JPH0723569B2 - 紡績糸様スラブヤーンの製造方法 - Google Patents

紡績糸様スラブヤーンの製造方法

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JPH0723569B2
JPH0723569B2 JP61067125A JP6712586A JPH0723569B2 JP H0723569 B2 JPH0723569 B2 JP H0723569B2 JP 61067125 A JP61067125 A JP 61067125A JP 6712586 A JP6712586 A JP 6712586A JP H0723569 B2 JPH0723569 B2 JP H0723569B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、紡績糸様スラブヤーン(以下、単にスラブヤ
ーンと称することがある)の製造方法に関する。
(従来技術) 従来、紡績糸様織物素材として一重巻きのグランド部
と、三重巻きスラブ部とを有する仮撚2層構造糸(特公
昭50−35147号)が用いられてきたが、以下のような欠
点が残されていた。すなわち、麻様織物を作るため、残
留撚数を上げて糸を締めて硬くすることによりシャリ味
とサラットした麻の効果を得ようとすると、第2図に示
すようにグランド部A′の残留撚が、スラブ部B′の残
留撚より甘く(A′<B′の撚数の関係になる)、スラ
ブ部B′が撚で締まり、硬くなる。
その結果、織物には第8図のようなスキマ(糸と糸との
並びにおいて、糸相互の空間に異常な広さができて、ス
キマとなる状態)が生じて、地割れ状に見えるため消費
者に嫌われてきた。これに対して、スラブ部の締まりを
弛めスキマの出ないような工夫をすると、スラブ部の第
3層目の糸りスリップが起こり、製織工程中の張力に耐
えられずに毛玉となり、さらには織物製品となってから
ピリングの低下や、また、プリント時の欠点として、そ
の部分に色が載らない等の欠点があり、消費者に満足さ
れるものではなかった。特に前者のスキマの欠点は、ロ
ングスラブと呼ばれる長いスラブ織物に目立ち、スラブ
部が長ければ長い程、広い空間が連続するため、織物の
表面欠点として人間の視覚にとらえられてしまうからで
ある。
(目的) 本発明の目的は上述の従来法の問題点や欠点を解消し、
スキマの出ない紡績糸様織物を与える、スラブヤーンの
製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ドレープ性と腰、反撥性に富み、
しかも潰された光沢のある紡績糸様織物を与えるスラブ
ヤーンの製造方法を提供することにある。
(構成) 本発明者等は上記の目的を達成せんとして鋭意研究した
結果、原糸の選択、更には仮撚加工条件を工夫すること
によりグランド部よりスラブ部の撚数を少なくし、しか
もスラブ部には撚の反転がありスラブのふくらみと柔ら
かさを与えるスラブヤーンが得られること、更にこのヤ
ーンは織物にしたとき、スキマが出ず、しかもドレープ
性とハリ腰のきいた紡績糸様織物を与えることが判明し
た。
かくして、本発明によれば、仮撚捲縮加工工程において
仮撚旋回中のポリエステルヤーンの芯糸に、その表面に
クルノードループを有しない、ポリエステルヤーンから
なるインターレースヤーンを巻付糸として40〜120%の
オーバフィード下に供給巻付かせてスラブを有する仮撚
2層構造糸を得るに当り、芯糸への捲付糸の巻き付き動
作の支点から芯糸への直線距離Hを、得ようとするスラ
ブ部の平均長さ(cm)の1.5〜2.2倍に維持し、且つ仮撚
セット温度T1と解撚後のセット温度T2との間に、T1≦T2
の関係を維持しつつ、140〜220℃の解撚後のセット温度
T2で加工することを特徴とする以下の構造を有する紡績
糸様スラブヤーンの製造方法が提供される。
紡績糸様スラブヤーンの構造: 巻付糸が芯糸の周りに実撚で、一重に巻付いたグランド
部及び三重以上に巻付いたスラブ部を有する仮撚二層構
造糸であって、該巻付糸は該グランド部では相対的に締
まった状態で一重巻付構造を、他方該スラブ部では撚の
反転部を有しつつ相対的に弛緩状態で巻付いており、且
つスラブ部の最大径がグランド部の最小径の3〜5.5倍
であるような紡績糸様スラブヤーン。
以下、添付図面により本発明を詳述する。
第1図は本発明の方法にしたがって、仮撚方向Zで仮撚
加工して得た紡績糸様スラブヤーンの側面図で、Aはポ
リエステルヤーンの芯糸(以下、単に“芯糸”という)
1の周りにポリエステルヤーンからなるインターレース
ヤーン(以下、単に“インターレースヤーン”という)
からなる巻付糸2がS方向の実撚で一重に緊締状態で巻
き付いてなるグランド部、Bは該巻付糸2が以下詳述す
るように三重に弛く巻き付いてなるスラブ部である。こ
のスラブヤーンの一大特徴とするところはグランド部A
の撚数がスラブ部のそれに比べて高いこと、そしてスラ
ブ部B自体これまでにない特殊な表面構造が形成されて
いることである。
すなわち、グランド部には非常に高い撚数が残留し[α
=0.4〜0.6(但し 、他方スラブ部ではα<0.4と低い撚数のものが可能
にある。しかも、第1図の第3層目(最外層)の巻付糸
は交互撚糸状の巻付構造すなわち鮮明なZ方向(未解撚
方向)の巻付に続き反転部R、この反転部に隣接した、
甘いS方向の巻付構造をとっている。また、図中、rは
第2層目のフィラメントが反転してはみ出している部分
であり、スラブ部全体に凹凸が頻繁に存在し、糸相互の
スリップに強く、フィラメントはカール状毛羽玉にはな
らず、また締まり過ぎた硬いスラブにもならない。
このような構造は巻付糸として、その表面にクルノード
ループを有しないインターレースヤーンを用い、且つ、
以下に述べる仮撚加工方法を採用することにより得られ
る。
第7図はスラブヤーンの製造工程の略線図であり、フィ
ラメント糸1を芯糸として仮撚すると同時にフィラメン
ト糸2にローラ5と4の間に設けた空気流ノズル3によ
りインターレース処理して、第3図(b)のように各単
糸がねじれの方向を異にしてクロスする交絡点ロの部分
と、ほとんどの各単糸が平行でふくらんだ部分イとから
成る、所謂インターレースヤーンを得、芯糸1の加撚域
中のQ点に芯糸1の供給量の40〜120%の範囲内のオー
バーフィード下に供給する。供給量が40%未満では、該
インターレースヤーンが芯糸1の周りに三重以上に巻付
き難く、所望の(すなわち、スラブ部の最大径がグラン
ド部の最小径の3〜5.5倍になるような)スラブの形状
は望めない。他方、該オーバーフィード量が120%を越
えると巻付糸が芯糸1の周りにスムースに巻付かず、単
にダンゴ状に搦みつくだけで、加工断糸が多発するよう
になる。
このとき、インターレースヤーンの供給支点と前記Q点
とを結ぶ直線距離Hを、得ようとするスラブの長さの1.
5〜2.2倍の距離とすることが重要であり、これによりス
ラブの形状がバランスする。仮撚スピナ12による芯糸の
旋回トルクにより巻付糸であるインターレースヤーンは
芯糸に巻きこまれ撚糸されながらスラブを形成して、ス
ラブヤーンとしてヒーター9で熱固定され、更に非接触
式のヒーター10にて残留実撚のトルクを押さえると同時
に必要以上の捲縮力を押さえるため熱セットされてから
チーズ11として巻取られる。
一般に紡績スラブの長さは3〜15cmであり、このパター
ンによりナチュラル感が得られている。そこでこれらの
スラブ長を得るためには前記距離Hを、得ようとするス
ラブ長の1.5〜2.2倍に維持することが必要である。この
距離Hが得よとするスラブ長の1.5倍未満では、スラブ
長が3cmより短くなり、また2.2倍を越えるとスラブ長が
15cmを上回って、いずれにしても弛緩構造を呈するスラ
ブは勿論ナチュラル感のあるスラブヤーンが得られな
い。
図ではローラ5とローラ4の間にインターレース域を設
けて巻付糸2に15〜150のインターレース度を付与する
例を示したが、その他、別工程で得たインターレースヤ
ーンをローラ5により供給してもよい。要は巻付糸に15
〜150のインターレース度が付与されていることが重要
である。
更に、意図する風合と加工条件との関係について述べ
る。紡績糸の中においても、麻様とか、絹紡様とかは撚
効果はもちろん、ドレープのある風合が大切であり、例
えば麻様に仕上げようとすると、仮撚の設定撚係数を77
〜100%の高い領域に設定するのが好ましい。これは複
合糸の残留撚数は仮撚の設定撚数に比例するからであ
る。但し、仮撚の10%撚係数を とする(D1は芯糸のデニール、D2は巻付糸のデニー
ル)。
この場合、高い撚係数域を選び麻様を狙うと、複合糸の
残留撚数(グランド部の)も多くなり、旋回トルク(一
般にビリと呼ぶ)が発生して製織工程でのトラブルを起
こすので、仮撚セット温度よりも高い温度の第2ヒータ
ー10でヒートセットしてトルクを低下させる。このセッ
トは、同時に、必要以上の捲縮力を押さえて、ドレープ
性を出すことにも寄与する。このように、第2ヒーター
で適度の張力を与えビリ止めを行うと同時に複合糸のも
っている収縮力を押さえることにより、風合を麻様とす
ることが可能である。実際の温度は、糸の太さにもよる
が140〜220℃の範囲から選択するのが適当であり、且つ
第1ヒーター温度≦第2ヒーター温度の関係を維持す
る。ここで、第1ヒーター温度が140℃未満では仮撚の
セットが十分でなく、したがて安定な撚糸巻付構造が得
られない。他方220℃を越えると糸が軟化しはじめて粘
着が生じ、風合が硬化するばかりでなく染斑も発生し実
用に供し得るスラブヤーンが得られない。
次に、紡績糸の中でも絹紡糸様とする場合には、仮撚の
設定撚係数を50〜70%とする。この理由は撚による硬さ
を取り除きソフト感を与えるためである。ソフト感が加
味されると、仮撚捲縮糸固有のふか付きが出るため、や
はり第2ヒーター10によりセットし捲縮力を弱め押さえ
る必要がある。この場合も第1ヒーター温度≦第2ヒー
ター温度の関係を保ちつつ、実際の温度は140〜220℃内
から選択すればよい。
次に、上述の本発明の方法の作用・効果について述べ
る。
第7図の工程で、巻付糸に予めインターレースを施す
と、フィラメントが相互に交絡してなる、曲げ剛性の強
い部分と、逆にフィラメントが相互に互いに開いてな
る、曲げ剛性の弱い部分とが形成される。このため、イ
ンターレース糸が芯糸に巻き付く撚の角度は微妙に異な
り、この状態で熱固定される。そして、解撚ゾーンでは
仮撚方向と逆方向のねじれを受けて撚角度の甘いスラブ
部分が生じる。この撚の反転によりフィラメントが開き
空間が増大し柔らかくなると同時に見掛け太さは太くな
り、織物では、このスラブが立体的に浮いて見え、スキ
マが生じない効果を奏する。
第4図(従来例)および第5図(本発明;後掲の実施例
1による)は、共に太さが同じ糸条(芯糸:100d−24fi
l、鞘糸:75d−36fil)で、図の倍率も同じである。両者
を比較すると見掛けの太さで本発明のヤーンの方が従来
の2.5倍ぐらいになっており、それだけフィラメント相
互が開いてねじれの方向の逆のねじれが生じて、スラブ
自体をソフトにする要因となっている。
更にまた、この巻き付き運動で撚角度の微妙な差はスラ
ブ形成時に第2層目の糸にも影響を及ぼし、第1図rで
示すように、第2層目の糸は第3層目の糸の間からハミ
出し、フィラメントのふくらみ状態に変化を与えてい
る。また、第6図(本発明;後掲の実施例2よる)のよ
うに反転部で弛んだものが更にループを描く場合もあ
り、スラブをより太くソフトにする効果に寄与してい
る。これらのスラブのもつ特徴はいずれも紡績糸スラブ
のもつ特性に近づける効果があり、織物としての表面効
果や風合に欠くことのできないものである。
なお、本発明に類似した技術として巻付糸として第13図
に示すようなタスラン糸、すなわちその表面に多数のク
ルノードループ13を有する紡瀬糸様嵩高糸を用いること
が知られているが(実開昭57−200576号公報)、このよ
うなタスラン糸と、フラットヤーンである非嵩高緊密イ
ンターレースヤーンとはその作用を全く異にする。
インターレースヤーンは、ループ特にクルノードループ
13のないフィラメント糸であって、フィラメントの相互
がクロスして絡んでいる集束部分と、開織部分とが交互
に存在する糸条[第3図(b)]であり、クルノードル
ープによって特徴づけられるタスラン糸とは明確に区別
される。スラブの中に撚方向が変わる変換点を得るに
は、構成フィラメントが相互に交叉する部分と開織した
部分が交互に存在する糸条を巻付糸として用いることが
必要である。タスラン糸にあっては、クルノードループ
が存在するためにグランド部分が均整にならず、スラブ
部分の撚にも乱れが大きくなる。しかもグランド部もス
ラブ部も仮撚工程での摩擦抵抗が大きく、糸の解撚が進
み芯糸と鞘糸との締まりがゆるくなり、スリップが起こ
りやすい複合糸となる。従って、スラブ、グランド、両
部分共に残留撚数が少なくなり、その結果、製織工程で
トラブルが起こりやすく、製品の品質は安定しない。
今、求めようとするスラブヤーンはグランド部が一方向
の撚できれいに締まり、スラブ部内では撚の方向が変わ
る部分をもって弛んだ点と締まった点とが交互に配され
たスラブからなるもので、全体として柔らかく且つ“グ
ランド部の撚数>スラブ部の撚数”の関係に保たれてい
る。これは糸としての曲げ剛性の強弱を交互に配された
インターレース糸を巻付けることにより、芯糸への巻き
付きの角度と密着度に変化を与えること、言い換える
と、糸の最小曲率半径に大小の差を起こさせることによ
ってはじめて得られる。
以上のことは、通常の紡績糸を観察しても分かるが、絹
紡工程で撚を付与する時に短繊維がドラフトされた細か
い部分には高い撚が入り、短繊維が幾本数も重なってス
ラブ部となる太い部分には撚は入らず、撚数は細かい部
分より少ない。これは1本の糸に撚を付与する場合、撚
のねじれ剛性の弱い部分に撚数が集中し、ねじれ剛性の
強い太い部分では撚数が少なくなるからである。このよ
うな撚分布の変化状態からみても、本発明のスラブヤー
ンは紡績糸に酷似した構造をとっていることが窺える。
ところで、特開昭58−144139号公報には、スラブヤーン
の製造において、巻付糸としてインターレースヤーンを
用いて該糸の集束性を利用してロングスラブを得ること
が開示されている。しかし、ここには本発明で採用する
ような製造条件については何等記載されていない。事
実、スラブの第3層目の撚方向は第2図に示されるよう
に一方向(Z)であって、従来の締まったスラブの範ち
ゅうに属するものである。
他方、通常の原糸撚のみを有するフラットヤーンを巻付
糸として用いた場合には、第3図aに示すように、構成
フィラメントが殆んど平行に並んでいる状態であり、且
つこのままで巻き付けられるので、第4図に示すように
グランド部もスラブ部もフィラメントの1本1本が整然
と並んで巻かれたものしか得られない。ここで、第4図
は第2図のスラブ部の拡大図であり、スラブ部が非常に
硬くなっているため、後述するように織物のスキマの原
因になる。一方、スラブを柔らかくし、スキマを解消し
ようとすると、スラブ部の第3層目の糸がスリップし、
シゴかれて堆積し、グランド部分の直径の10倍以上もあ
る毛羽玉となって、製織工程に支障をきたすのみでな
く、織物にした後も、染色の色が載らなかったり、ピリ
ングが起こったり、更には織物相互間でくっ付き、ファ
スナー現象が起きる等の欠点がある。
本発明の方法によって得られるスラブヤーンのスラブ最
大径はグランド部の最小径の3〜5.5倍内にある。
この比が5.5倍を越す太さになるとピリング、毛羽玉の
ファスナー現象の欠点につながり、他方、3倍未満では
スラブの柔らかさに欠ける。そのためには効果糸となる
巻付糸のインターレース度を15〜150の範囲とする。イ
ンターレース度が高くなると、スラブ部の撚の反転数が
増加し第3層目の鞘糸が第2層目から分離してしまうの
で、高々150以内とする。またインターレース度が少な
いと、インターレースの効果が得られず、従来のものと
差異がなくなる。
なお、インターレース度は次の定義に従う。
インターレース50というのは、構成フィラメントが交叉
(クロス)して絡んでいる部分が1m間に50個所ある糸条
をいう。交叉点の数の数え方は、30cm×30c×5cmのバス
に水を満たし、底に黒板25cm×25cmを沈める。そして、
水の表面にインターレースヤーンを浮かべ、糸の表面張
力で絡み点と開繊部が良く識別できるようにして、25cm
間の絡み点の数を数える。この平均値を4倍して、1m当
りに換算してインターレース度とする。
本発明の方法に従って得られるスラブヤーンの効果は以
下のとおりである。
(i)絞られたグランド部と極めてふくらみのあるスラ
ブ部がランダムに配置されているので、ナチュラルなス
ラブヤーンとなる。また、芯糸となるフィラメント原糸
に単糸de3〜5dのものを使用し、且つ巻付糸にインター
レース度30〜50を付与した単糸De1〜2dのスーパーブラ
イト糸を使用すると、シャリ味と腰きいた、麻に似た風
合、光沢、外観を呈するヤーンとなる。
(ii)芯糸に単糸De2〜4d、巻付糸に単糸Deが1〜2dで
インターレース度20〜40のフィラメントヤーンを使用す
ると、紡績糸の中でも、絹紡調のソフトでしなやかな、
スキマのない目の詰まった織物を与えるヤーンとなる。
(iii)芯糸、巻付糸の双方にスーパーブライト糸を使
用することにより光沢感と凹凸感と柔らかさ、更には麻
様、絹紡様の風合を呈するヤーンとなる。
(iv)異形断面糸や多孔質性光沢糸、更には、アセテー
トヤーン等をインターレースして巻付糸として使用する
ことにより、各繊維のもつ特性を活かして、優性複合に
よるスラブヤーンの展開が図られる。
さらに、本発明の方法によって得られたスラブヤーンは
織物のスキマ現象を防止する。このスキマの原因につい
て述べると、第10図は、織物の径糸開口量K、筬と織口
との距離をL、筬によって打ち込まれる緯糸の直径をD
としたとき、経糸のクロス点はlとなる関係を図示した
ものである。また、第11図は緯糸の太さ、硬さが同じ場
合には、lはどの位置においても同じであり、“スキ
マ”となる部分が生じないことを示す。これに対して、
グランド部より太くて硬いスラブが緯糸として筬によっ
て打ち込まれると“スキマ”が出来、この様子を図示し
たのが、第12図(a)である。この場合、スラブが硬く
て太いため、経糸張力によってもスラブが潰れないの
で、経糸のクロス点の位置はl2となって距離が大きく開
く。また、スラブが長くなればなる程、スラブとスラブ
が続けて打ち込まれる確率は増大し“スキマ”は益々増
大される。図中の点線丸印がその位置を示す。この場
合、第12図(b)に示すように、l=d×L/(k+d)
[但しk=K/2、d=D/2]として、lの距離を求めるこ
とができる。すなわちこの式よりスラブの直径が2倍に
なるとlは1.98倍、約2倍になる。従って0.5mm間隔で
糸が並んでいるところに突然1mmに近い間隔が生じる
と、当然ながら糸と糸とのスキマが視覚的にキャッチさ
れ、織物の品位を落とす結果となる。
以上のことは、緯糸についての現象であるが、同様のこ
とは経糸についても言え、平織組織の場合には特にそう
である。本発明によるスラブヤーンはこのスキマを解消
するものであって、スラブは太く見えてより多くの空間
を占拠するためと、柔らかく巻き付いているため、経糸
の張力によって潰されてスキマがなくなる結果となる。
更に、織物の仕上加工工程において、減量加工を施すこ
とにより、ドレープ性、ソフトさ、しなやかさの風合効
果が強調される。天然繊維様の紡績糸様風合とするに
は、減量の程度は10〜20%が適当であり、これ以外の範
囲では風合的に欠点が生じ易い。また織物の視覚特性向
上のためには、スラブのみならず織物全体を潰しよりス
キマ感を減少させればよい。これを一般にカレンダー加
工呼び、加圧された状態で130〜170℃で加熱して加工速
度10m/min前後で織物を潰す。この温度が高い程織物は
よく潰れ光沢が増すが、本発明によるスラブヤーンを使
用する場合には上記の温度範囲が適当である。つまり、
潰れやすくて織物中で潰れたスラブを更に織物全体をカ
レンダー加工により潰して光沢を増大させ、且つ併せて
減量加工を行うことにより、織物にトータル風合を実現
できる。
第8図は、このようにして得られた織物の平面図であ
り、スラブがよく潰れ、スキマとなる空間が糸によって
うめられ、正に紡績糸様織物となっている様子がわか
る。このことは第7図との比較においても、言える。
(実施例、参考例) 実施例1 芯糸にポリエステルフィラメントブライト糸100d−24fi
l、巻付糸にインターレース度50のポリエステルフィラ
メントヤーン(三角断面スーパーブライト)75d−36fil
を用いて、第7図の仮撚工程に供給した(巻付糸はロー
ラ5から直接供給した)。その際、得ようとするスラブ
長は平均で10cm、供給支点から芯糸までの直線距離Hを
20cm(対スラブ長さ比は2.0)、仮撚数2030T/M、巻付糸
の供給オーバーフィード量81%、第1ヒーター温度175
℃、第2ヒーター温度185℃にて仮撚加工した。得られ
たスラブヤーンにはグランド部で1120T/M(α=0.40
3)、スラブ部(第5図)で807T/M(α=0.328)の撚
が残留し、スラブ部の対グランド部太は比は4.1倍、10c
mのスラブ長の中に撚の反転点が21個あり、スラブ自体
充分に柔らかであった。このスラブヤーンの織物を精練
リラックス処理後、アルカリ減量加工(減量率:15
%)、潰し加工(150℃、10分)を行った。得られた織
物は適度なドレーブ性と、ハリ腰を具備し、スラブのよ
く潰れた、光沢のあるリネン調風合を呈した。
実施例2 芯糸、巻付糸共にポリエステルフィラメントスーパーブ
ライト糸75d−36filを使用し、第7図の仮撚工程に供給
した。インターレース処理条件はノズル空気圧力1.0kg/
cm2、オーバーフィード率0.4%とした。
また、仮撚数は1690T/M、巻付糸のオーバーフィード量
は65%、第1ヒーター温度は150℃、第2ヒーター温度
は170℃、得ようとするスラブ長は平均で10cm、巻付糸
の供給支点から芯糸までの直線距離Hは15cm(対スラブ
長さ比は1.5)とした。得られたスラブヤーン通の残留
撚数はグランド部でα=0.288、スラブ部(第6図)
でα=0.225であった。スラブ部はグランド部より甘
く(スラブ部の対グランド部太さ比は3.9)、且つふく
らみがあり、撚の反転箇所が10cmのスラブ部に19個あ
り、スラブの浮き出し効果の顕著な絹紡調のスラブヤー
ンであった。このスラブヤーンの織物を、仕上加工で減
量率15%でアルカリ減量加工してから潰し加工(170
℃、10分)を行ったところ、スキマのない目のこんだ光
沢のある絹紡調の織物風合が得られた。
参考例 実施例1において、巻付糸として、原糸撚が12回/mのポ
リエステルフィラメントヤーン(三角断面スーパーブラ
イト)を用いる以外は同様の仮撚捲縮加工を行った。得
られたスラブヤーンの側面は第4図に示すとおりで、ス
ラブ部においては上記巻付糸が緊締状態で巻付いてお
り、第5図および第6図に示される弛緩状態のスラブ
(本発明)とは明らかに別異のものであった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法によって得られた紡績糸様スラブ
ヤーンの側面図、第2図は従来のスラブヤーンの側面を
示す光学顕微鏡写真図(40倍)、第3図は無撚のフラッ
トヤーン(a)およびインターレース糸(b)の側面
図、第4図は従来のスラブヤーンにおけるスラブ部の側
面を示す光学顕微鏡写真図(40倍)、第5図および第6
図は、本発明の方法によって得られたスラブヤーン中の
スラブ部の側面図、第7図は本発明による、紡瀬糸様ス
ラブヤーンの製造工程を示す略線図、第8図は従来のス
ラブヤーンからなる織物の平面図、第9図は本発明の方
法によって得られたスラブヤーンからなる織物の平面
図、第10図は織成時の筬の位置と緯糸の位置、経糸の開
口量、筬と帛の緯糸の位置関係を示す模式図、第11図は
第10図の工程で同じ太さ、硬さの糸が打込まれたときの
糸相互の間隔を示す模式図、第12図は第10図の工程で太
さ、硬さの異なる糸が打込まれたときの糸相互の間隔を
示す模式図、第13図はクルノードループ13の存在によっ
て特徴づけられるタスランの糸の側面図である。 第1図において、A……グランド部、B……スラブ部、
R……撚の反転部。 第2図において、A′……グランド部、B′……スラブ
部。 第3図において、イ……非交絡部、ロ……交絡部。 第7図において、1……芯糸、2……インターレース糸
からなる巻付糸、3……インターレースノズル、H……
巻付糸の供給支点から芯糸までの直線距離。 第10図〜第12図において、K……経糸の開口量、L……
筬から緯糸の布帛形成位置までの距離、l……経糸が次
に打たれる緯糸を受け入れるためにクロスする位置と打
たれた緯糸の中心までの距離、D……打込まれた緯糸の
直径である 第13図において、13……クルノードループ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安達 与之 石川県羽咋郡志雄町散田53 (56)参考文献 特開 昭58−144139(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】仮撚捲縮加工工程において、仮撚旋回中の
    ポリエステルヤーンの芯糸に、その表面にクルノードル
    ープを有しない、ポリエステルヤーンからなるインター
    レースヤーンを巻付糸として40〜120%のオーバフィー
    ド下に供給巻付かせてスラブを有する仮撚2層構造糸を
    得るに当り、芯糸への捲付糸の巻き付き動作の支点から
    芯糸への直線距離Hを、得ようとするスラブ部の平均長
    さ(cm)の1.5〜2.2倍に維持し、且つ仮撚セット温度T1
    と解撚後のセット温度T2との間に、T1≦T2の関係を維持
    しつつ、140〜220℃の解撚後のセット温度T2で加工する
    ことを特徴とする以下の構造を有する紡績糸様スラブヤ
    ーンの製造方法。 紡績糸様スラブヤーンの構造: 巻付糸が芯糸の周りに実撚で、一重に巻付いたグランド
    部及び三重以上に巻付いたスラブ部を有する仮撚二層構
    造糸であって、該巻付糸は該グランド部では相対的に締
    まった状態で一重巻付構造を、他方該スラブ部では撚の
    反転部を有しつつ相対的に弛緩状態で巻付いており、且
    つスラブ部の最大径がグランド部の最小径の3〜5.5倍
    であるような紡績糸様スラブヤーン。
  2. 【請求項2】巻付糸がインターレース度15〜150のポリ
    エステルマルチフィラメント糸である特許請求の範囲第
    (1)項記載の紡績糸様スラブヤーンの製造方法。
  3. 【請求項3】ポリエステルマルチフィラメント糸が、2
    種以上の異種フィラメント糸からなる特許請求の範囲第
    (2)項記載の紡績糸様スラブヤーンの製造方法。
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