JPH0723474Y2 - 床の耐震支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は床の耐震支持装置に関する。

（従来の技術） 精密機器、例えばコンピュータ関係、各種計測器等の機
器類や、彫刻物、ガラス製品、その他転倒した場合に破
損しやすい器物を置く床は極力無振動な設置床構造とす
ることが要求される。

従来は、この種の機器や器物を建屋内に設置する場合、
建屋の床面上に配置され、床上に固定して設置されてい
る。

しかして従来の設置方法では、地震があった場合、建屋
の振動が床面を通じて機器や器物に伝達され、機器を損
傷させたり器物を転倒させることが多い。

そこで出願人は、コンピュータ等精密機器や転倒したと
き破壊されやすい器物が設置される床と建屋との間にお
いて地表の振動が床に伝播されることを防ぎ、機器類の
損傷や破損を防止することができる床の耐震支持装置
（実願昭61−176958号、登録第2002659（実開昭63−833
04号公報参照））を提供した。すなわち、この装置は、
地表に固定の建屋部材に固設され上面に環状の凹凸条が
同心円状に複数条形成された基板と、下面に半球状凸周
面を有し、該周面に前記基板の凹凸条に嵌合し得る凹凸
条が前記基板の凹凸条と同一ピッチをもって同心円状に
複数条形成された台座と、器物が設置される床の下面に
垂設された球状継手部材と、この球状継手部材と前記台
座の上端面に形成された半球状凹曲面との間に介在され
る滑動部材とからなる構成としたものである。

上記のように構成したことにより、地震が発生した場
合、基板が前後左右の不特定方向に移動するが、この基
板の移動に対し台座の凸周面が基板の移動に伴なって傾
動され、この傾動の際に基板と台座との凹凸条が互に嵌
合しているため台座がずれ動くことがなく、基板の移動
にしたがって傾動するのみとなり、その台座の傾動に対
し床は球状継手部材と台座との間に介在される滑動部材
によって結合されているので台座の傾動をスムーズに許
容し、床はその位置に留まった状態に保たれ、基板の移
動が床に伝達されることがない。

（考案が解決しようとする課題） しかるに上記の装置は、耐震床構造としての目的は達成
し得たが、台座の周囲および基板の上面に互いに嵌り合
う同心円状の凹凸条溝を形成する必要があるため、その
製作が容易でなく、コストが嵩み、かつ凹凸条溝が外れ
るおそれがあるなどの不十分な点が指摘された。

本考案はこれに鑑み、製作を容易とし、安価に得られな
がら耐震目的を完遂し、かつ床の移動がない耐震支持装
置を提供することを目的としてなされたものである。

〔考案の目的〕

（課題を解決するための手段） 上記従来技術が有する課題を解決するため、本考案は、
地表に固定の建屋に固設される基板と、下面に半球状凸
周面を有する台座と、器物が設置される床材と、この床
材の下面に垂設された球状継手部材と、この球状継手部
材と台座の上端面に形成された半球状凹曲面との間に介
在される滑動部材とを有するものにおいて、前記台座の
中心部下面に傾斜自在に垂下支持される結合部材を設
け、この結合部材を基板の孔に傾動自在に挿入し、台座
を基板に対し傾動は許容するも移動不能に結合したこと
を特徴とするものである。

（作用） 地震が発生した場合、基板が前後左右の不特定方向に移
動するが、この基板の移動に対し台座の下半の半球面状
凸周面が基板の移動に伴なって傾動し、その台座の傾動
に対し床材は球状継手部材と台座との間に介在される滑
動部材によって台座の傾動をスムーズに許容し、かつ台
座は結合部材により基板に結合されているので移動する
ことがなく、床板はその位置に留まった状態に保たれ、
基板の移動が治まれば結合部材の案内により元の状態に
戻る。

（実施例） 以下、本考案を図面に示す実施例を参照して説明する。

本考案による床の耐震支持装置１は、地表に固定の建屋
２に固設される基板３と、この基板３上に載る台座４
と、コンピュータ等の機器やその他壊れやすい器物を設
置する床材５と、この床材５に垂下支持される球状継手
部材６と、この球状継手部材６と台座との間に介在され
る滑動部材としての多数の小球状体7,7…とを備える点
において従来のものと同様であり、台座４の下半は半球
状の凸周面８に形成されている。

上記台座４の上端部には、半球状の凹曲面９が形成され
ており、この凹曲面９内に床材５の下面に軸10により回
転自由に垂下支持された球状継手部材６が嵌合され、こ
の凹曲面９と球状継手部材６との間に鋼球等の小球状体
7,7…が一列並びに多数介在されている。なお図におい
て11は凹曲面の上端に固着されて前記小球状体7,7…の
飛び出しを防ぐ止板である。なお、上記滑動部材として
は、他に二硫化モリブデン等の極圧潤滑剤であってもよ
い。

前記台座４の中心部には逆円錐状の孔12が形成されてお
り、この孔12に丸棒状の結合部材13の上半部が挿入さ
れ、抜止め部材14により下方へ抜けないよう垂下支持さ
れている。

一方、基板３には前記台座４の下面が当る金属板15が張
られ、この金属板15を貫通して基板３に結合部材13が遊
嵌される円錐状の孔16が形成されており、この孔16に結
合部材13の下半部が挿入されるようになっている。この
実施例では、基板３を建屋２の床面に弾性体製の脚材17
を介して支持しており、基板３を含む穴18を有していて
結合部材13の傾動を許容するように形成されている。

上記耐震支持装置１は、第１図および第２図にに例示す
るように床材５の下に所定の間隔をおいて配置される。
この耐震支持装置１の設置数は、床材５上に設置される
機器の重量に応じて選択される。

つぎに上記実施例の作用を説明する。

床材５上にコンピュータ等の精密機器あるいは彫刻物等
を配置したときその重量は球状継手部材６、小球状体7,
7…、台座４、基板３を通じて建屋２で受けられ、安定
した状態に支持される。

地震が発生した場合には、基板３が建屋２と共に前後左
右の不特定方向に移動するが、この基板３の移動に対し
台座４の凸周面８が基板３の移動に伴なって傾動され、
この傾動の際には基板３と台座４とが結合部材13で結合
されたまゝ傾動するため、台座４がずれ動くことがな
く、あらゆる方向への傾動に対応する（第４図参照）。

また台座４と床材５側の球状継手部材６とは滑動部材を
介在して結合されているので、球状継手部材６の外周面
と台座４の凹曲面９とは傾動時の摩擦抵抗が極めて小さ
く、始動時にスムーズに相対移動がなされる。滑動部材
として小球状体7,7…を用いた場合は荷重を分散して支
えるので小球状体１個当りの荷重が小さく、台座の傾動
時の抵抗を小さくすることができる。

なお第１図示のように床材５と基板３とを吊杆19により
連結しておけば、床材５、台座４、基板３を組付けたユ
ニットとして施工に供することができ、この場合、吊杆
19の下方部が挿通する基板３の孔20を大径孔として吊杆
19の下端にこの孔20より大きい止部材21を取付けておく
ようにすれば、基板３と床材５との相対的移動に支障な
く追従させることができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案による床の耐震支持装置に
よれば、地震が発生した場合でも台座が移動するのみで
床を移動させることがなく、床上に設置されるコンピュ
ータ等の精密機器機や彫刻物その他転倒したとき壊れや
すい器物等に振動が及ぶことを未然に防ぐことができ
る。また基板と台座とは結合部材を介して傾動自在に結
合されているので、台座がずれ動いてしまうことがな
く、その結合も棒状の結合部材の挿着によって構成され
るので、製作が容易であり、安価に得られるなどの種々
の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す半部を断面とした正面
図、第２図は同平面図、第３図は一つの台座部分を示す
静止時の断面図、第４図は同地震による振動時の断面図
である。 １…床の耐震支持装置、３…基板、４…台座、５…床
材、６…球状継手部材、７…滑動部材としての小球状
体、８…凸周面、13…結合部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】地表に固定の建屋に固設される基板と、下
   面に半球状凸周面を有する台座と、器物が設置される床
   材と、この床材の下面に垂設された球状継手部材と、こ
   の球状継手部材と台座の上端面に形成された半球状凹曲
   面との間に介在される滑動部材とを有するものにおい
   て、前記台座の中心部下面に傾斜自在に垂下支持される
   結合部材を設け、この結合部材を基板の孔に傾動自在に
   挿入し、台座を基板に対し移動不能に結合したことを特
   徴とする床の耐震支持装置。