JPH07252562A - Ti−Al系軽量耐熱部材およびその製造方法 - Google Patents

Ti−Al系軽量耐熱部材およびその製造方法

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JPH07252562A
JPH07252562A JP4727394A JP4727394A JPH07252562A JP H07252562 A JPH07252562 A JP H07252562A JP 4727394 A JP4727394 A JP 4727394A JP 4727394 A JP4727394 A JP 4727394A JP H07252562 A JPH07252562 A JP H07252562A
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Japan
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heat
heat treatment
distributed
tial
lamella
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JP4727394A
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English (en)
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Toshiharu Noda
田 俊 治 野
Michio Okabe
部 道 生 岡
Kunio Maki
木 邦 雄 眞
Naoto Mizuno
野 直 人 水
Mamoru Sayashi
師 守 鞘
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Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的性質および耐酸化性に優れた軽量なT
i−Al系耐熱部材を提供する。 【構成】 重量%で、Al:32〜36%、Si:0.
1〜2.0%、場合によってはさらにNb:0.1〜
5.0%、同じく場合によってはさらにCr:0.1〜
3.0%,B:0.005〜0.200%のうちの1種
または2種を含み、残部Tiおよび不純物よりなり、鋳
造のままの微細組織においてTiAl中にTiAlが
層状に分布するラメラ組織を有するTi−Al系軽量耐
熱材料を素材とし、金属組織における結晶粒径とラメラ
間隔およびTi−Si系析出物の分布を安定化させて高
温使用時における特性の安定性を向上させるための熱処
理として、真空または不活性なガス雰囲気中で、処理温
度:1000〜1350℃,処理時間:1〜24時間の
熱処理を行ない、Ti−Si系析出物を結晶粒界および
ラメラ層間に分布する微細構造のものとしたTi−Al
系軽量耐熱部材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Ti−Al製軽量耐熱
部品や製品等として利用されるTi−Al系軽量耐熱部
材(材料,素材,部品,製品等)およびその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車などのエンジンバルブ,ピスト
ン,ロッカーアーム等の高速往復運動部品、あるいは、
自動車エンジン,ガスタービン,ジェットエンジンなど
のタービンブレード,ターボチャージャロータ等の高速
回転部品は、近年、エンジン等の高性能化,高効率化等
に伴って、ますます軽量性,耐熱性に優れていることが
要求されており、これに応じてこれらの部品用の材料の
研究開発が盛んに行なわれている。
【0003】近年、Ti−Al系金属間化合物がこの要
求を満たす材料の一つとして注目されており、従来の課
題であった低温域での延性の向上、耐酸化性の改善を目
的とした発明が数多くなされてきた。
【0004】このような従来のTi−Al系軽量耐熱材
料にあっては、低温域での延性、600〜800℃での
引張り強度やクリープ強度、および耐酸化性等の特性は
改善されてきた。一方、材料の特性を向上・安定化させ
るためには、熱処理等の加熱過程を経ることが一般的で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
Ti−Al系軽量耐熱材料にあっては、高温で熱処理し
た場合、もしくは、900℃前後の温度で部品として使
用した場合に、機械的特性が低下するものがあった。ま
た、従来のTi−Al系軽量耐熱材料において、熱処理
や使用中の加熱等の熱履歴によって、結晶粒径の肥大化
やラメラ間隔の増大等により、金属微細組織が変化する
ために、Ti−Al系材料が本来持つ特性を損なうこと
があった。
【0006】そこで、これらのTi−Al系軽量耐熱材
料を素材や部品として使用する場合、特性を損なわない
ようにするために、鋳造等による成形を行った後、熱処
理を施さずに、鋳造のままの状態で使用することが望ま
しいという説が一般的で有り、使用中の加熱により特性
が低下することは、しかたのないこととする状況にあっ
た。
【0007】このように、従来のTi−Al系軽量耐熱
材料は、素材や部品の製造過程において、品質や耐久性
向上のために、本来必要な均質化や表面処理用の熱処理
等の加熱工程の制限を余儀なくさせ、素材や部品の信頼
性に関して不十分な加工しかできないとか、もしくは、
熱処理が不可避の場合、Ti−Al系軽量耐熱材料が本
来持つ特性を十分に活用できないとか、さらには、使用
中に材料特性が低下するとか、などの問題点があり、こ
のような問題点を解決することが課題であった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題にかん
がみてなされたものであって、Ti−Al系軽量耐熱部
材の性能および品質を向上させることが可能であり、結
晶粒界およびラメラ層間にTi−Si系析出物が分布し
ているものとすることによって、高温における引張り強
度やクリープ強度および耐酸化性を著しく向上させるこ
とができるTi−Al系軽量耐熱部材を提供することを
目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるTi−A
l系軽量耐熱部材は、重量%で、Al:32〜36%、
Si:0.1〜2.0%を含み、残部Tiおよび不純物
よりなり、鋳造のままの微細組織においてTiAl中に
TiAlが層状に分布するラメラ組織を有し、使用前
の熱処理,使用中の熱履歴などの加熱により金属組織に
おける結晶粒径とラメラ間隔およびTi−Si系析出物
の分布が安定化していることを特徴としている。
【0010】また、同じく、本発明に係わるTi−Al
系軽量耐熱部材は、重量%で、Al:32〜36%、S
i:0.1〜2.0%、Nb:0.1〜5.0%を含
み、残部Tiおよび不純物よりなり、鋳造のままの微細
組織においてTiAl中にTiAlが層状に分布する
ラメラ組織を有し、使用前の熱処理,使用中の熱履歴な
どの加熱により金属組織における結晶粒径とラメラ間隔
およびTi−Si系析出物の分布が安定化していること
を特徴としている。
【0011】同じく、本発明に係わるTi−Al系軽量
耐熱部材は、重量%で、Al:32〜36%、Si:
0.1〜2.0%、Nb:0.1〜5.0%、およびC
r:0.1〜3.0%,B:0.005〜0.200%
のうちの1種または2種を含み、残部Tiおよび不純物
よりなり、鋳造のままの微細組織においてTiAl中に
TiAlが層状に分布するラメラ組織を有し、使用前
の熱処理,使用中の熱履歴などの加熱により金属組織に
おける結晶粒径とラメラ間隔およびTi−Si系析出物
の分布が安定化していることを特徴としている。
【0012】そして、本発明に係わるTi−Al系軽量
耐熱部材の実施態様において、前記Ti−Si系析出物
は、結晶粒界およびラメラ層間に分布する微細構造とな
っているものとすることができる。
【0013】また、本発明に係わるTi−Al系軽量耐
熱部材の製造方法は、重量%で、Al:32〜36%、
Si:0.1〜2.0%を含み、残部Tiおよび不純物
よりなり、鋳造のままの微細組織においてTiAl中に
TiAlが層状に分布するラメラ組織を有するTi−
Al系軽量耐熱材料を素材とし、金属組織における結晶
粒径とラメラ間隔およびTi−Si系析出物の分布を安
定化させて高温使用時における特性の安定性を向上させ
るための熱処理として、真空または不活性なガス雰囲気
中で、処理温度:1000〜1350℃,処理時間:1
〜24時間の熱処理を行なうことを特徴としている。
【0014】同じく、本発明に係わるTi−Al系軽量
耐熱部材の製造方法は、重量%で、Al:32〜36
%、Si:0.1〜2.0%、Nb:0.1〜5.0%
を含み、残部Tiおよび不純物よりなり、鋳造のままの
微細組織においてTiAl中にTiAlが層状に分布
するラメラ組織を有するTi−Al系軽量耐熱材料を素
材とし、金属組織における結晶粒径とラメラ間隔および
Ti−Si系析出物の分布を安定化させて高温使用時に
おける特性の安定性を向上させるための熱処理として、
真空または不活性なガス雰囲気中で、処理温度:100
0〜1350℃,処理時間:1〜24時間の熱処理を行
なうことを特徴としている。
【0015】同じく、本発明に係わるTi−Al系軽量
耐熱部材の製造方法は、重量%で、Al:32〜36
%、Si:0.1〜2.0%、Nb:0.1〜5.0
%、およびCr:0.1〜3.0%,B:0.005〜
0.200%のうちの1種または2種を含み、残部Ti
および不純物よりなり、鋳造のままの微細組織において
TiAl中にTiAlが層状に分布するラメラ組織を
有するTi−Al系軽量耐熱材料を素材とし、金属組織
における結晶粒径とラメラ間隔およびTi−Si系析出
物の分布を安定化させて高温使用時における特性の安定
性を向上させるための熱処理として、真空または不活性
なガス雰囲気中で、処理温度:1000〜1350℃,
処理時間:1〜24時間の熱処理を行なうことを特徴と
している。
【0016】そして、本発明に係わるTi−Al系軽量
耐熱部材の製造方法の実施態様においては、Ti−Si
系析出物を結晶粒界およびラメラ層間に分布する微細構
造のものとするようになすことができる。
【0017】次に、本発明に係わるTi−Al系軽量耐
熱部材の化学成分組成(重量%)の限定理由について説
明する。
【0018】Al:32〜36% Alは、Tiとともに金属間化合物TiAlおよびTi
Alを構成する必須の元素であり、Al含有量が少な
すぎるとTiAlの生成量が多くなりすぎて延性およ
び靭性が低下すると共に耐酸化性にも劣ったものとな
り、反対にAl含有量が多すぎるとTiAl単相化、ま
たはAlTi生成量の増大をきたして、延性および靭
性が低下したものとなり、このようなTiAl/Ti
Alの2相合金において高強度・高靭性を得るためには
合金中のTiAlが5〜40体積%存在するようにな
すことが必要であり、このためAl含有量を32〜36
%、より好ましくは33〜35%の範囲とする。
【0019】Si:0.1〜2.0% Siは、Ti−Al系材料の耐酸化性を向上させるのに
有効な元素であり、その効果が現われるのは0.1%か
らである。しかし、2.0%を超えて含有させると珪素
化合物を多量に生成して常温延性および靭性が低下す
る。したがって、本発明では、Si含有量を0.1〜
2.0%、より望ましくは0.3〜1.7%の範囲とし
ている。
【0020】Nb:0.1〜5.0% Nbは、Siと共に複合添加することによってNb単独
の場合に比べて耐酸化性をさらに向上させるのに有効な
元素であり、Siとの共存によってその効果が現われる
のは0.1%からであり、Nbの含有量が増加するにつ
れて耐酸化性が向上するが、その効果は5.0%でほぼ
飽和する。従って、本発明では、その上限値を5.0%
とする。
【0021】また、Nbを5.0%を超えて含有させる
と、このNbの比重が大きいことから、本来軽量性を特
長とするTi−Al系材料の比重が増大してその利点が
減殺されてしまう。この他にも、高価なNbの多量添加
によって材料コストがいたずらに高くなってしまう不具
合も生ずる。したがって、Nb含有量は0.1〜5.0
%、より望ましくは0.5〜3.0%である。
【0022】Cr:0.1〜3.0%,B:0.005
〜0.200%のうちの1種または2種 CrおよびBは、Ti−Al系材料の延性を増大して、
加工性を向上させるのに有効な元素である。このうち、
Crは、TiAlおよびTiAlの両方に固溶する
が、特にTiAlの方に多量に固溶する元素である。そ
して、CrがTiAl中に固溶すると固溶強化によって
強度および延性が飛躍的に向上する。このような効果が
現われるのは、0.1%からであるが、3.0%を超え
るとその効果は飽和し、むしろ延性が低下すると共に耐
酸化性の劣化に対する影響が大となる。従って、Cr含
有量は、0.1〜3.0%、より望ましくは0.1〜
2.0%とする。
【0023】他方、Bは、TiAl/TiAl2相合
金の結晶粒を微細化し、高温延性を改善する効果を有す
る。また、鋳造においては湯回り性を改善する効果を有
する。そして、これらの効果が現われるのは0.005
%からであるが、0.200%を超えると硼化物である
TiBが多量に析出して強度および延性を低下させる
こととなるので、添加するとしても0.005〜0.2
00%、より望ましくは0.008〜0.100%とす
る。
【0024】Ti:残部 Tiは、TiAl/TiAl2相合金においてTiA
lおよびTiAlを構成する必須の元素であるので残
部としている。
【0025】そのほか、Cは、TiAlおよびTi
l中に固溶してこれを強化することにより強度を増大さ
せる作用を有しているが、0.3%を超えると延性を低
下させるので0.3%以下とすることが望ましく、O
は、Cと同様にTiAlおよびTiAl中に固溶して
これを強化することにより強度を増大させる作用を有し
ているが、0.3%を超えると延性を低下させるので
0.3%以下とすることが望ましく、Nは、C,Oと同
様にTiAlおよびTiAl中に固溶してこれを強化
することにより強度を増大させる作用を有しているが、
0.2%を超えると延性を低下させるので0.2%以下
とすることが望ましい。
【0026】本発明に係わるTi−Al系軽量耐熱部材
は、上記した成分組成を有するものであり、このTi−
Al系軽量耐熱部材の鋳造のままの一般的な微細組織
は、図1の写真において明らかなように、結晶粒径やラ
メラ間隔が小さいものとなっている。また、結晶粒界お
よび粒内にTi−Si系の金属間化合物が析出してい
る。この微細組織における粒径とラメラ間隔の小さいこ
とは、Ti−Al系軽量耐熱部材の機械的性質、特に常
温での延性向上に効果がある。
【0027】一方、微細組織の不均一さ、Ti−Si系
金属間化合物の偏析は、機械的性質のばらつき等、不安
定さの原因となる。
【0028】本発明のTi−Al系軽量耐熱部材は、上
記のような材料の不安定さを取り除くための均質化熱処
理を施すものとなっている。この均質化熱処理は、真空
中もしくは不活性ガス等の不活性なガス中で、常圧,高
圧および超高圧等のうちいずれかの雰囲気で行なう。
【0029】熱処理条件は、均質化熱処理後の結晶粒径
が変化せず、Ti−Si系金属間化合物は結晶粒界およ
びラメラ層間に分布する微細構造のものとなるように、
処理温度が1000〜1350℃で、処理時間の積算が
1〜24時間とするのが良い。
【0030】図2の写真は、Ti−33.5重量%Al
−1.0重量%Siの組成をもつTi−Al系軽量耐熱
材料を、熱処理条件として、真空中で、温度:1300
℃,時間:24時間の均質化熱処理を施した場合の組織
を示すものである。この均質化熱処理後の微細構造は、
結晶粒径が変化せず、Ti−Si系金属間化合物は結晶
粒界およびラメラ層間に分布している。
【0031】このように、Ti−Al系にSiを添加し
た組成として熱処理を行なうことにより、結晶粒径やラ
メラ間隔等の金属微細組織を安定化させ、機械的性質お
よび耐酸化性に優れたTi−Al系軽量耐熱部材を得る
ことができる。
【0032】
【発明の作用】本発明に係わるTi−Al系軽量耐熱部
材では、重量%で、Al:32〜36%、Si:0.1
〜2.0%を含み、残部Tiおよび不純物よりなり、鋳
造のままの微細組織においてTiAl中にTiAlが
層状に分布するラメラ組織を有し、使用前の熱処理,使
用中の熱履歴などの加熱により金属組織における結晶粒
径とラメラ間隔およびTi−Si系析出物の分布が安定
化しているものであり、Ti−Si系析出物であるTi
−Si系の金属間化合物が、結晶粒界やラメラ層間に析
出分布しているものとすることによって、機械的性質お
よび耐酸化性に優れた軽量な構造用部材となる。
【0033】また、本発明に係わるTi−Al系軽量耐
熱部材において、Nb:0.1〜5.0%を含有させた
ものとすることによって、耐酸化性がさらに向上したも
のとなり、また、Cr:0.1〜3.0%,B:0.0
05〜0.200%のうちの1種または2種を含有させ
たものとすることによって、延性がさらに向上したもの
となる。
【0034】また、本発明に係わるTi−Al系軽量耐
熱部材の製造方法では、重量%で、Al:32〜36
%、Si:0.1〜2.0%を含み、残部Tiおよび不
純物よりなり、鋳造のままの微細組織においてTiAl
中にTiAlが層状に分布するラメラ組織を有するT
i−Al系軽量耐熱材料を素材とし、金属組織における
結晶粒径とラメラ間隔およびTi−Si系析出物の分布
を安定させて高温使用時における特性の安定性を向上さ
せるための熱処理として、真空または不活性なガス雰囲
気中で、処理温度:1000〜1350℃,処理時間:
1〜24時間の熱処理を行なうこととしているので、結
晶粒径が変化せず、かつ、Ti−Si系析出物であるT
i−Si系金属間化合物が結晶粒界やラメラ層間に析出
分布して、機械的性質および耐酸化性に優れた軽量なT
i−Alの構造用部材となる。
【0035】このように、上記した成分組成を有する熱
処理用Ti−Al系軽量耐熱部材に対して、部材の製造
過程で不可欠な均質化熱処理を施すことにより、結晶粒
径が変化せず、かつ、Ti−Si系析出物であるTi−
Si系金属間化合物が結晶粒界やラメラ層間に析出分布
する。そして、このTi−Si系金属間化合物の析出,
再分布により、製造工程上の後工程で行なわれる可能性
のある耐摩耗性向上のための表面処理用の熱処理におい
ても、TiやAl等の構成元素の拡散を抑制し、結晶粒
の成長やラメラ間隔の拡大を抑える作用がある。
【0036】これにより、本発明の熱処理用Ti−Al
系軽量耐熱部材は延性を維持し、低温域から高温域の間
での広い温度範囲にわたって、引張り強度やクリープ強
度を改善する。
【0037】また、Siの適量添加により、高温酸化環
境下において、素材や部品の表面にSiO被膜が形成
され、耐酸化性を向上させるという作用が得られ、Nb
の適量添加により、耐酸化性をさらに向上させるという
作用が得られ、Cr,Bの適量添加によって、延性をよ
り一層向上させるという作用が得られる。
【0038】
【実施例】原料として、スポンジTi,粒状Alおよび
その他の添加元素として純金属を用い、プラズマ・スカ
ル溶解炉によりAr雰囲気中で表1に示す化学成分組成
の合金を溶製し、それぞれ約5kgのインゴットに鋳造
した。
【0039】次に、各インゴットから鋳造のままの状態
で引張り試験片および耐酸化試験片を切り出し、一部の
試験片に対しては真空中において1300℃×24hr
(表1の*印)または1200℃×24hr(表1の*
*印)の熱処理を行った。
【0040】次いで、このようにして得た鋳造のままの
試験片および熱処理を行なった試験片に対して、室温お
よび高温の引張り試験、ならびに耐酸化試験を行なっ
た。
【0041】これらのうち、引張り試験は、室温,80
0℃および900℃で行ない、また、耐酸化試験は表2
に示すように900℃までの繰返し加熱・冷却による酸
化増量を測定することによって行なった。
【0042】これらの引張り試験および耐酸化試験の結
果を表1にあわせて示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表1に示すように、実施例No.1は、A
l:33.5%、Si:1.5%を含み、残部が実質的
にTiよりなるものであり、実施例No.2はSi:
1.0%にしかつ耐酸化性向上のためにNb:0.9%
を含有させたものであり、実施例No.3はSi:0.
5%,Nb:1.0%にしかつ延性向上のためにCr:
0.3%、B:0.01%を含有させたものである。
【0046】このような熱処理用Ti−Al系軽量耐熱
部材では、結晶粒径が変化せず、Ti−Si系の金属間
化合物を析出し、Ti−Si系金属間化合物は結晶粒界
やラメラ層間に分布する微細構造をもつものとなってお
り、均質化や欠陥を減少させるための1000〜135
0℃の温度域における熱処理を施しても、ラメラ層間隔
やTi−Si系析出物を含む微細組織は変化せず、これ
により、本熱処理用Ti−Al系軽量耐熱部材が本来持
っている特性を損なうことなく、熱処理用Ti−Al系
軽量耐熱部材の機械的特性や耐酸化性を向上させること
ができた。
【0047】
【発明の効果】本発明による熱処理用Ti−Al系軽量
耐熱部材は、重量%で、Al:32〜36%、Si:
0.1〜2.0%、場合によってはさらにNb:0.1
〜5.0%、同じく場合によってはさらにCr:0.1
〜3.0%,B:0.005〜0.200%のうちの1
種または2種を含み、残部Tiおよび不純物よりなり、
鋳造のままの微細組織においてTiAl中にTiAl
が層状に分布するラメラ組織を有し、熱処理,熱履歴な
どの加熱により金属組織における結晶粒径とラメラ間隔
およびTi−Si系析出物の分布等が安定化したものと
なっているので、機械的性質および耐酸化性に優れた構
造用部材であるという著しく優れた効果がもたらされ、
結晶粒界やラメラ層間に析出分布したTi−Si系金属
間化合物の介在によって、高温における引張り強度やク
リープ強度および耐酸化性を著しく向上させることがで
きるという効果がもたらされ、これにより、高温環境下
で使用中に材料特性が安定し、耐摩耗性や高速運動を要
求されるエンジン用部品等に適した特性の優れた構造用
部材を提供することができるという著大なる効果がもた
らされる。
【0048】また、本発明に係わるTi−Al系軽量耐
熱部材の製造方法によれば、上述した特性の優れた軽量
な構造用部材を得ることが可能であり、従来、Ti−A
l系軽量耐熱部材では制限されていた部品製造および部
品構成上必要な1回以上の熱処理加工が可能となり、部
材の性能および品質をより一層向上させたものとするこ
とが可能であるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ti−Al系軽量耐熱部材の鋳造のままの一般
的な微細組織を示す顕微鏡写真の模写図である。
【図2】Ti−33.5重量%Al−1.0重量%Si
の組成をもつTi−Al系軽量耐熱材料を熱処理条件と
して温度:1300℃,時間:24時間の真空中で均質
化熱処理した後の組織を示す顕微鏡写真の模写図であ
る。
【図3】耐酸化試験に用いた加熱・冷却パターンを示す
説明図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】Ti−Al系軽量耐熱部材の鋳造のままの一般
的な微細組織を示す顕微鏡写真である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】Ti−33.5重量%Al−1.0重量%Si
の組成をもつTi−Al系軽量耐熱材料を熱処理条件と
して温度:1300℃,時間:24時間の真空中で均質
化熱処理した後の組織を示す顕微鏡写真である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 眞 木 邦 雄 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 水 野 直 人 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 鞘 師 守 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Al:32〜36%、Si:
    0.1〜2.0%を含み、残部Tiおよび不純物よりな
    り、鋳造のままの微細組織においてTiAl中にTi
    Alが層状に分布するラメラ組織を有し、熱処理,熱履
    歴などの加熱により金属組織における結晶粒径とラメラ
    間隔およびTi−Si系析出物の分布が安定化している
    ことを特徴とするTi−Al系軽量耐熱部材。
  2. 【請求項2】 重量%で、Al:32〜36%、Si:
    0.1〜2.0%、Nb:0.1〜5.0%を含み、残
    部Tiおよび不純物よりなり、鋳造のままの微細組織に
    おいてTiAl中にTiAlが層状に分布するラメラ
    組織を有し、熱処理,熱履歴などの加熱により金属組織
    における結晶粒径とラメラ間隔およびTi−Si系析出
    物の分布が安定化していることを特徴とするTi−Al
    系軽量耐熱部材。
  3. 【請求項3】 重量%で、Al:32〜36%、Si:
    0.1〜2.0%、Nb:0.1〜5.0%、およびC
    r:0.1〜3.0%,B:0.005〜0.200%
    のうちの1種または2種を含み、残部Tiおよび不純物
    よりなり、鋳造のままの微細組織においてTiAl中に
    TiAlが層状に分布するラメラ組織を有し、熱処
    理,熱履歴などの加熱により金属組織における結晶粒径
    とラメラ間隔およびTi−Si系析出物の分布が安定化
    していることを特徴とするTi−Al系軽量耐熱部材。
  4. 【請求項4】 Ti−Si系析出物は、結晶粒界および
    ラメラ層間に分布する微細構造となっている請求項1な
    いし3のいずれかに記載のTi−Al系軽量耐熱部材。
  5. 【請求項5】 重量%で、Al:32〜36%、Si:
    0.1〜2.0%を含み、残部Tiおよび不純物よりな
    り、鋳造のままの微細組織においてTiAl中にTi
    Alが層状に分布するラメラ組織を有するTi−Al系
    軽量耐熱材料を素材とし、金属組織における結晶粒径と
    ラメラ間隔およびTi−Si系析出物の分布を安定化さ
    せて高温使用時における特性の安定性を向上させるため
    の熱処理として、真空または不活性なガス雰囲気中で、
    処理温度:1000〜1350℃,処理時間:1〜24
    時間の熱処理を行なうことを特徴とするTi−Al系軽
    量耐熱部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 重量%で、Al:32〜36%、Si:
    0.1〜2.0%、Nb:0.1〜5.0%を含み、残
    部Tiおよび不純物よりなり、鋳造のままの微細組織に
    おいてTiAl中にTiAlが層状に分布するラメラ
    組織を有するTi−Al系軽量耐熱材料を素材とし、金
    属組織における結晶粒径とラメラ間隔およびTi−Si
    系析出物の分布を安定化させて高温使用時における特性
    の安定性を向上させるための熱処理として、真空または
    不活性なガス雰囲気中で、処理温度:1000〜135
    0℃,処理時間:1〜24時間の熱処理を行なうことを
    特徴とするTi−Al系軽量耐熱部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 重量%で、Al:32〜36%、Si:
    0.1〜2.0%、Nb:0.1〜5.0%、およびC
    r:0.1〜3.0%,B:0.005〜0.200%
    のうちの1種または2種を含み、残部Tiおよび不純物
    よりなり、鋳造のままの微細組織においてTiAl中に
    TiAlが層状に分布するラメラ組織を有するTi−
    Al系軽量耐熱材料を素材とし、金属組織における結晶
    粒径とラメラ間隔およびTi−Si系析出物の分布を安
    定化させて高温使用時における特性の安定性を向上させ
    るための熱処理として、真空または不活性なガス雰囲気
    中で、処理温度:1000〜1350℃,処理時間:1
    〜24時間の熱処理を行なうことを特徴とするTi−A
    l系軽量耐熱部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 Ti−Si系析出物を結晶粒界およびラ
    メラ層間に分布する微細構造のものとする請求項5ない
    し7のいずれかに記載のTi−Al系軽量耐熱部材の製
    造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012077346A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Kyushu Institute Of Technology ホウ素含有純チタン材および同純チタン材の製造方法
JP2015193910A (ja) * 2014-03-27 2015-11-05 大同特殊鋼株式会社 TiAl系耐熱部材
WO2017123186A1 (en) 2016-01-11 2017-07-20 General Electric Company Tial-based alloys having improved creep strength by strengthening of gamma phase
JP2019210502A (ja) * 2018-06-01 2019-12-12 大同特殊鋼株式会社 プリフォーム及びTiAl系タービンホイールの製造方法

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