JP6796129B2 - ニッケル基合金 - Google Patents

ニッケル基合金 Download PDF

Info

Publication number
JP6796129B2
JP6796129B2 JP2018504816A JP2018504816A JP6796129B2 JP 6796129 B2 JP6796129 B2 JP 6796129B2 JP 2018504816 A JP2018504816 A JP 2018504816A JP 2018504816 A JP2018504816 A JP 2018504816A JP 6796129 B2 JP6796129 B2 JP 6796129B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
nickel
alloy
based alloy
alloy composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018504816A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018529022A (ja
Inventor
リード,ロジェ
シュ,ツァイリン
クラッデン,デイヴィッド
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oxford University Innovation Ltd
Original Assignee
Oxford University Innovation Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oxford University Innovation Ltd filed Critical Oxford University Innovation Ltd
Publication of JP2018529022A publication Critical patent/JP2018529022A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6796129B2 publication Critical patent/JP6796129B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C19/00Alloys based on nickel or cobalt
    • C22C19/03Alloys based on nickel or cobalt based on nickel
    • C22C19/05Alloys based on nickel or cobalt based on nickel with chromium
    • C22C19/051Alloys based on nickel or cobalt based on nickel with chromium and Mo or W
    • C22C19/057Alloys based on nickel or cobalt based on nickel with chromium and Mo or W with the maximum Cr content being less 10%
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C19/00Alloys based on nickel or cobalt
    • C22C19/03Alloys based on nickel or cobalt based on nickel
    • C22C19/05Alloys based on nickel or cobalt based on nickel with chromium

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)

Description

本発明は、高性能なジェット推進の用途のために設計されるニッケル基単結晶超合金組成物に関する。
合金(第4世代単結晶ニッケル基超合金)は、耐クリープ性と耐酸化性とのコンビネーションを示すが、このコンビネーションは、合金(第4世代単結晶ニッケル基超合金)と同等のグレードの合金に匹敵するか、又は合金(第4世代単結晶ニッケル基超合金)と同等のグレードの合金より優れている。合金の密度、コスト、加工及び長期間における安定性も、新たな合金の設計において考慮されている。
第4世代ニッケル基単結晶超合金の典型的な組成物の例を、表1に列挙する。これらの合金は、ガスタービンのエンジンに用いられる回転/固定タービンブレードの製造に使用され得る。
本発明は、表1に列挙された第4世代合金と比較して、同等の高温挙動又は優れた高温挙動を有する合金を提供することを目的とする。
本発明によれば、3.5〜6.5質量%のクロム、0.0〜12.0質量%のコバルト、4.5〜11.5質量%のタングステン、0.0〜0.5質量%のモリブデン、3.5〜7.0質量%のレニウム、1.0〜3.7質量%のルテニウム、3.7〜6.8質量%のアルミニウム、5.0〜9.0質量%のタンタル、0.0〜0.5質量%のハフニウム、0.0〜0.5質量%のニオブ、0.0〜0.5質量%のチタン、0.0〜0.5質量%のバナジウム、0.0〜0.1質量%のケイ素、0.0〜0.1質量%のイットリウム、0.0〜0.1質量%のランタン、0.0〜0.1質量%のセリウム、0.0〜0.003質量%の硫黄、0.0〜0.05質量%のマンガン、0.0〜0.05質量%のジルコニウム、0.0〜0.005質量%のホウ素、0.0〜0.01質量%の炭素から成り、残部はニッケル及び不可避的不純物から成るニッケル基合金組成物が提供される。この組成物によれば、コスト、密度、耐クリープ性、及び耐酸化性の間で、良好なバランスが得られる。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるクロムは、質量%で、4.0〜5.0%である。このような合金は、良好な耐酸化性を有するほか、TCPの形成に対して特に耐性を有する。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるコバルトは、質量%で、少なくとも0.1質量%である。この合金によれば、耐クリープ性の向上及びγ´ソルバス温度の低下が生じ、これにより溶解ウィンドウ(solutioning window)が増加する。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるコバルトは、質量%で、7.0〜11.0%である。このような合金においては、観察されるクリープ異方性(配向依存性)の制限レベルにおけるクリープ変形に対する耐性が向上する。またこの合金では、γ´ソルバス温度が低下することにより、加工がより簡素化される。コバルトの最大含有量を10.9%とすることにより、クリープ異方性がさらに制限される。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるタングステンは、質量%で、7.0〜9.5%である。この組成物は、低コスト、軽量化、及び耐クリープ性の間で、折り合い(compromise)を与える。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるタングステンは、質量%で、少なくとも7.1%である。これにより、優れた耐クリープ性が達成される。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるアルミニウムは、質量%で、3.7〜6.6%、好ましくは5.1〜6.6%、より好ましくは5.5〜6.6%である。この組成物によれば、耐酸化性の増加と同時に、優れた耐クリープ性及び密度の低下が達成される。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるタンタルは、質量%で、5.0〜9.0%である。これにより、耐クリープ性と、(溶解ウィンドウに基づく)製造容易性と、密度とのバランスが得られ、及び/又はイータ(ε)相NiTaが形成される可能性が抑制される。この合金が備えるタンタルは、好ましくは5.0〜7.3%である。これにより、ε相の形成の傾向が弱まることに加え、合金のコスト及び密度がさらに低減され、溶解ウィンドウが増加する。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるモリブデンは、質量%で、0.1%以上である。このような合金は、耐クリープ性が向上する点で有利である。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるレニウムは、質量%で、4.5〜6.0%であり、より好ましくは5.3〜6.0%である。この組成物によれば、耐クリープ性、密度、TCP相の形成に対する耐性、及びコストの間で、良好なバランスが得られる。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるルテニウムは、質量%で、2.0〜3.0%である。この組成物によれば、耐クリープ性及びコストの間で良好なバランスが得られる。さらに、ルテニウムが2.1〜2.9%の範囲に制限されることにより、折り合いがさらに向上する。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物が備えるハフニウムは、質量%で、0.0〜0.2%である。これは、合金内の不可避的不純物、例えば炭素の拘束に最適である。
一つの実施形態では、合金に含まれるタンタル及びアルミニウムの質量%をそれぞれWTa、WAlとするときに、ニッケル基合金組成物は、以下の式を満たす。
33≦WTa+5.1WAl≦39
これにより、適切な体積分率のγ´を存在させることができるため、有利である。
一つの実施形態では、合金に含まれるタンタル及びアルミニウムの質量%をそれぞれWTa、WAlとするときに、ニッケル基合金組成物は、以下の式を満たす。
2.2≦5.15WAl−0.5WAl −WTa
好ましくは、以下の式を満たす。
2.9≦5.15WAl−0.5WAl −WTa
これは、熱処理過程を許容する、合金の溶解ウィンドウを適切にすることができるため、有利である。
一つの実施形態では、合金に含まれるルテニウム及びレニウムの質量%をそれぞれWRu、WReとするときに、ニッケル基合金組成物は、以下の式を満たす。
4.5≧WRu+0.225WRe
好ましくは、以下の式を満たす。
3.9≧WRu+0.225WRe
これにより、比較的低コストの合金が得られるため、有利である。
一つの実施形態では、合金に含まれるレニウム及びタングステンの質量%をそれぞれWRe、Wとするときに、ニッケル基合金組成物は、以下の式を満たす。
15.8≧1.13WRe+W
好ましくは、以下の式を満たす。
14.4≧1.13WRe+W
これにより、比較的低密度な合金が得られるため、有利である。
一つの実施形態では、合金に含まれるレニウム、モリブデン、及びタングステンの質量%をそれぞれWRe、WMo、Wとするときに、ニッケル基合金組成物は、以下の式を満たす。
21.9≦2.92WRe+(W+WMo
好ましくは、以下の式を満たす。
24.6≦2.92WRe+(W+WMo
これにより、優れた耐クリープ性を有する合金が得られるため、有利である。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物内のニオブ元素、チタン元素及びバナジウム元素の合計は、1質量%未満であり、好ましくは0.5質量%以下である。つまり、これらの元素は、合金の環境耐性に対して有害な影響をあまり及ぼさない。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物内のニオブ元素、チタン元素、バナジウム元素及びタンタル元素の合計は、5.0〜9.0質量%、好ましくは5.0〜7.3質量%である。これにより、好ましい体積分率のγ´と、好ましいAPBエネルギーとが得られる。
一つの実施形態では、ニッケル基合金組成物は、体積分率が60〜70%のγ´を有する。
一つの実施形態では、上述の実施形態のうちいずれかのニッケル基合金組成物で形成された単結晶物が得られる。
一つの実施形態では、上述の実施形態のうちのいずれかに基づく合金で形成された、ガスタービンエンジン用のタービンブレードが得られる。
一つの実施形態では、上述の実施形態のタービンブレードを備えるガスタービンエンジンが得られる。
本明細書における「を備える」との用語は、組成物を100%として、追加の成分の存在を排斥することでパーセンテージを100%にしていることを示すために用いられる。
本発明について、単なる例示を通じて、添付図面を参照しながら、さらに十分に説明する。
図1は、合金設計領域内における、主成分の分配係数を示す。 図2は、合金設計領域内の合金において、γ´の体積分率に対する、γ´形成元素であるアルミニウム及びタンタルの影響を示す等値線図である。この等値線図は、900℃で行われる相平衡計算によって求められたものである。 図3は、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、アルミニウム元素及びタンタル元素が逆位相境界エネルギーに及ぼす影響を示す等値線図である。 図4は、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、アルミニウム元素及びタンタル元素が溶解ウィンドウに及ぼす影響を示す等値線図である。 図5は、タンタルを5〜9質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、レニウム及びルテニウムの含有量が生元素コストに及ぼす影響を示す等値線図である。 図6は、タンタルを5〜9質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、レニウム及びタングステンが密度に及ぼす影響を示す等値線図である。 図7は、タンタルを5〜9質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、レニウム元素及びタングステン元素が耐クリープ性に及ぼす影響を示す等値線図である。この合金は、ルテニウムを0質量%含む。 図8は、タンタルを5〜9質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、レニウム元素及びタングステン元素が耐クリープ性に及ぼす影響を示す等値線図である。この合金は、ルテニウムを1質量%含む。 図9は、タンタルを5〜9質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、レニウム元素及びタングステン元素が耐クリープ性に及ぼす影響を示す等値線図である。この合金は、ルテニウムを2質量%含む。 図10は、タンタルを5〜9質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、レニウム元素及びタングステン元素が耐クリープ性に及ぼす影響を示す等値線図である。この合金は、ルテニウムを3質量%含む。 図11は、タンタルを5〜9質量%含み、ルテニウムを1〜3質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、クロム元素及びタングステン元素が微細構造安定性に及ぼす影響を示す等値線図である。この合金はレニウムを4質量%含む。 図12は、タンタルを5〜9質量%含み、ルテニウムを1〜3質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、クロム元素及びタングステン元素が微細構造安定性に及ぼす影響を示す等値線図である。この合金はレニウムを5質量%含む。 図13は、タンタルを5〜9質量%含み、ルテニウムを1〜3質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、クロム元素及びタングステン元素が微細構造安定性に及ぼす影響を示す等値線図である。この合金はレニウムを6質量%含む。 図14は、タンタルを5〜9質量%含み、ルテニウムを1〜3質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、クロム元素及びタングステン元素が微細構造安定性に及ぼす影響を示す等値線図である。この合金はレニウムを7質量%含む。 図15は、タンタルに対するアルミニウムの比が相違する合金において、コバルトがγ´ソルバス温度に及ぼす影響を示す等値線図である。この合金は、タンタルを5〜9質量%含み、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金である。 図16は、第4世代単結晶タービンブレード合金TMS−138A(三角形)と比較した、本発明の合金ABD−2(丸)における1%クリープ歪までの時間を示す。 図17は、第4世代単結晶タービンブレード合金TMS−138A(三角形)と比較した、本発明の合金ABD−2(丸)における破断までの時間を示す。 図18は、1000℃で空気酸化した場合における、第4世代単結晶タービンブレード合金TMS−138A(三角形)及び本発明の合金ABD−2(丸)の、測定された質量変化を示す。
従来、ニッケル基超合金は、経験主義に基づき設計されてきた。したがって、ニッケル基超合金の化学的組成物は、限られた量の材料の小規模処理と、挙動についてのその後の特性分析と、を含む時間のかかる高価な実験開発によって特定されてきた。その後、最良の、すなわちもっとも望ましい特性の組み合わせを示すことを見出された合金組成物が採用される。この組み合わせを達成可能な合金元素群が多数存在することは、これらの合金が完全には最適化されておらず、より改良された合金が存在する可能性が高いことを示している。
超合金においては一般的に、耐酸化性を付与するためにクロム(Cr)及びアルミニウム(Al)が添加され、硫化に対する耐性を向上させるためにコバルト(Co)が添加される。耐クリープ性の為に、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、Co、レニウム(Re)、及び場合によってルテニウム(Ru)が導入されるが、これは、これらの元素が、クリープ変形の割合を決定する熱活性化過程(例えば、転位上昇)を阻害するためである。静的強度及び繰り返し強度を高めるために、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、及びチタン(Ti)が導入されるが、これは、これらの元素が、析出硬化相ガンマプライム(γ´)の形成を促進させるためである。この析出相は、ガンマ(γ)と呼ばれる面心立方(FCC)マトリックス相とコヒーレントである。
本明細書においては、ニッケル基超合金の新たなグレードの特定に用いられる、モデルに基づく手法を、「合金設計」(ABD)法という用語で記載する。この手法には、非常に広範な組成領域に亘って設計関連特性を推定するための計算材料モデルのフレームワークが利用される。原則的に、この合金設計ツールにより、いわゆる逆問題が解決可能となる。すなわち、指定された設計制約を最も満足する、最適な合金組成を特定できる。
設計過程の第1ステップは、元素表と、その元素表に付随した組成制限の上限及び下限と、を規定することである。本発明においては、「合金設計領域」と呼ばれる、各元素を添加する際の元素ごとの組成制限が考慮される。この組成制限については、表2に詳述されている。
第2ステップは、特定の合金組成物の相図及び熱力学的特性を計算するための、熱力学的計算に基づいて行われる。これは、CALPHAD法(CALculate PHAse Diagram)と呼ばれることが多い。これらの計算を、新しい合金の使用温度(900℃)で実施することで、相平衡(微細構造)についての情報が得られる。
第3段階には、所望の微細構造を有する合金組成物を特定することが含まれる。クリープ変形に対する優れた耐性を必要とする単結晶超合金の場合、析出硬化相γ´の体積分率が60〜70%のときに、クリープ破断寿命が最長となる。また、γ/γ´格子不整は、コヒーレンシーを失うため、正又は負のうち、いずれか小さい値に従う必要がある。したがって、制限はその値の絶対値に依存する。格子不整δは、γ相とγ´相との間の不整合として定義され、以下の式によって求められる。
ここで、αγ及びαγ´は、γ相及びγ´相の格子定数である。
不適当な微細構造に基づいた合金は、形態的最密充填(TCP)相に対する感受性の推定値によっても排斥される。本計算においてCALPHADモデリングを使用することで、有害なTCP相シグマ(σ)、Ρ及びミュー(μ)の形成が予測される。
したがって、このモデルにより、γ´の体積分率の計算結果が60〜70%となる、設計領域内における全ての組成物が特定される。これらの組成物では、γ´の格子不整が所定の絶対値未満であり、TCP相の総体積分率が所定の大きさ未満である。
第4段階では、データセット内に残った特定された合金組成物について、メリット指数が推定される。メリット指数の例として、クリープメリット指数(平均組成のみに基づく合金の耐クリープ性を示す)、逆位相境界(APB)エネルギー、密度、コスト、及び溶解ウィンドウが含まれる。
第5段階では、計算されたメリット指数が所望の挙動に対する制約と比較され、これらの設計制約が、問題に対する境界条件とみなされる。境界条件を満たさないすべての組成物は排斥される。この段階において、試験データセットのサイズは非常に小さくなる。
最後の第6段階には、残った組成物のデータセットを分析することが含まれる。この分析は、様々な方法で行われ得る。1つには、メリット指数が最大値を示す合金について、データベースを介して分類してもよい。メリット指数が最大値を示す合金とは、例えば最軽量合金、最も耐クリープ性に優れた合金、最も耐酸化性に優れた合金、及び最も安価な合金である。又は、その代わりに、データベースを用いて、特性の異なる組み合わせによって生じる、性能の相対的なトレードオフを求めてもよい。
メリット指数の5つの例を説明する。
第1のメリット指数はクリープメリット指数である。最も重要な観測は、単結晶超合金の時間依存変形(即ち、クリープ)が、γ相に限られた初期活性に伴う転位クリープによって発生することである。したがって、γ´相の割合が大きくなるため、転位セグメントが急速にγ/γ´界面に固定される。律速段階は、γ/γ´界面からの、転位のトラップされた構成の離脱である。それは、クリープ特性に対して合金組成物が及ぼす重大な影響を引き起こす局所化学に依存する。
物理学に基づいた微細構造モデルは、荷重が一軸であって<001>結晶学的方向に沿っている場合において、クリープ歪εの蓄積速度に援用される。集合方程式は、以下の式である。
ここで、ρは可動転位密度、φpはγ´相の体積分率、ωはマトリックスチャネルの幅である。項σ及びΤはそれぞれ、作用応力及び温度である。項b及びkはそれぞれ、バーガースベクトル及びボルツマン定数である。項KCFは、拘束係数である。
項KCFは、これらの合金内の立方状粒子の近接度を示す。式3は、乗算パラメータC及び初期転位密度の推定を必要とする転位乗算過程を示している。項Deffは、粒子/マトリックス界面における上昇過程を制御する有効拡散率である。
なお、上述の内容において、組成依存性は、2つの項φとDeffから生じる。したがって、微細構造が一定である(微細構造の大部分が熱処理によって制御される)と仮定すると、φが固定されるため、化学組成への依存性は、Deffによって生じる。ここに説明されている合金設計モデリングの目的のために、各プロトタイプ合金組成物に対して式2及び式3の完全な積分を実施する必要がないことがわかる。代わりに、最大化が必要な、一次メリット指数Mcreepが用いられる。Mcreepは、以下の式で求められる。
ここで、xは、合金中の溶質iの原子分率である。D は、適切な相互拡散係数である。
第2のメリット指数は、逆位相境界(APB)エネルギーに関する。γ´相における欠陥エネルギー、例えばAPBエネルギーは、ニッケル基超合金の変形挙動に重大な影響を及ぼす。APBエネルギーの増加によって、引張強さ及びクリープ変形に対する耐性を含む機械的特性が改善することが判明している。APBエネルギーの研究は、密度汎関数理論を用いて、多くのNi−Al−X系について行われた。この研究により、γ´相のAPBエネルギーに対する三元元素の影響が計算され、複合多成分系を考慮した場合における、各三元元素の添加による影響の線形重畳が仮定された。その結果、以下の式が導かれた。
ここで、xCr、xMo、x、xTa、xNb及びxTiはそれぞれ、γ´相におけるCr、Mo、W、Ta、Nb及びTiの原子%濃度を表す。γ´相における組成は、相平衡計算によって求められる。
第3のメリット指数は、密度である。密度ρは、混合物の単純な規則及び補正係数を用いることで計算された。ここで、ρは所与の元素の密度であり、xiは合金元素の原子分率である。
第4のメリット指数は、コストである。各合金のコストを推定するために、混合物の単純な規則を適用した。ここで、各合金のコストは、合金元素の質量分率xiに、合金元素の現在(2015)の原材料コストcを掛けたものを用いた。
この推定は、加工コストがすべての合金において同一であると仮定している。すなわち、製品収率は組成物による影響を受けない。
第5のメリット指数は、溶解ウィンドウである。ある温度範囲に亘って熱力学モデリング(CALPHAD)の計算を実施することにより、合金ごとに溶解ウィンドウを計算することができる。この値(摂氏度で測定される)は、所与の合金が単結晶タービンブレードの製造に用いられる従来の製造過程に適しているかを判断するために用いることができる。一般的に、溶融熱処理を可能とするためには、溶解ウィンドウは50度より高い温度である必要がある。溶融熱処理は単層領域で行われるが、この時点において、合金はγ相領域内にのみ存在する。この溶融熱処理は、高度に偏析し得る鋳造合金の組成を均質化するために必要である。溶融熱処理ウィンドウを決定するためには、ある温度範囲に亘って相平衡(より具体的には相転移)を決定する必要がある。γ´相の完全溶解が生じる温度(γ´ソルバス温度として知られている)は、固相線温度と同様に、既知である必要がある。固相線温度とγ´ソルバス温度との差によって、溶解ウィンドウが与えられる。したがって、溶解ウィンドウ指数は、固相線温度とγ´ソルバス温度との差として計算される。
上述のABD法を用いて、本発明の合金組成物を特定した。この合金の設計意図は、第4世代単結晶ニッケル基超合金の組成を特定することであった。この第4世代単結晶ニッケル基超合金は、同等のグレードの合金に匹敵するか、同等のグレードの合金より優れた、耐クリープ性と耐酸化性とのコンビネーションを備える。合金の密度、コスト、加工及び長期間における安定性も、新たな合金の設計において考慮されている。
商業的に用いられる第4世代単結晶タービンブレード合金の材料特性を、表3に列挙する。この材料特性は、ABD法を用いて求められた。これらの合金について列挙された、予測される特性との関連を踏まえ、新しい合金の設計が検討された。表3には、合金ABD−2についての計算された材料特性も示されている。合金ABD−2は、本発明に従う合金であって、表4に示す公称組成を有する。
耐クリープ性を最大とするために、合金の微細構造の最適化が必要であった。この微細構造は主に、オーステナイト面心立方(FCC)ガンマ相(γ)及び規則化されたL1析出相(γ´)からなる。この微細構造によって単結晶ブレード合金の耐クリープ性が最大レベルとなることは既知であるため、一般的には、γ´相の体積分率が60〜70%であることは最適であるとみなされる。γ´の体積分率を60〜70%とすることが、本合金の目標であった。しかしながら、本発明の合金は、この目標から外れ得る。
合金設計領域に含まれる各元素の分配係数は、図1に示すように、900℃で実施される相平衡計算によって求められた。分配係数が1である場合は、元素が、γ相又はγ´相に等しい優先度で分配されていることを表す。分配係数が1未満である場合は、元素が、γ´相に対する優先度を有することを表し、分配係数の値が0に近づくほど、その優先度が大きくなる。分配係数の値が1より大きくなるほど、元素はγ相内に優先的に存在するようになる。アルミニウム及びタンタルの分配係数は、これらの元素が強力なγ´形成元素であることを示している。クロム元素、コバルト元素、レニウム元素、ルテニウム元素及びタングステン元素は、γ相に分配されることが好ましい。合金設計領域内で考慮される元素では、アルミニウム及びタンタルが最も強くγ´相に分配される。したがって、アルミニウム及びタンタルのレベルは、所望の体積分率のγ´を生成するように制御された。
図2は、ある運転温度(この場合は900℃)において、γ´相を形成するために添加された元素(主にアルミニウム及びタンタル)が合金内のγ´相の割合に及ぼす影響を示す。合金を設計するために、γ´の体積分率が60〜70%となる合金組成物が検討された。したがって、3.7〜6.8質量%のアルミニウムが必要であった。
以下の式に従って、γ´体積分率は、アルミニウム及びタンタルの含有量が変化することによって変わる。
ここで、f(γ´)は、所望の割合(今回においては0.6〜0.7)のγ´を有する合金における数値である。この数値は、33〜39の範囲の値である。WTa及びWAlはそれぞれ、合金に含まれるタンタル及びアルミニウムの質量パーセントである。
γ´相の逆位相境界(APB)エネルギーを増加させるためには、アルミニウム及びタンタルのレベルの最適化も必要であった。APBエネルギーはγ´相の化学的性質に強く依存する。図3は、APBエネルギーに対するアルミニウム及びタンタルの影響を示す。現在の第4世代単結晶合金が有するAPBエネルギー(〜270mJ/m)以上のAPBエネルギーを有する組成物を特定した。合金内におけるタンタルのレベルを5.0質量%より高くする(このとき、Al=3.7〜6.8質量%、すなわちγ´の体積は60〜70%)ことによって、許容可能な高APBエネルギー及び非常に優れた耐クリープ性を有する合金が生成され、これと同時に十分に高い体積分率を有するγ´が生成されることが、モデリング計算により示された。
最小濃度のタンタルによって望ましいγ´体積分率(60〜70%)を達成するために、Al添加は最大6.6質量%までに制限されることが望ましい(図2)。したがって、所望のγ´体積分率と、高APBエネルギーと、の双方を実現するために、Al濃度は3.7〜6.6質量%とすることが望ましい。タンタルの最大含有量は図4を参照して以下に説明するが、タンタルの範囲は、5.0〜9.0質量%、好ましくは5.0〜7.3質量%である。これは、APBエネルギーと溶解ウィンドウ(以下で扱う)との好ましい組み合わせに起因する。すなわち、タンタルの好ましい最小レベルによって、所与のアルミニウム量においてより高いAPBエネルギーが確保されると共に、合金におけるアルミニウムの範囲内で少なくとも270mJ/mのレベルが確保される。図2より、特にタンタルの下限レベルを高めるため(for higher lower levels of tantalum)のアルミニウム濃度は、5.1質量%以上、好ましくは5.5質量%以上であることが分かる。これにより、所望の体積分率を有するγ´が得られる。したがって、タンタルに対するアルミニウムの比の範囲は、質量%において、好ましくは0.41(Al=3.7質量%、Ta=9.0質量%)〜1.36(Al=6.8質量%、Ta=5.0質量%)、より好ましくは0.70(Al=5.1質量%、Ta=7.3質量%)〜1.32(Al=6.6質量%、Ta=5.0質量%)、さらにより好ましくは0.75(Al=5.5質量%、Ta=7.3質量%)〜1.32(Al=6.6質量%、Ta=5.0質量%)である。
ニオブ元素、チタン元素、及びバナジウム元素は、タンタルと同様の挙動を示す。すなわち、これらの元素は、逆位相境界エネルギーを増加させるガンマプライム形成元素である。これらの元素は、必要に応じて合金に添加することができる。これにより、タンタルを添加する場合と比較して利点が生じるが、この利点にはコスト及び密度を低くできることが含まれ得る。一方、これらの元素は、合金の耐環境性に悪影響を及ぼし得るため、その添加は制限されなければならない。したがって、これらの元素はそれぞれ、0.5質量%までしか含有させることができない。これらの元素は、タンタルの代わりに用いられることが好ましい。すなわち、ニオブと、チタンと、バナジウムと、タンタルと、から成る元素群の合計が、好ましくは5.0〜9.0質量%、より好ましくは5.0〜7.3質量%に制限される。これらの範囲は、タンタルにとっての好ましい範囲である。これとは無関係に、一つの実施形態では、合金の耐環境性の低減を回避するため、ニオブ、チタン及びバナジウムからなる元素群の合計は、好ましくは1.0質量%未満、好ましくは0.5質量%未満に制限される。
アルミニウムとタンタルとのバランスを調整することにより、所望の目標体積分率を有するγ´と十分に高いAPBエネルギーとをバランスさせることができる。しかしながら、合金の加工についても考慮する必要がある。その考慮事項の1つが溶解ウィンドウである。合金の溶融温度より低く、γ相のみが安定的に存在する、十分な温度範囲のウィンドウが存在するはずである。溶解ウィンドウはγ´相の溶解に依存するため、溶解ウィンドウはγ´の化学的性質、すなわちアルミニウム及びタンタルの含有量に強く影響される。この溶融熱処理は、γ´内においてリッチな残留微細偏析及び共融混合物を除去するために用いられる。この残留微細偏析及び共融混合物は、単結晶合金を製造するために使用される鋳造過程において生じ得る。従来の加工方法を可能とするために、溶解ウィンドウは50℃より高いことが好ましい。図4は、γ´の体積分率を60〜70%として、Alの質量%及びTaの質量%を変化させた場合における、溶解ウィンドウの大きさ(℃)を示す。図4より、タンタルの含有量を9.0質量%までに制限することにより、合金の適切な溶解ウィンドウが確保されることがわかる。タンタルの含有量は、7.3質量%までに制限されることが好ましい。これにより、60℃を超える溶解ウィンドウを有する合金が生成され、合金の加工がさらに改善される。
以下の式に従って、溶解ウィンドウは、アルミニウム及びタンタルの含有量が変化することによって変わる。
ここで、50℃以上の溶解ウィンドウを有する合金を製造するためには、f(Tsol.)の値を2.2より大きくする。好ましくは、60℃を超える温度の溶解ウィンドウを有する合金を製造するために、f(Tsol.)の値を2.9より大きくする。
上述の要求(60〜70%の体積分率を有するγ´、270mJ/mを超えるAPBエネルギー、50℃を超える溶解ウィンドウ)を満たした合金において、耐クリープ性及び酸化性能について、難揮発性元素(refractory elements)のレベルを測定した。第4世代単結晶タービンブレードにおいては、ルテニウム元素、レニウム元素及びタングステン元素を添加することにより、クリープ性能が大幅に付与される。これは、図7〜10を参照して後述する。一方、レニウム元素及びルテニウム元素は、コストに強く影響する(図5)。タングステン元素及びレニウム元素は、合金密度を大幅に増加させる(図6)。さらに、レニウムやタングステン、クロムなどの元素(クロムは、耐酸化性のために添加される)は、適切にバランスされる必要があるが、これは、有害なTCP相を形成する傾向にある、微細構造的に不安定な合金を生成することなく、耐クリープ性及び耐酸化性をバランスさせるためである(図11〜14)。したがって、コスト、密度、耐クリープ性、耐酸化性及び微細構造安定性におけるトレードオフの複雑なバランスを管理する必要がある。これらのトレードオフを最適化する過程については、図5〜14を参照して後述する。
ルテニウム元素及びレニウム元素には現在(2015)、相当の原材料コストがかかっている。したがって、合金設計を最適化するために、本発明におけるコストと耐クリープ性とのトレードオフを最良に管理する、ルテニウム及びレニウムのレベルが選択される。図5における等値線図は、γ´の体積分率が60〜70%である900℃の合金において、レニウム及びルテニウムのレベルが合金コストに及ぼす影響を示す。図5より、ルテニウムが合金コストに最も強く影響することが分かる。したがって、合金内のルテニウムの含有量は、3.7質量%までに制限される。これにより、本発明にかかるコストは、現在のグレードの第4世代合金にかかるコスト以下となる。好ましくは、ルテニウムの含有量は、3.0質量%以下に制限される。これにより、コストと耐クリープ性との最適なバランスが確保される。
合金にかかるコストを制限するために、好ましくは以下の式に従って、ルテニウム及びレニウムを添加する。
ここで、300$/lb以下のコストの合金を製造するために、f(Cost)の値を4.5以下とする。WRu及びWReはそれぞれ、合金に含まれるルテニウム及びレニウムの質量%である。好ましくは、260$/lb以下の低いコストの合金を製造するために、f(Cost)の値を3.9以下とする。
クリープ変形に対して優れた耐性を備える合金を設計するために、タングステン元素、レニウム元素及びルテニウム元素の添加を最適化する。耐クリープ性は、クリープメリット指数モデルを用いて決定された。クリープメリット指数の最大化は、耐クリープ性の向上に関連しているため、望ましい。タングステン、レニウム及びルテニウムが耐クリープ性に及ぼす影響を、図7〜10に示す。これにより、タングステン、レニウム及びルテニウムのレベルを増加させることにより耐クリープ性が向上することが分かる。一方、タングステン及びレニウムの所望の量は、合金密度に強い影響を及ぼしている(図6)。図6〜10のグラフを作成する計算は、900℃においてγ´の体積分率が60〜70%となるように行われる。したがって、耐クリープ性と合金密度とのトレードオフをバランスさせる必要がある。
合金密度を制限するために、好ましくは以下の式に従って、タングステン及びレニウムを添加する。
ここで、9.0g/cm以下の密度の合金を製造するために、f(Density)の値を15.8以下とする。Wは合金に含まれるタングステンの質量%である。好ましくは、8.9g/cm以下の密度の合金を製造するために、f(Density)の値を14.4以下とする。
現在の第4世代単結晶合金は、12×10−15−2s以上のクリープメリット指数を有する(表3参照)。このレベルの耐クリープ性は、9.0g/cm未満の低密度、好ましくは8.9g/cm未満の低密度と組み合わせて達成されることが望ましい。レニウム及びタングステンが密度に及ぼす影響を示す、図6の等値線が、破線として、レニウム、タングステン及びルテニウムがクリープメリット指数に及ぼす影響に重なっている(図7〜10)。
最小のクリープメリット指数を12×10−15−2sとするために、合金に含まれるルテニウムは少なくとも1.0質量%である。さらにより高い耐クリープ性を得るために、ルテニウムの含有量は、好ましくは2.0質量%以上であり、より好ましくは2.1質量%以上である。ルテニウムは3.0質量%までに制限されることが好ましい。これにより、コストと耐クリープ性との好ましいバランスが得られる。より好ましくは、ルテニウムの最大レベルを2.9質量%とする。これにより、さらにコストを削減しつつ、高いクリープメリット指数による利益がもたらされる。タングステンの含有量を11.5質量%以下に制限することにより、合金密度を9.0g/cm以下に減少させることができる。タングステンの含有量は、9.5質量%までに制限されることが好ましい。これにより、さらにより低い密度の合金が製造される(図6及び10)。タングステンを低レベルとすることにより、微細構造安定性も確保される(図11〜14)。
図7〜10には、レニウムの最小の含有量を3.5質量%以上とすることでクリープメリット指数が高まることが示されている。レニウムの含有量は、4.5質量%より高いことが好ましい。これにより、密度(図6)と耐クリープ性(図10)とがよりよくバランスされた合金が製造される。より好ましくは、合金に含まれるレニウムは、少なくとも5.3質量%である。この組成によれば、耐クリープ性と密度とがさらによりよくバランスされた合金が製造される。このような合金においては、要求され得るルテニウムのレベルが低いため、コストも削減することができる(図9)。
モリブデンは、タングステンと同様の挙動を示す。すなわち、拡散が遅いこの元素は、耐クリープ性を向上させることができる。したがって、モリブデンは少なくとも0.1質量%の量で存在することが好ましい。しかしながら、モリブデンは、合金における、有害なTCP相を形成する傾向を強める。そのため、モリブデンの添加を制御する必要がある。したがって、モリブデンは0.5質量%以下に制限される。
図7〜10及びタングステンをモリブデンに代替可能であるとの知識より、以下の式に従ってタングステンと、レニウムと、モリブデンとを添加すると、耐クリープ性を良好なレベルで得られることが分かる。
ここで、f(Creep) の数値は21.9以上である。WMoは、合金に含まれるモリブデンの質量%である。これにより、クリープメリット指数の計算結果が12×10−15−2s以上となる合金が製造される。好ましくは、f(Creep)の数値は24.6より大きい。これにより、より優れた耐クリープ性を有する合金が得られることに加え、より低いレベルのルテニウムにより耐クリープ性が同等となり、すなわちコストが削減される。
コバルトの添加は任意である。しかしながら、モデル計算により、コバルトがクリープメリット指数を増加させることが示された。コバルトの添加によってガンママトリックス中の積層欠陥エネルギーが減少することも知られており、これにより耐クリープ性も向上する。さらに、コバルトの添加は、γ´ソルバス温度を低下させ得るため、加工の容易性を向上させることができ、溶解ウィンドウの増加に寄与する。したがって、コバルトは少なくとも0.1質量%存在することが望ましい。図15には、タンタルに対するアルミニウムの比が、最も好ましい範囲である0.75〜1.36となる場合において、コバルトを添加することによってγ´ソルバス温度が低下することが示されている。コバルトの下限は7.0質量%であることが好ましい。これにより、耐クリープ性に優れγ´ソルバス温度が低下した合金が製造される。これは、熱処理過程において有益である。一方、コバルトのレベルを高めると合金のクリープ異方性が、特に一次クリープで増加するため、コバルトの添加を制限する必要がある。これにより、クリープ速度が単結晶の配向に強く依存することとなる。クリープ異方性の量を許容可能なレベルに制御するために、コバルトの上限を12.0質量%とする。コバルトの上限は、11.0質量%とすることが好ましい。これにより、クリープ異方性がより低減される。より望ましくは、コバルトの上限を10.9質量%とする。これにより、クリープ異方性の可能性がさらにより減少する。
長時間に亘ってクリープに対する耐性を維持するためには、拡散が遅い元素であるレニウム、タングステン及びルテニウムの添加が必要となる。また、クロムの添加は、酸化/腐食による損傷への耐性を向上させるために必要である。一方、タングステン、レニウム及びクロムを高いレベルで添加することにより、望ましくないTCP相、主にσ相、Ρ相及びμ相が形成される傾向が強まることが明らかとなった。図11〜14には、TCP相(σ+μ+Ρ)の全体割合に対する、クロム、タングステン及びレニウムの添加による効果を示している。これらの元素の添加を制御することにより、TCP相のレベルを、現在の第4世代超合金(表3)のTCP相のレベル以下とすることが好ましい。
Crを2.0〜3.2質量%の範囲で含有する現在の第4世代単結晶合金と比較して優れた耐酸化性を達成するために、本発明におけるクロムの最小の含有量は、3.5質量%以上、好ましくは4.0質量%以上である。すなわち、現在の第4世代合金より優れた耐酸化性を達成することを前提として、これらの合金より高い質量%のクロムを含ませる。合金における有害なTCP相が形成される傾向を弱めるために、クロム含有量は6.5質量%までに制限される(図11〜14)。合金内のクロム含有量は、5.0質量%までに制限されることが好ましい。これにより、耐酸化性と微細構造安定性とのバランスが最良な合金が製造される。本発明における合金内のレニウム含有量は、(許容可能な微細構造安定性を確保するために)7.0質量%以下に制限される(図14)。レニウムのレベルを4.5〜6.0質量%とすることによって密度、耐クリープ性及び微細構造安定性が良好にバランスされるため、レニウム含有量は6.0質量%以下に制限されることが、より好ましい。微細構造安定性、密度及び耐クリープ性が許容可能にバランスされるときのレニウムのレベルに基づくと、本発明に必要となるタングステンの最小レベルは4.5質量%以上である。これにより、耐クリープ性(図7〜10)、コスト及び微細構造安定性(図11〜14)がバランスされる。高い耐クリープ性を達成するために(図7〜10)、タングステンの最小レベルは、好ましくは7.0質量%であり、望ましくは少なくとも7.1質量%である。
合金を製造する際、その合金は不可避的不純物をほとんど含まないことが有益である。この不純物には、炭素(C)、ホウ素(B)、硫黄(S)、ジルコニウム(Zr)及びマンガン(Mn)の元素が含まれ得る。炭素の濃度が100PPM以下(質量基準)に維持される場合、望ましくない炭化物相は形成されない。ホウ素の含有量は、望ましくないホウ化物相の形成を防ぐために、50PPM以下(質量基準)に制限することが望ましい。炭化物相及びホウ化物相は、γ相及びγ´相に強度を付与するために添加された、タングステンやタンタル等の元素を拘束する。したがって、炭素及びホウ素が多量に存在すると、耐クリープ性を含む機械的特性が低下する。硫黄(S)元素及びジルコニウム(Zr)元素はそれぞれ、30PPM未満及び500PPM未満(質量基準)に維持されることが好ましい。マンガン(Mn)は、不可避的不純物であり、0.05質量%(質量基準で500PPM)までに制限されることが好ましい。硫黄が0.003質量%より多く存在すると、合金が脆化し、酸化の際に形成された合金/酸化物界面に硫黄が偏析する。この偏析により、保護酸化物スケールの剥離が増加する可能性がある。ジルコニウム及びマンガンによって、鋳造過程における鋳造欠陥、例えば偏析が生じる可能性がある。そのため、ジルコニウム及びマンガンのレベルを制御する必要がある。これらの不可避的不純物の濃度が所定のレベルを超えた場合、製品収率を取り巻く問題が生じるとともに、合金の材料特性の劣化が予想される。
ハフニウム(Hf)を0.5質量%まで、より好ましくは0.2質量%まで添加することは、合金内の不可避的不純物、特に炭素を拘束するために有益である。ハフニウムは、強力な炭化物形成材であるため、この元素を添加することは、合金内に含まれる可能性のある残留炭化不純物を拘束するのに有益である。また、ハフニウムの添加は、小傾角粒界を合金内に導入する際に有益な、さらなる結晶粒界の強化をもたらし得る。
いわゆる「反応性元素」(ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、ランタン(La)及びセリウム(Ce))は、0.1質量%までのレベルの添加とする。これは、Al等の保護酸化物層の接着性を向上させるのに有益である。これらの反応性元素は、硫黄などの有害元素を「掃討」することができる。硫黄は、合金酸化物界面に偏析して酸化物と基材との結合を弱め、酸化物の剥離をもたらす。特に、ニッケル基超合金に0.1質量%までのレベルのケイ素を添加することは、酸化特性に対して有益であることが示されている。特にケイ素は合金/酸化物界面に偏析し、基材に対する酸化物の結合力を向上させる。これにより、酸化物の剥離が抑制され、結果として耐酸化性が向上する。
このセクションにおける本発明の記載に基づき、各元素添加の広範な範囲及び好ましい範囲が規定された。これらの範囲は、表4に列挙されている。実施例の組成物―合金ABD−2―は、好ましい組成範囲から選択されたが、この合金の組成は表4に規定されている。合金ABD−2は、単結晶タービンブレード部品の製造に使用される標準的な方法に従うことが明らかとなった。この製造方法には、ABD−2の組成を有する合金の準備、インベストメント鋳造法を用いて合金を鋳造するための鋳型の準備、単結晶合金を製造するための「粒セレクター」が用いられる方向性凝固技術を使用した合金の鋳造、その後の単結晶鋳造の多段階熱処理が含まれる。
合金ABD−2についての実験によって、本発明の合金の主目的となる重要な材料特性を検証した。材料特性として主に、IGT用途に用いられる現在の単結晶合金と比較した、十分な耐クリープ性及び改善された酸化性能を検証した。合金ABD−2の挙動を、同一の実験条件下において試験した合金TMS−138−Aの挙動と比較した。
表4に基づく公称組成の合金ABD−2の単結晶鋳造物を、単結晶組成物を製造する従来の方法を用いて製造した。鋳造物は、直径10mm、長さ160mmの円柱棒の形態であった。鋳造棒は、<001>方向から10°以内に配向された単結晶であることが確認された。
鋳造された材料には、所望のγ/γ´微細構造を製造するために、一連の追加熱処理が施された。1325℃にて6時間の溶融熱処理を行ったところ、残留した微細偏析及び共融混合物が除去されていることが明らかとなった。合金の熱処理ウィンドウが、溶融熱処理中の初期溶融を回避するのに十分であることがわかった。溶融熱処理の後、合金に対して2段階の時効熱処理を施した。時効熱処理は、1段階目では1120℃で2時間行い、2段階目では870℃で16時間行った。
完全に熱処理された単結晶棒から、ゲージ長20mm、直径4mmのクリープ試験片を機械加工した。その試験片は、<001>方向から10°以内に配向された。800〜1100℃の実験温度範囲を用いて、ABD−2合金のクリープ性能を評価した。繰り返し酸化試験は、完全に熱処理された材料に対して行われた。繰り返し酸化試験は、1000℃で、50時間にわたって2時間サイクルで行われた。
合金ABD−2の耐クリープ性を合金TMS−138Aと比較するために、ラーソン・ミラーダイアグラム(Larson-Miller diagram)を使用した。図16において、双方の合金における1%クリープ歪までの時間を比較して示す。大半のガスタービン部品は、最大限のエンジン性能を達成するために厳しい精度で製造されるため、1%歪までの時間は、重要な意味を有する。歪が低いレベル―数パーセントのオーダー―であっても、部品が取り換えられることはよくある。合金ABD−2における1%クリープ歪までの時間は、TMS−138Aに匹敵することが分かる。図17では、双方の合金におけるクリープ破断までの時間を比較して示す。図17より、合金ABD−2の破断寿命はTMS−138Aに匹敵することが分かる。
合金ABD−2及び合金TMS−138Aの酸化性能についても比較した。タービン温度が上昇を続ける(エンジンの熱効率が向上する)につれて、酸化等の腐食損耗に起因する部品の故障がより一般的となる。したがって、耐酸化性/耐食性を向上させることにより、部品の寿命を大幅に進歩させることができる。合金ABD−2は、現在の第2世代合金と比較して改善された酸化挙動を有するように設計された。ABD−2及びTMS−138Aの繰り返し酸化の結果を、図18に示す。時間に対して質量の増加が抑制されていることは、酸化性能が改善された証拠である。この酸化性能の改善は、保護酸化物スケールの形成によって酸素の基材材料への進入が制限されたことに起因する。ABD−2合金は、TMS−138Aと比較して、時間に対する質量の増加が大幅に抑制されていることを示しており、酸化性能が改善されていることを表している。
全体として合金ABD−2は、TMS−138Aと比較して、同等のクリープ挙動を示す。この挙動を、大幅に改善された酸化性能を有する合金を使用して達成した。すなわち、合金を、従来の製造技術に従って低コスト及び低密度としつつ、設計目標を達成した。

Claims (22)

  1. 3.5〜6.5質量%のクロム、.0〜12.0質量%のコバルト、4.5〜11.5質量%のタングステン、0.0〜0.5質量%のモリブデン、3.5〜7.0質量%のレニウム、1.0〜3.7質量%のルテニウム、3.7〜6.8質量%のアルミニウム、5.0〜9.0質量%のタンタル、0.0〜0.5質量%のハフニウム、0.0〜0.5質量%のニオブ、0.0〜0.5質量%のチタン、0.0〜0.5質量%のバナジウム、0.0〜0.1質量%のケイ素、0.0〜0.1質量%のイットリウム、0.0〜0.1質量%のランタン、0.0〜0.1質量%のセリウム、0.0〜0.003質量%の硫黄、0.0〜0.05質量%のマンガン、0.0〜0.05質量%のジルコニウム、0.0〜0.005質量%のホウ素、0.0〜0.01質量%の炭素から成り、残部はニッケル及び不可避的不純物から成るニッケル基合金組成物。
  2. クロムが、質量%で、4.0〜5.0%である、請求項1に記載のニッケル基合金組成物。
  3. コバルトが、質量%で、7.0〜11.0%である請求項1又は2に記載のニッケル基合金組成物。
  4. タングステンが、質量%で、7.0〜9.5%である、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  5. タングステンが、質量%で、7.1〜11.5%である、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  6. アルミニウムが、質量%で、3.7〜6.6%である、請求項1乃至のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  7. タンタルが、質量%で、5.0〜7.3%である、請求項1乃至のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  8. モリブデンが、質量%で、少なくとも0.1%である、請求項1乃至のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物
  9. レニウムが、質量%で、4.5〜6.0%である、請求項1乃至のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物
  10. ルテニウムが、質量%で、2.0〜3.0%である、請求項1乃至のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物
  11. 合金に含まれるタンタル及びアルミニウムの質量%をそれぞれWTa、WAlとするときに、以下の式を満たす、請求項1乃至10のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
    33≦WTa+5.1WAl≦39
  12. 合金に含まれるタンタル及びアルミニウムの質量%をそれぞれWTa、WAlとするときに、以下の式を満たす、請求項1乃至11のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
    2.2≦5.15WAl−0.5WAl −WTa
  13. 合金に含まれるルテニウム及びレニウムの質量%をそれぞれWRu、WReとするときに、以下の式を満たす、請求項1乃至12のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
    4.5≧WRu+0.225WRe
  14. 合金に含まれるレニウム及びタングステンの質量%をそれぞれWRe、Wとするときに、以下の式を満たす、請求項1乃至13のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
    15.8≧1.13WRe+W
  15. 合金に含まれるレニウム、モリブデン、及びタングステンの質量%をそれぞれWRe、WMo、Wとするときに、以下の式を満たす、請求項1乃至14のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
    21.9≦2.92WRe+(W+WMo
  16. ニオブ、チタン及びバナジウムの合計が、質量%で、1%より低い、請求項1乃至15のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  17. ハフニウムが、質量%で、0.0〜0.2%である、請求項1乃至16のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  18. 体積分率が60%〜70%のγ´を有する請求項1乃至17のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物。
  19. ニオブ、チタン、バナジウム及びタンタルの合計が、質量%で、5.0〜9.0%である請求項1乃至18のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物
  20. 請求項1乃至19のいずれか1つに記載のニッケル基合金組成物で形成された単結晶物。
  21. 請求項1乃至19のいずれか1つに基づくニッケル基合金組成物で形成された、ガスタービンエンジン用のタービンブレード。
  22. 請求項21に記載のタービンブレードを備えるガスタービンエンジン。
JP2018504816A 2015-07-31 2016-07-20 ニッケル基合金 Active JP6796129B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB1513582.5A GB2540964A (en) 2015-07-31 2015-07-31 A nickel-based alloy
GB1513582.5 2015-07-31
PCT/GB2016/052199 WO2017021685A1 (en) 2015-07-31 2016-07-20 A nickel-based alloy

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018529022A JP2018529022A (ja) 2018-10-04
JP6796129B2 true JP6796129B2 (ja) 2020-12-02

Family

ID=54063008

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018504816A Active JP6796129B2 (ja) 2015-07-31 2016-07-20 ニッケル基合金

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20180216212A1 (ja)
EP (1) EP3329025B1 (ja)
JP (1) JP6796129B2 (ja)
CN (1) CN108138264A (ja)
GB (1) GB2540964A (ja)
WO (1) WO2017021685A1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2997367C (en) 2015-09-04 2023-10-03 Scoperta, Inc. Chromium free and low-chromium wear resistant alloys
FR3073526B1 (fr) * 2017-11-14 2022-04-29 Safran Superalliage a base de nickel, aube monocristalline et turbomachine
FR3073527B1 (fr) 2017-11-14 2019-11-29 Safran Superalliage a base de nickel, aube monocristalline et turbomachine
FR3084671B1 (fr) * 2018-07-31 2020-10-16 Safran Superalliage a base de nickel pour fabrication d'une piece par mise en forme de poudre
EP3870727A1 (en) 2018-10-26 2021-09-01 Oerlikon Metco (US) Inc. Corrosion and wear resistant nickel based alloys
GB2584905B (en) * 2019-06-21 2022-11-23 Alloyed Ltd A nickel-based alloy
TWI748203B (zh) * 2019-07-03 2021-12-01 中國鋼鐵股份有限公司 耐蝕高鎳合金及其製造方法
FR3101643B1 (fr) * 2019-10-08 2022-05-06 Safran Piece d'aeronef en superalliage comprenant du rhenium et/ou du ruthenium et procede de fabrication associe
CN111254317B (zh) * 2020-01-19 2021-04-09 北京钢研高纳科技股份有限公司 一种镍基铸造合金及其制备方法
CN112877781A (zh) * 2021-01-13 2021-06-01 中国航发北京航空材料研究院 镍基单晶合金、其制备方法、用途和热处理方法
CN115044805B (zh) * 2022-05-30 2023-04-11 北京科技大学 一种多性能平衡的镍基单晶高温合金及制备方法

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5151249A (en) * 1989-12-29 1992-09-29 General Electric Company Nickel-based single crystal superalloy and method of making
US5482789A (en) * 1994-01-03 1996-01-09 General Electric Company Nickel base superalloy and article
FR2780982B1 (fr) * 1998-07-07 2000-09-08 Onera (Off Nat Aerospatiale) Superalliage monocristallin a base de nickel a haut solvus
US20030041930A1 (en) * 2001-08-30 2003-03-06 Deluca Daniel P. Modified advanced high strength single crystal superalloy composition
US6902633B2 (en) * 2003-05-09 2005-06-07 General Electric Company Nickel-base-alloy
EP1930455B1 (en) * 2005-09-27 2013-07-03 National Institute for Materials Science Nickel-base superalloy with excellent unsusceptibility to oxidation
US8852500B2 (en) * 2006-03-20 2014-10-07 National Institute For Materials Science Ni-base superalloy, method for producing the same, and turbine blade or turbine vane components
CN101652487B (zh) * 2006-09-13 2012-02-08 独立行政法人物质.材料研究机构 Ni基单结晶超合金
JP5467306B2 (ja) * 2008-06-26 2014-04-09 独立行政法人物質・材料研究機構 Ni基単結晶超合金とこれを基材とする合金部材
JP5467307B2 (ja) * 2008-06-26 2014-04-09 独立行政法人物質・材料研究機構 Ni基単結晶超合金とそれよりえられた合金部材
US20110076181A1 (en) * 2009-09-30 2011-03-31 General Electric Company Nickel-Based Superalloys and Articles
CN103382536A (zh) * 2012-05-03 2013-11-06 中国科学院金属研究所 一种高强度且组织稳定的第四代单晶高温合金及制备方法
US8858876B2 (en) * 2012-10-31 2014-10-14 General Electric Company Nickel-based superalloy and articles

Also Published As

Publication number Publication date
GB2540964A (en) 2017-02-08
EP3329025A1 (en) 2018-06-06
EP3329025B1 (en) 2019-10-16
JP2018529022A (ja) 2018-10-04
US20180216212A1 (en) 2018-08-02
GB201513582D0 (en) 2015-09-16
CN108138264A (zh) 2018-06-08
WO2017021685A1 (en) 2017-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6796129B2 (ja) ニッケル基合金
US20230220519A1 (en) Nickel-based alloy
JP6788605B2 (ja) ニッケル基合金
US20240084424A1 (en) Nickel-based alloy
JP6796091B2 (ja) ニッケル基合金
US20220349031A1 (en) A nickel-based alloy
JP2022535872A (ja) ニッケル基合金
Sowa et al. Classification and microstructural stability of high generation single crystal nickel-based superalloys
US11761060B2 (en) Nickel-based alloy
JP2021523985A (ja) ニッケル基合金
KR20170058065A (ko) 니켈기 초내열합금 및 이의 제조방법
JP2020537051A (ja) ニッケル基合金
EP3121298B1 (en) Ni-base alloy for structural applications

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190625

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200310

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200908

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6796129

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250