JPH0725542B2 - 希土類元素の分離精製方法 - Google Patents

希土類元素の分離精製方法

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JPH0725542B2
JPH0725542B2 JP62284310A JP28431087A JPH0725542B2 JP H0725542 B2 JPH0725542 B2 JP H0725542B2 JP 62284310 A JP62284310 A JP 62284310A JP 28431087 A JP28431087 A JP 28431087A JP H0725542 B2 JPH0725542 B2 JP H0725542B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は経済効率が高く、かつ高純度の希土類元素が得
られる希土類元素の分離精製方法に関するものであり、
詳しくは強酸性陽イオン交換樹脂と錯形成剤を用いて、
希土類元素の混合物から高純度の希土類元素を高回収率
で得、かつ錯形成剤の損失のない高経済性プロセスに関
するものである。希土類元素はランタニド族元素,スカ
ンジウム(Sc)およびイットリウム(Y)のから成り、
螢光材料,永久磁石材料,水素吸蔵材等幅広く使用さ
れ、今後も大きな需要の伸びが見込まれている有用な元
素である。
[従来の技術及び発明が解決しようとする問題点] イオン交換法のうち、最も広く知られた方法は例えば、
強酸性陽イオン交換樹脂の充填層に、希土類元素の塩類
の混合溶液を通液し、強酸性陽イオン交換樹脂床の上部
に希土類元素の吸着帯を形成させた後、水洗する。次
に、錯形成剤溶液を流し、各希土類元素と錯形成剤及び
イオン交換樹脂との親和力の僅かな差を利用することに
より、クロマト分離を行ない、高純度の各希土類元素を
得る方法である。
該方法は、通常強酸性陽イオン交換樹脂の保持イオンと
して銅(II)イオン,鉄(III)イオン,ニッケル(I
I)イオン等の金属イオンを用いており、これら金属イ
オンの希土類元素への混入の恐れがあり、高純度化は難
しい。又、これら金属イオンの回収,再利用が必須であ
り、その為の操作および装置が複雑化する。又、該方法
によって高純度の希土類元素が得られない場合は、流出
する目的の希土類元素と錯形成剤からなる分画液(溶出
液)を再度同様な操作を行い、分離精製し、高純度の希
土類元素を得る。場合によっては、該操作を数回くり返
すこともある。この場合、希土類元素と錯形成剤から成
る溶出液から、希土類元素と錯形成剤を分別する必要が
生ずる。その分別方法としては次の方法が用いられてい
る。
例えば錯形成剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)であ
る場合、得られた希土類元素とEDTAを含む溶出液よりED
TA及び希土類元素を分別回収する方法として、まず、溶
出液に鉱酸を加え、EDTAを酸型にし沈澱として析出さ
せ、洗浄,過をして、EDTAを回収し、次いで、液を
前記強酸性陽イオン交換樹脂の充填層に通液して、希土
類元素の吸着帯を形成させる。しかしながら、このよう
な方法を工業的規模で行なう時、大量の溶出液からEDTA
を析出分離しなければならないため、操作が複雑であ
り、装置が大型化する。また、液に溶存したEDTAはそ
のまま系外にパージされ、損失になるという技術的・経
済的問題点を持っている。
また、錯形成剤がN−ヒドロキシエチルエチレンジアミ
ン三酢酸(HEDTA),ジエチレントリアミン−N,N,N′,
N″,N″−五酢酸(DTPA)等酸型での溶解度が大きい場
合、溶出液にシュウ酸を直接加え、希土類元素のシュウ
酸塩を析出させ、洗浄・過・乾燥・焼成して希土類元
素酸化物とし、鉱酸で溶解して前記強酸性陽イオン交換
樹脂の充填層に通液して、希土類元素の吸着帯を形成さ
せる一方、液はpHを調整後再使用したり、過酸化水素
を加えて過剰のシュウ酸を分解してpH調整後再使用する
方法がある。
該方法は、大量の溶出液から希土類元素を沈澱回収,焼
成後再溶解させる為、操作が複雑で装置が大型化する。
液に希土類元素,シュウ酸が残存することが応々にし
てあり、再使用時に、希土類元素の相互分離性が悪化し
たり、残存シュウ酸によりカラム内での希土類元素の析
出の恐れがある。更に、過酸化水素を加えてシュウ酸を
分解する方法は、薬剤費の増大を招く等数多くのそして
重大な問題を有する。
又、特開昭58−41719号公報では2種類の錯形成剤を用
い、3回陽イオン交換樹脂で分離することにより、イッ
トリウムを精製する方法を開示している。
該方法では高純度のイットリウムを得ることができ、
又、錯形成剤を回収し、再利用できる。しかしながら、
該方法は吸着塔と分離塔の区別がなく、その為各々の塔
で最適な陽イオン交換樹脂の対イオンを選択することが
できず、分離精製の向上が望めない。
(発明の目的) 本発明は、従来技術のもつ前記問題点を解決すべくなさ
れたものであって、強酸性陽イオン交換樹脂と錯形成剤
を用いて、希土類元素の混合物から高純度の希土類元素
を高回収率で得、錯形成剤の損失のない高経済性希土類
元素の分離精製方法を提供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは、イオン交換法による希土類元素の分離方
法について、希土類元素の混合物から高純度の希土類元
素を高回収率で分離精製することができ、且つ、錯形成
剤の損失がなく循環使用ができる方法を見い出すべく鋭
意検討した。
その結果、イオン交換体は強酸性陽イオン交換樹脂を用
い、イオン交換塔は吸着塔と分離塔に分け、希土類元素
混合物と錯形成剤から成る水溶液を吸着塔に通液して、
希土類元素混合物を吸着させ、実質的に希土類元素を含
まない錯形成剤の水溶液を得、次に吸着塔と分離塔とを
連結して錯形成剤の水溶液を吸着塔から通液することに
よって、希土類元素を精度よく相互分離できることを見
い出し、遂に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、錯形成剤と強酸性陽イオン交換樹
脂を用いて、希土類元素混合物を相互分離する方法にお
いて、希土類元素混合物と錯形成剤(この錯形成剤を以
下、「錯形成剤A」という)から成る水溶液を、官能基
としてスルホン酸基をもつ強酸性陽イオン交換樹脂(こ
のイオン交換樹脂を、以下「IE−A」という)を充填し
た吸着塔に通液し、希土類元素混合物を吸着させ、流出
する実質的に希土類元素を含まない錯形成剤Aの水溶液
を回収し、次いで該吸着塔を、官能基としてスルホン酸
基およびカルボン酸基をもつ強酸性陽イオン交換樹脂
(このイオン交換樹脂を以下、「IE−B」という)を充
填した分離塔と連結し、吸着塔から錯形成剤(この錯形
成剤を、以下「錯形成剤B」という)の水溶液を通液す
ることを特徴とする希土類元素の分離精製方法である。
本発明によれば、希土類元素の混合物から高純度の希土
類元素を高収率で得ることができ、又、高価な錯形成剤
を損失なく循環使用することとができる。又、操作は容
易であり、装置のコンパクト化も図れ、高経済性を達成
できる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、希土類元素混合物と錯形成剤Aとからなる水
溶液を、IE−Aを充填した吸着塔に通液して、希土類元
素混合物を吸着させ、流出する実質的に希土類元素を含
まない錯形成剤A水溶液を回収する。
希土類元素混合物と錯形成剤Aから成る水溶液は、特に
限定はなく、たとえば、希土類元素混合物を錯形成剤A
の水溶液でイオン交換分離する際に生成する分離精製が
不十分である希土類元素混合物と錯形成剤Aを主成分と
する水溶液(溶出液とも言う)などを挙げることができ
る。
錯形成剤Aは、通常、希土類元素の相互分離に用いられ
るものであって、エチレンジアミン四酢酸(EDTA),N−
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA),1,
2−ジアミノシクロヘキサン五酢酸(DCPA),ジエチレ
ントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸(DTPA),エ
チレングリコール−ビス(2−アミノエチル)エーテル
−N,N,N′,N′−四酢酸(DE),ビス(2−アミノエチ
ル)エーテル−N,N,N′,N′−四酢酸(ME),ニトリロ
三酢酸(NTA),イミノ二酢酸(IMPA)等のアミノポリ
酢酸類;クエン酸,乳酸,グリコール酸,リンゴ酸,酒
石酸等のオキシカルボン酸類等いずれも使用することが
でき、又混合して用いても良い。特に、アミノポリ酢酸
類が希土類元素の相互分離性が良く好ましい。更には、
希土類元素のほとんどに対して相互分離性が良く、入手
し易く、、比較的安価であるEDTA,HEDTA,DTPAより選ば
れた1種が好ましい。
希土類元素混合物と錯形成剤Aから成る水溶液のpHは、
希土類元素が加水分解して沈澱を生ずることがなく、か
つ、希土類元素混合物の吸着率を高くできる0〜5が好
ましく、更には1〜4が好ましい。前述したように、該
水溶液がイオン交換分離して得られる溶出液であるとき
は、そのpHは前述範囲になり、格別pHを調節する必要は
ない。希土類元素混合物と錯形成剤Aとの比に制限はな
い。溶出液の場合は、必然的に希土類元素に対する錯形
成剤Aの比は1以上になる。
錯形成剤A及び希土類元素の濃度は、特に制限はない
が、通常、各々、5〜200mmol/l,1〜100mmol/lである。
又、該水溶液の希土類元素以外のカチオンはプロトン
(H+)及び又はアンモニウムイオン(NH4 +)であること
が好ましく、吸着率の向上だけでなく、分離精製も向上
できる。
希土類元素混合物を吸着させる際の温度は、錯形成剤A
が析出しない温度であれば問題はないが、温度が高い程
吸着率及び吸着速度が高くて効果的であり、樹脂の吸着
利用率(吸着塔のIE−Aの全スルホン酸基容量に対する
吸着希土類元素の割合)および錯形成剤Aの回収率を大
きくできる。しかしながら、高過ぎると樹脂の劣化が激
しくなったり、熱エネルギーを多量必要とする為、温度
は30〜120℃が良く、特に好ましくは50〜95℃である。
IE−Aは、官能基としてスルホン酸基を有するものであ
る。これに代えてスルホン酸基と弱酸基であるカルボン
酸基,フェノール基,リン酸基との混在型の樹脂を使用
すると、錯形成剤Bの水溶液による希土類元素混合物の
相互分離性は混在型が良いが、希土類元素混合物の吸着
性は錯形成剤Aが共存しているので幾分劣る。一方、ス
ルホン酸基のみから成る樹脂は錯形成剤Aが共存してい
ても希土類元素混合物の吸着性は高い。
従って、IE−Aとしてより好ましいスルホン酸基のみか
ら成る樹脂を使用するのである。スルホン酸基のみから
成る樹脂として、市販のオルガノ(株)製、アンバーラ
イトCG−120、アンバーライトIR−120B,アンバーライト
IR−252;三菱化成工業(株)製、ダイヤイオンSK1B,ダ
イヤイオンRMK−80S,ダイヤイオンPK−216;ダウケミカ
ル(株)製、ダウエックス50W,ダウエックス88等が挙げ
られる。又、樹脂にはゲル型とマクロポーラス型がある
が、物理的強度が大きく、且つ希土類元素の分離効率の
よい後者が好ましい。樹脂は、小粒径程吸着速度が大き
くなり好ましくいが、小さ過ぎると圧力損失が大きくな
る。好ましい樹脂の径は0.05〜0.3mmである。
該樹脂の官能基の対イオンは、H+であることが好まし
い。H+であるとき、希土類元素混合物の吸着量を大きく
できる。NH4 +であるとき、錯形成剤Aの影響を受け、吸
着量は低下する。樹脂に酸水溶液を通液することによっ
て対イオンを容易にH+にできる。
吸着塔の塔内径(D)に対する充填層高(Z)は、希土
類元素の吸着効率を高めること、吸着塔の製作を容易に
することから、2〜50が好ましく、更には3〜30が好ま
しい。
希土類元素混合物と錯形成剤Aから成る水溶液を吸着塔
に通液すると、該吸着塔より実質的に希土類元素を含ま
ない錯形成剤Aの水溶液が流出する。ここで言う実質的
とは、希土類元素が含まれていても得られる錯形成剤A
の水溶液が再使用に実用上支障ない程度の含有量である
ことを意味する。吸着を破過点でとどめるかぎり、1mg/
l以下、通常0.1mg/l以下が維持され、充分再使用にたえ
る。
更に興味深いことに通液していくと、先ず錯形成剤Aの
濃度が低い、錯形成剤Aの種類(例えばHEDTA)によっ
ては、実質的に存在しない水溶液が流出してくる。この
時、錯形成剤Aは樹脂に吸着されている。したがって、
該水溶液を系外に排出することにより、pH調整時の薬
剤,原料希土類元素,材質等に由来するアニオンを主に
した不純物をパージできる。そのパージ量は、不純物
量,錯形成剤Aの濃度、等によって異なるが、通液量の
5〜30%にすることで蓄積を防ぐことができる。これ
は、錯形成剤の損失を少なくし、循環再使用する方法に
とっては極めて重要なことである。更に通液を続ける
と、吸着していた錯形成剤Aは脱着して、その結果濃縮
された水溶液が流出する。その濃縮倍率は2倍にも達す
ることがある。その後、希土類元素混合物の吸着が飽和
に達して、錯形成剤Aの水溶液に希土類元素が含まれて
くる。通液操作は破過と同時、又はその前に終える。破
過は、錯形成剤Aの水溶液を誘導結合プラズマ発光分光
分析装置,原子吸光分析装置,螢光X線分析装置等で分
析することにより容易に検知できる。
希土類元素混合物の吸着量は、樹脂の種類,温度,分画
液のpH等によって異なるが、通常吸着塔のスルホン酸基
の総イオン交換容量の30〜90%にする。
得られた実質的に希土類元素を含まない錯形成剤Aの水
溶液はそのまま循環再使用しても、また必要であればア
ンモニア水でpHを調整したり、純水で濃度を調整して再
使用しても良い。
こうして、錯形成剤Aはほぼ回収できるが、一部樹脂に
吸着する。それは、水洗することによって除去,回収で
きる。
吸着塔と分離塔の区別がなく、一体化した塔で操作する
と、希土類元素混合物と錯形成剤Aから成る水溶液の通
液終了時、多量の錯形成剤Aが樹脂に吸着しており、そ
の回収率は低下する。又、水洗して回収するにしてもそ
の回収率は低いか、又は膨大な量の洗浄水を用いる必要
が生じる。本発明は、吸着塔と分離塔を分けることでこ
の問題を解決できた。
水洗後、次の錯形成剤Bの水溶液を通じるが、その前に
0.01〜1eq/lのアンモニウム塩水溶液を通じて、吸着塔
に残った対イオンのH+をNH4 +にすることが好ましい。NH
4 +にすることによって相互分離性が向上し、高純度の希
土類元素を得ることができる。
次に、吸着塔をIE−Bを充填した分離塔と連結し、吸着
塔から錯形成剤Bの水溶液を通じ、希土類元素混合物を
相互分離し、高純度の希土類元素分画液を得る。
IE−Bとしては、希土類元素混合物の分離性を向上させ
る為に、スルホン酸基とカルボン酸基から成るイオン交
換樹脂を使用する。とくに、特開昭53−4787号公報、特
開昭58−45341号公報に示された、スルホン酸基とカル
ボン酸基から成るイオン交換繊維が望ましい。イオン交
換繊維を用いることにより、通液速度を大きくでき、且
つ相互分離性を向上できる。イオン交換繊維の長さは0.
01〜1mm,径は0.005〜0.1mmが好ましく通液速度を大きく
できる。又、カルボン酸基に対するスルホン酸基の交換
比率は1.0以上が好ましい。又、イオン交換基の対イオ
ンはH+及び/又はNH4 +が良く、特にスルホン酸基の対イ
オンがNH4 +であることが好ましい。この時、カルボン酸
基は、H+でも構わない。こらの対イオンへの交換は、酸
の水溶液で処理することでH+,アンモニウム塩水溶液,
アンモニウム塩とアンモニアの水溶液で処理することで
NH4 +にできる。又、錯形成剤Bの対イオンがNH4 +である
時、分離後の樹脂の対イオンはNH4 +になっており、型変
換することなくそのままくり返して分離操作しても良
い。この方法によると薬剤費の削減及び操作時間の短縮
が図れる。
分離塔の樹脂量は、多い程希土類元素混合物の相互分離
性は向上するが、他方樹脂費用が大きくなり、又溶出す
る希土類元素の濃度が低くなる。好ましい樹脂量は、吸
着させた希土類元素混合物に対して樹脂の全スルホン酸
基が0.1〜0.5当量倍になる量である。又、塔内径(D)
に対する充填層高(Z)は、希土類元素混合物の相互分
離性を高めること、及び塔の製作のし易さから、2〜50
が良く、3〜40が更に好ましい。吸着塔に対して分離塔
は通常大きくなる。本発明では、吸着塔と分離塔は別に
している為分離塔のDは吸着塔のそれにとらわれること
なく設定できる。
錯形成剤Bは錯形成剤Aと同様のものを使用できる。し
かながら、高純度のイットリウム(Y)又はジスプロシ
ウム(Dy)分画液を効率良く得る場合、錯形成剤AがED
TAの時、錯形成剤BはHEDTA又はDTPAであることが好ま
しく、錯形成剤AがHEDTA又はDTPAである時、錯形成剤
BはEDTAであることが好ましい。他の高純度希土類元素
分画液を得る場合、錯形成剤A,BいずれもEDTAを使用し
ても良いし、又、Y,Dyの様に組み合わせても良い。本発
明では、吸着塔と分離塔を区別している為、異種錯形成
剤を用いても、それらの混合を容易に防ぐことができ
る。
錯形成剤Bの濃度は、飽和溶解度以下で、且つ5〜100m
mol/lが好ましい。低いと、大量の錯形成剤Bの水溶液
を扱うことになり、高いと希土類元素の相互分離性が悪
くなる。該水溶液のpHは通常行なわれている3〜11が良
く、好ましくは4〜8である。又、錯形成剤Bの水溶液
のカチオンは、H+及び/又はNH4 +であることが好まし
い。この場合、希土類元素の相互分離性が向上するだけ
でなく、高純度の希土類元素を得ることができる。
錯形成剤Bの水溶液を通液する速度は、吸着塔と分離塔
の総樹脂量に対しして、空塔速度SV0.1〜3Hr-1が好ま
しい。小さいと、相互分離性は向上するが、分離に長時
間要し、大きいと相互分離性が低下する。イオン交換繊
維を用いた場合、範囲内で速度を大きくできるので好ま
しい。
通液時の温度は、30〜120℃であり、好ましくは50〜95
℃である。
錯形成剤Bの水溶液により吸着されていた希土類元素混
合物は溶出し、相互分離される。溶出してくる希土類元
素の順位は、錯形成剤Bと希土類元素との錯生成定数に
より決まり、錯生成定数の大きい希土類元素から順に溶
出する。EDTAを使用すると、原子番号の大きい希土類元
素(重希土類元素)から溶出している。例えば、YはDy
とほぼ同じ順位で溶出し、Dyを含んだYの分画液を得る
ことになる。錯形成剤BとしてDTPAを使用するとルテチ
ウムからテルビウムまでの重希土類元素がほぼ同時に溶
出し、次いでガドリニウム(Gd),ユーロピウム(Eu)
サマリウム(Sm),イットリウム(Y),ネオジム(N
d)の順で溶出し、以下軽希土類元素が続く、溶出の遅
い希土類元素程相互分離性は良くなる。
こうして、希土類元素混合物を相互分離でき、高純度の
希土類元素分画液を得ることができる。該分画液の取得
位置は、ICP分析により容易に判断できる。又、2種類
以上の希土類元素の混じった液は循環し、再分離するこ
とにより回収でき、総回収率を高くできる。
得られた、高純度希土類元素と錯形成剤Bからなる水溶
液から高純度希土類元素を固体として回収する方法につ
いては、本発明では制限がないが、次の方法がある。
従来の様に、錯形成剤BがEDTAである時、酸を加えてpH
1.0〜1.5としてEDTAを析出分離し、液に蓚酸を加えて
pH1.0〜1.5で高純度希土類元素の蓚酸塩を析出分離し、
該結晶を乾燥・焼成して希土類酸化物とする方法、錯形
成剤Bが酸に対する溶解度の大きいHEDTA,DTPA等である
時、直接蓚酸を加えて、希土類元素の蓚酸塩を析出分離
し、該結晶を乾燥・焼成して希土類元素酸化物とする方
法がある。
しかしながら、最も好ましい方法は、プロトン型強酸性
陽イオン交換樹脂を充填したカラムに高純度希土類元素
と錯形成剤Bから成る水溶液を通液して高純度希土類元
素を選択的に吸着させ、実質的に希土類元素を含まない
錯形成剤Bの水溶液を得、次いで、カラムに酸の水溶液
を通じて高純度希土類元素を回収する方法である。
そして、得られた高純度希土類元素の水溶液に蓚酸を加
えてpH1.0〜1.5で高純度希土類元素の蓚酸塩を析出さ
せ、これを分離・乾燥・焼成をして高純度希土類元素酸
化物を得る。
この方法によれば、簡単な操作及びコンパクトな装置で
処理でき、錯形成剤Bをほぼ完全に回収でき、高純度希
土類元素を濃縮水溶液として回収でき、更には、HEDTA,
DTPA等、酸に対して溶解度が大きい錯形成剤でも回収・
再使用が容易に実施できる。
[発明の効果] 次に本発明の効果を列記する。
本発明により、高純度の希土類元素を高回収率で、
かつ高経済的に得ることができる。
吸着塔,分離塔でそれぞれ最適な強酸性陽イオン交
換樹脂を選択でき、その結果、希土類元素混合物の相互
分離性を向上でき、かつ、錯形成剤の回収率を向上でき
る。
吸着塔,分離塔でそれぞれ官能基の対イオンを最適
なものとすることができ、希土類元素混合物の相互分離
性,錯形成剤の回収率をそれぞれ向上できる。
吸着塔,分離塔のそれぞれ塔の大きさを自由に選択
でき、操作性,経済性が向上する。
錯形成剤の回収操作が容易であって、ほぼ完全に回
収でき、又、容易に循環使用でき、経済的である。
錯形成剤の回収時に、系内の不純物を除去でき、循
環使用による不純物の蓄積が防げ、安定した希土類元素
混合物の相互分離が達成できる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定
されるものではない。%は重量に基づくものである。
実施例1 希土類元素混合物と錯形成剤Aから成る水溶液を次の様
に調製した。
長さが250μでスルホン酸基が2.6meq/g、カルボン酸基
が1.0meq/gのイオン交換繊維をカラムに充填して、1N−
HCl、その後1N−NH4Clを通液して、スルホン酸基の対イ
オンをNH4 +とした。次いで希土類元素の混合酸化物(Y2
O3:61.9%,Er2O3:4.4%,Dy2O3:7.1%,Gd2O3:4.8%,
Sm2O3:2.3%,Yb2O3:3.8%,その他の希土類酸化物:8.9
%)を塩酸で溶解し、希土類元素濃度0.1mol/lの水溶液
をpH5の0.5%EDTA水溶液にて前記カラムを用いて希土類
元素の相互分離を行い、Y:5.0mmol/l,Dy:0.6mmol/l,EDT
A:17mmol/lからなるpH2.8の溶出液を得た。該溶出液を
希土類元素混合物と錯形成剤Aからなる水溶液として、
以下の操作を行った。
内径100mm,長さ1000mmのジャケット及びフィルター付吸
着塔にイオン交換基がスルホン酸基のみから成るアンバ
ーライトCG−120を充填し、1N−HClによって対イオンと
H+とした。内径150mm,長さ2,000mmのジャケット及びフ
ィルター付分離塔に長さ250μ,スルホン酸基2.6meq/g,
カルボン酸基1.0meq/gのイオン交換繊維を充填し、1N−
HClを、ついで1N−NH4Clを通液してスルホン酸基の対イ
オンをNH4 +とした。
前記溶出液450lを85℃に加温して、吸着塔にSV=7.0Hr
-1で通液した。希土類元素を含まない(0.1mg/l以下)E
DTAの流出液が得られ、EDTAの回収率は96%であり、水
洗により吸着及び付着していたEDTAを回収し、総回収率
はほぼ100%になった。
次に、吸着塔と分離塔を連絡して60℃に維持したpH7の
0.5%HEDTA水溶液をSV=1.0Hr-1で吸着塔より通液し
て、YとDyを相互分離した。分離塔から純度が99.99%
以上の高純度Y分画液を採取した。該分画液のYは、吸
着塔に通液したYに対して93%の回収率であった。又、
該高純度Y分画液をプロトン型アンバーライトCG−120
を充填したカラムに通液して、Yを吸着させ、水洗後塩
酸水溶液にて濃縮脱着させて、蓚酸にてイットリウムの
硼酸塩を析出させた。該析出物を過・洗浄・乾燥・焼
成をしたところ、純度99.99%以上の高純度酸化イット
リウムが得られた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】錯形成剤と強酸性陽イオン交換樹脂とを用
    いて、希土類元素の混合物を相互分離する方法におい
    て、官能基としてスルホン酸基をもつ強酸性陽イオン交
    換樹脂を充填した吸着塔に希土類元素混合物と錯形成剤
    とから成る水溶液を通液して、希土類元素混合物を吸着
    させ、流出する実質的に希土類元素を含まない錯形成剤
    の水溶液を回収し、次いで該吸着塔と官能基としてスル
    ホン酸基およびカルボン酸基をもつ強酸性陽イオン交換
    樹脂を充填した分離塔とを連結し、吸着塔から錯形成剤
    の水溶液を通液することを特徴とする希土類元素の分離
    精製方法。
  2. 【請求項2】分離塔の強酸性陽イオン交換樹脂が、イオ
    ン交換繊維である特許請求の範囲第1項記載の希土類元
    素の分離精製方法。
  3. 【請求項3】吸着塔の強酸性陽イオン交換樹脂の官能基
    の対イオンがプロトンであり、かつ分離塔の強酸性陽イ
    オン交換樹脂の官能基の対イオンがアンモニウムイオン
    である特許請求の範囲第1項または第2項記載の希土類
    元素の分離精製方法。
  4. 【請求項4】吸着塔の希土類元素の吸着温度が50〜95℃
    の温度範囲であり、かつ錯形成剤水溶液を用いて希土類
    元素を分離するときの温度が40〜80℃の温度範囲である
    特許請求の範囲第1項から第3項のいずれかの項記載の
    希土類元素の分離精製方法。
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