JP2590494B2 - 希土類元素の沈殿回収方法 - Google Patents

希土類元素の沈殿回収方法

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JP2590494B2 JP62283022A JP28302287A JP2590494B2 JP 2590494 B2 JP2590494 B2 JP 2590494B2 JP 62283022 A JP62283022 A JP 62283022A JP 28302287 A JP28302287 A JP 28302287A JP 2590494 B2 JP2590494 B2 JP 2590494B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、希土類元素と錯形成剤からなる水溶液よ
り、希土類元素を沈殿回収する方法に関するものであ
る。
希土類元素と錯形成剤から成る水溶液としては、たと
えば、陽イオン交換樹脂と錯形成剤を用いた希土類元素
の分離に於いて生成する溶出液をあげることができる。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする問題点〕
現在、希土類元素は、その特異な物理的・化学的性質
により蛍光体、セラミックス、磁気記録材、磁気冷凍
材、X線増感剤、原子炉材、高性能磁石、ガラス研磨
材、光学レンズ、触媒等幅広い分野に利用されている。
又、近年の希土類元素の分離技術・高純度品精製技術の
研究・発達に伴い、今後益々、希土類元素の利用分野は
拡大し、需要は伸長するものと期待される。
このような需要価値の高い希土類元素を分離する方法
の一つとしてイオン交換法が一般に広く用いられてい
る。
イオン交換法のうち、最も広く知られた方法は例え
ば、強酸性陽イオン交換樹脂の充填層に、希土類元素の
塩類の混合溶液を通液し、強酸性陽イオン交換樹脂床の
上部に希土類の吸着帯を形成させた後、水洗する。次
に、錯形成剤溶液を流し、各希土類元素と錯形成剤及び
イオン交換樹脂との親和力の僅かな差を利用することに
より、クロマト分離を行ない、高純度の各希土類元素を
得る方法である。該方法では、得られる溶出液の希土類
元素濃度が希薄であり、その為、処理する液量が極めて
膨大なものとなる。
従来、例えば錯形成剤がエチレンジアミン四酢酸(ED
TA)である場合、得られた希土類元素とEDTAを含む溶出
液よりEDTA及び希土類元素を分別回収する方法として、
まず、溶出液に鉱酸を加え、EDTAを酸型にし沈殿として
析出させ、洗浄、過をして、EDTAを回収し、次いで、
液にシュウ酸などを添加することにより離溶性の希土
類元素塩の沈殿を析出させ、洗浄、過、乾燥、焼成し
て希土類元素酸化物にする方法が一般に用いられてい
る。しかしながら、このような方法の中で得られた希土
類元素含有の液から、工業的規模で希土類元素を沈殿
回収する際 EDTAを別回収することによって、得られる液量
が膨大であり、装置の大型化、過・洗浄の効率の低下
を招く。
溶出液からEDTAを酸型にして、沈殿回収する際、長
時間を要する。又、EDTAの回収は十分でなく、液中に
EDTAが多量残存する。さらには、液内に残存したEDTA
により、希土類元素の沈殿回収率は低下する。
希土類元素含有の液に沈殿剤として、沈殿回収剤
を加えて、希土類元素を沈殿させる際、該沈殿物は極め
て微細であり、過・洗浄が極めて悪くなる。さらに
は、希土類元素の回収率も悪い。という技術的・経済的
問題点を持っている。
また、錯形成剤がN−ヒドロキシエチルエチレンジア
ミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン−N,N,
N′,N″,N″−五酢酸(DTPA)等酸型での溶解度が大き
い場合、溶出液にシュウ酸を直接加え、希土類元素のシ
ュウ酸塩を析出させ、洗浄・樹脂・乾燥・焼成して希土
類元素酸化物とし、一方、液はpHを調整後再使用した
り、過酸化水素を加えて過剰のシュウ酸を分解してpH調
整後再使用する方法がある。
該方法もまた、大量の溶出液から希薄な希土類元素を
沈殿回収することにより、操作が複雑で、装置が大型化
する。又沈殿物は微細で過・洗浄の効率は悪くなる。
さらには、液に希土類元素が残存し、希土類元素の回
収率が低下する。アンモニア水、炭酸アルカリ、重炭酸
アリカリ等の安価な薬剤では、希土類元素を沈殿回収す
ることがむずかしい。以上の数多くのそして重大な問題
を有する。
〔発明の目的〕
本発明は、従来技術のもつ前記問題点を解決すべくな
されたものであって、希土類元素と錯形成剤から成る水
溶液かり、希土類元素を技術的、経済的に効率良く、沈
殿回収する方法を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、希土類元素と錯形成剤から成る水溶
液、特にイオン交換法で希土類元素を相互分離する際
に、生成する溶出液から希土類元素を技術的かつ経済的
に効率良く、沈殿回収する方法を見出すため、鋭意検討
した。
その結果、希土類元素と錯形成剤から成る水溶液を強
酸性陽イオン交換樹脂層に通液することで、該樹脂に希
土類元素を選択的に吸着させ、希土類元素と錯形成剤と
を分離し、次いでカラムに酸の水溶液を通じることによ
り、希土類元素の水溶液を得ることができ、該水溶液に
シュウ酸;アンモニア;アンモニウムの炭酸塩;アルカ
リまたはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物または炭
酸塩の沈殿回収剤を加えて、希土類元素を効果的に沈殿
回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、希土類元素とアミノ酢酸系錯形成剤
からなる混合水溶液をプロトン型強酸性陽イオン交換樹
脂を充填したカラムに通液して希土類元素を選択的に吸
着させ、実質的に希土類元素を含まない錯形成剤の水溶
液を得、次いで、該カラムに容量比上記混合水溶液の1/
10以下の3〜8規定の酸の水溶液を通じて希土類元素を
回収し、該希土類元素水溶液に1.0〜2.0当量倍の沈殿回
収剤を加えて、希土類元素を沈殿させ、分離回収するこ
とを特徴とする希土類元素の沈殿回収方法である。
本発明によれば、希土類元素と錯形成剤から成る水溶
液より、希土類元素を簡単な操作かつ、コンパクトな装
置により、純度よく効率よく回収することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、希土類元素と錯形成剤から成る混合水溶液
を、プロトン型強酸性陽イオン交換樹脂に流通すること
を必須とする。
希土類元素と錯形成剤から成る水溶液は、特に限定は
なく、たとえば、本発明を、希土類元素を錯形成剤水溶
液でイオン交換分離する際に生成する水溶液(溶出液と
も言う。希土類元素と錯形成剤を主成分とする)に有利
に適用することができる。
希土類元素は、ランタニド族にスカンジウム(Sc)と
イットリウム(Y)を加えたものの総称であり、これは
蛍光材料、セラミックス強度発現剤、電子材料等、幅広
く使用されている。
また、錯形成剤としては、通常、希土類元素の相互分
離に用いられるもので、エチレンジアミン四酢酸(EDT
A)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(H
EDTA)、1,2−ジアミノシクロヘキサン五酢酸(DCP
A)、ジエチレントリアミン−N,N,N′,N″,N″−五酢酸
(DTPA)、エチレングリコール−ビス(2−アミノエチ
ル)エーテル−N,N,N′,N′−四酢酸(DE)、ビス(2
−アミノエチル)エーテル−N,N,N′,N′−四酢酸(M
E)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノ二酢酸(IMPA)等
のアミノ酢酸類;クエン酸、乳酸、グリコール酸、リン
ゴ酸、酒石酸等のオキシカルボン酸類等が使用される。
このうち、前者のアミノ酢酸系錯形成剤は、希土類元素
の相互分離性にすぐれているが、希土類元素との結合性
が強いので、希土類元素との分離が困難である。本発明
によれば、このように一般に分離の困難な両者を容易に
分離することができる。希土類元素と錯形成剤との比に
各別の制限はない。たとえば、溶出液は、希土類元素に
対する錯形成剤のモル比が1以上である。
錯形成剤及び希土類元素の濃度は、当然高いほど有利
であるが、本発明は、それらの濃度の低いものに効果的
に適用しうる点に特徴をもつ。たとえば、溶出液は、通
常、各々0.01〜0.2mol/、0.001〜0.1mol/である。
また、用いるイオン交換樹脂は、強酸性陽イオン交換
樹脂である。市販のスルホン酸基を有するものとして
は、アンバーライトIR−120B、アンバーライトIR−25
2、アンバーライトCG−120(以上、オルガノ(株)
製)、ダイヤイオンSK1B、ダイヤイオンRMK−80S、ダイ
ヤイオンPK216(以上、三菱化成工業(株)製)ダウエ
ックス50W、ダウエックス88(以上、ダウケミカル社
製)等が挙げられる。
また、スルホン酸基と弱酸基であるカルボン酸基、フ
ェノール基、リン酸基との混合型でも良い。具体的に
は、特開昭53−4787号公報、特開昭58−45341号公報に
示された、スルホン酸基とカルボン酸基の混合型である
イオン交換繊維が挙げられる。混合型の場合、希土類元
素の吸着量はやや低くなるものの、酸の水溶液による希
土類元素の濃縮回収が容易になる。混合型では、弱酸基
に対するスルホン酸基の交換容量の比率は1.0以上が好
ましい。交換基が弱酸基から成る弱酸性陽イオン交換樹
脂は希土類元素の吸着力が小さく、本発明に使用するこ
とができない。
交換基の対イオンは、プロトン(H+)である。対イオ
ンがH+型である時、強酸性陽イオン交換樹脂への希土類
元素の吸着量が増し、希土類元素と錯形成剤を効果的に
分離することができる。全対イオンに対するH+の比率
(グラムイオン比)は30%以上が好ましく、50%以上が
更に好ましい。他の対イオンは通液する希土類元素と同
じ希土類元素イオン、アンモニウムイオンであることが
望ましい。対イオンが、ナトリウムイオン、カルシウム
イオンである時、希土類元素の吸着量の低下や、希土類
元素を回収し酸化物とする時に不純物として混入する恐
れがある。
強酸性陽イオン交換樹脂に希土類元素が選択的に吸着
される一方、実質的に希土類元素を含まない錯形成剤の
水溶液が流出する。ここで言う実質的とは、希土類が含
まれていても得られる錯形成剤の水溶液を再使用して、
実用上支障ない程度の含有量であることを示し、吸着を
破過点までにとどめるかぎり、1mg/以下、通常0.1mg/
以下が維持され、再使用にまったく支障ない。
カラムに希土類元素と錯形成剤から成る水溶液の通液
を続けていくと、強酸性イオン交換樹脂への希土類元素
の吸着が飽和に達して、錯形成剤水溶液に希土類元素が
含まれてくる。通液操作は破過と同時にまたはその前に
終える。破過は、錯形成剤水溶液を誘導結合プラズマ発
光分光分析装置(ICP)、原子吸光分析装置等で分析す
ることにより容易に検知できる。
得られた実質的に希土類元素を含まない錯形成剤の水
溶液はそのまま希土類元素の相互分離用錯形成剤水溶液
として用いることができる。必要であれば、アンモニア
水でpHを調整したり、純水で濃度を調整する。
又、該溶出液の処理を行うことによって、溶離液中に
含まれる、微量の鉄、銅等の金属イオンは、樹脂にはほ
とんど吸着されず、錯形成剤と共に流出する。すなわち
これら金属イオンと希土類元素とを分離できる。このこ
とも本発明の特徴である。
次に、本発明は希土類元素を吸着した強酸性陽イオン
交換樹脂に酸の水溶液を通じて、希土類元素を濃縮回収
することを必須とする。
用いる酸は有機酸、無機酸何れも使用出来るが、無機
酸でよく、特に、塩酸、硫酸、硝酸のような強酸を使用
すれば、回収率が高くなって好ましい さらに、得られた希土類元素水溶液に、シュウ酸、ア
ンモニア、アンモニアの炭酸塩、アルカリまたはアルカ
リ土類金属の酸化物、水酸化物または炭酸塩等の沈殿回
収剤を添加して、希土類元素を沈殿回収することを必須
とする。
過剰な酸の中和、pH調整には、アンモニア、アンモニ
アの炭酸塩、アルカリ及びアルカリ土類金属の酸化物、
水酸化物及び炭酸塩が使用できるが、高純度の希土類元
素を経済的に得るには、アンモニアが最も好ましい。ア
ンモニアは、ガス状で加えても良いし、アンモニア水と
して加えてもよいが、アンモニア水として加えるのが好
ましい。沈殿回収剤としてのシュウ酸はシュウ酸でも、
又シュウ酸アンモニウムでも良い。沈殿回収剤は、固
体、スラリー又は水溶液の状態で添加してもよい。アン
モニアは、ガス状、水溶液のいずれでもよい。高純度希
土類元素を沈殿回収するためには、シュウ酸、アンモニ
ア、アンモニウムの炭酸塩から選ばれた1種以上が好ま
しい。アンモニウムの炭酸塩とは、炭酸水素アンモニウ
ム、炭酸アンモニウム等を示す。単に希土類元素を高回
収率で沈殿回収する目的に対しては、アルカリまたはア
ルカリ土類金属の酸化物、水酸化物または炭酸塩を用い
るのが経済的である。
以下、本発明における操作方法の一例について説明す
る。
第一図は、本発明の工程のうち錯形成剤から分離され
た希土類元素水溶液をうるところまでの工程の一例を示
すものである。は、希土類元素を分離する為のイオン
交換体を充填した分離用カラム(以下分離塔と呼ぶ)で
あり、aは溶離剤溶液の貯槽及びbはその調整槽、
また、a〜eは希土類元素を吸着させるために取り
付けられたプロトン型強酸性陽イオン交換樹脂を充填し
たカラム(以下回収塔と呼ぶ)、は酸の貯槽、a〜
eは希土類元素回収槽、は純水槽、は溶離剤溶液
及び希土類元素濃厚溶液のpH調整用アルカリ貯槽、また
は難溶性の希土類元素塩を生成させるための沈殿生成
剤貯槽である。
通常の方法に従い希土類元素を分離塔で相互分離し、
流出する各高純度希土類元素を含む分画液を得、これら
分画液それぞれをa〜eの各回収塔へ通液し、希土
類元素を樹脂に吸着させる。回収塔から流出した液は、
希土類元素を実質的に含まない錯形成剤の水溶液であ
り、そのままbに送り、pH及び濃度を調製してaに
貯え、再使用する。
希土類元素を樹脂に吸着させる際の温度は、溶出液中
の錯形成剤濃度以上の溶解度を示す温度であれば問題な
いが、温度は高い程吸着率および吸着速度が高くて効果
的であり、イオン交換樹脂の吸着利用率(回収塔イオン
交換樹脂の全イオン交換容量に対する、吸着希土類元素
の割合)および錯形成剤水溶液の取得量を大きくでき
る。しかしながら、高過ぎるとイオン交換樹脂の劣化が
激しくなったり、熱エネルギーを多量必要とするため、
温度は、30℃〜120℃で行なうのが好ましく、特に好ま
しくは、50〜95℃である。また、回収塔へ流通する溶出
液のpHは、0〜5が好ましく、特に、1〜4が好まし
い。pHが低過ぎると希土類元素の吸着量が低下し、高過
ぎると希土類元素の吸着量の低下だけでなく、希土類元
素が析出する恐れがある。
次いで、回収塔を水洗した後、吸着された希土類元素
を、酸貯槽からの前記の酸で脱着、溶出させ、回収槽に
送る。この際、使用される酸濃度は高い程、高回収率で
且つ高濃度の希土類元素溶液が得られる。酸濃度は3規
定以上である。しかしながら、高過ぎるとイオン交換樹
脂の膨潤収縮が激しくなり、場合によっては、破壊され
ることもあるので8規定以下にする。使用する酸の濃度
は3〜8規定でなければならない。この濃度の酸を吸着
の工程でカラムに通した希土類元素と錯形成剤からなる
混合水溶液の1/10容量倍以下、ただし酸としては、希土
類元素の当量以上使用することによって、濃縮倍率10倍
以上の希土類元素水溶液がえられる。温度は低い程希土
類元素の回収率を向上でき効果的であるが、熱エネルギ
ー損失が多くなる。高いと希土類元素の回収率が低下す
る。従って20〜95℃が好ましく、更には、30〜65℃が望
ましい。又、温度は希土類元素を吸着させる時の温度よ
りも低くすることによって希土類元素の回収率が高くな
って好ましい。
また、酸の水溶液は循環して用いても良い。この場
合、更に高濃度の希土類元素水溶液を得ることができ、
好ましい方法である。即ち、酸の水溶液を回収槽と回収
塔間を循環させ、濃度が平衡に達した後、循環を止め、
回収した希土類元素に対応する量の循環液を抜き出す。
この場合も循環液の遊離酸濃度は3〜8規定でなければ
ならない。次に、循環液に酸を補給して遊離酸の濃度を
3〜8規定にして次の回収に備える。この方法によれ
ば、希土類元素の濃度を20倍以上、100倍以上にも濃縮
できる。
また、強酸性陽イオン交換樹脂から希土類元素を完全
に脱着させる必要はない。多くの場合、希土類元素の一
部は脱着されずに残る。しかし、残った希土類元素は、
新たに希土類元素と錯形成剤から成る水溶液を通液して
も流出することはない。かといって、吸着残存量が多い
と処理液量が減少するので、吸着残存量はイオン交換容
量の50%以下が望ましい。
また、酸の水溶液により希土類元素を回収した後の強
酸性陽イオン交換樹脂の対イオンはH+になっており、水
洗後直ちに希土類元素と錯形成剤から成る水溶液を通液
できる。酸の水溶液を循環する場合は、通液方向は、ど
ちらでもよい。いっぽう、酸の水溶液を一過性で通液す
る場合は、逆の方向から希土類元素と錯形成剤からなる
水溶液を通液する方法がよく、希土類元素の吸着量を大
きくできる。水洗に使用した液は希土類元素脱着用の酸
の水溶液の一部として用いても良い。得られる希土類元
素水溶液の希土類元素濃度は、通常0.02〜1mol/であ
る。
以上のようにしてえられた希土類元素水溶液から、希
土類元素を沈殿させるにあたり、沈殿回収剤として、ア
ンモニア又は、アンモニアの炭酸塩を用いる場合は、ま
ず過剰の酸をアンモニアで中和してpHを4〜6とする。
この時、希土類元素が析出しないことが望ましい。次い
で沈殿回収剤を加えて、希土類元素を沈殿させる。沈殿
回収剤は、希土類元素水溶液を撹拌しながら加えるが、
連続的に加えても、断続的に加えても良い。
添加時間は、沈殿回収剤の種類、温度、pH、希土類元
素水溶液の濃度等によって異なるが、通常3時間以内、
1時間以内にもできる。この時の温度は30℃〜100℃が
好ましい。沈殿回収剤の使用量は、希土類元素の1.0〜
2.0当量倍が好ましく、容易に99%以上の希土類元素沈
殿生成率にすることができる。沈殿回収剤として、アン
モニアの炭酸塩を使用した場合は、沈殿生成後、熟成す
ることにより、分離性に優れた結晶性の沈殿物が得るこ
とができる。
沈殿回収剤として、シュウ酸を用いる場合、アンモニ
ア水でpH0.5〜3に保ちながら、シュウ酸又はシュウ酸
アンモニウムを撹拌しながら加える。添加時間は沈殿回
収剤の種類、温度、pH、希土類元素水溶液の濃度等によ
って異なるが、通常3時間以内、1時間以内にもでき
る。添加量は、希土類元素の1.0〜2.0当量倍が好まし
い。温度は30〜100℃が好ましく、分離性の良い沈殿物
を得ることができ、沈殿生成率は95%以上、99%以上に
も達する。この場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属
及び鉄等の金属イオンは、沈殿することなく、極めて高
純度の希土類元素沈殿物を得ることができるので好まし
い。尚、pHが高いと、沈殿生成率は高くできるが、不純
物の微量の沈殿があり、pHが低いと沈殿生成率が低下す
るのでpHは、0.5〜3が好ましい。
沈殿回収剤として、アルカリ及びアルカリ土類金属を
用いた場合は、アンモニア又は、アンモニアの炭酸塩と
同様な操作を施こすことができる。
希土類元素を沈殿生成させる際に希土類元素以外のあ
る塩が共存すると、後の分離及び洗浄が極めて、容易に
できる。強酸性陽イオン交換樹脂から希土類元素を脱着
させる際に使用した過剰な酸と、沈殿回収剤及びpH調整
剤との反応で得られる塩などである。例えば、酸が塩酸
であり、沈殿回収剤及びpH調整剤がアンモニアである時
は、塩化アンモニウムとなり、酸が硝酸である時は、硝
酸アンモニウムとなる。この塩の濃度としては、1グラ
ム当量/以上であるときに、分離及び洗浄効果が一層
向上する。しかし、その濃度が高いと酸、沈殿回収剤及
びpH調整剤の消費量が増し、不経済であり、さらには、
希土類元素の沈殿物にその塩が微量ながら混入するの
で、5グラム当量/以下が好ましい。すなわち、1〜
5グラム当量/が好ましい。
しかしながら、上記塩が希土類元素の沈殿物に混入し
た場合、該沈殿物を分離回収した後、水に懸濁させるこ
とで混入物を溶解除去できる。溶解除去後の分離性はか
わらない。さらには、分離液は、希土類元素を含むの
で、前記希土類元素沈殿工程に循環すると良い。
次に、こうして得られた希土類元素の沈殿物を含むス
ラリーから希土類元素を分離回収する。分離には、通常
の装置を用いることができ、例えば遠心分離器、ベルト
フィルター、フィルタープレス、ドラムフィルター等を
用いることができる。該希土類元素の分離性は良く、ス
ラリー濃度が高く、その量は少ないので単時間で小型装
置により効率良く操作できる。又溶液から付随する溶解
不純物は、水で洗浄することにより、容易に除くことが
できる。
分離・回収された希土類元素沈殿物は、乾燥し600℃
〜1100℃で焼成することにより、高純度の希土類元素酸
化物とすることができる。
〔発明の効果〕
次に、本発明の効果を列記する。
(1) 本発明によれば、希土類元素と錯形成剤から成
る水溶液より希土類元素を水溶液として分離でき、該希
土類元素水溶液から希土類元素を沈殿回収剤により、高
回収率で分離回収できる。
(2) 希土類元素を高濃度で錯形成剤から分離でき、
該希土類元素の沈殿回収は、極めて容易になり、回収率
は高く、装置はコンパクトにでき、操作は簡略化でき
る。
(3) 又、沈殿回収剤がアンモニア、アンモニアの炭
酸塩、シュウ酸から選んだ一種以上である時、高純度の
希土類元素酸化物を得ることができる。
(4) 酸に対して、溶解度が大きいアミノ酢酸類を錯
形成剤として用いるにもかかわらず、他の薬剤の汚染が
なく、高純度でしかも効率良く、回収再利用することが
できる。
以上の様に、本発明は、技術的・経済的に極めて効率
の良い方法である。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明は
これらに限定されるものではない。
実施例1 強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、アンバ
ーライトIR−120B)300mlをジャケット及びフィルター
付きガラスカラム(回収塔)に充填し、3規定塩酸2000
mlを流通することにより、強酸性陽イオン交換樹脂の交
換基をプロトン(H+)型にし、塩素イオンを検知しなく
なるまで純水で洗浄した。次に、ジャケット温度を90℃
に保ち、EDTA:0.58wt%、Y:0.56g/、pH3.1のEDTA溶出
液を、SV(空塔速度)7Hr-1で流出するEDTA水溶液にY
が破過(Y;O.2mg/1以下)するまで通液した。その結
果、Yが破過するまでに得られたEDTAの回収率は98%、
また、樹脂の吸着利用率は61%であった。
次に、希土類元素を吸着したイオン交換樹脂を純水で
洗浄した後、カラム内に残った洗浄水を抜き取った。次
に、ジャケット温度を40℃に保った後、6規定の塩酸27
0mlをSV3Hr-1で2時間循環流通させた。得られた溶液中
の酸濃度は3.9規定、Y濃度は16.0g/であり、Yを29
倍濃縮できた。つぎに、撹拌機を備えた0.5のセパラ
ブルフラスコに、該濃縮Y水溶液150mlを入れ、40℃に
て4規定のアンモニア水でpHを1.3に保持しつつ、1.1mo
l/のシュウ酸水溶液1.5倍当量を、1時間かけて加
え、イットリウムの沈殿物を生成させた。得られたスラ
リーを真空過し、洗浄した。過時間は、56秒であり
沈殿生成率は98%であった。得られたケークは100℃で
乾燥し、石英るつぼに入れて1000℃で1時間焼成した。
得られた酸化イットリウム中の鉄及びカルシウムをICP
で分析した結果、共に5ppm(Y2O3に対して)以下であっ
た。
実施例2 撹拌機を備えた0.5のセパラブルフラスコに、実施
例1の16.0g/濃縮Y水溶液150mlを入れ、40℃にて、
4規定のアンモニア水でpHを5.5に調整し、4規定のア
ンモニア水を1.1倍当量1時間で加え、イットリウムの
沈殿物を生成させた。得られたスラリーを真空過し、
洗浄した。過時間は、1分20秒であり沈殿生成率は99
%であった。実施例1と同様に乾燥、焼成して、得られ
た酸化イットリウムの鉄、カルシウムの含有量は共に5p
pm以下であった。
実施例3 実施例1と同様にしてプロトン型とした強酸性陽イオ
ン交換樹脂を準備し、ジャケット温度を80℃に保ち、HE
DTA:0.5wt%、Y:0.25g/、pH4.0のHEDTA溶出液をSV7Hr
-1で通液した。この結果、Yが破過(Y;0.2mg/1以下)
するまでに得られたHEDTAの回収率は、95%、該樹脂へ
の吸着利用率は60%であった。
次に、希土類元素を吸着したイオン交換樹脂を純水で
洗浄した後、ジャケット温度を30℃に保ち、ついで5規
定の硝酸450mlをSV3Hr-1で2時間循環流通させた。得ら
れた硝酸溶液中の酸濃度は3.0規定、Y濃度は10.7g/
であり、Yの濃縮倍率は43倍であった。
次に、該濃縮Y溶液150mlを実施例1と同様に沈殿回
収し、焼成した。その結果、過時間は58秒沈殿生成率
は97%、鉄、カルシウム含有量は、いずれも5ppm以下で
あった。
比較例1 実施例1で用いたEDTA溶出液に、40℃で塩酸を加え、
pH1.3に調整し、24時間撹拌した後、析出したEDTAを
過した。液のY濃度は0.55g/であり、別したEDTA
の回収率は90%であった。
次に撹拌機を備えた10のセパラブルフラスコに、該
液を5入れ、アンモニアとシュウ酸水溶液を用い
て、実施例1と同様に沈殿回収を行った。実施例1と同
量のイットリウム沈殿物を過するのに要した時間は8
分03秒であり、イットリウムの沈殿生成率は91%であっ
た。さらに実施例1と同様に乾燥、焼成を行い鉄:8pp
m、カルシウム:7ppmを含有した酸化イットリウムを得
た。
比較例2 撹拌機を備えた10のセパラブルフラスコに、比較例
1で得た0.55g/のY水溶液を5入れ、4規定のアン
モニアを用いて、実施例2と同様に、沈殿回収を行っ
た。実施例2と同量のイットリウム沈殿物を過するに
要した時間は、6時間24分であり、イットリウムの沈殿
生成率は93%であった。さらに実施例1と同様に乾燥、
焼成を行った。得られた酸化イットリウムは、鉄64pp
m、カルシウム:43ppmを含んでいた。
比較例3 実施例2で用いたHEDTA溶出液に、アンモニア水を加
えて、pHを8、10及び12に調整した。各々の溶液を5時
間撹拌したが、イットリウムの沈殿物は全く析出しなか
った。そこで、さらに1.1当量倍の(NH42CO3を追加添
加し、5時間撹拌したが、やはり、イットリウムの沈殿
物は析出しなかった。
【図面の簡単な説明】
第一図は、本発明の工程のうち、錯形成剤から分離され
た希土類元素水溶液をうるところまでの工程の一例を示
す工程図である。 :分離塔、a:溶離剤溶液の貯槽、b:溶離剤溶液
の調整槽、a〜e:回収塔、:酸の貯槽、a〜
e:希土類元素回収槽、:純水槽、:pH調整用アルカ
リ貯槽、:沈殿生成剤貯槽。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】希土類元素とアミノ酢酸系錯形成剤からな
    る混合水溶液をプロトン型強酸性陽イオン交換樹脂を充
    填したカラムに通液して、希土類元素を選択的に吸着さ
    せ、実質的に希土類元素を含まない錯形成剤の水溶液を
    得、次いで、該カラムに容量比上記混合水溶液の1/10以
    下の量の(ただし吸着された希土類元素の当量以上の酸
    を含む)、濃度3〜8規定の酸の水溶液を通じて、希土
    類元素を回収し、えられた希土類元素水溶液に1.0〜2.0
    当量倍の沈殿回収剤を加えて、希土類元素を沈殿させて
    分離回収することを特徴とする、希土類元素の沈殿回収
    方法。
  2. 【請求項2】希土類元素を回収してえられた希土類元素
    水溶液をアンモニアによってpHを4〜6に調整してから
    アンモニアまたはアンモニウムの炭酸塩を加えて、希土
    類元素を沈殿させる、特許請求の範囲第1項記載の希土
    類元素の沈殿回収方法。
  3. 【請求項3】希土類元素を回収してえられた希土類元素
    水溶液をアンモニアでpH0.5〜3に保ちながら、該希土
    類水溶液にシュウ酸またはシュウ酸アンモニウムを加え
    て、希土類元素を沈殿させる、特許請求の範囲第1項記
    載の希土類元素の沈殿回収方法。
  4. 【請求項4】希土類元素の吸着温度よりも低い温度で希
    土類元素を回収する特許請求範囲第1項から第3項のい
    ずれか記載の希土類元素の沈殿回収方法。
  5. 【請求項5】カラムに酸の水溶液を循環させて希土類元
    素を回収する、特許請求範囲第1項から第4項のいずれ
    か記載の希土類元素の沈殿回収方法。
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