至40分間接触させて前
記原料大麦をα化し、該α化した原料大麦に、セルラー
ゼ系、プロテアーゼ系、アミラーゼ系からなる群から選
ばれる少なくとも一種の酵素剤の所定量を含有する酵素
水溶液と温水を、合計20〜60重量%(前記原料麦に
対して)の範囲の量加水して、原料大麦の温度を30〜
50℃の範囲に保ちながら浸漬し、一度α化した該原料
大麦を再度α化し、得られた二度α化処理された原料大
麦を掛け原料に使用することを特徴とする焼酎の製造方
法である。本発明の第二の態様は、前記二度α化処理さ
れた原料大麦にアスペルギルス・カワチ(Asperg
illus kawachii)またはアスペルギルス
・オリゼー(Aspergillus oryzae)
を植菌して繁殖させて製麹を行い、得られる麦麹を原料
に使用することを特徴とする焼酎の製造方法である。
たときに原料に完全に吸水させた時の濃度を意味し、単
純に浸漬水中の酵素剤量を意味するものではない。本発
明において、2回目のα化に際して使用する酵素剤は、
セルラーゼ系、プロテアーゼ系、アミラーゼ系からなる
群から選ばれる一種またはそれ以上であることができ
る。いずれの場合にあっても、使用されるこれらの酵素
剤については、原料大麦に対しての使用量が重要な要件
である。該使用量は、一般的には、0.03〜0.09
重量%の範囲とされる。また、本発明においては、1回
目のα化でα化された原料大麦に該酵素水溶液を加水し
て更なるα化、即ち2回目のα化に先立って行う酵素液
浸漬処理における上述の範囲の量の酵素剤を含有する当
該酵素水溶液量と浸漬水の合計量もまた重要な要件であ
る。該酵素水溶液と浸漬水の合計量は、一般には、原料
大麦に対し20〜60重量%の範囲とされる。これら酵
素水溶液及び浸漬水の一旦α化処理した原料大麦への添
加は、両者を別々にどちらを先に加える手法により行っ
てもよいし、或いは、両者を予め混合して添加する手法
により行ってもよい。更に、前記酵素液浸漬処理におけ
る処理系の温度も重要な要件である。該温度は、一般に
は30〜50℃の範囲とされる。
供し得る状態にするためいわゆる原料処理を、上述した
ように、比較的少量の水の使用での第一次α化処理と、
第一次α化処理された原料大麦に特定の酵素剤を含む浸
漬水を吸水させてα化処理する第二次α化処理により行
うことから、原料処理排水を全く生じることなくして、
溶解性が極めてよく、焼酎製造の掛け原料としての使用
にあって発酵経過の極めて良い処理大麦が達成される。
特に、当該処理大麦は、焼酎製造における麹原料として
の使用にあって顕著な作用効果を奏する。即ち、従来の
焼酎製造法に比べて、麹菌の増殖が促進され、製麹時に
おける、菌体量、総合力価が増加する。その結果、従来
法で42時間かけて得られる麹の酵素力価と同じ水準に
達するまでの時間は、上述の酵素剤として一種の酵素
剤、即ち、セルラーゼ系、プロテアーゼ系、アミラーゼ
系のいずれの酵素剤を使用する場合であっても30時間
またはそれ以下の製麹時間でよく、従来法により得られ
る麹より良質な麹が得られる。
者らが行った実験について詳述する。なお、以下の実験
において、麹菌の菌体量は、日本醸造協会誌62、
(9)1029(1967)に記載の方法に従って測定
した。また、α−アミラーゼ活性は、国税庁所定分析法
注解に基づいて行った。なお、以下の記載における
“%”は“重量%”を示す。
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
09%のセルラーゼ系酵素剤(ここでは上田化学工業製
セルロシンPELを使用)を含む水溶液と温水を、その
合計が原料の35%になるように加え、温度を30〜5
0℃に保ちながら、全量吸水させた後、常法により30
分間蒸した。これに原料1kg当り1gの種麹(アスペ
ルギルス・カワチ(A.kawachii))を接種
し、35℃、湿度90%で22時間、33℃、湿度85
%で20時間製麹し、麹を製造した。
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
09%のアミラーゼ系酵素剤(ここでは上田化学工業製
リクイファーゼL45を使用)を含む水溶液と温水を、
その合計が原料の35%になるように加え、温度を30
〜50℃に保ちながら、全量吸水させた後、常法により
30分間蒸した。これに原料1kg当り1gの種麹(ア
スペルギルス・カワチ(A.kawachii))を接
種し、35℃、湿度90%で22時間、33℃、湿度8
5%で20時間製麹し、麹を製造した。
後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料に対し0.
09%のプロテアーゼ系酵素剤(ここでは上田化学工業
製オリエンターゼ20Aを使用)を含む水溶液と温水
を、その合計が原料の35%になるように加え、温度を
30〜50℃に保ちながら、全量吸水させた後、常法に
より30分間蒸した。これに原料1kg当り1gの種麹
(アスペルギルス・カワチ(A.kawachii))
を接種し、35℃、湿度90%で22時間、33℃、湿
度85%で20時間製麹し、麹を製造した。
の水を散布後、120〜180℃の蒸気でα化し、原料
の35%量の水を加え、全量吸水させた後、常法により
30分間蒸した。これに原料1kg当り1gの種麹(ア
スペルギルス・カワチ(A.kawachii))を接
種し、35℃、湿度90%で22時間、33℃、湿度8
5%で20時間製麹し、麹を製造した。
た場合の麹菌体量、α−アミラーゼ、総合力価を示し
た。表1に示した結果からつぎのことが理解される。即
ち、いずれの酵素を作用させた麦も、従来法に比べて、
菌体量、α−アミラーゼおよび総合力価のいずれも高
い。次に、各酵素剤を用いた場合および従来法におけ
る、製麹中の菌体量、α−アミラーゼおよび総合力価の
経時的変化を検討した。その結果を表2に示した。表2
に示した結果からつぎのことが理解される。即ち、製麹
30時間で、総合力価は、従来法で42時間製麹したと
きと、同じ程度の値を示す。即ち、従来法で42時間培
養した麹の総合力価と同じ水準に達するまでの時間は、
いずれの酵素剤を用いる場合であっても30時間以下の
短期間で従来法と同じ麹が製造できる。
るが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるも
のではない。
おいては、麹原料に、本発明による原料処理を施した大
麦を使用し、掛け原料に、従来法における原料処理を施
した大麦を使用した。
い、焼酎を製造した。麹原料として以下に述べるような
原料処理を施した精麦(70%)を使用し、2次原料と
して蒸麦を使用した。前記麹原料を得るについては、精
麦を次のようにして処理した。すなわち、大麦1kgに
水100gを散水した後に、150℃の蒸気でα化し、
0.9gのセルラーゼ系酵素剤(上田化学工業製セルロ
シンPEL)を含む水溶液と、水温70℃の水あわせて
350mlを加え、全量吸水させた後、30分こしきで
蒸した。放冷後、種麹(アスペルギルス・カワチ(A.
kawachii))1gを加え、35℃、湿度90%
で22時間、33℃、湿度85%で20時間製麹し、麹
を製造した。2次原料に用いる蒸麦は、大麦を40%ま
で吸水させ、40分間蒸した後、40℃まで放冷したも
のを使用した。1次もろみは得られた大麦麹1kgを使
用し、仕込水を1.2lとして、予め培養しておいた鹿
児島酵母を接種して、5日間発酵させて得た。2次もろ
みは、このようにして得られた1次もろみに仕込水を
3.8lとし、上述した原料処理を施した蒸麦2kgを
加え、10日間発酵させて得た。発酵温度は1次もろ
み、2次もろみとも25℃とした。その際の2次もろみ
の発酵経過を、炭酸ガスの減少量を求めることにより調
べた。このようにして7.0lの熟成もろみを得、これ
を減圧蒸留し、焼酎原酒2.8lを得た。
い、焼酎を製造した。麹原料として以下に述べるような
原料処理を施した精麦(70%)を使用し、2次原料と
して蒸麦を使用した。前記麹原料を得るについては、精
麦を次のようにして処理した。すなわち、大麦1kgに
水100gを散水した後に、150℃の蒸気でα化し、
0.9gのアミラーゼ系酵素剤(上田化学工業製リクフ
ァーゼL45)を含む水溶液と、水温70℃の水あわせ
て350mlを加え、全量吸水させた後、30分こしき
で蒸した。放冷後、種麹アスペルギルス・カワチ(A.
kawachii)1gを加え、35℃、湿度90%で
22時間、33℃、湿度85%で20時間製麹し、麹を
製造した。2次原料に用いる蒸麦は、大麦を40%まで
吸水させ、40分間蒸した後、40℃まで放冷したもの
を使用した。1次もろみは得られた大麦麹1kgを使用
し、仕込水を1.2lとして、予め培養しておいた鹿児
島酵母を接種して、5日間発酵させて得た。2次もろみ
は、このようにして得られた1次もろみに仕込水を3.
8lとし、上述した原料処理を施した蒸麦2kgを加
え、10日間発酵させて得た。発酵温度は1次もろみ、
2次もろみとも25℃とした。その際の2次もろみの発
酵経過を、炭酸ガスの減少量を求めることにより調べ
た。このようにして7.0lの熟成もろみを得、これを
減圧蒸留し、焼酎原酒2.8lを得た。
焼酎を製造した。麹原料として精麦(70%)を使用
し、2次原料として蒸麦を使用した。前記麹原料を得る
については、精麦を次のようにして処理した。すなわ
ち、大麦1kgを35%まで吸水させ、40分間蒸し
た。放冷後、種麹(アスペルギルス・カワチ(A.ka
wachii))1gを加え、35℃、湿度90%で2
2時間、33℃、湿度85%で20時間製麹し、麹を製
造した。2次原料に用いる蒸麦は、大麦を40%まで吸
水させ、40分間蒸した後、40℃まで放冷したものを
使用した。1次もろみは得られた大麦麹1kgを使用
し、仕込水を1.2lとして、予め培養しておいた鹿児
島酵母を接種して、5日間発酵させて得た。2次もろみ
は、このようにして得られた1次もろみに仕込水を3.
8lとし、上述した原料処理を施した蒸麦2kgを加
え、12日間発酵させて得た。発酵温度は1次もろみ、
2次もろみとも25℃とした。その際の発酵経過を、炭
酸ガスの減少量を求めることにより調べた。このように
して7.0lの熟成もろみを得、これを減圧蒸留し、焼
酎原酒2.8lを得た。
調べた2次もろみの発酵経過を図1に示した。図1から
明らかなように、麹原料に本発明による原料処理を施し
た麦を使用した実施例1−1及び実施例1−2はいずれ
も、従来法による比較例1よりも、2次もろみにおける
発酵の立ち上がりが速く、良好な発酵経過をもたらした
ことが判る。また、図1から明らかなように、実施例1
−1及び実施例1−2はいずれも、すでに2次もろみの
10日目において、比較例1の12日目とほぼ等しい発
酵減量に達したことが判る。このことから本発明による
原料処理を施した大麦を麹原料として使用した場合、発
酵が速やかに進行し、発酵期間が短縮されることが理解
される。
は、麹原料に、従来法による原料処理を施した大麦を使
用し、掛け原料に、本発明による原料処理を施した大麦
を使用した。
い、焼酎を製造した。麹原料として精麦(70%)を使
用し、2次原料として以下に述べるような原料処理を施
した蒸麦を使用した。前記麹原料を得るについては、精
麦を次のようにして処理した。すなわち、大麦1kgを
35%まで吸水させ、40分間蒸した。放冷後、種麹
(アスペルギルス・カワチ(A.kawachii))
1gを加え、35℃、湿度90%で22時間、33℃、
湿度85%で20時間製麹し、麹を製造した。2次原料
に用いる蒸麦は、大麦2kgに水200gを散水した後
に、150℃の蒸気でα化し、1.8gのセルラーゼ系
酵素剤(上田化学工業製セルロシンPEL)を含む水溶
液と、水温70℃の水あわせて700mlを加え、全量
吸水させた後、30分こしきで蒸した。1次もろみは得
られた大麦麹1kgを使用し、仕込水を1.2lとし
て、予め培養しておいた鹿児島酵母を接種して、5日間
発酵させて得た。2次もろみは、このようにして得られ
た1次もろみに仕込水を3.8lとし、上述の原料処理
を施した蒸麦2kgを加え、10日間発酵させて得た。
発酵温度は1次もろみ、2次もろみとも25℃とした。
その際の2次もろみの発酵経過を、炭酸ガスの減少量を
求めることにより調べた。このようにして7.0lの熟
成もろみを得、これを減圧蒸留し、焼酎原酒2.8lを
得た。
い、焼酎を製造した。麹原料として精麦(70%)を使
用し、2次原料として以下に述べるような原料処理を施
した蒸麦を使用した。前記麹原料を得るについては、精
麦を次のようにして処理した。すなわち、大麦1kgを
35%まで吸水させ、40分間蒸した。放冷後、種麹
(アスペルギルス・カワチ(A.kawachii))
1gを加え、35℃、湿度90%で22時間、33℃、
湿度85%で20時間製麹し、麹を製造した。2次原料
に用いる蒸麦は、大麦2kgに水200gを散水した後
に、150℃の蒸気でα化し、1.8gのアミラーゼ系
酵素剤(上田化学工業製リクイファーゼL45)を含む
水溶液と、水温70℃の水あわせて700mlを加え、
全量吸水させた後、30分こしきで蒸した。1次もろみ
は得られた大麦麹1kgを使用し、仕込水を1.2lと
して、予め培養しておいた鹿児島酵母を接種して、5日
間発酵させて得た。2次もろみは、このようにして得ら
れた1次もろみに仕込水を3.8lとし、上述の原料処
理を施した蒸麦2kgを加え、10日間発酵させて得
た。発酵温度は1次もろみ、2次もろみとも25℃とし
た。その際の2次もろみの発酵経過を、炭酸ガスの減少
量を求めることにより調べた。このようにして7.0l
の熟成もろみを得、これを減圧蒸留し、焼酎原酒2.8
lを得た。
において調べた2次もろみの発酵経過を図2に示した。
図2から明らかなように、掛け原料に本発明による原料
処理を施した麦を使用した実施例2−1及び実施例2−
2はいずれも、比較例1よりも、2次もろみにおける発
酵の立ち上がりが速く、良好な発酵経過をもたらしたこ
とが判る。また、図2から明らかなように、実施例2−
1及び実施例2−2はいずれも、すでに2次もろみの1
0日目において、比較例1の12日目とほぼ等しい発酵
減量に達したことが判る。このことから本発明による原
料処理を施した大麦を掛け原料として使用した場合、発
酵が速やかに進行し、発酵期間が短縮されることが理解
される。
は、麹原料と掛け原料の両者に、本発明による原料処理
を施した大麦を使用した。
い、焼酎を製造した。本実施例においては麹原料、2次
原料とも以下に述べるように原料処理を施した精麦(7
0%)を使用した。前記麹原料を得るについては、精麦
を次のようにして処理した。すなわち、大麦1kgに水
100gを散水した後に、150℃の蒸気でα化し、
0.9gのセルラーゼ系酵素剤(上田化学工業製セルロ
シンPEL)を含む水溶液と、水温70℃の水あわせて
350mlを加え、全量吸水させた後、30分こしきで
蒸した。放冷後、種麹(アスペルギルス・カワチ(A.
kawachii))1gを加え、35℃、湿度90%
で22時間、33℃、湿度85%で20時間製麹し、麹
を製造した。2次原料に用いる蒸麦は、大麦2kgに水
200gを散水した後に、150℃の蒸気でα化し、
1.8gのセルラーゼ系酵素剤(上田化学工業製セルロ
シンPEL)を含む水溶液と、水温70℃の水あわせて
700mlを加え、全量吸水させた後、30分こしきで
蒸した。1次もろみは得られた大麦麹1kgを使用し、
仕込水を1.2lとして、予め培養しておいた鹿児島酵
母を接種して、5日間発酵させて得た。2次もろみは、
このようにして得られた1次もろみに仕込水を3.8l
とし、上述の原料処理を施した蒸麦2kgを加え、10
日間発酵させて得た。発酵温度は1次もろみ、2次もろ
みとも25℃とした。その際の2次もろみの発酵経過
を、炭酸ガスの減少量を求めることにより調べた。この
ようにして7.0lの熟成もろみを得、これを減圧蒸留
し、焼酎原酒2.8lを得た。
い、焼酎を製造した。本実施例においては麹原料、2次
原料とも以下に述べるように原料処理を施した精麦(7
0%)を使用した。前記麹原料を得るについては、精麦
を次のようにして処理した。すなわち、大麦1kgに水
100gを散水した後に、150℃の蒸気でα化し、
0.9gのアミラーゼ系酵素剤(上田化学工業製リクイ
ファーゼL45)を含む水溶液と、水温70℃の水あわ
せて350mlを加え、全量吸水させた後、30分こし
きで蒸した。放冷後、種麹(アスペルギルス・カワチ
(A.kawachii))1gを加え、35℃、湿度
90%で22時間、33℃、湿度85%で20時間製麹
し、麹を製造した。2次原料に用いる蒸麦は、大麦2k
gに水200gを散水した後に、150℃の蒸気でα化
し、1.8gのアミラーゼ系酵素剤(上田化学工業製リ
クイファーゼL45)を含む水溶液と、水温70℃の水
あわせて700mlを加え、全量吸水させた後、30分
こしきで蒸した。1次もろみは、得られた大麦麹1kg
を使用し、仕込水を1.2lとして、予め培養しておい
た鹿児島酵母を接種して、5日間発酵させて得た。2次
もろみは、このようにして得られた1次もろみに仕込水
を3.8lとし、上述の原料処理を施した蒸麦2kgを
加え、10日間発酵させて得た。発酵温度は1次もろ
み、2次もろみとも25℃とした。その際の2次もろみ
の発酵経過を、炭酸ガスの減少量を求めることにより調
べた。このようにして7.0lの熟成もろみを得、これ
を減圧蒸留し、焼酎原酒2.8lを得た。
例1において調べた2次もろみの発酵経過を図3に示し
た。図3から明らかなように、麹原料と掛け原料の両者
に、本発明による原料処理を施した大麦を使用した実施
例3−1及び実施例3−2はいずれも、比較例1より
も、良好な発酵経過をもたらしたことが判る。また、図
3から明らかなように、実施例3−1及び実施例3−2
はいずれも、すでに2次もろみの10日目において、比
較例1の12日目とほぼ等しい発酵減量に達したことが
判る。このことから本発明による原料処理を施した大麦
を、麹原料と掛け原料の両者に使用した場合、発酵が速
やかに進行し、発酵期間が短縮されることが理解され
る。
て得られた、焼酎原酒の官能検査試験を行った。官能検
査試料には、焼酎原酒をアルコール度数25%に調整し
たものを用いた。また、官能評価は、12名のパネラー
による、香り、味、総合についての5点評価法(1;
優、3;可、5;不可)で行った。官能検査試験の結果
を表4に示した。表4に示した官能検査の結果から明ら
かなように、香り、味、総合のすべてにおいて、実施例
3−1において得られた焼酎が卓越していることが解
る。また、パネラーの評価から実施例3−1のほうが比
較例1よりも香味豊かな焼酎が得られることがわかっ
た。これは、酵素浸漬による原料処理を施した大麦を用
いて麹を製造する場合、麹の破精込みが良くなり、総合
力価が増加し、これらが得られる焼酎の香味に良い結果
をもたらしたものと考えられる。
酎製造に供し得る状態にするためいわゆる原料処理を上
述したように、比較的少量の水の使用での第一次α化処
理と、第一次α化処理された原料大麦に特定の酵素剤を
含む浸漬水を吸水させてα化処理する第二次α化処理に
より行うことから、原料処理排水を全く生じることなく
して、溶解性が極めて良く、焼酎製造の掛け原料として
の使用にあって発酵経過の極めて良い処理大麦が達成さ
れる。特に、当該処理大麦は、焼酎製造における麹原料
としての使用にあって顕著な作用効果を奏する。すなわ
ち、従来の焼酎製造法に比べて、麹菌の増殖が促進さ
れ、製麹時における、菌体量、総合力価が増加する。そ
の結果、従来法で42時間かけて得られる麹の酵素力価
と同じ水準に達するまでの時間は、上述の酵素剤として
一種の酵素剤、すなわち、セルラーゼ系、プロテアーゼ
系、アミラーゼ系のいずれの酵素剤を使用する場合であ
っても30時間又はそれ以下の製麹時間でよく、従来法
により得られる麹より良質な麹が得られる。
おける、2次もろみの発酵経過を示すグラフである。図
2は、実施例2−1、実施例2−2および比較例1にお
ける、2次もろみの発酵経過を示すグラフである。図3
は、実施例3−1、実施例3−2および比較例1におけ
る、2次もろみの発酵経過を示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 焼酎用原料麦に対し2〜10重量%量の
水を散水して120乃至180℃の温度の蒸気と10乃
至40分間接触させて前記原料麦をα化し、該α化した
原料麦に、セルラーゼ系、プロテアーゼ系、アミラーゼ
系からなる群から選ばれる少なくとも一種の酵素剤の所
定量を含有する酵素水溶液と浸漬水を、合計20〜60
重量%(前記原料麦に対して)の範囲の量加水して、該
α化した原料麦を再度α化し、得られたものを掛け原料
に使用することを特徴とする焼酎の製造方法。 - 【請求項2】 原料麦に対し2〜10重量%量の水を散
水して120乃至180℃の温度の蒸気と10乃至40
分間接触させて前記原料麦をα化し、該α化した原料麦
に、セルラーゼ系、プロテアーゼ系、アミラーゼ系から
なる群から選ばれる少なくとも一種の酵素剤の所定量を
含有する酵素水溶液と浸漬水を、合計20〜60重量%
(前記原料麦に対して)の範囲の量加水して、該α化し
た原料麦を再度α化し、得られた二度α化処理された原
料麦にアスペルギルス・カワチ(Aspergillu
s kawachii)またはアスペルギルス・オリゼ
ー(Aspergillus oryzae)を植菌
し、得られる麦麹を原料に使用することを特徴とする焼
酎の製造方法。 - 【請求項3】 前記酵素水溶液が、0.03〜0.09
重量%の酵素剤(前記原料麦に対して)を含有するもの
である、請求項1または2に記載の焼酎の製造法。 - 【請求項4】 前記浸漬水に温水を使用して、浸漬中の
原料麦の温度を30〜50℃の範囲に保つ、請求項1ま
たは2に記載の焼酎の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7780394A JP2835819B2 (ja) | 1994-03-25 | 1994-03-25 | 焼酎の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7780394A JP2835819B2 (ja) | 1994-03-25 | 1994-03-25 | 焼酎の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07255457A true JPH07255457A (ja) | 1995-10-09 |
JP2835819B2 JP2835819B2 (ja) | 1998-12-14 |
Family
ID=13644175
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7780394A Expired - Lifetime JP2835819B2 (ja) | 1994-03-25 | 1994-03-25 | 焼酎の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2835819B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030013688A (ko) * | 2001-08-08 | 2003-02-15 | 주식회사 국순당 | 고품질 술의 제조방법 |
-
1994
- 1994-03-25 JP JP7780394A patent/JP2835819B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030013688A (ko) * | 2001-08-08 | 2003-02-15 | 주식회사 국순당 | 고품질 술의 제조방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2835819B2 (ja) | 1998-12-14 |
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