JPH07234685A - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JPH07234685A
JPH07234685A JP6027016A JP2701694A JPH07234685A JP H07234685 A JPH07234685 A JP H07234685A JP 6027016 A JP6027016 A JP 6027016A JP 2701694 A JP2701694 A JP 2701694A JP H07234685 A JPH07234685 A JP H07234685A
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貴幹 原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 波形メモリから発音すべき楽音の波形を読み
出す波形メモリ読み出し型電子楽器に関し、楽音波形を
生成する楽音波形生成回路が小型である電子楽器を提供
することを目的とする。 【構成】 第1の発音チャンネルと第2の発音チャンネ
ルを含む複数の発音チャンネルと、アドレスの関数とし
て楽音波形の波形振幅値を記憶する波形メモリ(8)
と、切換信号に応じて第1の発音チャンネルと第2の発
音チャンネルを交互に指定するカスケード手段(6)
と、カスケード手段にて指定される発音チャンネルに対
応して、波形メモリから波形振幅値を読み出すためのア
ドレスを発生し、所定アドレスに達した時切換信号を発
生するアドレス発生手段(7)とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子楽器に関し、特に波
形メモリから発音すべき楽音の波形を読み出す波形メモ
リ読み出し型電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】電子楽器における楽音波形発生回路は、
時間と共に変化する位相データに従い、楽音波形の各位
相角点における波形振幅値のデータを順次発生する回路
である。波形メモリ読出方式の楽音波形発生回路は、楽
音波形の各位相角点における波形振幅値を波形メモリに
記憶しておき、位相データに従い波形メモリから波形振
幅値を順次読み出す。
【0003】楽音波形は、一般に楽音が開始し、変化し
つつ一定の状態に達する立上り部(以下、アタック部と
呼ぶ)とその後の一定の状態を表す繰返し部(以下、ル
ープ部と呼ぶ)を有する。アタック部は、楽音発生時に
楽音波形の波形振幅値が0から立上り、オーバシュート
した後所定の振幅値まで減衰する波形部等を含む。
【0004】楽音波形発生回路の中には、アタック部の
全波形とループ部の少なくとも1周期の波形を波形メモ
リに記憶させているものがある。楽音波形発生回路は、
波形メモリからノートオン信号に応じてアタック部を1
回通り読み出し、続いてループ部を繰返し読み出す。ア
ドレスのインクリメントはアドレスカウンタによって行
う。
【0005】波形メモリにおいて、アタック部が記憶さ
れている開始アドレスをアタックスタートアドレス、ル
ープ部が記憶されている開始アドレスをループスタート
アドレス、ループ部が記憶されている最終アドレスをル
ープエンドアドレスとしたとき、楽音波形発生回路は波
形メモリから楽音波形を読み出すために、少なくともア
タックスタートアドレス、ループスタートアドレス、ル
ープエンドアドレスの3つのアドレスを指定する必要が
ある。
【0006】アタックスタートアドレスから波形振幅値
の読み出しを開始し、アドレスカウンタでアドレスを増
大させながらアタック部の読み出しを行う。そして、ア
タック部の読み出しが終了した時は、そのまま続けてル
ープ部の読み出しを行う。ループ部の最後を示すループ
エンドアドレスから波形振幅値が読み出された時は、ル
ープスタートアドレスに戻って、再びループ部の読み出
しを行う。ループエンドアドレスに達した時はループス
タートアドレスに戻すことにより、ループ部を繰返し読
み出すことができる。
【0007】ループスタートアドレスを相対アドレスの
0とし、アタックスタートアドレスを−LA、ループエ
ンドアドレスを+LLとすれば、アドレスカウンタはま
ず−LAから+LLまでカウントし、+LLに達した時
は0に戻ればよい。この方式では、楽音の読み出しのた
めに再生ピッチに応じた速さでアドレスを増加させるア
ドレスカウンタは、−LAから+LLまでの範囲をカウ
ントできれば良いことになり、波形メモリ全アドレス空
間をカウントできるアドレスカウンタに比べ、アドレス
カウンタのビット数を少なく、すなわち構成を小さくで
きる。また、ループのスタートポイントを相対アドレス
0とすることでアドレスカウンタのカウント値をループ
エンドからループスタートに戻すための回路が簡単にな
る。ループ部に合わせて相対アドレスのビット数を小さ
くすると長いアタック部は読み出せない。長いアタック
部を読み出すのに十分なビット数の相対アドレスを用い
ると過剰なループアドレス領域を使用することになる。
ビット数も増加する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】アドレス発生器が生成
するアドレスの範囲は、波形メモリに記憶される楽音波
形が長くなるほど広い範囲が必要となる。アドレスの範
囲が広くなると、アドレス発生器が生成するアドレス信
号のビット数が増える。アドレス発生器は、ディジタル
信号線やディジタル演算器のビット数の増加に伴い、大
型化または高価になる。
【0009】本発明の目的は、楽音波形を生成する楽音
波形生成回路が小型である電子楽器を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の電子楽器は、第
1の発音チャンネルと第2の発音チャンネルを含む複数
の発音チャンネルと、アドレスの関数として楽音波形の
波形振幅値を記憶する波形メモリと、切換信号に応じて
第1の発音チャンネルと第2の発音チャンネルを交互に
指定するカスケード手段と、カスケード手段にて指定さ
れる発音チャンネルに対応して、波形メモリから波形振
幅値を読み出すためのアドレスを発生し、所定アドレス
に達した時切換信号を発生するアドレス発生手段とを有
する。
【0011】
【作用】各発音チャンネル毎に波形メモリの限られた領
域(アドレス範囲)しか連続して読み出せないアドレス
発生手段を用いた電子楽器であっても、波形メモリを読
み出すチャンネルを第1の発音チャンネルと第2の発音
チャンネルとの間で交互に交代させることにより、1発
音として該限られた領域よりも広い領域にわたり記憶さ
れている波形を読み出し、再生することができる。逆の
見方をすれば、該アドレス発生手段として、各発音チャ
ンネルで一度に連続して読み出す領域を小さく設計する
ことができる。小さなアドレス領域内のアドレスを順次
指定することは、少ないビット数の相対アドレスを用い
ることによって行え、小さなアドレスカウンタ、小さな
相対アドレスレジスタ等の構成を可能にする。また、こ
の相対アドレスの伝達は少ないビット線数で行える。つ
まり、アドレス発生手段は、演算器の桁数やディジタル
信号線の数を増やすことなく、長い楽音波形のアドレス
を生成することができる。
【0012】
【実施例】図1は、本発明の実施例による電子楽器の全
体構成例を示すブロック図である。
【0013】鍵盤3は、演奏を行うための複数の鍵を有
し、鍵が押鍵や離鍵等されると、キーオン信号、キーオ
フ信号、音高情報、押鍵速度または押鍵圧力等の鍵操作
情報の信号を出力する。
【0014】パネルスイッチ1は、演奏者のスイッチ操
作により、音量調整、音色選択又は種々の効果付与、変
調等を行う指示信号を出力する。マイコン4は、パネル
スイッチ1等により選択された音色等を表示器2に表示
する。表示器2は、例えば液晶表示器等である。
【0015】マイコン4は、パネルスイッチ1から音色
情報等を検出し、鍵盤3から発音指示を示すノートオン
信号、音高情報、押鍵速度、押鍵圧力等を検出し、検出
したノートオン信号等の1組の発音指示信号に、時分割
16チャンネルの発音チャンネルの内から2つの発音チ
ャンネルAch,Bchを割り当て、I/Oレジスタ5
内のレジスタに格納する。また、波形メモリの読み出し
アドレスも供給する。
【0016】I/Oレジスタ5は、ノートオン信号の状
態を格納するためのレジスタ、アドレス発生器7がカウ
ントを開始するスタートアドレスを格納するレジスタ等
を有する。各レジスタは、発音チャンネルの数だけ備え
られている。I/Oレジスタ5は、マイコン4により読
込みまたは書込みが行われる。
【0017】アドレス発生器7は、時分割回路であり、
I/Oレジスタ5内のレジスタに格納されているスター
トアドレスを基にしてアドレスのカウントを行い、アド
レスの整数部ADNと小数部ADFを生成する。波形メ
モリ8は、整数部アドレスADNを受けて、波形の振幅
値DATAを補間回路9に出力する。補間回路9は、小
数部アドレスADFに応じて波形振幅値DATAの補間
を行い、波形振幅値の補間値IDATAを生成する。
【0018】図2は、アドレス発生器において生成され
るアドレスを示す。アドレス発生器は、各チャンネルに
対してI/Oレジスタ内のレジスタに格納されているス
タートアドレスを基にしてアドレスの生成を開始する。
【0019】ここで、マイコンにより指定された2つの
発音チャンネルAchとBchのアドレスの生成を図2
(A)と図2(B)に示す。まず、スタートアドレスA
S0から始まるアタック部AA1のアドレスを時分割A
chにおいて生成する。アタック部AA1では、アドレ
スAS0からアドレスAS0+Lまで増加するアドレス
が生成され、アドレス発生器は所定値Lのアドレス幅だ
けカウントを行う。
【0020】図1において、アドレス発生器7は、Lだ
けカウントを行った後に信号AENDを生成し、カスケ
ード回路6に出力する。カスケード回路6は、後述する
I/Oレジスタ内のカスケードレジスタ21がオン、す
なわち1に設定されている場合、信号AENDを受けて
信号PC1,PC2を生成し、アドレス発生器7に出力
する。
【0021】アドレス発生器7は、信号PC1,PC2
を受けるとアドレスを生成するチャンネルを切換え、ス
タートアドレスAS0+Lから始まるアタック部AB1
のアドレスをBchにおいて生成する。アタック部AB
1では、所定値Lのアドレス幅のカウントが行われ、ア
ドレスAS0+LからアドレスAS0+2Lまで増加す
るアドレスが生成される。アドレス発生器7は、図2
(D)に示すようにLのアドレス幅のカウントを行った
後に信号AENDを生成し、カスケード回路に出力す
る。カスケード回路は、信号PC1,PC2をアドレス
発生器に出力する。
【0022】その後、アドレス発生器は、Achにおい
てLだけカウントを行い、アドレスAS0+2Lからア
ドレスAS0+3Lまでのアタック部AA2のアドレス
を生成し、BchにおいてアドレスAS0+3Lからア
ドレスAS0+4Lまでのアタック部AB2のアドレス
を生成する。
【0023】図2(C)に示すカスケード信号は、鍵盤
から検出されるノートオン信号の発生と同時にオンとな
る。カスケード信号がオンの間、カスケード回路は信号
AENDをアドレス発生器から受けると信号PC1,P
C2を生成する。アドレス発生器は、信号PC1,PC
2を受けてアドレスを生成する発音チャンネルの切換え
を行う。
【0024】アドレス発生器が、アタック部AB2のア
ドレスを生成し終わると、AchにおいてLのアドレス
幅のアドレスAS0+4LからアドレスAS0+5Lま
でのアタック部AA3のアドレスを生成する。最後のア
タック部の読み出し開始と同時に、カスケードレジスタ
21のカスケード信号はマイコンによりオフとなる。
【0025】アドレス発生器は、アタック部AA3のア
ドレスを生成し終わると、信号AENDを生成するが、
カスケード信号がオフになっているので、発音チャンネ
ルの切換えは行わずに、Achにおいて引き続きループ
部AL0のアドレスを生成する。AchとBchの波形
を合成すると図2(E)に示す累算波形となる。
【0026】以上のように、アドレス発生器において生
成されるアドレスは、アタック部とループ部からなり、
アタック部についてはAA1、AB1、AA2、AB
2、AA3の5つに分けてアドレスの生成を行う。5つ
に分けられたそれぞれのアタック部は、スタートアドレ
スからの相対アドレスで表されるので、所定値Lのアド
レス幅のカウントを行うだけで済む。アタック部を分割
してAchとBchで交互にアドレスを生成することに
より、アドレスカウントのビット数と較べてアタック部
がどんなに長くてもアドレスの生成を行うことができ
る。
【0027】図1において、カスケード回路6は、再生
チャンネルPCHと待機チャンネルWCHをエンベロー
プ発生器10に供給する。再生チャンネルPCHは、ア
ドレス発生器7においてアドレスの生成が行われる発音
チャンネルであり、待機チャンネルWCHは、Achま
たはBchの内再生チャンネルPCHでない方の待機中
チャンネルである。
【0028】エンベロープ発生器10は、I/Oレジス
タ5から読み出される音量情報や音色情報等に応じて同
一の楽音の立上がりや減衰の特性を示すエンベロープE
NVをAchとBchにおいて生成する。
【0029】図3は、図1のエンベロープ発生器10に
て生成されるエンベロープを表す波形である。図3
(E)に示すように再生チャンネルPCHは最初Ach
であり、待機チャンネルWCHはBchである。図3
(F)のノートオン信号の発生と同時に図3(G)のカ
スケード信号がオンになり、エンベロープの生成が開始
する。
【0030】まず、Achにおいて図3(A)に示すエ
ンベロープ部EA1が生成される。エンベロープ部EA
1が生成されている間は、Achのミュート信号がオフ
に(図3(B))、Bchのミュート信号がオンになる
(図3(D))。エンベロープ部EA1はAchにおい
てのみ生成され、Bchにおいてはミュート信号のオン
によってエンベロープが抑制される。
【0031】アタック部の1回分の読み出しが終了する
と、カスケード回路にて再生チャンネルPCHはAch
からBchに切換わり、Achのミュート信号がオン
に、Bchのミュート信号がオフになる。図3(C)の
エンベロープ部EB1はミュート信号がオフになったB
chにおいてのみ生成され、Achにおいてはミュート
信号オンによってエンベロープが抑制される。
【0032】その後、再生チャンネルPCHが切換わ
り、エンベロープ部EA2はAchにおいてのみ生成さ
れ、続くエンベロープ部EB2はBchにおいてのみ生
成される。
【0033】エンベロープ部EB2の生成が終了した
後、再生チャンネルPCHが切換わりAchにおいてエ
ンベロープ部EA3の生成が行われると同時に、カスケ
ード信号はマイコンによりオフとなる。カスケード信号
がオフになると、再生チャンネルは切換わらず、Ach
において引き続きループ部のエンベロープが生成され
る。ノートオン信号がオフになると、その後リリース部
のエンベロープが生成される。
【0034】以上のように、再生チャンネルPCHの発
音チャンネルではミュート信号をオフにして、待機チャ
ンネルWCHではミュート信号をオンにすることによ
り、エンベロープはAchとBchとの間で交互に生成
される。
【0035】図1において、乗算器11は、補間された
波形振幅値IDATAとエンベロープENVとの乗算を
行い、エンベロープが付与された楽音信号EDTが生成
される。波形振幅値IDATAが生成される発音チャン
ネルとエンベロープが生成される発音チャンネルとは一
致しており、波形振幅値IDATAとエンベロープEN
Vの乗算が行われると、エンベロープが抑制されている
ときの波形振幅値は消去される。
【0036】累算器12は、乗算器11から供給される
エンベロープ付与済みの楽音信号EDTに対して時分割
タイミングを解除して、AchとBchから1つの楽音
信号を発生させる。なお、16の発音チャンネルの他の
チャンネルの楽音信号もこの時に合成される。
【0037】波形振幅値は、図2(E)に示すようにA
chの波形とBchの波形が累算器により、1つの累算
波形に合成され、分割されていたアタック部が連続した
1つの波形になる。エンベロープは、図3(H)に示す
ようにAchのエンベロープとBchのエンベロープが
累算器により、1つの累算エンベロープに合成される。
【0038】合成された楽音信号は、D/A変換器13
において、ディジタル信号からアナログ信号に変換され
る。変換されたアナログ楽音信号は、サウンドシステム
14において発音される。
【0039】図4は、図1に示すカスケード回路6の構
成を示すブロック図である。I/Oレジスタ20は、図
1のI/Oレジスタ5の一部であり、カスケード信号を
格納するカスケードレジスタ21、ノートオン信号を格
納するノートオンレジスタ22、読出しレジスタ23、
2つの発音チャンネルAchとBchのチャンネル番号
を格納するAch指定レジスタ24およびBch指定レ
ジスタ25を有する。
【0040】マイコンは、ノートオン信号等の発音指示
信号の発生に応じて、Ach指定レジスタ24に16チ
ャンネル中から1つの発音チャンネル(Ach)を格納
し、Bch指定レジスタ25にAchとは異なる1つの
発音チャンネル(Bch)を格納する。
【0041】タイミング発生回路26は、チャンネル番
号0から15までの16のクロックに対して、Ach指
定レジスタ24に格納されているAchのクロックにお
いてのみ信号“1”を生成し、その他のチャンネルのク
ロックにおいては信号“0”を生成する。タイミング発
生回路27は、Bch指定レジスタ25に格納されてい
るBchのクロックにおいてのみ信号“1”を生成し、
その他のチャンネルのクロックにおいては信号“0”を
生成する。
【0042】セレクタ28は、ステート発生回路29か
ら供給されるステート信号ST1が1のとき、タイミン
グ発生回路26から供給されるAchを出力端子O1か
ら出力し、タイミング発生回路27から供給されるBc
hを出力端子O2から出力する。ステート信号ST1が
0のときは、Achを出力端子O2から出力し、Bch
を出力端子O1から出力する。
【0043】セレクタ28の出力端子O1から出力され
る発音チャンネル番号が再生チャンネルPCHであり、
出力端子O2から出力される発音チャンネル番号が待機
チャンネルWCHである。
【0044】カスケードオンレジスタ21には、鍵盤か
ら検出されるノートオン信号に応じて、カスケードオン
信号が格納される。カスケード信号は、ステート発生回
路29に供給される。ステート発生回路29は、カスケ
ードオン信号を受けているときのみ動作する。ノートオ
ンレジスタ22に格納されているノートオン信号がオン
になると、ステート発生回路29はセットされ、ステー
ト信号“1”をセレクタ28に供給する。セレクタ28
は、ステート信号“1”を受けて、再生チャンネルPC
HをAchとし、待機チャンネルWCHをBchとす
る。読出しレジスタ23は、ステート発生回路29が生
成するステート信号ST1を記憶する。
【0045】図1に示すアドレス発生器7は、所定値ま
でアドレスをカウントした後に信号AENDを生成し、
カスケード回路のラッチ32に出力する。信号AEND
は、時分割信号である。
【0046】ラッチ32は、再生チャンネル信号CL1
が示すチャンネル番号のタイミングで、時分割信号AE
NDをラッチする。ラッチ32にてラッチされた信号A
ENDは、ステート発生回路29の反転端子に入力され
る。反転端子に信号が入力されると、ステート発生回路
29はステート信号ST1を反転させる。ステート信号
ST1が反転して1から0になると、セレクタ28はA
chを待機チャンネルWCHとし、Bchを再生チャン
ネルPCHとする。
【0047】パルス発生回路31は、供給されるカスケ
ード信号がオンのときのみ動作する。パルス発生回路3
1は、ラッチ32にてラッチされる信号AENDに応じ
て、再生チャンネルPCHに対応する信号PC1と待機
チャンネルWCHに対応する信号PC2を生成する。信
号PC1は、信号AENDが1になったときの時分割タ
イミングの再生チャンネル番号(PCH)のクロックで
1を生成する。信号PC2は、信号PC1の次の時分割
タイミングにおける待機チャンネル番号(WCH)のク
ロックで1を生成する。生成された信号PC1と信号P
C2は、ノートオンレジスタ22に記憶されるノートオ
ン信号を制御する。
【0048】図5は、カスケード回路において生成され
る信号PC1とPC2のタインミングを示す。図1にお
いてエンベロープが付与された楽音信号は、累算器12
において時分割が解除され、D/A変換器(DAC)1
3において、ディジタル信号からアナログ信号に変換さ
れる。DACの処理サイクルiは16の発音チャンネル
の時分割信号を含む。DACサイクルは、サイクルi、
サイクルi+1、サイクルi+2の順番で移行する。
【0049】発音チャンネル番号chは0から15まで
あり、AchはAch指定レジスタにて例えば11ch
に指定され、BchはBch指定レジスタにて例えば3
chに指定される。DACサイクルiでは、Achが再
生チャンネルPCHであり、Bchが待機チャンネルW
CHであるとする。再生チャンネルPCHがAchであ
るときには、図4のカスケード回路中のステート発生回
路29から出力されるステート信号は“1”であり、D
ACサイクルiの期間中は信号“1”を保持しつづけ
る。
【0050】ステート信号は時分割信号ではなく、信号
AENDと信号PC1と信号PC2は発音チャンネル毎
の時分割信号である。信号AENDは、図1のアドレス
発生器7においてアドレスを所定値までカウントした後
に、DACサイクルiにおいて生成される。DACサイ
クルiにおける再生チャンネルPCHはAchであるの
で、信号AENDはDACサイクルiにおけるAch
(11ch)において“1”の信号が発生する。
【0051】信号AENDは、図4のカスケード回路中
のラッチ32において、再生チャンネルPCHのタイミ
ングでラッチされる。再生チャンネルPCHはAchで
あるので、DACサイクルiのAchのタイミングで信
号AENDをラッチすると、信号“1”が得られ、図4
のパルス発生器31において信号PC1と信号PC2が
生成される。
【0052】信号PC1は、信号AENDと同じく、D
ACサイクルiにおけるAchにおいて発生する。つま
り、信号PC1は、DACサイクルiにおける再生チャ
ンネルのクロックで発生する。
【0053】信号PC2は、信号AENDが発生したD
ACサイクルiの次のサイクルi+1における待機チャ
ンネルWCHのクロックで信号“1”が発生する。待機
チャンネルWCHは、Bchであるので、信号PC2
は、DACサイクルi+1におけるBchにおいて発生
する。
【0054】ステート信号は、DACサイクルiにおい
て信号“1”である。再生チャンネル(Ach)におい
て信号AENDが発生すると、図4のステート発生回路
29はステート信号ST1を反転する。ステート信号
は、DACサイクルi+1において信号“1”から
“0”に反転する。ステート信号が“0”になることに
より、図4のセレクタ28はDACサイクルi+1にお
いてBchを再生チャンネルPCHとし、Achを待機
チャンネルWCHとする。
【0055】DACサイクルi+2において、信号AE
NDが発生しなければ、信号PC1と信号PC2は発生
せず、ステート信号も反転しない。図4において、割込
み信号発生回路30は、カスケードオンレジスタ21に
格納されているカスケードオン信号がオンになっている
ときのみ動作し、ラッチ32にてラッチされる信号AE
NDが1になると、図1に示すマイコン4に割込み信号
を供給する。マイコン4は、割込み信号を受けると、発
音チャンネルのレジスタの書き換え等の準備設定を行
う。
【0056】図6は、図1に示すアドレス発生器7の構
成を示す回路図である。アドレス発生器は、波形メモリ
中の波形振幅値を指定するアドレスを生成する。生成す
るアドレスは、基本的にはアタックスタートアドレスか
ら開始し、順次アドレスを加算して一旦ループスタート
アドレスを通過して、ループエンドアドレスまで達した
らループスタートアドレスに戻り、アドレスの加算を再
開しループ部のアドレスを繰返し生成する。カスケード
動作の時は、アタックスタートアドレスからループスタ
ートアドレス直前までのアタック部のアドレスをAch
とBchとの間で交互に生成する。以下に説明する信号
は、全て発音チャンネル毎の時分割信号である。
【0057】I/Oレジスタ40は、図1のI/Oレジ
スタ5の一部であり、ループスタートレジスタ(LS
A)41、ノートオンレジスタ(NON)42、アタッ
クスタートレジスタ(ASR)43、ループエンドレジ
スタ(LER)44およびFナンバレジスタ(FN)4
5を有する。
【0058】ループスタートレジスタ(LSA)41
は、発音チャンネル毎に備えられ、アドレスのカウント
を始める基準になる開始アドレスLSが格納されてい
る。開始アドレスLSは、22ビットで表される整数部
のみからなる絶対アドレスであり、初期化時には、再生
チャンネル(Ach)のレジスタにはAS0+Lの値が
格納され、待機チャンネル(Bch)のレジスタにはA
S0+2Lの値が格納され、その後書き換えが行われ
る。
【0059】アドレスAS0は、波形メモリに記憶され
ている楽音波形のアタックスタートアドレスである。所
定値Lは、カウントが行われる相対アドレスの幅を示
す。アタックスタートレジスタ(ASR)43は、発音
チャンネル毎に備えられ、16ビットで表される相対ア
ドレスASを格納している。なお、カスケード動作を行
う発音チャンネルでは、相対アドレスASとして所定値
−Lを格納する。ループエンドレジスタ(LER)44
は、発音チャンネル毎に備えられ、楽音波形のループエ
ンドアドレスを示す相対アドレスLEを格納している。
ループエンド相対アドレスLEは、16ビットの整数部
と8ビットの小数部からなる相対アドレスであり、波形
メモリの絶対アドレスではなくループスタートアドレス
を0としたときの相対アドレスである。
【0060】ノートオンレジスタ(NON)42は、発
音チャンネル毎に備えられ、ノートオン信号の状態を格
納するレジスタである。Fナンバレジスタ(FN)45
は、鍵盤から検出される音高情報に応じて決まるFナン
バを格納する。Fナンバは、4ビットの整数部と16ビ
ットの小数部からなる。
【0061】パルス発生回路46は、NON42のノー
トオン信号に応じて発音チャンネル毎にノートオンパル
スNONPを生成する。ノートオンパルスNONPは、
ノートオン信号の立上り時にのみ1となる信号である。
ノートオンパルスNONPは、セレクタ49の選択端子
S3に入力される。鍵が押鍵されると、AchとBch
においてノートオン信号が発生する。
【0062】セレクタ49は、3つの選択端子S1,S
2,S3と4つの入力端子0,1,2,3を有し、選択
端子S1が選択されると入力端子1に入力される信号が
出力され、選択端子S2が選択されると入力端子2に入
力される信号が出力され、選択端子S3が選択されると
入力端子3に入力される信号が出力され、選択端子S
1,S2,S3のいずれもが選択されないときは入力端
子0に入力される信号が出力される。
【0063】ノートオン信号が発生すると、ノートオン
パルスNONPに応じてセレクタ49の選択端子S3が
選択され、セレクタ49はモード3の動作モードとな
り、アタックスタートの相対アドレスASをカウント値
CNT2の初期値として出力する。その後、正の値にな
るまでアドレスのカウントを行うとインバータ56は1
の値の信号AENDをカスケード回路に出力する。
【0064】生成された信号AENDはカスケード回路
に供給され、カスケード動作時でPCHのタイミングに
信号AENDが発生した場合、カスケード回路は信号P
C1およびPC2を生成する。生成された信号PC1
は、ラッチ53に供給され、同PCHにおけるアドレス
整数部CF3(この4ビットより上のビットはオール0
で不要)をラッチ53にラッチする。生成された信号P
C2は、セレクタ49の選択端子S2に入力され、セレ
クタ49はモード2の動作モードとなり、相対アドレス
のカウント値CNT1を出力する。
【0065】カスケード信号がオフになると、アタック
部のアドレス生成を終了した時にチャンネル切換えを行
わず、そのままループ部のアドレス生成を開始する。ル
ープ部の最後のアドレスを生成すると、セレクタ49の
選択端子S1には信号SUB2が入力され、セレクタ4
9はモード1の動作モードとなり、相対アドレスのカウ
ント値CNT1を所定値に戻して出力する。
【0066】以下、セレクタ49の各モードの動作を詳
細に述べる。図7は、アドレスの生成を開始するモード
3の動作を示すアドレス発生器である。
【0067】パルス発生回路46は、NON42のノー
トオン信号に応じてノートオンパルスNONPを生成
し、セレクタ49の選択端子S3に出力する。ノートオ
ンパルスNONPが、セレクタ49の選択端子S3に入
力されると、セレクタ49の入力端子3に入力される信
号がセレクタ49から出力される。セレクタ49の入力
端子3には、AchのアタックスタートレジスタASR
43に格納されている整数−Lにオール0の小数部が合
成ポイント57で付加されて入力される。したがって、
セレクタ49は、所定値−Lを出力する。
【0068】加算器50は、セレクタ49から出力され
た所定値−Lと、AchのループスタートレジスタLS
A41に格納されている絶対アドレスAS0+Lとの加
算を行い、絶対アドレス値AS0を出力アドレスOUT
ADとして波形メモリに出力する。絶対アドレス値AS
0は、波形メモリ中のアタックスタートアドレスであ
る。
【0069】セレクタ49から出力されるカウント値C
NT1は、16ビットの整数部と8ビットの小数部(た
だし、CNT2の16ビット小数部の上位8ビット)を
有し、LSA41に格納されているアドレス値LSは、
22ビットの整数部のみを有する。加算器50は、カウ
ント値CNT1の整数部16ビットとアドレス値LSの
整数部22ビットの加算を行い、カウント値CNT1の
小数部8ビットはそのまま出力し、出力アドレスOUT
ADを形成する。
【0070】出力アドレスOUTADの整数部22ビッ
トは、図1の波形メモリ8に供給され、小数部8ビット
は図1の補間回路9に供給される。セレクタ49から加
算器51に入力されるカウント値CNT2は、16ビッ
トの整数部と16ビットの小数部を有する。加算器51
は、セレクタ49から出力された所定値−LとFナンバ
レジスタ(FN)45の出力信号FN’の加算を行う。
図6に示すように信号FN’は、FN45に格納されて
いるFナンバとゲート54の出力信号CFLが加算器5
5で加算された信号である。信号CFLは、ゲート54
に信号PC2が供給されない限り0であるので、加算器
55の出力信号FN’はFN45に格納されているFナ
ンバの値である。信号PC2は、カスケード回路で生成
される信号である。
【0071】加算器51にて加算された信号CF1の内
の最上位ビットCF4は、インバータ56において反転
され、信号AENDが生成される。信号CF1は、最上
位ビットが1であれば負値を表し、最上位ビットが0で
あれば正値を表すので、信号AENDは、信号CF1が
負値であれば0となり、信号CF1が正値であれば1と
なる。
【0072】現在、信号CF1は、所定値−LにFナン
バを加えた値である。所定値LはFナンバに比べて大き
い値であるので、信号CF1は負値となり、信号AEN
Dは0となる。
【0073】ディレイ回路(16D)52は、加算器5
1の出力信号CF1に対して16発音チャンネル分の遅
延を行う。信号CF1は、16発音チャンネル毎の時分
割信号となっているために、ディレイ回路52は16発
音チャンネル分の遅延を行う。ディレイ回路52にて遅
延された信号CF2は、セレクタ49の入力端子0に入
力される。
【0074】セレクタ49の選択端子S3に入力される
ノートオンパルスNONPは、ノートオン信号が立上が
った時のみ1となり、すぐ0になる。ディレイ回路52
が出力を発生する時は、ノートオンパルスNONPはす
でに0となってしまっている。選択端子S2は、カスケ
ード回路にて生成される信号PC2が発生しない限り選
択されない。選択端子S1に入力される信号SUB2
は、アドレス発生器の出力アドレスOUTADが楽音波
形のループエンドアドレスにまで達するまでの間は0で
ある。
【0075】セレクタ49の選択端子S1,S2,S3
はいずれも選択されないので、入力端子0に入力される
信号CF2が出力される。セレクタ49から出力された
カウント値CNT1は、−LにFナンバが加算された値
である。加算器50は、LSA41のAchのレジスタ
に格納されている所定値AS0+Lとカウント値CNT
1を加算し、出力アドレスOUTADとして、AS0に
Fナンバが加算された値を出力する。
【0076】AS0にFナンバが加算された信号CNT
2は、再び加算器51にてFナンバと加算されてセレク
タ49に入力される。セレクタ49から出力されるカウ
ント値CNT1は、加算器50にてAS0+Lと加算さ
れ、出力アドレスOUTADが形成される。アドレス発
生器の出力アドレスOUTADは、アタックスタートア
ドレスAS0から開始し、その後アタックスタートアド
レスAS0にFナンバが累算されていく。
【0077】Fナンバの累算は、加算器51の出力信号
CF1が初期時の−Lから0以上に増加するまで続けら
れ、出力アドレスOUTADは、AS0から開始しAS
0+L付近まで増加する。信号CF1が0以上になる
と、負数から正数となって信号AENDは1となるの
で、カスケードオンの場合はここでカスケード回路にお
いて再生チャンネルPCHはAchからBchに反転す
る。以後は、カウントの基準値LSが書き換えられ、B
chの出力アドレスOUTADが生成される。
【0078】図8は、信号AENDが生成された後のセ
レクタモード2の動作を示すアドレス発生器である。生
成された信号AENDは、図4のカスケード回路のラッ
チ32に入力され、カスケード動作を行なっている場
合、パルス発生器31はまず信号PC1を、続いてPC
2を生成する。
【0079】カスケード回路にて生成された信号PC2
は、セレクタ49の選択端子S2に入力される。セレク
タ49は、入力端子2に入力される信号を出力する。セ
レクタ49の入力端子2には、ASR43のBchのレ
ジスタに格納されている所定値−Lに信号CF2の小数
部が合成ポイント58にて加算されて入力される。信号
CF2は、ディレイ回路(16D)52により遅延され
た信号であり、小数部は0にリセットされずに継続して
カウントされている。
【0080】AchとBchの2つの発音チャンネルに
は、押鍵操作により同一のタイミングでノートオン信号
が供給され、FN45にも同一のFナンバが供給される
ので、同一のタイミングで加算器51にて加算が開始さ
れる。待機チャンネルWCHにおける切換え前の信号C
F2の小数部は、切換え時に合成ポイント58にて整数
部−Lと加算されるだけであるので、切換えの前後にお
いて小数部は継続している。加算された信号は、セレク
タ49から出力され、加算器50においてBchのLS
A41に格納されているアドレス値AS0+2Lと加算
される。以下に説明するように整数部に対しても実効的
な引き継ぎが行われ、アドレス発生器の出力アドレスO
UTADは、AchからBchへ移行するときにも連続
的なアドレスが生成される。
【0081】再生中チャンネルPCHにおいて信号CF
1が0を越えると、信号AENDの発生により、カスケ
ード回路にて信号PC1と信号PC2が生成される。信
号CF3は、加算器51の出力信号CF1の内の小数部
及び整数部の上位12ビットを切り捨てて整数部4ビッ
トのみとした信号である。FN45から出力されるFナ
ンバの整数部が4ビットであるので、ラッチ53がラッ
チする整数は4ビットで十分である。ラッチ53は、信
号CF3を信号PC1のタイミングでラッチする。ゲー
ト54は、ラッチ53にてラッチされた信号を信号PC
2のタイミングで出力する。つまり、信号CF3は、再
生チャンネルが切換わる前のAchのタイミングでラッ
チされ、再生チャンネルが切換わった後のBchのタイ
ミングでゲート54から出力される。ゲート54の出力
信号CFLは、切換え前のAchのアドレスをラッチし
て、切換え後のBchにアドレスを連続して移行するた
めにゲート出力される信号である。
【0082】加算器55は、ゲート54の出力信号CF
Lの整数4ビットとFN45に格納されているFナンバ
の整数部4ビットの加算を行い、Fナンバの小数部16
ビットはそのまま加えて出力し、信号FN’を出力す
る。加算器51は、信号FN’とセレクタ49の出力で
ある所定値−Lとその時の小数部を合成した値との加算
を行い、信号CF1を生成する。信号CF1は、ディレ
イ回路52において遅延される。ディレイ回路52にて
遅延された信号CF2は、セレクタ49の入力端子0に
入力される。
【0083】セレクタ49の選択端子S2には、信号A
ENDが発生してから1サイクル経過しているので、信
号PC2が供給されない。セレクタ49は、入力端子0
に入力される信号CF2を出力し、カウント値CNT1
を形成する。
【0084】加算器50は、カウント値CNT1とLS
A41のBchのレジスタに格納されているAS0+2
Lを加算し、Bchの出力アドレスOUTADを形成す
る。Bchのカウント値CNT1は、Achと同様にし
て−Lから0付近まで増加し、加算器50の加算値OU
TADは、AS0+LからAS0+2Lまで変化する。
【0085】次にLSA41に格納される絶対アドレス
が、チャンネルの切換えに伴い、書き換えられる手順を
説明する。初期時、AchのLSA41にはAS0+L
が格納され、BchのLSA41にはAS0+2Lが格
納されている。
【0086】最初に信号AENDが発生して再生チャン
ネルPCHがAchからBchに切換わると、マイコン
はカスケード回路から割込み信号を受けて、LSA41
のAchのレジスタの値をAS0+LからAS0+3L
に書き換える。
【0087】Bchの出力アドレスOUTADがAS0
+2Lまで加算されると、信号AENDが発生し、再生
チャンネルPCHはBchからAchに反転する。加算
器50は、LSA41のAchのレジスタに格納されて
いるAS0+3Lと、セレクタ49の出力であるカウン
ト値CNT1の加算を行う。カウント値CNT1は、−
Lから0付近までカウントされるので、加算器50の出
力アドレスOUTADは、AS0+2LからAS0+3
Lまで順次変化して出力される。
【0088】このようにして、出力アドレスOUTAD
は、AchにてAS0からAS0+Lまで変化し、続い
てBchにてAS0+LからAS0+2Lまで変化し、
再びAchにてAS0+2LからAS0+3Lまで変化
する。
【0089】図10は、アドレス発生器のカウント値C
NT1が−Lから0以上まで変化する信号波形を示す。
なお、この図のカウント値CNT1はAchとBchの
うちのPCHに指定されている方のチャンネルのカウン
ト値を追ったものである。アドレス発生器は、LSAに
格納されているLSに対してカウント値CNT1を加算
して出力アドレスを生成する。
【0090】カウント値CNT1は、Achにおいて−
Lからカウントを開始する。カウント値CNT1が0以
上にまで増加すると、信号AENDが発生する。信号A
ENDが発生すると、ステート信号が反転し、再生チャ
ンネルはAchからBchに切換わる。
【0091】カウント値CNT1は、Bchにおいてほ
ぼ−Lにリセットされ、−Lからカウントを開始する。
カウント値CNT1が0以上にまで増加すると信号AE
NDが発生し、再生チャンネルがAchに切換わる。
【0092】以上のように、カウント値CNT1は−L
から増加を開始し0以上になると、チャンネルを切換え
て−Lから0以上までの増加を繰り返す。なお、本実施
例では、AchとBchのそれぞれにおいて、カウント
値CNT1が0以上になると交互に−Lにリセットする
場合について説明したが、AchとBchとでは異なる
所定値にリセットするようにしてもよい。また、同じチ
ャンネルにおいても毎回リセットする所定値を変えても
よい。
【0093】また、上側の臨界値を0でなく他の値、例
えば+Lにすることもできる。この場合、信号AEND
を符号ビットの反転によって生じさせる代わりに、オー
バフローの発生や比較器の出力によって信号AENDを
発生させればよい。
【0094】AchとBchとで異なる所定値にリセッ
トするには、それぞれのチャンネルのアタックスタート
レジスタ(ASR)43に異なる所定値を格納すればよ
い。また、アドレスを生成するチャンネルが切換わる度
にASR43に格納されている所定値を書換えれば、同
じチャンネルにおいてリセットする所定値を毎回変える
こともできる。
【0095】図8において、再生チャンネルPCHが切
換わった後に楽音波形のアタック部の残りアドレスがL
以下であるときには、再生チャンネルPCHの切換えを
終了させるために、再生チャンネルPCHにループエン
ドLEを設定すると共に、カスケード回路はカスケード
信号をオフにする。カスケード信号がオフになると、図
4に示すパルス発生回路31は信号AENDが発生して
も信号PC1と信号PC2を生成しないので、セレクタ
49の選択端子S2は選択されず、セレクタ49は入力
端子0に入力される信号CF2を出力し、カウント値C
NT2は0を越えてもカウントを続ける。カウント値C
NT2のカウントは、出力アドレスOUTADがループ
エンドアドレスLEに達するまで続けられる。
【0096】例えば、ループスタートアドレスをAS0
+5Lとし、ループスタートアドレスを生成する再生チ
ャンネルがAchであるとすると、Achの出力アドレ
スOUTADは、カスケード信号がオンの場合と同様に
AS0+4LからAS0+5Lまで生成され、さらにA
S0+5Lを越えてもカウントを続ける。
【0097】図9は、ループエンドアドレスまでアドレ
スの生成を行った後のセレクタモード1の動作を示すア
ドレス発生器である。減算器47は、ディレイ回路52
の出力信号CF2から、LER44の再生チャンネルで
あるAchのレジスタに格納されているループエンド相
対アドレスLEを減算して、整数部16ビット、小数部
16ビットからなる信号SUB0を発生する。ループエ
ンド相対アドレスLEは、波形メモリのループスタート
アドレスを0としたときの相対アドレスであるので正値
である。信号SUB0は、出力アドレスOUTADがル
ープエンドアドレスに達するまで負値である。
【0098】信号SUB1は、信号SUB0の最上位ビ
ットである。信号SUB1は、信号SUB0が負値であ
れば1であり、信号SUB0が正値であれば0である。
信号SUB2は、信号SUB1をインバータ48により
反転した信号である。
【0099】信号SUB2は、出力アドレスOUTAD
がループエンドアドレスに達するまでは、減算器47の
出力信号SUB0が負値であるので0である。出力アド
レスOUTADがループエンドアドレスに達すると、信
号SUB2は1となり、セレクタ49の選択端子S1が
選択される。
【0100】選択端子S1が選択される際、減算器47
の出力信号SUB0は、0または0をわずかに越えた値
であり、この値がセレクタ49から出力される。セレク
タ49から出力されたカウント値CNT1はほぼ0であ
る。LSA41のAchのレジスタには、AS0+5L
が格納されている。加算器50は、カウント値CNT1
とアドレス値LSを加算し、ほぼループスタートアドレ
スAS0+5Lのアドレス値をAchの出力アドレスO
UTADとして出力する。
【0101】Achの出力アドレスOUTADは、アド
レス値AS0+4LからループスタートアドレスAS0
+5Lを通過して、ループエンドアドレスAS0+5L
+LEまで達した後に、再びループスタートアドレスA
S0+5Lに戻ったことになる。
【0102】セレクタ49から出力されたカウント値C
NT2はほぼ0であり、加算器51において信号FN’
と加算される。加算された信号CF1は、ディレイ回路
52において遅延される。遅延された信号CF2は、セ
レクタ49の入力端子0に入力される。
【0103】減算器47は、遅延信号CF2がループエ
ンド相対アドレスLEよりも小さいので、負値を出力す
る。減算器49が負値を出力すると、セレクタ49の選
択端子S1の選択が解除されるので、セレクタ49は入
力端子0に入力される遅延信号CF2を出力する。以後
は、遅延信号CF2の値がループエンド相対アドレスL
Eよりも大きくなるまで、セレクタ49は遅延信号CF
2を出力し続ける。
【0104】Achの出力アドレスOUTADがループ
エンドアドレスAS0+5L+LEに達したら、セレク
タ49は再び入力端子1に入力されるほぼ0の正値SU
B0に戻され、出力アドレスOUTADは更新したルー
プスタートアドレスAS0+5Lを出力する。
【0105】Achの出力アドレスOUTADは、ルー
プスタートアドレスAS0+5Lからループエンドアド
レスAS0+5L+LEまでのループ部のアドレスを所
定の回数だけ繰返し走査する。
【0106】図11は、アドレス発生器のカウント値C
NT1がアタック部のアドレスをカウントした後にルー
プスタートアドレスからループエンドアドレスまで変化
する信号波形を示す。アドレス発生器は、LSAに格納
されているLSに対してカウント値CNT1を加算して
出力アドレスを生成する。
【0107】カウント値は、Bchにおいて−Lから0
以上まで増加し、アタック部AB2のカウント値が生成
される。アタック部AB2の生成が終了すると、信号A
ENDが生成され、ステート信号が反転し、再生チャン
ネルはBchからAchに切換わる。それと同時に、カ
スケード信号がオフになり、Achにループエンドアド
レスLEが設定される。
【0108】再生チャンネルが切換わると、カウント値
はほぼ−Lにリセットされ、−Lから増加を開始し、ア
タック部AA3のカウント値が生成される。カスケード
信号はオフになっているので、カウント値が0以上にな
り信号AENDが発生しても、−Lにリセットはされず
にAchにおいてカウントを続行する。
【0109】カウント値は、0を越えてループエンドア
ドレスLEまで増加し、ループ部LA1のカウント値が
生成される。カウント値は、ループエンドアドレスLE
まで達すると、ループスタートアドレスを示すほぼ0に
リセットされ、チャンネルを切換えずにほぼ0から増加
を開始し、ループ部LA2のカウント値が生成される。
【0110】ループ部LA2のカウント値が生成された
後に、カウント値は再びほぼ0にリセットされ、ループ
部LA3のカウント値が生成される。以上のように、ア
タック部AA3のカウント値の生成が終了して信号AE
NDが生成されても、カスケード信号がオフになってい
れば、チャンネルが切換わらずにループ部LA1のカウ
ント値の生成を開始する。そして、カウント値がループ
エンドアドレスまで達したら、ループスタートアドレス
に戻り、ループ部のカウント値の生成を繰り返す。
【0111】本実施例のように、LSAに格納されるL
Sを絶対アドレスで表し、カウント値CNT1を相対ア
ドレスで表して、出力アドレスを生成することにより、
アタックスタートアドレス、ループスタートアドレス、
ループエンドアドレスの3つを別々に絶対アドレスで表
さなくても済む。もちろん3つのアドレスのどれを絶対
アドレスで表してもよい。カウント値CNT1は、アタ
ック部において−Lから0までの値をとり、ループ部に
おいては0から(ループエンドアドレス)−(ループス
タートアドレス)までの値をとるので、アタックスター
トアドレスからループエンドアドレスまでの絶対アドレ
スをカウントする場合に比べて、カウンタのビット数が
少なくて済む。
【0112】カウンタのビット数が少なければ、ディレ
イ回路および加算器のビット数を小さくでき、各回路を
結ぶディジタル信号線の幅を小さくすることができるの
で、アドレス発生器を含むチップのサイズが小さくな
る。
【0113】アドレス発生器は、複数のアタック部に分
割してアドレスを生成することにより、長いアタック部
を有する楽音波形の読み出しアドレスを生成することが
可能である。
【0114】ここまでの実施例ではアドレス発生器が一
度に連続して読み出せないような長いアタック部を有す
る波形の再生時の動作(カスケード動作)に注目して説
明を行ってきたが、アドレス発生器が一度に連続して読
み出せる最大の長さよりも短いアタック部しか有しない
短アタック波形の再生については、1つの発音チャンネ
ルでカスケード機能を使用せずにアタック〜ループの通
常の読み出しを行うようになっている。この場合、アタ
ック部の長さは、アタックスタートレジスタ(ASR)
43の収納するアタックスタートの相対アドレスによっ
て表すことのできる範囲の長さである。
【0115】既に説明したように、本実施例ではカスケ
ード動作により長いアタック部を有する波形を再生する
ため、16ある時分割発音チャンネルの内の任意の2つ
の発音チャンネルをカスケード用に指定して使用する。
上述の短アタック波形の再生は、カスケード動作を行っ
ていない場合は該16チャンネルをフルに使って行うこ
とができるし、一方、カスケードで発音チャンネルが使
われているときは、そのときに使われていない残りの発
音チャンネルを用いて行われる。また、カスケードオフ
の状態で新たにカスケード動作を始めようとする場合、
通常の新規発音の発音割り当てと同じような手法を用い
て全16チャンネル中で2つの発音チャンネルを確保
し、確保したチャンネルの番号をAch指定レジスタ2
4とBch指定レジスタ25にそれぞれ設定し、確保し
た2つのチャンネルをカスケード動作に使用する。
【0116】なお、本実施例において、カスケード回路
は16の発音チャンネルに対して1つ設ける場合につい
て説明したが、複数のカスケード回路を設けてカスケー
ド回路をアサインすることにより楽音波形のアタック部
のアドレスを複数同時に生成させてもよい。
【0117】また、AchとBchの2つの発音チャン
ネルを交互に再生チャンネルとして設定して、アドレス
を生成する場合を説明したが、1つの発音チャンネルに
ループスタートレジスタ(LSA)とアタックスタート
レジスタ(ASR)を2つずつを設けて、アドレスの読
み出しまたは書き換えを行うレジスタを切換えて、アタ
ック部の読み出しアドレスを1つのチャンネル内で2組
に分けて交互に生成してもよい。
【0118】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組合わせ等が可能なことは当業者に自
明であろう。
【0119】
【発明の効果】アドレス発生手段は、波形メモリに供給
するアドレスを第1の発音チャンネルと第2の発音チャ
ンネルとの間で分割して生成することができので、アド
レスの生成に用いる演算器を小型化にすることができ、
信号線の数が少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実現する電子楽器の全体構成例を示
すブロック図である。
【図2】 図1に示すアドレス発生器にて生成される楽
音波形のアドレスを示す。図2(A)はAchの楽音波
形のアドレスを表す概念図、図2(B)はBchの楽音
波形のアドレスを表す概念図、図2(C)はカスケード
信号の波形図、図2(D)は信号AENDの波形図、図
2(E)はAchとBchの楽音波形を合成した概念図
である。
【図3】 図1に示すエンベロープ発生器にて生成され
るエンベロープを示す。図3(A)はAchのエンベロ
ープの波形図、図3(B)はAchのミュート信号の波
形図、図3(C)はBchのエンベロープの波形図、図
3(D)はBchのミュート信号の波形図、図3(E)
は再生チャンネル(PCH)を示す概略図、図3(F)
はノートオン信号の波形図、図3(G)はカスケード信
号の波形図、図3(H)はAchとBchのエンベロー
プを合成した波形図である。
【図4】 図1に示すカスケード回路の構成を示すブロ
ック図である。
【図5】 カスケード回路において生成される信号PC
1とPC2のタインミングを示すタイミングチャートで
ある。
【図6】 図1に示すアドレス発生器の構成を示す回路
図である。
【図7】 セレクタモード3の動作を示すアドレス発生
器の回路図である。
【図8】 セレクタモード2の動作を示すアドレス発生
器の回路図である。
【図9】 セレクタモード1の動作を示すアドレス発生
器の回路図である。
【図10】 アドレス発生器にて生成されるアタック部
のアドレスを示す波形図である。
【図11】 アドレス発生器にて生成されるループ部の
アドレスを示す波形図である。
【符号の説明】
1 パネルスイッチ、 2 表示器、 3 鍵盤、
4 マイコン、5 I/Oレジスタ、 6 カス
ケード回路、 7 アドレス発生器、8 波形メモ
リ、 9 補間回路、 10 エンベロープ発生
器、 11 乗算器、 12 累算器、 13
D/A変換器、 14 サウンドシステム、 21
カスケードオンレジスタ、 22 ノートオンレジ
スタ、 23 読出しレジスタ、 24 Ach指
定レジスタ、 25 Bch指定レジスタ、 2
6,27 タイミング発生回路、 28 セレクタ、
29 ステート発生回路、 30 割込み発生回路、
31 パルス発生回路、 32 ラッチ、 4
1 ループスタートレジスタ(LSA)、42 ノート
オンレジスタ(NON)、 43 アタックスタート
レジスタ(ASR)、 44 ループエンドレジスタ
(LER)、 45 Fナンバレジスタ(FN)、
46 パルス発生回路、 47 減算器、 4
8,56 インバータ、 49 セレクタ、 5
0,51,55,57,58加算器、 52 ディレ
イ回路(16D)、 53 ラッチ、 54 ゲー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の発音チャンネルと第2の発音チャ
    ンネルを含む複数の発音チャンネルと、 アドレスの関数として楽音波形の波形振幅値を記憶する
    波形メモリ(8)と、 切換信号に応じて前記第1の発音チャンネルと第2の発
    音チャンネルを交互に指定するカスケード手段(6)
    と、 前記カスケード手段にて指定される発音チャンネルに対
    応して、前記波形メモリから波形振幅値を読み出すため
    のアドレスを発生し、所定アドレスに達した時前記切換
    信号を発生するアドレス発生手段(7)とを有する電子
    楽器。
  2. 【請求項2】 前記第1の発音チャンネルのアドレスの
    一部を前記第2の発音チャンネルのアドレスへ移行する
    移行手段を有し、前記アドレス発生手段が前記移行手段
    にて移行されるアドレスに応じて第2の発音チャンネル
    のアドレスを生成する請求項1記載の電子楽器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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