JPH11349670A - ラクトンポリマーの連続製造法 - Google Patents

ラクトンポリマーの連続製造法

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JPH11349670A
JPH11349670A JP17817698A JP17817698A JPH11349670A JP H11349670 A JPH11349670 A JP H11349670A JP 17817698 A JP17817698 A JP 17817698A JP 17817698 A JP17817698 A JP 17817698A JP H11349670 A JPH11349670 A JP H11349670A
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reaction
reactor
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caprolactone
polymerization
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JP17817698A
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Hisashi Iiyama
尚志 飯山
Takashi Sato
隆 佐藤
Manabu Yamada
学 山田
Takashi Ueno
貴史 上野
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色性等の改善された高分子量ラクトンポリ
マーを、反応装置内で均一な分子量を持つようにして、
効率的に連続製造する方法を提供する。 【解決手段】 シクロヘキサノンとアルデヒドを共酸化
して、又はシクロヘキサノンを過酸により酸化して、ε
−カプロラクトンとカルボン酸を得た後、ε−カプロラ
クトンを蒸留により回収する際に、第4A族、第5A
族、第6A族、第7A族、第8族、第1B族及び第2B
族の元素及び/又は化合物を添加して蒸留し、得られた
ε−カプロラクトン(Y)単独、あるいは、該ε−カプ
ロラクトン(Y)と他のラクトン(Y’)、二分子間環
状エステル(X)、水酸基及び/またはエステル結合を
有するポリマー(Z)からなる群から選ばれた1種以上
からなる反応原料を、少なくとも1基の塔型反応器から
なる塔型連続反応装置(A)に連続的に供給し、開環重
合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラクトンポリマー
の連続製造法に関する。更に詳しくは、特に耐加熱着色
性に優れたε−カプロラクトンを使用した低着色性のポ
リカプロラクトンラクトン(Y)単独、又は該ε−カプ
ロラクトン(Y)と他のラクトン(Y’)、二分子間環
状エステル(X)、水酸基及び/またはエステル結合を
有する1種以上のポリマー(Z)又はこれらの混合物と
を、特定の塔型連続反応装置(A)を使用して重合さ
せ、色相の改善されたラクトンポリマーを連続的に製造
する方法に関する。これらのポリマーは医療用の生体液
吸収性資材、カプセル等の医薬及び農薬用製剤資材、コ
ーティング材、シート及びフィルム等の包材用資材、ラ
ミネーション資材等に於いて有用な樹脂である。
【0002】
【従来の技術】2分子間環状エステル(環状ダイマー)
であるジラクタイドまたはジグリコライド、1分子内環
状エステル(環状モノマー)であるラクトン及びこれら
の共重合体であるラクトンポリマー(以下、これらを単
にラクトンポリマーと云う)は、光、熱、酵素等によっ
て分解され、自然への還元サイクルに取り込まれるた
め、安全性並びに地域環境汚染防止の観点から、近年、
生分解性ポリマー材料として多くの研究が為されてい
る。ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のヒドロキシカルボ
ン酸のホモポリマーの製造方法に関しては、従来から大
別して2通りの製造方法が知られている。即ち、対応す
るヒドロキシカルボン酸から直接、脱水重縮合してポリ
マーを得る方法と、一旦ジラクタイド或いはジグリコラ
イドのような、ヒドロキシ酸の脱水二量化環状エステル
を合成した後、これを更に開環重合する事によりポリマ
ーを得る製造方法である。
【0003】ヒドロキシカルボン酸の直接重縮合法によ
ると、分子量4,000以上のポリマーを得る事は難し
く(C.H.Halten著、〃Lactic Aci
d〃226頁、Veriag Chemie、197
1)、反応操作条件の検討により高分子量化を図って
も、特公平2−52930号公報に見られるように分子
量20,000程度が限界で、更なる高分子量ポリマー
の製造が必要とされる場合には、後者の環状エステル化
物の開環重合法が用いられてきた。また、これらラクタ
イド類またはラクトン類の連続製造方法に関しては、芳
香族ポリエステルとラクトン類の連続製造方法が特開昭
61−261124、61−283619、61−28
7922、62−20525、60−27425号公報
の「弾性ポリエステルの連続的製造法」並びに特開平2
−302433、2−302434号公報の「弾性ポリ
エステルの製造方法」に開示されている。これらいずれ
もニーダーまたはエクストルーダーのようなスクリュー
またはパドル型の攪拌翼を反応器内部に有し、攪拌器に
よる攪拌により、反応系を攪拌し、かつ内容物を順次原
料仕込口から製品取り出し口に移送するものである。
【0004】また、アルミニウムアルコキサイドを触媒
として押出機を用いてラクトン類を連続重合する方法が
特開平8−283397、特開平7−53686号公報
に開示されている。しかしながら、押出機を用いる方法
では大量の触媒を使用する必要があり、用途によっては
品質が問題になる場合がある。
【0005】またラクタイド類の連続製造方法に関して
は、特開平5−93050号公報には、複数の攪拌槽を
直列につなぎ、これに反応原料を連続的に供給すること
によって最初の反応槽から最終反応槽までの滞留時間を
反応時間とする連続重合を行う、いわゆるCSTR連続
製造法が開示されている。しかしながらこれらはいずれ
も動的攪拌器を用いる反応装置であり、ラクタイド類ま
たはラクトン類から高い分子量を有するラクトンポリマ
ーを連続的に製造する際に問題となる反応物の高粘度化
に起因する均一攪拌の困難さ及び除熱の困難さに関して
は、解決策を開示もしくは示唆するものではなっかた。
即ち、前記特許もしくは文献に開示されているラクタイ
ド類の製造方法を追試しても、生成ポリマーの平均分子
量の増大にともない、ポリマー粘度は1万〜数10万ポ
イズと非常な高粘度領域まで上昇し、通常の攪拌器では
攪拌が困難となるばかりか、反応内容物を取り出すこと
さえ困難となる。また強力な攪拌器を用い、かつ攪拌翼
を工夫して反応系を攪拌しても、反応内容物は攪拌翼の
回転に従っての層流に近い動きとなり、系内全体を均一
に混合することは困難である。
【0006】また環状エステルの開環重合は発熱を伴う
ため、高粘度化に伴う均一攪拌の困難さによって反応槽
内の温度コントロールが困難になり、反応が暴走した
り、ポリマー中に温度分布が生じ、局所加熱による品質
の劣化が起こる。近年、これらの問題点を解決する為、
可動部分、即ち攪拌機のないスタティック・ミキサー
(SM)が使われ始めてきた(特開平7−26001号
公報)が、管内に固定された可動しないミキシング・エ
レメントにより、流れを分割・転換・反転を繰り返す構
造の為、流体自身への抵抗が非常に大きい。すなわち、
反応系の圧力損失が非常に大きくなり、反応器やポンプ
等の設計が難しくなる。しかも、この吐出圧の上限によ
り生産能力が低下する。また、SMの場合、混合すなわ
ち剪断力をコントロールすべき可動部がない為、ある特
定の運転条件のみにしか最適設計ができず、これ以外の
運転条件、すなわち殆どの場合では、混合のコントロー
ルができない為、常に一定以上の混合不良、熱分布を持
ったまま運転せざるを得ない。さらに、高い圧力損失を
低下させる為にSMの口径すなわち流体が通る断面積を
大きくした場合、この混合不良及び熱分布は極めて大き
くなる。これを回避する為、SMをループ式連続反応装
置(ループ式連続反応装置については後述する)として
使う場合があるが、ループを増せば混合効果は増すが、
その分だけ反応器内の滞留時間分布が大きくなり、長時
間の受熱によるポリマーの分解・着色の品質劣化は避け
られない。又、ループ部の流量が増える為、設備が巨大
化し、設備費が非常に高くなり実用的ではない。
【0007】これらの環状エステルから製造されるラク
トンポリマーは、生分解性に優れている反面、酸、アル
カリ、あるいは水による加水分解を受け易く、熱によっ
ても容易に分子量の低下をきたす性質を有している。例
えば、GUPTAM,C,Colloid Poly
m.Sol.(DEU)260(3)308−311,
1982には、空気中に於ける昇温熱重量分析により、
ジラクタイドのホモポリマーの熱分解速度の研究例が報
告されているが、密封された反応容器内に於いてさえ、
250℃以上の高温下では加速された分子量の低下が起
こる。加えて、このジラクタイドのホモポリマー及びコ
ポリマーは、高温暴露により着色が進行するという性質
をも有している。即ち、これらの環状エステルの従来の
製造方法では、ポリマーの高分子量化に伴う高粘度化の
為に、均一な混合が妨げられ、その結果として局部加熱
による部分変質を生じ、品質の低下を来す問題点があ
り、小規模な研究室での実験ではともかくも、大規模な
工業生産にはより好ましい製造方法が求められていた。
【0008】一方、ε−カプロラクトンの製造方法とし
ては、シクロヘキサノンを酸化して得る方法が代表的な
ものとして知られている。シクロヘキサノンの酸化には
アルデヒドとの共酸化法と、例えば有機過酸を酸化剤と
して用いる酸化法とがある。有機過酸としては、過酢
酸、過プロピオン酸、過イソ酪酸等が使用されている。
共酸化に使用されるアルデヒドとしては、アセトアルデ
ヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒ
ド等が使用されている。ε−カプロラクトンの品質は、
ポリマー製造時の重合反応や樹脂の着色に影響する。こ
れはε−カプロラクトンに含まれる不純物が、重合時の
反応速度、重合体の色相に大きく影響を与えるためであ
る。特に、ε−カプロラクトンの微量不純物含有率、酸
価、水分等は、重合反応速度やε−カプロラクトン自体
の加熱着色安定性試験値(APHA)、重合後の樹脂の
色相(APHA)に影響を与えるため、これらを必要に
応じて低減させることが望まれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、着色性等の改善された高分子量ラ
クトンポリマーを反応装置内で均一な分子量を持つよう
にして、効率的に連続製造する方法を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記着色原
因となる物質の処理について検討した結果、第4A族の
ような特定の元素及び/又は化合物を添加して蒸留する
ことにより、色相の改善されたε−カプロラクトンが得
られ、これを原料の一種に使用して、連続製造方法とし
て、ラクトンポリマーの攪拌・混合方法、圧力損失を低
下させる方法等について鋭意検討した結果、塔型連続反
応装置(A)を用いることにより、重合液の粘度が高く
ても、反応内容物の良好な混合が可能で、効率的に重合
熱を除去でき、低い圧力損失で安定な運転で分解や着色
の無い高分子量のポリマーを高品質、高効率かつ、高生
産性で得られる事を見出して本発明を完成するに至っ
た。
【0011】即ち、本発明の第1は、シクロヘキサノン
とアルデヒドを共酸化して、又はシクロヘキサノンを過
酸により酸化して、ε−カプロラクトンとカルボン酸を
得た後、ε−カプロラクトンを蒸留により回収する際
に、第4A族、第5A族、第6A族、第7A族、第8
族、第1B族及び第2B族の元素及び/又は化合物を添
加して蒸留し、得られたε−カプロラクトン(Y)単
独、あるいは、該ε−カプロラクトン(Y)と他のラク
トン(Y’)、二分子間環状エステル(X)、水酸基及
び/またはエステル結合を有するポリマー(Z)からな
る群から選ばれた1種以上からなる反応原料を、少なく
とも1基の塔型反応器からなる塔型連続反応装置(A)
に連続的に供給し、開環重合させることを特徴とするラ
クトンポリマーの連続製造法を提供する。本発明の第2
は、反応原料100重量部に対して20重量部以下の溶
剤を加えて反応させることを特徴とする本発明の第1に
記載のラクトンポリマーの連続製造法を提供する。本発
明の第3は、攪拌機を有する槽型反応装置で重合させた
後、塔型連続反応装置(A)を用いて、更に重合反応を
進めることを特徴とする本発明の第1に記載のラクトン
ポリマーの連続製造法を提供する。本発明の第4は、少
なくとも1基の塔型反応器からなるループ式反応装置
(B)で反応物を循環させながら重合させた後、塔型連
続反応装置(A)を用いて、更に重合反応を進めること
を特徴とする本発明の第1〜3のいずれかに記載のラク
トンポリマーの連続製造法を提供する。本発明の第5
は、反応原料を不活性ガス雰囲気下で溶融、他の原料に
溶解、または溶剤に溶解させて供給することを特徴とす
る本発明の第1〜4のいずれかに記載のラクトンポリマ
ーの連続製造法を提供する。本発明の第6は、塔型連続
反応装置(A)を用いて重合させた後、該連続反応装置
(A)に連結した脱揮装置に於いて、生成ポリマー中の
残存モノマー及び/または溶剤を除去・回収し、回収モ
ノマー及び/または溶剤を再使用することを特徴とする
本発明の第1〜5のいずれかに記載のラクトンポリマー
の連続製造法を提供する。本発明の第7は、塔型連続反
応装置(A)が攪拌翼付きであることを特徴とする本発
明の第1〜6のいずれかに記載のラクトンポリマーの連
続製造法を提供する。本発明の第8は、攪拌機を有する
槽型反応装置で反応原料を重合反応温度まで上昇させ、
重合を開始させた後、塔型連続反応装置(A)を用い
て、更に重合反応を進めることを特徴とする本発明の第
3に記載のラクトンポリマーの連続製造法を提供する。
以下、本発明を詳しく説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】I.ラクトンポリマーの製造方法 熱分解性を有するラクトンポリマーの製造においては、
樹脂粘度が1万ポイズを越えるような高粘度領域では、
重合熱はもとより、攪拌剪断応力による摩擦熱の発生が
激しいので、単純な完全混合型の動的攪拌では局部発熱
が激しく、分子量低下や着色などの品質劣化を引き起こ
す。従って、本発明では、攪拌翼付き塔型連続反応装置
の使用が好ましく、攪拌翼の回転数によって剪断力すな
わち、混合をコントロールでき、かつ流れがピストンフ
ロー性(押出し流れ)のために、反応物(生成物及び未
反応原料の混合物)の滞留時間が短く、滞留時間分布を
狭くすることができる。
【0013】塔型連続反応装置(A) 本発明に用いられる塔型連続反応装置(A)は、少なく
とも1基の塔型反応器からなり、該塔型反応器は円筒状
の反応器胴を有し、反応器内部に、好ましくは攪拌翼の
取り付けられた回転軸を有し、塔の一端より原料を供給
し、他端より生成物(ラクトンポリマー)を押出し流れ
で排出するものであり、管型反応装置より管径が太く、
反応時間が槽型反応装置と管型反応装置の中間のもので
ある。又、攪拌翼付き塔型連続反応装置の種類によって
は、それ自体の構造によって、竪型タイプと横型タイプ
がある。塔型反応器の反応器胴及び/又は回転軸にはバ
ッフル、仕切板、ジャケット、コイル等を設けることが
できる。物質の流れは、槽型反応装置では完全混合流れ
であるのに対して、塔型反応器内では押出し流れ、即ち
ピストンフロー型の流れであり、実質的にバックミキシ
ングが無視できる。塔型反応器は、ピストンフロー性の
指標として使われる完全混合槽列数換算で2〜100、
より好ましくは10〜60の槽数を持つ。
【0014】塔型反応器内での物質の移動は、攪拌翼及
び/又はポンプ等により行われる。したがって、攪拌翼
としては攪拌翼自身に液体の送り機構がなくただ混合の
みを目的とするものも、又、攪拌翼自身に混合及び送り
機構をもつものも使用できる。又、塔型反応器内で発生
する重合熱、摩擦熱等を除去するために、塔型反応器の
外周部にジャケットを設けたり、塔型反応器の内部にチ
ューブ、熱交換エレメント等を設けたり、さらに、攪拌
翼自体に熱媒体を通すチューブが備えられたものを使用
したり、塔型反応器の外に設けられた熱交換器(外部熱
交換器)を使用することができる。攪拌翼の回転数を制
御することによって上記各種熱交換手段への熱伝達率を
上昇させ、効率的に反応装置内の温度を制御することも
できる。また、塔型反応器内には、相当槽数をコントロ
ールする目的で、反応器内部に適当な形状のしきり板等
で物理的に槽を区切ることもできる。
【0015】塔型連続反応装置(A)(以下、「反応装
置(A)」と称する)は、少なくとも1基の塔型反応器
からなり、複数の塔型反応器を使用する場合には、それ
らを直列及び/又は並列に接続することができる。複数
の塔型反応器は異なる長さ/直径比の塔型反応器を組み
合わせて使用することができる。反応装置(A)は、通
常は、図1に示すように、攪拌翼付き塔型反応器を複
数、直列に連結したものであり、不活性ガス雰囲気下で
仕込口から反応原料を連続的に供給し、反応物が該複数
の反応装置内を連続的に移動することにより、反応を連
続的にしかも外気に全く触れることなく行うことが出来
る。このようにして原料供給から、反応、脱揮によるポ
リマーからの未反応モノマー及び/または溶剤の分離、
分離された未反応モノマー及び/または溶剤の再利用、
ポリマーのペレット化までの工程を行うことが出来る。
【0016】反応装置(A)を用いる本発明の構成は、
製造するポリマーの性質により種々の構成をとり得る。 [i]槽型攪拌式反応装置と反応装置(A)の組み合わせ 常温のまま、僅かに重合した状態で、塔型反応器に送液
すると周囲のみの重合が進行し、塔型反応器の中心部分
の重合が進まず、重合していない部分のみが早く通過し
てしまうので、未反応モノマーが減らない状態となる。
それ故、本発明では攪拌機を有する槽型反応装置(以下
単に槽型反応装置という)と、これに連結した反応装置
(A)により構成される連続反応装置も用いることがで
きる(図2参照)。すなわち、重合初期におけるポリマ
ー粘度の比較的低い段階では、槽型反応装置において反
応させ、重合後半のポリマーが高粘度化する段階では反
応装置(A)で反応させることもできる。槽型反応装置
は多段に設けてもよい。より具体的には、槽型反応装置
で反応原料を重合反応温度付近の180℃程度まで上昇
させ、重合を開始させた後、生成物を反応装置(A)に
移送し、さらに重合反応を進める。触媒は、別途、少量
の低温モノマーに溶解させておいて、昇温後反応原料に
混合する方がよい。
【0017】[ii]ループ式反応装置(B) ループ式とは、反応装置から排出される生成物の一部を
再度、反応装置の原料供給側に戻す方法であり、反応時
間の延長や、循環反応物による希釈が行われ、除熱、粘
度調節等を行うことができる。循環経路には外部熱交換
器等を設け、反応物の除熱(または加熱)を行うことが
できる。ループ式反応装置(B)は、ループを形成する
反応器が塔型反応器のみからなっていても、槽型反応装
置と塔型反応器の組み合わせからなっていてもよいが、
好ましくは複数の塔型反応器からなる。ループ式反応装
置(B)が、複数の塔型反応器(a1)、(a2)、・
・・、(an)、からなる場合に、(an)からの反応
生成物は、(a1)に戻してもよいし、(a2)、・・
・、(an)のいずれに戻してもよい。ループ式反応装
置(B)は単独で使用してもよいし、前段に槽型反応装
置を設けてもよいし、後段に反応装置(A)を設けても
よい。ループ式反応装置(B)は複数直列又は並列に設
けてもよい。重合の初期段階で、ポリマー粘度は低い
が、重合発熱が著しい場合には、ループ型反応器(B)
を前段に使用して、攪拌翼付き反応装置(A)を後段に
使用して反応させることが好ましい(図3参照)。
【0018】反応原料供給速度(または反応内容物の線
速度)は、混合効率及び除熱効率に直接関係する因子で
あるので、製造するポリマーの重合度、粘度および発熱
量に合わせて選択する。但し、攪拌翼の回転数制御によ
り、混合・除熱効果をコントロールできるので、幅広い
運転条件に対応できる。
【0019】また本発明において使用する各種反応原料
は、酸素または水分による原料の変質を抑える為、反応
原料を窒素ガス等の不活性ガスを流しながら、融解もし
くは溶剤に溶解させて、連続反応装置(A)に供給す
る。融解は、融点もしくは軟化点の低い原料に、融点も
しくは軟化点の高い原料を融解させてもよい。
【0020】本発明では連続反応装置(A)において、
反応性モノマー及び/またはポリマーから成る反応原料
を溶剤の非存在下で塊状重合で行うことができるが、反
応液の粘度を調整する目的で、重合反応に悪影響を与え
ない溶剤の存在下に反応を行うこともできる。溶剤を加
えた場合は、反応物の粘度を低下させることができる
為、均一混合の一層の向上が図れるので、完全混合槽列
数すなわち塔長を短くすることができ、混合に必要な流
速を得る為の圧力を低下せしめ、反応装置全体の耐圧設
計を低く抑えることができる。
【0021】反応系に添加できる溶剤は、反応原料及び
生成ポリマーと反応せず、反応原料及び/又は生成ポリ
マーに対する溶解性が良く、かつ回収・再使用が容易な
溶剤であればよい。具体的例としては、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼン等が好ましく用いられる。反応系
に加える溶剤量は、反応原料100重量部に対して20
重量部以下で用いることが好ましく、全反応を通じての
反応液の最高粘度を50,000ポイズ以下に調整する
ことが好ましい。この範囲の溶剤量であれば反応速度は
大きな影響を受けることはなく、得られる生成ポリマー
の分子量が低下することもない。但し、ここで云う溶剤
量は、連続反応での定常状態での溶剤量を表し非定常状
態の量ではない。なお、反応開始時に反応系に加える溶
剤量は、反応原料100重量部に対して20重量部以上
の量で用いられる。これは急激な重合反応が起こらない
ように、溶剤で反応系を希釈して反応を開始し、以後、
様子を見ながら徐々に重合原料のモノマー及び/または
ポリマーから成る重合成分の比率、反応温度を高めて行
き、重合反応を開始する。
【0022】溶剤の添加時期は、原料仕込みの段階であ
ってもよいし、反応途中の発熱量が著しい重合段階で、
冷却を目的に反応系に加えることもできる。また重合後
期で高分子量化した生成ポリマーにより反応液の粘度が
極めて増加した時点で、反応系に添加することもでき
る。連続反応装置(A)の混合能力は極めて良好であ
り、反応途中に高粘度の溶液と溶剤を容易に均一に混合
できる。また反応途中で反応系中に溶剤を添加する場合
には、添加する溶剤に更に重合原料のモノマー及び/ま
たはポリマーを溶解させて、反応系に加えることもでき
るし、その他の添加剤、例えば、分子量調節剤、可塑
剤、酸化防止剤等を溶剤に溶解させて、反応系に加える
こともできる。
【0023】反応装置(A)で、溶剤を加えた場合の反
応装置内の圧力は、一般に2〜15kg/cm2、通常
は10kg/cm2 以下、反応装置(A)全体における
滞留時間(反応時間)は一般に1〜8時間である。反応
停止時には、溶剤比率を徐々に高めて行き、反応系内の
生成ポリマー及び未反応原料を反応装置外に抜き出すと
ともに、反応を停止する。なお、この場合の溶剤比率も
定常状態の溶剤比率からは外れ、20重量部以上とな
る。
【0024】本発明の連続反応装置(A)での反応率
(生成物重量/反応原料重量×100)は85%以上で
あることが好ましい。反応率が85%以上であっても、
残存モノマーは反応性であり、製品ポリマー中に残存す
ると貯蔵安定性に影響を与え、またヒトに対する安全性
や臭気の面からも残存モノマー、オリゴマーは除去する
ことが望ましい。それ故、本発明では、未反応モノマー
の回収・再利用と併せて、ポリマー物性の改質を図る為
に、連続反応装置(A)でラクトンポリマーを重合させ
た後、連続反応装置(A)の後段に接続した脱揮装置に
より生成ポリマー中の残存モノマー、オリゴマーまたは
溶剤を分離・回収し、必要に応じて再利用する。
【0025】具体的な脱揮方法としては、連続反応装置
(A)に接続したプレヒーターにより重合反応終了後の
生成ポリマーを加熱溶融させて、ポリマーに流動性を与
え、また脱揮物の蒸発潜熱相当の熱を与える。脱揮装置
は、フラッシュ式脱揮装置(フラッシュ・タンク)、薄
膜式脱揮装置等を一段又は多段であるいは組み合わせて
使用することができる。好ましくは、二段階の脱揮槽に
より脱揮を行い、第一段目の脱揮槽内では真空度20〜
150Torr、第二段目の脱揮槽では1〜20Tor
rで、脱揮する。脱揮はまた、連続反応装置(A)の後
に設けられた直径0.3〜3mmの口径の孔を多数有す
るベント式押出し機によって、生成物をストランドとし
て押し出し、脱揮装置内に連続的に供給して行うことも
できる。
【0026】脱揮されたポリマーは、脱揮装置の底部か
らギアポンプにより抜き出してペレット化することもで
きる。なお、ペレット化の際には、必要に応じて添加剤
をエクストルーダー、スタティック・ミキサー等により
混合した後、ペレット化することもできる。
【0027】脱揮の際に回収された未反応モノマー、溶
剤等は更にコンデンサーにより冷却、回収し、必要に応
じて分離して再度利用される。回収された未反応モノマ
ーは連続反応が定常状態に達した後は、連続的に原料仕
込槽にリサイクルされ、連続的に反応に使用される。反
応原料としてポリマーを用いた場合は、未反応原料ポリ
マーが生成ポリマー中に残存することを防ぐ為に、原料
ポリマーに対する原料モノマーの使用割合を多くし、未
反応モノマーを回収、再使用することが好ましい。本発
明においては、連続的にこれらの脱揮装置を用いること
によって、製造されるラクトンポリマー中の残存モノマ
ー含量を1重量%以下にすることができる。
【0028】II.原料ε−カプロラクトンの製造 ε−カプロラクトンの製造方法としては、原料にシクロ
ヘキサノンを使用して、(i)有機過酸を酸化剤として
用いる酸化法と、(ii)分子状酸素を使用したアルデヒ
ドとの共酸化法とがあり、本発明では両者が使用でき
る。有機過酸としては、過蟻酸、過酢酸、過プロピオン
酸、過イソ酪酸等の炭素数1〜10の脂肪族過カルボン
酸;過安息香酸、メチル置換過安息香酸、ジメチル置換
過安息香酸のような炭素数6〜10の芳香族過カルボン
酸が挙げられる。これらは、過酸化水素等の過酸化物と
の平衡過酸として使用されてもよい。共酸化に使用され
るアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド、プロピオンアルデヒド等の炭素数1〜10の脂
肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、メチル置換ベンズ
アルデヒド、ジメチル置換ベンズアルデヒド等炭素数6
〜10の芳香族アルデヒドが使用される。
【0029】また、過酸による酸化又は共酸化は稀釈用
溶媒を使用しないでもよいが、稀釈用溶媒を使用する場
合には、溶媒として酢酸エチル、酢酸メチル、安息香酸
メチル等のエステル類;ヘキサン、シクロヘキサン、ベ
ンゼン、トルエン等の炭化水素類、ケトン類、ニトリル
類、カルボン酸類等が例示できる。有機溶媒を使用する
場合には、反応後蒸留回収するために、ε−カプロラク
トンよりも低沸点の溶媒が好ましい。
【0030】有機過酸によるシクロヘキサノンの酸化反
応では、有機過酸はシクロヘキサノン(bp155℃)
を酸化してε−カプロラクトン(bp98〜99℃/2
mmHg)に変化させ、自らは還元され、使用した有機
過酸に対応する酢酸(bp118.2℃)、プロピオン
酸(bp141.35℃)、蟻酸(bp100.5
℃)、イソ酪酸(bp154.3℃)等の有機酸とな
る。このため、シクロヘキサノンを酸化して得た反応液
には、ε−カプロラクトン、還元されて生成した酢酸等
の有機酸および稀釈用溶媒が含まれ、更に、副生成物で
あるアジピン酸(bp265℃/100mmHg)、オ
キシカプロン酸、カプロラクトンのオリゴマーやポリマ
ー等が含まれる。ここに、還元されて生成した酢酸等の
有機酸はε−カプロラクトンより沸点が低く、アジピン
酸やオキシカプロン酸、カプロラクトンのオリゴマーや
ポリマー等は、ε−カプロラクトンより沸点が高い。
【0031】また、共酸化法によるシクロヘキサノンの
酸化反応では、無触媒又は触媒の存在下に、シクロヘキ
サノン/アルデヒド=1〜10モル比で、0〜150℃
で、常圧〜50kg/cm2の圧力下に反応が行われ
る。触媒としては、Co、Mn、Fe、Cu、Al、
V、Zr、Au、Pt、Pd、Ru等の金属、又はそれ
らの金属塩がアルデヒドに対して0.01〜100pp
mで使用される。触媒は反応後、濾過等により分離され
てもよいし、触媒の一部を残したまま後述するε−カプ
ロラクトンの蒸留を行うこともできる。シクロヘキサノ
ンを共酸化して得た反応液には、ε−カプロラクトン、
共酸化によりアルデヒドから生成したカルボン酸、未反
応アルデヒド、未反応シクロヘキサノン、シクロヘキセ
ンオキサイド、ヒドロキシシクロヘキサノン、それらの
開環重合物、アルデヒドのその他の酸化生成物、稀釈用
溶媒、アジピン酸、オキシカプロン酸、カプロラクトン
のオリゴマーやポリマー等が含まれる。
【0032】上記のようにして得られた反応物からカル
ボン酸類とε−カプロラクトンとが分離される。カルボ
ン酸類の沸点がε−カプロラクトンより低沸点の場合に
は、カルボン酸類は蒸留で分離される。カルボン酸類の
沸点がε−カプロラクトンより高沸点の場合には、カル
ボン酸類を晶析、イオン交換等で分離することができ
る。あるいは、高沸点成分を留出残にして、ε−カプロ
ラクトンを留出させることもできる。
【0033】必要により使用した触媒や反応溶媒を分離
し、生成したカルボン酸を分離した後、ε−カプロラク
トンは蒸留精製される。得られるε−カプロラクトンの
純度は99.8重量%以上であることが好ましい。蒸留
精製を行う場合に、徒に純度を上げることは設備費や操
作費のアップになったり、モノマーの保存安定性や重合
時の着色を抑える働きが低下するので、着色原因物質を
どのように減少させるかが重要である。
【0034】本発明で、上記ε−カプロラクトンモノマ
ー又はポリカプロラクトンの加熱着色原因となる物質に
ついて検討した結果、不純物は必ずしも特定されない
が、下記着色改善物質の存在下に、加熱後蒸留するか、
又は加熱しながら蒸留することにより、蒸留精製により
得られたε−カプロラクトンの色相(APHA値)が低
くなり、また得られたε−カプロラクトンを使用して色
相の改善されたポリカプロラクトンが得られる。
【0035】着色改善物質としては、第4A族、第5A
族、第6A族、第7A族、第8族、第1B族及び第2B
族の元素及び/又は化合物である。第4A族の元素とし
ては、Ti、Zr及びHfである。第5A族の元素とし
ては、V、Nb及びTaである。第6A族の元素として
は、Cr、Mo及びWである。第7A族の元素として
は、Mn及びReである。第8族の元素としては、F
e、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd及びP
tである。第1B族の元素としては、Cu、Ag及びA
uである。第2B族の元素としては、Zn、Cd及びH
gである。上記化合物としては、上記元素のフッ素、塩
素、臭素、ヨウ素のようなハロゲン化物;酸化物;水酸
化物;カルボン酸、フェノール、オキシ酸、パラトルエ
ンスルフォン酸等の有機酸塩;硝酸、硫酸、塩酸、りん
酸等の無機酸塩;ヒドロキシエステル類、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン類との複塩
等が挙げられる。これらは混合物として使用することも
できる。
【0036】より具体的には、例えば、三塩化チタン、
四塩化チタン、硝酸チタン、チタンラクテートエチルエ
ステル、ヒドロキシチタニウムステアレート;硝酸ジル
コニウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム塩、ヒドロキ
シ酢酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム;オキ
シ三塩化バナジウム、四塩化バナジウム;酸化クロム、
塩化クロム、硝酸クロム、酢酸クロム;酸化モリブデ
ン、モリブデン酸アンモン、モリブデンアセチルアセト
ネート;タングステン酸、タングステン酸ナトリウム;
塩化マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン;硝酸鉄;
塩化コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト;硝酸ニッ
ケル、臭化ニッケル;塩化パラジウム、硫酸パラジウ
ム;亜酸化銅、塩化銅、蓚酸銅、酢酸銅;酸化銀、硝酸
銀;ラウリン酸カドミウム等が挙げられる。
【0037】上記着色改善物質は、好ましくは、ε−カ
プロラクトンを蒸留回収するために蒸留塔に供給する原
料(蒸留原料)に加えられ、蒸留原料の0.1〜100
0重量ppm、好ましくは、1〜10重量ppm添加さ
れる。0.1重量ppm未満では効果が小さく、100
0重量ppm超では効果の増加が期待できず、不経済で
ある。ここで蒸留原料とは、反応生成物から必要により
使用した触媒や反応溶媒を分離し、生成したカルボン酸
を分離した後のものであって、ε−カプロラクトンを蒸
留精製により製品として回収するためのものである。し
たがって、着色改善物質は、ε−カプロラクトンを一段
階又は多段階で蒸留精製する場合に、蒸留精製の最初の
段階の蒸留塔の供給液に加えられてもよいし、途中の段
階の蒸留塔の供給液に加えられてもよいし、最終段階の
蒸留塔の供給液に加えられてもよい。着色改善物質は、
蒸留原料に溶解することが好ましいが、粉体として分散
していても構わないし、充填塔に充填して加熱下に蒸留
原料を通過させてもよい。
【0038】この結果、本発明ではモノマーの加熱着色
値がAPHA30以下、好ましくは25以下のε−カプ
ロラクトンを得ることができる。また、1週間貯蔵後の
モノマーの加熱着色値がAPHA50以下、好ましくは
40以下のε−カプロラクトンを得ることができる。
【0039】ε−カプロラクトンの精製は、反応液を脱
低沸蒸留、及び、脱高沸蒸留して行う。着色改善物質の
蒸留原料への添加は、脱低沸蒸留時でも、脱高沸蒸留時
でもよい。着色改善物質が添加された蒸留原料は、20
〜250℃、好ましくは100〜160℃で加熱され
る。加熱時間は温度によるが、高温では約1秒であり、
低温では約10時間加熱される。蒸留精製を行う場合
に、蒸留は一段階又は多段階で行うことができるが、好
ましくは二段階又は三段階で行われる。蒸留操作では、
一般に、缶液温度を160℃以下、好ましくは150℃
以下とする。このためには塔頂圧力を下げる。塔内圧損
を低下させることも有効である。例えば、シーブトレイ
式の蒸留塔ではトレイの堰高さを低くしたり、充填塔式
の蒸留塔では低圧損の規則充填物を利用することができ
る。また、蒸留塔リボイラーの加熱時間を短縮するため
に流下薄膜式蒸発器を使用することができる。
【0040】(i)二段階蒸留では、シクロヘキサノン
を酸化して得た反応液を第一蒸留塔へ供給して、脱低沸
蒸留を行い、稀釈用溶媒、低沸点有機酸等の低沸点留分
とともに未反応原料のシクロヘキサノンを留出する。本
発明で第一蒸留塔としては、棚段塔および充填塔のいず
れでもよい。第一蒸留塔の蒸留条件は、反応液の供給速
度、蒸留塔の種類等により適宜選択することができる
が、一般に、塔頂温度20〜60℃、特には30〜40
℃、塔底温度100〜200℃、特には120〜180
℃、塔頂圧力200mmHg以下、還流比0.1〜1
0、特には0.5〜5であることが好ましい。この蒸留
条件によって、低沸点留分として溶媒や酢酸、着色原因
物質を含む低沸分を効率よく留去すると共に、ε−カプ
ロラクトンを含む第一缶出液を塔底から回収することが
できるからである。尚、ε−カプロラクトンの一部も低
沸点留分として留去する。ε−カプロラクトンの留出率
は0.5〜3.0%である。次いで、第一蒸留塔の塔底
からε−カプロラクトンを含む第一缶出液(粗ε−カプ
ロラクトン)を抜き取り、これを第二蒸留塔へ供給す
る。第二蒸留塔も棚段塔および充填塔のいずれでもよい
が、3段以上、より好ましくは3〜45段、特には10
〜35段の濃縮部を有することを特徴とする。具体的に
は、好ましくは全段5〜50段であり、より好ましくは
15〜40段である。この範囲で、着色原因となる低沸
分の留去や高沸点成分の分離を効率よく行うことができ
るからである。この際、濃縮部が上記範囲の段数を有す
れば、第二蒸留塔への供給を第二蒸留塔塔底へ行って
も、第二蒸留塔中間部へ行ってもよい。尚、本発明で
は、第二蒸留塔中間部とは、第二蒸留塔の塔底および塔
頂部を除いたそれらの間の任意の段を意味する。第二蒸
留塔では、再度、脱低沸蒸留と脱高沸蒸留を行う。第二
蒸留塔の蒸留条件は、第一缶出液の供給速度、蒸留塔の
種類等により適宜選択することができるが、ε−カプロ
ラクトンの重合によるロスを少なくするために、塔頂温
度100〜140℃、好ましくは110〜130℃、塔
底温度120〜200℃、好ましくは130〜160
℃、塔頂圧力50mmHg以下、還流比0.1〜10、
好ましくは0.3〜5である。これにより、残存する低
沸点留分や塔内で生成した低沸分や純度を低下させる中
沸分を塔頂から効率よく留去すると共に、カプロラクト
ンオリゴマー等やアジピン酸等の高沸点成分を第二缶出
液としてε−カプロラクトンと分離することができるか
らである。精製されたε−カプロラクトン(ε−カプロ
ラクトン製品)は塔頂又は第二蒸留塔の供給段より上で
最上段より下のいずれかの段から取り出すことができ
る。第二蒸留塔中間部からのε−カプロラクトン製品の
取り出しは、ε−カプロラクトン製品を液状で取り出す
ことが好ましい。気体状態で取り出すと、第二蒸留塔内
の気相側に多く分布する低沸点留分も製品と共に取り出
される結果、製品中の着色原因物質の濃度が上昇するか
らである。ε−カプロラクトン製品を液状で取り出すた
めには、取出段の液相部を抜き出せばよい。
【0041】(ii)三段階蒸留では、上記二段階蒸留を
更に精密に行う方法であり、第一蒸留塔では低沸分を多
く含む低沸点留分カット、第二蒸留塔では中沸分を多く
含む低沸点留分カットする方法である。このため、第一
蒸留塔と第二蒸留塔の条件は塔頂温度が二段階蒸留の第
一蒸留の塔頂温度より低温で及び/又は還流比を上げて
行われる。第三蒸留塔では、前記(1)二段階蒸留の第
二蒸留塔と同じ条件でもよいが、分離段数を下げて、加
熱滞留時間を低下してε−カプロラクトンの回収を行う
こともできる。もちろん、第三蒸留塔中間部からε−カ
プロラクトンを液状で抜き出し、製品にすることもでき
る。
【0042】また、本発明では第二段以降の蒸留を薄膜
蒸発器や分子蒸留装置を用いて塔頂圧力10mmHg以
下、好ましくは5mmHg以下で、それに見合う缶出液
温度で行うこともできる。また、反応マスから副生カル
ボン酸(アセトアルデヒド場合には酢酸、ベンズアルデ
ヒドの場合には安息香酸)の大部分を分離して蒸留塔に
供給する直前の液又は粗ε−カプロラクトンを150℃
以上、好ましくは200℃以上で、1分以上、好ましく
は10分以上、更に好ましくは1時間以上加熱処理した
上で、着色改善物質を添加して、蒸留することもでき
る。また、反応マスから副生カルボン酸の大部分を分離
して蒸留塔に供給する直前の液又は粗ε−カプロラクト
ンのpHを6.0〜8.0、好ましくは6.5〜7.5
に調節した上で、着色改善物質を添加して、蒸留するこ
ともできる。また、反応マスから副生カルボン酸の大部
分を分離して蒸留塔に供給する直前の液(即ち粗ε−カ
プロラクトン)又は精製ε−カプロラクトンを活性炭、
モレキュラシーブのような吸着処理剤及び/又はイオン
交換樹脂を通過させて精製することができる。イオン交
換樹脂としては、アニオン交換樹脂、カチオン交換樹
脂、これらを組み合わせたものをこの順で、又は逆の順
で通液するようにして、使用することができる。
【0043】上記製造方法によれば、ε−カプロラクト
ン製品は純度99.8%以上、酸価0.05〜0.20
mgKOH/g、水分50〜150ppm、低沸分20
0面積分率ppm以下、APHA30以下、好ましくは
25以下、更に好ましくは20以下となる。従って、本
発明のε−カプロラクトン製品を用いて重合反応を行う
と反応速度を改善することができると共に、ε−カプロ
ラクトン製品の保存時の劣化を防止することができる。
【0044】III.各種のラクトンポリマー (1)ポリカプロラクトン ラクトンポリマーの1種であるポリカプロラクトンは上
記で得られた低着色性ε−カプロラクトン(Y)を単独
重合して得られる。ポリカプロラクトンは、平均分子量
や含まれる官能基等の違いにより産業上の多くの分野で
用いられている。例えば、ε−カプロラクトンオリゴマ
ーやグリコールを開始剤とした分子量500〜5,00
0のポリカプロラクトンは、ポリウレタン、塗料等の原
料として非常に有用である。また、ラジカル重合性二重
結合を有するポリカプロラクトンは自動車、家電製品等
の分野でアクリル系コーティング剤として利用されてい
る。更に、分子量が10,000を超えるポリカプロラ
クトンは実用的な機械的強度を持ち、プラスチック成形
品、フィルム、ホットメルト接着剤等に用いられてい
る。このようなポリカプロラクトンの多くは、触媒の存
在下、水酸基を有する化合物を開始剤とするε−カプロ
ラクトンの開環重合により製造される。ポリカプロラク
トンの分子末端構造に水酸基以外の官能基を必要としな
い場合には、1個以上の水酸基を有する有機化合物とし
て、例えばメタノール、エタノール、n−又はiso−
プロパノール、各種ブタノール、フェノール等のモノオ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレング
リコール等のジオール、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン等のトリオール、ネオペンチルグリコール、ペン
タエリスリトール等のポリオールを使用することができ
る。得られたポリカプロラクトンをポリウレタンの原料
として使用するには、ポリカプロラクトンの分子末端に
水酸基を有することが必要であり、このようなポリラク
トンを製造するには、開始剤にエチレングリコール、ブ
チレングリコールなどのジオール、トリオール、ポリオ
ール等を使用する。更に、水酸基を含有する高分子化合
物を開始剤とすることにより、ポリカプロラクトンセグ
メントを含む共重合体を合成することができる。例え
ば、ブチロラクトンのような異なるラクトンモノマーか
ら得たポリカプロラクトン共重合体、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸な
どのポリエステル、セルロース類、ポリビニルアルコー
ル、ポリシロキサンを例示することができる。更にアル
コール変性したポリオレフィンも使用することができ
る。これらの開始剤は、目的とするポリカプロラクトン
に応じて単独でまたは2種以上を混合して使用すること
ができる。また、ポリカプロラクトンの分子末端構造に
水酸基以外の官能基を必要とする場合には、1個以上の
活性水素と共に必要とされる官能基、例えばカルボキシ
ル基、アミノ基、エポキシ基、二重結合を有する炭化水
素化合物を使用することができる。具体的には、カルボ
キシル基を導入するにはヒドロキシカルボン酸等を、ア
ミノ基を導入するにはメチルイミノビスエチレンジアミ
ン等のジアミン類、N−メチルジエタノールアミン等の
アミノアルコール類、ピペラジン類等を、二重結合を導
入するには水酸基を有する(メタ)アクリル系化合物、
例えばヒドロキシエチルアクリレート等を使用すること
ができる。本発明で使用する開始剤とε−カプロラクト
ンとのモル比は、目的とする重合比に応じて適宜選択す
ることができる。本発明によれば、ポリカプロラクトン
オリゴマーからポリマーまで幅広いポリカプロラクトン
を製造することができ、開始剤とモノマーとのモル比
は、開始剤:ε−カプロラクトン及び必要により用いら
れるその他のラクトン類=1:1〜1:5,000モル
比、好ましくは1:1〜1:2,000モル比である。
本発明でε−カプロラクトンの重合に使用する「触媒」
は、一般にラクトンの開環重合反応に使用するものを使
用することができる。具体的には、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、
カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミ
ニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、スズ、鉛、
アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マン
ガン等の金属化合物であり、これら金属の酸化物、これ
ら金属を含む有機金属化合物、これら金属の有機酸塩、
これら金属のハロゲン化物、アルコキシドなどを例示で
きる。これらの内好ましいのは、スズ、アルミニウム、
チタンの有機金属化合物、有機酸塩、ハロゲン化物、ア
ルコキシドであり、特に好ましいのは有機スズ化合物で
ある。有機スズ化合物としては、スズテトラアセテー
ト、モノブチルスズヒドロキサイドオキサイド、モノブ
チルスズトリ−2−エチルヘキサノエート、ジブチルス
ズオキサイド、ジブチルスズジラウレート、スズジオク
タノエート等が例示できる。また、本発明では、一般式
(C55)aLnXbで表されるシクロペンタジエニル系
希土類金属錯体を触媒としてリビング重合を行い、分子
量分布の狭いポリカプロラクトンを得ることもできる。
本発明では、上記触媒を単独で使用することも、2種類
以上を併用することもできる。触媒の使用量は、開始剤
およびラクトン類の合計量に対し0.0001〜0.2
重量%、特には0.0005〜0.05重量%であるこ
とが好ましい。0.0001重量%より少ない場合には
反応速度が遅く、0.2重量%より高い場合は生成する
ポリカプロラクトン類の色相、熱安定性に悪影響を与え
る場合がある。
【0045】(2)ε−カプロラクトン(Y)と他のラ
クトン(Y’)との共重合体 ラクトンポリマーの1種である上記共重合体は前記で得
られた低着色性ε−カプロラクトン(Y)と他のラクト
ン(Y’)を共重合して得られる。反応は必要であれば
(1)で使用した触媒や溶媒の存在下に行われる。他の
ラクトン(Y’)としては、分子内環状エステル構造を
有するものであり、具体的には、α,α−ジメチル−β
−プロピオラクトン、ドデカノラクトン、β−プロピオ
ラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、3−アル
キルバレロラクトン、β,β−ジアルキルバレロラクト
ン、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸のラクトン、
イソクマリン、クマリン、ヒドロキシクマリン、フタラ
イド等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0046】ラクトン間の共重合反応の反応温度は通常
125〜290℃、好ましくは145〜280℃、更に
好ましくは155〜250℃である。ラクトンの共重合
ポリマーの溶液粘度は、構成ラクトンの種類および生成
ポリマーの重量平均分子量に依存するが、通常、重量平
均分子量10,000〜80,000の生成ポリマーの
180℃での溶融粘度は2,000〜20,000ポイ
ズ、重量平均分子量80,000〜500,000の生
成ポリマーの溶融粘度は5,000〜100,000ポ
イズである。
【0047】ラクトン間で反応させる場合の、85%の
反応収率で連続反応を行う為の滞留時間(反応時間)
は、重量平均分子量20,000〜80,000の生成
ポリマーを得る場合には、反応温度155〜250℃で
一般に2〜8時間、系内の最大反応圧力2〜10kg/
cm2であり、重量平均分子量80,000〜500,
000の生成ポリマーを得る場合には、反応温度155
〜250℃で一般に3〜10時間、系内の最大反応圧力
3〜15kg/cm2である。
【0048】(3)ε−カプロラクトン(Y)と二分子
間環状エステル(X)との共重合体 ラクトンポリマーの1種である上記共重合体は前記で得
られた低着色性ε−カプロラクトン(Y)とヒドロキシ
カルボン酸の二分子間環状エステル(X)と共重合させ
て得られる。その場合、二分子間環状エステル(X)と
ラクトンの重合比率は、目的とするポリマーにより種々
変えることができるが、二分子間環状エステル(X)と
ε−カプロラクトン(Y)の組み合わせを種々選定する
ことによって、互いに好ましい性質を付加させることが
できる。
【0049】反応に際しての共重合成分の比率は、目的
とする共重合ポリマーの求められる性質によって異なる
が、二分子間環状エステル(X)とε−カプロラクトン
(Y)の共重合に際しては、X/Yのモル比率は通常は
99/1〜1/99、好ましくは98/2〜50/5
0、更に好ましくは95/5〜75/25である。例え
ば、ジラクタイドとε−カプロラクトンとの共重合体は
靱性、柔軟性等に優れ、未延伸でのフィルム化が可能に
なる。
【0050】本発明で云うヒドロキシカルボン酸の二分
子間環状エステルとは、二分子のヒドロキシカルボン酸
が分子間で脱水環状エステル化したもの(環状ダイマ
ー)であり、例えば、一部は乳酸、グリコール酸、エチ
ルグリコール酸およびジメチルグリコール酸の二分子間
環状エステルであるジグリコライド、ジラクタイド、ジ
エチルグリコライド、メチルグリコライド、α,α−ジ
メチルグリコライド、トリメチルグリコライド、テトラ
メチルグリコライド、またL−乳酸またはD−乳酸が各
々、二分子間で環状エステル化したL−ジラクタイド、
D−ジラクタイド、D,L−乳酸の二分子が環状エステ
ル化したD,L−ジラクタイド、L−乳酸またはD−乳
酸の一分子づつが環状エステル化したMESO−ジラク
タイド等のジラクタイド類、あるいはα−ヒドロキシ酢
酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシイソ吉草
酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシイソカ
プロン酸、α−ヒドロキシ−β−メチル吉草酸、α−ヒ
ドロキシヘプタン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−
ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシミリスチン酸、α
−ヒドロキシスチアリン酸のヒドロキシ酸類の二分子間
環状エステルを云う。本発明に用いられる二分子間環状
エステル(X)は目的とするポリマーの特性により選定
され、かつ2種以上組み合わせて用いることが出来る。
例えば、ジラクタイドとジグリコライドのコポリマーと
してジラクタイドを用いる場合であっても、単にジラク
タイドとしてL−ジラクタイドまたはD−ジラクタイド
のみを用いるのではなく、L−ジラクタイド、D−ジラ
クタイド、D,L−ジラクタイド、MESO−ジラクタ
イドから選ばれる2種以上のジラクタイドをジグリコラ
イドに組み合わせることによって、樹脂の結晶性の観点
から成形性や透明性、耐熱性において、より好ましい樹
脂特性を実現できる。
【0051】二分子間環状エステル(X)とε−カプロ
ラクトン(Y)の共重合ポリマーの溶融粘度は、生成ポ
リマーの重量平均分子量および(X)と(Y)の構成比
率に依存するが、通常、重量平均分子量20,000〜
80,000の生成ポリマーの180℃での溶融粘度は
5,000〜50,000ポイズ、重量平均分子量8
0,000〜500,000の生成ポリマーの溶融粘度
は20,000〜200,000ポイズであり、(Y)
の構成比率が高くなると、生成ポリマーの粘度が低下す
る傾向にある。
【0052】本発明において、例えば、二分子間環状エ
ステル(X)がジラクタイド、メチルグリコライド、エ
チルグリコライドの場合には、ε−カプロラクトン
(Y)との反応温度は通常125〜200℃、好ましく
は145〜195℃、更に好ましくは150〜185℃
である。本発明において、連続反応装置(A)に二分子
間環状エステル(X)としてジラクタイド類を用い、ε
−カプロラクトン(Y)と反応させる場合の、85%の
反応収率で連続反応を行う為の滞留時間(反応時間)
は、重量平均分子量20,000〜80,000の生成
ポリマーを得る場合には、反応温度150〜185℃で
一般に2〜8時間、系内の最大反応圧力2〜10kg/
cm2であり、重量平均分子量80,000〜500,
000の生成ポリマーを得る場合には、反応温度150
〜185℃で一般に3〜10時間、系内の最大反応圧力
3〜15kg/cm2である。
【0053】また二分子間環状エステル(X)としてジ
グリコライド類を用い、ε−カプロラクトン(Y)と反
応させる場合の、85%の反応収率で連続反応を行う為
の滞留時間(反応時間)は、重量平均分子量20,00
0〜80,000の生成ポリマーを得る場合には、反応
温度155〜230℃で一般に2〜8時間、系内の最大
反応圧力2〜10kg/cm2であり、重量平均分子量
80,000〜500,000の生成ポリマーを得る場
合には、反応温度155〜230℃で一般に3〜10時
間、系内の最大反応圧力3〜15kgcm2である。
【0054】(4)ε−カプロラクトン(Y)と水酸基
及び/又はエステル結合を有するポリマー(Z)との共
重合体 ラクトンポリマーの1種である上記共重合体は前記で得
られた低着色性ε−カプロラクトン(Y)と水酸基及び
/又はエステル結合を有するポリマー(Z)とを共重合
させて得られる。水酸基を有するポリマーとしては、ポ
リビニルアルコール、澱粉、セルロース、セルロースエ
ーテルであり、これらを用いた場合はグラフト系重合に
近い重合体が得られ易く、ポリオキシアルキレンエーテ
ルはブロック系重合に近い重合体が得られ易い。またエ
ステル結合を有するポリマーとしては、ポリ酢酸ビニ
ル、酢酸ビニル/エチレン共重合体、ポリカーボネート
であり、水酸基及びエステル結合を有するポリマーとし
ては、セルロースエステル、ポリエステルが挙げられ
る。
【0055】本発明にはこれらの1種以上のポリマーを
特に制限なく用いることができるが、用いるポリマーの
分子量の比較的大きなもの、具体的には重量平均分子量
(Mw)5,000〜300,000、更に好ましくは
重量平均分子量3,000〜200,000を有し、融
点が200℃以下であるものが好ましく、更に相溶性の
点から、セルロースエステルでは含有水酸基の43〜6
5%がエステル化されているものが好ましく、また酢酸
ビニル/エチレン共重合体では、酢酸ビニル/エチレン
のモル比が60/40以上のものが好ましい。またポリ
エステルは融点200℃以下、分子量10,000以上
のものが好ましい。
【0056】本発明に用いられる重合触媒としては、塩
化チタン、チタン酸テトラブチル、チタン酸テトラプロ
ピル、チタン酸テトラエチル等のチタン系化合物、塩化
第1スズ、臭化第1スズ、ヨウ化第1スズ、2−エチル
ヘキサン酸スズ等のスズ系化合物、塩化亜鉛、酢酸亜
鉛、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭
酸亜鉛、ジエチル亜鉛等の亜鉛化合物、アルミニウム化
合物、マグネシウム化合物、バリウム化合物、ジルコニ
ウム化合物、ゲルマニウム化合物等であり、これらは単
独或いは組み合わせて用いる事ができ、その添加量は、
通常0.001〜1.0%であり、更に好ましくは、
0.01〜0.1%の範囲である。
【0057】(5)その他の共重合体 他に、本発明のラクトンポリマーの1種としては、前記
(Y)と(Y’)と(X)からなる共重合体、(Y)と
(Y’)と(Z)からなる共重合体、(Y)と(X)と
(Z)からなる共重合体、あるいは(Y)と(Y’)と
(X)と(Z)からなる共重合体がある。本発明の重合
反応の反応温度は、原料の性質および組み合わせにより
異なるが、通常120〜200℃である。
【0058】また本発明では、目的に応じ、水、乳酸、
グリコール酸及び他のアルコールまたはカルボン酸等の
分子量調節剤(連鎖移動剤)を0.1%まで用い、低分
子量のポリマーを得ることもできる。更に、本発明には
一般に用いられる他のポリマー添加剤である酸化防止
剤、紫外線吸収剤、可塑剤等についても、特に制約無
く、本発明に用いることができ、これらは反応途中で溶
剤に溶解させて反応系に添加することができる。また、
本発明における連続反応の間、先に述べた共重合可能な
成分はもとより、イソシアネート類、酸無水物、エポキ
シ基を有する化合物等を更に追加添加する事も可能であ
り、ポリマーの性能を改質することができる。
【0059】本発明は塔型連続反応装置(A)に低着色
性のε−カプロラクトン(Y)単独又は該ε−カプロラ
クトン(Y)と、他のラクトン(Y’)、ヒドロキシカ
ルボン酸の二分子間環状エステル(X)、及び、水酸基
及び/又はエステル結合を有するポリマー(Z)から成
る群から選ばれる1種以上とを連続的に供給し、溶剤の
存在下または非存在下に、通常、反応物が大気中の酸
素、水分に全く触れない状態で、重合反応温度125〜
270℃、反応系内圧力2〜15kg/cm2の条件
で、ワンパスでの反応率85%以上で連続的に反応さ
せ、次いで脱揮により残存モノマー及び溶剤を除去・回
収し再使用する、溶融粘度500,000ポイズ以下の
重量平均分子量10,000以上のラクトンポリマーの
連続製造方法である。
【0060】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示して本発明を具
体的に説明するが、本発明は、もとよりこれらに限定さ
れるものではない。なお%、ppm及び部は、特に記載
しない限り全て重量%、重量ppmおよび重量部を表
す。
【0061】(ε−カプロラクトン製造段階の測定項
目) (i)酸価:ε−カプロラクトン製品1g当たり1/10
NのKOH溶液による中和に必要な滴定量より算出し
た。 (ii)水分:カールフィッシャー型水分分析計で分析し
た。 (iii)ε−カプロラクトン加熱着色試験:ε−カプロラ
クトン30mlを試験管(ガラス製、内径20mm、長
さ160mm)に秤取り、150℃、1時間加熱して、
同様の試験管に入れられたAPHA標準液の色相と目視
により比較した。 (ポリカプロラクトンの測定項目) (iv)ポリカプロラクトン色相:ポリカプロラクトンの3
0%キシレン溶液を調製し、これを試験管(ガラス製、
内径190mm、長さ270mm)に深さ170mmま
で秤取り、同様の試験管に入れられたAPHA標準液の
色相と目視により比較した。 (v)残存モノマー(重量%)、数平均分子量、及び重量
平均分子量は、GPC測定により、また融点については
示差熱分析(DSC)法により測定した。
【0062】(予備製造例1)内容積2リットルのセミ
バッチ式オートクレーブにシクロヘキサノン600gお
よび触媒として6%Co含有ナフテン酸コバルト0.0
8gを仕込んだ。これに2,4−ジメチルベンズアルデ
ヒドを480g/Hrで滴下し、反応温度40℃、酸素
ガスを圧力が20kg/cm2を保つように供給した。
得られた反応液の組成は、ε−カプロラクトン13.5
%、未反応シクロヘキサノン64.5%、2,4−ジメ
チル安息香酸17.2%、未反応2,4−ジメチルベン
ズアルデヒド3.5%、副生アジピン酸0.4%、その
他カプロラクトン重合物、ギ酸キシレノール等であっ
た。次いで、得られた反応液から残りの2,4−ジメチ
ル安息香酸等の高沸分を分離除去した後、薄膜蒸発器に
供給し、170℃に加熱して留出分を理論段7段の充填
塔で、塔頂圧は80mm/Hg、還流比0.5で未反応
シクロヘキサノンを留出させて、第一缶出液を得た。
【0063】(製造実施例1)予備製造例1で得た第一
缶出液に塩化パラジウム100ppmを添加し混合した
後、直径40mmのガラス製の真空ジャケットを有する
20段のオルダーショー式蒸留塔の塔底へ319g/H
rで供給し、塔頂温度119℃、塔底温度144℃、塔
頂圧力15mmHg、還流比(R/D=1)一定で蒸留
し、底から第二缶出液を85.3g/Hrで抜き取り、
塔頂からε−カプロラクトンを取り出した(237.1
g/Hr、第二蒸留塔における製品収率73.5%)。
ε−カプロラクトンの品質を分析した結果、酸価0.1
8mgKOH/g、加熱時色相25APHAであった。
【0064】(製造実施例2)予備製造例1で得た第一
缶出液に四塩化チタン100ppmを添加し混合した
後、直径40mmのガラス製の真空ジャケットを有する
20段のオルダーショー式蒸留塔の塔底へ322.9g
/Hrで供給し、製造実施例1と同様にして減圧蒸留
し、塔底から第二缶出液を85.5g/Hrで抜き取
り、塔頂からε−カプロラクトンを取り出した(23
7.4g/Hr、第二蒸留塔における製品収率73.5
%)。ε−カプロラクトンの品質を分析した結果、酸価
0.18mgKOH/g、加熱時色相25APHAであ
った。
【0065】(製造実施例3)予備製造例1で得た第一
缶出液に酢酸コバルト100ppmを添加し混合した
後、直径40mmのガラス製の真空ジャケットを有する
20段のオルダーショー式蒸留塔の塔底へ322.9g
/Hrで供給し、製造実施例1と同様にして減圧蒸留
し、塔底から第二缶出液を85.2g/Hrで抜き取
り、塔頂からε−カプロラクトンを取り出した(23
7.1g/Hr、第二蒸留塔における製品収率73.5
%)。ε−カプロラクトンの品質を分析した結果、酸価
0.19mgKOH/g、加熱時色相25APHAであ
った。
【0066】(製造比較例1)予備製造例1で得た第一
缶出液を直径40mmのガラス製の真空ジャケットを有
する20段のオルダーショー式蒸留塔の塔底へ322.
7g/Hrで供給し、塔頂温度119℃、塔底温度14
4℃、塔頂圧力20mmHg、還流比(R/D=1)一
定で蒸留し、塔底から第二缶出液を85.3g/Hrで
抜き取り、塔頂からε−カプロラクトンを取り出した
(237.5g/Hr、第二蒸留塔における製品収率7
3.6%)。ε−カプロラクトンの品質を分析した結
果、酸価0.18mgKOH/g、加熱時色相25AP
HAであった。
【0067】(実施例1)(Y成分とX成分の共重合) 連続反応装置(A)として内径1/2インチ、長さ50
cmの攪拌翼付き塔型反応器(a1)、(a2)、(a
3)、(a4)(いずれも換算槽列数=20)を直列に
連結し、更に内径3/4インチ、長さ50cmの攪拌翼
付き塔型反応器(a5)、(a6)、(a7)、(a
8)(いずれも換算槽列数=15)を直列に連結した連
続重合装置を用いた。触媒は触媒供給ポンプにより、主
原料供給ポンプの直前で内径1/4インチ、長さ15.
5cmのスタティック・ミキサーにより主原料と混合し
た。原料供給槽にL−ジラクタイド95部と製造実施例
1で得られたε−カプロラクトン5部とを加えて窒素ガ
ス雰囲気下に加温してL−ジラクタイドを溶解させて主
原料溶液を調製し、触媒として2−エチルヘキサン酸ス
ズ0.02部を用い、主原料供給流量250ml/時間
(比重=1)、触媒供給流量:0.5ml/時間(比重
=1)、反応温度:165℃の条件で連続的に供給し塊
状重合せしめた。得られた重合物の色相はAPHA25
であった。また、得られた重合物をペレット化した後
に、各種の性状や物性測定を行った。測定結果を表1に
示す。
【0068】(実施例2)(Y成分とX成分の共重合) 窒素ガス雰囲気下で調製した主原料溶液として、L−ジ
ラクタイド85部、製造実施例2で得られたε−カプロ
ラクトン15部、触媒として塩化第一スズ0.03部を
用いる以外は、実施例1と同様にして重合を行った。得
られた重合物の色相はAPHA30であった。また、得
られた重合物をペレット化し、各種の性状、物性測定を
行った。結果を表1に示す。
【0069】(実施例3)(Y成分の単独重合) 窒素ガス雰囲気下で調製した主原料溶液として、製造実
施例3で得られたε−カプロラクトン100部、触媒と
してエチレングリコール0.05部、モノブチル−トリ
ス−(2−エチルヘキサン酸)スズを0.01部を用
い、主原料供給流量150ml/時間(比重1)、触媒
供給流量0.09ml/時間(比重1)、反応温度16
0℃とする以外は、実施例1と同様にして重合を行っ
た。得られた重合物の色相はAPHA25であった。ま
た、得られた重合物をペレット化し、各種の性状、物性
測定を行った。結果を表1に示す。
【0070】(実施例4)(Y成分とX成分の共重合) 内径0.5インチ、長さ60センチの攪拌翼付き塔型反
応器(a1)、(a2)、(a3)、(a4)を直列に
連結した循環重合ライン(ループ式反応装置(B))を
前段に設け、内径3/4インチ、長さ50センチの攪拌
翼付き塔型反応器(a5)、(a6)、(a7)、(a
8)(いずれも換算槽列数=15)を直列に連結した重
合ラインを後段に設けた重合装置を使用した。窒素ガス
雰囲気下で調製した主原料溶液として、実施例1で使用
した主原料溶液を使用した。 主原料供給流量:400ml/時間、触媒供給流量:
1.6ml/時間、反応温度:175℃、循環重合ライ
ンに循環される流量:2リットル/時間、還流比:5の
条件で連続的に重合せしめた。得られた重合物の色相は
APHA25であった。また、得られた重合物を実施例
1と同様にペレット化した後に、各種の性状や物性測定
を行った。結果を表1に示す。
【0071】(実施例5)(Y成分とX成分の共重合) アンカー型の攪拌翼を備えた第一反応器(槽型反応装
置)を前段に使用し、後段に実施例1の連続反応装置
(A)を使用した。第一反応器内部の重合液を槽底排出
部より、ギヤーポンプを用いて連続反応装置(A)に、
連続的に供給した。窒素ガス雰囲気下で調製した主原料
溶液として、実施例1で使用した主原料溶液を使用し
た。 主原料供給流量:500ml/時間、触媒供給流量:
1.5ml/時間、第一反応器滞留液量:500ml、
第一反応器反応温度:160℃、連続反応装置(A)へ
の供給液流量:500ml/時間、連続反応装置(A)
の反応温度:175℃の条件で重合せしめた。得られた
重合物の色相はAPHA25であった。また、得られた
樹脂を実施例1と同様にペレット化した後に、各種の性
状や物性測定を行った。結果を表1に示す。
【0072】(実施例6)(Y成分とX成分の共重合) 実施例5の重合を行った後、重合液を熱交換器、脱揮槽
等からなる装置で脱揮処理を行った。脱揮装置の前の熱
交換器の温度は200℃、脱揮槽の真空度は10Tor
rであった。得られた重合物の色相はAPHA25であ
った。また、得られた樹脂をペレット化した後、各種の
性状、物性測定を行った。結果を表1に示す。
【0073】(実施例7)(Y成分の単独重合) 窒素ガス雰囲気下で調製した主原料溶液として、製造実
施例1で得られたε−カプロラクトン100部、触媒と
して1,6−ヘキサンジオール0.06部、モノブチル
−トリス−(2−エチルヘキサン酸)スズを0.02部
を用い、主原料供給流量250ml/時間(比重1)、
触媒供給流量0.2ml/時間(比重1)、反応温度1
70℃とする以外は、実施例1と同様にして本発明の重
合を行った。得られた重合物の色相はAPHA25であ
った。また、得られた重合物をペレット化し、各種の性
状、物性測定を行った。結果を表1に示す。
【0074】(実施例8)(Y成分とY’成分の共重
合) 窒素ガス雰囲気下で調製した主原料溶液として、製造実
施例2で得られたε−カプロラクトン90部、δ−バレ
ロラクトン10部、触媒として2−エチルヘキサン酸ス
ズを用いる以外は実施例1と同様にして重合を行った。
得られた重合物の色相はAPHA30であった。また、
得られた重合物をペレット化し、各種の性状や物性測定
を行った。結果を表1に示す。
【0075】(比較例1)(Y成分とX成分の共重合) ヘリカル型の攪拌翼を備えた槽型反応装置を用いて重合
反応を行った。原料溶液組成、反応温度は実施例1と同
様で、6時間回分式重合を行った後に、反応装置内の各
部より重合体をサンプリングし、各種の性状や物性測定
を行った。結果を表2に示す。
【0076】(比較例2)(Y成分とX成分の共重合) 比較例1の槽型反応装置に用いた攪拌翼をアンカー翼に
替え、原料溶液組成、反応温度は実施例2と同様で6時
間重合を行った後に、反応装置内の各部より重合体をサ
ンプリングし、各種の性状や物性測定を行った。結果を
表2に示す。
【0077】(比較例3)(Y成分とX成分の共重合) 製造比較例1で得られたε−カプロラクトンを使用した
以外は実施例1と同様にして重合を行った。この結果、
重合物の色相はAPHA60と悪かった。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】表2に記載の、比較例のA、B、C、部と
は、それぞれ槽型反応装置内の上層部、中央部、および
下層部からサンプリングした生成物の分析結果を示す。
実施例では、極めて均質なポリマーが連続的に得られた
のに対し、比較例では、同一反応容器の内部に於いてさ
えも、得られたポリマーの性状・物性値の振れが著しい
ことが判る。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、低着色性のε−カプロ
ラクトンを使用して、開環重合による高分子量ラクトン
ポリマー製造の際の反応物の高粘度化に起因する均一混
合の困難さ及び除熱の困難さを解決して効率よく、医
療、塗料、包材分野に於いて有用な優れた品質のラクト
ンポリマーが連続製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続重合法で使用する塔型連続反応装
置(A)の1例であり、複数の塔型反応器が直列に配置
された例を示す。
【図2】本発明の連続重合法で使用する反応装置の1例
であり、塔型連続反応装置(A)の前段に槽型反応装置
が配置された例を示す。
【図3】本発明の連続重合法で使用する反応装置の1例
であり、塔型連続反応装置(A)の前段に複数、直列に
配置された塔型反応器からなるループ式反応装置(B)
が配置された例を示す。
【符号の説明】
a1〜a8 塔型反応器 J 攪拌翼付き攪拌機 v 槽型反応装置 M 攪拌機

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロヘキサノンとアルデヒドを共酸化
    して、又はシクロヘキサノンを過酸により酸化して、ε
    −カプロラクトンとカルボン酸を得た後、ε−カプロラ
    クトンを蒸留により回収する際に、第4A族、第5A
    族、第6A族、第7A族、第8族、第1B族及び第2B
    族の元素及び/又は化合物を添加して蒸留し、得られた
    ε−カプロラクトン(Y)単独、あるいは、該ε−カプ
    ロラクトン(Y)と他のラクトン(Y’)、二分子間環
    状エステル(X)、水酸基及び/またはエステル結合を
    有するポリマー(Z)からなる群から選ばれた1種以上
    からなる反応原料を、少なくとも1基の塔型反応器から
    なる塔型連続反応装置(A)に連続的に供給し、開環重
    合させることを特徴とするラクトンポリマーの連続製造
    法。
  2. 【請求項2】 反応原料100重量部に対して20重量
    部以下の溶剤を加えて反応させることを特徴とする請求
    項1に記載のラクトンポリマーの連続製造法。
  3. 【請求項3】 攪拌機を有する槽型反応装置で重合させ
    た後、塔型連続反応装置(A)を用いて、更に重合反応
    を進めることを特徴とする請求項1に記載のラクトンポ
    リマーの連続製造法。
  4. 【請求項4】 少なくとも1基の塔型反応器からなるル
    ープ式反応装置(B)で反応物を循環させながら重合さ
    せた後、塔型連続反応装置(A)を用いて、更に重合反
    応を進めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載のラクトンポリマーの連続製造法。
  5. 【請求項5】 反応原料を不活性ガス雰囲気下で溶融、
    他の原料に溶解、または溶剤に溶解させて供給すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のラクトン
    ポリマーの連続製造法。
  6. 【請求項6】 塔型連続反応装置(A)を用いて重合さ
    せた後、該連続反応装置(A)に連結した脱揮装置に於
    いて、生成ポリマー中の残存モノマー及び/または溶剤
    を除去・回収し、回収モノマー及び/または溶剤を再使
    用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
    のラクトンポリマーの連続製造法。
  7. 【請求項7】 塔型連続反応装置(A)が攪拌翼付きで
    あることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
    ラクトンポリマーの連続製造法。
  8. 【請求項8】 攪拌機を有する槽型反応装置で反応原料
    を重合反応温度まで上昇させ、重合を開始させた後、塔
    型連続反応装置(A)を用いて、更に重合反応を進める
    ことを特徴とする請求項3に記載のラクトンポリマーの
    連続製造法。
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