JPH0724327Y2 - 搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、板状のプレス材料などの物品を搬送する搬送
装置に係り、特に、搬送ベルト上における物品の搬送を
遅延することができる搬送装置に関する。

〔従来の技術〕

たとえば、プレス材料を搬送ベルトからなる搬送装置に
より搬送し、この搬送ベルト上のプレス材料を工業用ロ
ボットによりプレス機に供給してプレス加工するように
したプレス装置は従来から知られている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、前述したプレス装置において、搬送ベルト上
への材料の供給とプレス機におけるプレス加工とのタイ
ミングが異なる場合には搬送ベルト上を搬送中のプレス
材料をプレス機に早く供給したり遅く供給しなければな
らない場合がある。

本考案は、このような点に鑑み、搬送ベルト上を搬送さ
れているプレス材料などの物品を簡単な構成により確実
に遅らせることができる搬送装置を提供することを目的
とする。

〔課題を解決するための手段〕

前述した目的を達成するため本考案は、搬送ベルトと、
この搬送ベルト上を搬送される後端にほぼ直角をなす立
上り部が形成されている物品のこの立上り部の先端を受
容するように軟質材料により弾性変形可能に形成され前
記搬送ベルトの上方にばね手段により搬送ベルトに圧接
するように配設された搬送ローラと、この搬送ローラの
周速を前記搬送ベルトの走行速度より低速となるように
搬送ローラおよび搬送ベルトを駆動する少なくともひと
つの駆動手段とを有して構成されている。

〔作用〕

前述した構成の本考案によれば、物品を搬送ベルト上に
より搬送すると、この物品が搬送ローラの下方を通過す
る際に、周速が搬送ベルトの走行速度より低速となるよ
うに駆動される搬送ローラが物品に圧接することによ
り、物品は搬送ベルトとの間に滑りを生じるようにして
搬送ローラの周速で搬送されることになり、搬送ベルト
上における物品を遅らせることができる。

また、後端にほぼ直角な立上り部が形成されている物品
を搬送ベルトにより搬送すると、この物品がまず搬送ロ
ーラの下方を通過する際に搬送ベルトとの間に滑りを生
じるようにして遅れ、さらに、搬送ローラに物品後端の
立上り部が対向すると、この立上り部の先端部が、立上
り部の先端を受容するように軟質材料により弾性変形可
能に形成された搬送ローラにこの搬送ローラを弾性変形
せしめるようにして食い込み、物品をその位置において
殆んど停止せしめることになる。このとき搬送ベルトは
等速で走行しているので、物品は、搬送ローラに食い込
んでいる立上り部の先端を中心として回動されることに
なり、立上り部が搬送ベルト上に着地するようにして90
度転回されることになる。そして、物品が90度転回され
ると、物品の立上り部は搬送ローラから外れるので、そ
の後物品は搬送ベルト上を搬送する。したがって、単に
物品を遅らせて搬送するだけではなく、物品を転回する
ことができるので、２方向へのプレスが行なわれる物品
の搬送に有効である。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示す実施例により説明する。

第１図において、水平方向に間隔を隔てた１対の回転軸
1,2が図示しない軸受により回転自在に支持されてお
り、このうち一方の回転軸１には駆動プーリ３が嵌着さ
れ、他方の回転軸２には従動プーリ４が嵌着されてい
る。そして、これらの駆動プーリ３および従動プーリ４
には搬送ベルト５が巻回されており、図示しないモータ
の駆動により駆動プーリ３が回転駆動されて搬送ベルト
５は矢印方向に走行されるようになっている。

前記回転軸１の上方には回転軸６が配設されており、こ
の回転軸６には、この回転軸６と搬送ベルト５の上側と
の鉛直方向距離より長い長さのアーム７が揺動自在に枢
着されている。前記アーム７の先端部には他の回転軸８
が回転自在に枢着されており、この回転軸８には搬送ロ
ーラ９が嵌着されている。この搬送ローラ９は、海綿、
スポンジなどの軟質で弾性変形可能とされしかも比較的
摩擦係数の大きな材料により形成されている。すなわ
ち、搬送ローラ９は、物品の立上り部の先端が圧接する
と、物品の立上り部の先端が食い込み、立上り部の先端
を受容するように弾性変形することになる。前記アーム
７には、図示しない固定部材との間に介装されている引
張りばね10の他端部が支持されており、前記搬送ローラ
９が搬送ベルト５に圧接するようにアーム７を第１図に
おいて時計方向に付勢するようになっている。

前記回転軸1,6には、ほぼ同径の他のプーリ11,12が嵌着
されており、これらのプーリ11,12にはベルト13が巻回
され、回転軸１の回転が回転軸６に伝達されるようにな
っている。また、前記回転軸6,8には歯車14,15が相互に
噛合するように嵌着されており、回転軸６の回転が回転
軸８に逆方向の回転として伝達されるようになってい
る。そして、前記搬送ローラ９の周速が前記搬送ベルト
５の走行速度より低速となるように、搬送ローラ９の外
径、両歯車14,15の歯車比などは設定されている。

つぎに、前述した構成からなる本実施例の作用について
説明する。

まず、平板状のプレス材料のような物品Ａを搬送する場
合、第１図において搬送ベルト５の右端部に図示しない
工業用ロボットなどにより物品Ａを載置すると、搬送ベ
ルト５の走行に伴ない物品Ａは左方向に搬送されるが、
途中、引張りばね10により搬送ベルト５に圧接されてい
る搬送ローラ９と搬送ベルト５との間に物品Ａが噛み込
まれると、この搬送ローラ９の周速は搬送ベルト５の走
行速度より低速で、しかも搬送ローラ９は摩擦係数の大
きな材料により形成されているので、物品Ａは、搬送ベ
ルト５との間で相対速度を生じるようにして搬送ローラ
９の周速により搬送されることになる。したがって、物
品Ａが前記搬送ローラ９と接触している間は物品Ａの搬
送速度は遅くなる。

つぎに、断面Ｌ字状の物品Ａの搬送を単に遅らせるだけ
でなく、90度転回させる場合について説明する。

後端に直角をなす立上り部ａが突設されている物品Ａを
搬送ベルト５上に載置すると、搬送ベルト５の走行に伴
ない物品Ａは左方向に搬送され、途中、第２図Ａに示す
ように、搬送ベルト５と搬送ローラ９との間に噛み込ま
れると、物品Ａは、前述したように、搬送ベルト５との
間で相対速度を生じるようにして搬送ローラ９の周速に
よりそれまでよりも遅い速度で搬送される。

その後、物品Ａの立上り部ａが搬送ローラ９に当接する
と、搬送ローラ９は軟質材料により形成されているの
で、物品Ａの立上り部ａがこの搬送ローラ９に食い込む
ようにして搬送ローラ９は弾性変形される（第２図
Ｂ）。このとき搬送ローラ９は引張りばね10のばね力に
抗して次第に浮上することになる。この状態において
は、搬送ベルト５が走行するとともに搬送ローラ９も回
転しているので、物品Ａの立上り部ａが食い込んでいる
搬送ローラ９の部位は次第に時計方向にずれてくるが、
前述したように、搬送ローラ９の周速は搬送ベルト５の
走行速度より低速なので、搬送ローラ９に対する物品Ａ
の立上り部ａの食い込み部位が、回転軸８の直下を越え
ると、第２図Ｃに示すように、搬送ベルト５に当接して
いる立上り部ａの基部が搬送ローラ９に食い込んでいる
立上り部ａの先端部より先行するようにして物品Ａの先
端部が搬送ベルト５から離間している。このようにして
物品Ａは次第に時計方向に回動して、第２図Ｄに示す状
態を介して、最終的に90度転回して、第２図Ｅに示すよ
うに物品Ａの立上り部ａは搬送ローラ９から離間されて
搬送ベルト５上を搬送される。なお、物品Ａの立上り部
ａが離間されると、搬送ローラ９はその弾性により立上
り部ａが食い込んでいた部位が膨出して円筒形に復す
る。

このように、後端に立上り部ａの形成された物品Ａは、
単に搬送を遅らされるばかりでなく、90度転回されるこ
とになる。

前述したように、本実施例によれば、搬送ベルト５なら
びにこの搬送ベルト５と連動する搬送ローラ９とにより
物品Ａを確実に遅らせることができるし、また、後端に
立上り部ａの形成された物品Ａについては転回すること
もできる。

なお、本考案は、前述した実施例に限定されるものでは
なく、必要に応じて種々の変更が可能である。たとえ
ば、搬送ローラを搬送ベルトと異なる駆動手段により回
転駆動するようにしてもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、搬送ベルト上を
搬送中の物品を簡単な構成により確実に遅らせることが
できるし、また、後端に立上り部の形成された物品を転
回することもできるという実用的な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る搬送装置の実施例を示す正面図、
第２図Ａ〜Ｅは第１図の実施例の作用を示す説明図であ
る。 ３……駆動プーリ、４……従動プーリ、５……搬送ベル
ト、７……アーム、９……搬送ローラ、10……引張りば
ね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】搬送ベルトと、この搬送ベルト上を搬送さ
   れる後端にほぼ直角をなす立上り部が形成されている物
   品のこの立上り部の先端を受容するように軟質材料によ
   り弾性変形可能に形成され前記搬送ベルトの上方にばね
   手段により搬送ベルトに圧接するように配設された搬送
   ローラと、この搬送ローラの周速を前記搬送ベルトの走
   行速度より低速となるように搬送ローラおよび搬送ベル
   トを駆動する少なくともひとつの駆動手段とを有してな
   る搬送装置。