JP2022511490A - ニッケル基合金 - Google Patents

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Abstract

5.0~6.9質量%のアルミニウム、0.0~11.0質量%のコバルト、6.0~11.6質量%のクロム、0.0~4.0質量%のモリブデン、0.0~2.0質量%のニオブ、0.6~8.6質量%のタンタル、0.0~3.0質量%のチタン、8.4~15.2質量%のタングステン、0.02~0.35質量%の炭素、0.001~0.2質量%のホウ素、0.001~0.5質量%のジルコニウム、0.0~0.5質量%のケイ素、0.0~0.1質量%のイットリウム、0.0~0.1質量%のランタン、0.0~0.1質量%のセリウム、0.0~0.003質量%の硫黄、0.0~0.25質量%のマンガン、0.0~0.5質量%の銅、0.0~2.0質量%のハフニウム、0.0~1.0質量%のバナジウム、0.0~4.0質量%の鉄、0.0~1.0質量%のレニウムを含み、残部がニッケルおよび不可避的不純物であり、含有されるニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、タングステン及びレニウムの質量%をそれぞれWNb、WTa、WTi、WCr、WMo、WW及びWReとすると、以下の式を満たす、ニッケル基合金組成物。6.6≦2WTi+WTa+1.44WNb22.2≧WW+WRe+1.16WCr+1.7WMo13.9≦WMo+1.17(WW+3.3WRe)

Description

本発明は、高温用途に用いられる低コストの鋳造ニッケル基超合金組成物に関する。
高温用途に用いられる低コストの鋳造ニッケル基超合金組成物は、希少かつ高価な元素(例えば、レニウム、ルテニウム及びタンタルなど)を添加することによって、その高温性能の改善を実現している。これらの合金には、高温性能の改善が常に求められる。これは、ガスタービン、ジェット推進及び燃焼エンジンのターボチャージを含むターボ機械用途(ターボ機械用途はこれらに限られない)において、高い性能を得るためである。一方、開発された合金のいくつかは、これらの希少かつ高価な元素を過度に使用することにより、元素コスト、長期的な価格変動の不確実性及びこれらのいわゆる「戦略的元素」の継続供給の不確実性の観点から、商業的な適用が制限される。本発明は、特に強度及び耐クリープ性の観点から顕著な高温特性を有するとともに、大幅なコスト削減を実現するように設計された、鋳造ニッケル基超合金について説明するものである。これらの望ましい特性は、高レベルな耐酸化性、良好な微細構造安定性及び良好な製造能力と組み合わされる。
高温用途に使用される鋳造ニッケル基超合金の代表的な組成の例を表1に列挙する。表1は、高温用途に広く使用される従来の鋳造ニッケル基超合金の、質量%における公称組成である。合金IN713Cは通常、使用温度が900~950℃を超えない用途で使用される。この温度を超えると、この合金の引張強度と耐クリープ性が不十分となる。950~1050℃では、Mar-M246とMar-M247を使用する必要がある。これは、Mar-M246及びMar-M247が、IN713Cより優れた高温強度と耐クリープ性を備えているためである。1050℃を超える温度では、CM681LCが用いられ得る。一方、この合金は、IN713C、Mar-M246及びMar-M247と比べて高コストであるため、低コストであることが重要となる一部の用途(例えば、自動車用途でのターボチャージャーの場合)では不経済となる可能性がある。
Figure 2022511490000002
本発明の目的は、コスト増を抑制しつつCM681LCの高温性能に近づけ、Mar-M246及びMar-M247よりも優れた高温性能を達成することである。特に、耐酸化性/耐食性、微細構造安定性及び合金密度を含む重要な他の材料特性を維持しつつ、合金コストの削減とともに高レベルなクリープ性能を達成する。新たな合金における特性のバランスは、多くの高温ターボ機械用途に適合する。
本発明によれば、5.0~6.9質量%のアルミニウム、0.0~11.0質量%のコバルト、6.0~11.6質量%のクロム、0.0~4.0質量%のモリブデン、0.0~2.0質量%のニオブ、0.6~8.6質量%のタンタル、0.0~3.0質量%のチタン、8.4~15.2質量%のタングステン、0.02~0.35質量%の炭素、0.001~0.2質量%のホウ素、0.001~0.5質量%のジルコニウム、0.0~0.5質量%のケイ素、0.0~0.1質量%のイットリウム、0.0~0.1質量%のランタン、0.0~0.1質量%のセリウム、0.0~0.003質量%の硫黄、0.0~0.25質量%のマンガン、0.0~0.5質量%の銅、0.0~2.0質量%のハフニウム、0.0~1.0質量%のバナジウム、0.0~4.0質量%の鉄、0.0~1.0質量%のレニウムを含み、残部がニッケルおよび不可避的不純物であり、合金に含まれるニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、タングステン及びレニウムの質量%をそれぞれWNb、WTa、WTi、WCr、WMo、W及びWReとすると、以下の式を満たすニッケル基合金組成物が提供される。
6.6≦2WTi+WTa+1.44WNb
22.2≧W+WRe+1.16WCr+1.7WMo
13.9≦WMo+1.17(W+3.3WRe
このような合金は、低コストで、強度及び耐クリープ性の観点からCM681LCに匹敵する高温性能を示すとともに、許容可能な構造的安定性を有する。
好ましくは、合金に含まれるアルミニウム、チタン、ニオブ及びタンタルの質量%をそれぞれWAl、WTi、WNb及びWTaとすると、ニッケル基合金組成物は、以下の式を満たす。
6.5≦WAl+0.5WTi+0.3WNb+0.15WTa≦6.9
このような合金は、最適な体積分率のガンマプライムを有する。
好ましくは、合金に含まれるチタン、タンタル及びニオブの質量%をそれぞれWTi、WTa及びWNbとすると、ニッケル基合金組成物は、以下の式を満たす。
7.4≦2WTi+WTa+1.44WNb
好ましくは、以下の式を満たす。
8.2≦2WTi+WTa+1.44WNb
このような合金は、最適化された強度を有する。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるクロムは、質量%で、7.0%以上、好ましくは7.5%以上である。このような合金は、より良好な耐酸化性/耐食性を有する。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるクロムは、質量%で、10.4%以下、好ましくは8.8%以下、より好ましくは7.7%以下である。このような合金は、さらに改善された微細構造安定性を有する。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるタンタルは、質量%で、1.4%以上、好ましくは2.5%以上、より好ましくは2.6%以上、さらにより好ましくは3.5%以上、さらにより一層好ましくは5.5%以上、最も好ましくは7.7%以上である。このような合金は、強度が改善される。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるモリブデンは、質量%で、4.0%以下、好ましくは3.3%以下、より好ましくは3.0%以下、さらにより好ましくは2.0%以下、最も好ましくは1.0%以下である。このような合金は、耐クリープ性と耐酸化性との改善されたバランスを備える。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるチタンは、質量%で、2.85%以下、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.55%以下である。このような合金は、所望のレベルのガンマプライムを達成するとともに、良好な強度を達成する。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるハフニウムは、質量%で、0.1%以上及び/または1.5%以下、好ましくは1.0%以下である。このような合金は、さらなる粒界強度の最適量を有する。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるタングステンは、質量%で、14.0%以下、好ましくは13.1%以下である。これにより、合金の微細構造安定性が改善される。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるタングステンは、質量%で、9.3%以上、好ましくは10.6%以上、より好ましくは11.1%以上である。このような合金は、耐クリープ性が改善される。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるタンタルは、質量%で、7.3%以下、好ましくは6.8%以下、より好ましくは6.1%以下である。このような合金は、耐酸化性が改善される。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるアルミニウムは、質量%で、5.4%以上、好ましくは5.5%以上、より好ましくは5.7%以上である。このような合金は、高温強度及び耐酸化性が改善される。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備える鉄は、質量%で、1.0%以上である。このような合金は、リサイクル材料からの製造がより容易となる。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備える鉄は、質量%で、2.0%以下である。このような合金では、望ましくないラーベス相が形成される傾向が減少する。
好ましくは、合金に含まれるタンタル及びタングステンの質量%をそれぞれWTa及びWとすると、以下の式を満たす、請求項1~17のいずれかに記載のニッケル基合金組成物である。
Ta+0.9W≦16.2
好ましくは、以下の式を満たす。
Ta+0.9W≦14.7
より好ましくは、以下の式を満たす。
Ta+0.9W≦13.4
このような合金の密度は低い。
好ましくは、合金に含まれるモリブデン、タングステン、クロム及びレニウムの質量%をそれぞれWMo、W、WCr及びWReとすると、以下の式を満たすニッケル基合金組成物が提供される。
21.0≧W+WRe+1.16WCr+1.7WMo
このような合金は、安定性が改善される。
好ましくは、ニッケル基合金組成物は、60%~65%の体積分率のγ´を有する。これは、物理的特性の最良な組み合わせを付与する体積分率のガンマプライムである。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるニオブは、質量%で、1.0%以下である。このような合金では、鋳造性及び耐酸化性が改善される。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるチタンは、質量%で、0.35%以上、好ましくは0.55%以上、より好ましくは0.95%以上である。これにより、より強度が高い合金が得られる。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるコバルトは、質量%で、5.1%以上、好ましくは7.5%以上である。このような合金は、ガンマプライムソルバスが低減される。
好ましくは、ニッケル基合金組成物が備えるコバルトは、質量%で、10.2%以下、好ましくは9.6%以下である。このような合金は、凝固温度範囲が低くなる。
好ましくは、ニッケル基合金が備えるモリブデンは、質量%で、1.1%以上、好ましくは1.3%以上である。このような合金は、クリープ、密度及びコストの改善されたバランスが得られる。
本明細書における「備える」との用語は、組成物を100%として、追加の成分の存在を排斥することでパーセンテージを100%にしていることを示すために用いられる。特に明記しない限り、%は質量%として表される。
本発明について、単なる例示を通じて、添付図面を参照しながら、さらに十分に説明する。
図1は、合金設計領域内における、主成分の分配係数を示す。 図2は、合金設計領域内の合金において、γ´の体積分率に対する、γ´形成元素であるアルミニウム及びタンタル元素の影響を示す等値線図である。この等値線図は、チタン含有量を0.0質量%に固定し、900℃で行われる相平衡計算によって求められたものである。 図3は、合金設計領域内の合金において、γ´の体積分率に対する、γ´形成元素であるアルミニウム及びタンタル元素の影響を示す等値線図である。この等値線図は、チタン含有量を1.0質量%に固定し、900℃で行われる相平衡計算によって求められたものである。 図4は、合金設計領域内の合金において、γ´の体積分率に対する、γ´形成元素であるアルミニウム及びタンタル元素の影響を示す等値線図である。この等値線図は、チタン含有量を2.0質量%に固定し、900℃で行われる相平衡計算によって求められたものである。 図5は、合金設計領域内の合金において、γ´の体積分率に対する、γ´形成元素であるアルミニウム及びタンタル元素の影響を示す等値線図である。この等値線図は、チタン含有量を3.0質量%に固定し、900℃で行われる相平衡計算によって求められたものである。 図6は、合金設計領域内の合金において、γ´の体積分率に対する、γ´形成元素であるアルミニウム及びタンタル元素の影響を示す等値線図である。この等値線図は、チタン含有量を4.0質量%に固定し、900℃で行われる相平衡計算によって求められたものである。 図7は、γ´の体積分率が60~65%である合金において、強度メリット指数に対する、γ´形成元素であるチタン及びタンタル元素の影響を示す等値線図である。 図8は、137MPaでの予測1000時間クリープ寿命に対する、γ´の体積分率及びクリープメリット指数の影響を示す等値線図である。 図9は、γ´の体積分率が60~65%である合金において、(クリープメリット指数の観点から)耐クリープ性に対する、モリブデン及びタングステンの影響を示す等値線図である。 図10は、γ´の体積分率が60~65%である合金において、合金密度に対する、タングステン及びタンタル元素の影響を示す等値線図である。 図11は、(750℃の平衡温度で計算されたMd数の観点から)すべての耐久性に対する、クロム及びタングステン元素の影響を示す等値線図である。この合金におけるモリブデン含有量は、0.0質量%に固定されている。 図12は、(750℃の平衡温度で計算されたMd数の観点から)すべての耐久性に対する、クロム及びタングステン元素の影響を示す等値線図である。この合金におけるモリブデン含有量は、1.0質量%に固定されている。 図13は、(750℃の平衡温度で計算されたMd数の観点から)すべての耐久性に対する、クロム及びタングステン元素の影響を示す等値線図である。この合金におけるモリブデン含有量は、2.0質量%に固定されている。 図14は、(750℃の平衡温度で計算されたMd数の観点から)すべての耐久性に対する、クロム及びタングステン元素の影響を示す等値線図である。この合金におけるモリブデン含有量は、3.0質量%に固定されている。 図15は、(750℃の平衡温度で計算されたMd数の観点から)すべての耐久性に対する、クロム及びタングステン元素の影響を示す等値線図である。この合金におけるモリブデン含有量は、4.0質量%に固定されている。 図16は、γ´の体積分率が60~65%である合金において、(クリープメリット指数の観点から)耐クリープ性に対する、タングステンをレニウムに置換した置換効果を示す等値線図である。 図17は、γ´の体積分率が60~65%である合金において、γ´ソルバス温度に対するコバルトの影響を示す等値線図である。 図18は、γ´の体積分率が60~65%である合金において、凝固温度範囲に対するコバルトの影響を示す等値線図である。
従来、ニッケル基超合金は、経験主義に基づき設計されてきた。したがって、ニッケル基超合金の化学的組成物は、限られた量の材料の小規模処理と、挙動についてのその後の特性分析と、を含む時間のかかる高価な実験開発によって特定されてきた。その後、最良の、すなわちもっとも望ましい特性の組み合わせを示すことを見出された合金組成物が採用される。この組み合わせを達成可能な合金元素群が多数存在することは、これらの合金が完全には最適化されておらず、より改良された合金が存在する可能性が高いことを示している。
超合金においては一般的に、耐酸化性/耐食性を付与するためにクロム(Cr)及びアルミニウム(Al)が添加され、硫化に対する耐性を向上させるためにコバルト(Co)が添加される。耐クリープ性の為に、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルトが導入されるが、これは、これらの元素が、クリープ変形の割合を決定する熱活性化過程(例えば、転位上昇)を阻害するためである。静的強度及び繰り返し強度を高めるために、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)及びチタン(Ti)が導入されるが、これは、これらの元素が、析出硬化相ガンマプライム(γ´)の形成を促進させるためである。この析出相は、ガンマ(γ)と呼ばれる面心立方(FCC)マトリックス相とコヒーレントである。
本明細書においては、ニッケル基超合金の新たなグレードの特定に用いられる、モデルに基づく手法を、「合金設計」(ABD)法という用語で記載する。この手法には、非常に広範な組成領域に亘って設計関連特性を推定するための計算材料モデルのフレームワークが利用される。原則的に、この合金設計ツールにより、いわゆる逆問題が解決可能となる。すなわち、指定された設計制約を最も満足する、最適な合金組成を特定できる。
設計過程の第1ステップは、元素表と、その元素表に付随した組成制限の上限及び下限と、を規定することである。本発明においては、「合金設計領域」と呼ばれる、各元素を添加する際の元素ごとの組成制限が考慮される。この組成制限については、表2に詳述されている。表2に、「合金設計」法を用いて調べた、質量%における合金設計領域を示す。
Figure 2022511490000003
残部はニッケルである。炭素、ホウ素およびジルコニウムのレベルは、それぞれ0.06%、0.015%および0.06%に固定した。
第2ステップは、特定の合金組成物の相図及び熱力学的特性を計算するための、熱力学的計算に基づいて行われる。これは、CALPHAD法(CALculate PHAse Diagram)と呼ばれることが多い。これらの計算を、新しい合金の典型的な使用温度(900℃)で実施することで、相平衡(微細構造)についての情報が得られる。
第3段階には、所望の微細構造を有する合金組成物を特定することが含まれる。クリープ変形に対する優れた耐性を必要とするニッケル基超合金の場合、析出硬化相γ´の体積分率が増加するにつれてクリープ破断寿命が徐々に改良される。クリープ破断寿命が最も有益となるγ´の体積分率の範囲は、60~70%である。γ´の体積分率が70%を超えると、耐クリープ性の低下が観察される。
また、γ/γ´格子不整は、コヒーレンシーを失うため、正又は負のうち、いずれか小さい値に従う必要がある。したがって、制限はその値の絶対値に依存する。格子不整δは、γ相とγ´相との間の不整合として定義され、以下の式によって求められる。
Figure 2022511490000004
ここで、αγ及びαγ´は、γ相及びγ´相の格子定数である。
不適当な微細構造に基づいた合金は、形態的最密充填(TCP)相に対する感受性(susceptibility)の推定値によっても排斥される。本計算においてCALPHADモデリングを使用することで、有害なTCP相シグマ(σ)、Ρ及びミュー(μ)の形成が予測される。
したがって、このモデルにより、γ´の体積分率の計算結果が所望の値となる、設計領域内における全ての組成物が特定される。これらの組成物では、γ´の格子不整が所定の絶対値未満であり、TCP相の総体積分率が所定の大きさ未満である。
第4段階では、データセット内に残った特定された合金組成物について、メリット指数が推定される。メリット指数の例として、クリープメリット指数(平均組成のみに基づく合金の耐クリープ性を示す)、強度メリット指数(平均組成のみに基づく合金の析出降伏強度(an alloy’s precipitation yield strength)を示す)、固溶メリット指数(平均組成のみに基づく合金の固溶降伏強度を示す)、密度、及びコストが含まれる。
第5段階では、計算されたメリット指数が所望の挙動に対する制約と比較され、これらの設計制約が、問題に対する境界条件とみなされる。境界条件を満たさないすべての組成物は排斥される。この段階において、試験データセットのサイズは非常に小さくなる。
最後の第6段階には、残った組成物のデータセットを分析することが含まれる。この分析は、様々な方法で行われ得る。1つには、メリット指数が最大値を示す合金について、データベースを介して分類してもよい。メリット指数が最大値を示す合金とは、例えば最軽量合金、最も耐クリープ性が高い合金、最も耐酸化性が高い合金、及び最も安価な合金である。又は、その代わりに、データベースを用いて、特性の異なる組み合わせによって生じる、性能の相対的なトレードオフを求めてもよい。
メリット指数の5つの例を説明する。
第1のメリット指数はクリープメリット指数である。最も重要な観測は、ニッケル基超合金の時間依存変形(即ち、クリープ)が、γ相に限られた初期活性に伴う転位クリープによって発生することである。したがって、γ´相の割合が大きくなるため、転位セグメントが急速にγ/γ´界面に固定される。律速段階は、γ/γ´界面からの、転位のトラップされた構成の離脱である。それは、クリープ特性に対して合金組成物が及ぼす重大な影響を引き起こす局所化学(この場合はγ相の組成)に依存する。
物理学に基づいた微細構造モデルは、荷重が一軸であって<001>結晶学的方向に沿っている場合において、クリープ歪εの蓄積速度に援用される。集合方程式は、以下の式である。
Figure 2022511490000005
ここで、ρは可動転位密度、φpはγ´相の体積分率、ωはマトリックスチャネルの幅である。項σ及びΤはそれぞれ、作用応力及び温度である。項b及びkはそれぞれ、バーガースベクトル及びボルツマン定数である。項KCFは、拘束係数である。
Figure 2022511490000006
項KCFは、これらの合金内の立方状粒子の近接度を示す。式3は、乗算パラメータC及び初期転位密度の推定を必要とする転位乗算過程を示している。項Deffは、粒子/マトリックス界面における上昇過程を制御する有効拡散率である。
なお、上述の内容において、組成依存性は、2つの項φとDeffから生じる。したがって、微細構造が一定である(微細構造の大部分が熱処理によって制御される)と仮定すると、φが固定されるため、化学組成への依存性は、Deffによって生じる。ここに説明されている合金設計モデリングの目的のために、各プロトタイプ合金組成物に対して式2及び式3の完全な積分を実施する必要がないことがわかる。代わりに、最大化が必要な、一次メリット指数Mcreepが用いられる。Mcreepは、以下の式で求められる。
Figure 2022511490000007
ここで、xは、γ相中の溶質iの原子分率である。D は、適切な相互拡散係数である。
第2のメリット指数は強度メリット指数である。高ニッケル基超合金の場合、強度の大部分は析出相に由来する。したがって、析出強度を最大とするために合金組成を最適化することは、設計上の重要な考慮事項である。硬化理論に基づき、強度のメリット指数Mstrengthが提案される。この指数は、(弱い結合から強い結合への転位せん断の移行が起こる点として決定される)最大可能析出強度を考慮しており、下記の式を用いて近似される。
Figure 2022511490000008
ここで、M-はテイラー係数、γAPBは逆位相境界(APB)エネルギー、φpはγ´相の体積分率、bはバーガースベクトルである。
式(5)より、γ´相における欠陥エネルギー(例えば逆位相境界APBエネルギー)が、ニッケル基超合金の変形挙動に大きな影響を与えることは明らかである。APBエネルギーを増加させることは、引張強度およびクリープ変形に対する耐性を含む機械的性質を改善することがわかった。APBエネルギーの研究は、密度汎関数理論を用いて、多くのNi-Al-X系について行われた。この研究により、γ´相のAPBエネルギーに対する三元元素の影響が計算され、複合多成分系を考慮した場合における、各三元元素の添加による影響の線形重畳が仮定された。その結果、以下の式が導かれた。
Figure 2022511490000009
ここで、xCr、xMo、x、xTa、xNb及びxTiはそれぞれ、γ´相におけるクロム、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ及びチタンの原子%濃度を表す。γ´相における組成は、相平衡計算によって求められる。
第3のメリット指数は、密度である。密度ρは、混合物の単純な規則及び補正係数を用いることで計算された。ここで、ρは所与の元素の密度であり、xiは合金元素の原子分率である。
Figure 2022511490000010
第4のメリット指数は、コストである。各合金のコストを推定するために、混合物の単純な規則を適用した。ここで、各合金のコストは、合金元素の質量分率xiに、合金元素の現在(2016)の原材料コストcを掛けたものを用いた。
Figure 2022511490000011
第5のメリット指数は、TCP相に対する感受性(susceptibility)に基づいて作成された不適切な微細構造を基礎とする合金候補の除外に基づいている。これを行うために、合金元素のd軌道エネルギーレベル(Mdと称す)を用い、以下の式に従って総有効Mdレベルを決定する。
Figure 2022511490000012
ここで、xは、合金に含まれる元素iのモル分率を表す。Mdの値が高いほど、TCP形成の可能性が高いことを示す。
この推定は、加工コストがすべての合金において同一であると仮定している。すなわち、製品収率は組成物による影響を受けない。
上述のABD法を用いて、本発明の合金組成物を特定した。この合金の設計意図は、合金コストの削減及び許容可能な微細構造安定性を確保しつつCM681LCの高温性能に近づけ、Mar-M246及びMar-M247よりも優れた高温性能を達成するために、従来の鋳造ニッケル基超合金組成物の組成を最適化することであった。特に、耐酸化性/耐食性、微細構造安定性及び合金密度を含む重要な他の材料特性を維持しつつ、合金コストの削減とともに高レベルなクリープ性能を達成する。
従来の鋳造ニッケル基合金(表1に記載)の典型的な組成物の(ABD法を用いて決定された)材料特性を、表3に列挙する。これらの合金について列挙されている予測特性と関連付けて、新しい合金の設計が考慮された。表3は、「合金設計」ソフトウェアによって作成された、計算された相割合及びメリット指数を示している。これは、表1に列挙されたニッケル基超合金に関する結果である。
新しい合金の設計原理について、以下に説明する。
Figure 2022511490000013
耐クリープ性を最大とするために、合金の微細構造の最適化が必要であった。この微細構造は主に、オーステナイト面心立方(FCC)ガンマ相(γ)及び規則化されたL1析出相(γ´)からなる。クリープ変形に対する優れた耐性を必要とするニッケル基超合金の場合、クリープ破断寿命は一般に、析出硬化相γ´の体積分率が増加するにつれて向上する。最も有益なγ´体積分率は、60~70%である。γ´の体積分率が70%を超える値をとる場合においては、耐クリープ性の低下が観察される。
合金設計領域に含まれる各元素の分配係数は、図1に示すように、900℃で実施される相平衡計算によって求められた。分配係数が1である場合は、元素が、γ相又はγ´相に等しい優先度で分配されていることを表す。分配係数が1未満である場合は、元素が、γ´相に対する優先度を有することを表し、分配係数の値が0に近づくほど、その優先度が大きくなる。分配係数の値が1より大きくなるほど、元素はγ相内に優先的に存在するようになる。アルミニウム、タンタル、チタン及びニオブの分配係数は、これらの元素が強力なγ´形成元素であることを示している。クロム元素、モリブデン元素、コバルト元素及びタングステン元素は、γ相に分配されることが好ましい。合金設計領域内で考慮される元素では、アルミニウム、タンタル、チタン及びニオブが最も強くγ´相に分配される。したがって、アルミニウム、タンタル、チタン及びニオブのレベルは、γ´の所望の体積分率を生成するように制御された。
図2~6は、ある平衡温度(この場合は900℃)において、γ´相を形成するために添加された元素(主にアルミニウム、タンタル及びチタン)が合金内のγ´相の割合に及ぼす影響を示す。この温度は、このような合金の通常の動作温度の代表値である。
この合金の設計において、γ´の体積分率を60~65%とすることが望ましい。これは、機械的特性(耐クリープ性及び引張強度)と、鋳造による製造能力と、の最良のバランスが得られるためである。γ´の体積分率を65%以下とすることにより、望まないアーチファクト(artefact)が低減されることで、鋳造性が改善される。この望まないアーチファクトは、鋳造プロセスによって生じうるものであり、微小偏析、鋳造多孔性及びγ/γ´共晶相割合を含む。これらの望まないアーチファクトは、元素性能の低下につながり、合金の高価な後処理を行う必要性が増す。一方、γ´の体積分率を60%未満とすると、Mar-M246及びMar-M247(γ´割合はそれぞれ56%、58%)と比較して強度を改善することが困難となる。γ´の体積分率が65%超の場合、65~70%の範囲では、非常に高い強度を実現し得る一方、高いγ´割合によって、鋳造多孔性が高レベルになるとともにγ/γ´共晶相割合が高まるため、合金を鋳造する能力が減少するとともに費用が高い後処理を行う必要性が高まる。この体積分率を有するγ´相を製造するために、アルミニウムを6.9質量%まで添加することができる(図2)。
合金は、高温使用中における耐酸化性を付与するために、アルミニウムを最低でも5.0質量%含有する必要がある。900℃超の温度では、耐酸化性を付与するために、保護アルミナスケール(Al2O3)が望ましい。耐酸化性を改善するために、合金に含有されるアルミニウムを5.5質量%とすることが好ましい。アルミニウム含有量を高めるほど、継続的な酸化物スケールの形成を促進できるとともに、保護酸化物スケールの形成に必要な時間を削減して一時的な酸化が生じる期間を短縮できる。より好ましくは、耐酸化性をさらに改善するために、アルミニウムを最低でも5.7質量%含有させる。
図2~6より、γ´体積分率の変化は、以下の式に従って、アルミニウム、タンタル及びチタン元素の含有量の合計と相関を有する。
f(γ´)=WAl+0.5WTi+0.3WNb+0.15WTa
ここで、f(γ´)は、所望のγ´割合(この場合、60~65%)を有する合金における数値である。この数値は、6.5~6.9の範囲である。WTa、WTi、WNb及びWAlはそれぞれ、合金に含まれるタンタル、チタン、ニオブ及びアルミニウムの質量パーセントである。
タンタルの最大レベル(8.6%)は、合金密度を適正制限内に収めることに基づいて決定される。図2~5は、このようなレベル及び最小のアルミニウム含有量を5.0%とすることによって、所望のガンマプライム体積分率を達成することができることを示している。最も好ましくは、耐酸化性を改善するために、アルミニウム含有量を5.7質量%以上とする。そのため、タンタルを7.3質量%以下に制限することが好ましい。タンタルの削減によって密度を下げることができるため(図10)、タンタルのレベルは、7.1質量%以下とすることが好ましく、6.8質量%以下とすることがより好ましく、6.1質量%以下とすることが最も好ましい。
アルミニウムの最小レベルを5.0質量%とすると、体積分率が60~65%のγ´を得るとともに、強度メリット指数の観点から所望の強度を得る(この点については、図7を参照して以下のセクションで記載する)ために、合金におけるチタンのレベルを、3.0質量%以下に制限する必要がある。所望の強度を得るために、タンタルの最小値を0.6質量%とする必要がある(図5)。チタンのレベルを3.0質量%とした場合、アルミニウムの最大レベルを5.1質量%までに制限することが望ましい。チタンを2.0質量%以下に制限することにより、高温強度と耐酸化性との改善された組み合わせが提供される。これは、アルミニウムの増加した最小レベル(5.4質量%)を合金に含有させることができるためである。望ましくは、チタンが2.0質量%までに制限される場合、高強度を達成するために、タンタルのレベルを少なくとも2.6質量%とすることが好ましい(図4)。
ニオブも、合金にγ´相を形成する元素である。ニオブは、特にタンタル添加の代替として、2質量%まで添加することができる。ニオブは、WTa=0.52WNb(タンタルの密度16.4g/cmに対するニオブの密度8.6g/cmにより定められる)に基づいて、タンタルの代替とすることができる。ニオブは、合金のコストを低下させるために、タンタルの代替としてもよい。合金の耐酸化性及び鋳造性が低減するため、ニオブは1.0質量%以下に制限されることが好ましい。
タンタル及びチタンは、γ´相中のアルミニウム原子を置換するために典型的に添加される。その結果、γ´相の組成はNi3(Al、Ti、Ta)となる。タンタル元素およびチタン元素は、析出相によって提供される全体的な強度を増加させるという技術的効果を有する(式5)、γ´相の逆位相境界(APB)エネルギーを増加させる(式6)。析出相は剪断応力に対する優れた耐性を有するため、APBエネルギーの増加は、引張強度と耐クリープ性の双方にとって有益である。
図7は、γ´相割合が60~65%である合金における、計算された強度メリット指数を示す。上述の発明において、1400MPa以上の高い強度メリット指数が必要となる。CM681LCに匹敵する引張強度を有する合金を製造するために、この指数を1400MPaとすることが望ましい。この強度指数とすることによって、Mar-M246及びMar-M247合金と比べて強度が改善されるため、これらの合金と比べて改善された高い高温性能が実現する。降伏応力を、現在使用されている合金のいずれよりも優れたものとするために、強度メリット指数を1450MPa以上とすることが好ましい。さらにより好ましくは、強度メリット指数を1500MPa以上とする。
60~65%の体積分率のγ´を有する合金において、以下の式に基づいて、強度メリット指数がタンタル元素及びチタン元素の合計と相関を有することが、モデル計算によって示された。
f(strength)=2WTi+WTa+1.44WNb
ここで、f(strength)は、所望の強度メリット指数(この場合、1400MPa)を有する合金における数値である。この数値は、6.6以上である。この数値は、7.4とすることが望ましい。これにより、1450MPaのメリット指数を有する、より強度の高い合金を製造することができる。さらに、この数値を8.2以上とすることが望ましい。これにより、強度メリット指数が1500MPa以上となる合金を製造することができる。タンタルの代替としてニオブを用いることができるため、この式には、ニオブに関する項が含まれている。しかしながら、ニオブによって付与されるAPB硬化は、タンタルより少ない(式6)。係数1.44は、異なる密度(0.52)及び異なる強化係数(Ta=27.1、Nb=21.4)に基づいて得られる。タンタルを原子基底(atomic basis)0.52のニオブに置換する必要があるが、これらの原子は強化効果を0.75しか有していない。そのため、0.75×(1/0.52)=1.44が得られた。
ニオブが含まれないと仮定した場合において、チタンレベルの最大値(3.0質量%)に基づき、f(strength)の数値を少なくとも6.6とするためには、合金に含有されるタンタルを少なくとも0.6質量%とする必要がある。f(strength)の数値を7.4とするために、タンタルを少なくとも1.4質量%とすることが好ましい。チタンの含有量が3.0質量%である場合、f(strength)の数値を8.2以上としつつ、γ´体積分率を60~65%とすることは、困難である。f(γ´)及びf(strength)の双方の機能を考慮することによって、チタンを2.85質量%までに制限することが好ましいと判断される。これは、γ´体積分率を60~65%としつつ、f(strength)の数値を8.2とすることができるためである。タンタルの含有量は、2.5質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは、チタンは1.55質量%までに制限されることがより好ましいが、これは、アルミニウムを少なくとも5.5質量%含有することによって、耐酸化性と強度とのさらに良好な組み合わせが得られるためである。チタンが1.55質量%までに制限される場合において、所望の合金強度を達成するために、合金に含有するタンタルを少なくとも3.5質量%としてもよい。好ましくは、アルミニウム含有量が5.5質量%であってf(strength)の数値を7.4とするために、チタン含有量を0.95質量%までに制限する。タンタル含有量の最小値は、5.5質量%であることが望ましい。より好ましくは、アルミニウム含有量が5.5質量%であってf(strength)の数値を8.2とするために、チタン含有量を0.35質量%までに制限する。このとき、タンタル含有量の最小値は、7.7質量%であることが望ましい。さらにより好ましくは、チタンは0.55質量%までに制限されることがより好ましいが、これは、アルミニウムを少なくとも5.7質量%含有することによって、耐酸化性と強度とのさらに良好な組み合わせが得られるためである。チタンが0.55質量%までに制限される場合において、高強度を達成するために、タンタルを少なくとも5.5質量%とすることが好ましい。上述の通り、γ´体積分率と強度メリット指数とを制御することによって、合金の降伏応力及び耐クリープ性が増加する。上述の要求を満たす合金においては、耐クリープ性を最大とするために、難揮発性元素(refractory elements)のレベルを最適化する必要があった。高温での耐クリープ性は、特にγ相における転位上昇及び転位滑りによってクリープ速度(creep rate)が制御される場合には、マトリックス相に分配される元素を添加することによって改善され得る。本発明のγ相は、主にモリブデン、コバルト、クロム、およびタングステンの元素から構成される。これらの元素添加物のうち、モリブデンとタングステンは、拡散性が低いため、耐クリープ性に最も強い影響を及ぼす。耐クリープ性に対する、γ´体積分率及びクリープメリット指数の影響のモデリング予測(137MPaでテストした場合の1000時間のクリープ破断温度の予測)を、図8に示す。双方のパラメータを増加させると、耐クリープ性が増加する。所与のγ´体積分率において、クリープメリット指数を最大化することが望ましい。これが、耐クリープ性の改善に関連しているためである。
耐クリープ性に対するモリブデン元素及びタングステン元素の影響を、図9に示す。Mar-M246及びMar-M247より大幅に優れた耐クリープ性を備え、これらの合金と比べて約30℃クリープ破断寿命が増加する合金を製造するために、クリープメリット指数を8.9×10-15-2s以上とすることが望ましい。より好ましくは、さらに良好なクリープ性能を有し、Mar-M246及びMar-M24と比べてさらにクリープ破断寿命が増加する合金を製造するために、クリープメリット指数を10.1×10-15-2s以上とすることが望ましい。
モデリング計算により、γ´体積分率が60~65%の合金の場合、クリープメリット指数の変化は、以下の式に示すように、モリブデンとタングステンの元素の合計に関連していることが示された。
f(creep)=WMo+1.17(WW+3.3WRe)
ここで、f(creep)は、8.9×10-15-2s以上のクリープメリット指数を有する合金において、13.9以上の数値となる。好ましくは、16.5の数値が望ましい。これにより、10.1×10-15-2s以上のクリープメリット指数を有する、より強度の高い合金を製造することができる。ここで、Reは、W1%に対して0.33Reの割合でWと置換できるため、Reが含まれている。タングステンの代替としてレニウムを用いることの効果を、クリープメリット指数の観点から図16に示す。この式及び図9は、モリブデンを少なくとも1.1質量%含有する合金が、クリープ、密度及びコストのバランスが優れていることを示している。これは、少量のタングステン(比較的重い)と、少量のレニウム(高価)を用いて、所定のレベルの耐クリープ性を達成することができるためである。より好ましくは、モリブデンの最小量は1.3質量%である。
合金に含まれるモリブデンの最大濃度は、4.0質量%までに制限される。これは、合金安定性と関連して後述する(図11~15)。モリブデンの最大レベルに基づくと、合金に含有されるタングステンの必要な最小量は、8.4質量%、好ましくは9.3質量%、より好ましくは10.6質量%である。最も好ましいタングステンのレベルは、11.1質量%以上である。これにより、耐クリープ性を高めることができる(図9)。
タンタル及びタングステンは、高い引張強度及び高い耐クリープ性を備える合金を実現するうえで重要な役割を果たす。ただし、これらの元素の密度はニッケルよりも大幅に高いため、合金の全体的な密度が高くなる。CM681LC(8.9g/cm3)以下の目標密度が要求される。以下の式に従って、計算により、γ´体積分率が60~65%の合金の場合、密度の変化は、タンタルとタングステンの元素の合計に関連していることが示された。
f(density)=WTa+0.9WW
ここで、f(density)は、8.9g/cm3の密度を有する合金において、16.2以下の数値となる。好ましくは、14.7以下の数値となる。これにより、8.8g/cm3の低密度を有する合金を製造することができる。より好ましくは、13.4以下の数値となる。これにより、8.7g/cm3以下の密度を有する合金を製造することができる。
耐クリープ性に必要なタングステンの最小レベル(8.4質量%)に基づいて、タンタルのレベルは8.6質量%以下に制限され、好ましくは8.8g/cm3の密度を達成するために7.1質量%以下に制限される。
クロムは、合金の強化に大きな影響を与えないが、主に合金の耐酸化性と耐食性を向上させるために添加される。ただし、耐クリープ性のためのモリブデン、タングステンの添加、及び耐酸化性と耐食性のためのクロムの添加は、合金が望ましくないTCP相(主にσ相、Ρ相、μ相)を形成する傾向を高める(図11~15)。高いレベルの引張強度と、CM681LC以上の耐クリープ性、耐酸化性及び耐食性と、の組み合わせも必要となる。耐酸化性、特に耐食性の向上は、クロムを添加することによって生じる。したがって、機械的特性と、耐酸化性/耐食性と、微細構造安定性と、の間の複雑なトレードオフを管理する必要がある。CM681LC以上の耐酸化性及び耐食性を確実にするために、本発明の合金のクロム含有量を、6.0質量%とする必要がある。より好ましくは、より優れた耐酸化性及び耐食性を付与するために、クロム含有量を6.5質量%以上とする。さらにより好ましくは、クロム含有量を7.0質量%以上または7.5質量%以上とする。これにより、耐酸化性及び耐食性がさらにより向上する。
図11~15は、760℃の平衡温度において、異なるレベルのモリブデンを含む合金の、相安定性に対するタングステン及びクロムの添加の影響を示す。TCP相はこれらの低温でより広がるため、この温度が使用される。安定度数が高いほど、TCP相が形成されやすい合金となる。TCP相は材料特性の劣化に繋がるため、TCP相形成の析出を制限又は停止することは有益である。耐酸化性を良好なレベルとするために、クロムレベルは6.0質量%以上とすることが望ましい。このクロムレベルによれば、保護アルミナ酸化物スケールの形成を促進させることができる。さらに、クロムは、高温腐食に対する耐久性を向上させるために望ましい。表3に記載の従来の合金を参照して、微細構造安定性を確保しつつTCP形成を回避するために、目標とする安定度数は0.92以下である。より好ましくは、より良好な微細構造安定性を確保しつつTCP形成を回避するために、目標とする安定度数は0.91以下である。図11~15に基づき、γ´体積分率が60~65%の合金において、モリブデン元素、タングステン元素及びクロム元素の添加量は、以下の式に従うことが分かった。
f(stability)=WW+WRe+1.16WCr+1.7WMo
ここで、f(stability)は、0.92以下の安定度数を有する合金を実現するために、22.2以下の数値となる必要がある。レニウムは、タングステンの代替として使用され得る。タングステンが最小レベル(8.4質量%)であってクロムが最小レベル(6.0質量%)である場合、モリブデンの最大限界は4.0質量%に決定される。f(stability)の式に基づいて、クロムレベルが6.0質量%である場合、最大限界15.2質量%のタングステンを、合金に含有させる必要がある。合金内のモリブデンを減少させて、耐クリープ性を維持するためにタングステンを添加すると、所望の安定性を維持しつつ、クロム含有量を増加させたことによって合金の耐酸化性を改善することが可能となる。例えば、モリブデンが4.0、3.0、2.0、1.0、0.0質量%から減少すると、最大クロム含有量はそれぞれ、(f(creep)を満たしながら)6.2、6.8、7.3、8.0、8.8から増加する。したがって、耐クリープ性と耐酸化性とのバランスを改善するために、合金におけるモリブデンの含有量を3.0質量%までに制限することが好ましく、合金におけるモリブデンの含有量を2.0質量%までに制限することがより好ましく、合金におけるモリブデンの含有量を1.0質量%までに制限することが最も好ましい。合金にモリブデンが含まれない場合、クロムの最大濃度は8.8質量%までに制限される。
安定度数は、0.91までに制限されることが好ましい。これを達成するために、f(stability)の数値を21.0以下とする必要がある。したがって、クロム含有量を7.7質量%までに制限することが好ましい。これにより、安定度数が0.91までに制限され、より良好な微細構造安定性が得られる。モリブデンは、好ましくは3.3質量%までに制限される。安定性をさらに高めるために、タングステンは、好ましくは14.0質量%までに制限される。好ましくは、モリブデンが2.0質量%までに制限される場合、タングステンは13.1質量%までに制限され得る。これにより、安定性をさらに高めることができる。
本発明の一つの実施形態では、レニウムは、1質量%を上限として、タングステンの代替として使用され得る。添加量が1.0質量%までに制限されるのは、適正な合金コストを維持するためである。レニウムを添加することによって、合金安定性を維持しながら、耐クリープ性と耐酸化性/耐食性との改善されたバランスを達成することができる。レニウムが1質量%添加される場合、クロム含有量の最大値を増加させることができる。図11を参照して、合金が、実質的にモリブデンを含有せず、レニウムを1.0質量%含有する場合、所望の耐クリープ性(f(creep)=13.9)を達成するために必要なタングステンは、わずか8.6質量%である。この場合、クロムを11.6質量%まで添加することができ、0.92以下の安定度数を達成することができる。好ましくは、0.91の安定性数が達成されるように、クロムの添加は10.4質量%までに制限される。
コバルトを添加すると、γ´体積分率が60~65%のときに、γ´ソルバス温度を下げる効果を奏する(図17)。γ´ソルバス温度は低いことが望ましい。これにより、鋳造プロセスでの凝固中に発生する元素種(elemental species)の微小偏析を除去する溶体化処理(solution heat-treatment)を行う能力を、改善することができる。この溶体化処理は、元素の分布を均一化し、特性を向上させる。また、溶体化処理は、大きな強化効果をもたらさない粗いγ´析出物の溶解にも役立つ。溶体化処理から急速に冷却することによって、機械的特性の向上に役立つ、γ´粒子の微細な分散を実現できる。一方、コバルト含有量を増加させると、合金のいわゆる凝固範囲が増加する(図18)。凝固範囲が高くなることは、固化する時間が長くなるにつれて微小偏析のレベルが高くなることに関連している。溶体化処理などの後処理の必要性を減らすことができるため、微小偏析を減らすことが望ましい。目標凝固範囲を150℃以下とすることが望ましいため、コバルトの上限は11.0質量%まで許容される。凝固範囲をより低くすること(約145℃)は、コバルトの好ましい最大値(10.2質量%)で達成することができる。凝固範囲をさらにより低くすること(約140℃)は、コバルトのより好ましい最大値(9.6質量%)で達成することができる。低いγ´ソルバス温度と、狭い凝固範囲と、の間のバランスを達成できることが好ましい。したがって、合金の溶体化処理を改善するために、1265℃以下のソルバスを達成するように、合金に少なくとも5.1質量%のコバルトを含有させることが好ましい。より好ましくは、ソルバスを1260℃以下に低減するために、コバルト含有量を7.5質量%以上とする。これにより、合金の溶体化処理の能力がさらに改善される。
鉄はニッケルと同様の挙動を示し、ニッケルに代わる低コストの代替品として加えることができる。さらに、鉄を添加することに対する耐性は、合金がリサイクル材料から製造される能力を向上させる。したがって、鉄は少なくとも0.1質量%の量で存在することが好ましい。しかしながら、大幅にコストを下げるために、鉄を4.0質量%まで添加することができる。好ましくは、合金の機械的性質を低下させる望ましくないラーベス相を形成する傾向を減らすために、鉄の添加は2.0質量%以下である。最も好ましくは、鉄の添加を1質量%までに制限する。これにより、材料性能を損なうことなくリサイクルされる良好な能力を有する合金が製造される。
結晶粒界に強度を与えるためには、炭素、ホウ素およびジルコニウムの添加が必要である。これは、合金のクリープおよび疲労特性に対して特に有益である。炭素濃度は、0.02質量%~0.35質量%の範囲とすべきである。ホウ素濃度は、0.001~0.2質量%の範囲とすべきである。ジルコニウム濃度は、0.001質量%~0.5質量%の範囲とすべきである。
合金が製造されるとき、それが不可避的不純物を実質的に含まないことは有益である。これらの不純物は、硫黄元素(S)、マンガン元素(Mn)および銅元素(Cu)を含み得る。硫黄元素は、好ましくは0.003質量%(質量換算で30PPM)未満に維持される。マンガンは不可避的不純物であり、好ましくは0.25質量%までに制限される。銅(Cu)は不可避的不純物であり、好ましくは0.5質量%までに制限される。硫黄が0.003質量%より多く存在すると、合金が脆化し、酸化の際に形成された合金/酸化物界面に硫黄が偏析する。この偏析により、保護酸化物スケールの剥離が増加する可能性がある。これらの不可避的不純物の濃度が所定のレベルを超えた場合、製品収率を取り巻く問題が生じるとともに、合金の材料特性の劣化が予想される。
合金内の不可避的不純物を拘束するため、及び強度を付与するために、ハフニウム(Hf)を2.0質量%まで添加することは有益である。特に、ハフニウムは強力な炭化物形成材であるため、さらなる結晶粒界の強化をもたらし得る。ハフニウムは高コストであるため、より好ましくは、ハフニウムの添加量を1.5質量%までに制限する。さらにより好ましくは、ハフニウムの添加量を0.1~1.0質量%とする。これにより、結晶粒界の強度と、合金強度と、のバランスがより良好となる。
強力な炭化物相を形成するために、バナジウムを添加してもよい。添加量を1.0質量%までに制限することによって、炭化物相の形成を通して合金を強化するのに役立つ。合金の酸化挙動に悪影響を及ぼすため、バナジウムの添加量は、好ましくは0.5質量%までに制限される。バナジウムの添加量は、より好ましくは0.3質量%までに制限され、最も好ましくは0.1質量%までに制限される。
いわゆる「反応性元素」(イットリウム(Y)、ランタン(La)及びセリウム(Ce))は、0.1質量%までのレベルの添加とする。これは、Al等の保護酸化物層の接着性を向上させるのに有益である。これらの反応性元素は、硫黄などの有害元素を「掃討」することができる。硫黄は、合金酸化物界面に偏析して酸化物と基材との結合を弱め、酸化物の剥離をもたらす。ケイ素(Si)は、0.5質量%まで添加することが有益となりうる。ニッケル基超合金に0.5質量%までのレベルのケイ素を添加することは、酸化特性に対して有益であることが示されている。特にケイ素は合金/酸化物界面に偏析し、基材に対する酸化物の結合力を向上させる。これにより、酸化物の剥離が抑制され、結果として耐酸化性が向上する。
このセクションにおける本発明の記載に基づき、本発明の広範な範囲を表4に列挙する。また、表4には、好ましい範囲及び最も好ましい範囲も示されている。表4は、新たな設計合金の、質量%における組成範囲である。
Figure 2022511490000014
以下に、本発明の例を示す。表5は、表1に列挙された合金と比較した、新たに設計された従来の鋳造ニッケル超合金の、質量%における公称組成である。表6は、「合金設計」ソフトウェアで計算された、相割合及びメリット指数を示す。これは、排気ガスターボチャージャ装置内のタービンホイールを製造するために用いられるニッケル基超合金(表1)及び表5に列挙された新しい合金の公称組成における結果である。
Figure 2022511490000015
Figure 2022511490000016
T2-1~T2-4の合金例は、高いγ´体積分率、高い強度メリット指数及び高いクリープメリット指数に起因する、Mar-M246及びMar-M247より優れた高温性能を達成するために設計されている。これらの合金は、CM681LCの高温性能に近く、合金コストが削減され、微細構造安定性が許容可能であるという特性を有する。特に、耐酸化性/耐食性、微細構造安定性及び合金密度を含む他の重要な材料特性を維持しながら、合金コストの削減と組み合わせて、高いレベルのクリープ性能を実現する。

Claims (28)

  1. 5.0~6.9質量%のアルミニウム、0.0~11.0質量%のコバルト、6.0~11.6質量%のクロム、0.0~4.0質量%のモリブデン、0.0~2.0質量%のニオブ、0.6~8.6質量%のタンタル、0.0~3.0質量%のチタン、8.4~15.2質量%のタングステン、0.02~0.35質量%の炭素、0.001~0.2質量%のホウ素、0.001~0.5質量%のジルコニウム、0.0~0.5質量%のケイ素、0.0~0.1質量%のイットリウム、0.0~0.1質量%のランタン、0.0~0.1質量%のセリウム、0.0~0.003質量%の硫黄、0.0~0.25質量%のマンガン、0.0~0.5質量%の銅、0.0~2.0質量%のハフニウム、0.0~1.0質量%のバナジウム、0.0~4.0質量%の鉄、0.0~1.0質量%のレニウムを含み、残部がニッケルおよび不可避的不純物であり、含有されるニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、タングステン及びレニウムの質量%をそれぞれWNb、WTa、WTi、WCr、WMo、W及びWReとすると、以下の式を満たす、ニッケル基合金組成物。
    6.6≦2WTi+WTa+1.44WNb
    22.2≧W+WRe+1.16WCr+1.7WMo
    13.9≦WMo+1.17(W+3.3WRe
  2. 合金に含まれるアルミニウム、チタン、ニオブ及びタンタルの質量%をそれぞれWAl、WTi、WNb及びWTaとすると、以下の式を満たす、請求項1に記載のニッケル基合金組成物。
    6.5≦WAl+0.5WTi+0.3WNb+0.15WTa≦6.9
  3. 合金に含まれるチタン、タンタル及びニオブの質量%をそれぞれWTi、WTa及びWNbとすると、以下の式を満たす、請求項1または2に記載のニッケル基合金組成物。
    7.4≦2WTi+WTa+1.44WNb
    好ましくは、以下の式を満たす。
    8.2≦2WTi+WTa+1.44WNb
  4. クロムを、質量%で、7.0%以上、好ましくは7.5%以上含む、請求項1ないし3のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  5. クロムを、質量%で、10.4%以下、好ましくは8.8%以下、より好ましくは7.7%以下含む、請求項1ないし4のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  6. タンタルを、質量%で、1.4%以上、好ましくは2.5%以上、より好ましくは2.6%以上、さらにより好ましくは3.5%以上、さらにより一層好ましくは5.5%以上、最も好ましくは7.7%以上含む、請求項1ないし5のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  7. モリブデンを、質量%で、4.0%以下、好ましくは3.3%以下、より好ましくは3.0%以下、さらにより好ましくは2.0%以下、最も好ましくは1.0%以下含む、請求項1ないし6のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  8. チタンを、質量%で、2.85%以下、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.55%以下含む、請求項1ないし7のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  9. ハフニウムを、質量%で、0.1%以上含む、請求項1ないし8のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  10. タングステンを、質量%で、14.0%以下、好ましくは13.1%以下含む、請求項1ないし9のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  11. ハフニウムを、質量%で、1.5%以下、好ましくは1.0%以下含む、請求項1ないし10のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  12. タングステンを、質量%で、9.3%以上、好ましくは10.6%以上、より好ましくは11.1%以上含む、請求項1ないし11のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  13. タンタルを、質量%で、7.3%以下、好ましくは6.8%以下、より好ましくは6.1%以下含む、請求項1ないし12のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  14. アルミニウムを、質量%で、5.4%以上、好ましくは5.5%以上、より好ましくは5.7%以上含む、請求項1ないし13のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  15. バナジウムを、質量%で、0.5%以下、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.1%以下含む、請求項1ないし14のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  16. 鉄を、質量%で、1.0%以上含む、請求項1ないし15のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  17. 鉄を、質量%で、2.0%以下含む、請求項1ないし16のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  18. 合金に含まれるタンタル及びタングステンの質量%をそれぞれWTa及びWとすると、以下の式を満たす、請求項1~17のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
    Ta+0.9W≦16.2
    好ましくは、以下の式を満たす。
    Ta+0.9W≦14.7
    より好ましくは、以下の式を満たす。
    Ta+0.9W≦13.4
  19. 合金に含まれるモリブデン、タングステン、クロム及びレニウムの質量%をそれぞれWMo、W、WCr及びWReとすると、以下の式を満たす、請求項1~18のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
    21.0≧W+WRe+1.16WCr+1.7WMo
  20. 60%~65%の体積分率のγ´を有する、請求項1~19のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  21. ニオブを、質量%で、1.0%以下含む、請求項1ないし20のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  22. チタンを、質量%で、0.35%以上、好ましくは0.55%以上、より好ましくは0.95%以上含む、請求項1ないし21のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  23. コバルトを、質量%で、5.1%以上、好ましくは7.5%以上含む、請求項1ないし22のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  24. コバルトを、質量%で、10.2%以下、好ましくは9.6%以下含む、請求項1ないし23のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  25. モリブデンを、質量%で、1.1%以上、好ましくは1.3%以上含む、請求項1ないし24のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  26. 請求項1ないし25のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物から形成される鋳造品。
  27. 請求項1ないし25のうちいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物から形成されるタービンホイール。
  28. 請求項27に記載のタービンホイールを備える排気ガスターボチャージャ装置。
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