JP2000046107A - 免震用スライド機構 - Google Patents

免震用スライド機構

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JP2000046107A
JP2000046107A JP10216916A JP21691698A JP2000046107A JP 2000046107 A JP2000046107 A JP 2000046107A JP 10216916 A JP10216916 A JP 10216916A JP 21691698 A JP21691698 A JP 21691698A JP 2000046107 A JP2000046107 A JP 2000046107A
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Naganori Sato
長範 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 戸建住宅のような構造物であっても少ない設
置個数で済む免震用スライド機構を提供すること。 【解決手段】 球体支持板10と、この球体支持板に乗
せられた3個の剛性を持つ球体11−1〜11−3と、
3個の球体を転動自在に、かつ相互の間隔を維持した状
態で保持するための球体保持板12と、この球体保持板
と被免震構造物との間に設けられた球体継手13とを含
み、球体支持板に作用する水平方向の振動が被免震構造
物に伝達されることを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は免震機構に関し、特
に戸建住宅や、重要文化財等を地震による倒壊から防止
するための免震用スライド機構に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、ビルのような大型の構造物に
おける免震装置としては、円盤状の鉄板とゴムとを重ね
合わせて構成した積層ゴムが知られている。しかし、こ
のような積層ゴムは、重量の大きな構造物には適してい
るが、戸建住宅のような、ビルに比べて軽量の構造物に
は適していない。
【0003】そこで、戸建住宅用の免震装置として、ボ
ールベアリング支承によるものが提供されている。これ
は、住宅とその基礎部との間に、ボールベアリングによ
る支承部を設けて構成される。ボールベアリングによる
支承部は複数個所に設けられる。基礎部にはボールベア
リングにおける剛性の球体を受けるための受皿が設けら
れ、受皿の上面は凹面状に形成されている。
【0004】このような戸建住宅用の免震装置は、球体
による点支持であるため水平方向のすべての方向に対応
できる。しかも、受皿の上面が凹面状に形成されている
ことから地震収束後に球体が元の位置に戻り易く、した
がって住宅も元の位置に戻るという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、球体は
剛性を持つとは言え、一点支持であるため、欠けのよう
な損傷を生じ易い。これを防ぐためには、ボールベアリ
ングによる支承部1箇所当たりの荷重を減らす必要があ
る。これは、ボールベアリングによる支承部の数が増加
することを意味する。
【0006】そこで、本発明の課題は、戸建住宅のよう
な構造物であっても少ない設置個数で済む免震用スライ
ド機構を提供することにある。
【0007】本発明の他の課題は、耐久性に優れた免震
用スライド機構を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による免震用スラ
イド機構は、球体支持板と、該球体支持板に乗せられた
少なくとも3個の剛性を持つ球体と、前記少なくとも3
個の球体を転動自在に、かつ相互の間隔を維持した状態
で保持するための球体保持板と、該球体保持板と被免震
構造物との間に設けられた自在継手とを含み、前記球体
支持板に作用する水平方向の振動が前記被免震構造物に
伝達されることを防止するようにしたことを特徴とす
る。
【0009】なお、前記少なくとも3個の球体は前記球
体支持板上の同一円周上に間隔をおいて設けられ、前記
自在継手は前記同一円周の中心部に対応する位置に設け
られることが好ましい。
【0010】また、前記自在継手はベアリングの機能を
持つ球体継手であることが好ましい。
【0011】更に、前記球体継手は、前記被免震構造物
における支柱の下端部と前記球体保持板の上端部との間
に設けられることが好ましい。
【0012】更に、前記球体支持板における前記少なく
とも3個の球体の支持面は、凹面状に形成されていても
良い。
【0013】
【発明の実施の形態】図1〜図5を参照して、本発明の
実施の形態を、戸建住宅の免震用スライド機構に適用す
る場合について説明する。
【0014】図1において、本形態における免震用スラ
イド機構は、住宅の基礎部1に設置される球体支持板1
0と、この球体支持板10に乗せられた3個の球体11
−1、11−2、11−3と、3個の球体11−1〜1
1−3を転動自在に、かつ相互の間隔を維持した状態で
保持するための球体保持板12と、球体保持板12の上
端部と住宅の床下部における鋼製の支柱2の下端部との
間に設けられた球体継手13とを含み、地震等により球
体支持板10に作用する水平方向の振動が住宅に伝達さ
れることを防止するものである。
【0015】球体継手13は、住宅の荷重を、球体保持
板12を介して3個の球体11−1〜11−3に均一に
分散するためのものである。言い換えれば、地震等の揺
れにより支柱2が図示の垂直状態から様々に変位したと
しても、球体保持板12が傾むくことを防止し、住宅の
荷重を3個の球体11−1〜11−3に均一に分散させ
るように作用する。このために、球体継手13の球体は
ボールベアリングの機能をも有する。このような理由
で、支柱2と球体保持板12との間に設けられる継手は
球体継手13が最も好ましいが、周知の他の自在継手を
用いても良い。そして、球体継手13の場合には、支柱
2の下端部には球体を受けるための凹部が受部として形
成される。
【0016】なお、球体継手13は、球体が継手本体か
ら離脱することを防ぐための球体ホルダ13−1を備え
ている。球体継手13は更に、支柱2と球体保持板12
とを連結するための連結機構13−2を備えている。こ
の連結機構13−2は、住宅が風等により瞬間的に上方
に持ち上がった場合でも、球体継手13、球体保持板1
2が支柱2から分離せずに一体的に浮くようにするため
のものである。このために、連結機構13−2は、球体
11−1〜11−3に対応させて3個備えるのが好まし
い。図1では、便宜上、1個のみを示している。
【0017】図2を参照して、連結機構13−2の一例
を説明する。連結機構13−2は、すべての方向に自由
度を持つ、例えばゴム体13−21の上下両端にそれぞ
れ座金13−22、13−23を設け、座金13−2
2、13−23にはそれぞれネジ付きの軸13−24、
13−25を設けて成る。軸13−24を球体保持板1
2にねじ込み、軸13−25は支柱2に設けたアーム1
3−26を通しナット13−27で締め付け固定され
る。なお、本例は一例であり、あらゆる方向に自由度を
持つ構造で支柱2と球体保持板12とを連結する機構で
あれば良く、このような機構自体は周知の技術を利用し
て様々な構造で提供することができる。
【0018】上記の理由から、球体保持板12も球体ホ
ルダ13−1と同様の球体ホルダ12−1を備えてお
り、3個の球体11−1〜11−3は、球体ホルダ12
−1により球体保持板12からの離脱が防止される。
【0019】上記の各構成要素は、それぞれの機能を発
揮するのに適した材料で作られる。例えば、球体継手1
3の球体及び球体11−1〜11−3は剛性を持つ金属
材料が好ましい。また、球体ホルダ12−1、13−1
は、球体をできるだけ摩擦の少ない状態で保持するため
に、テフロンのような材料が好ましい。しかし、これら
の材料に限定されるものではない。
【0020】このような免震スライド機構によれば、地
震等により球体支持板10が水平方向に変位しても、球
体11−1〜11−3が回転するだけでその位置はほと
んど変化せず、したがって支柱2から上の住宅部分も水
平方向に関してはほとんど変位しない。
【0021】図3において、3個の球体11−1〜11
−3は、球体支持板10上の図中一点鎖線で示す同一円
周上に間隔をおいて設けられる。また、球体継手13
は、図中破線で示す上記の同一円周の中心部に対応する
位置に設けられる。
【0022】図4、図5をも参照して、この免震用スラ
イド機構は、住宅1戸当たり数箇所、ここでは4箇所に
設けられる。特に、水平方向の揺れを緩和するための緩
衝機構として作用するダンパ機構3と、水平方向の揺れ
により位置が変化した住宅を元の位置に戻すための復帰
機構として作用するバネ機構4とが組合せて用いられ
る。ダンパ機構3とバネ機構4の組合せは、図5のよう
な形状の場合には8組備えることが好ましい。これは、
水平方向に関してあらゆる方向に対応可能にするためで
ある。勿論、ダンパ機構3とバネ機構4の設置組数は、
住宅の形状、構造に応じて変えられる。このようなダン
パ機構3とバネ機構4の組合せは、一端側が住宅に、他
端側は地面あるいは地面に設けられた固定部にそれぞれ
連結される。なお、ダンパ機構3は、油圧式のシリンダ
を備えた、いわゆるショックアブソーバのようなものを
用いることができ、大風を受けた時の風圧や、住宅内で
人が運動しても住宅が水平方向に動かないように設計さ
れる。
【0023】図5においては、便宜上、Aで示した位置
に4個の免震用スライド機構が等間隔で設置されている
が、実際の個数と設置位置は、住宅の重心と偏心とを考
慮して、各免震用スライド機構が均等に住宅の分割荷重
を受けるように設計される。そして、免震用スライド機
構1個当たりの耐荷重はあらかじめ設計により任意に設
定することができ、設定された耐荷重以内であれば、ど
のような荷重を持つ住宅にも兼用できる。言い換えれ
ば、適用される住宅の荷重が異なっても本免震用スライ
ド機構の設計変更は不要である。
【0024】このような免震用スライド機構とダンパ機
構3及びバネ機構4の組合せは、以下のように作用す
る。大風による風圧を受けた場合には、この風圧が設計
値以内であればダンパ機構3の緩衝作用により住宅の水
平方向の変位は防止される。仮に、大きな風圧が長い時
間作用して住宅がわずかに水平方向に変位したとして
も、風圧が無くなればバネ機構4の復帰作用により住宅
は元の位置に戻る。
【0025】一方、地震が発生した場合には、球体支持
板10が水平方向に変位するが、球体11−1〜11−
3が球体支持板10上を自由に転動することにより住宅
の水平方向の変位は生じない。なお、地震の震度が大き
い場合には、球体支持板10の水平方向の変位量が大き
くなって球体11−1〜11−3が球体支持板10上か
ら外れてしまうことが考えられる。このため、球体支持
板10の大きさは、地震の震度を考慮し、許容値以内の
震度の揺れでは球体11−1〜11−3が外れてしまう
ことの無いように設計される。万一、球体11−1〜1
1−3が球体支持板10から外れてしまった場合には、
ジャッキ等を使用して住宅全体を持ち上げて球体11−
1〜11−3を球体支持板10上に戻す作業が行われ
る。
【0026】図6を参照して、本発明の他の実施の形態
について説明する。この形態は、球体支持板20の上面
を凹面状にしている点で図1の形態と異なる。このよう
に、球体支持板20の上面を凹面状にすると、図4に示
すようなバネ機構4が無くても球体11−1〜11−3
を球体支持板20の中央領域に戻すことができるので、
風圧等により変位した住宅を元の位置に戻すことができ
る。
【0027】なお、上記の形態は、戸建住宅用の免震用
スライド機構として使用する場合の例である。本発明に
よる免震用スライド機構は、荷重がそれほど大きくない
構造物、例えば地震によって倒れた場合に壊れ易い重要
文化財の仏像のような彫刻物等にも適用できる。この場
合、彫刻物の展示台の下に、図1に示す免震用スライド
機構を少なくとも4組備えれば良い。
【0028】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明による
免震用スライド機構は、住宅のような荷重の大きい構造
物であっても、荷重を少なくとも3個の球体で分散して
受けるので耐久性が高く、欠けのような損傷が生じにく
い。したがって、球体の損傷による事故の軽減を図るこ
とができ、メンテナンス費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による免震用スライド機構
の構成を示した側面図である。
【図2】図1に示された球体継手と球体保持板との連結
機構の一例を示した図である。
【図3】図1に示された球体と球体支持板との関係を説
明するための平面図である。
【図4】図1の免震用スライド機構を戸建住宅に適用し
た場合の設置例を示した側面図である。
【図5】図4の設置例を上から見た場合の平面図であ
る。
【図6】本発明の他の実施の形態による免震用スライド
機構の構成を示した側面図である。
【符号の説明】
1 基礎 2 支柱 3 ダンパ機構 4 バネ機構 10 球体支持板 11−1〜11−3 球体 12 球体保持板 12−1 球体ホルダ 13 球体継手 13−1 球体ホルダ 13−2 連結機構 13−21 ゴム体 13−22、13−23 座金 13−24、13−25 軸 13−26 アーム 13−27 ナット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J048 AA07 AC10 AD06 BE14 BG02 EA38 3J066 AA30 BB01 DA10 DB01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 球体支持板と、 該球体支持板に乗せられた少なくとも3個の剛性を持つ
    球体と、 前記少なくとも3個の球体を転動自在に、かつ相互の間
    隔を維持した状態で保持するための球体保持板と、 該球体保持板と被免震構造物との間に設けられた自在継
    手とを含み、 前記球体支持板に作用する水平方向の振動が前記被免震
    構造物に伝達されることを防止するようにしたことを特
    徴とする免震用スライド機構。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の免震用スライド機構にお
    いて、前記少なくとも3個の球体は前記球体支持板上の
    同一円周上に間隔をおいて設けられ、前記自在継手は前
    記同一円周の中心部に対応する位置に設けられることを
    特徴とする免震用スライド機構。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の免震用スライド機構にお
    いて、前記自在継手は、ベアリングの機能を持つ球体継
    手であることを特徴とする免震用スライド機構。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の免震用スライド機構にお
    いて、前記球体継手は、前記被免震構造物における支柱
    の下端部と前記球体保持板の上端部との間に設けられる
    ことを特徴とする免震用スライド機構。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれかに記載の免震用
    スライド機構において、前記球体支持板における前記少
    なくとも3個の球体の支持面が凹面状に形成されている
    ことを特徴とする免震用スライド機構。
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