JPH07235429A - インダクタ素子 - Google Patents

インダクタ素子

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JPH07235429A
JPH07235429A JP6028343A JP2834394A JPH07235429A JP H07235429 A JPH07235429 A JP H07235429A JP 6028343 A JP6028343 A JP 6028343A JP 2834394 A JP2834394 A JP 2834394A JP H07235429 A JPH07235429 A JP H07235429A
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JP
Japan
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foil
core
magnetic field
magnetic
inductor element
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JP6028343A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Tsuge
植 弘 志 柘
Toshio Mukai
井 俊 夫 向
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スイッチング電源用のインダクタ素子におい
て、重畳直流磁界が零近傍では非常に高いインダクタン
スを示し、通常使用時の直流磁界においては磁界の広範
囲に渡って一定のインダクタンスを示すインダクタ素子
を提供する。 【構成】 ゴス方位を持つ方向性のFe−Si合金箔を
環状に巻いてトロイダル磁心となし、それに巻き線を施
したインダクタ素子。 【効果】 従来、性質の異なるソフトフェライトとダス
トコアの2個のコアを重ねて対応してきたインダクタ素
子が一個のFe−Si合金箔の巻きコアで対応できる。
このコアの使用により、同じ巻き数でダストコアの2倍
のインダクタンスを示すインダクタ素子が提供可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スイッチング電源、無
停電電源など高周波で用いる電気機器のインダクタ素子
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電源のインダクタ素子としては、
ソフトフェライトのEIコア又は金属粉末を樹脂で固め
て成形したダストコアが主に用いられてきた。前者のソ
フトフェライトの場合は、EコアとIコアのギャップを
調整することにより直流重畳時のインダクタンス値を所
望の値に設定することができる。また、後者のダストコ
アの場合は、ほとんどがトロイダルコアの形状が用いら
れ、粉末粒子の持つ反磁界で一義的に直流重畳時のイン
ダクタンスが決まっている。
【0003】インダクタ素子は、磁心材料とそれに巻か
わる銅線で構成される。銅線に電流を流す時に生じるイ
ンダクタンスは、磁心材料の透磁率に比例する量であ
り、透磁率が大きいほど巻き線を減らすことができるの
で良い材料である。スイッチング電源の電流の平滑化な
どを目的とするチョークコイルとインダクタ素子を用い
る場合は、素子に入ってくる電流は直流の上に高周波の
交流が乗かったものになっている。
【0004】このような場合には、磁心材料としては、
高周波における透磁率が広い範囲の重畳直流磁界に対し
て一定であること、すなわち直流重畳特性が良いこと、
が要求される。ダストコアの透磁率すなわち、真空に対
する比透磁率、は、重畳直流磁界が零の時、100前後
の値を示すが、重畳直流磁界が大きくなるに従いその値
は小さくなり、通常重要である1〜3kA/mの磁界で
は約2/3程度まで小さくなる、という問題があった。
【0005】スイッチング電源では、出力の負荷電流が
減少すると、二次側のインダクタ素子を流れる電流が臨
界値を下回り、電流が不連続な状態となる。このような
状態になると、スイッチング電源の定電圧動作が維持で
きなくなり、異常な発振動作を生じてしまう。これを防
ぐためには、低負荷電流におけるインダクタンスを大き
くしなければならない。すなわち、低負荷電流でのみ大
きなインダクタンスを示し、定格電流近辺では一定のイ
ンダクタンスを示すインダクタ素子が必要である。
【0006】このような特性を示すインダクタ素子は、
スインギングチョークコイルとして知られており、トロ
イダル状のコアの一部に切り欠きを入れるか、もしくは
特性の異なる2種の磁心、例えばソフトフェライトコア
とダストコア、を重ね合せて一つのコアとなすかして対
応してきたのが現状である。また、この問題を解決する
に別の方法として、特願平5−052614号において
は通常のEIコアのギャップ部にインダクタンス制御用
の偏平コアを挿入する方法が提案されている。
【0007】しかしながら、以上のどの方法も、定格電
流近傍でのインダクタンスを犠牲にするか、もしくは部
品点数が多くなりコスト高になるという問題がある。F
e−Si合金箔を用いたインダクタ素子は、カットコア
として間にギャップを設けて使用されており、ギャップ
無しのトロイダル形状ではほとんど用いられていない。
これはギャップ無しでは前述の直流重畳特性が確保でき
なかったからである。
【0008】ゴス方位、すなわち圧延面が(110)、
圧延方向が[001]、を持った一方向性電磁鋼鈑を圧
延して適切な温度で再結晶させると、再度ゴス方位を持
った微細結晶粒からなるFe−Si合金箔が得られるこ
とがわかっている(米国特許2473156(194
9)、K.Arai and K.Ishiyama, J.Appl.Phys. 64, 5352
(1988)。従来、この方向性のFe−Si合金箔はトラン
スの磁心材料として検討されてきており、インダクタ素
子として検討されたことはない。したがって、直流重畳
特性について言及した報告はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】電源のインダクタ素子
用の磁心としては、高周波の透磁率が、重畳直流磁界が
零近傍では極めて高く、それ以外では広い磁界範囲で一
定の値をとる磁心が理想的である。従来、この種の素子
は、センダスト合金(Fe−Si−Al)粉末などのダ
ストコアとソフトフェライトの複合素子で作られてきた
が、価格が高くなるという欠点があった。また、高磁界
での透磁率はダストコアの値に等しくなるので、その値
が低すぎるという問題もあった。さらに、低磁場での特
性を必要としない通常の平滑チョークコイルにおいて
も、従来使用されているダストコアの透磁率では不足す
る場合も生じていた。
【0010】本発明は、一つの磁心材料で上記の理想特
性を満足すると同時に、ダストコアよりも高いインダク
タンスを与えるインダクタ素子を提供することを目的と
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、Si1〜7重
量%を含有する厚さ10〜200μmのFe−Si合金
箔であって、箔を構成する結晶粒の板面方位が(11
0)、圧延方向が[001]である方向性を有するFe
−Si合金箔を、箔表面に電気的絶縁被膜を形成した後
に、圧延方向が周方向となるように環状に巻いてトロイ
ダル磁心となし、周方向に磁界がかかるように巻き線を
施して形成したインダクタ素子である。
【0012】本発明により、直流磁界重畳時の10kH
z以上の高周波の透磁率が、直流磁界が零の時、400
以上の値を示し、直流磁界が1〜3kA/mの範囲にお
いては100以上、200以下の一定の値を示すインダ
クタ素子用の磁心の提供が可能となる。
【0013】
【作用】磁性体の直流磁化特性は、図1に示すようなヒ
ステリシス曲線で表わされる。磁心材料の直流磁界重畳
時の高周波の透磁率μは、残留磁束密度(B)と飽和
磁束密度(B)とを結ぶ曲線上の任意の点で小振幅の
高周波磁界を印加した時に生じるマイナーループの傾き
として定義される。透磁率μのトロイダル磁心にn回の
巻き線を施して形成したインダクタ素子のインダクタン
スLは、L=μ0μ(A/l)n2 で表される。ここ
で、μ0 は真空の透磁率、Aは磁束の流れる方向に垂直
な磁心の断面積、lは磁路長である。したがって、透磁
率の高い磁心が高いインダクタンスを与える。
【0014】本発明者等は、Fe−Si合金箔を環状に
巻いてトロイダル磁心を作成し、透磁率の重畳直流磁界
依存性を測定した。その結果、方向性の無いFe−Si
合金箔の場合は、零磁界での透磁率が低いばかりか、直
流磁界が大きくなるに従い徐々に透磁率が減少し、一定
値を取ることはなかった。
【0015】そこで、ゴス方位、すなわち圧延面が(1
10)、圧延方向が[001]、を持った方向性のFe
−Si合金箔を作製して透磁率を測定したところ、零磁
界での透磁率が高く、直流磁界の広い範囲に渡って一定
の透磁率を示すものが得られることを見い出した。この
特性は、低磁界では180゜磁壁の移動によって磁化が
行われてるのに対し、高磁界では90゜磁壁の移動によ
って磁化が行われることを想定することによって説明で
きる。
【0016】ここで、180゜磁壁は圧延方向に磁化方
向がある磁区(180゜磁区)を隔てる磁壁である。9
0゜磁壁は、圧延方向と90゜の角度をなす方向に磁化
方向を持つ磁区(90゜磁区)を囲む磁壁である。18
0゜磁区は、圧延方向への引っ張り応力によって安定化
され、90゜磁区は、圧延方向への圧縮応力によって安
定化される。従って、箔の応力状態を最適化することに
より所望の透磁率の直流重畳特性を得ることができる。
箔を巻くことによって生じる曲げ応力は、箔の外側で引
っ張り応力であり、内側で圧縮応力である。そこで、巻
きコアの径を規定することにより応力状態の制御が可能
である。
【0017】本発明者等は、条件の最適化により、10
kHz以上の高周波における透磁率が、零磁界では40
0以上の高い値を示し、1〜3kA/mの高磁界では1
00〜200の一定の値を示すことを確認し、本発明を
完成させるに至った。
【0018】以下、本発明を詳細に説明する。ゴス方位
を持ったFe−Si合金の一方向性電磁鋼鈑(厚さ:
0.2〜0.4mm)に再圧延を施し、適切な条件で焼
鈍を行うと、一次再結晶により微細結晶粒からなるゴス
方位に戻ることが知られている。この現象を利用するこ
とにより所望の方向性のFe−Si合金箔を得ることが
できる。ここで、最適のゴス方位を持った箔を得るため
には、圧延率としては50%以上が好ましく、再結晶の
ための焼鈍温度は700〜1200℃以下が好ましい。
特に鉄損を下げる必要がある時には、焼鈍温度を800
〜900℃に設定して結晶粒径を20〜100μmに調
整するのが効果的である。焼鈍雰囲気は、酸化しない条
件であれば良く、アルゴン、窒素、水素又はそれらの二
つ以上のガスの混合雰囲気を用いることができる。
【0019】本発明において、Fe−Si合金箔のSi
含有量は、重量百分率で、1%以上、7%以下に限定す
るが、その理由は次の通りである。高周波においては鉄
損のほとんどは渦電流損失からなっており、Si含有量
を増して電気抵抗を高めれば高めるほど鉄損が下がる。
Si含有量が1%未満では電気抵抗が低いために鉄損が
大きく、実用に供することができない。Si含有量が1
%〜4%までは通常の冷間圧延により箔を得ることがで
きる。Si含有量が6.5%近傍の箔は、磁歪が小さく
騒音が問題になる場合にはその使用が検討されるので、
本発明のSi含有量の上限は7%とした。
【0020】このような高Siの箔は、硬く脆いので冷
間圧延によっては製造が困難であるが、温間圧延もしく
は低Siの箔への浸珪処理によって製造可能である。浸
珪処理としては、CVD法によってSiを箔の表面に堆
積させ、高温での拡散処理を行う方法を用いることがで
きる。ここで、箔の厚さは10〜200μmに限定す
る。なぜならば、10μm未満の箔は圧延によって作り
難く、200μm超の箔では鉄損が大きく実用に供する
ことができないからである。
【0021】箔をスリッター等により圧延方向にそって
切断し、所定の幅の帯状箔を得て、これを環状に巻き、
トロイダルコアとする。あるいは、広幅の箔を巻いて筒
状にし、樹脂等で固定した後、所定の幅で輪切りにして
トロイダルコアを作製しても良い。いずれの場合も、巻
きコアにすると隣り合う層間の箔は接触することになる
ので、あらかじめ箔の表面には絶縁被膜を設けて置く必
要がある。層間が電気的に絶縁されていないと高い透磁
率を得ることができないばかりか、鉄損が大きくなり実
用に供することができない。絶縁被膜としては、SiO
2 、Al2 3等の酸化物の膜をつけてもよいがシリケ
ート系の樹脂をコーティングするだけでも十分である。
【0022】トロイダルコアの外径は、30mm以下の
時に優れた直流重畳特性を得ることができる。外径が3
0mm超になると曲げ応力が不十分となり、直流磁界重
畳時の透磁率が一定となる領域がなくなる。コアの内径
は特に規定しないが、通常は外径より1〜20mm小さ
いものとなる。外径が10mm近傍のコアでは曲げ応力
の状態が適当であるので、1〜3kA/mでの直流磁界
重畳時に100〜200の一定の透磁率を得ることがで
きる。
【0023】作製したコアは、必要に応じてケースに収
納し、銅線等の巻き線を施してインダクタ素子とする。
巻き線は、トロイダルコアの周方向すなわち、箔の圧延
方向、に磁界がかかるように巻かれ、巻き数は必要とす
るインダクタンスの大きさによって決められる。
【0024】従来のFe−Si合金箔を用いたコアは、
トロイダルに巻いた後に切断してカットコアにしたも
の、あるいはEI形状に打抜いて積層したものであっ
た。いずれの場合もコアにギャップを設けて直流重畳特
性を確保していた。本発明のコアはギャップ無しで使用
し、その状態で優れた直流重畳特性を与える。ギャップ
が無いことは、インダクタ素子の使用時の騒音の減少に
つながる。また、製造工程が簡略化され、低コストでイ
ンダクタ素子を提供することができる。
【0025】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づきさらに説明
する。実施例1 Fe−3%Siのゴス方位を持った厚さ280μmの一
方向性電磁鋼鈑に冷間圧延を施して、厚さ50μmの箔
を得た。次に、箔の圧延方向が長手方向となるように裁
断し、長さ約60cm、幅5mmのリボン状の箔を得
た。この箔に窒素中で880℃で1時間の熱処理を施し
て、ゴス方位の微細結晶粒からなる方向性Fe−Si合
金箔を得た。この時の平均結晶粒径は、50μmであっ
た。絶縁のために箔の表面にシリケート系の樹脂をコー
ティングしたのち、環状に巻いて内径11mm、外形1
3mmのトロイダルコアを作製した。これに絶縁被覆さ
れた0.5mmの銅線を30回巻いてインダクタ素子と
した。
【0026】LCRメーターによりインダクタンスを測
定し、その値から透磁率μを算出した。この時に、イン
ダクタ素子の巻き線には0〜8Aの直流電流に重畳させ
て周波数50kHzで1mAの交流電流を流した。直流
電流値から求められる直流磁界に対して50kHzにお
ける透磁率μをプロットした結果を、図2に示す。比較
のために、無方向性のFe−Si合金箔を作製し、それ
を巻いて作製したインダクタ素子の結果も合わせて図2
に示した。ここで、無方向性の箔としては、厚さ3mm
のFe−3%Si合金の熱延板を冷間圧延により直接厚
さ50μmまで薄くし、窒素中で880℃で1時間焼鈍
したものを用いた。また、市販のセンダスト合金(Fe
−Si−Al)粉末のダストコアについても、その透磁
率の直流磁界依存性を、図2に示した。
【0027】図2からわかるように、方向性Fe−Si
合金箔のインダクタ素子は、直流磁界が零の時、520
と高い透磁率を示し、1kA/mから3kA/mの高磁
界範囲では120から130の一定の値を示す。さら
に、高磁界における方向性Fe−Si合金箔の透磁率
は、ダストコアのそれの約2倍の値を示している。比較
例として示した無方向性のFe−Si合金箔の透磁率
は、零磁界でも300程度と小さく、また高磁界に行く
に従って減少し、方向性Fe−Si合金箔の場合の様に
一定の値を取ることはない。
【0028】実施例2 厚さ280μmの一方向性電磁鋼鈑を圧延して作製した
厚さ100μmのFe−3%Si合金箔に浸珪処理を施
し、Fe−6.5%Siの箔を作製した。浸珪処理とし
ては、SiCl4 を使ったCVD法を用いて1100℃
で箔表面にSiを堆積させた後、さらに同温度で拡散処
理を行うことにより均一組成の箔を得た。CVD中での
熱処理により箔は再結晶を起こし、圧延前と同様のゴス
方位になっていた。この箔から実施例1と同様のトロイ
ダルコアを作製し、50kHzにおける透磁率の重畳直
流磁界依存性を作製した。その結果、直流磁界が零の時
には560の高い透磁率を示し、磁界が1〜3kA/m
の範囲では約140の一定の透磁率を示した。
【0029】実施例3 Fe−3%Si合金でゴス方位を持つ厚さ280μmの
一方向性電磁鋼板に冷間圧延を施して、厚さ50μmの
箔を得た。次にこの箔から圧延方向に長さ600mm、
幅5mmのリボン状の試料を切り出した。この箔に窒素
中で880℃、1時間の熱処理を施し、ゴス方位の微細
結晶粒からなるFe−Si合金箔を得、絶縁のために表
面にシリケート系の樹脂を塗付した。この箔を巻いて外
径50mm、25mm、13mmのトロイダルコアとな
し、それぞれ130回、60回、30回の銅線の巻線を
施して、直流磁界重畳時の透磁率を測定した。ここで、
コアの内径は、外径よりも0.5mm〜2mm小さいも
のとなっている。結果を、図3に示す。
【0030】図3から分かるように、外径50mmの時
には透磁率が一定となる部分がほとんどない。外径25
mmに巻いたトロイダルコアの場合には、透磁率がほぼ
一定となる部分が存在し、外径13mmに巻いたトロイ
ダルコアの場合には透磁率がほぼ一定となる部分が広く
なる。
【0031】比較のために、上記と同じ箔に焼鈍分離剤
としてAl2 3 粉末を塗付し、外径13mmの環状の
トロイダルコアとし、その後に窒素中で880℃、1時
間の熱処理を施したコアを作成した。このコアでは、熱
処理を施すことにより箔を巻く時にかかった曲げ応力が
緩和され、歪が除去されている。図3の透磁率の測定結
果から分かるように、このコアの直流磁界重畳時の透磁
率は、本発明の熱処理後に巻いたものに比較して格段に
低い。
【0032】
【発明の効果】本発明のインダクタ素子は、低直流磁界
で高いインダクタンスを示すので、スイッチング電源の
二次側の平滑チョークとして用いることにより、電源の
低負荷時の異状発振を防ぐことができる。従来のこのタ
イプのコアは、ソフトフェライトコアとダストコアを重
ねて使用していたので、コスト高になるという問題があ
った。しかし、本発明のコアは、一つでそれらの機能を
併せ持っているので低コストでインダクタ素子を提供す
ることができる。
【0033】また、本発明のインダクタ素子は、通常使
用時の高直流磁界において従来のダストコアの約2倍の
インダクタンスを与える。電源の一次側に用いる力率改
善のためのアクティブフィルター回路用のチョークコイ
ルなど各種チョークコイルにこのインダクタ素子を用い
ると、電源の高効率化もしくは小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁心の直流重畳特性の説明図である。
【図2】方向性Fe−Si合金箔、無方向性Fe−Si
合金箔、及びダストコアについて測定した50kHzの
高周波磁界印加時の透磁率の重畳直流磁界依存性を示し
た図である。
【図3】方向性Fe−Si合金箔をトロイダルコアにす
る際にその外径を50mm、25mm、13mmとした
ものと、熱処理により応力を緩和した状態のコア(外径
13mm)について、50kHzの高周波磁界印加時の
透磁率の重畳直流磁界依存性を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/16 9375−5E 31/00 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si1〜7重量%を含有する厚さ10〜2
    00μmの箔を構成する結晶粒の板面方位が(11
    0)、圧延方向が[001]である方向性を有するFe
    −Si合金箔からなり、前記箔の表面に電気的絶縁被膜
    を形成した後、圧延方向が周方向となるように環状に巻
    いてトロイダル磁心となし、周方向に磁界がかかるよう
    に巻き線を施して形成したことを特徴とするインダクタ
    素子。
  2. 【請求項2】前記トロイダル磁心の外径が30mm以下
    である、請求項1に記載のインダクタ素子。
  3. 【請求項3】前記トロイダル磁心の直流磁界重畳時の1
    0kHz以上の高周波の透磁率が、直流磁界が零の時、
    400以上の値を示し、直流磁界が1〜3kA/mの範
    囲において100〜200の一定の値を示す、請求項1
    及び2に記載のインダクタ素子。
JP6028343A 1994-02-25 1994-02-25 インダクタ素子 Withdrawn JPH07235429A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009078453A1 (ja) * 2007-12-14 2009-06-25 Jfe Steel Corporation 圧粉磁心用鉄粉

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