JPH0724606Y2 - エンジンのチヨーク装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、始動の際に燃料の濃度を増して始動を容易と
するためのエンジンのチヨーク装置に係るものである。

（従来技術および解決しようとする課題） 従来、始動に際して燃料の濃度を増して始動を容易とす
るためのエンジンのチヨーク装置は、第６図，第７図に
示すごとく、エンジンの吸気口１に固着する気化器２の
吸入口３を開閉するチヨーク弁５を軸７によつて吸気通
路９と直交する方向に揺動自在に枢着して設け、このチ
ヨーク弁５を揺動操作して吸入口３の面積を適宜絞る
と、エンジンの吸気力によつて吸気通路９の負圧が大き
くなつて吸気通路９に開口する主ノズル口11から噴出す
る燃料が増加して吸気中に含まれる燃料の濃度が増加し
てエンジンが始動し易くなるよう設けられている。この
従来の構成では、クランク軸を回転せしめる始動操作の
他に、チヨーク弁を適宜開度に操作することが必要とな
り、しかもエンジンが始動後チヨーク弁を速やかに復帰
開放する必要があり、操作厄介であつた。

また、チヨーク弁を閉鎖することによつて吸気圧が低下
して、エンジンの起動に大きな力を必要としていた。

このために第８図に示すように、気化器17の吸気口18に
始動ノズル口41を設け始動燃料ポンプ49によつて燃料タ
ンク25の燃料を燃料溜り61に吸引し、この始動燃料ポン
プ49を逆転させて燃料溜り61の燃料を始動ノズル口41に
圧送して、始動に際しては、吸気圧を低下することなく
混合気の濃度を増加せしめて始動を容易とするものがあ
った。

この方法では、始動燃料ポンプ49の正転、逆転の圧力変
動により燃料溜り61以外の燃料も吸い込み吐出して始動
ノズル口41から噴出する燃料が一定とならず、また始動
燃料ポンプ49を駆動する燃料用電動機57の電圧の変動に
よつても、噴出燃料が一定とならず始動が確実とならな
かつた。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 本考案は、始動燃料ポンプと始動ノズル口との間に電磁
弁を設け、始動燃料ポンプと電磁弁との間に燃料通路に
連通する燃料溜りの内部と外気とを仕切る仕切壁を前記
燃料溜り内に侵入する燃料の量に対応して弾機を介在さ
せて移動自在に設けたものである。

（作用） 本考案において、始動燃料ポンプによつて燃料タンクの
燃料を燃料溜りに圧送し、弾機が対抗することにより侵
入した燃料を定量にし、燃料始動ポンプを停止するとと
もに、電磁弁を開いて、燃料溜りに貯溜された定量の燃
料を補助ノズル口から噴出し、同時に始動モーターを回
転させてエンジンの始動を行なうものである。

（実施例） 以下、図面により本考案の１実施例について詳細な説明
を行なう。

第１図〜第３図において、エンジンの吸気口13に、断熱
体15を介してボルト（図示せず）によつて気化器17が固
着されている。吸気口13に連通する吸気通路18に開口す
る主ノズル口19は気化器17の下部に設けた燃料室21に連
通している。燃料室21はダイアフラムポンプ23を介して
燃料タンク25に連通する主燃料通路27が設けられてい
る。ダイアフラムポンプ23の圧力室29にはエンジンのク
ランクケース（図示せず）に連通する連通管31によつ
て、クランクケースの正負圧力に対応して振動するダイ
アフラム33が設けられ、ポンプ室35が仕切られている。
主燃料通路27は逆止弁37,39を介してこのポンプ室35に
連通している。吸気通路18には始動ノズル口41が開口
し、始動燃料通路43を介して燃料タンク25に連通してい
る。始動燃料通路43には、逆止弁45を介して始動燃料ポ
ンプ49が設けられ、バツテリー51を電源とし、押ボタン
式のスイツチ53と制御装置55を介して燃料用電動機57に
よつて駆動されている。始動燃料ポンプ49と始動ノズル
口41との間には電磁弁59を設け、始動燃料ポンプ49と電
磁弁59との間には燃料溜り61の下部が連通し、燃料溜り
61は内部に仕切壁（本実施例ではピストン）62が摺動自
在に設けられ、底部の室は燃料通路に連通し、反対側は
大気に連通し、弾機63によつて仕切壁62は底部方向に付
勢されている。燃料溜り61の底部側の室には、圧力を感
知する圧力センサー65が設けられ、圧力センサー65の作
動に連動して所定の圧力に達したとき始動燃料ポンプ49
を停止するとともに、始動電動機（モーター）67を作動
せしめ、電磁弁59を開放作動せしめるよう制御装置55に
よつて制御されている。始動燃料ポンプ49と電磁弁59と
の間の燃料通路から分岐して燃料タンク25に連通する通
路中に絞り孔69が設けられている。またエンジンのシリ
ンダー（図示せず）に近接して温度を感知する温度セン
サー71が設けられている。

制御装置55はつぎのように構成されている。すなわち、
リレーRL1,RL2,RL3がスイツチ53を介してバツテリー51
に並列に接続し、リレーRL2には圧力センサー65の接点7
3が直列に接続し、リレーRL3には温度センサー71の接点
75が直列に接続している。また電磁弁59のソレノイド77
と始動電動機67,燃料用電動機57がスイツチ53を介して
バツテリー51に並列に接続され、ソレノイド77にはリレ
ーRL2の接点r2,リレーRL3の接点r3が直列に接続され、
始動モーター67には並列に設けた接点r2,接点r3が直列
に接続し、燃料用電動機57には、リレーRL1の接点r1お
よびr2,r3が直列に接続されている。またランプ79,81が
スイツチ53を介してバツテリー51に並列に接続され、ラ
ンプ79には接点r2が、ランプ81には接点r3が直列に接続
されている。

以上の構成において、エンジンを始動するに際しては、
押しボタン式のスイツチ53を押すと、リレーRL1が通電
して接点r1が作動して、燃料用電動機57が回転しはじめ
る。燃料タンク25の燃料は始動燃料ポンプ49により逆止
弁45を介して吸引され、絞り孔69を経て燃料タンク25に
戻るが絞り孔69の抵抗によつて圧力が上昇し、燃料溜り
61内の仕切壁62を押しのけて、燃料溜り61内に侵入す
る。燃料溜り61内に侵入した燃料の量に応じて弾機63が
圧縮されて圧力が上昇し、圧力が所定の圧力に達する
と、圧力センサー65が作動して接点73が閉鎖し、リレー
RL2が通電すると、接点r2が作動して、ランプ79が点燈
するとともに、燃料用電動機57が停止すると同時にソレ
ノイド77に通電して電磁弁59が開いて、燃料溜り61内の
定量の燃料が、エンジンの吸引力および弾機63の押圧力
によつて始動ノズル口41から噴出し、同時に始動電動機
67が回転してエンジンが始動するものである。押しボタ
ン式のスイツチ53をはなすと、始動電動機73が停止し
て、各接点は元に復帰する。

エンジンの再起動あるいは気温の高いときには温度セン
サー71が作動して接点75が接続し、リレーRL3が通電す
ると、ランプ81が点燈するとともに、ソレノイド77と燃
料用電動機57の通電は遮断されて始動ノズル口41から燃
料が噴出しない。同時に始動電動機67が回転してエンジ
ンが始動する。

なお第４図は他の実施例を示すもので前述の絞り孔69に
かえて第２電磁弁83を設けたもので、圧力センサー65が
作動したとき第２電磁弁83が開くよう構成されている。
なお第４図において第１図に示された符号と同一の符号
は同一の構成部分を表わすものである。

第５図は燃料溜り61の他の実施例を示すもので、仕切壁
62にダイアフラムを用いたものである。

なお、本考案においては、始動電動機のかわりにリコイ
ルスターターを用いて手動で始動してもよい。また前述
の実施例では、始動ノズル口41を主ノズル口19と別途に
設けているが、この始動ノズル口41を主ノズル口19と共
通に設けてもよい。

また制御装置55の電気回路のリレー，接点にかえてトラ
ンジスター，サイリスター等の電子機器を用いて同様の
作動を行なわしめてもよい。

〔考案の効果〕

本考案によれば、エンジンの始動操作を容易とし、しか
も背圧をなくして起動に大きな力を必要とせず、吸気圧
を低下せずに混合気の濃度を増加することができ、また
始動用の燃料の量を一定にして始動を確実にすることが
できるものである。

第８図は第２の従来例を示すもので、燃料用ポンプ49を
正逆転させて燃料溜り61に燃料を吸引して始動ノズル口
41から噴出するもので、第１図〜第２図に示す符号と同
一の符号は同一の構成部分を示すものであり、温度セン
サー71によつて所定の温度を感知して燃料通路41内の開
閉弁85を閉鎖せしめる第２制御器89が設けられ、また始
動電動機67用の別途のスイツチ91が設けられている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例の構成を示す燃料系路説明
図、第２図は燃料溜りの１実施例の側断面図、第３図は
電気回路の説明図、第４図は第２の実施例の構成を示す
燃料系路説明図、第５図は燃料溜りの他の実施例の側断
面図、第６図、第７図はそれぞれ従来例の側断面図、正
面図、第８図は第２の従来例の構成を示す燃料系路説明
図である。 17……気化器 18……吸気通路 25……燃料タンク 41……始動ノズル口 49……始動燃料ポンプ 55……制御装置 59……電磁弁 61……燃料溜り 62……仕切壁 63……弾機 65……圧力センサー 67……絞り孔 83……第２電磁弁

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】気化器17の吸気通路18に開口する始動ノズ
   ル口41と、燃料タンク25の燃料を電磁弁59を介して前記
   始動ノズル口41に供給するための始動燃料ポンプ49とを
   設け、前記始動燃料ポンプ49と前記電磁弁59との間の通
   路に連通して燃料溜り61を設け、前記燃料溜り61の内部
   と外気とを仕切る仕切壁62を燃料侵入に対して移動自在
   に設け、弾機63を仕切壁62に付勢力を与えるように設
   け、弾機63は、燃料溜り61内の燃料が所定量になるまで
   燃料の侵入に対して付勢力にて対抗するようにしたこと
   を特徴とするエンジンのチヨーク装置。
2. 【請求項２】前記仕切壁62を内方に付勢する弾機63を設
   け、前記空気溜り61の圧力を感知する圧力センサー65を
   設け、前記圧力センサ65の作動に連動して始動燃料ポン
   プ49を停止せしめると共に、始動電動機67の作動および
   電磁弁59の開閉作動を制御する制御装置55を設けた請求
   項（１）に記載のエンジンのチヨーク装置。
3. 【請求項３】前記始動燃料ポンプ49に連動して所定時間
   経過後前記始動燃料ポンプ49を停止せしめるとともに、
   前記電磁弁59を開放作動する制御装置55を設けた請求項
   （１）に記載のエンジンのチヨーク装置。
4. 【請求項４】前記始動燃料ポンプ49と前記電磁弁59との
   間の燃料通路から分岐して燃料タンク25に連通する通路
   中に絞り孔69を設けた請求項（１），（２）および
   （３）に記載のエンジンのチヨーク装置。
5. 【請求項５】前記始動燃料ポンプ49と前記電磁弁59との
   間の燃料通路から分岐して燃料タンク25に連通する通路
   中に第２電磁弁83を設け、前記第２電磁弁83を前記始動
   燃料ポンプ49の作動開始に連動して閉鎖し、始動電動機
   67の作動停止に連動して開放して設けた請求項（１），
   （２）及び（３）記載のエンジンのチヨーク装置。