JPH07233737A

JPH07233737A - ディーゼルエンジンの遠心式ガバナのトルクアップ装置

Info

Publication number: JPH07233737A
Application number: JP2417194A
Authority: JP
Inventors: Yasunori Shiraishi; 安則白石; Kenji Yamashita; 健次山下; Shinji Sasaki; 真治佐々木; Shuichi Yamada; 修一山田
Original assignee: Kubota Corp
Current assignee: Kubota Corp
Priority date: 1994-02-22
Filing date: 1994-02-22
Publication date: 1995-09-05

Abstract

(57)【要約】【目的】エンジンの過負荷運転域において、エンスト
を防止しつつラックピン６をトルクアップ位置Ｔｕに正
確に調量規制してスモークの発生を防止する。【構成】遠心式ガバナＧのスプリング側レバー１ｂと
機壁８との間にトルクアップ装置１０を介装する。この
トルクアップ装置１０は、筒状ケース本体１１と、筒状
ケース本体１１の先端より出退自在に突出するトルクピ
ン１２と、トルクピン１２の基端鍔部１２ａを突出側へ
押圧付勢するトルクスプリング１３と、このトルクスプ
リング１３の後端部を受け止めるバネ受け具１５と、こ
のバネ受け具１５を貫通してトルクピン１２の基端鍔部
１２ａを受け止めるピン調節具１４とを具備して成る。
トルクピン１２の長さはトルクアップ調量域Ｌｂよりも
大きく設定し、ピン調節具１４を進退調節してトルクピ
ン１２の退入量λを調節可能に構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼルエンジンの
遠心式ガバナのトルクアップ装置に関し、特に過負荷運
転域において、トルクアップを確実に図る技術に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のディーゼルエンジンの遠心式ガバ
ナは、例えば図４（本出願人の提案に係る特開平５−１
４１２７３号）に示すように構成されている。即ち、デ
ィーゼルエンジンの燃料噴射ポンプのラックピン６にウ
エイト側レバー１ａを介してスタートスプリング３とガ
バナウエイト９とを連動連結し、調速レバー５をガバナ
スプリング４とスプリング側レバー１ｂとを順に介して
上記ウエイト側レバー１ａに連結する。また、ガバナス
プリング４の張力を調速レバー５で調節操作可能に構成
するとともに、スプリング側レバー１ｂと機壁８との間
にトルクアップ装置１０を介装して構成する。

【０００３】上記ラックピン６は、ウエイト側レバー１
ａとスプリング側レバー１ｂとを順に介してガバナスプ
リング４とスタートスプリング３とで燃料増量側Ｒへ弾
圧するのに対して、ガバナウエイト９のガバナ力Ｇｆで
ウエイト側レバー１ａを介して燃料減量側Ｌへ押圧す
る。上記トルクアップ装置１０は、ガバナＧの機壁８に
進退自在に固設された筒状ケース本体１１と、この筒状
ケース本体１１の先端部より出退自在に突出するトルク
ピン１２と、この筒状ケース本体１１内に収容されて上
記トルクピン１２の基端鍔部１２ａを突出側へ押圧付勢
するトルクスプリング１３と、このトルクスプリング１
３の後端部を受け止めて筒状ケース本体１１内の後部に
装着されたバネ受け具１５とを具備して成る。

【０００４】この遠心式ガバナは、以下のように作用す
る。エンジンの始動操作時には、上記ラックピン６はウ
エイト側レバー１ａを介してスタートスプリング３の張
力で最大燃料増量位置である始動増量位置Ｓtに弾圧さ
れ、始動を容易にする。このとき、上記調速レバー５は
アイドリング位置にあってガバナスプリング４の張力は
弱いので、スプリング側レバー１ｂの当接部１ｃが上記
トルクアップ装置１０のトルクピン１２に当接して全負
荷(4/4)に相当する位置に置き残される。

【０００５】エンジン始動後の高速〜中速回転域(Ｎ₁〜
Ｎ₂₁)では、図３中の実線Ｌ₀で示すように、上記ガバナ
スプリング４及びスタートスプリング３と、これに対抗
するガバナ力Ｇｆとの釣り合い力により、ウエイト側レ
バー１ａとスプリング側レバー１ｂとが一体となって揺
動し、無負荷位置（0/4）と全負荷位置（4/4）との間の
ガバナ調量域Ｌａ内でラックピン６を調量移動させる。
エンジンが過負荷運転に移行するとエンジンの回転数が
低下し、ガバナ力Ｇｆが低下してガバナスプリング４の
張力でウエイト側レバー１ａとスプリング側レバー１ｂ
とを燃料増量側Ｒに引く。

【０００６】このとき、上記ガバナスプリング４及びス
タートスプリング３と、これに対抗するガバナ力Ｇｆ及
びトルクスプリング１３の弾発力との釣り合い力によ
り、つまり、ガバナ力Ｇｆが弱まった分だけトルクピン
１２を筒状ケース本体１１内に押し込み、ウエイト側レ
バー１ａを介して上記ラックピン６を全負荷位置（4/4)
とトルクアップ位置Ｔｕとの間のトルクアップ調量域Ｌ
b内で調量移動させる。これによりエンジンはトルクを
上げて粘り強さを発揮することとなる。そして上記トル
クピン１２の突出量ｄがゼロになったとき、スプリング
側レバー１ｂは筒状ケース本体１１の先端に当接して止
まり、上記ラックピン６はトルクアップ位置Ｔｕに規制
される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記筒状ケース本体１
１は、機壁８に進退調節可能にねじ込んで設けられてい
るので、この筒状ケース本体１１をねじ込み調節するこ
とにより、全負荷(4/4)相当位置でスプリング側レバー
１ｂとトルクピン１２とを正確に当接させることができ
る。しかし、上記トルクアップ装置１０は一定の製造誤
差を有しているため、エンジンが過負荷運転に移行して
トルクアップ調量域Ｌｂを越えたとき、ラックピン６を
本来のトルクアップ位置Ｔｕに正確に規制することがで
きないことがある。これはトルクアップ装置１０を構成
するトルクピン１２の長さ及びトルクスプリング１３の
バネ定数のバラツキ、あるいは燃料噴射ポンプのバラツ
キ等に起因するものであり、これらの製造誤差は避けら
れない。

【０００８】従って、図３に示すように、実線Ｌ₀ をト
ルクアップ装置１０によるコントロール目標値とする
と、目標トルクアップ位置Ｔｕに対して破線Ｌ₁ 又はＬ
₂ で示す一定の誤差は避けられない。即ち、トルクピン
１２の突出量ｄがトルクアップ調量域Ｌｂの寸法より短
い場合には、先にスプリング側レバー１ｂが筒状ケース
本体１１の先端に当接して止まり、破線Ｌ₁で示すよう
に燃料を増量することができないためエンストを引き起
こす。また、トルクピン１２の突出量ｄが過剰の場合に
は、破線Ｌ₂ で示すように本来のトルクアップ位置Ｔｕ
を越えて過剰に燃料が供給されるためスモークが発生す
る。本発明は、エンジンの過負荷運転領域において、ト
ルクアップ装置１０によるコントロールを一層正確なも
のにして、エンストを防止しつつスモークの発生を防止
することを技術課題とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を達成
するために、上記ディーゼルエンジンの遠心式ガバナの
トルクアップ装置１０を、以下のように構成したもので
ある。即ち、上記トルクアップ装置１０は、筒状ケース
本体１１と、この筒状ケース本体１１の先端より出退自
在に突出するトルクピン１２と、この筒状ケース本体１
１内に収容されて上記トルクピン１２の基端鍔部１２ａ
を突出側へ押圧付勢するトルクスプリング１３と、この
トルクスプリング１３の後端部を受け止めて筒状ケース
本体１１内の後部にネジ嵌合されたバネ受け具１５と、
上記トルクピン１２の退入量λを規制するピン調節具１
４とを具備して成り、上記トルクピン１２の長さをトル
クアップ調量域Ｌｂよりも大きく設定し、上記ピン調節
具１４でトルクピン１２の退入量λを調節可能に構成し
たことを特徴とするものである。

【００１０】

【発明の作用・効果】本発明では、エンジンの最終調節
段階でエンジンを運転しながら、過負荷運転域において
ピン調節具１４でトルクピン１２の退入量λを調節する
ことにより、トルクピン１２の退入量λがトルクアップ
調量域Ｌｂの寸法と等しくなるように設定する。従っ
て、トルクアップ装置１０を構成するトルクピン１２の
長さ及びトルクスプリング１３のバネ定数のバラツキ、
あるいは燃料噴射ポンプのバラツキ等は不可避であって
も、過負荷運転域においてトルクピン１２の退入量を正
確に設定することができる。つまり、図２中の実線Ｌ₀
で示すように、ガバナＧを目標通りに正確に作動させる
ことが可能になる。これにより、エンジンはトルクアッ
プ位置Ｔｕを限度に燃料の調量規制がなされるので、過
剰な燃料供給を阻止してスモークの発生を防止すること
ができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は本発明の第１の実施例に係るディーゼルエ
ンジンの遠心式ガバナの概要図である。この遠心式ガバ
ナは、図４の従来例と同様の基本構造を備える。即ち、
ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプのラックピン６に
ウエイト側レバー１ａを介してガバナウエイト９とスタ
ートスプリング３とを連動連結する。また、調速レバー
５にガバナスプリング４とスプリング側レバー１ｂとを
順に介して上記ウエイト側レバー１ａに連結する。

【００１２】上記ガバナスプリング４の張力は、調速レ
バー５で調節操作可能に構成する。即ち、スタートスプ
リング３とガバナスプリング４とによりラックピン６を
燃料増量側Ｒへ弾圧するのに対して、ガバナウエイト９
のガバナ力Ｇｆによりウエイト側レバー１ａを介してラ
ックピン６を燃料減量側Ｌへ押圧するように構成する。
また、トルクアップ装置１０は、上記スプリング側レバ
ー１ｂと機壁８の間に介装して設けられている。なお、
図１中の符号２は上記ウエイト側レバー１ａ及びスプリ
ング側レバー１ｂの支軸である。

【００１３】以下、本発明の特徴構造について説明す
る。上記トルクアップ装置１０は、図１に示すように、
ガバナＧの機壁８に進退自在に固設した筒状ケース本体
１１と、この筒状ケース本体１１の先端より出退自在に
突設され、その先端がスプリング側レバー１ｂに当接す
るトルクピン１２と、この筒状ケース本体１１内に収容
されて上記トルクピン１２の基端鍔部１２ａを突出側へ
押圧付勢するトルクスプリング１３と、このトルクスプ
リング１３の後端部を受け止めて筒状ケース本体１１内
の後部にねじ込み装着されたバネ受け具１５と、上記ト
ルクピン１２の基端鍔部１２ａを受け止めるピン調節具
１４とを具備して成る。

【００１４】上記トルクピン１２の長さは、トルクアッ
プ調量域Ｌｂの寸法よりも十分大きく設定されている。
また、上記バネ受け具１５にはトルクピン１２と同軸を
なすネジ孔が貫通形成されており、ピン調節具１４は、
バネ受け具１５の当該ネジ孔に進退調節可能にねじ込ん
で貫通される。上記ピン調節具１４の後端部には、ドラ
イバーの係入凹部１７が形成されており、ドライバーに
よりピン調節具１４を進退調節してトルクピン１２の退
入量λを設定するように構成されている。上記バネ受け
具１５は、筒状ケース本体１１に対してロックペイント
や図示しないロック手段により固定する。なお、符号１
６は上記ピン調節具１４を固定するロックナット、１８
は筒状ケース本体１１のロックナット、１９は座金、２
０は袋ナットである。

【００１５】以下、エンジンの最終調節段階におけるト
ルクアップ装置１０の調節・トルクピン１２の設定につ
いて説明する。なお、上記トルクアップ装置１０は、あ
らかじめバネ受け具１５を進退調節することにより、ト
ルクスプリング１３の押圧力を所定の値に設定するとも
に、ピン調節具１４を進退調節することにより、トルク
ピン１２の退入量λをトルクアップ調量域Ｌｂの寸法と
ほぼ等しくなるように設定されている。先ず、エンジン
を定格回転速度（図３中のＮ₂）で運転しながら、定格
トルクが得られるように、筒状ケース本体１１を機壁８
に対して進退調節する。この状態では、図１に示すよう
に、トルクピン１２が最大限突出した状態でピン調節具
１４の先端からトルクピン１２の基端鍔部１２ａが離間
した状態にあり、スプリング側レバー１ｂが全負荷（4/
4)に相当する位置でトルクピン１２に当接している。

【００１６】次いで、エンジンを図３中のＮ₃ 以下の低
速回転に切り換える。この状態ではガバナ力Ｇｆが弱
く、トルクスプリング１３の弾発力がガバナスプリング
４の張力に負けてトルクピン１２が目一杯退入し、トル
クピン１２の基端鍔部１２ａがピン調節具１４の先端で
受け止められている。このときエンジン出力がトルクア
ツプ位置Ｔｕに相当する所定のピークトルクであればピ
ン調節具１４を進退調節する必要はない。ピークトルク
を越えているときは、トルクピン１２の前記退入量λが
トルクアップ調量域Ｌｂの寸法より過大であることを意
味するので、退入量λを減ずるためピン調節具１４を前
進させる。ピークトルクに満たないときは、退入量λを
増やすためピン調節具１４を後退させることにより、ト
ルクピン１２の退入量λを正確に設定することができ
る。

【００１７】つまり、トルクアップ装置１０を構成する
トルクピン１２の長さやトルクスプリング１３のバネ定
数のバラツキ、あるいは燃料噴射ポンプのバラツキ等は
不可避であっても、トルクピン１２の退入量λを正確に
設定することができる。これにより、エンジンは過負荷
運転時に燃料不足でエンストを引き起こすこともなく、
トルクアップ位置Ｔｕを限度に燃料の調量規制がなされ
るので、過剰な燃料供給を阻止してスモークの発生を防
止することができる。

【００１８】図２は本発明の第２の実施例に係るディー
ゼルエンジンの遠心式ガバナの概要図である。この遠心
式ガバナは、図２に示すように、ガバナＧの機壁８に進
退自在に固設した筒状ケース本体１１と、この筒状ケー
ス本体１１内に進退自在にねじ込み装着したピン調節用
筒ケース１４ｂと、上記筒状ケース本体１１の先端より
出退自在に突設され、その先端がスプリング側レバー１
ｂに当接するトルクピン１２と、上記筒状ケース本体１
１の先端に当接してトルクピン１２の退入量λを規制す
る当接片１２ｂと、このピン調節用筒ケース１４ｂ内に
収容されて上記トルクピン１２の基端鍔部１２ａを突出
側へ押圧付勢するトルクスプリング１３と、このトルク
スプリング１３の後端部を受け止めてピン調節用筒ケー
ス１４ｂ内の後部にねじ込み装着されたバネ受け具１５
とを具備して成る。

【００１９】なお、この実施例では上記ピン調節用筒ケ
ース１４ｂとトルクピン１２の退入量λを規制する当接
片１２ｂとがピン調節具１４を構成する。以下、この実
施例の組み付け調節について説明する。先ず、上記筒状
ケース本体１１に対してピン調節用筒ケース１４ｂを進
退調節してトルクピン１２の退入量λがトルクアップ調
量域Ｌｂの寸法と等しくなるように設定する。次いで上
記バネ受け具１５を進退調節してトルクスプリング１３
の押圧力を設定し、さらに、機壁８に対して筒状ケース
本体１１を進退調節して、スプリング側レバー１ｂが全
負荷(4/4)相当位置でトルクピン１２の先端に当接する
ように調節する。これにより、トルクピン１２の退入量
λを正確に設定することができ、エンジンは過負荷運転
時に燃料不足でエンストを引き起こすこともなく、トル
クアップ位置Ｔｕを限度に燃料の調量規制がなされるの
で、過剰な燃料供給を阻止してスモークの発生を防止す
ることができる。

【００２０】なお、上記実施例では、いずれも筒状ケー
ス本体１１を機壁８に固設し、トルクピン１２の先端を
スプリング側レバー１ｂに当接させるものについて例示
したが、これとは逆に、筒状ケース本体１１をスプリン
グ側レバー１ｂに固設し、トルクピン１２の先端を機壁
８に当接させるものについても同様に実施できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係る遠心式ガバナの概
要図である。

【図２】本発明の第２の実施例に係る遠心式ガバナの概
要図である。

【図３】エンジンの回転速度Ｎと負荷及び燃料供給量Ｑ
との関係を示すグラフである。

【図４】従来例に係る遠心式ガバナの概要図である。

【符号の説明】

１ａ…ウエイト側レバー、１ｂ…スプリング側
レバー、３…スタートスプリング、４…ガバナ
スプリング、５…調速レバー、６…ラ
ックピン、８…ガバナの機壁、１０…トル
クアップ装置、１１…筒状ケース本体、１２
…トルクピン、１２ａ…トルクピンの基端鍔部、１３
…トルクスプリング、１４…ピン調節具、
１５…バネ受け具、4/4…全負荷位置、
Ｔｕ…トルクアップ位置、Ｇ…遠心式ガバナ、
Ｇｆ…ガバナ力、Ｌｂ…トルクアップ調量
域、 λ…トルクピンの退入量。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者山田修一大阪府堺市石津北町64 株式会社クボタ堺製造所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】遠心式ガバナ(Ｇ)のスプリング側レバー
(1b)と機壁(８)との間にトルクアップ装置(10)を介装
し、上記トルクアップ装置(10)は、筒状ケース本体(11)と、
この筒状ケース本体(11)の先端部より出退自在に突出す
るトルクピン(12)と、この筒状ケース本体(11)内に収容
されて上記トルクピン(12)の基端鍔部(12a)を突出側へ
押圧付勢するトルクスプリング(13)と、このトルクスプ
リング(13)の後端部を受け止めて筒状ケース本体(11)内
の後部に装着されたバネ受け具(15)とを具備して成り、エンジンの過負荷運転状態では、上記トルクピン(12)で
スプリング側レバー(1b)を受け止め、ウエイト側レバー
(1a)を介してラックピン(５)を全負荷位置(4/4)とトル
クアップ位置(Tu)との間のトルクアップ調量域(Lb)内に
調量規制するように構成したディーゼルエンジンの遠心
式ガバナにおいて、上記トルクアップ装置(10)は、上記トルクピン(12)の長
さをトルクアップ調量域(Lb)の寸法よりも大きく設定す
るとともに、上記トルクピン(12)の退入量(λ)を規制す
るピン調節具(14)を付設し、上記ピン調節具(14)でトル
クピン(12)の退入量(λ)を調節可能に構成したことを特
徴とするディーゼルエンジンの遠心式ガバナのトルクア
ップ装置。