JP2004307999A - Ni基超耐熱鋳造合金およびそれを材料とするタービンホイール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重量%で、C:0.02〜0.50%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:4.0〜10.0%、Al:2.0〜8.0%、Co:15.0%以下、W:8.0〜16.0%、Ta:2.0〜8.0%、Ti:3.0%以下、Zr:0.001〜0.2%およびB:0.005〜0.300%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる組成の合金。ただし原子%で[%Al]+[%Ti]+[%Ta]が12.0〜15.5%を占め、γ/γ´共晶を面積率で1〜15%含有し、炭化物の面積率が1〜10%であって、成分元素の割合により決定されるM値が93〜98の範囲にあるもの。
【選択図】 なし
Description
M=0.717[%Ni]+1.142[%Cr]+2.271[%Ti]+1.9
[%Al]+2.117[%Nb]+1.55[%Mo]+0.777[%Co]
+3.02[%Hf]+2.224[%Ta]+1.655[%W]+2.944
[%Zr]
Cは、Ti、ZrおよびHfのグループに属する元素、またはNb、TaおよびVのグループに属する元素が存在する場合は、それらと結合して炭化物を形成することにより、粒界の強化に寄与する。C量が0.02%以下では十分な効果が得られず、0.5%を超えると炭化物が過剰に生成し、耐食性や延性の低下を招く。好ましい含有量は0.05〜0.30%でああり、より好ましくは0.05〜0.20%である。
Siは、主に溶解精練時の脱酸剤として使用する元素であり、脱酸に有効な程度の量が存在することは支障ないが、多量に添加すると延性が悪くなる。そのため、上限値として1.0%を設けた。好ましくは、0.5%以下とする。
Mnも、Si同様、脱酸剤として添加される成分であり、脱酸に有効な程度の量が存在することは支障ないが、多量に添加すると、やはり強度および延性の低下を引き起こす。1.0%を上限として定めた。好ましくは、0.5%以下とする。
Crは耐食性向上のはたらきをする元素の、主要なものである。母相に固溶することで、強度の向上にも寄与する。添加量が4.0%未満ではこれらの効果が小さく、10.0%を超すと相安定性が低下し、タービンホイールを高温で長時間使用したときに、強度および延性が低下する。好適な範囲は、6.0〜10.0%である。
Alはγ'相を形成する重要な成分であり、さらに耐高温腐食性の向上にも役立つ。これらの効果は、Al添加量が2.0%に達しない少量では微弱である。しかし、8.0%を上回る添加は、鋳造時に多量の共晶γ'相の析出を招き、結果としてクリープ強度が低下するだけでなく、鋳造割れの原因にもなる。好ましい添加量の範囲は、4.5〜5.5%である。
Coは、γ相を固溶強化するとともに、強度の向上に効果のあるγ'相中にも固溶し、γ'相をも強化する作用がある。また、γ'相の析出量を増加させる。しかし高価な材料であるため、多量に添加することは、コスト的に不利である。15.0%までの添加量を選ぶことが賢明である。900℃以上で十分な高温特性を保持するためには、5.0%以上の添加が望ましい。
Wは、γ相の固溶強化に大きく寄与し、強度の上昇に役立つ。添加量が8.0%未満ではこの効果が小さく、16.0%を超えて添加すると相安定性が低下し、高温での長時間使用により、α−Crを析出させ、タービンホイールの強度と延性が低下する。好適な添加量範囲は、10.0〜14.0%である。
Taは、Cと結合して炭化物を形成するだけでなく、γ'相へ固溶して強度を高める。2.0%未満の添加ではその効果が低い。TaはHfなどとともに高価な材料であるため、コスト面からはなるべく使用量を抑えたい。上限値として、8.0%を設けた。
Tiは、Niと結合して強度の向上に有効なγ'相を形成する成分であり、Alと置換してγ'相の固溶強化に寄与し、合金の強度をさらに高めるはたらきがある。しかし、3%を超えて添加すると、η相(Ni3Ti)が析出しやすくなって高温強度および延性にとって不利益を与える。好ましい添加量は、2.0%以下である。
ZrはCと結合して炭化物を形成するだけでなく、粒界に偏析して粒界を強化に役立つという作用もする。0.001%という少量の添加で効果が認められるが、一方で多量に添加すると延性が低下するため、上限を0.2%とした。0.1%以下に、添加量の最適範囲がある。
Bは、η相の生成を抑制して高温強度および延性の低下を防止し、さらに高温クリープ強度を高めるのに有効な成分である。また、Cr等の元素とホウ化物を形成する。このホウ化物は融点が低いため、ホウ素を添加すると固液共存温度域が広くなり、鋳造性が向上する。これらの効果を得るには、0.005%以上で適量を添加する必要がある。しかし、過剰に添加すると、強度および靱性の低下を招く。したがって、添加量の上限を0.300%とした。鋳造性と強度および靱性とのバランスがよりよく得られるのは、0.050〜0.200%の範囲である。
MgおよびCaは、粒界に偏析して粒界を強化する。REMも、同様な作用がある。いずれも多量の添加は強度および延性を低下させるから、得策でない。添加量の上限は、MgとCaは0.01%、REMは0.1%とした。
製造コストの低下を意図して安価なスクラップを原料とした場合に、不純物として混入する可能性が最も高い元素は、Feであって、合金の強度、高温および常温の耐食性のいずれにとっても有害である。許容できる上限は5.0%であるが、3.0%以下が望ましい。Pは粒界に偏析して強度低下の原因となるので、多量の存在は好ましくないが、ある程度の混入は避けがたい。許容限度は、0.03%である。Sも、Pと同様に強度を低下させる元素であり、S量も0.03%以下に止めたい。Moは基地に固溶し、強度の向上に役立つが、多量に存在すると耐高温酸化性を悪くするので、1.0%までの含有量に抑える。Cuもまた強度を低下させる原因となるので、多量の存在は好ましくない。許容限度は1.0%であるが、0.3%以下が好ましい。Vは、高温強度の低下という不利益をもたらすから、許容限度の1.0%以下に止める。
この要件は、十分な強度と製造性を確保するために、充足する必要がある。下限の12.0%に満たない場合は十分な強度が得られず、上限の15.5%を超えると、鋳造割れが発生しやすくなるという不都合がある。
この範囲の下限値1%は、製造性、とくに鋳造性の確保にとって必要である。共晶の面積率が5%に満たない場合は、鋳造の最終段階で空孔を生じることがあり、製品タービンホイールの信頼性が低くなる。一方、15%を上回ると、共晶の部分が破壊の起点になる可能性が高くなる。
適量の炭化物の生成は、粒界を強化し、1000℃以上の高温領域における強度を高くするのに役立つ。この効果は、炭化物の面積率が1%以上あるときに得られる。10%を超えると、かえって失われる。好ましくは、1〜5%の範囲である。
前掲の式により定義されるM値は、相安定性の指標であり、93〜98の範囲にあることが、製品タービンホイールの耐久性を保証する。本発明の合金は自動車用の部材に使用するものであり、したがって、M値は高いほど耐久性を高める上で有利であり、下限値として93を選んだ。しかし、M値が98を上回ると、長時間使用しているうちにσ相などの有害な相が析出しやすくなり、耐久性を低下させるようになる。
Claims (4)
- 重量%で、C:0.02〜0.50%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:4.0〜10.0%、Al:2.0〜8.0%、Co:15.0%以下、W:8.0〜16.0%、Ta:2.0〜8.0%、Ti:3.0%以下、Zr:0.001〜0.2%およびB:0.005〜0.300%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる合金組成を有し、ただし、原子%で、[%Al]+[%Ti]+[%Ta]が12.0〜15.5%を占め、γ/γ'共晶を面積率で1〜15%含有し、炭化物の面積率が1〜10%であって、次式(%は原子%)で表されるM値が93〜98の範囲にあることを特徴とするNi基超耐熱鋳造合金。
M=0.717[%Ni]+1.142[%Cr]+2.271[%Ti]+1.9
[%Al]+2.117[%Nb]+1.55[%Mo]+0.777[%Co]
+3.02[%Hf]+2.224[%Ta]+1.655[%W]+2.94
4[%Zr] - 合金がさらに、Mg:0.01%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.1%以下の1種または2種以上を含有する請求項1のNi基超耐熱鋳造合金。
- 不純物の含有量を、Fe:5.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:0.3%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、V:1.0%以下に規制した請求項1または2のNi基超耐熱鋳造合金。
- 請求項1ないし3のいずれかのNi基超耐熱鋳造合金で製造した自動車エンジン用タービンホイール。
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