JP2016114194A - 振動低減装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動したときにバネ定数を見かけ上小さくし、固有振動数を小さくする振動低減装置を提供すること。【解決手段】隣接する制振部材に接触しないように隙間を有して円形状に配置した弾性変形可能な複数の制振部材13を、一対の上部安定板11と下部安定板12とで狭持して構成したこと特徴とする振動低減装置。前記制振部材が、円柱、円錐台、角柱又は太鼓型形状のものであることを特徴とする。前記振動低減装置の上部安定板の上に自在継手(ユニバーサルジョイント)を搭載するとともに、前記自在継手の中心軸は、その下に配置された制振部材の円形の中心軸と一致することを特徴とする振動低減システム。【選択図】図1

Description

本発明は、地震の揺れなどを低減する振動伝達低減性に優れた振動低減装置に関する。
従来より、地震の揺れを低減する為に、建築物とこの建築物を支持する地盤との間に配置される免震装置が知られている。例えば、ゴム体と金属板とを交互に積層した積層免震装置などである。
そして、この免震装置には、弾性体とされるゴム体や金属板だけでなく、揺れに伴う振動を抑える為の制振部材が内蔵されていて、これらの部材の複合的な作用により水平方向の振動を吸収することで、地震の揺れを低減し、建築物側に地震の揺れを伝達し難くしていた。
しかし、従来の免震装置の制振部材として、制振特性の面から一般に鉛材を使用した鉛プラグが採用されていたが、環境面への配慮が近年重要視されるのに伴い、他の材料に置き換えることが検討されるようになった。
例えば、特開平11−63110には、機器を搭載する除振台と該除振台を接地支持する接地支持台との間に、ゴム板と金属板との複数枚を交互に積層配置してなる鉛直型縦積層ゴム体と、ゴム体と金属板との複数枚を交互に積層配置してなる剪断型横積層ゴム体との直列結合体を介在させるとともに、接地支持台と接地面との間に、外部より駆動制御可能なアクチュエータをその駆動方向が鉛直方向に沿うように配置してなる制御型除振台の支持装置が記載されている。
また、特開平11−108109には、機器を搭載する除振台と該除振台を接地支持する接地支持台との間に、ゴム板と金属板との複数枚を交互に積層配置してなる鉛直型縦積層ゴム体及びゴム板と金属板との複数枚を交互に積層してなる剪断型横積層ゴム体からなる直列結合体を介在させるとともに、接地支持台と接地面との間に、横積層ゴム体に並列配置させて外部より駆動制御可能なアクチュエータをその駆動方向が鉛直方向に沿うように介在させてなる制御型除振台の支持装置が記載されている。
ゴム体と金属板の幾重もの積層加工には手間がかかり、大型化し、しかも高価な製品となる。これらの装置を配置の工夫で、さらに免振効果を高めようとするこれらの試みは、装置自体の複合化に加えて、より大型で高価なものに導く方向となっている。
特開平11−63110号公報 特開平11−108109号公報
一般に、地震の揺れを低減するために、固有振動数を下げる必要があるが、特許文献1及び特許文献2では、いずれも、縦積層ゴム(圧縮)と横積層ゴム(剪断)を利用しているので、初期の固有振動数もかなり高いところに維持され、特に、横積層ゴムがあるため、横の振動に対する動きが制限される。
また、系全体のバネ定数を圧縮と剪断に振り分けて下げたとしても、トータルの見かけ上のバネ定数は変化されないので、地震の揺れを低減できないなどの問題点があった。
本発明は上記問題点に鑑み、振動したときにバネ定数を見かけ上小さくし、固有振動数を小さくする振動低減装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の振動低減装置は、隣接する制振部材に接触しないように隙間を有して円形状に配置した弾性変形可能な複数の制振部材を、一対の上部安定板と下部安定板とで狭持して構成したこと特徴とする。
(2)本発明の振動低減装置は、上記(1)において、前記制振部材が、円柱、円錐台、角柱、角錐台又は太鼓型形状のものであることを特徴とする。
(3)本発明の振動低減システムは、前記振動低減装置の上部安定板の上に自在継手(ユニバーサルジョイント)を搭載するとともに、前記自在継手の中心軸は、その下に配置された制振部材の円形の中心軸と一致することを特徴とする。
本発明の振動低減装置は、隣接する制振部材に接触しないように隙間を有して円形状に配置した弾性変形可能な複数の制振部材を、一対の上部安定板と下部安定板とで狭持して構成されているので、その構造が簡単である。
また、外部からの振動を受けて制振部材が制振装置として一般的な剪断モードばかりでなく、曲げモードでも働き、引張りと圧縮の弾性率に差を付けると見かけバネ定数を小さくでき、固有振動数を小さく、かつ振動伝達率を下げることができる。
実施形態1に係る振動低減装置の概略斜視図である。 実施形態1に係る振動低減装置の分解斜視図である。 実施形態1の制振部材の外観斜視図である。 実施形態2に係る振動低減システムの使用態様を示す概略斜視図である。 実施形態2に係る振動低減システムの使用態様を示す模式的平面図である。 実施形態2に係る振動低減システムの使用態様を示す模式的側面図である。 実施形態2に係る振動低減システムの使用態様を示す一部拡大側面図である。 実施形態1に係る振動低減装置の振動試験の結果を示すグラフであり、(a)は加振加速度0.5Gで水平方向に加振したデータであり、(b)は加振加速度1.0Gで垂直方向に加振したデータである。 他の実施形態に係る振動低減装置の概略斜視図である。
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係る振動低減装置を、図面に基づき説明する。
図1の概略斜視図及び図2の分解斜視図に示すように、本実施形態1に係る振動低減装置10は、隣の部材に接触しないように隙間を有して円形状に配置した弾性変形可能な複数の制振部材13を、一対の上部安定板11と下部安定板12とで狭持して構成されている。
<上部安定板、下部安定板>
一対の上部安定板11の裏側(下面)と下部安定板12との表側(上面)には、制振部材13の上下端をそれぞれ嵌合して固定するよう、深さの浅い凹部11a、12aが形成されている。
図1、図2に示す実施形態の上部安定板11と下部安定板12の形状は、円板状となっているが、振動低減装置10と組み合わされる物の大きさや質量によってその形状は適宜決定されるものである。
図1に示す例では、上部安定板11と下部安定板12として、直径D1、D2を、例えば、それぞれ12cm程度とし、厚みを7mm程度とした円板状のものを用いている。
なお、制振部材13を上部安定板11と下部安定板12とに固定するには、上部安定板及び下部安定板に形成する凹部11a、12aに代えて、接着、ネジ留めなどの固定方法も可能である。
上部安定板11及び下部安定板12の材質としては、アルミ、鉄などの金属板や、プラスチック板などが挙げられる。
<制振部材>
制振部材13は、上部安定板11と下部安定板12との間に配置されて固定されているが、配置の形態としては、図1に示すように、複数の制振部材13、13・・・を、下部安定板12の中心から等距離で描いた円周上に等間隔で、それぞれの間に隙間ができるように独立して配置している。
このように、上部安定板11と下部安定板12の中心から等距離に、複数の制振部材13、13・・・を、ほぼ均質な等方性を持たせて配置することにより、振動に伴う力を均一分散させて吸収させることができる。
図1に示す例では、上部安定板11及び下部安定板12の直径をそれぞれ12cm、厚さ7mmとし、上端部直径2.3cm、下端部直径3.0cm、高さ2.5cmの円錐台形状の制振部材13を5個、下部安定板12の中心から直径8cmで描いた円周上に配置している。
なお、図1には、静止状態の振動低減装置を示すが、振動が付加された状態では、上部安定板11と下部安定板12とは横方向にずれ、これにともなって、固定された制振部材13、13・・・も斜め方向に歪んだ状態になる。
このように歪んだ状態になっても、隣接する制振部材同士が接触状態にならないように、上部安定板11と下部安定板12とで固定している。
また、図1では、5個の制振部材13を円周上に等間隔に配置しているが、制振部材13の個数は複数とする。例えば、図9の他の実施形態に示すように、3個や7個の場合なども含む。また、その大きさは、振動低減装置の上に載置する物の大きさや質量によって適宜決定されるものである。
<制振部材の形状>
制振部材13の形状としては、図3に示すように、(a)円錐台形、(b)円柱形、(c)角錐台傾、(d)角柱形、(e)樽形、(f)逆円錐台形などが挙げられる。
また、図3(a’)乃至(f’)に示すように、制振部材13の中心に上下方向の空洞13aを設けたものも制振部材の弾性変形量を増して、振動を吸収する効果が大きいので好ましい。
<制振部材の材質>
制振部材の材質としては、内部減衰型のダンパ特性を有し、変形方向の運動に対して大きな抵抗力が働き内部減衰が大きい特性を有すると共に、発生した振動を速やかに減衰させることができるものが好ましい。
このような制振部材としては、以下の軟質組成物が挙げられる。
軟質組成物としては、ポリウレタン樹脂で構成されスポンジ硬度10〜75、好ましくは15〜70であって、圧縮弾性率>引張弾性率で圧縮弾性率が引張弾性率の1.01〜5.00倍のものが挙げられ、
(a)官能基数2、分子量700〜2000の末端に1級ヒドロキシル基を有するポリオール、
又は、(b)官能基数3、分子量4000〜8000の末端に1級ヒドロキシル基を部分的に有するポリオールと、理論量の1.03倍のポリイソシアネートを反応させて得られる軟質エラストマーが好ましく用いられる。
上記(a)のポリオールにおいては、官能基数が2未満の場合は未硬化組成物になりやすい。
また、この分子量範囲で官能基数が2より大きい場合は、スポンジ硬度が75より大きくなり好ましくない。
分子量が700未満の場合は、スポンジ硬度が75より大きくなり好ましくなく、分子量が2000より大きい場合は、反応が十分に進まないため好ましくない。
ポリオールの末端が2級ヒドロキシル基の場合は、反応が十分に進まないため未硬化物になり好ましくない。
ここで、官能基数が2で、末端に1級ヒドロキシル基を有するポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレンポリオキシグリコール、ε−カプロラクトン系ポリオール、β−メチル−δ−バレロラクトン系ポリオール、ポリエステル系ポリオールおよびカーボネート系ポリオールが挙げられる。
これらのポリオールは、単独で用いたり2種以上併用することが出来る。
(b)のポリオールにおいては、官能基数が3未満の場合は十分な架橋が構成できず好ましくない。
官能基数が3より大きい場合はスポンジ硬度が75より大きくなり好ましくない。
分子量が4000未満の場合はゴム硬度が5より大きくなり好ましくなく、分子量が8000より大きい場合はポリオール末端の不飽和度が高くなり反応阻害をもたらすので好ましくない。
ポリオールの末端が2級ヒドロキシル基である場合には反応が十分に進まないために未硬化物になり好ましくない。
ここで、官能基数が3で、末端に1級ヒドロキシル基を部分的に有するポリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、もしくはヘキサントリオール等の3官能基数の活性水素化合物を開始剤として1,2−プロピレンオキサイドを開環附加重合させ、次いでエチレンオキサイドを開環附加重合させた化合物が挙げられる。
例えば、プレミノールPML−7001,PML−7003,PML−7005,エクセノール837、840,850、もしくはスチレン又はアクリルニトリル等のラジカル重合タイプのポリマーをブレンドしたポリオールのエクセノール911,910,940(旭硝子株式会社)等を挙げることが出来る。
また、これらの2種類以上の混合物を使用することも出来るし、これらと前述の官能基数2、分子量700〜2000で末端に1級ヒドロキシル基を有するポリオールの2種類以上の混合物を使用することもできる。
理論量の1.03倍添加するポリイソシアネートは、官能基数2.0〜3のものが好ましい。
官能基数2.0未満の場合は十分な組成物を得られず、官能基数3より大きい場合はスポンジ硬度が75より大きくなるために好ましくない。
上記ポリイソシアネートとしては、1分子中に2個乃至それ以上のイソシアネート基を有する有機化合物であって、前記ポリオールの活性水素含有官能基に対する反応性イソシアネート基を有するものが用いられる。
官能基数2のポリイソシアネート化合物の例としては、一般的な芳香族,脂肪族および脂環族の化合物を用いることができる。
例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、液状変成MDI、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられ、とりわけTDI,MDIが好ましい。
官能基数3のポリイソシアネート化合物の例としては、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、前記HDIの3官能化誘導化合物、または、前述した官能基数が3で末端に1級ヒドロキシル基を部分的に有するポリオールを理論量より少ない量と、ポリイソシアネート化合物とを公知の技術を用いて反応せしめ、末端に活性イソシアネート基残量を有するプレポリマーを挙げることができる。
ここでポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートとしては、ミリオネートMR−100,MR−200、MR−300(日本ポリウレタン(株))等を挙げることができる。
またHDIの3官能化誘導化合物としては、デュラネートTHA−100、TLA−100、24A−100(旭化成工業(株))等を挙げることができる。
これらポリイソシアネート化合物は単独で用いることができるし、または2種以上を混合して用いることもできる。
前記(a)のポリオールは、理論量の1.03倍より少ないポリイソシアネートと反応させる。
ポリオールの水酸基(OH)に対するイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比、即ちNCO/OHは1.03〜0.41とすることが好ましい。
このNCO/OHは、用いるポリオールとポリイソシアネートの官能基に依存し、ポリオールが2官能基の場合は、ポリイソシアネートの官能基は2.3以上のものと反応させ、NCO/OHは1.03〜0.7の範囲であり、NCO/OHが高いほど得られる組成物の硬度は高くなる。また、1.03を超えるとスポンジ硬度が75を超えて好ましくなく、0.7より低いと未硬化物が得られるために好ましくない。
ポリオールが3官能基の場合は、ポリイソシアネートの官能基は2以上のものと反応させ、NCO/OHは0.7〜0.5の範囲であり、NCO/OHが高いほど得られる組成物の硬度は高くなる。
また、0.7を超えるとスポンジ硬度が75を超えて好ましくなく、0.5より低いと未硬化物が得られるために好ましくない。
これら官能基2のポリオールと官能基3のポリオールは単独で用いることができるし、
またはこれらの2種以上を混合して用いることもでき、この場合のNCO/OHは1.03〜0.5の間で、所定の硬度を発現させるための適宜の値を取ることができる。
ここで、前記(B)イソシアネート成分と(A)ポリオール成分との間のウレタン化反応を行わせるに当たって、適宜のウレタン化触媒を用いることができる。
このウレタン化触媒としては、第3級アミン化合物や有機金属化合物等の公知の触媒を用いることが可能である。
例えば、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルブタンジアミン、ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)及びDBU塩、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、オクチル酸鉛、ラウリル酸ジブチル錫等が好適である。
ただし、このウレタン化触媒を用いることは本発明の必須の要件ではない。
また、本発明による必須成分としてのポリウレタン樹脂は単体として用いることもできるが、以下に示す成分を添加することができる。
まず、可塑剤を添加することができる。この可塑剤は、主成分としての前記(B)イソシアネート成分および(A)ポリオール成分の合計量100質量部当たり50質量部未満に限って混合することができる。
この可塑剤を添加すると、その添加量が多くなるに応じて得られる軟質組成物の硬度は低下し、防振性(tanδ)が大きくなるために防振性能上では好ましい。
従って、この可塑剤の添加によって組成物硬度をある程度制御することが可能になる。
ただし、可塑剤を15質量部以上添加すると、組成物の機械的特性を著しく損ない、硬度の低下と圧縮永久歪と圧縮クリープ変形量が大きくなる。
また、可塑剤を原因とするブリードを起こしやすくなる。
適用可能な可塑剤の種類としては、通常のポリウレタン樹脂用の可塑剤、例えばジ−エチルヘキシルフタレート、ジ−イソノリルフタレート(DINP)、ジブチルフタレート、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート(TMCPP)、ヘキサモールディンチ(BASF社製)(DINCH)等が挙げられる。
また、組成物の耐久性,安定性の向上を図るために、安定剤として、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤等を、支障のない限りにおいて、1種または2種以上混合して用いることもできる。
さらに、前述したもの以外にも、顔料、染料、難燃剤、消泡剤、分散剤、表面改質剤、水分吸着剤等を適宜添加することも可能である。
而して、原料として用いられるポリオール成分およびポリイソシアネート成分は、それぞれ常温、もしくは加温した状態で、これら2成分を混合する。
前述の各成分を十分に混合したのち真空下で脱泡して、常温〜120℃の金型に流し込み、常温〜120℃で2日〜2時間ウレタン化反応を起こさせる。
しかる後に金型から取り出すことによってウレタン樹脂から構成された軟質組成物である制振部材が得られる。
以下、実施形態の制振部材を表1及び表2によって具体的に説明する。
なお,表1、表2に示す各素材は次のとおりである。
(1)官能基数が2で、末端に1級ヒドロキシル基を有するポリオール
表中番号1−1:β−メチル−δ−バレロラクトン系ポリオール(官能基数2、分子量1000)
表中番号1−2:β−メチル−δ−バレロラクトン系ポリオール(官能基数2、分子量2000)
(2)官能基数が3で、末端に1級ヒドロキシル基を部分的に有するポリオール
表中番号2−1:ポリオキシポリプロピレン(末端部分エチレン)トリオール(官能基数3、分子量6500)
表中番号2−2:ポリオキシポリプロピレン(末端部分エチレン)トリオールとラジカル重合タイプのポリマーをブレンドしたもの(官能基数3、分子量6010)
(3)イソシアネート
表中番号4−1:ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(官能基数2.7)
表中番号4−4:ジフェニルメタンジイソシアネートとポリオキシプロピレントリオール(分子量5000)を反応させたプレポリマー(末端活性イソシアネート基残量9.0質量%)
(4)その他の添加剤
表中番号5−1:触媒:ラウリル酸ジブチル錫
表中番号5−2:可塑剤:ジオクチルフタレート
表中番号5−3:消泡剤:商品名 シリコン消泡剤SAG471(日本ユニカ)
<制振部材の製造方法>
以上の素材を表に示す処方に従ってホモジナイザー(3000rpm/min)で60秒間混合することにより反応を開始させて、その混合物を真空中で脱泡し、更にその混合物をシリコーン製オープン金型に注型して、表中の所定温度で所定時間反応を継続したのち脱型し、引き続き常温で7日間養生することによって、上部直径2.3cm、下部直径3.0cm,高さ2.5cmの円錐台形状の組成物(制振部材)を得た。
なお、表中の「ゴム硬度」は、JIS K6301に準じてバネ式ゴム硬度計を用いて測定した結果の数値である。
「スポンジ硬度」は、JIS S6050に準じてバネ式スポンジ硬度計を用いて測定した結果の数値である。スポンジ硬度は10〜75、好ましくは15〜70である。
tanδは0.20〜0.60、好ましくは0.30〜0.55である。
<作用>
次に、本実施の形態に係る振動低減装置10の作用を以下に説明する。
本実施の形態によれば、空洞を有する制振低減機能を有する制振部材13が5個配置されており、さらに、この制振部材13を介在した上部安定板11と下部安定板12とで振動低減装置10が構成されている。
従って、本実施の形態では、上記の製造方法より形成された制振部材13を採用しているので、例えば、水平方向の応力が外部から付与された場合には、下部安定板の上の制振部材が曲がって、制振部材13が横方向に変位して制振させることができる。
軟質組成物からなる制振部材13は、比較的に低いバネ定数を有するので減衰効果が生じ、この結果として制振特性を有するようになる。
なお、横振動が強く制振部材13の横揺れが強くなるほど制振部材13のバネ定数が下がり、固有振動数が小さくなる。
これは,制振部材の曲げモードの弾性率は測れないが、引張弾性率が圧縮弾性率の1/4程度なので,曲げモードで動くと弾性率が見かけ上小さくなる。
一般に、固有振動数(f0)は、以下のようにして求められる。
f0:固有振動数
K:バネ定数
m:質量、とすると、
バネと質量の運動方程式から、
f0=(1/2π)×√(K/m)なので、制振部材のKを小さくすればf0を小さくできる。
上記の関係式を勘案した制振部材を用いた本実施の形態に係る振動低減装置10によれば、地震が生じた場合でも、上部安定板11と下部安定板12、及びこれらの間に並列的に配置されて弾性変形する制振部材13との間の、複合的な作用で振動を低減し、振動を低減させることができる。
すなわち、実施形態の振動低減装置10によれば、上部安定板11と下部安定板12との間に、軟質組成物から成る制振部材13を用いた複数個介在させたので、上部安定板11又は下部安定板12に伝達された振動は、振動低減装置10により振動の伝達が低減される。
<実施形態2>
実施形態2の振動低減システムは、図4〜図7に示すように、実施形態1の振動低減装置の上部安定板の上に自在継手を搭載したもので、さらに曲げモード挙動の発現を大きくしたものである。
すなわち、実施形態2の振動低減システムは、図4に示すように、例えば、振動低減装置の下部安定板12を地盤21に当接させ、上部安定板11の上に自在継手22を搭載し、その自在継手22の上部を固定物23の下部に当接するようして使用する。
固定物としては、精密測定装置など振動の影響をきらう機器、例えば、建築物や、電子描画装置やステッパなどの半導体製造装置、電子顕微鏡装置などが挙げられる。
なお、実施形態2の振動低減システムは、固定物23の下部の四隅に4台の振動低減システム20を取り付けた構成になっているが、振動低減システム20を3台や5台など、上部安定板11の上に搭載する搭載物の質量や大きさなどによって適宜決められる。
なお、図8に示すように、自在継手22の中心軸24は、その下に配置した制振部材13が等間隔に配置された円形(図5では破線で示した円25)の中心軸と一致する。
図5の破線で示した円25は、振動低減装置10の下部安定板12に配置された複数の制振部材13の下面の中心を通る円であり、その円の中心が自在継手22の中心軸24と一致するように、上部安定板11の上に自在継手22を取り付けている。
このように、振動低減装置の上部安定板の上に自在継手を組み合わせた実施形態2の振動低減システムは、上部安定板の上に自在継手を搭載することによってさらに搭載物の振動を吸収することができる。
<実施例>
次に、本発明の振動低減装置を用いて振動を測定した実施例について、図8を用いて説明する。以下の試験装置を用いた。
振動試験器:IMV(株)VS−500−4
実験モーダル解析システム:小野測器(株)DS−2000
振動条件は以下の通りである。
測定周波数:水平及び垂直5〜360Hz、
加振加速度:水平(0.5G)、垂直(1G)の2種類、
掃引速度:1oct/min、対数掃引(5〜360Hz、毎分1オクターブ/12半音ずつ倍々に上げる)
制振部材:表1のAの制振部材(スポンジ硬度=33、tanδ=0.31)
圧縮弾性率は引張弾性率の約4倍のものを使用した。
引張弾性率=0.91kg/cm(15%ひずみ)
圧縮弾性率=3.5kg/cm(15%ひずみ)
制振部材は、上端部直径2.3cm、下端部直径3.0cm、高さ2.5cmの円錐台形状とした。
この制振部材を、隣接する制振部材同士が接触しないように隙間を空けて、下部安定板の中心から直径8cmで描いた円周上に5個配置し、直径が10cm、厚さが1cmの上部安定板と下部安定板とで狭持して振動低減装置を構成した。
そして、振動低減装置の上に直接荷重8.67kg重を搭載して水平方向、垂直方向に振動させた。
水平方向には加振加速度0.5Gとし、垂直方向には加振加速度1.0Gとした。
なお、図8において、(a)は加振加速度0.5Gで水平方向に加振したデータであり、(b)は加振加速度1.0Gで垂直方向に加振したデータである。
また、(a)、(b)のグラフにおいて、(X)は制振部材の形状を図3(a’)のもの5個を円形状に並べたものであり(図1の形態)、(Y)は制振部材の形状を独立した形状ではなく円環状にしたものである。
図8(a)のグラフから分かるように、隣接する制振部材に接触しないように隙間を空けて円形状に配置した(X)は、水平加振周波数が5〜20Hzの範囲でf0(固有振動数)のピークが出ず、加速度の値は0(dB)から−40(dB)に下降し、20Hz以上でもさらに−40(dB)以下に下降している。地震の揺れなど低周波数の振動の伝達に対しその振動を低減させる効果がある。
なお、円環状の制振部材(Y)は水平加振周波数が5〜20Hzの範囲で、0(dB)程度の加速度を示し、またピークが8(dB)出ていた。これは、(X)では、制振部材に接触しないように隙間を空けて円形状に配置されており、1つ1つの制振部材が変形してそれぞれが独立して振動を低減させる作用をもたらすが、(Y)では、制振部材にリングとして一体的に形成されているので、1つ制振部材として剪断のみで振動を低減させる作用をもたらすためであろうと推測される。
また、図8(b)のグラフから、垂直方向の加振に対しても、隣接する制振部材に接触しないように隙間を空けて円形状に配置した(X)は、水平加振周波数が5〜20Hzの範囲で、加速度の値のピークは12(dB)以下であり、20Hz以上ではプラスの領域が現れていないので、地震の揺れなど低周波数の振動の伝達に対しその振動を低減させる効果がある。
なお、円環状の制振部材(Y)は垂直加振周波数が5〜60Hzの範囲で、0(dB)以上、またf0(固有振動数)ピークが14(dB)程を示している。
本発明の振動低減装置は、振動したときにバネ定数を見かけ上小さくし、固有振動数を小さくし、伝達率を下げることができるので、半導体製造装置、例えば電子描画装置、ステッパ、電子顕微鏡装置を搭載する除振床などに適用できる。
10:実施形態1の振動低減装置
11:上部安定板
11a:凹部
12:下部安定板
12a:凹部
13:制振部材
13a:空洞
D1:上部安定板の直径
D2:下部安定板の直径
20:実施形態2の振動低減システム
21:地盤
22:自在継手
23:固定物
24:自在継手の中心軸
25:制振部材が等間隔に配置された円形
(1)本発明の振動低減装置は、
隣接する制振部材に接触しないように隙間を有して円形状に配置した弾性変形可能な複数の制振部材を、一対の上部安定板と下部安定板とで狭持して構成した振動低減装置であって、
前記複数の制振部材は、下部安定板の中心から等距離で描いた円周上にのみ等間隔で独立して配置されていることを特徴とする。
(2)本発明の振動低減装置は、上記(1)において、
前記制振部材が、円柱、円錐台、角柱、角錐台、樽形又は逆円錐台形状のものであることを特徴とする。
(3)本発明の振動低減システムは、上記(1)又は(2)において、前記振動低減装置の上部安定板の上に自在継手(ユニバーサルジョイント)を搭載するとともに、前記自在継手の中心軸は、その下に配置された制振部材の円形の中心軸と一致することを特徴とする。

Claims (3)

  1. 隣接する制振部材に接触しないように隙間を有して円形状に配置した弾性変形可能な複数の制振部材を、一対の上部安定板と下部安定板とで狭持して構成したこと特徴とする振動低減装置。
  2. 前記制振部材が、円柱、円錐台、角柱、角錐台又は太鼓型形状のものであることを特徴とする請求項1に記載の振動低減装置。
  3. 前記振動低減装置の上部安定板の上に自在継手を搭載するとともに、
    前記自在継手の中心軸は、その下に配置された制振部材の円形の中心軸と一致することを特徴とする振動低減システム。
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