JP6788605B2 - ニッケル基合金 - Google Patents

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Description

本発明は、ジェット推進及び発電に適用されるニッケル基単結晶超合金組成物に関する。その材料は、同等の合金のグレードと比較して低コストであり、ガスタービンへの適用に必要な耐クリープ性及び耐食性の組み合わせを提供する。
高温に曝される第2世代ニッケル基単結晶超合金の典型的な組成物の例を、表1に列挙する。これらの合金は、航空機やガスタービンのエンジンに用いられる回転/固定タービンブレードの製造に使用することができる。表1は、商業的に使用される第2世代単結晶タービンブレード合金の質量%における公称組成である。
これらの材料は、機械的及び化学的な劣化に対して優れた耐性を備えているため、ガスタービンエンジンの最も熱い部分の中で用いられる。それらは、特性の所望の組み合わせを作り出すために必要な、10もの異なる合金元素を含む。
本発明は、表1に列挙された商業的に使用される第2世代単結晶タービンブレード合金よりも比較的低コストのニッケル基合金を提供することを目的とする。
本発明は、表1に列挙された第2世代の合金と比較して、高温での挙動が同等又は改良されている合金を提供することを目的とする。
本発明によれば、質量%で、7.0〜11.0%のクロム、4.0〜14.0%のコバルト、1.0〜2.0%のレニウム、5.5〜11.0%のタングステン、0.0〜0.5%のモリブデン、4.0〜6.5%のアルミニウム、8.0〜12.0%のタンタル、0.0〜0.5%までのハフニウム、0.0〜0.5%のニオブ、0.0〜0.5%のチタン、0.0〜0.5%のバナジウム、0.0〜0.1%のケイ素、0.0〜0.1%のイットリウム、0.0〜0.1%のランタン、0.0〜0.1%のセリウム、0.0〜0.003%の硫黄、0.0〜0.05%のマンガン、0.0〜0.05%のジルコニウム、0.0〜0.005%のホウ素、0.0〜0.01%の炭素から成り、残部はニッケル及び不可避的不純物から成るニッケル基合金組成物が提供される。この組成物によれば、コスト、密度及びクリープと、耐酸化性と、の良好なバランスが得られる。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、質量%で、7.0〜8.5%のクロムを備える。このような合金は、良好な耐酸化性を依然として有する一方、TCPの形成に対して特に耐性を有する。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、質量%で、4.0〜12.0%、好ましくは7.0〜11.0%のコバルト、より好ましくは9.0〜11.0%のコバルト、さらにより好ましくは9.2〜14.0%、9.2〜12.0%、9.2〜11.0%のいずれかのコバルトを備える。このような合金は、特にコバルトの最大量が小さい場合に観察されるクリープ異方性(配向依存性)の制限レベルにおいて、コバルトの最小量が増加するにつれてクリープ変形に対する耐性がより向上する。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、質量%で、1.4〜1.8%のレニウムを備える。この組成物は、コストと、クリープに対する耐久性との折衷をさらに向上させる。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、質量%で、6.0〜11.0%のタングステン、好ましくは8.0〜10.5%のタングステン、より好ましくは8.0〜9.5%のタングステンを備える。この組成物は、低質量及び耐クリープ性の折衷点(a compromise)を取る。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、質量%で、5.5〜6.5%のアルミニウムを備える。この組成物によれば、(高いAPBエネルギーによる)高い耐クリープ性、密度の低下、及び/又は耐酸化性の増加が達成される。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、質量%で、8.0〜10.5%のタンタルを備える。これにより、耐クリープ性と密度との最良のバランスが得られ、及び/又はイータ(ε)相NiTaが形成される可能性が抑えられる。合金は、好ましくは8.0〜10.0%のタンタル、より好ましくは8.0〜9.5%のタンタルを備える。これにより、イータ(ε)相NiTaの形成の傾向が弱まることに加え、合金のコストがさらに低減される。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、質量%で、0.0〜0.2%のハフニウムを備える。これは、合金内の不可避的不純物、例えば炭素の拘束に最適である。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、質量%で、9.0%より多いコバルトを備え、好ましくは、9.2%より多いコバルトを備える。この組成物がガンマプライムソルバス温度の減少を助長することで、熱処理過程中の初期溶融を阻害する熱処理窓が増加する。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、質量%で、10.0%未満のタングステンを備え、好ましくは、9.8%未満のタングステンを備える。このような合金は、耐クリープ性と、密度及び/又は微細構造安定性と、のバランスが最良である。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物内のコバルト元素及びタングステン元素の合計は、質量%で、17%より大きい。このような合金は、優れた耐クリープ性を有する。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物内のタングステン元素及びタンタル元素の合計は、質量%で、19%未満である。このような合金は、比較的低い密度を有する点で有利である。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物内のアルミニウム元素及びタンタル元素の合計は、質量%で、13.5〜16.5%である。これは、γ´の所望の体積分率の達成を助長する。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物内のレニウム元素、クロム元素及びタングステン元素の合計は、質量%で、19%未満である。この組成物は、特にTCP相の形成に対する耐性を有する。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物内のニオブ元素、チタン元素及びバナジウム元素の合計は、質量%で、1%未満である。つまり、これらの元素は、合金の環境耐性に対して有害な影響をあまり及ぼさない。
一つの実施形態では、モリブデン元素及びタングステン元素の合計は、少なくとも6質量%であり、好ましくは少なくとも8質量%である。これにより、耐クリープ性と、TCP相が形成される傾向が弱いことと、の良好なバランスが達成される。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物内のニオブ元素、チタン元素、バナジウム元素及びタンタル元素の合計は、8.0〜10.5質量%であり、好ましくは8.0〜9.5質量%である。これにより、γ´の好ましい体積分率が得られる。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、体積分率が60〜70%のγ´を有する。
一つの実施形態では、上述の実施形態のうちいずれかのニッケル基合金組成物で形成された単結晶物が得られる。
一つの実施形態では、上述の実施形態のうちのいずれかに基づく合金で形成された、ガスタービンエンジン用のタービンブレードが得られる。
一つの実施形態では、上述の実施形態のタービンブレードを備えるガスタービンエンジンが得られる。
本明細書における「を備える」との用語は、組成物を100%として、追加の成分の存在を排斥することでパーセンテージを100%にしていることを示すために用いられる。他に記載がない限り、すべての量は質量%である。
本発明について、単なる例示を通じて、添付図面を参照しながら、さらに十分に説明する。
図1は、検討した合金設計領域における、原料コストに対するレニウム含有量の影響を示す。 図2は、合金設計領域内における、主成分の分配係数を示す。 図3は、900℃で2質量%までのレニウムを含有する合金において、γ´の体積分率に対する、γ´形成元素であるAl及びTaの影響を示す等値線図である。 図4は、2質量%までのレニウムを含有する合金において、逆位相境界エネルギーに対する、γ´形成元素であるAl及びTaの影響を示す図である。 図5aは、耐クリープ性に対する、合金に含まれるW及びCoの量の影響を示す。この合金において、γ´の体積分率は60〜70%であり、逆位相境界エネルギーは310mJ/mより大きい。この合金は、0質量%のレニウムを含む。 図5bは、耐クリープ性に対する、合金に含まれるW及びCoの量の影響を示す。この合金において、γ´の体積分率は60〜70%であり、逆位相境界エネルギーは310mJ/mより大きい。この合金は、1質量%のレニウムを含む。 図5cは、耐クリープ性に対する、合金に含まれるW及びCoの量の影響を示す。この合金において、γ´の体積分率は60〜70%であり、逆位相境界エネルギーは310mJ/mより大きい。この合金は、2質量%のレニウムを含む。 図6は、合金密度に対するW元素及びTa元素の影響を示す図である。この合金は、1〜2質量%のReを含み、γ´の体積分率は60〜70%である。 図7は、合金の相平衡計算によって決定された900℃でのTCP相(μ及びσ)の総体積分率に対する、Cr及びWの含有量の影響を示す図である。この合金は、1〜2質量%のReを含み、γ´の体積分率は60〜70%である。 図8は、第2世代単結晶タービンブレード合金CMSX−4(三角形)と比較した、本発明の合金ABD−1(丸)における1%クリープ歪までの時間を示す。 図9は、CMSX−4(三角形)と比較した、本発明の合金ABD−1(丸)における破断までの時間を示す。 図10は、1000℃で空気酸化した場合における、CMSX−4(丸)及び本発明の合金ABD−1(四角形)の測定された質量変化を示す図である。
従来、ニッケル基超合金は、経験主義に基づき設計されてきた。したがって、ニッケル基超合金の化学的組成物は、限られた量の材料の小規模処理と、挙動についてのその後の特性分析と、を含む時間のかかる高価な実験開発によって特定される。その後、最良の、すなわちもっとも望ましい特性の組み合わせを示すことを見出された合金組成物が採用される。この組み合わせを達成可能な合金元素群が多数存在することは、これらの合金が完全には最適化されておらず、より改良された合金が存在する可能性が高いことを示している。
超合金においては一般的に、耐酸化性を付与するために、クロム(Cr)及びアルミニウム(Al)が添加され、硫化に対する耐性を向上させるためにコバルト(Co)が添加される。耐クリープ性の為に、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、Co、レニウム(Re)、及び場合によってルテニウム(Ru)が導入されるが、これは、これらの元素が、クリープ変形の割合を決定する熱活性化過程(例えば、転位上昇)を阻害するためである。静的強度及び繰り返し強度を高めるために、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、及びチタン(Ti)が導入されるが、これは、これらの元素が、析出硬化相ガンマプライム(γ´)の形成を促進するためである。この析出相は、ガンマ(γ)と呼ばれる面心立方(FCC)マトリックス相とコヒーレントである。
本明細書においては、ニッケル基超合金の新たなグレードの特定に用いられる、モデルに基づく手法を、「合金設計」(ABD)法という用語で記載する。この手法には、非常に広範な組成領域に亘って設計関連特性(design relevant properties)を推定するための計算材料モデルのフレームワークが利用される。原則的に、この合金設計ツールにより、いわゆる逆問題が解決可能となる。すなわち、指定された設計制約を最も満足する、最適な合金組成を特定できる。
設計過程の第1ステップは、元素表と、その元素表に付随した組成制限の上限及び下限と、を定義することである。本発明においては、「合金設計領域」と呼ばれる、各元素を添加する際の元素ごとの組成制限が考慮される。この組成制限については、表2に詳述されている。表2に、「合金設計」法を用いて調べた、質量%における合金設計領域を示す。
第2ステップは、特定の合金組成物の相図及び熱力学的特性を計算するための熱力学的計算に基づいて行われる。これは、CALPHAD法(相図計算)と呼ばれることが多い。これらの計算を、新しい合金の使用温度(900℃)で実施することで、相平衡(微細構造)についての情報が得られる。
第3段階は、所望の微細構造を有する合金組成物を特定することを含む。クリープ変形に対する優れた耐性を必要とする単結晶超合金の場合、析出硬化相γ´の体積分率が60〜70%であるときにクリープ破断寿命が最大となる。また、γ/γ´格子不整は、コヒーレンシーを失うため、正又は負のうち、いずれか小さい値に従う必要がある。したがって、制限はその値の絶対値に依存する。格子不整δは、γ相とγ´相との間の不整合として定義され、以下の式によって求められる。
ここで、αγ及びαγ´は、γ相及びγ´相の格子定数である。
不適当な微細構造に基づいた合金は、形態的最密充填(TCP)相に対する感受性(susceptibility)の推定値によっても排斥される。本計算においてCALPHADモデリングを使用することで、有害なTCP相シグマ(σ)及びミュー(μ)の形成が予測される。
したがって、このモデルにより、設計領域内においてγ´の体積分率が60〜70%となる全ての組成物が特定される。これらの組成物では、格子不整γ´が所定の絶対値未満であり、TCP相の総体積分率が所定の大きさ未満である。
第4段階では、データセット内に残った特定された合金組成物について、メリット指数が推定される。メリット指数の例として、クリープメリット指数(平均組成のみに基づく合金の耐クリープ性を示す)、逆位相境界(APB)エネルギー、密度、及びコストが含まれる。
第5段階では、計算されたメリット指数が所望の挙動に対する制約と比較され、これらの設計制約が、問題に対する境界条件とみなされる。境界条件を満たさないすべての組成物は排斥される。この段階において、試験データセットのサイズは非常に小さくなる。
最後の第6段階には、残った組成物のデータセットを分析することが含まれる。この分析は、様々な方法で行われ得る。1つには、メリット指数が最大値を示す合金について、データベースを介して分類してもよい。メリット指数が最大値を示す合金とは、例えば最軽量合金、最も耐クリープ性が高い合金、最も耐酸化性が高い合金、及び最も安価な合金である。又は、その代わりに、データベースを用いて、特性の異なる組み合わせによって生じる性能の相対的なトレードオフを求めてもよい。
メリット指数の4つの例を説明する。
第1のメリット指数はクリープメリット指数である。最も重要な観測は、単結晶超合金の時間依存変形(即ち、クリープ)が、γ相に限られた初期活性に伴う転位クリープによって発生することである。したがって、γ´相の割合が大きくなるため、転位セグメントが急速にγ/γ´界面に固定される。律速段階は、γ/γ´界面からの転位のトラップされた構成の離脱である。それは、クリープ特性に対して合金組成物が及ぼす重大な影響を引き起こす局所化学に依存する。
物理学に基づいた微細構造モデル(a physically-based microstructure model)は、荷重が一軸であって<001>結晶学的方向に沿っている場合において、クリープ歪εの蓄積速度に援用される。集合方程式は、以下の式である。
ここで、ρは可動転位密度、φpはγ´相の体積分率、ωはマトリックスチャネルの幅である。項σ及びΤはそれぞれ、作用応力及び温度である。項b及びkはそれぞれ、バーガースベクトル及びボルツマン定数である。項KCFは、拘束係数である。
項KCFは、これらの合金内の立方状粒子の近接度を示す。式3は、乗算パラメータC及び初期転位密度の推定を必要とする転位乗算過程を示している。項Deffは、粒子/マトリックス界面における上昇過程を制御する有効拡散率である。
なお、上述の内容において、組成依存性は、2つの項φとDeffから生じる。したがって、微細構造が一定である(微細構造の大部分が熱処理によって制御される)と仮定すると、φが固定されるため、化学組成への依存性は、Deffによって生じる。ここに説明されている合金設計モデリングの目的のために、各プロトタイプ合金組成物に対して式2及び式3の完全な積分(a full integration)を実施する必要がないことがわかる。代わりに、最大化が必要な、一次メリット指数Mcreepが用いられる。Mcreepは、以下の式で求められる。
ここで、xは、合金中の溶質iの原子分率である。D~iは、適切な相互拡散係数である。
第2のメリット指数は、逆位相境界(APB)エネルギーに関する。γ´相における欠陥エネルギー、例えばAPBエネルギーは、ニッケル基超合金の変形挙動に重大な影響を及ぼす。APBエネルギーの増加によって、引張強さ及びクリープ変形に対する耐性を含む機械的特性が改善することが判明している。APBエネルギーの研究は、密度汎関数理論を用いて、多くのNi−Al−X系について行われた。この研究により、γ´相のAPBエネルギーに対する三元元素の影響が計算され、複合多成分系を考慮した場合における、各三元元素の添加による影響の線形重畳が仮定された。その結果、以下の式が導かれた。
ここで、xCr、xMo、x、xTa、xNb及びxTiはそれぞれ、γ´相におけるCr、Mo、W、Ta、Nb及びTiの原子%濃度を表す。γ´相における組成物は、相平衡計算によって求められる。
第3のメリット指数は、密度である。密度ρは、混合物の単純な規則及び補正係数を用いることで計算された。ここで、ρは所与の元素の密度であり、xiは合金元素の原子分率である。
第4のメリット指数は、コストである。各合金のコストを推定するために、混合物の単純な規則を適用した。ここで、各合金のコストは、合金元素の質量分率xiに、合金元素の現在(2015)の原材料コストcを掛けたものを用いた。
この推定は、加工コストがすべての合金において同一であると仮定している。すなわち、製品収率は組成物による影響を受けない。
上述のABD法を用いて、本発明の合金組成物を特定した。この合金の設計意図は、表1に列挙された、商業的に用いられる第2世代単結晶タービンブレード合金と比較して、合金コストを下げることであった。この低コスト合金は、列挙された第2世代の合金と比較して、同等の/改善された挙動を備えることが必要であった。特に、クリープ変形及び酸化損傷に対して、第2世代の合金に匹敵する/改善された耐性を備えることに焦点を当てた。最適な挙動を実現するために、設計においては、他の材料特性の制御も考慮された。他の材料特性は、例えば、密度、微細構造安定性(即ち、望ましくないTCP相を実質的に含まない残部(remaining))、格子不整等である。
商業的に用いられる第2世代単結晶タービンブレード合金の材料特性を表3に列挙する。この材料特性は、ABD法を用いて求めた。これらの合金について列挙された、予測される特性との関連を踏まえ、新しい合金の設計が検討された。表3には、合金ABD−1についての計算された材料特性も示されている。合金ABD−1は、本発明に従う合金であって、表4に示す公称組成を有する。表3は、「合金設計」ソフトウェアによって作成された、計算された相割合及びメリット指数を示している。これは、表1に示す第2世代単結晶タービンブレードと、表4に示す新しい合金ABD−1の公称組成と、を用いて計算した結果である。
合金設計領域内における各組成物の推定コストは、Re含有量の影響を強く受けた。図1は、検討した、Reの各増加量に対する合金コストの分布を示す。設計目標は、新しい合金のコストを、表3に列挙した最も低コストの合金と比較して、少なくとも10%低減することであった。これには、ABDモデルを用いて行われた推定によれば、合金コストを45$/lb未満とする必要があった。したがって、新しい合金のコスト目標に合致させるために、Re含有量を2質量%以下に制限する必要があった。Re含有量をさらに削減、例えば1.8%以下とすることで、クリープメリット指数(下記参照)を犠牲にして、コストがさらに削減される。
第2世代単結晶タービンブレードの場合、Re含有量は典型的に2.5〜3質量%の範囲であり、これらの添加は、必要な耐クリープ性を付与するために行われる。しかしながら、ABDの計算は驚くほどであり、所望の耐クリープ性を備えた、2質量%以下のReを含む合金組成物が存在することを初めて明らかにした。表1の第2世代合金と比較してReのレベルが低いと、クリープメリット指数が低くなる(図5(a)〜(c))。以下に説明するように、第2世代合金と比較して少ないRe含有量を補うために、本発明に含まれるW及び/又はCoの量は、第2世代合金内に含まれる量より多くする。これにより、クリープメリット指数が改善され、耐クリープ性が向上する。また、より大きい逆位相境界エネルギー(図4)を得るために、Taのレベルを高めることで、低いレベルのReを補うことも考慮される。図4から明らかなように、Taのレベルを高めることは、逆位相境界エネルギーの観点からは有利であるが、そのレベルが高すぎると密度が大きくなりすぎる(図6)。W、Co、及び/又はTaのレベルを高めることで、他の組成が同一である合金と比較して、耐クリープ性が向上する。
耐クリープ性を最大とするために、合金の微細構造の最適化が必要であった。この微細構造は主に、オーステナイト面心立方(FCC)ガンマ相(γ)及び規則化されたL1析出相(γ´)からなる。γ´相の体積分率として60〜70%が必要であり、この微細構造によって、単結晶ブレード合金における耐クリープ性が最大レベルとなることが知られている。
合金設計領域に含まれる各合金の分配係数は、図2に示すように、900℃で実施される相平衡計算によって求められた。分配係数が1である場合は、元素が、γ相又はγ´相に等しい優先度で分配されていることを表す。分配係数が1未満である場合は、元素が、γ´相に対する優先度を有することを表し、分配係数の値が0に近づくほど、その優先度が大きくなる。分配係数の値が1より大きくなるほど、元素はγ相内に優先的に存在するようになる。Al及びTaの分配係数は、これらの元素が強力なγ´形成元素であることを示している。元素Re、Cr、Co及びWは、γ相に分配されることが好ましい。図2に示すように、合金設計領域内で考慮される元素では、Al及びTaが最も強くγ´相に分配される。したがって、Al及びTaのレベルは、所望のγ´の体積分率を生成するように制御された。低レベルのAl及び/又はTaを有する合金は、γ´の体積分率が低く、したがって耐クリープ性が低いことが予想され得る。900℃で2質量%以下のReを含む合金にAl及びTaを添加することで生じる、γ´における相平衡体積分率の計算結果の変化は、図3に示されている。合金設計領域の研究において、所望のγ´体積分率を生成するために、4〜7質量%のAl濃度範囲が見出された。しかしながら、以下に説明するように、本発明においては、Taの含有量を高めるために、許容可能なAlの最大量を低くしている。これは、より大きい逆位相境界エネルギーを得るために有益である。
γ´相の逆位相境界(APB)エネルギーを増加させるためには、Al及びTaのレベルの最適化も必要であった。APBエネルギーはγ´相の化学的性質に強く依存する。図4は、APBエネルギーに対するAl及びTaの影響を示す。これは、現在の第2世代単結晶合金が有するAPBエネルギー(〜310mJ/m)以上のAPBエネルギーを有するすべての合金組成物を特定するために必要であった。合金内におけるTaのレベルを8質量%より高くする(Al=4〜7質量%、すなわちγ´の体積の60〜70%)ことによって、許容可能な高APBエネルギー及び非常に高い耐クリープ性を有する合金が生成され、同時にγ´の体積分率が十分に高くなることが、モデリング計算により示された。所望の最小のTa濃度で所望のγ´体積分率を達成するために、Al添加は最大6.5質量%までに制限される(図3)。したがって、所望のγ´体積分率と、許容可能な高APBエネルギーと、の双方を実現するために、Al濃度は4.0〜6.5質量%であることが望ましい。最低レベルが5.5質量%のAlは、必要なTaの量を制限して密度を低下させることができるため、好ましい。また、より高いレベルのAlは、アルミナ酸化物スケール(Al)の形成によって耐酸化性も向上させる。Taの最大含有量は、図6を参照して以下に説明するが、8.0〜10.5質量%の好ましい範囲で得られる。
ニオブ(Nb)元素、チタン(Ti)元素、バナジウム(V)元素は、タンタルと同様の挙動を示す。すなわち、これらの元素は、逆位相境界エネルギーを増加させるガンマプライム形成元素である。これらの元素は、必要に応じて合金に添加することができる。この添加には、タンタルと比較してコスト及び密度を低くできるという利点がある。しかしながら、これらの元素を添加すると、合金の耐環境性に対して悪影響を及ぼし得るため、制限が必要となる。したがって、これらの元素をそれぞれ、0.5質量%まで含有させることができる。好ましくは、これらの元素がタンタルの代わりに用いられて、Nb、Ti、V及びTaからなる元素の合計が、好ましくは8.0〜10.5質量%に制限され、より好ましくは8.0〜10.0質量%、又は8.0〜9.5質量%に制限される。これらの範囲は、タンタルにとっての好ましい範囲である。これとは無関係に、一つの実施形態では、合金の耐環境性の低減を回避するため、Nb、Ti及びVからなる元素の合計は、好ましくは1.0質量%未満、好ましくは0.5質量%未満に制限される。
上述の要求を満たした合金においては、耐クリープ性を最大とするために、難揮発性元素のレベルを最適化する必要があった。耐クリープ性は、クリープメリット指数モデルを用いて決定される。Re、W及びCoが耐クリープ性に及ぼす影響を図5に示す。クリープメリット指数の最大化は、耐クリープ性の向上に関連しているため、望ましい。Re、W及びCoのレベルを増加させると耐クリープ性が向上することが分かる。
現在の第2世代単結晶合金に匹敵する耐クリープ性を有する合金を生成するためには、7.0×10−15−2s以上のクリープメリット指数が必要であった(表2参照)。図5aは、合金にReが含まれていない場合に、所望のクリープメリット指数を有する合金がほとんど存在しないことを示している。したがって、合金は少なくとも1質量%、すなわち1〜2質量%のReを含むことが好ましい。合金に2質量%のReが含まれる場合、図5cに示すように、十分な耐クリープ性を有する合金を生成するために必要な最小のW及びCoのレベルはそれぞれ、6質量%及び4質量%である。特にMoが存在する場合、Moは耐クリープ性を改善する点でWと同様の挙動をするため、W及びMoの合計が6質量%より大きいときには、Wのレベルを5.5質量%まで減少させることができる。しかしながら、Reのレベルを減少させることで合金のコストが大幅に削減されるため、図5bから求められたW及びCoの最小レベルを用いることが好ましい。さらに、これらのレベルを高めると、Reのレベルをより高めた場合に、より高いクリープメリット指数(ひいては耐クリープ性)を有益に得られる。したがって、好ましい最小のW及びCoのレベルはそれぞれ、8質量%及び7質量%である。Coレベルを9.0質量%以上とすることで、合金のクリープ異方性を増加させることなくクリープメリット指数を増加させることができる。そのため、Coレベルは9.0質量%以上とすることが好ましい。さらに、(図5(b)及び(c)の7.0m−2s×10−15の等値線の配置に基づいて計算される)十分な耐クリープ性を備えた合金を生成するために、合金元素W及びCoの合計は、17質量%より大きいことが好ましく、好ましくは18質量%より大きい。好ましい実施形態では、最小のRe含有量は1.4質量%である。このようにRe含有量が多いと、コストの削減を選択してもクリープ性能はあまり犠牲にならないため、クリープメリット指数が高い状態が維持される。
モリブデンは、タングステンと同様の挙動を示す。すなわち、拡散が遅いこの元素は、耐クリープ性を向上させることができる。しかしながら、モリブデンは、合金の、有害なTCP相を形成する傾向を強める。そのため、モリブデンの添加を制御する必要がある。したがって、モリブデンは、0.5質量%までの量で存在する場合に有益となり得る。好ましくは、モリブデンがタングステンの代わりに用いられ、タングステン及びモリブデンから成る元素群の合計が6質量%より多く、より望ましくは8質量%より多い。
モデル計算により、コバルトがクリープメリット指数を増加させることが示された。コバルトの添加によってガンママトリックス中の積層欠陥エネルギーが減少することも知られており、これにより耐クリープ性も向上する。さらに、9.0質量%以上、好ましくは9.2質量%より多いコバルトを有する合金の生成は、製造工程において有益である。このレベルを超えてコバルトを添加すると、ガンマプライムのソルバス温度が低下する。これにより、ガンマプライムソルバス温度と溶融温度との温度差が大きくなり、合金の熱処理窓が増加する。これによって、高温溶体化熱処理中の初期溶融に対する合金の感受性(susceptibility)が低減されるため、熱処理窓は増加することが望ましい。しかしながら、Coレベルが高いと、合金のクリープ異方性が、特に一次クリープで増加するため、Coの添加を制限する必要がある。これにより、クリープ速度が単結晶の配向に強く依存することとなる。異方性を有するクリープの量を許容可能なレベルに制御するために、コバルトの上限を、14質量%、好ましくは12質量%、より好ましくは11質量%とする必要がある。
航空機のエンジンに適用する場合、合金の密度は許容可能に低いことが必要である。表1に示す第2世代合金は、表3に示すように8.7〜8.9g/cmの範囲の密度を有する。設計の目的は、合金密度を8.9g/cmまでに制限することであり、好ましくは8.8g/cm以下の密度を有する合金を設計することである。上述した制限に基づき、Ta及びWが密度に対して最も強い影響を与えることが判明した。合金密度を8.9g/cmまでに制限するために、Wの濃度を11質量%までに制限する必要がある。しかしながら、低いレベルのTaによって、Wの好ましい最大濃度は10.5質量%まで又は10.0質量%以下又は9.8質量%以下又は9.5質量%以下に制限され、合金密度は8.8g/cmより低く制限される。8.9g/cmより低い密度を達成するためには、Taの含有量を12質量%までに制限する必要がある。Wが低いレベルであっても密度が8.8g/cmより低くなるように、Taの含有量を10.5質量%までに制限することが好ましい。また、合金密度を制御するために、W及びTaの合計を19質量%まで、好ましくは18質量%まで、より好ましくは17質量%までに制限することが好ましい(図6に示す、密度に対するW及びTaの影響を参照)。Taの生元素のコストが非常に高いため、Taを低減することでコスト上の利点が得られる。また、Taを高いレベルとすることで、機械的特性を悪化させ得る、有害なイータ相(NiTa)が形成される可能性がある。したがって、Taは、10質量%以下又は9.5質量%以下存在することが望ましいが、8質量%以上存在することが望ましい。合金の密度を制限すること(最大10.5質量%)と、十分に高いAPBエネルギー(最小8質量%)を有することと、に基づきTa添加の好ましい範囲を8〜10.5質量%に規定したことを考えると、γ´の体積分率が60〜70%であるγ/γ´微細構造を有する合金を生成するためには、元素Al及び元素Taの合計を13.5〜16.5質量%とすることが好ましい。
長時間に亘ってクリープに対する耐性を維持するためには、拡散が遅い元素であるRe、W及びCoの添加が必要となる。Crの添加は、酸化/腐食による損傷への耐性を向上させるためにも必要である。W及びCrを高いレベルで添加することにより、望ましくないTCP相、主にσ相及びμ相を形成する傾向が強まることが明らかとなった。図7は、Re含有量を1〜2質量%、γ´の割合を60〜70%に固定した合金における、TCP相(σ+μ)の全体割合に対するCr及びWの添加の効果を示す。図7から、合金内にWが6質量%含有されている場合において、最大許容Cr含有量は11質量%であり、TCP相の割合は、表3に列挙された合金の計算特性(calculated properties)に匹敵するレベルに制限される。しかしながら、十分な耐クリープ性を付与するために好ましいレベルのW(8質量%超)を添加する場合、最大許容Cr含有量を10質量%とすることで、TCP相のレベルが、現在の第2世代合金に相当するレベルに維持される。Crを5〜7質量%の範囲で含有する現在の第2世代単結晶合金と比べ、改善された耐酸化性を達成するために、最小のCr含有量を7質量%以上、好ましくは7.5質量%以上とする。すなわち、第2世代合金と比べて耐酸化性を向上させるという観点から、第2世代合金よりCrの質量%を大きくする。合金が有害なTCP相を形成する傾向を弱めるために、Cr含有量を8.5質量%までに制限することが好ましい。したがって、Crの範囲は7.0〜11.0質量%、好ましくは7.0〜8.5質量%、より好ましくは7.5〜8.5質量%、最も好ましくは7.5質量%より大きく、及び/又は8.5質量%より小さい。
Taのレベルを制限して密度を制御し、これに応じてCrのレベルを上げて(TCP相の形成を制限して)、耐酸化性を向上させることは、有益となり得る。
微細構造安定性を制御し、現在の第2世代合金と同等又はそれ以下のTCP相のレベルを維持するためには、W、Cr及びRe元素の合計を19質量%未満、好ましくは18質量%未満に制限することが有益である。
合金を製造する際、その合金は不可避的不純物を含まないことが有益である。この不純物には、炭素(C)、ホウ素(B)、硫黄(S)、ジルコニウム(Zr)及びマンガン(Mn)の元素が含まれ得る。Cの濃度が100PPM以下(質量基準)である場合、望ましくない炭化物相は形成されない。Bの含有量は、望ましくないホウ化物相の形成を防ぐために、50PPM以下(質量基準)に制限することが望ましい。炭化物相及びホウ化物相は、ガンマ相及びガンマプライム相に強度を与えるために添加された、タングステンやタンタル等の元素を拘束する。したがって、炭素及びホウ素が多量に存在すると、耐クリープ性を含む機械的特性が低下する。S元素及びZr元素はそれぞれ、30PPM未満及び500PPM未満(質量基準)であることが好ましい。マンガン(Mn)は、不可避的不純物であり、0.05質量%(質量基準で500PPM)までに制限されることが好ましい。硫黄(S)が0.003質量%より多く存在すると、合金が脆化し、酸化の際に形成された合金/酸化物界面に硫黄が偏析する。この偏析により、保護酸化物スケールの剥離が増加する可能性がある。Zr及びMnのレベルによって、鋳造過程における鋳造欠陥、例えば偏析(freckling)が生じる可能性があるため、これらのレベルを制御する必要がある。これらの不可避的不純物の濃度が所定のレベルを超えた場合、製品収率を取り巻く問題が生じるとともに、合金の材料特性の劣化が予想される。
合金内、特に炭素中の不可避的不純物を拘束するために、ハフニウムを0.5質量%まで、より好ましくは0.2質量%まで添加することは有益である。ハフニウムは、強力な炭化物形成材であるため、この元素を添加することは、合金内に含まれる可能性のある残留炭化不純物を拘束するのに有益である。また、ハフニウムの添加は、小傾角粒界を合金内に導入する際に有益な、さらなる結晶粒界の強化をもたらし得る。
いわゆる「反応性元素」(ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、ランタン(La)及びセリウム(Ce))は、0.1質量%までのレベルの添加とする。これは、Al等の保護酸化物層の接着性を改善するのに有益である。これらの反応性元素は、硫黄などの有害元素を「掃討」することができる。この有害元素は、合金酸化物界面に偏析して酸化物と基材との結合を弱め、酸化物の剥離をもたらす。特に、ニッケル基超合金に0.1質量%までのレベルのケイ素を添加することは、酸化特性に対して有益であることが示されている。特にケイ素は合金/酸化物界面に偏析し、基材に対する酸化物の結合力を向上させる。これにより、酸化物の剥離が抑制され、結果として耐酸化性が向上する。
このセクションにおける本発明の記載に基づき、各元素添加の広範な範囲及び好ましい範囲が定義された。これらの範囲は、表3に列挙されている。実施例の組成物―合金ABD−1―は、好ましい組成範囲から選択されたが、この合金の組成は表3に規定されている。合金ABD−1は、単結晶タービンブレード部品の製造に使用される標準的な方法に従うことが明らかとなった。この製造方法は、ABD−1の組成を有する合金の準備、インベストメント鋳造法を用いて合金を鋳造するための鋳型の準備、単結晶合金を製造するための「粒セレクター」に用いられる方向性凝固技術を使用した合金の鋳造、その後の単結晶鋳造の多段階熱処理を含む。表3は、新たな設計合金における組成範囲を質量%で表示している。
合金ABD−1についての実験によって、この特許において主張すべき重要な材料特性を検証した。材料特性として主に、現在の第2世代タービンブレードと比較した、十分な耐クリープ性及び改善された酸化挙動を検証した。合金ABD−1の挙動を、同一の実験条件下において試験した合金CMSX−4の挙動と比較した。
表4に基づく公称組成の合金ABD−1の単結晶鋳造物を、単結晶組成物を製造する従来の方法を用いて製造した。鋳造物は、直径10mm、長さ160mmの円柱棒の形態であった。鋳造棒は、<001>方向から10°以内に配向された単結晶であることが確認された。
鋳造された材料には、所望のγ/γ´微細構造を製造するために、一連の追加熱処理が施された。1305℃にて6時間の溶体化熱処理を行ったところ、残留した微細偏析及び共晶混合物が除去されていることが明らかとなった。合金の熱処理窓が、溶体化熱処理中の初期溶融を回避するのに十分であることがわかった。溶体化熱処理の後、合金に対して2段階の時効熱処理を施した。時効熱処理は、1段階目では1120℃で3時間行い、2段階目では870℃で16時間行った。
完全に熱処理された単結晶棒から、ゲージ長20mm、直径4mmのクリープ試験片を機械加工した。その試験片は、<001>方向から10°以内に配向された。800〜1100℃の実験温度範囲を用いて、ABD−1合金のクリープ性能を評価した。繰り返し酸化試験は、完全に熱処理された材料に対して行われた。繰り返し酸化試験は、1000℃で、50時間にわたって2時間サイクルを用いて行われた。
合金ABD−1の耐クリープ性を合金CMSX−4と比較するために、ラーソン・ミラーダイアグラム(Larson-Miller diagram)を使用した。図8において、双方の合金における1%クリープ歪までの時間を比較して示す。大半のガスタービン部品は、最大限のエンジン性能を達成するために厳しい精度で製造されるため、1%歪までの時間は、重要な意味を有する。歪が低いレベル―数パーセントのオーダー―であっても、部品が取り換えられることはよくある。合金ABD−1における1%クリープ歪までの時間は、CMSX−4に匹敵することが分かる。図9では、双方の合金におけるクリープ破断までの時間を比較して示す。図9より、合金ABD−1の破断寿命はCMSX−4に匹敵することが分かる。
合金ABD−1及び合金CMSX−4の酸化挙動についても比較した。タービン温度が上昇を続ける(エンジンの熱効率が向上する)につれて、酸化等の腐食損傷に起因する部品の故障がより一般的になる。したがって、耐酸化性の向上により、部品の寿命を大幅に進歩させることができる。合金ABD−1は、現在の第2世代合金と比較して改善された酸化挙動を有するように設計された。ABD−1及びCMSX−4の繰り返し酸化の結果を、図10に示す。時間に対する増加質量の抑制は、酸化挙動が改善された証拠である。この酸化挙動の改善は、保護酸化物スケールの形成によって酸素の基材材料への進入が制限されたことに起因する。ABD−1合金は、CMSX−4と比較して、時間に対する質量増加が著しく抑制されていることを示しており、酸化性能が改善されていることを表している。
全体として合金ABD−1は、CMSX−4と比較して、同等の又は改善された挙動を示す。この挙動を、CMSX−4と比較して大幅にコストを削減した合金を使用して達成した。計算によれば、合金ABD−1のコストはCMSX−4より30%低い。

Claims (21)

  1. 7.0〜11.0質量%のクロム、4.0〜14.0質量%のコバルト、1.0〜2.0質量%のレニウム、5.5〜11.0質量%のタングステン、0.0〜0.5質量%のモリブデン、4.0〜6.5質量%のアルミニウム、8.0〜12.0質量%のタンタル、0.0〜0.5質量%までのハフニウム、0.0〜0.5質量%のニオブ、0.0〜0.5質量%のチタン、0.0〜0.5質量%のバナジウム、0.0〜0.1質量%のケイ素、0.0〜0.1質量%のイットリウム、0.0〜0.1質量%のランタン、0.0〜0.1質量%のセリウム、0.0〜0.003質量%の硫黄、0.0〜0.05質量%のマンガン、0.0〜0.05質量%のジルコニウム、0.0〜0.005質量%のホウ素、0.0〜0.01質量%の炭素から成り、残部はニッケル及び不可避的不純物から成るニッケル基合金組成物。
  2. 7.0〜8.5質量%のクロムを含有する、請求項1に記載のニッケル基合金組成物。
  3. 4.0〜12.0質量%のコバルトを含有する、請求項1又は2に記載のニッケル基合金組成物。
  4. 1.4〜1.8質量%のレニウムを含有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  5. 6.0〜11.0質量%のタングステンを含有する、請求項1乃至4のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  6. 5.5〜6.5質量%のアルミニウムを含有する、請求項1乃至5のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  7. 8.0〜10.5質量%のタンタルを含有する、請求項1乃至6のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  8. 0.0〜0.2質量%のハフニウムを含有する、請求項1乃至7のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  9. 9.0質量%より多いコバルトを含有する、請求項1乃至8のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  10. 10.0質量%未満のタングステンを含有する、請求項1乃至9のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  11. コバルト元素及びタングステン元素の合計が17質量%より大きいことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  12. タングステン元素及びタンタル元素の合計が19質量%未満である請求項1乃至11のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  13. アルミニウム元素及びタンタル元素の合計が13.5〜16.5質量%である請求項1乃至12のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  14. レニウム元素、クロム元素及びタングステン元素の合計が19質量%未満である請求項1乃至13のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  15. ニオブ元素、チタン元素及びバナジウム元素の合計が1質量%未満である請求項1乃至14のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  16. モリブデン元素及びタングステン元素の合計が少なくとも6質量%である請求項1乃至15のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  17. 体積分率が60〜70%のγ´を有する、請求項1乃至16のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  18. ニオブ元素、チタン元素、バナジウム元素及びタンタル元素の合計が、8.0〜10.5質量%である、請求項1乃至17のいずれかに記載のニッケル基合金組成物。
  19. 請求項1乃至18のいずれかに記載のニッケル基合金組成物で形成された単結晶物。
  20. 請求項1乃至18のいずれかに基づくニッケル基合金組成物で形成された、ガスタービンエンジン用のタービンブレード。
  21. 請求項20に記載のタービンブレードを備えるガスタービンエンジン。
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