JPH07233245A - ラクタイド系共重合体の連続製造方法 - Google Patents

ラクタイド系共重合体の連続製造方法

Info

Publication number
JPH07233245A
JPH07233245A JP29666994A JP29666994A JPH07233245A JP H07233245 A JPH07233245 A JP H07233245A JP 29666994 A JP29666994 A JP 29666994A JP 29666994 A JP29666994 A JP 29666994A JP H07233245 A JPH07233245 A JP H07233245A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lactide
reactor
reaction
polymer
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP29666994A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3458911B2 (ja
Inventor
Hiroshi Ebato
博 江波戸
Akiyuki Imamura
彰志 今村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP29666994A priority Critical patent/JP3458911B2/ja
Publication of JPH07233245A publication Critical patent/JPH07233245A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3458911B2 publication Critical patent/JP3458911B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 3つ以上の攪拌式反応器を直列に連結した連
続反応装置の第一番目の反応器に、ラクタイド50〜9
8重量部と、水酸基を有するポリマー2〜50重量部と
を、融解もしくは溶媒に溶解して、連続的に供給し、更
に第一番目の反応器から直列に連結した各反応器へ、順
次移送し、第一番目の反応器および連結した各反応器内
で、反応圧力1〜5気圧、反応温度140〜210℃
で、開環共重合させることを特徴とする分子量2万〜4
0万の線状ラクタイド系共重合体の連続製造方法。 【効果】 本発明は、ラクタイド系共重合体の製造上の
問題点である反応液の高粘度、熱分解性、着色等を解決
し、かつ従来のラクタイド系共重合体よりも更に広範囲
な物性を有し、包装材用のフィルム・シ−ト、射出成形
品、ラミネーション、工業用品等の広い分野で有用な、
分解性のラクタイド系共重合体を効率良く生産する連続
製造方法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラクタイドと水酸基を
有するポリマーとの共重合体の連続製造方法に関する。
このラクタイド系共重合体の用途としては、食品用、工
業用品、繊維、雑貨等の袋、フィルム、結束テープ等の
包装材料や農業用マルチフィルム等が挙げられる。また
シ−ト、射出成形品では、日曜雑貨、食品容器、養生シ
−ト、苗木ポット、産業資材、工業用品等が挙げられ
る。
【0002】
【従来の技術】ラクタイドを開環重合して得られるポリ
乳酸は、加水分解を受け、更に、微生物によって分解さ
れる生分解性のポリマーとして広く知られており、ポリ
乳酸の製造方法に関しては、従来から大別して2通りの
製造方法が知られている。即ち、乳酸から直接、脱水重
縮合してポリマーを得る方法と、乳酸を一旦、ラクタイ
ドと呼ばれる脱水環状エステルとし、これを更に開環重
合する製造方法である。
【0003】前者の直接重縮合法によると、分子量4,
000以上のポリマーを得る事は難しく、(C.H.H
alten著、”Lactic Acid”226頁、
Verlag Chemie、1971年)反応操作条
件の検討により高分子量化を図っても、特公平2−52
930号公報に見られるように分子量20,000程度
が限界で、更なる高分子量ポリマーの製造が必要とされ
る場合には、後者の環状エステル化物の開環重合法が用
いられてきた。(例えば、特公昭56−14688号公
報)
【0004】これら従来の製造方法は、具体的には、攪
拌槽に固体のラクタイドを仕込み、加熱溶融後、触媒共
存下で開環重合させるという反応釜を使用するバッチ式
重合法である。しかしながら、ラクタイドを開環重合し
て得られるポリ乳酸は、平均分子量の増大にともない、
ポリマー粘度は1万〜数10万ポイズと非常な高粘度領
域まで上昇し、かつ融点が160℃以上である為、反応
系を高温に保つことにより、粘度を低減させて反応を進
めることが好ましいものの、ポリ乳酸およびポリ乳酸系
共重合体は、熱によっても容易に分子量の低下をきた
す。
【0005】密封された反応容器内に於いてさえ、18
0℃付近から分解は徐々に始まり、250℃以上の高温
下では加速された分子量の低下が起こる。この為、高粘
度のポリマーを、狭い温度分布範囲で、反応熱による反
応の暴走を防ぎながらのポリ乳酸またはラクタイド系共
重合体の連続製造は、通常の反応釜では容易ではなかっ
た。
【0006】直列に連結した攪拌式反応器を用いたモノ
マー同士の連続重合方法が、ラクタイド系共重合体の製
造へ適用された例として、特開平5−93050号公報
が開示されている。該公報で開示されたラクタイドと反
応可能なモノマーとしては、プロピレンオキサイドに代
表されるエポキシ化合物、グリコライドに代表される分
子間環状エステル、ε−カプロラクトンに代表されるラ
クトン類、及びトリメチレンカーボネートに代表される
環状カーボネートモノマー等である。
【0007】これらのモノマーとの反応の場合、得られ
る共重合体は、通常乳酸ホモポリマーよりも、融点、ガ
ラス転移点が低くなる。また透明性が低くなり、更に、
反応速度はラクタイドのホモポリマーの重合反応速度よ
りも遅くなり、連続製造でも生産性は低下してしまう。
また該公報では、2槽連続形式の製造装置が図示されて
いるが、2槽連続では、実際には滞留時間を長くして
も、連続供給される原料のバイパスによる製品への混入
が起こり、生成ポリマーが不透明になったり、物性的に
不十分なものしか得られない。
【0008】また特開平5−93050号公報では、反
応はラクタイドのホモ重合、またはラクタイドと共重合
し得るモノマーとの反応に限定されており、ラクタイド
とポリマーでの、3つ以上の直列に連結した攪拌式反応
器を用いた連続製造例は、従来、知られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】発明が解決しようとす
る課題は、ラクタイド系共重合体の製造上の問題点であ
る反応液の高粘度、熱分解性、着色等を解決し、かつ従
来のラクタイド系共重合体よりも更に広範囲な物性を有
し、包装材用のフィルム・シ−ト、射出成形品、ラミネ
ーション、工業用品等の広い分野で有用な、分解性のラ
クタイド系共重合体を効率良く生産する連続製造方法を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
課題を解決する為に、ラクタイド系共重合体の連続製造
方法について鋭意検討した結果、特定の割合で、ラクタ
イドと水酸基を有するポリマーを3器以上の反応器で反
応させることにより、多種多様なポリマーとの反応が可
能であり、得られるラクタイド系共重合体も、軟質なも
のから硬質なものまで様々なものが得られること、また
重量平均分子量20,000〜400,000の高分子
量の共重合体が得られ、ラクタイドとモノマーとの共重
合反応で得られる共重合体のように透明性が劣ることも
なく、反応速度もラクタイドホモポリマーの反応と同等
以上で、高い生産性を得られることを見いだし、本発明
を完成させるに到った。
【0011】即ち、本発明は、3つ以上の攪拌式反応器
を直列に連結した連続反応装置の第一番目の反応器に、
ラクタイド50〜98重量部と、水酸基を有するポリマ
ー2〜50重量部とを、融解もしくは溶媒に溶解して、
連続的に供給し、更に第一番目の反応器から直列に連結
した各反応器へ、順次移送し、第一番目の反応器および
連結した各反応器内で、反応圧力1〜5気圧、反応温度
140〜210℃で、開環共重合させることを特徴とす
る分子量2万〜40万の線状ラクタイド系共重合体の連
続製造方法である。
【0012】本発明は、詳しくは、3つ以上の攪拌式反
応器を直列に連結した連続反応装置の第一番目の反応器
でのラクタイドの重合率が30%〜80%で、かつ反応
溶液の粘度が2000ポイズ以下であることを特徴とす
る分子量2万〜40万の線状ラクタイド系共重合体の連
続製造方法である。
【0013】また本発明は、水酸基を有するポリマー
が、末端に水酸基を有する、融点または軟化点が180
℃以下のポリエステルである上述の記載の連続製造方
法、及び反応溶媒として、沸点70〜180℃の溶媒
を、ラクタイドおよび水酸基を有するポリマーの合計1
00重量部に対し、3〜30重量部加えることを特徴と
する連続製造方法である。
【0014】また本発明は、重合反応後、生成共重合体
中の残留ラクタイド及び/または残留溶剤を1重量%以
下に除去することを特徴とする上記の連続製造方法、反
応溶媒として、沸点70〜180℃の溶媒を、ラクタイ
ドおよび水酸基を有するポリマーの合計100重量部に
対し、3〜30重量部加えて、開環共重合反応を行い、
反応後、生成共重合体中の残留ラクタイド及び/または
残留溶剤を1重量%以下に除去することを特徴とする上
述の連続製造方法である。
【0015】更に本発明は、攪拌式反応器で反応させた
後、スタティック・ミキサーを備えた連続反応器を用い
て、更に開環共重合させることを特徴とする連続製造方
法、及び反応溶媒として、沸点70〜180℃の溶媒
を、ラクタイドおよび水酸基を有するポリマーの合計1
00重量部に対し、3〜30重量部加えて、開環共重合
反応を行い、更にスタティック・ミキサーを備えた連続
反応器を用いて、開環共重合させた後、生成共重合体中
の残留ラクタイド及び/または残留溶剤を1重量%以下
に除去することを特徴とする連続製造方法をも含むもの
である。
【0016】以下に、本発明を更に詳細に説明する。始
めに、本発明における攪拌式反応器を備えた連続反応装
置について説明する。説明は理解を容易にする為に、連
続反応装置図を例示した1および図2に沿って行う。本
発明で言う攪拌式反応器とは、通常の攪拌機を有する動
的混合装置のことである。
【0017】具体的には、通常の動力機に接続した攪拌
翼を持った攪拌装置を備えた反応釜を指し、動力機によ
って反応器内の流体の反応物を渦流させたり、渦流速度
を変化させ流れを乱し、または流れ方向を転換または反
転させ、分割・転換・反転を繰り返す事により溶液を混
合する攪拌式反応器を持つ装置を言う。(図1のR1
4、及び図2のR1〜R3で示す。)
【0018】熱分解性を有するポリマーの場合には、動
的攪拌では、反応系内を均質化するために、攪拌力を増
すと、攪拌熱も増加して、ポリマーの分解が進行する結
果となり、攪拌は生成するポリマーの性能を決定する重
要な要因となっている。攪拌効果は、攪拌速度に大きく
支配されるものの、攪拌時間、攪拌翼の形状・サイズ、
反応器の大きさ、攪拌翼と反応器壁とのクリアランス等
によって大きく左右される。
【0019】更に攪拌効果は、攪拌されるポリマーの粘
度に依存するため、攪拌速度のみで決定できるものでは
ない。しかしながら、反応初期の低粘度領域では攪拌は
以下の式に従い、レイノルズ数が100以上になるよう
に設定すべきである。また反応後期の高粘度領域では、
攪拌はレイノルズ数を100以上にすることは不可能と
考えられ、攪拌翼の形状により攪拌を効率化する必要が
ある。
【0020】Re=n×Di2 ×ρ/η (式1) (式中、Reはレイノルズ数、nは回転数(回転/
秒)、Diは攪拌翼径(m)、ρは溶液密度(kg/m
3 )、ηは溶液粘度(kg/cm・秒)を表す。)
【0021】多槽の反応装置を用いた連続反応の場合
は、反応初期の段階で使用する反応器の反応物は低粘度
の状態であり、攪拌翼の形状は特に問わなくとも、攪拌
は良好に行われるが、反応器中の上下流を効率よく発生
させる目的で、タービン翼、ファードラー翼、ヘリカル
リボン翼もしくはこれらの多段翼が好ましい。またはア
ンカー翼のように反応系全体を均質に攪拌できる翼も好
ましい。
【0022】反応後期の段階で使用する反応器の反応物
は、高粘度であり、攪拌翼の形状は攪拌に大きく影響を
与える。特に反応器中の壁部付近が良好な攪拌が困難と
なる為、壁部からの反応物のかき取りを効率よく行う目
的で、タービン翼、ヘリカルリボン翼、アンカー翼のよ
うに、反応系全体を均質に攪拌できる攪拌翼が好まし
い。
【0023】アンカー翼の場合は、反応器の中心部での
攪拌が行いにくい場合もあり、攪拌が良好に行われてい
ることを確認する目的で、反応器壁部と攪拌翼、または
攪拌翼軸部の温度をモニターする温度センサーを設置す
ることが有効である。この温度センサーは、効率的に反
応装置内の温度を制御する為にも有効である。
【0024】攪拌器の動力は反応物の粘度と反応器形状
に大きく依存するが、式2によって推算は可能である。 P=k×n2 ×Di×Dt1.1 Wi0.3 ×H0.6 (式2) (式中、Pは攪拌動力(kg・m/秒)、kは攪拌翼に
依存する係数、nは回転数(回転/秒)、Diは攪拌翼
径(m)、Dtは反応器幅(m)、Wiは攪拌翼縦長
(m)、Hは液深(m)を表す。)
【0025】攪拌式反応器の種類によっては、反応器外
周部に熱交換の為のジャケットを備えられるものが多
い。また反応器内に熱媒体を通す熱交換の為のチューブ
が備えられているものもある。攪拌式反応器の温度コン
トロールについては、反応器の側面、および/または底
面にスチーム、および/またはオイル熱媒を循環させる
ことが一般的である。
【0026】循環させる媒体は、スチームは170℃以
下の反応を対照とした場合に好ましく、反応系が異常加
熱した場合に水等の冷却用媒体を注入でき好ましい。反
応温度が150℃を越えるような場合、スチーム熱媒で
は圧力が高まりすぎ、オイル循環式の熱媒体が好まし
い。
【0027】本発明の多槽式の反応装置では、反応初期
の反応を行う反応器は発熱があり、また反応の暴走を防
ぐ目的でも、あまり高温で反応を行うことは好ましくな
い。この為、スチームによる加熱で十分である。反応後
期の反応を行う反応器では、粘度が高く、発熱は少な
い。また、反応の完遂の目的で、高温で反応を行うこと
が好ましい為、オイル熱媒による加熱が好ましい。オイ
ル熱媒は低温でも使用可能であり、反応器の全てをオイ
ル熱媒で加温することもできる。
【0028】本発明の連続反応器の場合は、攪拌式反応
器の器数が多いほど均質なポリマーが生成する。2器の
直列に連結した攪拌式反応器を使用したものでも、ポリ
マーの連続製造が可能な場合もあるが、本発明のラクタ
イドと水酸基を有するポリマーから成るラクタイド系共
重合体の製造には、2器の直列に連結した攪拌式反応器
は不適当である。
【0029】これは連続供給される原料と生成物が、攪
拌式反応器内で混合された結果、原料、もしくは中間生
成物が、十分に高分子量化せず、反応未完のままで反応
器から流出してしまうことによる。これを防止する為に
は、反応器を大型化させ、滞留時間を長くする必要があ
るが、反応器を大型化した場合は、生成物の高分子量化
にともなうラクタイド系共重合体反応液の高粘度化によ
り、攪拌および発熱除去が、極めて困難となり、反応温
度を制御できなくなる。このため、反応器数をより増加
させることが必要であり、具体的には3器以上が必要で
ある。
【0030】本発明の連続的に原料を供給しながら、同
量の生成物を抜き出して製造を行う製造方法の場合、総
反応器数が多いほど、原料と生成物の分離が良くなり、
生成物中に未反応原料の混入は少なくなる。また、反応
器の容量が小さくなり反応器毎の攪拌動力は少なく済
み、熱媒による温度コントロールが容易になる。
【0031】しかしながら、反応器数が多くなるほど、
装置の動力器の数は多くなり、また反応器と反応器をつ
なぐポンプの数も増加し、制御が複雑化する問題点があ
る。この為、用いる攪拌式反応器数は、十分な重合率が
得られる範囲内で、できるだけ少なく設定すべきであ
り、本発明に用いる反応器数は3個以上、通常3〜5個
が好ましい。
【0032】本発明の1例として挙げられる潜熱冷却式
の攪拌式反応器は、反応器の上部にモノマーおよび/ま
たは溶媒を捕捉するためのコンデンサーが設置されてお
り、(図1中ではC1 で示されている。)原料モノマー
または溶剤の蒸発熱を使用して、反応温度を制御できる
反応器である。即ち、反応器に原料を入れると反応器上
部に空間ができ、溶液上部の液面からの蒸発による熱の
発散によって冷却が可能となる反応器である。
【0033】このために、温度コントロールが容易であ
り、反応温度を高く設定でき、高い生産性を実現できる
特徴を有する。モノマー、溶剤の蒸散を促進または抑制
する目的で、反応器内を減圧または加圧することがで
き、このための圧力センサーを設置し反応系の温度制御
が重要となる。本発明での反応系内は不活性ガスの雰囲
気下であることが好ましく、反応中の熱もしくは酸素に
よる分解を防ぐ為、加圧は窒素、アルゴン等の不活性ガ
スで行われることが好ましい。
【0034】攪拌式反応器が潜熱冷却式の場合は、反応
器上部に空間があり、反応器から反応器への送液は、器
毎に動力を必要とする。原料液をポンプによって、第1
の攪拌式反応器に供給し、続く第2反応器へは第1反応
器からポンプで送り出すことになる、第3反応器以降は
同様にポンプで送液されることになる。
【0035】第1反応器への送液は原料が低粘度溶液と
なるため、ポンプにはプランジャーポンプが適している
(図1中のP0 で示す。)。第2反応器への送液は、反
応液が低粘度の場合はプランジャーポンプで良いが、第
1反応器で反応が進行して、粘度が増大する場合には、
ギアポンプが適する場合がある。(図1中のP1〜P4
示す。)
【0036】第3反応器以降の最終反応器までは、第1
反応器と第2反応器の間の送液法での選択と同様に、送
液される媒体の粘度によってポンプの種類は選択され
る。各槽での溶液量を一致させるために、反応器間での
送液量は常に一致させることが重要であり、送液量を測
定する流量計、または各槽の液量を測定する液面計を備
え付け、全体を総括的にコントロールすることが好まし
い。
【0037】本発明の1例として挙げられる満液式の攪
拌式反応器(図2で示す。)は、多槽の反応器を直列に
連結し、単一のポンプを使用して、多反応器に送液でき
る装置である。反応器に原料を入れる際に、1機のポン
プを用いればよく、また、密閉系で反応が可能で、外部
大気に接触せずに原料仕込みから、反応、脱揮、ポリマ
ーのペレット化までを行なうことができる。
【0038】本発明における直列に多槽の満液式の攪拌
式反応を連結した連続的なポリマーの連続製造方法で
は、しかも外部大気に全く触れることなく、原料仕込み
から、反応、脱揮、ポリマーのペレット化までを行なう
ことができる。これは従来のバッチ式反応装置による製
造方法では得られない利点であり、特に本発明に用いら
れる熱、酸素、水分により分解する分解性ポリマーの製
造には極めて適した連続重合方法である。
【0039】原料の供給は、ラクタイドが常温で固体で
あり、また共重合に使用する水酸基を有するポリマー
も、一般に固体または半固体状態であるため、これらの
加熱・溶融させる溶解槽、または溶媒による溶解槽が必
要である。水酸基を有するポリマーは、固体であること
が多く、溶融しても粘度が高い為、溶媒に溶解して送液
し、ラクタイド溶液と混合することが、装置の操作上好
ましい。
【0040】これらの溶媒としては、ベンゼン、トルエ
ン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサノン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、THF、
イソプロピルエーテルが好ましく用いられる。
【0041】原料のラクタイド及び水酸基を有するポリ
マーの供給方法は、本発明での連続製造方法では極めて
重要である。即ち、本発明で用いる水酸基を有するポリ
マーは、多くはその製造の為の触媒を含有しており、例
えば、水酸基含有のポリエステルは、エステル化触媒を
含有している。
【0042】これらの触媒は、原料ラクタイド及び水酸
基を有するポリマーとの重合反応触媒としての作用を有
している為に、これら原料を反応器に移送する前に、混
合すると、ラクタイド及び水酸基を有するポリマーを、
加熱融解もしくは溶剤で加熱溶解する際に、重合反応が
開始され、移送液の粘度を不要に高め、原料液の反応器
への移送に障害を起こす恐れがあり、ラクタイドと、水
酸基を有するポリマーとは、別々の溶解槽で溶液を調製
し、個別の移送ラインで、反応器へ移送することが好ま
しい。
【0043】具体的には1例として、ラクタイド、水酸
基を有するポリマー、および/または溶媒を混合加熱
し、反応原料溶液を調製する槽(図2中、T1 で示
す。)と、この溶液を反応器に送液する前に、反応器中
に常に均一な原料が送られるように原料をストックする
槽(図2中、T2 で示す。)を備える原料供給法であ
る。
【0044】他の原料供給方法としては、ラクタイド、
及び水酸基を有するポリマーを、別個に溶融または溶媒
に溶解し、2つのラインで送液し、攪拌式反応器に供給
される前に任意の割合で混合し、反応器中に常に均一な
原料が送られるような原料供給法である(図1中で示
す。)。
【0045】また、いずれの供給方法でも、原料の溶
融、溶解の温度管理が重要であり、ラクタイドの溶融、
溶解槽は95〜145℃に保つことがラクタイドの分
解、着色を防ぐ上で好ましく、水酸基を有するポリマー
の溶融、溶解槽も同様に95〜165℃に保つことが分
解、着色を防ぐ上で好ましい。更に、原料溶解槽の雰囲
気は、酸素、水分の混入を防ぐ為に、不活性ガスで置換
することが好ましく窒素、アルゴン等が好ましく用いら
れる。
【0046】触媒の供給は、第1の反応器、または原料
溶解槽から第1の反応器のライン中で供給するか、また
は反応器毎に適宜の量を徐々に添加することが好まし
い。溶液状の触媒は、そのままか、もしくは溶媒に溶解
希釈して供給し、固体の触媒は溶媒に溶解し、プランジ
ャーポンプで定量的に送液することが好ましい(図中で
はA1 で示す。)。
【0047】ラクタイド、水酸基を有するポリマー、及
び溶媒との混合を均一に行うことが、反応を迅速に、か
つ均質に行う上で重要であり、触媒溶液と原料溶液の混
合時にスタティック・ミキサーおよび、またはインライ
ン・ミキサーによって充分に混合することが好ましい。
【0048】反応終了後の生成ポリマー中に反応溶媒や
残留ラクタイドが残存すると、ポリマーの耐熱性を低下
させたり、ラクタイドが分解して乳酸を生じ、加水分解
を促進したり、樹脂として成形加工した後の臭気、安全
衛生面からも、生成ポリマー中から溶媒、残留ラクタイ
ドを取り除くことが好ましい。
【0049】本発明では、ポリマー物性の改質を図る為
に、攪拌式反応器で反応させた後、接続した脱揮装置
(図中、V1 、V2 で示す。)において、生成ポリマー
中の残留ラクタイド、残留溶媒または低分子量の不純物
を除去することが好ましい。
【0050】重合反応終了後の生成ポリマーの攪拌式反
応器からの取り出し方法は、例えば、攪拌式反応器に接
続したスタティック・ミキサーを備えたプレヒーター
(図中、Hで示す。)で、ポリマーに十分な流動性を与
えること、並びに脱揮物の蒸発潜熱相当の熱を与えるこ
とを目的に、加熱溶融させる。
【0051】反応器から抜き出される生成物にも、若干
の未反応原料や反応途中の生成物が混在しており、この
反応を完遂する目的でも、竪型多管式熱交換器や熱交換
器を備えたスタティック・ミキサーを用い、加熱するこ
とが好ましい。特に、本発明の高分子量のポリマーの製
造においては、樹脂粘度が1万ポイズを越えるような高
粘度領域では、重合熱はもとより、攪拌剪断応力により
発生する攪拌熱の発生が激しく、動的攪拌ではその攪拌
部に於ける局所的発熱が著しくなる為、剪断応力が小さ
く、しかも均一に作用するスタティック・ミキサーの使
用が特に好ましい。
【0052】脱揮装置は通常は、縦型で、一段階の脱揮
装置を用い、残存ラクタイドもしくは残存溶剤が脱揮さ
れる温度にて脱揮を行なうことができるが、二段階の脱
揮装置の組合せにより脱揮を行なうこともできる。即
ち、第一段目の脱揮装置内では真空度20〜150mm
Hgで脱揮を行ない、第二段目の脱揮装置内で更に高い
真空度、即ち、真空度1〜20mmHgで、脱揮を行う
方法である。
【0053】真空脱揮装置は通常のものを使用でき、溶
融ポリマーを一本または多数のストランド状にタンク内
に押し出すフラッシュ式脱揮装置を用いることもできる
し、ベント付き押し出し機型脱揮装置、または高粘度型
薄膜式脱揮装置を用いることもできる。
【0054】溶融ポリマーを一本または多数のストラン
ド状にタンク内に押し出すフラッシュ式脱揮装置の場
合、溶融ポリマーを脱揮装置に送り込む前に熱交換器等
で加温しておくと、脱揮物の蒸発潜熱によるポリマーの
硬化を防ぐことができて好ましい。また、ポリマーを送
り込む際にギアーポンプ等を使用して、定量的に送るこ
とが好ましい。脱揮した後、脱揮されたポリマーをフラ
ッシュ・タンクの底部からギアポンプもしくはスクリュ
ーポンプにより抜き出しペレタイザーに送る。
【0055】ベント付き押し出し機型脱揮装置の場合、
二軸押し出し機がポリマーの推進力の面から好ましい
が、単軸の押し出し機でも可能である。このタイプの脱
揮ではスクリュー形状がベントの真空度、脱揮時間、脱
揮効率に重要な要因になる。このタイプでは脱揮時間の
コントロールを行い易いが、溶融ポリマーにせん断応力
がかかり易い為、短時間に脱揮することが好ましい。ま
た、必要に応じベント数を複数にし、真空度を加減する
ことが好ましい。
【0056】また高粘度型薄膜式脱揮装置を用いること
もできる。このタイプの脱揮ではスクリュー形状が脱揮
時間、脱揮効率に重要な要因になる。このタイプでは、
溶融ポリマーにせん断応力がかかり易いものの、表面積
を効率よく取ることによって、短時間に脱揮することが
可能である。
【0057】脱揮した後は、脱揮されたポリマーを脱揮
装置より抜き出しペレタイザー(図中、Dで示す。)に
よってペレット化することもできるし、さらにベント式
押し出し器によって、ポリマーを直径0.3〜3mmの
口径を有する複数の線状ポリマーとして押し出し、ペレ
ット化することもできる。
【0058】脱揮が終了したポリマーは、ギアポンプに
て抜き出し、またラクタイドはコンデンサー(図中、C
2 で示す。)により凝縮、回収し、再生工程(図中、E
で示す。)を経て、再度原料ラクタイドとともに反応に
供することができる。
【0059】ラクタイドの再生は、蒸留および/または
再結晶による方法で、溶媒の再生は蒸留により行われ
る。これらの脱揮装置を用いることによって、製造され
るラクタイド系共重合体中の残存モノマー含量を1%以
下、更に好ましくは0.2%以下にすることができる。
【0060】生成したラクタイド系共重合体の更なる可
塑化、成形加工時の熱的安定性の向上、酸化防止、難燃
性の向上を目的として、添加剤を加えポリマー物性の改
質を図ることができる。攪拌式反応器の最終槽の直後、
および/または脱揮装置直後に添加剤の添加ライン(図
中、A2 で示す。)を設けることができる。添加剤を添
加後、そのままペレット化することもできるし、必要に
応じてエクストルーダー、スタティック・ミキサー等に
より混合した後、ペレット化することもできる。
【0061】本発明の連続製造方法では、ラクタイドは
室温で固化すること、また通常、生成ラクタイド共重合
体の分解が180℃付近から徐々に始まることから、原
料、生成物の移送中の温度管理が特に重要である。原料
および生成物の移送に関しては、ラクタイドの融点が約
100℃であり、また共重合に使用する水酸基を有する
ポリマーも、一般に固体または半固体状態で、かつ生成
する共重合体もまた固体となるために、少なくとも10
0℃以上の状態で移送することが好ましい。
【0062】更に好ましくは、移送ラインを、移送ライ
ン中で急激な反応が起こることがなく、かつ十分な流動
性を示す温度である125〜165℃に保つことが好ま
しい。また、原料ラクタイド、ポリマーおよびこれらの
溶媒溶液の移送に関しては、触媒が存在すると、重合反
応が進行して粘度の急激な増加が起こる為、触媒は第1
反応器、または原料の調製槽から第1反応器までの移送
ライン中で添加するか、または、反応器毎に適宜の量を
徐々に添加することが好ましい。
【0063】生成共重合体、及びこれらの溶媒溶液の移
送に関しては、粘度が高く、移送温度を高くすることが
好ましい。生成共重合体の分解開始温度は、用いる成分
に依存して変わる為、一概に規定することはできない
が、生成共重合体の分解開始温度は、低いものでは約1
85℃付近であり、これ以上に温度を上げることは、本
来は好ましくない。
【0064】しかしながら、生成共重合体が溶剤を含有
していても、低温では生成共重合体が固化、または溶媒
から分離してしまう為、生成共重合体が流動性を保つ状
態で移送することが可能な温度としては、通常150℃
以上が必要であり、分解を最小限に抑え、充分な流動性
を持った温度としては、通常160〜210℃、より好
ましくは160〜180℃に保つことが好ましい。
【0065】次に本発明のラクタイド系共重合体の重合
成分について説明する。本発明で言うラクタイドとは、
乳酸二分子が分子間で脱水環状エステル化したものであ
る。乳酸に立体異性体が存在するため、ラクタイドも立
体異性体をもったモノマーである。即ち、ラクタイドに
は2つのL−乳酸からなるL−ラクタイド、D−乳酸か
らなるD−ラクタイド、L−乳酸とD−乳酸からなるM
ESO−ラクタイドが存在する。
【0066】これらは少しずつ異なる物性を有し、また
これらの混合物も異なる物性を示す。この為、本発明の
ラクタイド系共重合体はこれら3種のラクタイドを、任
意に組み合わせることによって、好ましい樹脂特性を実
現できる。本発明では高い熱物性を発現するため、ラク
タイドはL−ラクタイドを総ラクタイド中75%以上含
むものが好ましく、更に高い熱物性を発現するために
は、ラクタイドはL−ラクタイドを総ラクタイド中90
%以上含むものが好ましい。
【0067】また本発明で言う水酸基を有するポリマー
は、多くの種類が存在し、そのポリマーの特性によっ
て、得られるラクタイド系共重合体は硬質なものから軟
質なものまで多種多様なものを実現できる。水酸基を有
するポリマーは、特に限定されるものではないが、末端
に水酸基を有するポリエステル、ポリオキシアルキレン
エーテルが、特に好ましく用いられる。これらを用いた
ラクタイド系共重合体は、ブロック状またはランダム状
に近い共重合体が得られ易い。
【0068】この他、ポリビニルアルコール、澱粉、セ
ルロース、セルロースエーテルを用いることができる。
これらを用いた場合はグラフト系重合に近い重合体が得
られ易い。またエステル結合を有するポリマーも同様に
共重合に使用でき、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/エチ
レン共重合体、ポリカーボネート、および、セルロース
エステルが挙げられる。
【0069】水酸基を有するポリマーと反応させると、
様々な性質を持つラクタイド系共重合体が得られるのみ
ならず、高分子量の共重合体が得られ、反応速度もラク
タイドのホモポリマーの反応と同等である。これはポリ
マーが持つ水酸基がポリマー鎖の成長反応の連鎖移動の
調節に働くためである。
【0070】ポリマー鎖の成長反応は、カルボキシアニ
オンに触媒金属が配位し、ラクタイドモノマーが挿入さ
れる反応と考えられている(Macro Chem.1
87,1611−1625頁(1986年)および、E
ur.Polym.J.25,585−591頁(19
89年))。触媒によって活性化されたポリマーの成長
末端は、水酸基によって連鎖移動を起こす。この際、カ
ルボキシル基等の酸性が強い官能基とは異なり、触媒を
失活させない利点を有する。
【0071】従って、水酸基を有するポリマーは、ポリ
マーの分子量の調整と反応を促進する両方の役割を兼ね
備えている。水酸基を有するポリマーとラクタイドとを
反応させることにより、柔軟な共重合体から強度の高い
共重合体まで、様々な性質のラクタイド系共重合体を製
造できる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビ
ニル、酢酸ビニル/エチレン共重合体、セルロースエー
テル、または、柔軟なポリエステルとのラクタイド系共
重合体は、柔軟な性質を有する。
【0072】ポリカーボネート、セルロースエステル、
または、硬質なポリエステルとのラクタイド系共重合体
は、強度の高い性質を有する。本発明は、これら水酸基
を有するポリマーの1種以上、またはこれらの混合物を
特に制限なく用いることができるが、用いるポリマーの
分子量が比較的大きなものが好ましく、具体的には重量
平均分子量10,000〜300,000、更に好まし
くは、重量平均分子量20,000〜200,000を
有し、かつ融点または軟化点が180℃以下であるもの
が好ましい。
【0073】ラクタイドと、水酸基及び/またはエステ
ル結合を有するポリマーとが、共重合する反応機構は複
雑であるが、水酸基を有するポリエステルとの反応機構
は、重合反応をGPCで追跡すると、反応初期では、ラ
クタイドの開環重合が優先し、ある程度ポリ乳酸オリゴ
マーが生成した後、水酸基持つポリエステルとの間でグ
ラフト共重合、およびエステル交換反応が進行し、共重
合体が生成される。これらの開環重合、エステル交換反
応を通して生成するラクタイド系共重合体は実質的に線
状構造を保つ。
【0074】本発明で使用する水酸基を有するポリエス
テルは、融点または軟化点のいずれか低い方が180℃
以下のものが好ましく、なかでも50〜150℃のもの
が好ましい。これは均質なラクタイド系共重合体を得る
ためで、ラクタイドと水酸基を有するポリマーが重合中
に溶解し、よく混合した状態で反応を行う為である。
【0075】重合温度は140℃以上であり、この温度
で水酸基を有するポリマーがラクタイドに溶解しやすい
条件として、融点または軟化点のいずれか低い方が18
0℃以下のものが好ましい。また、結晶性、非晶性は問
わないが、非晶性の透明なポリエステルが好ましい。な
お、ここで言う融点は示差走査熱量分析法(DSC)に
よるもので、軟化点はJIS−K−2531に準じるも
のである。
【0076】また、水酸基を有するポリエステルの分子
量は高いことが好ましく、具体的には重量平均分子量で
10,000〜300,000が好ましく、このため、
ジカルボン酸成分とジオール成分のモル比は、ほぼ1で
あることが好ましい。水酸基を有するポリエステルを構
成する、ジカルボン酸成分とジオール成分の種類は問わ
ないが、脂肪族ジカルボン酸成分は、炭素原子数4〜2
0の脂肪族ジカルボン酸成分であることが好ましい。
【0077】具体的には、コハク酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸、等が挙げられる。この他にダイマー酸等も
挙げられる。芳香族ジカルボン酸成分としては、フタル
酸、イソフタル酸および/またはテレフタル酸が好まし
く、この他には2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げ
られる。
【0078】ジオール成分に関しては、ジオールであれ
ば特に種類を問わないが、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオー
ル、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、
水添ビスフェノールA、キシレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ジブタンジオール、3−ヒドロキシピバリ
ルピバレート等が挙げられる。
【0079】なかでもジカルボン酸成分としては、脂肪
族ジカルボン酸成分が全ジカルボン酸成分中にモル分率
として10〜50%含まれることが好ましい。水酸基を
有するポリマーを反応に供する際には、水分を除去し乾
燥させておくことが好ましい。乾燥法は、減圧による方
法、乾燥雰囲気下に保存する方法、溶媒に溶解し、乾燥
したガスを吹き込み乾燥する方法が挙げられる。水分量
については少ないほど好ましいが1,000ppm以
下、更に好ましくは100ppm以下である。
【0080】エステル結合を多く有したポリ乳酸部分の
性質によって、より高い融点、ガラス転移温度を実現で
き、本発明で得られるラクタイド系共重合体は室温以上
のガラス転移点温度や160℃以上の融点も実現でき
る。この目的のため、ラクタイドと水酸基を有するポリ
エステルの構成要素はラクタイド/水酸基を有するポリ
エステルが50/50〜98/2であり、更に、高い透
明性と45℃以上のガラス転移点等の熱的特性を得る目
的で、ラクタイドの使用割合が、ラクタイドと水酸基を
有するポリエステルの比率は、ラクタイド/水酸基を有
するポリエステルが85/15〜95/5であることが
好ましい。
【0081】本発明の製造方法には、開環重合触媒を使
用することが望ましく、使用できる開環重合触媒として
は、一般に環状エステル類の開環重合触媒、エステル交
換触媒としても知られる錫、亜鉛、鉛、チタン、ビスマ
ス、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属およびその誘
導体が挙げられ、誘導体については特に金属有機化合
物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物が好ましい。
【0082】具体的には、オクタン酸錫、塩化錫、塩化
亜鉛、酢酸亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、アルコ
キシチタン、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウムが適
している。開環重合触媒の量は、ラクタイドと水酸基を
有するポリマーの合計重量に対して、10〜2,000
ppmが好ましい。反応速度が十分に速く、かつ得られ
たラクタイド系共重合体の着色を少なくするためには、
特に20〜1,000ppmが好ましい。
【0083】本発明のラクタイド系共重合体を製造する
際、ラクタイド、水酸基を有するポリマー、および開環
重合触媒の他に、ラクタイド以外の環状エステルを加え
てラクタイド系共重合共重合体を作ることもできる。他
の環状エステルとしては、グリコライド、ラクトン類が
挙げられ、特にε−カプロラクトン、δ−バレロラクト
ン等が挙げられる。グリコライド、ラクトン類の添加量
が増加すると、ガラス転移点温度が低くなり柔軟性が高
くなる。
【0084】またグリコライド、ラクトン類の添加量
が、ラクタイドと水酸基を有するポリマーの合計の重量
に対して30重量部以上であると透明性が低くなる為、
グリコライド、ラクトン類の添加量は30重量部以下が
好ましい。また本発明では、水、乳酸、グリコール酸、
及び他のアルコール及びカルボン酸等の分子量調節剤を
0.1%まで用いることもできる。
【0085】本発明の製造方法により製造されるラクタ
イド系共重合体の分子量は、重量平均分子量で20,0
00〜400,000であり、この分子量の範囲のラク
タイド系共重合体をシート化することにより、高い強度
のシートから柔軟なシートまで得られる。具体的には厚
さ100〜500μmのシートとした場合、引っ張り粘
弾性として500〜50,000kg/cm2 (測定条
件:23℃、50%相対湿度、セイコー電子社製動的粘
弾性測定装置DMS200)が得られる。
【0086】また、本発明で得られるラクタイド系共重
合体は良い生分解性を持ち、汎用樹脂、包装材料等に使
用された後に廃棄されたり、製造工程上から廃棄された
としても廃棄物の減量に役立つ。特に海中に投棄されて
も加水分解、微生物等による分解を受ける。海水中での
分解も数カ月の間に樹脂としての強度が劣化し外形を保
たないまでに分解可能である。
【0087】次に、本発明の連続製造方法を、より具体
的に説明する。本発明のラクタイド系共重合体の連続製
造方法において、全反応器における滞留時間、即ち、第
1反応器から最終反応器までの滞留時間は、製造に用い
る水酸基を有するポリマーの種類及びラクタイドとの混
合比により異なり、一概に定めることはできないが、通
常、満液式反応器の場合には、2〜8時間、好ましく
は、3〜6時間であり、潜熱式反応器の場合には、1〜
5時間、好ましくは、1.5〜3時間である。
【0088】また、滞留時間と対応する重合率とは、用
いる水酸基を有するポリマーの種類及びラクタイドとの
混合比により異なり、一概に定めることはできないが、
通常、全反応のうちの初期(第1区分と称する。)、特
に第一反応器での重合率は30〜80%、好ましくは4
0〜70%である。
【0089】これらの重合率を得る為の反応温度も、用
いる水酸基を有するポリマーの種類及びラクタイドとの
混合比、反応時間により異なり、一概に定めることはで
きないが、特に反応初期は反応性のモノマーが多く、反
応は速やかに進行し、発熱量も多いため、第1区分、と
りわけ第1反応器の温度を低めに制御することが好まし
く、具体的には120〜165℃が好ましく、反応時間
についても0.5〜2時間が好ましい。
【0090】この時、第一番目の反応器内の反応液粘度
を制御し、共重合するポリエステルとの混合性を良好に
することが肝要である。ポリマー成分と共重合を行うモ
ノマーとの十分な混合が、均質な共重合体を得る上で重
要であり、触媒との混合も良好となり反応速度及び均質
性が向上する。
【0091】具体的には第一番目の反応器の反応溶液の
粘度が2000ポイズ以下に維持することが望ましく、
好ましくは0.1〜1000ポイズ、更に好ましくは1
〜500ポイズに維持することが好ましい。このような
第一反応器での重合率、反応時間、および、反応液粘度
を実現するためには、反応温度、原料ラクタイドと原料
ポリエステルの供給速度、及び溶剤量、並びに触媒量を
適宜に選択する必要がある。
【0092】これらの条件の第一区分、特に第一反応器
での一般的な組み合わせを述べれば、反応温度は145
〜160℃、反応時間は0.5〜1時間、触媒量は15
0〜250ppm、溶剤量は10〜20%とし、重合率
を40〜70%、粘度を10〜500ポイズに維持する
ことが好ましい。
【0093】次の反応中間期、つまり反応装置の2器目
から最終反応器の1つ前の反応器までの反応中期の第二
区分では、ラクタイドの重合率を55〜95%、好まし
くは60〜90%にすることが好ましい。この第二区分
では、反応はやや緩慢になる為、反応速度を上げる観点
から反応温度は150〜180℃にすることが好まし
い。
【0094】この第二区分での反応溶液粘度は、製造さ
れるラクタイド系共重合体の性状、溶剤の有無によって
異なるが、硬質なラクタイド系共重合体の場合は、具体
的には100〜3000ポイズに維持することが好まし
く、更に好ましくは200〜2000ポイズに維持する
ことが好ましい。
【0095】特に、最終反応器1つ前の反応器中におい
ては、反応溶液の粘度が4000ポイズ以下であり、さ
らに好ましくは500〜3000ポイズにすることが好
ましい。軟質なラクタイド系共重合体を得る場合には、
反応途中での極端な粘度の高まりはないが、反応溶液の
粘度を20〜1500ポイズに維持することが好まし
い。
【0096】最終反応器1つ前の反応器中においても、
通常反応溶液の粘度は1500ポイズ以下であり、好ま
しくは100〜1500ポイズに維持することが好まし
い。硬質と軟質の中間の性状のものについてはこの間の
粘度になる。第二区分においてのこれら条件の一般的な
組み合わせ例を挙げると、反応温度は160〜170
℃、反応時間は0.5〜3時間、重合率を80〜95
%、粘度を100〜3000ポイズに維持することが好
ましい。
【0097】反応後期、特に最終反応器では、ラクタイ
ドの重合率を80〜99%、好ましくは85〜98%に
なるように設定する。反応性モノマーは少ない為、反応
速度は遅く発熱量も少ないが、ポリマー量が多い為に反
応液の粘度は高い。このため、反応を完結させる目的と
反応液の粘度を下げる目的で、反応温度を高めに制御す
ることが好ましく、具体的には160〜200℃が好ま
しい。
【0098】反応液の粘度は、製造されるラクタイド系
共重合体の性状によって異なるが硬質なラクタイド系共
重合体の場合、最終反応器における反応溶液の粘度は1
000ポイズ以上であり、通常4000ポイズ程度であ
る。軟質なラクタイド系共重合体の場合は、最終反応器
においても粘度は極端に高まることはなく、特に溶剤を
併用した場合は反応溶液の粘度が100ポイズ程度であ
り、多くは500ポイズ程度である。硬質と軟質の中間
の性状のものについてはこの間の粘度になる。
【0099】第三区分において、特に最終反応器でのこ
れら条件の一般的な組み合わせ例を挙げると、反応温度
は160〜170℃、反応時間は0.5〜2時間、重合
率を90〜98%、硬質なものの場合は反応液の粘度を
3000〜5000ポイズ、軟質なものの場合は、30
0〜1000ポイズに維持することが好ましい。
【0100】本発明のラクタイドと水酸基を有するポリ
マーから成るラクタイド系共重合体の製造の際に、更に
多官能性イソシアネート、および/または無水ピロメリ
ット酸のような多官能性酸無水物を加えて、ポリマー鎖
を架橋することにより、より高分子量のラクタイド系共
重合体を得ることもできる。
【0101】多官能性イソシアネートとしては、具体的
には、ヘキサメチレンジイシシアネート、トルエンジイ
ソシアネート、ジイソシアニルフェニルメタン、及び、
ペンタエリスリトールの様なポリオールにジイソシアネ
ートを反応させたもの、ポリエーテルにジイソシアネー
トを反応させたもの、ポリエステルにジイソシアネート
を反応させたものが好ましい。
【0102】これらの添加量は、ラクタイド系共重合体
の分子量、使用するジイソシアネートの分子量により定
めることが望ましいが、一般にラクタイド系共重合体の
0.5〜1.5倍当量が好ましい。例えば、分子量17
0,000のラクタイド系共重合体へ、ヘキサメチレン
ジイソシアネートを添加する場合には、50〜150p
pmが好ましい。
【0103】本発明の連続製造方法によるラクタイドと
水酸基を有するポリマーから成るラクタイド系共重合体
には、更に、種々の公知慣用の樹脂用添加物を添加して
もかまわない。これら添加物は、反応前、反応途中もし
くは反応終了後に、添加することができる。
【0104】添加剤として、代表的な例を挙げるにとど
めれば、例えば、2,6−ジ−第三−ブチル−4−メチ
ルフェノール(BHT)、ペンタエリスリチル−テトラ
キス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、トリフェニルフォスファイト、トリノ
ニルフェニルフォスファイト、ブチル・ヒドロキシアニ
ソール(BHA)の様な酸化防止剤、
【0105】サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系、ベ
ンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、および、燐酸エ
ステル、イソシアネート、カルボジイミド等を安定剤に
使用し成形時の熱的安定性を向上できる。これらの安定
剤の添加量は特に限定されるものではないが、ラクタイ
ド系共重合体の重量に対して100〜10000ppm
の量で添加することが好ましい。好ましくは、500〜
5000ppmの量で添加することが好ましい。
【0106】また、本発明のラクタイド系共重合体は、
単独で十分可塑化作用があり成形性を有するが、特に高
い可塑化を図る場合には、アジピン酸ジオクチル、セバ
シン酸ジオクチル、トリオクチルトリメリテート、フタ
ル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ポリプロピレング
リコールアジピン酸、アジピン酸ブタンジオール等の可
塑剤を添加しても良い。
【0107】なかでも、アジピン酸系ポリエステル可塑
剤は特に相溶性、添加による可塑化効果から好ましく、
分子量が20,000以下、ポリエステルの末端がアル
コール等で封止されていると成形、加工時に安定性が良
く好ましい。これらの可塑剤の添加量は特に限定される
ものではないが、ブリーディングを避ける目的で、ラク
タイド系共重合体の重量に対して1〜30%の量で添加
することが好ましい。
【0108】更に、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸カルシュウム等の金属石鹸
類、鉱油、流動パラフィン、エチレンビスステアリルア
マイド等の滑剤、グリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂
肪酸エステル等の非イオン系、アルキルスルホン酸塩等
のイオン系等の界面活性剤、酸化チタン、カーボンブラ
ックの様な着色剤等の添加も、本発明の製造並びに得ら
れるラクタイド系共重合体の物性を低下せしめない範囲
で使用しても良い。
【0109】本発明の連続製造方法によるラクタイドと
水酸基を有するポリマーから成るラクタイド系共重合体
は、モノマーとの共重合化のような共重合成分に対する
制約も少なく、ビニル系のポリマー、縮合系のポリエス
テル等とも共重合化が可能である。ラクタイドと反応し
得るモノマーとの反応の場合は、用いられる反応性モノ
マーはエポキサイド、環状エステル、ラクトン、環状カ
ーボネートに限定される為、得られる共重合体は柔軟性
の高い性質のものに限定された。
【0110】しかし本発明のラクタイドとポリマーとの
反応によって得られるラクタイド系共重合体は、ポリエ
チレンテレフタレート、ビスフェノールA型ポリカーボ
ネートなどの耐熱性の高いポリマーと共重合することで
きる。また、ポリエチレンスクシネートのような結晶性
ポリエステルとブロック状に、および/またはランダム
状に共重合が可能である。
【0111】
【実施例】以下に実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明するが、本発明は、もとよりこれらに限定され
るものではない。なお%は、特に記載しない限り、全て
重量%を示す。
【0112】(実施例1)上部にコンデンサーを備え、
アンカー型の攪拌翼で攪拌できる7リッターの内容量を
持った潜熱冷却式の攪拌式反応器を4器直列に連結した
反応装置と、この最終反応器に1/2インチのスタティ
ック・ミキサー(ノリタケ製ケニックス式スタティック
ミキサー)を介して脱揮槽に接続した。
【0113】原料の供給は窒素ガス雰囲気下の2つの原
料供給槽で調製した。ラクタイドを110℃の溶解槽で
融解調製し、もう1つの溶解槽で水酸基を持ったポリマ
ーを140℃でトルエン25%溶液とし、プランジャー
ポンプを使用して、平均滞留時間が6時間になるように
第1反応器へ供給した。触媒はオクタン酸スズを用い、
原料供給槽から第1反応器への移送ラインで添加した。
それぞれの成分の供給量を下に示す。
【0114】 ラクタイド供給流量:4.63(l/時間) ポリマー/トルエン溶液供給流量:0.97(l/時
間) 触媒供給流量:2.2(ml/時間)
【0115】原料のラクタイド、水酸基を有するポリマ
ー、溶媒の構成成分を下に示す。 L−ラクタイド:78% D−ラクタイド: 4% ポリエステル : 5% トルエン :13%
【0116】水酸基を有するポリマーとして、ポリエス
テルを使用した。ポリエステルの構成成分は、テレフタ
ル酸14モル%、イソフタル酸16モル%、アジピン酸
20モル%、エチレングリコール28モル%、ネオペン
チルグリコール22モル%、であり、数平均分子量は4
5,000(ポリスチレン換算)である。
【0117】また触媒として、オクタン酸スズを反応内
容物に対して、500ppmとなるように供給した。反
応器間の反応液の移送は、反応器の側面の液面確認用の
窓から液面を確認しながら、反応器底の排出部より、ギ
ヤーポンプを用いて連続的に移送した。
【0118】使用した4器の反応器の制御温度、及び反
応液の粘度を下に示す。 第1反応器反応温度:145℃、20ポイズ 第2反応器反応温度:165℃、700ポイズ 第3反応器反応温度:175℃、2600ポイズ 第4反応器反応温度:175℃、3200ポイズ
【0119】また重合反応中の反応器内の圧力は1.3
〜1.5気圧であった。反応終了後の脱揮処理条件は、
脱揮装置の前の熱交換器の温度が220℃、脱揮槽の真
空度が6Torrであった。
【0120】脱揮槽からの蒸発物は、コンデンサーによ
って回収し、蒸留操作を行い、ラクタイドとトルエンの
再利用を試みた。ラクタイドは供給量の約6%が回収さ
れ、ラクタイドの反応率は94%と算出された。得られ
た重合物をペレット化した後に、各種の性状や物性測定
を行った。得られたペレットはわずかに黄色を帯びた透
明な樹脂であった。
【0121】ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
(以下GPCと略す。)分析の結果、分子量は140,
900であった。ラクタイドモノマーは0.4%が残留
し、トルエンは確認されなかった。また示差熱量分析
(以下DSCと略す。)による融点は、174.1℃で
あった。
【0122】(実施例2)ヘリカル型の攪拌翼を備えた
内容量4リッターの満液式攪拌式反応器を3器直列に連
結した反応装置と、この最終反応器に1/2インチのス
タティック・ミキサー(ノリタケ製ケニックス式スタテ
ィックミキサー)を介して2機の脱揮槽に接続した。
【0123】原料供給は、窒素ガス雰囲気下、ラクタイ
ドと水酸基を持ったポリマーを、110℃でトルエン1
5%溶液とし、プランジャーポンプを使用し、平均滞留
時間が8時間になるように第1反応器へ供給した。触媒
はオクタン酸スズを用い、実施例1と同様に、第1反応
器への移送ラインに添加した。それぞれの成分の供給量
を下に示す。
【0124】原料供給流量:1.5(l/時間) 触媒供給流量:0.5(ml/時間)
【0125】原料のラクタイド、水酸基を有するポリマ
ー、溶媒の構成成分を下に示す。 L−ラクタイド:73% D−ラクタイド: 4% ポリエステル :10% トルエン :13%
【0126】水酸基を有するポリマーとしてポリエステ
ルを使用した。ポリエステルの構成成分は、コハク酸5
0モル%、エチレングリコール50モル%、数平均分子
量77,000(ポリスチレン換算)である。触媒は、
オクタン酸スズを、反応物に対し、400ppmとなる
ように供給した。また生成ポリマーの抜き出しは、最終
反応器の槽上部の排出部より、ギヤーポンプを用いて連
続的に抜き出した。
【0127】使用した3器の反応器の制御温度、及び反
応液の粘度を下に示す。 第1反応器反応温度:155℃、100ポイズ 第2反応器反応温度:165℃、2100ポイズ 第3反応器反応温度:165℃、3900ポイズ
【0128】脱揮処理の条件は、第1脱揮装置の前の熱
交換器の温度が220℃、脱揮槽の真空度が110To
rrであった。第2脱揮装置の前の熱交換器の温度が2
20℃、脱揮槽の真空度が8Torrであった。脱揮槽
からの蒸発物はコンデンサーによって回収した。第1脱
揮槽からの回収物は、トルエンがほぼ100%で、乾燥
後、再使用できた。第2脱揮槽からの回収物は、ラクタ
イドが多く、乳酸および乳酸2量体が確認された。蒸留
操作を行い、ラクタイドを回収した。
【0129】得られた重合物をペレット化した後に、各
種の性状や物性測定を行った。得られたペレットはわず
かに黄色を帯びた透明な樹脂であった。GPC分析の結
果、分子量は128,800であった。ラクタイドモノ
マーは0.5%が残留し、トルエンは確認されなかっ
た。DSC分析結果から、融点は158.2℃であっ
た。
【0130】(比較例1)実施例2で用いたヘリカル型
の攪拌翼を備えた、内容量4リッターの満液式攪拌式反
応器のうち2器を使用し、第2の反応器に1/2インチ
のスタティック・ミキサーを介して2機の脱揮槽に接続
した。原料供給は窒素ガス雰囲気下、ラクタイドとε−
カプロラクトンを110℃で融解し、プランジャーポン
プを使用して、平均滞留時間が8時間になるように第1
反応器へ供給した。触媒はオクタン酸スズを用い、実施
例2と同様に添加した。それぞれの成分の供給量を下に
示す。
【0131】原料供給流量:1.0(l/時間) 触媒供給流量:0.3(ml/時間)
【0132】原料のラクタイド、水酸基を有するポリマ
ーの構成成分を下に示す。 L−ラクタイド:95% ε−カプロラクトン: 5%
【0133】触媒としてのオクタン酸スズは400pp
mとなるように供給した。生成ポリマーの抜き出しは、
最終反応器の槽上部の排出部より、ギヤーポンプを用い
て連続的に抜き出した。
【0134】使用した2器の反応器の制御温度、及び反
応液の粘度を下に示す。 第1反応器反応温度:165℃、6800ポイズ 第2反応器反応温度:165℃、24000ポイズ
【0135】脱揮処理の条件は、第1脱揮装置の前の熱
交換器の温度が220℃、脱揮槽の真空度が110To
rrであった。第2脱揮装置の前の熱交換器の温度は2
20℃、脱揮槽の真空度は8Torrであった。脱揮槽
からの蒸発物はコンデンサーによって回収した。第1脱
揮槽からは、殆ど回収物はなく、第2脱揮槽からの回収
物はラクタイドが多く、更に乳酸および乳酸2量体が確
認された。
【0136】ラクタイドは供給量の約27%が回収さ
れ、ラクタイドの反応率は73%と算出された。得られ
た樹脂をペレット化した後、各種の性状、物性測定を行
った。得られたペレットはわずかに黄色を帯びた透明な
樹脂であった。GPC分析結果から、分子量は182,
300であった。ラクタイドモノマーは1.7%が残留
した。DSCの結果、融点は156.7℃であった。
【0137】(比較例2)実施例1と同様のアンカー型
の攪拌翼を備えた7リッターの内容量を持った潜熱冷却
式の攪拌式反応器のうち2器を使用し、第2の反応器
に、1/2インチのスタティック・ミキサーを介して2
機の脱揮槽に接続した。原料供給は、窒素ガス雰囲気
下、ラクタイドとヒドロキシル基を持ったポリマーを1
10℃でトルエン15%溶液として、プランジャーポン
プを使用し、平均滞留時間が6時間になるように第1反
応器へ供給した。
【0138】このラクタイドとヒドロキシル基を持った
ポリマーの原料溶液は、ヒドロキシル基を持ったポリマ
ー中に含まれる触媒の働きで重合し、粘度が増加して反
応器への供給に障害を生じた。
【0139】触媒はオクタン酸スズを用い、実施例1と
同様に第1反応器の前に添加した。それぞれの成分の供
給量を下に示す。 原料供給流量:2.3(l/時間) 触媒供給流量:1.1(ml/時間)
【0140】原料のラクタイド、ヒドロキシル基を有す
るポリマー、溶媒の構成成分を下に示す。 L−ラクタイド:73% D−ラクタイド: 4% ポリエステル:10% トルエン:13%
【0141】ヒドロキシル基を有するポリマーとしてポ
リエステルを使用した。該ポリエステルの構成成分は、
コハク酸50モル%、エチレングリコール50モル%で
あり、数平均分子量は77,000であった。触媒とし
て、オクタン酸スズを500ppmとなるように供給し
た。生成ポリマーの抜き出しは、最終反応槽の槽上部の
排出部より、ギヤーポンプを用いて連続的に抜き出し
た。
【0142】使用した2器の反応器の制御温度、及び反
応液の粘度を下表に示す。 第1反応器反応温度:165℃、2200ポイズ 第2反応器反応温度:165℃、2700ポイズ
【0143】脱揮処理の条件は、第1脱揮装置の前の熱
交換器の温度が220℃、脱揮槽の真空度が110To
rrであった。第2脱揮装置の前の熱交換器の温度は2
20℃、脱揮槽の真空度は8Torrであった。ラクタ
イドは供給量の約19%が回収され、ラクタイドの反応
率は81%であった。得られた重合物をペレット化した
後に、各種の性状や物性測定を行った。
【0144】ペレットは脆い性質の黄色を帯びた半透明
な樹脂であった。GPC分析結果から、分子量は10
1,200であった。また、ヒドロキシル基を持ったポ
リマーと考えられる分子量約82,000の画分が認め
られた。ラクタイドモノマーは2.2%が残留し、トル
エンは確認されなかった。DSC分析の結果、融点は1
56.2℃であった。
【0145】
【発明の効果】本発明は、ラクタイド系共重合体の製造
上の問題点である反応液の高粘度、熱分解性、着色等を
解決し、かつ従来のラクタイド系共重合体よりも更に広
範囲な物性を有し、包装材用のフィルム・シ−ト、射出
成形品、ラミネーション、工業用品等の広い分野で有用
な、分解性のラクタイド系共重合体を効率良く生産する
連続製造方法を提供できる。
【0146】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いることができる潜熱冷却式の連続
攪拌式反応器の一例を示す図である。
【図2】本発明で用いることができる満液式の連続攪拌
式反応器の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:原料溶解・溶融槽 T2:原料供給槽 A1:触媒供給槽 P0:プランジャーポンプ R1、R2、R3、R4:攪拌式反応器 M:モーター P1、P2、P3、P4:ギヤポンプ H:スタティック・ミキサー式熱交換器 V1、V2:脱揮槽 A2:添加剤添加系 D:ペレタイザー C1:コンデンサー C2:脱揮槽揮発分回収コンデンサー E:回収物精製装置 −−−:回収物循環ラインを示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3つ以上の攪拌式反応器を直列に連結し
    た連続反応装置の第一番目の反応器に、ラクタイド50
    〜98重量部と、水酸基を有するポリマー2〜50重量
    部とを、融解もしくは溶媒に溶解して、連続的に供給
    し、更に第一番目の反応器から直列に連結した各反応器
    へ、反応内容物を順次移送し、第一番目の反応器および
    連結した各反応器内で、反応圧力1〜5気圧、反応温度
    140〜210℃で、開環共重合させることを特徴とす
    る分子量2万〜40万の線状ラクタイド系共重合体の連
    続製造方法。
  2. 【請求項2】 連続反応装置の第一番目の反応器でのラ
    クタイドの重合率が30%〜80%で、かつ反応溶液の
    粘度が2000ポイズ以下であることを特徴とする請求
    項1記載の連続製造方法。
  3. 【請求項3】 水酸基を有するポリマーが、末端に水酸
    基を有する、融点または軟化点が180℃以下のポリエ
    ステルである請求項1または2に記載の連続製造方法。
  4. 【請求項4】 反応溶媒として、沸点70〜180℃の
    溶媒を、ラクタイドおよび水酸基を有するポリマーの合
    計100重量部に対し、3〜30重量部加えることを特
    徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の連続製
    造方法。
  5. 【請求項5】 重合反応後、生成共重合体中の残留ラク
    タイド及び/または残留溶剤を1重量%以下に除去する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載
    の連続製造方法。
  6. 【請求項6】 反応溶媒として、沸点70〜180℃の
    溶媒を、ラクタイドおよび水酸基を有するポリマーの合
    計100重量部に対し、3〜30重量部加えて、開環共
    重合反応を行い、反応後、生成共重合体中の残留ラクタ
    イド及び/または残留溶剤を1重量%以下に除去するこ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の
    連続製造方法。
  7. 【請求項7】 攪拌式反応器で反応させた後、スタティ
    ック・ミキサーを備えた連続反応器を用いて、更に開環
    共重合させることを特徴とする請求項1から3のいずれ
    か一つに記載の連続製造方法。
  8. 【請求項8】 反応溶媒として、沸点70〜180℃の
    溶媒を、ラクタイドおよび水酸基を有するポリマーの合
    計100重量部に対し、3〜30重量部加えて、開環共
    重合反応を行い、更にスタティック・ミキサーを備えた
    連続反応器を用いて、開環共重合させた後、生成共重合
    体中の残留ラクタイド及び/または残留溶剤を1重量%
    以下に除去することを特徴とする請求項1から3のいず
    れか一つに記載の連続製造方法。
JP29666994A 1993-12-28 1994-11-30 ラクタイド系共重合体の連続製造方法 Expired - Fee Related JP3458911B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29666994A JP3458911B2 (ja) 1993-12-28 1994-11-30 ラクタイド系共重合体の連続製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33413893 1993-12-28
JP5-334138 1993-12-28
JP29666994A JP3458911B2 (ja) 1993-12-28 1994-11-30 ラクタイド系共重合体の連続製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07233245A true JPH07233245A (ja) 1995-09-05
JP3458911B2 JP3458911B2 (ja) 2003-10-20

Family

ID=26560794

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29666994A Expired - Fee Related JP3458911B2 (ja) 1993-12-28 1994-11-30 ラクタイド系共重合体の連続製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3458911B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009164350A (ja) * 2008-01-07 2009-07-23 Nitto Denko Corp 配線回路基板の製造方法
JP2013216851A (ja) * 2011-07-29 2013-10-24 Ricoh Co Ltd ポリマーの製造方法、ポリマー連続製造装置、複合体連続製造装置、及びポリマー生成物
JP5595639B2 (ja) * 2006-01-30 2014-09-24 株式会社クレハ 脂肪族ポリエステル組成物の製造方法
CN115803360A (zh) * 2020-04-23 2023-03-14 道达尔能源一技术比利时公司 用于将丙交酯聚合成聚乳酸的工艺

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5595639B2 (ja) * 2006-01-30 2014-09-24 株式会社クレハ 脂肪族ポリエステル組成物の製造方法
JP2009164350A (ja) * 2008-01-07 2009-07-23 Nitto Denko Corp 配線回路基板の製造方法
JP2013216851A (ja) * 2011-07-29 2013-10-24 Ricoh Co Ltd ポリマーの製造方法、ポリマー連続製造装置、複合体連続製造装置、及びポリマー生成物
CN115803360A (zh) * 2020-04-23 2023-03-14 道达尔能源一技术比利时公司 用于将丙交酯聚合成聚乳酸的工艺
CN115803360B (zh) * 2020-04-23 2024-04-02 道达尔能源一技术比利时公司 用于将丙交酯聚合成聚乳酸的工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP3458911B2 (ja) 2003-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5525671A (en) Continuous production process for lactide copolymer
JP3309502B2 (ja) 生分解性ポリエステル系ポリマーの連続製造法
JP5970097B2 (ja) ポリエステルの連続製造方法
JP5178015B2 (ja) 芳香族ポリエステル系樹脂組成物およびその製造方法
US5889127A (en) Continuous process for the preparation of a polyester-based polymer
JP3513972B2 (ja) 低ラクタイド含有乳酸系ポリエステルの製造方法
JP3458911B2 (ja) ラクタイド系共重合体の連続製造方法
EP1473315B1 (en) Process for continuously producing polyester polymer
JP3471112B2 (ja) ポリ乳酸の重合方法及び重合装置
JPH11349670A (ja) ラクトンポリマーの連続製造法
JP3470382B2 (ja) ウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方法
JP3448927B2 (ja) ラクトン系共重合体の製造方法
JP3590384B2 (ja) ポリエステル系ポリマーの製造方法
TW200302237A (en) Method for treating polyester polymers and polyester polymers with low content of low-boiling components
JP3590383B2 (ja) ポリエステル系ポリマーの連続製造方法
JP3301506B2 (ja) ラクタイド系共重合体の製造方法
CN116217900A (zh) 一种乙交酯、丙交酯开环共聚合制备pgla的装置及工艺
JPH10195186A (ja) ポリエステル系ポリマーの連続製造法
JPH0885722A (ja) 高分子量乳酸系共重合ポリエステルの製造方法及びその成形物
JP2002047341A (ja) ポリエステルブロック共重合体の製造方法
JPH08165339A (ja) 乳酸系共重合ポリエステル粒状物の製造方法
JPH0782353A (ja) 環状エステル共重合体の製造方法
JP2002047339A (ja) ポリエステルブロック共重合体の製造方法
JPH08151439A (ja) 乳酸系共重合ポリエステルの製造方法及び樹脂組成物
JP2010037453A (ja) ポリエステルの製造方法及びそれに用いる装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080808

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090808

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090808

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100808

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100808

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110808

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110808

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120808

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120808

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120808

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120808

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120808

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130808

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130808

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees